第28次地方制度調査会第4回専門小委員会 次第平成16年5月27日(木)
15時00分〜17時00分 全国都市会館 第一会議室
○松本小委員長 まだお見えになっていない委員もいらっしゃいますけれども、時間が参りましたので、第4回の専門小委員会を開催いたします。 本日は、「審議事項・論点整理に関する意見交換」を行いたいと思います。 最初に、前回の専門小委員会において、これまでの地方分権の流れ等についてとりまとめたらどうかというご指摘をいただきましたので、事務局にてとりまとめましたので、事務局から説明させます。久元課長。 ○久元行政課長 恐縮でございますが、クリップを外していただきまして、「地方分権の推進についての主な動き」、資料1という年表風のものと、それからもう一つ、「地方分権推進委員会中間報告(抄)」と書いております資料と両方ご参照いただきながらお聞き取りをいただきたいと思います。 分権についての議論は、当然のことながら以前からあったわけですけれども、今日に至る地方分権の流れの直接の起点と考えられておりますのが、平成5年6月に行われました両院の「地方分権の推進に関する決議」であると考えられております。それ以降、今日まで14年、目まぐるしい動きがあったわけでありますが、若干漏れがあるかもわかりませんけれども、概略ご説明申し上げたいと思います。この決議が行われましてから、議論のステージは、1つは、政府に設けられました行政改革推進本部地方分権部会、もう一つのステージが地方制度調査会であったと考えられております。翌平成6年11月22日に、「第24次地方制度調査会」は「地方分権の推進に関する答申」を出しております。この答申は、国と地方の役割分担、機関委任事務の廃止、地方分権推進法の制定、地方分権委員会の設置などを内容とする重要なものであります。同時に、この時期には、平成7年3月に市町村合併特例法の期限切れを迎える、こういう時期にありましたので、市町村の自主的な合併の推進に関する議論も行われて、同日付けで答申が行われております。 これらの議論を踏まえまして、翌年の平成7年、地方分権推進法がいろいろな議論を経て成立をしております。平成12年7月までの5年間の限時法でありました。この法律は分権の基本理念、国と地方の役割分担、政府の策定する地方分権推進計画、地方分権推進委員会の設置などを内容としております。この法律の成立を受けて7月3日に地方分権推進委員会が発足をいたしました。諸井虔氏、西尾勝氏をはじめ7名の委員が両院の同意を得て任命されております。 地方分権推進委員会は、発足後直ちに活動を始めたわけでありますが、一番初めの課題が地方分権とは一体何なのかということの議論を整理することであったと承知しております。この議論は、翌平成8年3月29日にまとめられました中間報告に結実をされておりますので、これを別の資料でご覧いただきたいと思います。この資料の中に、地方分権がなぜ必要なのかという議論が整理をされております。この資料をご覧いただきますと、5点にわたって分権の必要性が整理をされております。 1つは、中央集権型行政システムの制度疲労であります。明治以来の中央集権型行政システムについては、一定の意義があったと考えられますが、3段落目にありますように、それなりの弊害がある。国民国家の統一のために、地域社会の自治を制約し、国民経済の発展のために、地域経済の存立基盤を堀崩す。権限・財源・人間、そして情報を中央に過度に集中させ、地方の資源を収奪し、その活力を奪う。全国画一の統一性と公平性を重視する余りに、地域的な諸条件の多様性を軽視し、地域ごとの個性ある生活文化を衰微させると言っておりまして、旧来のシステムが制度疲労に陥っていて、新たな状況と課題に的確に対する能力を失っているという指摘を行っております。 2番目が変動する国際社会への対応ということであります。経済活動のボーダレス化などが推進しておりますから、国が担うべき国際調整課題というのは非常に増えている。そういう中で、この際、国にしか担い得ない国際調整課題への国の各省庁の対応能力を高めるためにも、地方分権を推進し、国の各省庁の国内問題に対する濃密な関与に伴う負担を軽減することを通して、これを身軽にして、その役割を純化し、強化していくべきであると言っております。 3番目が東京一極集中の是正であります。2段落目のところにありますように、地方分権を推進し、まずは政治・行政上の決定権限を地方に分散し、これによって東京一極集中現象に歯止めをかけるということを言っております。 4番目が個性豊かな地域社会の形成であります。国民が真の安らぎと豊かさを実感できないでいる原因の、少なくともその一端には、次のページですけれども、中央集権型行政システムのもとで、全国画一の統一性と公平性が過度に重視され、地域社会の諸条件の多様性が軽視されてきたということを言っております。 そこで、一番後の段落ですけれども、安らぎと豊かさを日々に実感できる真に成熟した社会に発展していくためには、地方分権を推進し、固有の自然・歴史・文化を持つ地域社会の自己決定権を拡充すべきであると言っております。 5番目が高齢社会・少子化社会への対応であります。高齢社会・少子化社会ということの中では、3行目にありますように、高齢者に向けては保健・医療・福祉及び生涯学習関連サービス相互の緊密なる連携が、幼児児童に向けては保育・教育関連のサービスの再編成が要請されている。 こういうサービスに当たっては、3段目ですけれども、総合行政と公私協働の仕組みづくりが必要で、これは国の各省庁別の、さらには各局別の縦割りの行政システムをもってしては到底実現できない。この種の仕組みづくりは、地方公共団体の中でも住民に身近な基礎的地方公共団体である市町村の創意工夫に待つほかないということを言っております。 もう一度年表に戻っていただきますと、この分権の考え方の整理をした後、分権推進委員会は、機関委任事務の廃止と、これに伴う事務の再編成について精力的に作業が行われました。これは平成8年12月20日の第一次勧告として結実をしております。 一方、この時期の地方制度調査会は、監査制度の改革ということに取り組んでおりました。この監査制度の改革に取り組んだという背景は、地方分権が推進されると国の関与が縮減をする。それに伴いまして、地方公共団体自らのチェック機能を充実させる必要があるということで、外部監査制度の導入などを内容とする監査制度の改革に関する答申が行われて、この答申は、5月に自治法が改正をされるということで結実をしております。 続きまして、地方分権推進委員会は第2次勧告を7月8日に出しております。これは残された事務の整理、それと国と地方公共団体の関係のルール、関与の手続を明確にするということなどがありますが、特に一番後に掲げられております地方公共団体の行政体制のあり方、これが大きな議論になりました。当初、地方分権推進委員会は、いわゆる受け皿論を棚上げにする方針であったと聞いております。 受け皿論、すなわち分権の推進の受け皿となる行政体制というものが、地方において整理されなければ分権は進められないのではないか、こういう議論はとにかく棚上げにしなければ、分権はなかなか進まない、こういう認識であったと承知しておりますけれども、当時、与党を中心に市町村合併などを求める声は非常に高まるばかりで、そういう中で行政体制の整備ということを審議項目に加えて、審議が行われたと聞いております。この第2次答申の中で、市町村合併の必要性、その進め方などについても触れられております。 地方分権推進委員会は引き続き 9月、そして10月に第3次勧告、第4次勧告を出しております。 第3次勧告は、地方事務官、すなわち国家公務員でありながら知事の指揮監督を受けるという変則的な形態の制度で、長くその取扱いが議論されたものでありますが、この解決、そして当時、沖縄の基地問題が非常に重要な課題としてありましたので、これに対応する駐留軍用地特措法の改正の整理といった事務区分の整理が行われております。 第4次勧告は、とりわけ、国と地方公共団体の関係ルール、係争処理の仕組みについて具体的な勧告が行われますと同時に、市町村の規模等に応じた権限移譲ということで、20万人以上の市を対象とした、いわゆる特例市の制度というものを勧告をしております。 一方、地方制度調査会、25次ということになりますが、市町村合併の議論が中心になっておりました。市町村合併につきましては、第2次の地方分権推進委員会の勧告の中でも触れられていたわけでありますけれども、さらにこれを地制調で具体化をして、住民発議制度の充実などを柱とする具体的な提言がこの答申として行われております。 この地方分権推進委員会は、第1次から第4次までの勧告を行いまして、これを具体化するための方策を政府として、地方分権推進計画として閣議決定をいたしました。これで地方分権委員会の大きな役割に一つの区切りが付けられたと考えられたわけでありますけれども、当時の橋本総理大臣から、政府としては分権をさらに進める、継続していくという必要性を感じるということで、国から都道府県にさらなる事務権限の移譲を行うべきだと考えているので、その具体的な検討を行ってほしいという要請がありまして、これに基づいて審議が行われ、平成10年11月15日に第5次勧告が行われております。これは翌年平成11年の第2次地方分権推進計画として具体化をされております。 地方分権推進計画を具体化する地方分権一括法は、平成11年の通常国会に提出をされまして、平成11年7月8日に成立をいたしました。この内容は資料1の4ページに資料2がありますので、これをご覧いただきたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、この法案は、この数次にわたる地方分権推進委員会の勧告を受けまして、これを具体化するために475 本の法律を一括して改正するものであります。 法律の内容は、1つは、国・地方の役割分担を明確化するということで、この改正は、地方自治法1条の2ということの追加になるわけですけれども、この考え方は、道州制をはじめとする今次の地方制度調査会の行う上でも大きな指針になるものと考えられます。 2番目に機関委任事務制度の廃止とそれに伴う事務区分の再構成であります。機関委任事務制度を廃止して、法定受託事務と自治事務という新しい事務区分をつくりまして、地方自治法をはじめとする関係法律で所要の整備が図られました。 3番目が先ほど申し上げました地方事務官制度の廃止であります。 4番目が国の関与等の見直しでありまして、地方自治法で関与の基本類型と手続の基本規定を整備するということが行われました。 5番目が事務権限移譲の推進ということで、自治法の中では、人口20万以上の市について特例市の制度が設けられ、また、都道府県から市町村にまとめて権限を移譲するために、条例による事務処理の特例制度が創設をされております。 そのほか必置規制の見直し等が各個別法で行われ、また、この地方分権一括法によって、市町村合併特例法の改正、先ほど申し上げました市町村合併特例法の改正が行われております。 もう一度資料、先ほどの年表の方に戻っていただければというふうに思いますけれども、これによりまして、地方分権の改革の大きな区切りがつけられたわけであります。いよいよこの地方分権推進委員会の設置期限は平成12年7月までにということで迫ったわけですけれども、この後の大きな課題は、分権改革ということが、この制度の設計どおり進むだろうか、監視活動が非常に重要になってきたわけですけれども、平成12年4月1日分権一括法が施行されて、その3か月後に、地方分権推進委員会が解散をするということでは十分な監視活動ができるのだろうか、こういう議論が行われまして、結局、地方分権推進法は1年延長されることになります。 一方、この地方制度調査会の方は26次ということになりますが、住民自治のあり方ということが大きなテーマとなっておりました。分権一括法の成立によって、地方分権改革が現実のものになる。そうすると、住民自治のあり方は、当然、重要なものになる。そこでこの26次の調査会の答申は、住民投票のあり方、住民訴訟のあり方、議会のあり方などについて具体的な答申が行われております。 分権委員会は平成13年7月2日に解散ということになりますが、分権委員会は解散に当たって最終報告を6月14日に出しております。この6月14日に出されました最終報告の中には、分権改革の更なる飛躍の展望という章が設けられております。これをご覧いただきたいと思いますが、別の資料の6ページであります。ここの中には、この地方分権改革を行っていく上で大きな役割を果たした地方分権推進委員会自身が、分権改革によって何が実現をされ、何が残されたのかという点について総括を自ら行っております。6ページの冒頭にありますように、この最終報告は、今次の分権改革は第1次分権改革というふうに読んでおります。そして未完の分権改革であるともいい、これをさらに完成に近づけていくためにはまだまだ数多くの改革課題が残っているというふうに言っております。そしてそれを6項目に整理をしております。 1つは、地方財政秩序の再構築であります。これが冒頭に掲げられております。地方財政秩序を分権型社会にふさわしい新しい姿に再構築するということを言っております。2段落目に書いておりますように、現行の国税と地方税の税源配分を改め、地方公共団体の自主財源である地方税収入を充実し、その半面で国からの財政移転に依存した依存財源の規模をできるだけ縮減していかなければならない。その際、依存財源の中でも、使途の特定された財源であるところの国庫補助負担金の縮減を優先し、ついで使途の特定されていない一般財源であるところの地方交付税の縮減を図る方途を探っていく必要があるというふうに言っております。そしてさらに、「歳入の自治」だけではなくて、「歳入の自治」まで含むものでなければならないということについても触れております。これはまさに今、三位一体改革としていろいろな作業が行われていることと深い関連を持っているものと考えられます。 2番目は、地方公共団体の事務に対する法令による義務付け・枠付け等の緩和であります。2番目の課題として、国の個別法令による義務付け、枠付け等を大幅に緩和していくことだ。第1次分権改革の主要な成果は、国の通達等による関与を大幅に緩和したことだと。その一方で、国の法令等(法律・政令・省令・告示)による事務の義務付け、事務事業の執行方法や執行体制に対する枠付けの緩和については、ほとんど手つかずに終わってしいるとした上で、国の個別法令による事務の義務付け、事務事業の執行方法や執行体制に対する枠付け等を大幅に緩和する必要があるとしております。この点は、本28次の審議項目にも関連することであると考えられます。 3番目に、地方分権や市町村の合併の推進を踏まえた新たな地方自治の仕組みに関する検討。2行目にありますように、市町村合併の帰趨を慎重に見極めながら、道州制論、連邦制論、廃県置藩論など現行の都道府県と市町村の2層の地方公共団体から現行制度を改める観点から、各方面においてなされている新たな地方自治制度に関する様々な提言の当否について改めて検討を深めることだと言っております。 そして最終段落ですけれども、平成17年3月までの間に市町村合併がどの程度まで進捗するかにもよるが、その帰趨によっては、基礎的地方公共団体である20市町村のあり方にとどまらず、都道府県のあり方の見直しを視野に入れたような地方自治制度に関する様々な提言がより現実を帯びてくる可能性があるというふうに言っております。 4番目が事務事業の移譲ということあります。2段目にありますように、第1次分権改革では、事務事業の移譲方策の側面では、あまり大きな成果を上げられなかったと自己総括しております。その上で、この3段落目ですけれども、国から都道府県、都道府県から市区町村へ移譲した方がふさわしい事務事業がまだまだ少なからず存在している。その一方で、これまではとかく今後は市区町村から都道府県へ、都道府県から国へ移譲した方が状況変化に適合している事務事業も存在したのではないと思われるという指摘をしております。 5番目が制度規制の緩和と住民自治の拡充方策であります。住民自治の拡充方策として、地方公共団体の組織の形態に対する自治法等による画一的な制度規制をどこまで緩和するかが妥当なのか、これを真剣に議論することだと言っております。そこで、次の段落ですけれども、米国に見られるような自治憲章制度(Home Rule Charter System) に類似した発想に言及をしております。そして、第3次分権改革でこの住民自治の拡充方策が最も中心的な課題になるのではないかというふうに書いております。 6番目が「地方自治の本旨」の具体化ということで、憲法第8章の「地方自治の本旨」の内容を具体化し、分権型社会の制度保障を確固たるものに方策を構想することが必要だというふうに言っております。この点につきましては、第27次の地方制度調査会でも若干の議論が行われたところであります。 もう一度年表に戻っていただきますと、これによりまして、地方分権推進委員会は解散し、7月3日に地方分権改革推進会議が発足をいたしました。平成16年の7月2日までが任期ということになっております。この地方分権改革推進会議は、発足をした年の平成14年10月30日に事務事業のあり方に関する意見、翌平成15年6月6日に三位一体の改革についての意見、そしてごく最近ですけれども、この5月12日に地方分権行政財政改革の推進等行政体制の整備についての意見を出しております。 分権会議が発足をいたしました平成13年の11月に第27次地方制度調査会が発足をいたしまして、2年間にわたる審議の結果、平成15年11月13日に第27次の調査会の答申がまとめられたことは記憶に新しいところであります。この答申を具体化するための合併関連3法につきましては、おかげさまで去る5月19日、自民党、公明党、民主党の賛成によりまして可決成立をいたしました。合併特例区制度の創設、市町村合併に関する障害を除去するための特例措置、市町村合併推進のための方策、地域自治区制度の創設、都道府県の自主的合併手続等の整備、こういった内容は、第27次地方制度会の答申を忠実に具体化したものであります。 以上、非常に雑駁な説明になりましたけれども、これまでの地方分権の大きな流れにつきましてご説明を申し上げました。 それから、前回ご指示がありました道州制関係の資料につきまして、資料2の1以下に用意をさせていただきました。特に世論の動向につきましては、資料2−5に道州制に関する各紙の社説をコピーとしてまとめさせていただきましたが、大分時間も経過をしておりますので、説明は省略させていただきまして、また後ほどご指示に応じましてご説明を申し上げたいと思います。 以上でございます。 ○松本小委員長 ありがとうございました。それでは、今お話のありました地方分権の流れと、並びに専門小委員会での今までの議論を踏まえまして、審議事項に係る論点をとりまとめました。これについては、本日の意見を踏まえた上で、第2回総会に報告したいと考えております。 それでは、本案について、事務局から報告をさせます。石川課長。 ○石川自治政策課長 では、お手元の資料3につきましてご説明申し上げたいと思います。資料の3でございます。「第28次地方制度調査会審議事項に係る論点(案)」でございます。 第28次の地方制度調査会におきましては、道州制のあり方、大都市制度のあり方、地方の自主性・自律性の拡大のあり方、議会のあり方、地方税財政制度のあり方、その他を審議項目とするものとし、それぞれの項目につきまして、概ね以下の内容について審議を行うものとするとしております。 なお、今後審議の状況等に応じまして、適宜、追加・変更を行うものとするとしております。また、前回のご議論におきまして、個々の審議項目の中に含まれているが、横断的なものとして重要な論点については、明らかにしておくべきではないかというご指摘がありました。そこで、最初に総括的な事項として、「国と地方公共団体の役割分担に関する原則を踏まえ、主要な行政分野における役割分担を整理する必要があるのではないか。また、それぞれの主要な行政分野における国による関与のあり方を考える必要があるのではないか。」ということで抜き出して掲げております。 続きまして、個別の論点についてご説明を申し上げたいと思います。2ページ目でございますけれども、道州制のあり方でございますが、「(1)道州制の目的」につきましては、これは前回に比べまして、小さい「・」のところ、規模・能力や区域が拡大した基礎自治体との役割分担のもとに、広域自治体としての役割、機能を十分に発揮するものとするか、真の分権型社会にふさわしい自立性の高い圏域を形成し、地域の活性化を図るものとするかという文言を加えてございます。 次に、道州制の基本的性格、これは基本的に前回お示したものと変わってございません。また次の道州制の仕組みについても、基本的に前回お示ししているものと同じでございますが、一番最後から2つ目、「大都市圏における広域行政のあり方との関係についてどう考えるのか。」としてはっきりさせております。 また、一番後にありますが、国と道州の調整システム、前回これだけ書いておりましたが、この具体的な中身は何だというご指摘がございまして、道州制に対する国の関与、国に対する道州の意見の反映、税財政制度等ということで内容を具体的に書いてございます。 続きまして、3ページでございますが、国の地方支分部局との関係、道州制への移行、これは前回と同じ論点でございます。 続きまして、2番目の大都市制度のあり方につきましては、前回と変わりましたのは、道州制における大都市制度と、それから現行の都道府県と市町村の制度を前提とした大都市制度と、はっきりここで論点を分けて書いてございます。 また、(2)におきましては、規模・能力に応じた権限移譲のあり方についてどのように考えるかという項目を加えております。また、中核市、特例市等、ここでは、特例市に準ずるような団体を含める意味で「等」という文言を入れております。 続きまして、4ページでございます。「3 地方の自主性・自律性の拡大のあり方」でございますけれども、この審議項目の名前は、前回は「地方行政の弾力化」という名称にしておりました。当初は「地方制度の弾力化」としておりましたが、前回、若干ご議論もございましたので、趣旨をよりはっきりさせるという意味で、このような名称にしております。内容的には「法令・制度における自由度の拡大」と、「地方自治制度の弾力化」の2つで項目をくくっております。 (1)の方は、国と地方公共団体との役割分担のあり方を踏まえ、個別法令において条例で定めることができる範囲の拡大をどのように行うのか。また、地方公共団体に関係のある国の制度に対する地方公共団体の意見の反映のあり方についてどのように考えるかということではっきりさせてございます。 地方自治制度の弾力化につきましては、基本的に前回と同じ論点を掲げてございます。二元代表制や行政委員会制度、補助機関、出納機関、兼業禁止、また財務の規定でございます。また、ここで議会に関する規定、これは自治制度の弾力化の中にも掲げるべきものでございますので、ここにも掲げてございます。最後に、地方公共団体の自由度の拡大に対応し、法令の遵守の確保についてどのように考えるか。前回、弾力化という観点については、ただ弾力化すればいいものではないというご議論もありましたので、こういった論点を加えてございます。 続きまして、「4 議会のあり方」でございます。これについては、やはり総論的事項と個別事項という括りを2つつくりまして書き分けております。内容につきましては、前回と基本的には変わってございません。 続きまして、6ページ目でございます。5として「地方税財政制度のあり方」、これも前回と同じでございます。また、6番といたしまして、必ずしも今までの1から5までの項目に入りきらないものもあるのではないか。また、今後追加すべき論点もあり得るということで、新たに「その他」という審議項目を加えてございます。そういうことで、小規模な市町村のあり方につきましては、「その他」の中に入れてございます。また、住民自治を強化する観点から、NPOなどの諸団体やボランティア等の行政との協働関係についてどのように考えるか、こういったご指摘がございましたので、これについては、その他の中に加えさせていただいております。 以上でございます。 ○松本小委員長 どうもありがとうございました。それでは、この審議事項に係る論点案について、ご意見、ご質問等がございましたらご発言願います。どなたからでも結構ですが。はい、どうぞ紺谷委員。 ○紺谷委員 たとえば地方制度の弾力化などとても細かいことまで入っておりまして、これが地方分権を論じる審議会の委員会とはとても思えないです。こんなことは地方に任せればいいんじゃないかというようなことまで入っているような気がするんですけれども、そもそも順番からいっても、地方の自主性・自律性の拡大のあり方というのが1番にあって、それからという順番になりませんか。地方分権のこれまでの論議についてもご説明をいただいたわけですけれども、例えば、地方分権推進委員会中間報告、なぜ今この時点で地方分権かという説明があるわけですよね。でも、ほんとうにここに書いてあるような理由で地方分権を論じているんですか。違うじゃないですか。地方分権というのは、80年代からかなり熱心に地方の皆さんはおっしゃっていたわけですよ。それが90年代に入ってからここへ来て急に盛り上がったのは、単に財政上の問題じゃないんですか、中央の財政が厳しいので地方に分け与えたくないものですから、合併させよう、市町村の合併が終わったから、今度は都道府県の合併だねみたいな話じゃないんでしょうか。 なぜ分権かの根本がすれ違っているという本質的な議論から始めないと、また表面的な上っ面の議論で終わって、何にも改革したことにならないんじゃないでしょうか。たしか何回か前の委員会で岩崎委員が中央と地方の仕事の割り振りというんでしょうか、権限の割り振りというのを最初に論じたいというようなことをおっしゃっていたと思うんですね。浜田委員も似たようなことをおっしゃいましたよね。皆さんが同じような意見なわけです。だとしたら、そこから始めないと。はじめに道州制がありきではいけないと思うんですよ。だって、これまでの市町村じゃできないからといって合併させたいんじゃないですか。今度は道州制でもっと広域の行政区画ということですが、中身を決めないうちに箱の大きさを決めているような違和感があります。ですから、そういうことをもう少し始めに戻って皆さんでご議論いただくというのはどうでしょうか。 ○松本小委員長 事務局から言いますか、それとも私が言いましょうか、どうします? ○石川自治政策課長 小委員長に、お願いします。 ○松本小委員長 この間から紺谷委員はじめ浜田委員もそういうことをおっしゃっていただいています。そのほか篠崎委員もおっしゃったと思います。そういうこともありまして、ここに総括的事項と書いているのは、これは論点なんです。ですから、おっしゃいましたように、まず国と地方公共団体の役割分担に関する原則を踏まえ、この「原則を踏まえ」というのは、一般原則は既に法令に規定されているのですけれども、肝腎のそれぞれの行政分野で、例えば土地利用でどうだとか、都市計画の分野ならどうだとか、農業の分野はどうだ、環境保全の分野などと大くぐりでいいと思うんですけれども、そういう各分野でこれを適用したらどういう事務が基礎自治体の事務になり、その次の広域自治体の事務になり、そして国の事務としてどういうものが残るかというような整理が今までされていないんです。ですから、紺谷委員がおっしゃったように、そういうことをやはり総括的に論議をして、整理をして、そして個別事項に入るべきではないかというので、ここに一番初めに総括的事項というのを掲げさせていただきました。これは全くおっしゃったことを踏まえて……。 ○紺谷委員 いずれにせよ、論点整理が初めにあるんじゃなくて、どんな論点で話そうかということから議論を始めるべきじゃないでしょうか。 ○松本小委員長 ですから、そういう論点から議論をしようということで論点に掲げてあるんです。そういうふうに理解していただいて結構です。 ○紺谷委員 よろしくお願いいたします。 ○松本小委員長 事務局、それでいいですね。そのほかございませんか。 これは総会に出すときに、この形にします? それとも、今おっしゃったように、先に論点として総括的事項ということ自体を、いわゆる僕の言った横ぐしの論点なのですけどね、そういうふうにするか、よくこの辺は整理の仕方を考えて、それから順序も、今の紺谷先生がおっしゃったことの方がいいのかどうか。そこは私どもに任せていただけますか。自主・自律性の方を先に持ってくるという考え方もあるとは思うのですか。 ○紺谷委員 私に判断する権限はないんですが……。 ○松本小委員長 よく検討させてもらいますので。 ○畠中自治行政局長 論点はこの委員会でお決めになることだと思いますけれども、事務的なことを申させていただければ、諮問事項との関係も全く関係ありませんというわけにはいかんじゃないですか。だから、この論点の立て方も、総理からの諮問事項を踏まえた順序にしているんじゃないかということで、これはちょっと事務局を擁護した上での発言なんですけどね。 ○松本小委員長 私もそう理解していました。それはおっしゃるとおり、総理の諮問事項に「道州制のあり方」、「大都市のあり方」、そして「その他・・・」と書いてありますから、前の2つは必ず審議事項にと言われている。そのほかのことも考えなさいと、こう言われているわけですから。 ○畠中自治行政局長 順番も、諮問事項に応じて考えるというのは、ちょっとこれは官僚的な発想で申し訳ないんですが。 ○松本小委員長 いやいや。はい、わかりました。 ○紺谷委員 総理の諮問事項を、本当は誰がおつくりになったのかというのは別にして、大都市制度のあり方を議論するについても、まず根本的な理念整理をしたいということなんです。それで、私なんかなかなか勉強が及ばないんですけれども、例えば、外国の地方自治の範囲はもっともっと広いですよ。もっともっと広いのではないでしょうか。教育だって、消防だって、警察だって、州ごとに勝手にやっていたりいろんな形があるわけですね。私たちは日本の状況しかあんまり知らないわけですけれども、まずは、そこから勉強を始めたいんです。外国の地方自治はどうなっているんだ、税財政はどうなっているんだ。そうでないと、こんな中央集権で、しかも財務省がすべてを決めるみたいな形でがんじがらめになっているところで、ちょっと小手先でいじくったって何にも変わらないです。だから、まず目からうろこを落とすために、外国の状況を教えてくださいと、自分で勉強しなきゃいけないことなのでほんとは言いたくないのですけど、だけど、いろいろ文献も見ていても限りがあるのですね。私は、地方制度とか、行政制度なんかはあんまり詳しくございませんので、たとえば、外国の地方自治のあり様、つまりどんな選択肢があるかを知りたいのです。日本の現状を前提にして、それを少し変えるというのでは日本の仕組の難しさに気づかないままということになって、何の改革にもならない可能性もあるのじゃないでしょうか。 ○松本小委員長 貴重なご意見として承らせていただきます。そのほかご意見ございましたら。浜田委員。 ○浜田委員 今日は何だか人数が少ないので、会社の会議みたいな気分で発言させていただきますけれども、議論の進め方についての議論なんですけれども、道州制をどうするかというのが与えられた一番中心の大きなテーマだと理解しているんですが、それは間違いないでしょうか。といいますのは、この資料3でいただいたものの中に、1.道州制のあり方、2.大都市制度のあり方、3.地方の自主性・自律性の拡大のあり方、4.云々と、中身を見ていますと、正直言いまして、ちょっと混乱してくるんですよ。といいますのは、道州制を進めるべきか進めるべきでないか、進めるとしたらどういうふうに進めるべきかというのが議論の焦点だとすれば、それを議論する過程で、それに関連して出てくるサブテーマがいっぱいあると思うんですよ。サブテーマというのはしょっちゅう議論が出てきますから、ある程度議論をせざるを得ないんだけれども、それと並列してほかの地方自治の、またこれも議論してくれ、議論してくれというのが並んでいると、ちょっと私はついていけないので、最初の何回かは、道州制をいかにすべきかという議論にまずは焦点を絞ろう。そこに出てくる派生的、詰めなきゃいけない議論を詰めなければ、いかにすべきかという答えが出てこないはずですから、それのサブテーマはこういうものですというふうに整理してもらうと、私は大変物が言いやすいし、質問もしやすいし、議論しやすいような気がするんですけれども、並立して並べられると、今、議論がどこへ行っているのかなというのがちょっと目が回っちゃうんですが、いかがなんでしょうか。 ○松本小委員長 今、浜田委員のおっしゃったことについて、ほかの委員の先生方、何かご意見ございますか、特別なご意見ありませんか。 「道州制のあり方」が中心テーマだろうと、こういうことなんですけれどもね。ございません? ○浜田委員 違うのだったら、ちょっと明確にまたそれを、そうじゃないんだとおっしゃっていただかないと。 ○松本小委員長 私の理解の仕方を申し上げます。 総理の諮問には、「道州制のあり方」、「大都市制度のあり方」、「その他最近の経済社会情勢の変化に対応する……。備え付け資料の1ページを見てください。ここにありますように、「道州制のあり方」、「大都市制度のあり方」、「その他最近の社会経済情勢の変化に対応した地方行財政制度の構造改革」について、地方自治の一層の推進を図る観点から、調査審議を求めるということですから、これを率直にそのまま文脈を理解してまいりますと、「道州制のあり方」というのが1つの柱。「大都市制度のあり方」というのが1つの柱。「その他の最近の社会経済情勢の変化に対応した地方行政財政制度の構造改革」というのが1つの柱。こういうふうに普通は読めるんです。したがって、「道州制のあり方」が特別の中心であるということともなかなか読めないので、これらは並列のものだと少なくとも私は理解しております。「道州制のあり方」が1つの柱。「大都市制度のあり方」が1つの柱……。 ○浜田委員 そうすると、この会議の議論の進め方は……。 ○松本小委員長 はい。 ○浜田委員 何月から何月何日までは3回の会議で、まず1のテーマをやりましょうとか、その後、何らかの結論が出たら次のテーマに移りましょうとか、1の議論をやっている過程で大都市制度というのは関連してくるかもしれないけれども、関連してこないで議論すべきかもしれないし、この地方財政制度というのは、どんな地方制度を議論したって関連してきますよ。だけど、それとは別に財政度云々というのを独立して議論する場もあるべきかもしれません。というような理解になりますが……。 ○松本小委員長 そこはそういうことだと思います。 ○浜田委員 3つごちゃごちゃと議論されると私はどうにもついていけないという、ちょっと希望を申し上げたいと思います。 ○松本小委員長 わかりました。審議項目が総会で決まりましたら、改めてどういう進め方をするかをご相談させていただきたいと思います。それでよろしいですか。委員の方、皆さんよろしいですか。はい、どうぞ岩崎委員。 ○岩崎委員 総会には、道州制のあり方、大都市制度のあり方、地方自主性・自律性の拡大のあり方、議会のあり方、税財政のあり方、その他というのを審議項目として出してということでしょうか。 ○松本小委員長 そうです。それで、下に注を付けました。これは審議項目というより、その説明でしょう。 ○岩崎委員 審議項目としては結構だと思いますが、並列で全部扱われると、よくわからないというのは、私もすごくよくわかって、これを例えば、今週は道州制、来週は大都市、再来週は何とかというふうにやられてしまっても全然連関性がないわけです。それぞれはそれぞれでいいかもしれませんけれども、今はそういうような議論している段階ではないと思います。何を申し上げたいかと申しますと、やっぱりコアを決めて、コアの部分を、道州制をコアにした方がいいのではないかということなんですが、それを決めて、論じていく。必ず大都市はどうなるですとか、基礎自治体はどうなるですとか、それから、役割分担ですね、国と道州に相当するものと、今の都道府県と市町村の役割分担、どの業務をどのように誰が行うと一番自治であり、一番効率がいいかというふうな議論もそこに絡んでくると思うんですね。それだけ取り出してやっていても、全体像がわからないままやっていくのは大変辛い作業だと思います。 道州制そもそもの目的がここに書いてあるんですけれども、ちょっと違う気がするんですね。先ほど外国の制度はどうなっているかというお話も出ましたけれども、私は地方分権、地方自治を通してどういう国をどうつくろうとしているのかというのが、今の日本の内政の最大の課題だと思います。道州制を導入する目的はどうかというよりも、道州制が本当に必要なのか、道州に何を託すのか、国家構想としての地方分権と、それから地方自治、市民としての自治と、その2つをどう託すのかということから検討を始めていくと、すべてがここに収斂するのではないかという気がしています。それが私のどういうふうに、どこに重点を置くかということの意見です。 それからもう一つは、外から見たら、この調査会はどういうふうに見られているかというのを少し今回は意識した方がいいのではないかという気がしています。各方面からの道州制のいろんな意見というんでしょうか、提言などがたくさん挙がっているわけです。各団体いろんなところが出しているわけですね。ちょっと言い方が悪いですが、勝手にいろんなことを言われっぱなしで、地方制度設計の老舗のようなこの調査会が、それを避けてはいないのでしょうけれども、先送っているという印象を与えるのはよろしくない。総理の諮問事項が最初に出てきているんですから、はたから見ると、この調査会がちゃんとこれを扱うのではないか、きちんと議論するのではないかと思われていると思うんです。外から見るとそう見える。 ですから、やっぱり道州制をコアにして論ずる方がわかりすいし、それから発信もしやすいし、議論も収斂しやすいという気がするんですけど、多分、私は浜田委員と同じような意見かと、違いますか? ○浜田委員 同じことを言っているような気がするんですが……。 ○松本小委員長 同じことですね。 ○浜田委員 私は道州制をやるべきと決めつけて、そこを議論したいと言っているんじゃないんですよ。道州制という仮定の姿を出さないと議論が見えてこないものだから……。 ○岩崎委員 同じです。 ○浜田委員 抽象論はもう勘弁してくれと、国と地方の役割分担というのをどう考えて、どうしようとしているのか。そうすると、今の県の単位じゃ受けられないなと、それだったら、もっと大きなくくりがいいんじゃないかというのを、仮に道州制という仮定の議論が出ていて、議論したら、やっぱり要らないとなるかもしれないしというような意味なので、同じことという気がしますが。 ○松本小委員長 全く同じ話ですね。私の考えているのもそう違わないんです。同じなんでよ。今最初に挙げてありますし、紺谷先生もおっしゃいましたように、この間の議論を聞いていても、制度の枠組みの前に一応役割というものがあるという前提ですね。 ○浜田委員 役割分担議論がもとだと思うんですけど。 ○松本小委員長 もとだということですよ。だから最初に書いたんですけどね。 ○浜田委員 地方と言った場合、市町村なのか、そうじゃないのか。 ○松本小委員長 地方自治法に書いてあるのは非常に抽象的な規定ですから、行政分野に下したときに、基礎自治体の仕事はこれだとか、広域自治体の仕事が、この分野ではこういうものがあるはずだとか、それから、これはどうしても国にやってもらわなきゃいけないとか、それをきちんと論議して、そして基礎自治体に関しては、第27次地方制度調査会でかなり突っ込んだ議論をしていますので、それでは広域自治体の部分は、今の都道府県が今のままやっていけるのですか、この役割を担ってゆけますかということ。その役割を担っていけるなら、それでいいわけですから、担っていけないということになれば、その次に、それじゃ、そこをどうするかというときに、広域自治体のあり方というものが出てくると。 ○浜田委員 全く同感です。 ○松本小委員長 そういうような整理でいこうということなんです。ただそのときに……。 ○浜田委員 その議論を道州制というテーマと理解しているんですが。 ○松本小委員長 はい、そうです。全く同じでございます。そこで先生、その次に大都市制度というのも、道州制とものすごく関連があるわけですね。だから、ここの論点整理はわざわざ分けて書いてあるはずです。だから、それはやっていかなきゃいかん。その後、それじゃほかのことは何もいいだろうかということになると、この総理の諮問の中にもありますように、「その他最近の社会経済情勢変化に対応した地方行財政の構造改革」というものが何だろうかということになってくるんです。「その他」以下の部分ですね。 ○浜田委員 別の時間にまた……。 ○松本小委員長 そこで、ここの部分の審議事項は何もなくていいんだろうかということになってきますと、この間、六団体のヒアリングのときに、皆さんおっしゃったのは、やっぱり1次分権改革しても自由にならないことが多すぎると。個別行政分野も地方制度においても、そういう議論が出てきましたから、そういうことを3つ目に書いている地方の自主性・自律性の拡大のあり方ということにして、それから議会の方からは、地方議会のあり方をぜひ挙げてくれと、これも強い要望が3議会そろってありますので、これも避けられることができないでしょう。そこで地方税財政制度も、こういう状況ですから避けられないでしょう、こういうことで一応並べさせていただいているとご理解をいただければと思うんですが、自らこの審議事項が決まりました際に、これをどういうスケジュールでどういうふうに論議をしていくかということはもう一度この専門委員会でお諮りをさせていただいて、道州制ということを最初に集中的にやろうと、最初は役割分担だと思うんですけれども、先ほどの論議からいきましてもそうだと思うんですが、そういうことについても、この委員会で一度論議をしていただいて、そして専門委員会の審議を始めさせていただきたいと、こんな感じでおるんですが、それでよろしゅうございますか。 ○岩崎委員 今のお話ですと、今期の28次地方制度調査会において審議する事項を列挙したと、そういう理解でよろしいんですね。 ○松本小委員長 それでよろしいです。ウェートはまだこれからの議論だということです。 ○岩崎委員 だけれども、とにかく審議すべきポイントというのを列挙すると、これだけ出てきたと。それを総会にかけて認められれば、次どのように、どこにウェートを置いてやっていくかということで、今の地方制度の問題を網羅して列挙したと、こういう理解でよろしいですか。 ○松本小委員長 そういう理解でいいですよ。 ○岩崎委員 結構です。 ○紺谷委員 項目建てとか、どういう枠組みかというのを私はあんまりこだわらないんですけれども、でも、道州制とか、大都市制度のあり方というのが出てきた。今の都道府県では不十分だから、問題があるから道州制という選択肢が出てきたということであれば、現行ではどこがどういけないのかということを、私たちは共通認識としてある程度、全員一致しなくても、持っていなくちゃいけないはずですね。だけど、市町村合併に関しては、必ずしも今の市町村でどこがいけないのかはっきりしなかったんですよ。だけど、今度道州制を議論させていただくならば、現行の枠組みのここがこういけない、これは困ると、道州にしたならば解決可能なんじゃないのかなという理由も含めてわかっている人に教えていただきたいんです。 ○松本小委員長 まさにそれをこれから論議していただきましょうという……。 ○紺谷委員 だから、論議をする以上は、論議が出てきた前提があるわけですよね。空中からポコンと出てきたわけじゃないです。都道府県制度じゃいけないという問題認識があるわけです。 ○松本小委員長 資料の2−1にここに一応……。前の方がいいかもしれませんね。15年の11月13日の資料2−2からですか。 ○紺谷委員 現状では上手くいかないという具体的ではないご意見はよくお聞きしましたし、答申にも書いてあるんですけれども、例えば、川とか道路をどうするんだ、他府県にまたがっているどころか、道州をまたがるものだってあるかもしれないわけですね。防衛とか外交は国にお任せするにいたしましても、住民の生命・生活にかかわることで仕切りの難しいものは多々あるわけですが、それをどう考えたら良いのか。そういう具体的なイメージを持つような形での議論は、27次においてもほとんどなかったのではないのかなと私は思うわけです。だから、どこで何をどう具体的に困っているのかということをほんの数例でも構いませんから教えていただけると考えるよすがになるかなと思います。 ○松本小委員長 そのことについて、まさにやらなきゃいけないから、総括事項の一番上に書いてあるわけですが、今の事務局が考えている、例えば、こういうことがありますというのがあったら言ってください、事務局で。 ○久元行政課長 27次の答申を議論いたしましたときに、どうして道州制が要るのかということについていろんな議論があって、結局27次の答申では、都道府県の制度というものが明治21年に今の47都道府県になってから116 年間変わっていない。その間、大きく当然のことながら経済、いろんな情勢が変わっているわけなので、そういうことを考えながら、新しい都道府県のあり方ということが求められているんじゃないかということが1つです。 それからあと、市町村合併が大きく進んできております。市町村合併が大きく進んでいる中で、当然、市町村の規模・能力は拡大するわけですから、都道府県の権限というものは、市町村にこれから大きく移譲していくことになる。そうすると、都道府県の役割というものは、今現在、都道府県が果たしている役割というものを市町村に移すということと同時に、そういう経済広域化、あるいはグローバル化ということの中で、これまで国がやってきた仕事というものの権限の移譲を受けて、そして広域自治体として役割を果たしていくということが今求められている。そのための方策として、ここから後は今お配りいたしております資料ということになりますけれども、都道府県の広域化、都道府県合併ということと道州制ということが2つ大きな方策として必要だというようなことが議論をされて、そしてそれが27次の答申になった。そして道州制のとりあえずの考え方というものが一応の論点の整理として27次で行われて、そして28次で本格的に議論をされようと、こういうふうに私どもは理解しているわけです。 そこで、確かに27次のときの議論というものは、大部分が基礎自治体のあり方であったわけで、基礎自治体のあり方というのは、市町村合併がどうして必要なのか、どうして市町村の規模・能力の拡大が必要なのかということは、私どももいろんなデータをお示しをいたしまして、職員の状況、高齢化の状況、過疎化の状況、あるいは年齢別の人口の状況、あるいは市町村行政の各分野の実態ということをお示しをいろんな資料でさせていただいて、27次の答申に結実をしたというふうに考えております。 そこで、それに匹敵する議論というものは、今現実に都道府県がどういう分野の行政を行っていて、そしてそれがどうして今都道府県が、先ほど27次の答申で指摘されているようなことができないのか。具体的に支障があるのかというのは、まさにこれからの議論でありまして、私どもも十分資料を収集させていただきまして、今後事務局として提出をさせていただきたいと、こういうふうに思っております。 ○紺谷委員 今のようなご議論は何回もお聞きしたわけですよ。資料は拝見いたしましてご説明も受けたけど、私自身が未だに納得していないというのもまた事実であります。ただいまのお話についても、市町村合併で、都道府県から権限を移譲し、都道府県合併してもっと広域行政にするのがいいんだというだけで、非常に抽象的で具体例は何も出てきてい。それに私は100 年経ったからといってそれだけで変えなきゃいけないとも思っておりません。変えるにしたって、組織を変えるのではなく、やり方を変えていく、単に権限を下ろしていくという選択肢だってあろうと思うわけです。 ○松本小委員長 大野審議官。 ○大野総括審議官 私どもの論点についての説明が、ポイントが余りはっきりしないままべたっと説明したので、岩崎先生もそうですし、紺谷先生もそうですし、誤解があるかもしれませんが、実は私どもはこれから地制調で議論していただきたいことを、今までの専門小委員会で何回かご議論いただいたものを踏まえて、それから先ほど小委員長もご紹介がありましたけれども、地方六団体から、この機会に地制調でこういうことを議論してほしいという要望をお聞きしているわけですね。そういうものを踏まえて議論すべき課題が何があるのかというものを、いわば今までの議論の中から整理をしたわけでして、そこでべたっと平板になっているので、何でもかんでもやるのかというふうな誤解があるように思いますけれども、私どもが勝手に論点を言っているわけじゃなくて、今までの議論の中でこういうことをしてほしいという地方の意見も踏まえて仮に並べてみると、こういうことがこれからの地制調でご議論いただくテーマになるのではないでしょうかということを申しているわけです。 さて、そこでそれを先ほど岩崎先生がおっしゃったように、これをどうやって重点化していくか、メリハリをつけていくか、これはまさに紺谷先生がご質問のような中身の議論をしていけば、自ずと最初のアウトプットがどうなるかというのは全く別なわけでありまして、いろんな姿が出てくると思うんですが、今、私どもとすれば、ご議論していただけないかというテーマを並べさせていただいたというので、その中身の議論をしていただくのは、一応、このテーマをご理解されて、また総会でもよしとされれば始める話でございますので、ひとつそこはぜひご理解を賜りたいと思います。 ○松本小委員長 よろしいですか。それでは小幡委員。 ○小幡委員 今のお話にかかわりますけれども、前回27次地制調が道州制の本格的検討というのを出されて、それに対してどういうふうな国民的関心、世論によって迎えられたのかというのをお伺いして、資料2−5というのを出していただいたのですが、それで見ておりましたら、12ページのところに、ある社説ですけれども、「地制調は本格的論議自体は来年発足する次期調査会に委ねたということで、しかし答申で検討が必要と明記した上で」ということで、詳しくあり方や課題について示していて、いわば条件付きであるという説明がなされています。今まで何回か28次の専門小委員会でも議論しておりますが、メンバーも替わったということもありましたので、27次で議論されていたことが、28次のメンバーが必ずしも共有できないというところもあったかと思いましてすでにやりとりがあったかと思います。諮問にも第一番に挙がっておりますし、今期の地制調として、ともかくそれを第一に正面から取り組むというのは当然のことと思いますので、岩崎委員がおっしゃったように、それ自身避けないで、これからまさに紺谷委員がおっしゃるようなことも含めて本格的な具体例も出した上での議論を進めなければいけないと思っております。 それで、この論点についての案というペーパーをみますと、今度総会に諮られるところに細かい項目がいろいろございまして、道州制という100 年以上の歴史の都道府県をどうするかという議論と比べると、確かに小さいというふうにも相対的には思われるわけですが、ただ、法制度にかかわっているものばかりで、要するに自治体が自分たちだけではどうにもならないというものですから、どこかで議論をせざるを得ない、そういうことであれば、ここで小さいものであっても、要求があれば掲げざるを得ないのかなと。ただ、これを道州制の大議論をする、ここの地制調で全部できるかというと、なかなか実際上は難しいのではないか、私はそういう気がいたしますけれども。やってほしいと言われていることはたくさんございまして、まさに法律、法制度にかかわりますので、この中でどのぐらいできるかわかりませんが、先に道州制をやると思いますので、できる限り、この中での選択はこの後ということでしょうね。 ○松本小委員長 審議事項を決めてからということで、そしてまた、みんなこの中でどういうふうにウェート付けをして、どういうふうに進めていくかということを論議していただきたいと、そういうことです。 ○小幡委員 そういうことであれば、現段階では様々なことを挙げて、その後、道州制とか、大都市、それ以外のものについてですけれども、実際どれにウェートを置くか、そういう考え方でよろしいのではないかと思います。 ○松本小委員長 ほかの委員の先生。はい、世古委員。 ○世古委員 私は道州制のあり方ということを軸に置いて議論をしてみると、いろんなものが見えてくるというふうに思います。道州制というのを一本通して、それに対して必要な道州制と大都市、2つになりますか、それに対して横軸がまた入ってくるのだろうというふうに理解しているわけです。そういった意味では、道州制のあり方のところに最初に目的から入るんじゃなくて、道州制を導入すると、どういった地方自治とか、地域が実現できるのかとか、どういった目的ではなくて、何をビジョンとして持っているかというところから議論してみると、ここのところはさっきおっしゃった役割分担論とか、その辺が入ってくるんじゃないかなというふうには思います。ですから、道州制というところから議論をしっかりつくっていって、その後いろいろ議会のあり方とかそれも全部、それをやってみたらどういう問題が出てくるかで横軸で離していくということで可能ではないかと思うので、まずはその議論の仕方、岩崎さんなんかもおっしゃっているやり方でいいのではないかと思います。ただ、目的から入るというところを道州制によって何を実現したいのかというところを確認するという、そういう論点に入れていただくといいかというふうに思います。 ○松本小委員長 ありがとうございました。そのほかございますか。 ○紺谷委員 実は前回の会議のときに貝原さんが地方と中央の調整をするような機関をつくることなども考えてほしいというようなことをおっしゃいまして、それは国会の仕事であると私は言わせていただいたんですが、今ご議論があったこともすべて、そもそも議論する場をまちがっていると思います。審議会なんて全廃すべきであって、本当は国民の代表である国会議員が国会で議論すべきであると。様々な問題について、小委員会をこしらえて、必要でならば専門家を公聴会に呼んで、公開の上で議論すればいいと思っております。しかし、一人でわめいても何も変わりませんから、ここへ来てつたないながら一生懸命勉強して追いつこうとしているわけでございます。ただ、今の道州制を入り口にして、それをとっかかりに議論するという皆さんのご意見にあえて反対はいたしませんけれども、しかし、これまでの改革がどうだったかということを一言聞いていただきたいんです。 郵便局民営化、道路公団の民営化、初めに民営化ありきじゃないですか。民営化をとっかかりにして、道路公団のあり方を議論するという言い方ができるんですよ、今の皆さんのご議論になぞらえて言えば。だけど、道路公団の一体何がどう問題なのか、日本の高速道路網をどうすべきなのか、国土づくりをどうすべきなのか。今の道路公団のあり様はそれと照らしてどこが問題なのか。最初にビジョン、目標があって、それに照らして現状の問題が何かという現状分析が次にあって、現状分析もしないのに、最初から民営化という対策を決めて、手段でしかない民営化があたかも目標であるかのように議論するというのが郵便局の民営化であり、道路公団の民営化だったのではありませんか、そのために一体どれほど議論が歪みましたか。まずは、どこに問題があるのかを明らかにすべきです。最初に会計報告すべきであったのに、年金だって今ごろになってこんな問題が出ているじゃないですか。日本の社会保障はどうあるべきかという議論をしないで、保険料の値上げと給付の引下げと給付の課税強化だけを議論したんじゃないですか。医療保険改革だってそうですよ。日本の医療保険はどうあるべきかという議論は全然しないで、財政が危機だ、財政が危機だと、国民の不安をあおって負担を増やし、社会保障を削減するということに終わっちゃったじゃないですか。だから、皆さんがそういうことにならないという自信がおありでしたらば、私は皆さんの手法に賛成いたします。 ○松本小委員長 そのほかの委員の方、浜田委員。 ○浜田委員 同じような繰り返しになるかもしれませんけれども、総務省の事務局の皆さんにお願いなんですけれども、都道府県制をやめて道州制にしようじゃないかという議論をするときに、どうしてもほしいのが今の都道府県の制度はどこが問題なのかというのを理解したいんですよ。都道府県というのは悪いやつなんです。悪いやつだからいいやつに変われということですよ。悪いやつという言い方が極論過ぎれば、百二十何年役に立ったけれども、百二十何年の中の80年ぐらいは役に立ったかもしれないけれども、それから後は問題だらけよ、あなたはと。いい部分もあるけれども、こんなに問題が出てきているのよ、役立たずになってきたのよ、それが何なのかをはっきりと、テーマがテーマだから会社の商品のどこが問題かというほど科学的に明確にはでないかもしれないけれども、変えようというからには、やっぱり問題なんだという認識がなかったら変えるのには絶対反対です。120 年も続いていたら相当なものです。続けるべきですよ。 高校野球はどうなるの、県の同窓会はどうなるのという議論が出ているんですよ。そのぐらいのまとまった歴史的なものを変えようというからには、相当な覚悟と同感が必要なんですよね。そのときに、いや、実はこういうふうにここにいっぱい出てきています、書いてありますよ。情勢も国際的なこともこういうふうに変わってきた。時代がこう変わってきたのに、今の中間の47もある体制では対応できない。今までは役に立ったけど、今からは役に立ちそうにない、君じゃ不十分ないのだ、不十分なのはこの部分だと。だから、こういう組織、こういう制度にしたら、それをカバーできるよというのに、国と地方、次の地方団体ですね、次の単位との役割分担というのが具体的に教育ではこうだ、治安ではこうだと、何ではこうだ、外交は別としてね。そういう大きなテーマが明示されないと、我々は、ああやっぱりそうだと、やっぱり九州なら九州の一つの単位でやった方が今後は絶対いいなというふうに理解をしたいんですよ。そのために道州制とか市町村とかという具体的なテーマで揉みたいんです。地方制度はいかにあるべきかという議論になると、ちょっとこれは大学の教室でやってくれという感じがするものですから、すみません、今日は一人でしゃべっていて申し訳ありません。 ○松本小委員長 私は少なくとも浜田先生と同じ認識ですから、事務局も大体そういう認識ですね。 ○篠崎委員 私なんか関西でいろいろ議論していますと、まさしく今の府県がそれぞればらばらにやっているから関西はこんなにだめになるんだというふうな議論を実感的にやっているわけです。ただその中で思いますのは、例えば道州制という提案もございますけれども、府県の広域連合で何かやれないのかとか、やっぱりそれでは無理なんだというふうなことも検討があった上で、道州制になった場合は、それらの問題がより解決できるんだ、そのための道州制というのはどういうものであればよいのかというふうな手順で議論を進めていくのがいいと思います。ですから私は浜田委員のおっしゃったことに賛成です。 そういう意味で、初めに道州制ありきというよりも、今の市町村合併が進んでいって、基礎自治体が力を付けてきた中で今の都道府県で、しかもこれだけ世の中が変わってきた中で、現実に地方が課題として考えていることをどういうふうに解決する策があるのか、そのいろんな策の比較の中で道州制ということを検討していく。そして道州制がかなりいいのではないかということになった場合に、次にそこに近づけていくプロセスとして今現在どういう形でやっていけるか。ここに2層制ということを前提としてと書いてありますが27次からですよね。私その議論の根拠がわからないんですけれども、憲法下で2層制でないと違憲だということではないと思うんです。解釈では3層制でもいけるわけですよね。あるいは私も全然にわか勉強でして、聞き知った事例ではございますが、フランスは地方団体としてのレジオンを導入して20年経って、それから憲法の方を改正したというふうなプロセスであるというふうに聞いておりますから、プロセス論にもいろんな論点がございまして、一挙にやるのか、順次にやるのかという議論もございましたが、今の形でやっていけないことを理想的な形にしていくためにはどんな方法がとれるのか、最終的には道州制にいくにして、どんなプロセスでやっていけるのかあたりまで議論の幅を広げられればなと思っております。 そうしますと、皆さんおっしゃっているんですけれども、これだけたくさんのことを2年間で検討すると言いますと、私なんか東京にずっと住まないといけないのかなとちょっと恐怖を感じております。 ○松本小委員長 どうもありがとうございました。はい、どうぞ西野先生。 ○西野委員 私はかなり長い間、地方制度調査会に参加させていただいております。ここでは今までずっと地方制度がいかにあるべきかということについて、随分長い間、論じられてまいりまして、地方分権がいかに重要な問題であるかという認識をますます強めてきております。しかし、今までいくら答申が出されても、残念ながら当調査会での議論は生かされなかったわけでございますが、ようやくここに来て地方分権が具体的に動き出したということで大変うれしく思っております。 ようやく市町村が基礎的な自治体という形で、これが中心になって更に住民の側に立った行政を行ってゆくことに道すじがついて、そういう大きな動きの中で受け皿として、力をつけるために合併も必要だろうということで動いてきたわけです。分権を進める上で重要なことは、まず国から都道府県、そして都道府県から市町村と権限の移譲を図っていくことですが、市町村レベルが中心になってきたというところに、重要な意義があると思います。このような大きな変革に対応して都道府県のような広域自治体がどういう姿であるべきかということも検討せざるを得ないと考えます。今までの流れからしますと、道州制が今次の地方制度調査会の中心テーマの1つになるということは、私にとっては非常に自然な流れでございました。ただ、名称が道州制ということについては少々こだわりを感じます。つまり、過去に聞こえてきた「道州制」は、非常に政治的なある特殊な雰囲気を持っていたように思われます。私たちがこれから議論をしていこうとするのは、そういう過去の議論のむしかえしではなくて、新しく誕生する基礎自治体に対応できる広域の自治体がどういう姿になるべきかということを論ずることでありまして、今、これを論じなくていつ論じることができるのかと思うんですね。今まで地方分権、地方自治制度の確立ということを大きな目標にして進んできた地方制度調査会ですから、ここでこの問題の出発点は、新しい基礎自治体の下で地方自治を確立するには、いかなる広域的なサポートシステムが必要か、それと現行都道府県制度とはどこがどう異なり、どう変えてゆかなければならないかを考えること。これが今次の調査会の課題ではないかと思います。 ○松本小委員長 ありがとうございました。 ○室谷委員 道州制につきましては、今のお話のように具体的事業の中身で連携するというような形でいきますと、広域連合は既に進んでいる事業なんかもありますので、そういう広域連合でもいいんじゃないかという話だって、これから出てくるかなという気は行政の立場からは言えると思います。ただ、今のお話のように、これから道州制、新しいあり方論として考えるということになりますと、そういう事業レベルよりも、きちんと考え方を詰めていく必要があるなと思います。 ひとつ質問したいんですけれども、総括的事項の2番目の「○」で、「主要な行政分野における国による関与のあり方を考える。」となっていますが、どういう形で前回出てきたかちょっと覚えていないんですけれども、国による関与のあり方という言葉が、今度の総会に出すとすると、どうも地方自治体の方はかちんとくるんじゃないかという気がちょっとするんですね。役割分担をきちんと考えるというのが前提にあるわけですから、何で国の関与のあり方というのが出てきたのか、その辺を質問したいんですけど。 ○松本小委員長 事務局が答えますか、私がやりますか。 これは本当のことを言うと、この2つだけにするなら、「関与」じゃなくて、「調整」の方がいいのかもしれませんね。「国と地方の調整のあり方」の方がいいかもしれません。ここにもう一つ参加の方を書こうとしていたのがとれているんでしょう。これだけにするなら、国と地方の間における調整のあり方と書く、これならば、そういうふうな文章の方がいいのかもしれんと思います。 ただ、「関与」いう言葉は、既に法律に書いてありまして、きちんと定義もありまして、一般的に用語としてあるわけです。要するに先ほど言いましたように、確かに1次分権改革で一般的原則的なものは確立したんです。諸井会長のところのあれですね。それをまさに制度として、そういう体制をつくって法律にも規定したわけです。ところが、先ほども言いましたように、役割分担にしても、国と地方の調整のあり方にしても、それを各個別行政分野にブレークダウンした大括りな考え方が整理されていないんですよ。2つとも整理されていないんです、両方とも。一般的なルールはつくってしまったんです、原則ルールはつくっちゃったんですけれども、そこでこれからのいろんなことを、制度改革を考えていく上においては、当然先ほどから出ておりますように、各事務事業の段階で一体これはどこの役割にすべきものなのか。それから、これに対しては国と地方の調整というものがどういうふうに必要なのか。 例えば同じ関与の問題でも、今一番問題になっている危機管理、これなんかは国の関与をはっきりさせなきゃいけないわけですね。少なくてよろしいという議論じゃなくて、むしろ、もっとはっきりさせなきゃいけない分野なんですね。それに対して一般的には国の関与というものは各行政分野のごとに少なくしていかなきゃいけないという考え方に立っているんですけれども、しかし残念ながら、これまでそういう整理をしたものがないわけです。そうすると、いろんな国と地方の制度の枠組みを決めていく際に、役割分担の考え方と、それに対応する国と地方の調整のあり方を各行政分野ごとにきちんとした考え方を確立していかないと、これはこの議論を通じて皆さん方から教えてもらったことですけれども、そういうものを確立して、それでは、こういうものに見合う枠組み、広域基礎自治体のあり方はどうだろうか、広域自治体のあり方はどうだろうかというような考え方を整理していかなければいけないのではないかということなんです。 ここでちょっと気がついたんですが、「関与」という言葉でやらないで、この2つだけにするなら、国と地方の間の調整のあり方の方がいいのかもしれませんね。これは事務的に言えば。 ○大野総括審議官 資料1の年表でも、関係ルールとか書いてあったりして、関与とか……。 ○松本小委員長 そこは用語の問題として整理して。どうぞ篠崎委員。 ○篠崎委員 先に道州制という名前自身にいろんな過去からのにおいがついてしまっているというお話もありましたが、逆にいろんなところで道州制に対する提言のようなものも出ているのも事実でございます。いろんな地域がその地域から考えて、現状がなぜ悪いのだ、だからこういう道州制にしたいんだと必死になって考えているというのも事実でございます。 私も海外のいろんな制度を勉強したいということもございますが、限られた時間の中でほんとにいいあり方を考えていくためには、これまでの提言の中で何が論じられているのかといった地域発の発想といったものを最初に学んでいきたいと思っております。 ○松本小委員長 ありがとうございました。はい、岩崎委員。 ○岩崎委員 確認ですけれども、本日は総会にかける第28次地方制度調査会が審議する項目として、こういうことがありますということをここで決めて、それを総会にかけるという、そこをやっていらっしゃるんですよね。 ○松本小委員長 そうです。 ○岩崎委員 その後で何をウェートを置いて論議するかということになりますね。 ○松本小委員長 どういうプロセスでやるかということでございます。 ○岩崎委員 という理解ですよね。 ○松本小委員長 はい。 ○岩崎委員 それだとしますと、そういう観点からもう一遍見直したんですけれども、1ページ目のところに「道州制のあり方」と書いてある。もちろん総理の諮問にあるからですが、どうしてここまで私が混乱したかというと、「道州制のあり方」と書いてあるのでこれだと、道州制を入れるのが当たり前と始まっているんですね。先ほどの、都道府県はどうしてだめなのということは、ここでは見えないわけですね。私がさっき申し上げたのは、道州制のあり方を中心に考えてほしいと申しましたのは、それを入れるか入れないかも含めて、どういう国にしたいか、そういうのを軸にしたらどうかということでした。そう考えるにしても、いきなり「道州制のあり方」と書いてある。大都市制度は大都市があるからいいんですよ。議会のあり方、議会があるからいいんです。地方税財政制度、あるからいいんです。既にあったもののあり方を考えるのと、ないもののあり方を一番初めに言われ、ないものがあるように見てあり方とか言われるから何かすごい混乱をしてしまうんですね。そうすると、これでいくと都道府県の立場がない。真面目に、ちょっとしつこいくらいさっきから考えておりまして……。 ○松本小委員長 僕もちょっと気がついているんですよ、その話は。「広域自治体のあり方」とした方がほんとはいいんだと。 ○岩崎委員 最初からそうやってください。今言われて、そんなふうにおっしゃられると。 もうちょっと建設的な意見を申しますと、道州制というラベルは手あかがついていると前に申し上げたと思いますけれども、今日の資料などを見ますと、昔の地方庁構想の時代とか、すごく古いのがいっぱいあるんですね。みんな道州制というラベルです。ラベル先行、中身いろいろなんです。それなのに、あえて道州制と書くのであれば、『道州制』にして、「『道州制』及び広域自治体のあり方」を1のテーマにしてほしい。そうすると、広域自治体が都道府県では問題があるのかということも含めて、問題がある場合にどういう問題かで、特定の目的の広域連合版になっていくのか、一緒になっていく合併版になっていくのか、それとも、制度としてがちっとした道州制になっていくのかという、ここでもう既に3つの選択肢になるわけです。そういうようなここで網羅して総会で認められておかないと手足が縛られるからたくさん網羅したいということであるとすれば、何とももはや、一番重要なところが最初から手足を縛ってしまっているなという印象です。 ですから、もう少し1のところは、『道州制』にして、ないものをあるように見せかけないで、とにかく広域自治体も含めて、都道府県も含めて、ちゃんと今度は広域自治体を考えるということで、少しここのところを工夫していただくとわかりやすいのかなという気がします。そこの審議事項をここで決めることの議論に集中していただけませんか。 議論の仕方とか、そういうのが混乱しているので、今日の議事が、総会にかける審議事項を決めるというのが一番大きなポイントだとすると、そこに集中して、それと1番の「道州制のあり方」を少し工夫して都道府県も立場があるように変えてほしいということです。 ○松本小委員長 ちょっと今の意見で、途中で言っちゃったんだけど、僕もちょっと気がついていたことなので、総理の諮問が道州制のあり方になっちゃっているから、こう出ているのだけれども、もともと地方制度調査会の答申は、広域自治体のあり方なんですよね。ですから、これは何か、もちろん総理の諮問の文書を変えるわけにいかないから、「道州制」という言葉は残さなきゃいかんのだけれども、今、言われたように、道州制のあり方を先に出さないで広域自治体のあり方として、副題で都道府県とか道州制とかという言葉を入れるのか、さっき言われたように、二重括弧で『道州制』で入れて、また広域自治体のあり方と、こっちを後ろにするか、何かそういう工夫をして、都合が悪いですか、事務局は。 ○大野総括審議官 そんなことはありません。 ○松本小委員長 大丈夫ですか、総理の諮問との関係なんだけど。 ○大野総括審議官 念のために申し上げますと、岩崎先生のお話も27次にあって、今、小委員長がおっしゃるように、広域自治体として、括弧でその折りは「都道府県合併と道州制」としたんですね。あえて言いますと、今度の法律の中に、都道府県合併の話が入っていますので、それは1つの整理をしたというふうな思いもあって、道州制ということが全面に出ていますけれども、基本は、私どもは広域自治体のあり方を根っこから議論していただく中で、当然、道州制の問題に入っていくだろうと思っていた点はあるんですけどね、そこはちょっと工夫をさせていただきたいと思います。 ○松本小委員長 工夫した方がいいかもしれません。どうですか、ほかの委員の皆さんは、今のような話でその方がいいでしょう。 ○紺谷委員 資料3の2ページなんですけれども、「道州制の目的」とありまして、「道州を導入する目的についてどのように考えるのか」、本末転倒極まわれりというような文言になっているわけですよ。だから、道州制を導入すべきなのかとか、導入すれば、どこがどう改善されるのかというような問題意識じゃなくて、初めに道州制ありきということが余りにも見え見えだなと思うんです。 それから、先ほど室谷委員が国による関与のあり方という部分を問題になさいましたけれども、「主要な行政分野における」とあるから関与のあり方という表現が問題なんですよ。というのは多分、例えば沖縄で問題がありましたように、国が関与しなければいけない問題ってあるわけです。防衛とか外交とかですね。だから、国の関与自体を否定するものではないですね。だけど、ここに「主要な行政分野における」とあるので、私もおっととととというふうに思いました。 以上です。 ○松本小委員長 それはまた文章の調整をしなきゃいかんと思いますね。だから、「関与」は「調整」でいいんでしょう。2つのフレーズにするならね。 ○紺谷委員 調整もほんとは要らない。 ○松本小委員長 調整には、地方からのイニシアチブもあるという点で。 ○紺谷委員 国の関与があるべき問題というのを明らかにすると。 ○松本小委員長 両方ですね。また考えてみましょう。はい、どうぞ。 ○岩崎委員 私はやっぱり横串が必要だと思います。総括的な事項と書いているところで、役割分担ですね。役割分担があると、必ず政府間調整が必要になるんですね。古典的にはその2つでいいんですけれども、日本の問題は、細々関与し過ぎるところが問題なので、やっぱりここの「主要な行政分野における国による関与のあり方」というのは残しておきたい。役割分担、調整、関与のあり方の3本柱を横串にしておく。横串と言うかわからないんですが、横断的な基本スキームとしておくのはいかがでしょうかということを言おうと思ったら要る要らないという議論がありましたので、ちょっと工夫していただけると。 ○松本小委員長 今の意見は、先生のいつもおっしゃっているインフルエンスの方は調整に入る? ○岩崎委員 それはディスクレッションとインフルエンスですから、参加と裁量の話ですからちょっと違いますね。役割分担からいくと、役割分担があって、調整があって、上から下にいつも関与があるから、それを見ると上下関係がすごいはっきりするから、そうすると、また役割分担もわかってきて、役割分担がわかると調整になっていくので、ちょっとインフルエンスは別のカテゴリーかなと。 ○松本小委員長 そうすると、参画はどうするんですか、参画は書かない? ○岩崎委員 参画はもっと大きな問題だと思います。ちょっとディメンションが違う気がしますね。 ○室谷委員 関与自身の問題で、もし関与を今みたいに「調整・関与」というふうに入るとすれば、やっぱり特定分野とか、国の関与が必要な分野のわかるような書き方さえしていただければいいというふうに思います。 ○松本小委員長 そうですね。この段階でですか。論議を後ほど詰めていくときには当然出てくるんですが、論点整理の段階で書く必要がありましょうかね。それはそういう意見ですか。 ○室谷委員 「調整・関与」というふうにちょっと和らげていただければよいかもしれませんけれども、何となく主要行政分野というと、全体の行政に関与しちゃうというふうに読めてしまうんですね。 ○松本小委員長 なるほど、その辺の表現はありますね。わかりました。 そのほかございますか。 ○小幡委員 ここの「関与」というのは、いわゆる新しくできた地方自治法上の関与を指しているのですか。 ○松本小委員長 通常はそれを考えているはずです。 ○小幡委員 具体的な話をここですると、そういう目的ですか。そうではないですよね。 ○松本小委員長 具体的なというのは、さっきも言いましたように、関与の原則、一般ルール、類型というものがきちんと地方自治法で書いてあるわけですね。ところが、それは一般の各行政分野を通じるいわゆる一般原則に過ぎないわけですね。各行政分野にそれを落としていないわけです。先ほどちょっと岩崎が言われたように、役割分担があったら、調整というものが裏表でなければおかしいんです。ですから、例えば、危機管理とかああいうことは、はっきり言って国の関与が幾ら強くてもいいんですよ、私の個人的見解ですけどね。ですから、そういうことを分けないで今までやってきているものだから、やっぱりそこのところをこういう分野は国の関与というものはこういうことがあってもいい……。 ○小幡委員 それはあくまで役割分担との関連ですね。 ○松本小委員長 関連です。裏表ですから。 ○小幡委員 感染症とか防衛とか危機管理、そういう分野ではどうかということを少し詰めた方がいいと、そういう話ですね。 ○松本小委員長 それが道州のあり方の枠組みの中に入ってくるものですから、当然入ってくるんですよ、大都市も入ってきますから。例えば早い話、知事が大都市の指定都市の長が自衛隊の出動要請を認めろとかなんとかあるでしょう、今の議論で。枠組みの議論というのは、そういうことと絡んでくるんですよ。 ○小幡委員 とすると調整というべきか、言葉として何を選ぶかということですけれどね。 ○松本小委員長 調整という言葉の中に参画ですね、いわゆる国の政策形成に対する地方団体、地方からの影響ということを含めて僕は理解してきているものだから、そう言ったんですけどね。そこはまた先生方の議論を教えていただいて。 ○紺谷委員 でも、これが関与なのか、参加なのか、参画なのか、調整なのか、権限なのかでまるっきり変わってしまうと私は思います。 ○小幡委員 これだけですと、まさに自治法上の関与なので狭いのですよ。 ○松本小委員長 そのほか意見ございますか。 ○浜田委員 私はちょっと早合点していたのかもしれないんですけれども、この広域自治体の議論というのは、現在の都道府県という単位をやめて、より大きな広域自治体の組織体制に変えると早合点しているんですよ。それでいいのかどうか。ひょっとしたら、県市町村はそのままで、その上にさらにもう一段階まとめ型のあれを、国のある部分を代行するその地域でというのを加えるという議論じゃないでしょうね、まさか。どっちなんですかね。私は勝手に県をやめて、これに変えるものだと思い込んで物を言っちゃっているから。 ○松本小委員長 27次の地方制度調査会においては、県を廃止すると書いているんです。 ○浜田委員 書いてあるんですか。私の懸念は、本当に県の廃止ができるんですか。 ○松本小委員長 道州制をつくるときにはですよ。道州制をつくるときにはという前提ですよ。 ○浜田委員 つくるときに、ほんとに廃止できるんですかという疑問があるんですよ。 ○諸井会長 3層制はまずいだろうと。 ○浜田委員 3層になるのは。 ○諸井会長 そうそう。国が入るのはいいんですけどね。 ○浜田委員 3層にするために議論なんかしたくないですね。結果的にはそうなっちゃったということにはまさかならないでしょうねということを繰り返し……。 ○諸井会長 したくないねと、27次で書いてある。 ○浜田委員 よくありそうなんですよ。どうやって県をほんとに消すんですかというね、消えませんよ、これはなかなか。相当悪いやつか、無能なやつにしないと消えませんよ。という感じがするものだから念のために。私の誤解じゃないですね。 ○松本小委員長 はい。そういうことも含めて論議を出していただきたい。 ○浜田委員 階層は増やさないですね。わかりました。 ○松本小委員長 それは道州制導入のときにはという意味ですけどね。27次のときは、少なくともそういう……。ただ、論議をすることはあり得る話だと思うんです。例えば上に連合制度をつくるとか、それはあり得る。 そのほかございますか。 ○紺谷委員 3ページの頭にあります「国と道州の役割分担を踏まえ、国の地方支分部局の権限をどこまで、どのように道州に移管するか」というのがありますけれども、これは一番初めの国の関与のあり方で尽きちゃっているんです。本来だったら。これをあえて残すと、よくある官治道州制とか、道州にしておいて中央の支配がなお強まると取っ組みやすいぞという形になったら困るわけでありまして、これはあえて入れなきゃいけないものなのかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。 ○松本小委員長 これはちょっと意見があるでしょう。どうぞ。 ○久元行政課長 むしろ中心テーマであると考えております。27次の地方制度調査会の答申でも、この国と地方の役割分担を書いておりまして、その中で国の役割は重点化すると。そして縮小するという考え方を書いておりまして、その上で国から地方に移譲される権限のうち、原則として基礎自治体に移譲した上で国からの権限の移譲を受けるわけですが、その際、国の地方支分部局が持つ権限は例外的なものを除いて道州に移管する、こういう考え方が書かれておりまして、この地方支分部局の持つ権限というものがどういうものがあるのか、そしてどういうような権限があって、どの地方支分部局の権限を道州にどう移していくのかということが、この28次で問われている大きな課題であろうかというふうに考えて事務局としては記述をいたしました。 ○紺谷委員 それと1ページ目にあるのとは同じ問題意識ではないんですか。 ○畠中自治行政局長 違うんですよ。 ○紺谷委員 どう違うんですか。 ○畠中自治行政局長 国の権限を道州に移管した後でも、国の関与というのは問題になるわけですよ。要するに国と地方との関係をどうするとか。 ○紺谷委員 関与と書いてあるわけですね。 ○畠中自治行政局長 権限の移譲と国の関与というのは同じものではなくて別個の問題なんです。 ○紺谷委員 どう違うんですか、関与と権限は。 ○畠中自治行政局長 国の権限を地方に移譲しました、地方の権限にしましたとした後でも、国と地方との関係をどうするか。例えば、地方が言うことをきかない場合にどうするんだと、そういうようなことが当然問題になってくる。極端なことを言いますと、今法定受託事務がありまして、法定受託事務について国と地方の関係は、最終的には代執行もできることになっているんですね。そういう関係をどうするかというのは関与の問題でありましてね。 ○紺谷委員 そういうことをやっているのは、それぞれの部局じゃないですよ。国がもろにやっていることでありまして、例えば関東整備局とか関東財務局がやっているわけではありませんよ。今おっしゃった代執行の面について言えば。 ○香山総務事務次官 紺谷先生の問題意識で言うと、1ページの総括的事項に書いてある上のことと、1行目の方ですね。最初の「○」の方の主要な行政分野における役割分担を整理する必要があるのではないか」というのと、先ほど地方支分部局との関係、これは完全に密接不可分の問題です。そのときに、北海道について言えば、直轄事業というのも、国の開発局というのがやっている。だけれども、公共事業は全部道州がやるというふうにしたら、開発局が直轄事業でやっているために、国の支分部局が職員を抱えているわけですから、それを今度は北海道が引き取るというような問題が出てくるということをブレークダウンした形で3ページには書いてあるわけです。 それから、1ページに書いてある関与と役割分担の話は、先ほど岩崎先生や小幡先生と小委員長が話ししたときのことでちょっと思ったんですが、関与というのは、極めて法律的な意味で書いてありますから、これは国の仕事、これは県の仕事とした上でも、県に対して国が一定の口出しをするとかというようなことをとらえているのを「関与」と書いてあるんですが、余り議論が混乱するのだったら、広い意味で、常識的な意味で法律用語でなくして考えれば、これは「役割分担」という言葉でもカバーできるかもしれません。だけれども、役割分担と分けて、関与を含めてそのようにした上で、今度は国と地方でどういうような調整をしなきゃいけないかというようなことが1ページ目に書いてあるので、これは組織とか、機構とか、そういうことをどうするかということを離れて、普遍的な問題としてもあり得るし、道州制を導入する場合にも避けて通れない問題点だというふうに理解していただければいいと思います。 その上で、なおかつ道州制をやるとすれば、一番切実な問題として地方支分部局をどうするか、地方支分部局の職員をどうするかという問題は出てくるという意味で、あえて3ページの方には書いておく必要があるというふうに思っていますけれども。 ○紺谷委員 そういう問題意識であれば、1ページの「主要な行政分野における」というのにあくまでこだわりたいと思います。国が関与すべき分野を明確にするということにしてほしいと思うんですね。それから3番目の国の地方支分部局の人員がどうなるかというのは技術的な問題でありまして、それはここで論じるべきこととは思わないです。道州がない前提でいえば、こういうものが必要というのはある程度わかります。しかし、各県にある中央官庁の出先機関がいろいろ都道府県と悶着を起こしているということは有名な話でありまして、道州ができても、なお道州単位の支分部局が必要であるということの理由が私には明確にはわからないです。中央があれば十分ではないかというふうに思うものですから。 ○大野総括審議官 そういう紺谷さんのご議論があるものですから、この国の地方支分部局との関係を道州制の場合は整理しておく必要がありますので、書いてあるので、実はおっしゃる意味なんですよ。道州制にした場合には、国の……。 ○紺谷委員 どこまで、どのようにと書いてあるところで……。 ○松本小委員長 紺谷委員に申し上げますが、今の支分部局との関係という論点があることは、ここに書いてもよろしいですね。 ○紺谷委員 もちろん、いいんですけれど。 ○松本小委員長 その下の言葉ですね。 ○紺谷委員 そうです。 ○松本小委員長 わかりました。それではまた文章を調整します。 ○紺谷委員 「移管するか」と書いてあるから残るみたいな感じじゃないですか。 ○松本小委員長 そこのところは書き方をまたご相談します。 ○紺谷委員 むしろ逆に何か残るものはあるのかというような問題意識ならいいんですけれども、そういうことです。 ○松本小委員長 薄井委員、何かございますか。 ○薄井委員 最初にこの紙が送られてきたときには素直に、素直過ぎるのかもしれませんけれども、こんなことかなと思いましたが、今日の皆さんのご議論を聞いていて、なるほどそういうふうに読まなくちゃいけないのかなと、いい勉強になりました。特に道州制のあり方という出し方が、確かに前に向き過ぎちゃっているというのは言われてみればそのとおりですので、そこは対応されたらいいのではないかなと思います。総理の諮問も、そういう意味で書かれているのだろうと思いますし、道州制ありきということは考えられないわけでして、前回、私、発言しましたけど、まさに憲法論も含めて議論しなきゃいけない話が、そんなに簡単にここで具体案をつくるというようなことにはならないんだと思います。今日ご議論ありましたように、なぜそういうことが議論され始めたかというところからスタートしたらいいと思います。 それから27次にも書いてありますが、外国にもいろんな例がありますけれども、連邦制との関係とかいろいろ考えていったときに、整理すべきことがいろいろあると思うんですね。連邦制だからできることを頭において道州制を議論してもおかしいと思うし、いろんな意味で整理しなきゃいけないことはいっぱいあると思います。道州制がここで議論すべきことの大きなテーマであろうということは、素直に私はそう思っております。その進め方は、事務局による研究成果のご説明なども伺いながら十分議論していかなくちゃいけない。併せて外の方々が今どういうふうにこれをとらえているのか、それから、浜田委員がおっしゃったように、そう簡単に県がなくなるとも私は思っておりません。しかし、こういう議論を始めようという空気になっているということは、どこかにやっぱり県に問題があるのだろうと思いますので、そこも含めて議論したらいいと思います。 やや感想になりましたけど、私の意見は以上です。 ○松本小委員長 ありがとうございました。それでは、たくさんの意見をいただきましたが、審議事項に係る論点につきましては、本日いただきました意見等を踏まえ、諸井会長、小早川副会長と整理を行った上で、第2回総会に提出することといたしたいと存じますが、いかがでございますか。異議ございませんか。 (「異議なし」と声あり)
○松本小委員長 異議もないようでございますので、それでは、そのようにさせていただきます。最後に今後の予定について事務局から説明させます。石川課長。 ○石川自治政策課長 今後の予定について説明申し上げます。第2回の総会6月8日火曜日午後2時からグランドアーク半蔵門「富士の間」にて開催をお願いいたしたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。 ○松本小委員長 それでは、事務局の説明のとおり、第2回総会を6月8日火曜日午後2時からグランドアーク半蔵門「富士の間」で行うことといたします。 以上をもちまして、本日の専門小委員会を閉会いたします。どうもありがとうございました。 閉会 |