会議資料・開催案内等
第29次地方制度調査会第10回専門小委員会 次第
平成20年5月27日(火)10時00分〜12時00分
三田共用会議所第4特別会議室(4階) |
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開会
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議題
監査、議会に関する意見交換 等
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閉会
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配付資料(PDF) |
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○林小委員会 それでは、時間も参りましたので、第10回「専門小委員会」を始めさせていただきたいと思います。
本日は、監査に関する意見交換を約30分、その後、議会に関する意見交換を約90分といった組み立てで進めたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、継続といいましょうか、監査のうち、議選委員の廃止に関しまして、前回の専門小委員会において議論していただきました。更に追加の御意見はございませんでしょうか。
西尾先生、どうぞ。
○西尾委員 前回の地方制度調査会のときは、私は時間が重なって地方分権改革推進委員会が開かれる予定になっていたものですから、3議長会からの意見陳述が終わり、その質疑が始まっていた途中で退席をさせていただいたのですけれども、伺うところによるとその後に議選委員問題について、いろいろ議論が紛糾し、少し議論か逆戻りしたようなことを伺いました。
片山副会長の方から、議選委員というのも、それなりの役割を果たしているところもあるというのであれば、やはりそこも選択制にすべきではないか、議選委員を全く廃止する、許容しないというのではなくて、それも選びたいところは選べるようにした方がいいという主張をなさったと伺いました。
今日は、御本人がまだ見えてないところで発言するのは大変不本意なんですけれども、御本人いらっしゃるところで言いたいと思っていたのですが、副会長の御発言ですから重く受け止めなければいけないとは思いますけれども、私は、この片山副会長の御発言には賛成いたしかねます。今回の趣旨は、監査委員の独立性を強化するところにあり、その独立性というのは執行機関からの独立であると同時に、議会からの独立であるということであります。
監査委員が監査する対象は、執行機関のみならず、議会も監査対象になっているということから考えて、その両者から独立的な監査委員制度に変えようということで議論してまいりましたので、議選委員を許容するということは、その趣旨に反するのではないかと私は思っています。
一般論として、地方自治制度の設計に関して、極力自治体が任意に選択できる幅というものをつくっていこうという趣旨については、私も片山副会長が繰り返し言っておられる意見に賛成です。
過去、副知事問題とか副市長・収入役問題等々を議論してきたときも、あるいは教育委員会、農業委員会の必置規制をやめるべきだという答申を出してきたときも、基本的には選択制を導入していこうという趣旨で、この調査会は答申をしてきたと思います。
今後も、さまざまな問題について、そういう余地があるところは極力その余地を広げていった方がいいと私は考えておりますけれども、こと、この監査委員の議選委員問題について、そういう選択制を認めることは趣旨に反するのではないかと思いますので、もう一度御議論いただきたいと思います。
○林小委員会 ありがとうございます。
ほかにどなたか御意見ございませんでしょうか。斎藤委員、どうぞ。
○斎藤委員 今回の監査委員について、独立性、専門性を高めるという点につきましては、私一度、議会との役割分担につきましては、監査委員の専門的な調査なり監査の結果に基づいて議会での委員会なり本会議で議論する。チェックするのが今後の在り方ではないかということを申して、この際、議会が監査委員を選任するということであれば、議会議員自らが監査委員となるのは廃止するべきではないかということを一度申し上げました。その点でも、先ほど西尾委員がおっしゃったことに賛成であります。
同じことを繰り返しても仕方がありませんので、もう一点だけ違った角度からその点について申しますと、平成18年度から19年度にかけての住民訴訟について、勿論、一般誌『判例時報』等に載ったものだけですが、若干調べてみました。そうすると、住民訴訟において支出が違法であるということが、下級審で言われた事例が10件以上ございます。これは、住民監査請求、つまり住民訴訟に先行した住民監査請求では支出が適正である。あるいは住民訴訟の要件を欠くと言って、監査委員がいいと言ったものが裁判でこれだけひっくり返っているわけです。
本来、住民監査請求というのは違法な支出だけではなくて不当な支出についてもチェックできるものですから、今後専門性を強めて、もっときちんとやっていただきたいんですが、現実にはこれだけ裁判で監査の結果がひっくり返っているんです。
しかも、その中には議員、あるいは会派に対する政務調査費の支出でありますとか、町村議会議員の互助事業負担金に関する支出が違法であるといって裁判所で認定されたものがある。議会に直接関わる支出について監査委員がチェックしてない、監査委員がチェックできてなくて、裁判所で初めて違法が認定されるものがあるわけですので、この際、監査委員についてはより独立性・専門性を強めるという観点から、議選委員は廃止する方向が妥当なのではないかと考える次第です。
○林小委員会 ありがとうございます。
小幡委員、どうぞ。
○小幡委員 前回、大学の授業がありまして欠席いたしましたので、一言だけ意見を申し上げたいと思います。
私も、西尾先生のおっしゃったことの繰り返しになりますので、理由はこれ以上申し上げませんが、要するに議会の選挙によって監査委員を選出するという方法を取れば、今までのように議会議員が監査委員になるという仕組みは廃止すべきだと思います。
と申しますのは、執行機関と議会と監査のバランスの取り方の関係で考えれば、議会の選挙で監査委員を選出することがあれば、議会との関係でのバランスはそれで十分ではないかと考えるからです。
簡単ですが、以上です。
○林小委員会 ありがとうございます。
江藤委員、どうぞ。
○江藤委員 私は、幾つかの理由から議選の廃止について留意していたんですけれども、結論から言うと議選の廃止も納得できるという話をさせていただきたい。執行機関からの独立を強化するために、議会による監査委員の選挙ということで、返す刀ではないですけれども、議選も廃止という議論だったと思います。
議選の意味というのは、専門性の人だけではなくて、住民の目線からの監査だとか、行政にプレッシャーをかけるという意味が今まであった。地制調の今までの議論の中で議会が選挙することによって議選が廃止されても、議会と密接な関係、政治的な色も付くんで議会との関係は希薄になるわけではないことなどいろいろ議論がありました。
また、事務局の強化と相まって、あるいは議会が監査委員を支援するというか、前回大山委員が決算委員会の中で活用できる手法の開発というお話もありました。そういう中で、議会との連携も今後可能性としては出てくるんではないか。要するに、監査委員がそれなりの力を発揮できる環境も、やり方によってはできるんではないかと思います。
そういう意味では、前回議長会の方々が独立性の議論も理念もいいけれども、実効性は疑問だという言い方をされていて批判的だったと思うんですけれども、実効性もある程度担保できるような制度設計ができるんではないかと思います。
ただ、もう一つ議選の選出の意味というのは、そうした住民の目線だとか、行政にプレッシャーをかけるだけではなくて、監査委員の対象領域、議会が余り関われない領域にも踏み込めます。もう少し言いますと実地検査が議会ではなかなかできにくいという解釈ですね。
また、出資法人の監査についても、議会はなかなか関われない。そこを議選の議員がうめていた。議選の議員を通して議会がチェックしていく。議会の権限のさらなるパワーアップと連動するということであればわかります。従来は議選と議会とのパイプの中で、そういうことも議会は関われたということがあるんでしょうけれども、議会の権限のパワーアップと連動することであれば、議選の廃止という意味もわかるということで賛成したいと思います。
○林小委員会 ありがとうございます。
今、議選委員を廃止するか否かということについて議論しておりますけれども、ほかの委員の方、何か追加の御意見ございませんでしょうか。
片山副会長、いかがでしょうか。
○片山副会長 私は、この議選の問題に限らず、できるだけ自治体の自由度を増した方がいいと思うんです。自治体の基本的構造、組織、体制というのは、必要最小限のことはここで決めたらいいと思うんですけれども、あと応用問題とか細部、細部と言ってもそんなに細かくない細部については自治体の意思に任せたらいいと思うんです。そうしますと、いろんなバリエーションが出てきてうまくいくところもあるし、そうでないところも出てくる。うまくいくところを見習えばいい。これが地方自治の妙味だと思うんです。ということで、多様性ということが非常に重要だと思います。
そういう意味で言えば、今回新しく制度を変えようというときに、あえて議会の議員をコミットすることはないと思うんです。前回も言ったと思いますけれども、もし議選を選択肢の中に入れた場合に、お手盛りで議員が自分の仲間ばかり選んで役職就任の機会にするということが、1,800の自治体があればひょっとしたらあるかもしれません。ただ、そういうところは必ず指弾されるわけで、おのずから自浄作用が働く、これも地方自治の妙味だと思います。
場合によっては、みんながそんなことをし出したら、これは国法として何らかの制約を加えなければいけないというのが国の仕事だろうと思います。ですから、この問題に限らず、余りこれでなければいけないということを国が法律や、総務省の皆さんが指導などで、あれこれやらない方がいい。一律でやると、失敗したら全部失敗するわけです。多様性があると、失敗するところもあるしいいところもある。本来の地方自治の本質を見失わないようにしていただきたいと思っています。
○林小委員会 ありがとうございます。
それ以外の方、御意見ございませんでしょうか。
西尾委員、どうぞ。
○西尾委員 それ以外の方ではなくて、今回冒頭で、片山副会長がいらっしゃらないところで発言せざるを得なくなって、発言してしまったので、また繰り返しになって恐縮ですけれども、前回そういう意見が片山副会長から述べられて、議論の流れが少し変わったというふうに伺いましたけれども、私は一般論として地方自治制度に極力多様性を盛り込んで、自治体が制度の中で、自らに一番適したものを選択できるような制度に組み替えていく一般論は全く賛成です。ほとんど考え方を同じくしていると思っています。
過去、最近の地方制度調査会が都道府県、そして市町村の理事者たちの制度を変えたときも、あるいは教育委員会、農業委員会といった行政委員会について必置規制を廃止して選択制にすべきではないかという答申を出したときも、どちらも選べるようにという考え方できたと思います。
そしてこれからもいろいろな制度を議論していくときに、極力それでいいところはそうしていった方がいいと私も思っていますけれども、この監査委員の制度については少し違うのではないか。片山副会長の一般論を適用すべき領域ではないのではないかと思います。
監査委員制度を、今度は独立性の強いものにしようというときには、監査委員の監査対象は執行機関でもありますし、議会でもあるわけでありまして、その両者からの独立性を確保することが極めて重要で、新しい制度設計をしているわけでありますから、議会も対象にする監査委員ということであれば、議選の監査委員というのはやめるべきではないかと強く思っています。そこを許容したのでは制度改正の意味がないのではないかと思います。
それでは、議会をどうしたらいいのかという問題はありますけれども、議会は本来執行機関の行動を監視し、監査し、監察することが重要な機能でありますから、議選の監査委員を通して監査するのではなくて、これからは議会本体が本当に監査機能を果たしていくべきなんだと思います。
その意味では、先ほどちょっと御発言がありましたが、議会にも実地検査権を与えた方がいいのではないか。これから議会論で問題になることの一つでしょうけれども、私は議会に実地検査権を与えていった方がいいと思います。議会は議会として執行機関を監察する機能を強化するべきである。監査委員を通してやるというのではなくて、独自に議会としてやるべきであると思っています。
○林小委員会 ありがとうございます。
ほかに異なった御意見ございませんでしょうか。よろしいですか。
それでは、議選委員に関しまして御意見の異なるところもございますけれども、地方制度調査会の小委員会としまして、ある一定の方向性で今後また更に議論を進めていかなければならないということもございます。したがいまして、私個人的には、議会が選出するということ、そして独立性を強化するということを考えますならば、やはり議選委員は廃止をした方がいいのではないかと考えております。
今後更に、今、西尾委員、江藤委員もおっしゃったように、議会のチェック機能をどのようにして高めていくのかにつきましても、今後、本地制調で議論してまいります。したがいまして、個人的にはそのように思っておりますけれども、小委員長といたしまして議選委員を廃止するという方向でこの小委員会をまとめさせていただければと思っております。
勿論、先ほど申し上げましたように、議会の議論をこれから進めてまいりますし、その兼ね合いの中でまた議論が出てくるかもしれませんけれども、とりあえず議選委員を廃止するということで大方の委員の御賛同を得られたのではないかと思っております。今後、総会にもかけなければなりませんし、そういうところでも議論をいたします。また、答申文案を作成するときにも、再度議論することになろうかと思いますので、ひとまず議選委員を廃止するという方向で、この小委員会を進めさせていただければと考えておりますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○林小委員会 ありがとうございます。
続きまして、委員間の意見交換を行いたいと思います。前々回の専門小委員会におきましては、資料1の4ページまでお謀りいたしましたので、本日は事務局体制から始めたいと思います。
それでは、事務局の方から御説明いただいて、その後意見交換を行いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○行政課長 資料1の5ページをお開きいただきたいと思います。「4 事務局体制」でございます。
現行制度は、都道府県の監査委員に事務局を置く。市町村につきましては、条例を定めるところにより置くことができるとされているところでございます。
課題といたしましては、事務局の独立性・専門性の強化をはかる必要があるのではないか。特に小規模団体について、その方策を検討すべきではないか。また、事務局職員のモチベーションを高める方策が必要ではないか。これは、首長部局の方を向いているんではないか、厳しい指摘をするインセンティブがあるのかという課題でございます。
論点といたしまして、独立性の強化のために、例えば人事異動を制限することは優秀な人材が集めにくくなるのではないか。また、独立性強化のための外部性を高める方策が考えられないか。それから、現行制度上も体制強化は自らの判断で対応可能だけれども、義務づけまで行う必要があるかということでございます。これは、町村の監査委員の協議会から義務づけという要望が出されているけれども、その必要があるのかという論点でございます。
対応策につきましては、監査委員事務局職員への外部登用を促進する方策を考えていくべきではないか。また、法制度的には代表監査委員が任命権を持っているわけでございますけれども、実質的に行使していく必要があるのではないか。また、外部性を高める観点から共同設置を促進する方策を考えていくべきではないかということでございます。
6ページ「第2 外部監査制度」についてでございます。
まず「1 包括外部監査の監査方法」でございます。
現行制度は、包括外部監査人は包括外部監査人のイニシアティブによりまして、最小の経費で最大の効果を上げているか、常にその組織運営の合理化に努めているかということを達成するために必要と考えられる特定の事件について監査を実施する制度になっているところでございます。
この包括外部監査人のイニシアティブで一定の事件を選定するということが、地方公共団体に適切なものとなっているか。実効性が上がっているのかというのが課題でございます。
論点としまして本地方制度調査会におきましては、例えば株式会社のように一定の監査、例えば決算の財務処理の監査を必要監査事項として義務づけることが考えられないかということも議論されましたけれども、これにつきましては費用の増加、あるいは資格者が限定されることなどの課題があるので、引き続き検討すべきではないかということでまとめさせていただいております。
7ページ「2 包括外部監査の義務付け対象団体等」についてでございます。
まず包括外部監査につきましては、現在、都道府県・指定都市・中核市に義務づけしているところでございます。個別外部監査につきましては、条例により任意に導入ということでございます。
課題としましては、包括外部監査の義務づけ対象団体の範囲を見直す必要があるのではないか。これは国会等で現在、中核市まで義務づけている対象範囲を広げるべきではないかという議論があるところでございます。
論点でございます。現行制度上、地方公共団体の監査は監査委員が行うということを基本にしながら、監査機能の独立性・専門性を強化する観点から外部監査を行う。いわゆるダブルチェックする考え方で外部監査制度ができているところでございます。
こういったことについて、一定の規模以上の団体に対して、包括外部監査を義務づけることはやはり必要ではないかということでございます。
小規模団体にまで包括外部監査を義務づけるといった場合に、人材の確保が困難ではないか。また、過大な財政負担を強いることになるのではないかということでございます。
義務づけ対象団体を拡大する場合に、外部監査の実効性を確保するための情報共有の仕組みが必要ではないか。こういったような論点があったところでございます。
また、個別外部監査につきましても、実際に活用件数がそれほど多くないということで、もう少し活用できる方策を考えるべきではないかという御指摘もあったところでございます。
対応策の検討についてでございます。包括外部監査の義務づけの対象範囲の拡大につきましては、これまで御議論をされてこられました監査委員制度の見直しということを先行して、その状況を踏まえて引き続き検討すべきではないか。義務づけということについての問題点というのもございますので、この点につきましては慎重に対応すべきではないかということでございます。
次の※のところが、これまでの委員の皆様方の議論を踏まえて、今回追加しているものでございます。現在は毎会計年度、年に1回という制度になっておりますけれども、包括外部監査の導入を促進する観点から、これを複数年度に1回、2年に1回とか、4年に1回とか、この複数年度というのはどういう考え方で設定するかというのはあろうかと思いますけれども、複数年度に1回外部監査を受けることにすべきではないかということでございます。
このことによりまして、まず義務づけられている団体につきましても、現在は年に1回ということでございますが、複数年度に1回ということで緩和されることになります。また、義務づけではない中核市未満の団体につきましても、年に1回ではなくて複数年度に1回ということであれば、包括外部監査をより導入しやすくなるのではないかということでございます。
次が、個別外部監査の導入についてでございます。個別外部監査の導入につきましては、現在、条例によって導入するかどうかということを自主的に決定した上で、その上で幾つかの個別外部監査の制度が設定されているところでございます。この導入の前提となっております条例の制定を不要とすべきではないかということでございます。つまり条例をつくらなければ使えなかった制度が、より機動的に活用できるようになるのではないかということでございます。
次が、小規模団体において外部監査の導入を促進するため、人材確保を支援するなどの方策について検討すべきではないかということでございます。この点につきましては、本調査会の委員から、特に小規模団体について共同で外部監査、共同組織をつくっておく、そのことによって監査を促進する。そういうことができるのではないかという御意見があったところでございます。複数の団体が集まって外部監査人の共同組織をつくって、そこに頼むという仕組みができないか。自主的に地方団体がつくることが考えられるのではないかということでございます。
外部監査人の専門性を向上するため、外部監査人に対して情報提供を図るなどの方策についても検討していくべきではないかということでございます。
以上でございます。
○林小委員会 どうもありがとうございます。
それでは、まず事務局体制に限らせていただいて少し御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ。
○小田切委員 私、数回前に小規模団体の事務局体制について問題意識を持っているということを申し上げました。もう一度繰り返して申し上げたいと思いますが、いただいた資料で、町村部で事務局の設置率が三十数%というお話をいただきました。なおかつ平均の事務局員が0.6人という数字、つまり3分の1しか設置されずに、設置されたとしてもほとんどが兼任だという状況だろうと思います。
そういう点で考えますと、やはり小規模団体の監査事務局については、かなりのてこ入れが必要だろうと思っております。と申しますのは、議会事務局もそうなんですが、あるいは私どもがしばしば接する農業委員会事務局なども含めてですが、事務局に一種のノウハウが蓄積されるといいましょうか。そういうことを考えると、事務局体制がない監査というのはほとんどあり得ないのではないかと思っております。
その点で、でき得れば必置義務という形で新しい制度をつくるのがやむを得ないのではないかと思います。勿論、先ほどからの議論にありますように、そういうものはできるだけ排除すべきだという議論はよくわかるわけですが、この町村においての監査事務局は、振り返ってみれば平成9年まで実質上認められていなかった。自治法改正で初めて認められていたわけですから、その後、財政危機を向かえているということを考えると、言わば設置しようと思っても、なかなか設置できる客観的条件がなかったというふうに考えれば、今の段階で必置義務を課して、そして将来的に自由化するというプロセスが考えられるんではないかと思います。
以上です。
○林小委員会 ありがとうございます。
ほかに御意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか。
どうぞ。
○江藤委員 この間も議論になっているんですけれども、基本的には自治制度は自由でいいという気はしますけれども、ただ、この問題については、今の首長優位の現状とか、財政危機の中の人的資源が少ないという問題の中で、やはり私も今、小田切委員が言われたように必置制にすべきではないかと思っています。
共同設置の議論というのもありますけれども、まずは必置で置いておいて、運用として共同設置という議論だったらわかるんです。もう少し言いますと、この監査委員を必置にして、事務局を置かないイメージというのはあるんですか。市町村の監査委員の必置制が導入されたのは1963年でしたでしょうか。そのときになぜ事務局を必置しなかったかということが不思議なことで、むしろ少し遅れて制度化するだけです。今後それがある程度固まった段階で、地方自治制度の自由度を高めるべきでしょう。いま、自由度を高めるとすれば、別のところで、例えば議員定数の問題だとか、地方選挙の問題だとか、いろいろ柔軟にするべきところはもっとほかにあるんでしょう。ここの監査は、しっかりとした組み立て方が必要ではないでしょうかということです。前回も小幡委員が言われたんだと思いますが、ナショナルミニマム、最低限の規制という議論もあったと思うんですが、そこに当たるんではないかと思っています。
○林小委員会 その場合、小規模自治体のみならず、すべての自治体について必置ということになりますね。
○江藤委員 そうですね。
○林小委員会 そのときには、やはり財源的な手当も含めてということになるんでしょうか。
○江藤委員 当然、必置にするということは事務局があるんですから、それを財源的には確保しなければいけない。確保できるために公的な規制をかけていくことが必要だと考えています。
○林小委員会 わかりました。前回の意見聴取のときも、そのように町村の方がおっしゃった。ただ、そういう監査委員と事務局というのはセットだと思うんですけれども、必置にするかどうかということについては、かなり異なった意見もあるのではないかと思います。
私自身は、これは内部の問題だからということで、どうして必置にしなければならないんだろうというようにも思っておりまして、現実に設置しているところもあるわけですから、その辺りを強力に促進するための方策を考えていく方がいいのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか、御意見をいただければと思います。
どうぞ。
○小林委員 現在でも、共同設置が町村でもできるような仕組みになっていますが、前回のお話ですと、実際に町村で事務局を置いているのは約3割というお話だったと思いますが、残りの7割が置いていない理由は、財政問題だというふうに理解してよろしいんですか。それとも、それ以外に何か大きな問題が別途あって、その障害を取り除く必要があるのか。その辺、議論が思い出せないのと、もう一度確認したいという意味で質問です。
○林小委員会 3割は設置しているということですので、ではその3割が財政的に良好だから設置しているのか、7割はそうではないのかというところは、私も非常に関心のあるところで、多分そういう理由ばかりではないのではないかとも思ったりするんですが、ただその辺の調査はなかなか難しいのではないかと思うんですけれども、もし何かございましたらお願いします。
○行政課長 今、小委員長がおっしゃいましたように、その理由について詳細に調べたものはございません。資料を見ていただければと思いますが、資料2の追加提出資料の1ページでございます。今、小田切委員からもお話がございましたように、市につきましては事務局組織を置くことができるようになりましたのは昭和38年から条例によって置くことができるということでございます。町村につきましては、平成9年からということでございます。これはしっかりした組織体制を整えて、監査委員を支える、そういう趣旨からこういう制度になったわけでございますが、この右側の方を見ていただきますと職員という欄がございます。職員につきましては、書記その他の職員が必置になっているところでございます。
したがいまして、これはそれぞれの団体の規模等もあるわけでございますので、確かに事務局という組織がなければ事務局長はいないということになるわけでございますけれども、書記その他の職員が事務局として委員を支えている体制で十分やっていけるという判断もあろうかと思いますので、これはいろいろ御議論の中でされることだと思いますけれども、事務局という形も整えて組織をきちっとしなければいけないというところまで必置にするのかどうか。現在、自治体に対する義務づけ等について、できるだけ外していこうという中で、そういったことをどう考えるかということがあろうかと思います。
○林小委員会 ありがとうございます。
どうぞ。
○江藤委員 今の御指摘なんですが、事務局を設置したからといって専任なわけではないところはたくさんあると思うんですが、書記その他の職員のところで専任というのがあるんですか。
○行政課長 これは兼務は可能で、現実には事務局を設置していても、小さな団体ですと議会事務局と一緒だとか、そういうところもかなりあるわけございます。
○江藤委員 そうですね。もう一度お聞きしますが、事務局を設置してないところで書記その他の職員で専任というのは余り聞いたことがないんですがけれども、実際にありますか。
○行政課長 それはございます。
○林小委員会 どうぞ。
○西尾委員 市町村の問題を考えるとき、このごろいつも思うんですけれども、横浜市から東京都青ヶ島村までみんな基礎自治体なんですけれども、これを一律に市町村だ、基礎自治体だというふうに語れるだろうかということを、いつもあらゆる問題を考えるときにぶつかってしまうのですが、前に町村に監査委員を、今は2人なんだけれども3人にしてもらえないかという御発言が監査委員の方からありましたけれども、そのときも思ったんですけれども、今、議論しているのは委員の話ではなくて事務局問題ですけれども、青ヶ島村は住民全部で200人弱の村なんです。私は知りませんが、村長の下に村の役員・職員は何人いるでしょうか。議会の議員は何人なんでしょう。監査委員が2人で、うち1人が議選、それからほかから選ばれた方が1人いらっしゃるということですけれども、ここの村役場に監査委員事務局を設置して、本当にそれが必要でしょうか、合理的でしょうか、私は非常に疑問に思うんです。
ですから、町村にそういうことを義務づけるといったときは、青ヶ島村は最小の人口の村ですけれども、人口が1,000人未満の村も依然としてかなりの数あるということを考えながらやらなければいけない。義務づけるというのは、そういうところまですべて義務づけるということなんです。例外はあり得ないんです。
私は、そのことを考えると、町村に義務づけるということには、かなり慎重でなければならないのではないか。勿論、町村の中で事務局を置く能力のあるところは十分ありますし、置いた方が効果が上がるところが幾らもあるだろうというところは、当然そうだと思っていますけれども、町村にといったときには、そこまですべて義務づけることになりますと、私はそのことには強い疑問を感じます。
○林小委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
○片山副会長 私は、この問題でもやはり一般論なんですけれども、監査委員を必置というのは、これはいいと思うんです。現行法もそうなっていますしね。しかし、事務局というのは監査委員が主たる存在で、事務局は従たる存在なんです。従物なんです。従物についてまでああだこうだということを法律で決めるということはやめた方がいいと思うんです。
それは、主たる人がちゃんと選ばれれば、今回改正すれば今よりはましになると思いますけれども、ちゃんとした主体が選ばれれば、当然まじめに仕事をしようと思えば事務局がいるということぐらいわかるわけで、そこがイニシアティブを取って事務局体制を整える。これが自治なんですね。その際に、今、西尾先生が言われたように、うちはちょっと置けないというところが当然あると思うんです。それも自治だと思うんです。
ここまで、従たる事務局まで置かなければいけないということを義務づけるということは、自治体をほとんどばかにしていることになると思います。主体的能力がないと。だから、国がきちっと枠組みをつくってあげなければいけない。そういう自治観だとみなさざるを得ないと思うんです。
勿論、監査というのは余り関心がありませんから、必置じゃないから事務局など置かなくていいとほったらかしにするところも出てきますけれども、それはもう自業自得で落ちるところに落ちた方がいいと思うんです。
もう一つは、必置にしたらちゃんと財源を工面してあげなければいけないのではないかという議論が、先般議会の人からも出ていましたけれども、これは全くそうじゃないと思います。というのは、監査すれば当然行政の質も上がるし、無駄も排除される。そうすると、コストも安くなるはずなんです。そこで、一般的には監査にかかるコストというのは、その無駄の排除とか、行政の合理化とか、そういうところであがなわれるはずなんです。私は事務局を必置にすべきではないと言っていますけれども、仮に必置論が出たとしても、それに対応して財源工面論は要らないと思います。
○林小委員会 ありがとうございます。江藤委員も小田切委員も、とにかく監査委員制度の強化するためには、事務局体制は非常に重要であるということからの必置論だと思うんです。
ただ、必置するということが、今の時代に合っているのかどうかという問題。これはまた大都市まで必置にするという話になってまいりますし、今、西尾委員もお話がございましたし、片山副会長もお話がありました。したがって、事務局をどうやって強化していくのかという知恵を絞っていこうではないか。そして共同設置という道もありますから、それをどのようにすれば促進することが可能なのか、あるいは専門性を強化することが可能なのかといったようなことで、やはり今後それを検討していく方向で事務局については進めてまいりたいと考えておりますけれども、いかがでしょうか。
どうぞ。
○江藤委員 異論はないんですけれども、ただ、今までの議論からすると、監査を本当に充実させるためには事務局が大事なんだと、ここがしっかりしなければだめなんだという確認を一点させていただきたい。
もう一つは、この必置というのは地方自治体をばかにしているんだと、私も確かにそう思いますけれども、現行制度では都道府県は事務局は必置ですね。それで市町村は任意だと。両方とも任意ならまだわかるんですけれども、基本的にはそういう制度設計がぎくしゃくしているのが今の自治法だと思うんです。そこの整合性というのは、今回の29次の地制調で議論する対象ではないんでしょうけれども、でこぼこもちゃんと整理するような議論も今後必要ではないかと思いました。
○片山副会長 それは、県の必置などは取った方がいいと思います。無意味だと思います。 例えば県に財政課とかありますね。あれは必置義務とは書いてないわけです。だけれども、財政課なくして予算はできないからみんなちゃんと設けているわけです。そんなもんなんです。だから、これは事務局を置きなさいなんていうのは、この際取った方がいいと思います。
○林小委員会 どうぞ。
○小田切委員 私も江藤委員と同じで、答申文の中で事務局体制の強化が大変重要なんだという強いメッセージを何よりも出していただきたいと思っています。その際に、1つの資料として、次回以降出していただいても今回の議論には影響ないんですが、町村部の事務局の設置率が32.8%、定員で平均0.6というのを是非人口で刻んでいただいて、例えば5,000未満、1万人未満というふうに、その数字を出していただくと、今、事務局体制がいかに貧弱かということも同時に明らかになって、その中での重要性も浮かび上がっていくのかと思いますので、その資料を是非お願いしたいと思います。
○林小委員会 いずれにしても、事務局体制を強化するということの重要性は合意の得られているところですので、その方向で考えていく。ただ、設置していないところが一体どのような理由によって設置していないのかというところも検証しなければならないので、その辺りも含めて考えなければいけないと思います。
そして都道府県が必置になっているというのは、これは財政的に必置しても十分やっていけるだろうという配慮で、恐らく小規模な町村は財政的に大変だから必置じゃないという配慮があったんだろうと思うんです。ですけれども、そういうことも含めて都道府県は本当に必置でなければいけないのか。これは内部の問題なので、監査委員制度を強化するためには、やはり中できちっとやらなければいけない。ただ、それができないところはどうやればいいのかというところで、即必置にはつながらなくて、もう少し促進するような方策はないだろうかということを検討していく、それはもう一重に事務局を強化することに尽きると思います。
ということで、事務局に関しましては、これでまとめさせていただきたいと思います。
続きまして、外部監査制度について御意見がございましたら、お願いいたします。
いかがでしょうか。論点あるいは対応策の検討のところでも、かなり重要な点が示されているように思います。包括外部監査の導入を促進する観点から、現在、毎年監査を行っているわけですけれども、それを複数年度に1回でもいいものにしてはどうか。勿論、毎年やるところは毎年やればいい。そういう意味ではオプション、選択肢が広がることになります。
もっと機動性を高めるためにも、個別監査制度の導入を促進する。その上で機動性を高めるためにも条例を制定することをも不要としてはどうかという点も、これが今後の対応策の検討ということで示されておりますけれども、いかがでしょうか。
どうぞ。
○西尾委員 現在までは包括外部監査については都道府県、政令市、中核市にまでしか義務づけていないわけですけれども、たしかここの委員会の中で西野委員だったでしょうか。小規模な町村こそ包括的な外部監査の必要性が高いのではないかという御発言があり、しかし、そんな小規模な町村に包括外部監査を毎年度義務づけるなんていうのは多額の経費を要することで、それは少し酷だし、合理的でないのではないかということから、この複数年度に一遍というのはどうでしょうかという案が出てきたんだと思うんです。
私は一般の市町村に包括外部監査制度を義務づけるということ自体の是非について、いまだに迷っていますが、なるべく義務づけにしたくないので迷っていますが、しかし、万が一するんだとしたら、複数年度に1回というときの考え方を単に4年に一遍とか、3年に一遍とか、5年に一遍ということではなくて、もしやるのならばこういう考え方にすべきではないかというアイディアなんですけれども、市町村長の任期が終わり、新しい任期に入ったときに必ず4年に一遍やりなさいという考え方でやっていくと、同じ市町村長が留任し、再任されていることもありますが、市町村長の交代が起こる時期が必ずあるわけです。そのとき、新しく市町村長に就任した人が、直ちに包括外部監査の手続を取りまして、前任者である市町村長が務めてきた期について包括外部監査を受ける。必ずそれを受ける。そのときは自分の責任ではないんですね。自分が市政を責任持ってやった時期ではなくて、過去の前任者がやってきた時期について包括的な外部監査をやってくださいと言って頼む。そしてそこで、それは必ずしも前任者のミスをあげつらって攻撃するためにやるという趣旨ではなくて、そこで間違ったことをやってきたことがあれば、できれだけ早期に新市町村長の下で改善するということを習慣づけていくことには一つ役立つんではないかと。
私は、本当は市町村長が交代したときでいいんじゃないかと思っているんですけれども、そうすると5期も当選する人もいるので、20年もしないというのもどうかという気もして、少し迷っているのですが、自分の任期中でも2期、3期とやる人は必ず期が変わったところでやらなければいけないとするかどうかなんですが、市町村長の任期が終わったところで、次の任期のところでやるとか、そういうルールの方が考え方としていいんじゃないかという気がしているわけです。
○林小委員会 確認させていただくと、必置したときの話ですね。
○西尾委員 もし義務づけたならばということですけれども、複数年度に一遍という考え方ならば、市町村長の任期4年の中で取る。そうしたら、次の任期が始まったところで必ずやるというルールがいいんではないかということです。
○林小委員会 それで義務づけはどうかということについては、まだ迷っておられるということですね。
○西尾委員 はい。
○林小委員会 ほかに御意見いかがでしょうか。
小幡委員、どうぞ。
○小幡委員 一般的には、私も地方自治制度というのは、できるだけ自治体の自由に任せる方がよいと副会長のおっしゃることには、まさに賛成なのですが、前から申し上げていますが、このような監査制度の場合には必要最低限の備えというのはやはりあって、これは自業自得というふうに突き放してしまえばそれまでなのですが、やはり住民は現に存在して生活していますので、制度としての必要最小限の必要性というのはあると思います。
監査については、もっと効果のある方法でやれるという力のある自治体はいくらでも上乗せしてやっていただけばよいのですが、その土台となる部分は制度としてある程度の設計が必要ではないかという感じがしております。
そうやって見てみますと、今回、勿論監査委員制度を見直すわけですので、それでよくなるはずだということで言えば、まずその状況を見てからというのも確かに一つの選択ではあろうと思うのですが、なかなか時間的にはすぐに効果が出てくるわけではないかもしれないと考えますと、完全に外部の方に頼むという包括外部監査には、個別外部監査も含めてですけれども、私は非常に魅力を感ずるわけです。
そこで、確かに毎年というのは非常に負担が重いというのは明らかです。これは必置という話ではなくて、組織をどうせよという話ではないので、自治体としてこういう監査を受けなさいという意味での義務づけをするわけですから、お金の面は勿論ありますが、自分の組織として何かを必置するわけではないのです。
そうしますと、自治体によって、毎年やるところも2年に1回やるところも、それは選べた方がよいと思うのですけれども、その上で最低限義務づけがあってもよいのかなと思うのです。今、西尾先生がおっしゃいました4年に1回というのは、一つの選択かもしれないと思いますが、私も何年に1回とか、絶対にこうあるべきというのはまだ持っているわけではございませんが、これは組織の必置ではありませんので、ただ、最低限度として自治体が住民に対して備えるべき監査として、つまり住民はいろいろな自治体に移動する可能性もありますので、どの自治体もこれだけはという最低ラインとして考えることも可能ではないかという感じがいたします。
ただ、この監査委員制度の見直しの中で、タイミング的に、今ここの時点で義務付けてしまうかどうかというところに若干迷いがありますが、基本的にはできれば導入していただきたいと思っております。
○林小委員会 いかがでしょうか。これもまた悩ましい問題でありますけれども、どうぞ。
○片山副会長 私は外部監査は余り積極的ではないんです。といいますのは、これができたときの経緯を振り返ってみると、白川自治大臣のころにできたんですけれども、そのころ、全国の自治体で例の裏金問題が非常に発覚したんです。そのときに、実は監査委員の事務局も裏金をつくっていたということが、ぞろぞろ出てきたわけです。その前に、こんな裏金があるのは何だという話になって、監査をちゃんとやっているのか、議会はどうしたという議論が出て、その後で実は監査委員のところも普遍的に裏金づくりをやっていたことがばれてしまって、これはどうしようもないということで、そこでどうしようかということで監査委員制度を抜本的に見直そうという意見も出ていました。例えば選挙制度にするとか、そういう話もあったけれども、それは時間がかかるし、ばたばたと白川大臣のイニシアティブで、この人は弁護士ですから、弁護士を中心にした外部監査委員制度をつくったんです。ですから、そういう創設の経緯があるわけです。
今回、監査委員制度を立て直しましょうということになると、少し意味合いが違ってくると思います。小幡さんが言われた、全国どこでも、言わばシビルミニマムとしての監査機能が必要ではないかというのは、実はそれは本来の監査委員制度でシビルミニマム機能は果たすべきなんだと思います。
今回、監査委員制度を強化する、独立性を強くする、機能強化するときに、包括外部監査制度をそれと合わせて見直すことが必要ではないかと思います。
もう一つは、自分も実際に現場でやってみて、この外部監査制度というのがいろいろ問題があると思いましたのは、1つは外部監査する人のレポートの相手はだれかというと、首長から任命されるわけですから首長になるわけです。そうすると、どうしても気兼ねとかが出てくるものなんです。
たまたま私が知事をやっているときにお願いした人が、いみじくもこう言っていたんです。のびのびさせていただいて本当に助かりましたと言うんです。それはどういう意味かというと、その人は司法書士ですけれども、よその県の司法書士とネットワークがあるわけです。どういうテーマについて何をやるか、コストダウンのためによく相談しているんです。そこの話を聞くと、何々県だと、これを言ってはいけない、あれはどうだこうだといって、発注者からいろいろ注文とかいちゃもんが出てのびのびできないと言うんです。鳥取県の場合には、本当にのびのび自由闊達にやらせていただいて助かりましたということなんです。ですから、レポートの相手先が発注者である首長だという根本的な問題もあるわけです。
もう一つは、やはり利権化している面があるんです。対象範囲を拡大しろという背後には必ず専門職集団があるはずです。例えば私がかつて監査委員の数を増やしてくださいという地方自治法の改正をお願いして、これは実現したんですけれども、そのときも私のところに業界の方が来られまして、それは外部監査制度をやめろということとセットなんですかということを確認しに来られたんです。いや、そうじゃないですという話をしたら安心して帰られましたけれども、ということは外部監査で一種の業界ができて、マーケットができていて利権化している面があるんです。これは最初からありまして、弁護士と司法書士でスタートしようとしたら、税理士も入れてくれという話になって、法律を出す直前に税理士を追加したんです。そういうふうに利権化している面があるということもよく認識しておかなければいけない。
ということで、私は今、やめろというわけにはいきませんからいいんですけれども、今、義務対象を拡大するとか、そういうことは避けた方がいいと考えています。しばらく監査委員制度が強化された後、成り行きを見てこの問題を扱ってみたらどうかというのが基本的な考え方です。
ただ、さっき西尾先生の、首長が代わったときに前任者のあら探しではないんでしょうけれども、前任者が行っていたことの妥当性とか、コンプライアンスなどをチェックしてもらうために外部監査を活用するのがいいんではないかというのは、これはレポートが新しい首長であっても合理性があるんです。前任者のことをちゃんと暴くわけですからね。そういう面で使うということはあるかもしれませんけれども、そういうこと以外で何か対象範囲を拡大するとか、強化するというのは、今は見合わせた方がいいと思います。
○林小委員会 ありがとうございます。
今、小幡委員も監査委員制度の強化、監査委員機能の強化ということを議論しておりますので、やはり今それと合わせて外部監査を義務づけるような形で提案するのは非常に難しいのではないかと思っております。むしろ義務づけは減らしていきたいという方向もありますし、できれば外部監査制度を促進する、これも先ほどの事務局と同じですけれども、そういう方策を考えていくということで進めていきたいと考えております。
私自身も、義務づける方がいいのか、今の小規模自治体の実態を見ると、そういうこともあると思ったりもしますし、むしろ包括外部監査よりも個別外部監査の方が重要ではないかとも思いますので、今すぐにこれを義務づけるという方向ではなくて、むしろ自治体内部の行政機能の強化をするために、どのように進めていけばいいのかということで、また知恵を絞っていただきたいと思っておりますけれども、そのようにさせていただいてよろしいでしょうか。
やはり監査委員の機能強化を図ろうということですので、それを見ながらということにさせていただければと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。
○小幡委員 基本的にはそれでよろしいかと思いますが、副会長がおっしゃったことは第三者評価でありますとか、普通の株式会社の監査法人なども、同じような問題は抱えながらやっているという現状がありますので、外部監査については今後の可能性はあると思っております。
この包括外部監査の場合に、今、義務づけられている自治体でないところが導入するときには、必ずしも1年に1回でなくてもよいですか。今現在ですが。それはそういう理解でよろしいですか。
○行政課長 今は年に1回です。
○小幡委員 つまり導入する場合は、必ず1年に1回でなければいけないということですね。
○行政課長 はい。
○小幡委員 そうであれば、その辺りを逆に導入しやすくしてあげるということは、必要ではないかと思います。それから、個別外部監査の場合に、導入の前提として必要となる条例の制定についても、機動的に使いたいと思ったときに、なかなか難しいということがありますので、そういう意味での緩和、もう少し柔軟に使えるようにするということは考えてもよろしいと思います。
○林小委員会 対応策の検討のところで。どうぞ。
○行政課長 先ほど少し御説明させていただいたんですけれども、条例により複数年度に1回というのは、今の義務づけを拡大しなくても、そうすることによって包括外部監査の制度を導入することが促進されるのではないか。こういう提案でございます。今は年に1回ということですと負担が重いので、複数年度に1回ということであれば費用の面等々から促進されるのではないか。
あと選択の余地を広げるという意味で、現在の義務づけ団体につきましても、年に1回ではなく複数年度に1回ということで選択の余地が広がるのではないか。
この点につきましては、全国で5県ぐらいだったと思いますけれども、1年に1回でなくてもいいというふうに改正してくれないかという要望も出されているところでございます。
義務づけの関係につきましては、先ほども少し申し上げたんですけれども、今は中核市までですけれども、国会ではむしろこれを拡充すべきだという方向での議論ばかりでございますので、それについては今回の案によって促進を図るという観点での制度改正が義務づけを拡充しないでできるのではないかという対応策でございます。
○林小委員会 どうぞ。
○片山副会長 質問ですけれども、今、義務づけされてない自治体が包括外部監査と同じように、例えば弁護士か司法書士に頼んで、包括外部監査と同じようなことをやってもらったとして、例えば2年に1回やってもらったら、それは違法になるんですか。
○行政課長 それは可能です。
○片山副会長 今でもそれはそれでいいですか。
○行政課長 はい。それは現在の制度でも、条例をつくってやるということで、つまり今のお話は何年かに1回ということですね。
○片山副会長 そうです。
○行政課長 それは条例をつくりまして、今の制度では年に1回ということですので、1回つくりましてすぐに廃止をして、それで何年か後にまた条例をつくってやるということは制度上はできるんですけれども。
○片山副会長 そんな制度はおかしいでしょう。
○行政課長 はい。そういうことで、そのことによって包括外部監査ということについて導入しにくくなっているということもございますので、今、副会長おっしゃられたように、制度的にその点については弾力性を持たせるべきではないかと。
○片山副会長 そういうところは、白紙にした方がいいんじゃないですか。その方がよほど世の中のためですよ。
○林小委員会 ありがとうございます。いろいろ御意見がございましたけれども、基本的に対応策の検討のところで、柔軟に外部監査制度を導入しやすいような形に持っていくということで、大方の御意見の合意が得られたのではないかと判断いたしますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○林小委員会 ありがとうございます。
それでは、時間的に監査委員制度は30分ばかりということでございましたけれども、既に1時間5分経過しております。今日のこういう議論はいろいろ出てまいりますから、予定どおりまいりませんけれども、後半の部分として議会についてこれから御意見をいただきたいと思います。
それでは、事務局の方から御説明をいただきたいと思います。
○行政課長 議会に入る前に資料3でございますが、小幡委員から御指摘がございました損害賠償責任等の欄を加筆・修正したものをお配りしていますので、後でごらんいただきたいと思います。
それでは、資料4から議会制度について説明をさせていただきます。
地方議会制度のこれまでの改正経緯等についてまとめたものでございます。
1ページ、選出方法についてでございます。戦前におきましては、名誉職議員と構成されておりましたので、戦前の議員については無報酬でございました。また、公民制度というものがございまして、特定の要件を備えて公務に参与する権利、義務を有する者ということで、例えば貧困によって生活の援助を受けているとか、そういった人は対象外だといった制度になっておりまして、これを公民制度と称されていたところでございます。
そして、昭和21年、戦後、名誉職制度及び公民制度が廃止をされたところでございます。選挙権、被選挙権は、ここに書いてあるような形に改正されたところでございます。
2ページ、地方議会は憲法上議事機関とされておりまして、団体意思決定機能というのが地方議会の本質的な機能でございます。その中心となるのが議決権でございまして、現在の地方自治法96条に定められております。
戦前におきましては、府県については明治21年、制限列挙、市町村については概括列挙でございました。
昭和4年におきましては、府県会にそれまで認められていなかった条例制定権と議員の発案権を認めたところでございまして、権限が強化されました。
昭和18年におきましては、市町村会の概括列挙主義は制限列挙に改められまして、市町村会の意思決定機能を大幅に制限されたところでございます。
戦後、地方自治法が制定されまして、都道府県・市町村とも制限列挙ということでございますが、できるだけ議決権の拡張を図っていくということで、列記事項以外にも条例をもって議決事項の追加を可能とされたところでございます。
分権一括法によりまして、法令に違反しない限りにおいて、すべての事務について条例を制定できることとされたところでございます。都道府県・市町村が行う事務は、すべて自らの事務となったところでございます。
それ以前におきましては、機関委任事務については条例制定権はなかった。都道府県では、7割〜8割が機関委任事務であったということでございます。
3ページ、検査権・調査権についてでございます。
明治21年の時点で、市町村については事務に関する書類検閲権、報告書請求権が付与されておりました。
明治44年におきましては、実地検査権が付与されたところでございます。これは、書面または口頭の報告では「事実ノ真相ヲ看破スルヲ得サル」おそれがあるという理由でございます。
昭和18年におきましては、市町村においてこの実地検査権はなくなりまして、書面検閲権に限定されたところでございます。このときに、いわゆる今の監査委員制度の前身でございます考査役が設置されたところでございまして、実地検査は考査役の方で担っていくという整理がされたところでございます。また、実地検査等が行われた事例はほとんどなかったということも理由になっております。
戦後、新しい地方自治法によりまして、書面の検査権限と監査委員への監査請求権が付与されたところでございます。また、100条調査権が新設されました。100条調査におきましては、実地調査ができるということでございます。
平成11年におきましては、分権一括法、機関委任事務の廃止に伴った改正が行われております。
4ページ、最近の議会制度における改正でございます。議員定数等についてでございますけれども、まず議員定数につきましては、平成11年に条例定数制度が導入されました。市区町村議会に係る人口区分の大括り化と上限数の設定がされたところでございます。
議会審議の活性化につきましては、平成12年の施行でございますけれども、臨時議会の招集請求要件の実質的緩和と議案の提出要件及び修正動議の発議要件が緩和されたところでございます。
平成16年におきましては、議会の定例会の招集回数が自由化されたところでございます。
また、平成18年におきましては、地制調の答申を受けまして、議長への臨時会の招集請求権が付与され、また委員会制度の見直しによりまして、議員の複数常任委員会の所属制限の廃止、閉会中の委員会委員の任命の可能化、委員会への議案提出権の付与がされたところでございます。
これは右の欄にございますように、議会の組織に係る自主性・自立性の拡大を図る見地から改正され、また委員会審議の充実を図っていくという考え方でございます。
資料5、これは現在の議会制度についての資料でございますので、ごく簡単に説明させていただきたいと思います。
1ページ、議会は直接選挙により選出された議員によって構成されているということでございます。
選挙区については、都道府県議会議員は郡・市の区域による。指定都市議会議員は行政区の区域。その他の市・町村議会議員は、原則その市町村の区域をもって選挙区となりますけれども、特に必要があるときは条例で選挙区を設置できるとされております。
2ページ、議員定数につきましては、先ほど申し上げましたように改正がされまして、人口区分に応じて上限を人口区分ごとに法定して、その数を超えない範囲内で条例で定数を定めることができるという幅が認められたところでございます。
町村につきましては、議会を置かず選挙権を有する者、総会を設けることができるという町村総会の規定がございます。
3ページ、兼職・兼業の禁止でございます。兼職の禁止につきましては、92条によりまして、ここに掲げている職と同時に身分を有することができないとされているところでございます。また、公選法によりまして、公務員である者が議員選挙の立候補者となった場合には、その届出の日に退職した者とされ、他方、議員が在職中に次の職に就くような場合は、いずれかの職を辞する等の必要があるとされているところでございます。
4ページ、議員の報酬等でございます。報酬、費用弁償を支給。期末手当を支給することが可。※額・支給方法は条例で規定となっております。
政務調査費につきましては、調査研究に資するため必要な経費の一部として交付することができる。この額・対象経費・支給方法等は条例で規定となっております。
5ページ、議会の権限につきましては、先ほどの議決権と、いわゆる監視権の権限があるということで、それを整理したものでございます。
6ページ、議会の議決権につきましては、地方自治法96条第1項各号に列挙されておりまして、いわゆる制限列挙主義が採用されているところでございます。
条例で地方公共団体に関する事件について議会の議決事項を定めることができるというのが、96条の2項に定められております。
7ページ、議会の執行機関等に対する監視機能の図でございます。これは省略させていただきます。
8ページ、委員会制度についてでございます。常任委員会につきましては、置くことができるという規定でございます。そのほか、ここに書いてあることにつきましては説明を省略させていただきます。
9ページ、議会の運営についても説明を省略させていただきます。
資料6、諸外国における地方自治体の議会制度につきましては、昨年12月の地制調におきまして、国ごとの制度ということで説明をさせていただいたところでございますけれども、今回は項目別に組み替えて各国の比較ができる形で資料作成をさせていただきました。
1ページ、各国の議席数の比較でございます。日本の議席数は、必ずしも各国と比べて多いわけではないという状況でございます。
2ページ、議会の権限でございます。議会の招集権の関係につきましては、イギリスの監督官は通常自治体の法務部長が任命されているところでございます。
韓国は、首長または議長となっております。
ほかの首長(議長)となっているところは、首長が議長でもあるという制度でございます。
韓国のところは、全議員の3分の1以上、または首長が請求したときに議長が招集するということでございますが、議長自らの意思による招集はないということでございます。
3ページ、議決権についてでございます。これは制限列挙か概括的に規定されているかというところを、ざっとごらんいただければと思います。
4ページ、これは会期等あるいは開催がいつされているかということについてでございます。ドイツ、スウェーデン、イタリアは大体夕刻から開催されていることがわかろうかと思います。
5ページ、議員定数についてでございます。議員定数については、法律で定められているところが多いわけでございます。ドイツにおきましては、州法で規定ということでございますが、一定の幅での自由度は認められているところでございます。スウェーデンは、最低議席数を規定しているということでございます。
6ページ、議員報酬等についてでございます。無報酬のところが多いわけでございますが、手当の支給をされているところもございまして、実際にどのぐらいの手当が支給されているかということにつきましては、事例を前回、12月の地制調におきまして説明させていただきましたので、今回は省略させていただきたいと思います。
7ページ、被選挙権の制限でございます。イギリスにおきましては、地方公共団体の公務員は当該地方公共団体の被選挙権者となることはできないということでございます。したがって、違った地方公共団体であれば可能ということになります。
スウェーデンは、コミューン、ランスティングにおいて、幹部職員として雇用されている者は、当該地方公共団体の議会議員の被選挙権がないということでございます。
フランスも、職員を自ら所属する団体の議会議員に立候補することはできないということでございます。
イタリアは、コムーネ、一定の公職にある者は被選挙権を有しないということでございます。これは下の注2に詳細がございます。
韓国は、日本の制度と似ているわけでございますけれども、一定の公職者が立候補する場合には、当該選挙日60日前までにその職を辞任しなければならないとされております。
8ページ、これは今のとほぼ並びの規定でございます。
9ページ以降は、各国の議会の組織でございます。議会で互選された者が首長になるとか、いろいろな組織の制度があるということについては、前回、説明させていただきましたので、個々の制度の説明は省略させていただきます。
資料7、地制調での議会制度についての審議項目に沿って幾つか現状の説明をする資料として用意させていただいたものでございます。
まず、議会の団体意思決定機能や監視機能の向上策関係でございます。いわゆる議会の権限の充実という関係になろうかと思います。
2ページ、議会の団体意思決定機能として、条例案の提出は、長が提出、議員が提出、委員会が提出等についての件数でございます。一番左側の提出件数のところをざっとごらんいただければと思います。
3ページ、都道府県議員による提出の条例案でございます。合計の欄の提出件数のところを見ていただきますと、平成13年からの推移でございますけれども、150件、180件、200件といったような件数でございます。
4ページ、市議会議員による提出の条例案でございます。真ん中の辺りに総件数というのがございます。ここのところをごらんいただければと思います。
5ページ、議会の監視機能の関係でございます。これは、98条に基づく議会の検閲・検査・監査の請求が、どのぐらいされているかということでございます。これは、平成15年から19年までの間の状況を示しているものでございます。都道府県を見ていただきますと、検閲・検査をしたのは1件、監査の請求をしたのは3件ということでございます。検閲・検査をしたのは神奈川県、監査の請求は長野、高知でございます。
6ページ、100条調査権でございます。都道府県では4件ということでございますけれども、これは東京、長野、高知でございます。
7ページ、公聴会・参考人の招致の団体数、活用状況の表でございます。
8ページ、2番目として議会制度の自由度の拡大が、今回の審議項目の一つとなっておりまして、その関係でございます。
9ページ、96条2項の規定に基づく議会の議決すべき事件として制定されたものの件数でございます。これにつきましては、総合計画などを定めたものを議決事件としている団体が、下の◎のところでございますが、都道府県16団体、市区町村46団体ということで、こういったものがあるということでございます。
10ページ、これは全体の都道府県、指定都市、その他市の人口区分によって大体こういった定数、会期、報酬であるということを示したものでございます。
11ページから議員定数と議員数の変遷ということで、11、12、13ページとございますけれども、説明は省略させていただきます。
14ページ、ここからが新しい資料でございます。平成18年地方自治法改正事項について、実際にどのような取組み状況かということを調べて提出してほしいという委員からのお話がございましたので、注1のところにございますように、平成20年1月1日現在の状況でございます。議員の複数常任委員会への所属制限の廃止でございます。都道府県は1とありますけれども、これは三重県でございます。なお、平成18年の地方自治法が施行されたのは平成18年11月24日でございます。それ以降の状況になります。
15ページ、これも施行日は同じでございますけれども、閉会中の委員会委員の任命の可能化が図られたわけでございます。都道府県のところで見ますと、常任・委員会のみ可となっているのは長崎県、常任・議会運営特別委員会いずれも不可となっているのは福井県でございます。
16ページ、委員会への議案提出権の付与がされたわけでございますけれども、実際の提出議案件数というのは、都道府県が195件、市区町村が1,588件でございまして、かなり活用されている状況かと思います。
17ページ、臨時会の招集請求権が付与されたわけでございます。議長は議会運営委員会の議決を経て、長に対して臨時会の招集を請求できるという規定が設けられたわけでございます。
都道府県でうち議長の請求で1件というのは、長崎県でございます。
18ページ、専門的知見の活用でございます。都道府県の1件というのは静岡県でございますが、これは木造住宅の耐震化の支援制度に関する利用者ニーズ分析をするということで、建築学の学者の方を専門的知見として活用した例でございます。市区町村は5件となっておりますが、このうち3件、水戸市、目黒区、八尾市につきましては、政務調査費を対象にして、大学教授、弁護士の専門的知見を活用したということでございます。
19ページ、幅広い層が議員活動できるための環境整備関係でございます。ここからは、以前お出しした資料を構成し直したものでございます。
20ページ、1点だけ、職業別の状況、都道府県議会議員につきましては、議員専業が全体の45.4%でございます。
22ページ、町村議会議員の職業別のところで、農業というのがございます。これは40.6%でございます。
24ページ以降は、夜間議会・土曜休日議会の開催事例、前回出した資料と同じでございますけれども、開催日数としては年に何回とか、そういう形でございますので、常時そういう形でやっているところはないということでございます。
以上で資料7は終わらせていただきます。
資料8、先ほど地方議会の現況説明を3番目の柱として、幅広い層が議員活動できるための環境整備という項目で説明させていただきました。幅広い層が政治参加する制度の1つとも地域自治区制度は見ることができるということで、地域自治区制度も地方議会の議論と合わせて議論いただければと考えております。
住民自治の審議項目としては、この地域自治区制度のほかにコミュニティーというのが審議項目になっておりますけれども、コミュニティーにつきましては別の機会にまた題材としていただければと考えております。
1ページ、これは地域自治区制度についての制度の概要でございます。この地域自治区制度については、地域自治区制度の設置の柔軟性がないのではないか。あるいは設置のメリットが少ないのではないかという指摘がされているところでございます。
上から3行目でございますけれども、当該市町村全域に置かなければならないとされておりまして、一部地域での設置を可能とすべきではないかということが、総務省のコミュニティーの研究会でも指摘されたところでございます。
また住居表示に地域自治区の名称を冠することができないとされております。
地域協議会の権限についてでございます。条例で定める地域自治区の区域に係る重要事項について、市町村長が意見聴取/市町村長に対する意見具申権というのが権限となっております。権限をもっと広げるべきではないかという意見もございます。
地域協議会の構成員については、地域自治区の区域内に住所を有する者のうちから選任するとなっているところでございます。自治法上の地域自治区制度を使わずに地域協議会というものを行っている自治体があるわけでございますけれども、その要因の1つとして、いわゆる通勤者から選ぶ、あるいは外国人から選ぶ、そういったようなことで、この地域自治区の区域内に住所を有する者というところが制約になっているということから、自治法上の自治区制度を使っていないところもあるところでございます。
設置期間については、制限なし。
事務所については、事務所長にかえて区長を置くことはできないとされております。
2ページ、地域自治区の一般制度を活用しているのは、全国で17団体ということでございます。大半の団体で設置期間は設けておりません。
条例に定める市町村の施策についての重要事項につきましては、ここにあるような事項が定められているところでございまして、その例としては参考の下の欄をごらんいただければと思います。
3ページ、地域協議会の構成員の状況でございます。構成員の属性でございますけれども、構成員の60%は公共的団体等を代表する者、ついで、地域の行政運営に関し優れた見識を有する者が多いということでございます。公募については、全体の10%となっております。
構成員の定数は、15〜20名としているところが約7割ということでございます。
4ページ、地域協議会の開催状況、左側が17団体すべてでございますけれども、平均の年当たりの開催数はこの程度となっているところでございます。秋田県大仙市の事例が右の方に記載しております。
5ページ、地域協議会の開催状況でございます。開催の日時としては、一番多いのは平日の夜間で8割ございます。平日の午後開いているのが7割弱。そのほか平日の午前、土曜の午後という状況でございます。
平均的な審議時間としましては、1時間半から2時間未満と2時間以上という審議時間をかけているということでございます。
6ページ、地域自治区制度の成果・課題でございます。成果としましては、64.2%が市町村の施策等に対して、住民の意見がより反映されるようになった。50.4%が市町村の施設等に対して、住民が活発に意見を表明するようになった。48.0%が市町村の施策等に対する住民の理解・関心が深まったということでございます。
課題としましては、制度に対する住民の理解を深めること。既存の審議会、地域コミュニティ組織等との連携を深めること。地域協議会において、より建設的な議論を行うこと。といったような課題が出されております。
なお、今、説明させていただいております地域自治区制度についての資料は、ほとんど新しい資料でございまして、ここの6ページのところに書いてございますのは、平成19年10月1日時点で調べた資料等でございます。
7ページ、諸外国における地域自治組織の実態等でございます。これについては、時間の関係もございますのでごく簡単にさせていただきたいと思います。イギリスにおいてはパリッシュ、資料に抜けておりますが根拠法が何かということだけ説明させていただきます。英国のパリッシュは、従来からあったわけですけれども、法律としては1972年の地方自治法で位置づけられております。
フランスの近隣住区協議会につきましては、2002年の近隣の民主主義法によって近隣住区協議会というものが設置されるようになったところでございます。
ドイツは、Beden-Wurttemberg州の州法、ドイツの場合は州によって条例が違いますので、例として記載しておりますが、根拠は州法でございます。
アメリカのピッツバーグ市も州法によって近隣協議会というものが定められているところでございます。
詳細の説明は、時間の関係もありますので省略させていただきます。また、必要に応じて御説明させていただきたいと思います。
11ページ以降、参考資料として「地域自治区制度について」ということで、12ページは地域自治区の事務所において処理している事務、それから、重要事項についての意見がどのように出されて市町村で議決されたのかという実態が13ページ、14ページは構成員の状況、15ページは上越市の選挙の状況、16ページも同様でございます。
20ページ、地域自治区制度によらないで協議会等を設置している事例でございます。川崎市の事例は、先ほども申し上げましたように、住民でない人を入れているということでございます。
21ページは神戸市、22ページは静岡市等の事例でございます。
23ページは、平成20年1月現在で都市の住民自治組織について、自治総合センターで調べた資料について参考として添付させていただいております。
25ページは、地域協議会における審議の模様ということで、実際、どのような形でやっているのかということを御理解いただくために付けさせていただきました。
以上で説明を終わらせていただきます。
○林小委員会 どうもありがとうございました。それでは、議会につきまして、平成18年の地方自治法の改正で随分前進したわけでありますけれども、まだ積み残しの問題、あるいは未解決の課題がございます。それにつきまして、この29次の地方制度調査会で議論しようと。課題が団体の意思決定機能を強化する、あるいは監視機能を強化するための方策はどのようなものがあるか。それから、議会制度の自由度を拡大する方向。そして、幅広い層が議員活動ができるような環境を整備するには、どのようにすればいいか。その中で、地域自治区が入るのではないかということでございました。
今日、残された時間は30分程度ですので、今日、御説明いただきました資料につきまして、まず御質問をいただきながら、そして更に今後検討していく上で、こういうものが必要ではないかということを中心にお話をいただければと思っております。勿論、議会制度の改革についての御意見も歓迎でございます。
どなたかいかがでしょうか。どうぞ。
○片山副会長 ちょっと質問したいんですが、最初に資料6の5ページ、そこに議員定数の問題が取り上げられていて、イギリスでは「各選挙区と定数が規定されている」と書いていますが、これは何に規定されているんでしょうか。というのは、ドイツは州法、スウェーデンは地方自治法と書いていますけれども、イギリスは根拠法令が書いてない。
もう一つは、資料8の6ページに地域自治区制度の成果・課題というのがあって、全123地域自治区の回答状況、平成19年10月1日時点と書いてありますが、これはだれにアンケートした回答でしょうか。
この2つを教えてください。
○行政課長 イギリスの場合には、例えばですけれども、
GLA(グレーター・ロンドン・オーソリティー)の場合には、1999年の
GLA法によりまして、小選挙区の議員などの定数が定められているということでございます。ほかのウェールズとかスコットランドとかは、それぞれ小選挙区で1名という形が定められているんですけれども、この根拠法は今すぐにはわかりませんので、次回報告させていただきたいと思います。
それから、地域自治区の制度について聞きましたのは、市町村、自治体に対してアンケート調査を取らせていただいたということでございます。
○片山副会長 その地域の住民ではないということですね。
○行政課長 はい。
○林小委員長 ほか、いかがでしょうか。
眞柄委員、どうぞ。
○眞柄委員 地域自治区、資料8の3ページなんですけれども、質問なんですが、属性のところで一般制度の約60%が団体の代表者ということで、下の方にその例が出ていると思うんです。そうすると、組合ですとか何とか連合会ですとか、そういったところの方が約60%を占められていて、公募が全体の約10%ということで、かなり割合としては低いと思うんですけれども、これは公募は選択性のような形になっているために低いんでしょうか。
○行政課長 団体によって違うと思うんですけれども、一般的に住民から公募をした中から、何人か地域協議会の委員として長が選任するという形なんですけれども、割合が少ないのは、公募という人を委員の中に選定していない団体もあると思いますので、その辺の内訳を調べてみないとわかりませんので、少し分析をしてみたいと思います。
14ページをお開きいただきますと、公募の割合がゼロというところが、福島県の南会津町とか出雲市とか、そういう公募自身を委員としての選任の中に入れていないところもあるわけですが、そうでないところはこの割合によって、例えば一番高い40%、秋田の横手市などのような例もあるということで、この辺は構成員の選び方にかかってくると思いますので、少し分析をしてみたいと思います。
○林小委員長 どうぞ。
○名和田委員 今のに関連してですけれども、特に上越市の場合はもう投票で選んでいて、立候補するわけですね。これを公募というカテゴリーに分類しているのかとか、あるいは例えば私が知っている限りで言うと、宮崎市などは公募がいるんですけれども、やはり地域でお願いをして自治会長さんに手を挙げてもらうというケースもあったり、この属性の分類の仕方が資料の全ページにわたってその辺が交錯していないかどうか、可能な範囲で結構だと思うんですけれども、確認をいただければと思います。
○行政課長 確認させていただきます。ただ、上越市は一般制度としての地域協議会ではございませんので、この10%のところではございません。選挙で選ばれたというのは、公募の区分とは違うと思いますが、確認してみたいと思います。
○林小委員長 ほかの委員の方、いかがでしょうか。
斎藤委員、どうぞ。
○斎藤委員 2点あります。1つは、議決事件、資料で言いますと資料7の地方議会についての9ページです。96条2項で、条例によって議決すべきものを現に定めているところがこれだけある。その中で、基本計画はよく聞くわけですが、これは今日ではなくて結構ですが、その基本計画以外でどういうことをこれを使って定めているのがあるのかというのがわかれば、お調べいただければありがたい。問題意識としましては、これは資料5の6ページに議決事件の条文が挙がっていて、そこの最後です。96条につきましては、条例で議決が追加できるけれども、法定受託事務は除くとなっています。
この法定受託事務も自治体の事務でありますが、これはなぜ除かれているのかというのも問題だと思いますし、今回、分権改革委員会の方で、自治事務については、義務づけ、枠づけの緩和という議論をしておられますけれども、法定受託事務についての議会の関与という点では、法定受託事務にかかるものが議決から除かれている点は問題だと思いますので、そういった点も含めて、基本計画以外でこういう事例があって、そこで例えば法定受託事務が範囲に入るのであれば、もっとこういうことができるというのが出てくれば、そういう議論の取っかかりになろうかと思います。
もう一点、これは以前にも一度申し上げましたが、ちょうど6ページの議決事件の中で「10) 権利の放棄」というのが挙がっています。議会が権利を放棄することができる。これは資料5の7ページに議会がどういうふうに監視機能を現在果たすことができるか、いろいろなルートがあり、個別外部契約を結んでいるところがあればそれによってチェックするというルートもあります。ところがそれと逆の方向を向いているところがある。つまり議会がいろいろチェックすべきであるにも関わらず、住民訴訟で違法が認められ、自治体が請求すべき債権について、議会が放棄するという慣行が一定程度広がりを見せている。
これはチェック機能の強化という点で非常に問題だと思いますので、これは今回というのは無理だと思いますから、そういう住民訴訟で住民側が勝訴して、あるいは住民訴訟係争中に議会がその権利を放棄してしまったという事例がどれぐらいあって、増えているのか、減っているのかということをお調べいただければありがたい。
以上。
○林小委員長 どうぞ。
○行政課長 1点目の96条2項の基本計画の策定以外の議決事件の関係については、詳細は次回提出させていただきますけれども、多いのは、職員定数を定め改廃に関することという定数の関係につきまして、議決すべきものとしている条例が複数ございます。次回、詳細を提出させていただきます。
2点目でございますが、96条2項、法定受託事務を対象外にしているということは、分権一括法の際にそういう整理をしたわけでございますけれども、法定受託事務につきましては、処理基準を定められるとされておりまして、処理基準で議決事項の追加を許さないとすることも可能ではないかといったようなこと、それから、違法な議決事項の追加がされた場合に、問題が出てこないか。そういったような幾つかの懸念から、前回の分権一括法の整理におきましては、法定受託事務は除くとされていたところでございます。
この点につきましては、現在の分権の推進に伴う地方議会の権能拡大という観点から、この議決権の追加についてどうするのかということは、1つ御議論の対象ではないかと思っております。
あと対象となるものとしては、どのようなものがあるのかといったようなことについても、議論の際に検討する必要があるかなと考えているところでございます。
3点目につきましては、次回、対応させていただきたいと思います。
○林小委員長 ありがとうございます。
小田切委員、どうぞ。
○小田切委員 資料8の地域自治区制度ですが、2〜3ページは共通しておりますが、勿論この制度が合併特例制度と一般制度に分かれているというのは、大変よく承知しているつもりなんですが、この資料であえて合併特例制度を参考という形で載せている意味がよくわからないものですから、この参考というのはどういう含意があるのかということを教えていただければと思います。
○行政課長 一般制度として地域自治区はどうあるかということをこの地制調で議論するというのが主になるのかと。合併につきましては、現在、合併特例の制度につきましては、一定の時限の制度でございますので、そういう意味で参考としているわけでございます。
この制度につきましても、現在、合併を推進している途上でございますので、議論をしていただくということは可能ではないかと思っているところでございます。
○林小委員長 小林委員、どうぞ。
○小林委員 ここに挙がっていない資料がもしあったら出して欲しいという趣旨での話ですが、議会について自治法上に特に定められていない全員協議会とか委員会協議会の話が議会の話の中でときどき問題になったりするかと思うんですが、それに関する資料をもしお持ちでしたら、お示し願いたいと思います。
例えば全員協議会とか委員会協議会を公開、住民に対して傍聴を認めているとか、議事録を公開しているとか、年間に何回ぐらい開かれているかとか、それが首長の求めで開かれているのか、あるいは議員さん同士が自主的に集まっていろいろ話しをしているのか、またどういった理由でそういうものを開いているのかなど、そういう資料をもしお持ちでしたら、是非よろしくお願いいたします。
○行政課長 ございますので、次回提出させていただきます。
○林小委員長 どうぞ。
○片山副会長 先ほど質問したことの延長なんですけれども、地域自治区について、アンケートをどなたに取ったんですかというと市町村だという。総務省の人はいつもそうなんです。本当は裏をとらなければいけないので、こういう制度は何のためにありますかというと、市町村のためにあるのではなくて、住民のためにあるはずなんです。広域化した場合に、できるだけきめ細かく地域の意見が反映されるようにということだから、これはだれのためにあるかというと、その地域の住民のためです。住民に聞かなければいけない、クライアントに聞かなければいけないんですけれども、皆さん方はいつも供給者側に聞くんです。
これは言うなれば、皆さんの販売系列店の店長会議をやっているようなものなんです。そうすると、クライアントの気持ちはわからないんです。こういうときは、是非できる限りクライアントから聞かれるようにしないと、総務省自身がずれてくるんです。現にこのアンケートはこれだけだとやはりずれています。
例えばこれを一般の地域の住民に聞いたらどうなるかというと、こんな市役所の息のかかったおじさんばかり集めて、我々の地域の声が出るはずがないというのが多分大勢だろうと思うんです。しかもこのメンバー、今、現に任命されている人たちの累計を見ると、公募を少し付けているところはありますけれども、大体役所が根回ししやすい人ばかりなんです。本当にこういうものをやろうと思ったら、上越市のような選挙でやるとか、せめて手を挙げた人の中から抽せんとか、輪番とか、そのような方がもう少しデモクラシーに近いです。
だから、系列販売店から意見を聞くのではなくて、クライアントから聞くということを是非していただきたい。それをしないならば、両方出さない方がいいです。これは非常にミスリードして、うまくいっているのかなと思って見ると、成果は非常にいいし、課題は微温的な課題ばかりです。ラディカルな課題が全然ないです。そこは是非気を付けてもらいたい。意図的にやっているとまでは思いませんが、ついつい市町村から聞けば、大体地方の実情がわかるというのが総務省の古き悪しき伝統だけれども、そこは変えられた方がいいと思います。
○林委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
名和田委員、どうぞ。
○名和田委員 これは質問とか資料の要求とかではなくて、議論しなければならないのではないかと個人的に考えていることを委員の先生方になげかけさせていただきたいということで、私自身もよくわからないということです。
大きく2点ありまして、地域自治区制度をこの文脈で取り扱う。つまり、幅広い人が政治参加できる仕組みとして、議会改革と同一の文脈で扱うということで、この扱い方は確かに私の頭の中でも、ある種有効なものとして理解されておりまして、大変よい文脈であると思っているのですけれども、その際、今、御説明を聞いてある種ショックだったのは、先ほどの地域自治区制度の中で、地域協議会の委員のなれる、委員という言葉は法律上の言葉ではありません。一般には地方自治体で委員と言っていますけれども、構成員というのが法律上の言葉だと思いますけれども、一応委員と言わせていただきますけれども、地域自治区の委員を選任するという場合に、当該区に住所を有する者から選ぶとなっていて、これは恐らく近代国家の伝統的な民主的な意思決定の基本原理だと思います。
ところが、この原理に対して、やや違和感を持っている自治体というか試みが幾つかあって、確かに御説明になった川崎市がそうなんです。私も川崎市の説明を直に聞いたことがあって、ある種感慨を持った次第です。
この地域自治区というのは、単にという言い方はよくないかもわかりませんけれども、政治参加、住民自治の充実の仕組みであるという意味合いだけでなくて、むしろ最近言われている共同の仕組みとしても機能しつつあるという現代社会の地場に置かれている制度であるわけです。そうすると、そちらの方に引っ張られて、その地域にいる在勤、在学者も含めて地域を活性化したいとか、場合によっては企業も地域の一員だからということで、自治会、町内会などですと、法人を会員にしている自治会、町内会もたくさんあります。
そういう地場の中にこの地域自治区制度というものが置かれていて、その中で幅広い人が政治参加できる仕組みと考えたときに、当該地域に住所を有する者という縛りと言いますか、これを緩和するみたいなことが適切であるのかどうか、私は近代的な基本的政治原理にやや執着があるものだから、それはどうなのかなと思わなくはないんですけれども、その辺について是非御議論いただきたいというのが1点です。
もう一点は、いつぞやの西尾委員の御発言もあったかと記憶しておりますけれども、大分方向性が見えているかと思いますけれども、やはりこの地域自治区の地域協議会の委員の選任の仕方として、選択肢として選挙制を認めていくということです。
これはまた先ほど申し上げた地場の中にある制度ですので、どうしても地域の代表者を選挙で選ぶのですかというような違和感を言う方は結構います。実際にフィールドワークをすれば、それはどの自治体でも言われます。
しかし、ある程度遠ざかったところで、例えば政令指定都市の行政区とか、ああいうところに選挙制の機関がないというのはむしろおかしいわけで、ああいうところを現行法では区・地域協議会を選挙制にするなどということをやってもいいと思う自治体はあるはずで、そういう自治体が選挙制の地域自治区を設けて、住民自治の充実に資するというような選択肢を設けることは、地域自治区制度をよい方向で活用する1つの方策ではないかと思っております。
この点について、もし地制調として一念ができるならば、そういう方向で制度の改善を図っていただきたいと思います。
ほかにも細かいことはたくさんありますけれども、その2点が割と大きな論点ではなかろうかと思う次第です。
以上です。
○林小委員長 ありがとうございます。恐らく、今後議論するときに、幅広い層から選ぶという話のときには必ず出てくる話だろうと思いますので、ただ、その場合に負担をどうするのかというか、お金の問題が関わってくると、税制がどうなっているかとか、これは地域自治区だけの問題ではなくて、要するに通勤者、通学者が自治体の意思決定に参加することができるのかどうかといったときに、負担はどうなるんだろうという話です。
だから、意思決定なしに負担だけ求めるのもおかしいし、逆に負担もないのに意思決定に参画できるのもおかしいしという話になっていきますから、その辺りは税財政制度全体の中での議論ということにもなるかもしれません。
ただ、地域自治区という話になると、その辺りは少し検討する必要もあるのかなという気もいたします。
また、これは御議論をいただければという具合に思っておりますので、改めて議論をさせていただきたいと思います。
今日、是非次回までに、この辺りを調べておいてもらえないだろうかという御意見がございましたらお願いします。
政所委員、どうぞ。
○政所委員 選出選挙の方法について、わかる範囲いただければと思います。
資料6の諸外国の議席数と比較がありますけれども、選挙の選出の違いがあれば、それを是非お示し願いたい、資料8の先ほどの地域協議会ですが、これは従来型の構成員が多いようですけれども、例えば公募というのも、どのぐらいの期間公募をして、どういう媒体を使って発信をしたのか。それから、多数があったときに抽せん審査か、どういう方法をとったかということをお願いします。
○林小委員長 ありがとうございます。
ほかに、いかがでしょうか。金子委員、どうぞ。
○金子委員 資料7地方議会についての資料のところの幅広い層が議員活動できるための環境整備関係の資料のところですが、これは前に出していただいた資料ではありますが、これを見ていますと、都道府県議会と市区議会、町村議会では、かなり違った状況が見られる。
幅広い層の議員活動という文脈では、夜間議会や土曜休日議会の開催事例ということで、市区議会等の例は出ています。この辺りの議論について、都道府県議会も市町村議会も全部ひっくるめて議論するのか、それとも都道府県議会は別のカテゴリーのような形で議論するのかというのは、若干見えないところです。これから市町村合併の進展、都道府県から市町村への権限の移譲の話もある中で、私自身として、やはり都道府県議会をどう考えていくのか。これは1つの論点になろうかと思うので、これに関するような資料等ございますれば、まとめていただいてもいいのかなと思います。
地域協議会の話も、全部、基礎自治体たる市町村議会の機能強化みたいなことにつながる話だと思います。そうなると都道府県議会はぽっと浮いている感じがしてくるので、都道府県議会自身についての議論もやらなければいけないのではないかなとずっと思っております。
以上です。
○林小委員長 ありがとうございます。その点に関して、ちょっと考えさせていただきたいと思います。というのも、今回は議会共通の問題をどうするかということで、今後と都道府県の役割がどうなるかということを踏まえて、そもそも都道府県議会とはいかにあるべきかということについては、とりあえず置いておこうという話をしたいと思っておりますので、今、積み残しの問題あるいは未解決の問題をまず片付けていこうというように思っておりますので、また検討させていただきますけれども、そういう方向でさせていただければという具合に思っています。
ありがとうございました。時間も参ってきましたので、意見交換はこの程度にとどめたいと思っております。
本日は、議会につきましても、少し中身に入った議論をという具合に思っておりましたけれども、時間的に余裕ございません。ただ、非常に大きな課題をたくさん抱えているものですから、今まで大体月1のペースで専門小委員会を開催しておりましたけれども、必要に応じて、月2回ペースで開催をすることもあるということで考えておりますので、御協力のほど、よろしくお願いをしたいと思います。
それでは、事務局から今後の日程等について、御説明をいただきます。
○自治政策課長 次回の日程でございますが、急遽御連絡させていただいたところでございますが、6月17日火曜日、午後2時からこの会場で行います。どうぞよろしくお願いいたします。
開催の公文書につきましても、資料に入れておりますので、御返信方、よろしくお願い申し上げます。
また、次々回でございますが、これは既に御案内いたしておりますが、6月27日の金曜日、1時から中央合同庁舎第7号館の共用会議室1で行います。前回、林小委員長の方から御指摘ございましたように、初めて使用する会場でございますので、会場の入り方の紙を入れております。入り口の小委員会の案内板付近に職員がおり、対応いたします。御確認の上、御出席方、よろしくお願いいたします。
また、合わせまして、7月、8月の日程の紹介を行う紙も入れておりますので、お忙しいところ恐縮ではございますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
○林小委員長 それでは、これをもちまして、本日の専門小委員会を閉会いたします。長時間どうもありがとうございました。
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