会議資料・開催案内等



29次地方制度調査会第12回専門小委員会 次第



平成20年6月27日(火)13時00分〜15時00分
中央合同庁舎第7号館共用会議室 1(9階)


1   開会


2   議題

  議会制度及び地域自治区制度について


3   閉会




配付資料(PDF)
 
資料1   地方議会について
資料2 市議会における特色ある取組
資料3 地域自治区制度について
資料4 地方議会制度に係る論点





○林小委員長 それでは、時間がまいりましたので、第12回の専門小委員会を始めさせていただきたいと思います。
 本日も、前回に引き続きまして、議会制度及び地域自治区を議題に意見交換を進めたいと思います。
 まずは、事務局より30分程度御説明をいただきまして、その後、委員間での意見交換を行いたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。
○行政課長 資料1から順次説明させていただきます。
 7ページをお開きいただきたいと思います。前回、委員から法定計画についての資料の要望がございましたので、今回、地方公共団体が法律により作成を義務づけられている計画の例として作成させていただきました。自治事務の計画につきましては、都市計画法に基づく都市計画、医療計画、地域森林計画、過疎地域自立促進市町村計画等でございます。
 法定受託事務に係る計画でございますが、分権一括法の制定時にほとんどの計画策定は自治事務と整理されましたので、法定受託事務は数少ないわけですけれども、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律に基づく都道府県基本計画、武力攻撃事態等の国民保護計画、河川法に基づく河川整備計画。河川整備計画は、一級河川の指定区間及び二級河川が対象になっています。こういったものがあります。
 15ページをお開きいただきたいと思います。会期についての御議論が前回ございましたが、会期の見直しに係る議会の取り組み事例でございます。
 まず、三重県議会でございます。定例会の招集回数を年4回から年2回に改め、年間の総会期日数を増やすということで、従来102日だったものが228日ということで倍以上に増やすというものでございます。これによりまして、一定例会当たりの会期日数を大幅に増やしまして、議会の審議をより充実していくことが可能となり、議員相互の討議による議会の活性化、県民の意向を議会の審議に反映させていくことにつながるという趣旨で改正が行われております。
 次が白老町議会でございます。定例会の開催回数を年1回として、その会期を通年とする通年議会制を実施しているということでございます。この町議会におきましては、議会に求められている役割・機能の更なる充実強化を図るため、議会が主導的・機動的に活動できるよう定例会の開催回数を年1回として通年とするということで、この議案説明がされております。
 27ページをお開きいただきたいと思います。供託についてでございます。供託額でございます。候補者の届出、または、推薦届出をしようとする者は、町村の議会の議員選挙を除くすべての選挙におきまして、候補者1人について下の表の区分による金額、またはこれに相当する額面の国債証書を供託しなければならないとされております。公職選挙法第92条でございます。
 供託物の没収につきましては、下の表のとおり没収点が定められております。
 供託金の制度は、イギリスが発祥であると言われておりまして、売名あるいは選挙妨害を目的とした立候補の乱立を抑制するという観点から設けられているとされております。
 28ページをお開きいただきたいと思います。これは「諸外国における地方議会のパターン」という表題になっておりますが、我が国の地方議会は今後どのような議会を目指すのか御議論をいただく上での参考として、諸外国の地方議会のイメージが浮かぶような事項を資料としたものでございます。統一は余りとれておりませんけれども、参考にしていただければと思います。
 まず、アメリカは、少ない議員数。全米で人口2,500人以上の自治体の議会の議員数は平均で6人。大半が非常勤職員で少額の議員報酬。
 大半が非常勤職員の報酬はゼロないし極めて少額支給。
 簡素な議場、それから、議員同士の討論、会の審議の場は、議員が当局に質問する場ではなくて、住民の意見を聞きながら、これを踏まえて議員が他の議員と意見を闘わせながら合意を形成していく場とみなされているということで、市民も参加して市民の積極的な発言がされるということでございます。
 周期的開催と夜間開催、議会への入場の自由ということで、市民はもとより他地域の住民等についても自由に傍聴ができる。議会の公開と透明性といったことが特徴となっているわけでございます。
 次に、イギリスでございます。前段に「欧州諸国の」と書いてございますが、欧州諸国の地方議会制度を概括すると、いわゆる議院内閣制が採用されているところが多いと。ただ、近年、議院内閣制からこれに加えて公選首長制を採用する方向に変化しているという面もあるということが書かれております。
 そこで、イギリスの地方議会制度については、ほかにも幾つかの類型があるのですけれども、主としてリーダーと議院内閣制、公選首長とカウンシル・マネージャー制度という2類型が多いということでございます。このリーダーと議院内閣制は、与党の代表・リーダーとして議会が任命する。リーダーは政策や予算の枠組みを内閣に提案する。内閣は、大体10名以内でリーダーが推薦して、議会が任命していて、内閣は政策予算を決定するというものがリーダーと議院内閣制でございます。
 公選首長とカウンシル・マネージャー制度の方は、リーダーを直接公選するということで、公選首長ということで強力なリーダーシップを期待する制度でございます。リーダーは政策や予算の枠組みを決定し、カウンシル・マネージャーは1名ですが、職員の指揮をとり、行政事業を執行するという形になります。
 ほとんどの自治体がリーダーと議院内閣制に移行し、結果として西欧標準に英国の議会制度が近づいているという記述がございます。
 フランスは、執行機関は首長もそれを補佐する副首長も、議会の議員間で互選で選出すると。首長は議会の議長でもあるということでございます。
 フランスは地方選挙については2回投票方式と兼任が特徴だということでございます。2回投票方式ですと2回目のときにまとまればよいということで、1回目には若手が出やすいということでございます。また、現職のまま県議会・国会へ挑戦できるということで、それに当選すれば兼任するということで、若手が育つということでございます。
 それも含めまして、フランスでの地方選挙制度の特色を「※」に列挙しております。
 ドイツは、市町村の権限のところでは、自らの組織を直接または間接的に選任する権限、いわゆる組織高権があるとされているという表現がございます。
 ドイツでは、市町村長が直接公選で選出されるようになってきたということで、議会と市町村の関係に少なからず変化が生じてきたと。従来は、議会の第一党の代表が市町村長になるということが常態であった自治体で、直接公選ということで、場合によっては政党に所属しない市町村長も誕生してきているということが書いてございます。
 例えば、ヘッセン州では、市町村長と議会の間に立つ中立な立場の調停者、メディエーターを置き、議会運営を円滑にするための政治的調整に取り組んでいるということでございます。
 次に、スウェーデンでございます。議員は、住民による直接選挙。
 議会の議決事項について、ここに書いてございます事項及びコミューン、ランスティングにとって非常に重要な案件について議決するとされています。議会は、ここに列挙された事項については、委員会に委任することができないとされています。
 スウェーデンの地方議員は専業職ではなくて、職業を持つ者あるいは学生などであることも多いということでございます。したがって、夕刻から開催され、2〜5時間程度の時間をかけて行っているということでございます。
 議案は、議決にかけられる前に、起草委員会またはその分野を担当する委員会によって起草・審議される。議案の取扱いについて不当な遅延が起きないように地方自治法に審議期間の制限が盛り込まれているということで、提出されてから1年以内に採決が可能なように審議するといった規定があるようでございます。
 韓国は、地方議会と地方自治団体の長が両立する機関分立型ということでございまして、韓国は日本の制度と非常に似た地方自治制度でございます。
 議会の権限、議決事項も法定の議決事項として定められているものがアから以下にございます。この中で、日本の地方自治法と違った項目が定められているのが、基金の設置・運用、請願の受理と処理、外国の地方団体との交流協力に関する事項というものが列挙されております。
 35ページをお開きいただきたいと思います。町村総会との関係で、諸外国における直接民主制の例でございます。アメリカのニューイングランド地方のタウンにおけるタウンミーティングは、全員参加のタウンミーティングで、タウンの懸案事項を決定する直接民主主義というのがその基盤になっているということでございます。このニューイングランドの6州のタウンの政府形態については、ロードアイランド州を除いて伝統的なタウンミーティングが大部分を占めているということでございます。
 住民の参加状況としては、参加率は1996年ですけれども5〜20%、小さなタウンほど参加率が高く、大きいタウンほど参加率が低いということでございます。
 タウンミーティング制度の修正という項目でございますが、政府形態は時代に対応し、立法府たるタウンミーティングが組織上変化し、タウン議会にとって代わったり、住民に特に関心のある予算案のみを審議する予算タウンミーティングが設置されたり、あるいは選ばれた者によって構成される代表制タウンミーティングが採用されるというように変化しているということが書いてございます。
 次に、スイスでございます。スイスは8割を超える自治体で住民総会が実施されているということで、年2〜4回程度。会場は体育館、協会、公民館、役所の大会議室等で夕方18時ないし20時から1時間〜1時間半程度行われています。議事進行は自治体の首長、そして、事前に配付される執行部の提案書について討議しているということでございます。
 なお、スイスは、自治体の平均人口は2,500人でございます。住民総会の参加率は10〜20%程度にとどまり、あるいは数パーセントしかない場合もあるということでございます。
 住民総会の提案は、市民権申請の承認、各委員会の選挙、年次予算・決算の承認、その他でございます。
 資料1の追加あるいは変更は以上でございます。
 次に、資料2でございます。前回委員会から市議会における特色ある取り組みがあれば出してほしいという要請がございました。この資料は、平成19年中における市議会の活動に関する実態調査ということでございます。
 特色ある議会施設の運営の事例というのが1ページからございまして、6ページから議会改革の取り組み事例というのがございますが、重なっている部分もございますので、主なものだけ少し抽出して紹介させていただきたいと思います。
 1ページですと、質問を対面式で実施するとか、ケーブルテレビ放送をするといったようなこと。次のページも、インターネットでの中継、一問一答式を導入したということ、委員会議事録を公表している。
 6ページになりますと、議会改革検討委員会というのを設置して検討しているという議会がかなりあるわけでございますが、また、その中では、政務調査費について領収書を添付するなどの見直しをしたとか、費用弁償を見直したといったこと。
 8ページですと、政治倫理条例を制定したと。ここでまた一問一答式等々も出ておりますが、そういったこと。
 次のページですと、区議会の情報公開条例あるいは費用弁償の見直し。12ページ、一問一答式、13ページも政務調査費等々、大体そのようなものが多く挙がっているところでございます。
 なお、議会基本条例を制定している自治体というのは、前回例示として委員から御発言かございましたけれども、議長会で調べたものはございませんが、今年4月現在では都道府県で1議会、三重県議会です。市町村で15議会で議会の基本条例を制定しています。合計16議会ということでございます。それぞれ内容は若干異なっているところですけれども、基本理念あるいは長と議会の関係、あるいは県民の参画といったことを規定している基本条例が多いようでございます。
 次に、22ページをお開きいただきたいと思います。ここからは子ども議会、女性議会、模擬議会等の開催事例の紹介でございますので、後でご覧いただければと思います。
 次に、資料3でございます。地域自治区について現行法がどうなっているか、解釈でどこまでできるのかということを示してほしいという前回の委員の要望に対する資料でございます。
 設置につきましては、地方自治法で条文としては区域を分けて定める区域ごとに地域自治区を設けることができるとされておりまして、市町村内の全域に設置しなければならないとされておりますが、同時に全域に設置するのではなく、段階的に設置することはできるとされております。
 また、指定都市については、現在市長の権限に属する事務を分掌させるため、条例でその区域を分けて行政区を設け、区の事務所を置くとされております。このため、区の地域協議会を置けるものとして、地域自治区と同様の機能を持たせることにしたわけでございますが、これだけでは区の規模からして地域自治区の趣旨・目的を達成することは困難であるということから、区に区地域協議会が設けられた場合であっても、必要に応じて一部の区のみに地域自治区を置くことができるとされております。
 合併特例による地域自治区については、市町村内の一部の区域に設置することができるとされております。
 構成員の選任でございますが、これは条文上、市町村長が選任するとされておりますので、公選に委ねることはできない。ただ、上越市のように準公選ということで公選に準じた手続に基づいて、長が選任することはできるということでございます。
 地域協議会の意見については、自治法の規定がここにあるとおりでございます。
 それから、事務所における事務の分掌については、長は権限に属する事務の一部を事務所の長に委任することができるとされております。
 3ページをお開きいただきたいと思います。合併時の特例と指定都市の行政区などの比較の表でございます。説明は省略させていただきます。
 4ページでは、地域自治区制度を法律で規定する意味があるのかという御質問がございました。制度創設時の整理ということで、その部分だけを抜き出したものでございます。趣旨は法律上の規定がなくても、市町村の判断によって地域自治区と同様の仕組みを設けることは可能である。地域自治区制度の趣旨は、地域自治区の創設の道を開くことにあるのではなくて、自治法上、市町村の区域内においてより狭い区域を単位として住民の意思を反映させる仕組みを明確に位置付けて、住民自治の拡充方策を充実しようとするところにあるというのが制度創設時の整理でございます。
 では、具体的な法律効果は何かというのは、その時の整理としまして、一つは、地域協議会の構成員の構成に関し、市町村長に対し構成員選任に当たっての配慮義務。それから、地域協議会は単なる諮問機関ではなく、自ら建議できる機関であることを明確にしている。それから、地域協議会の構成員について非常勤職員への報酬支給原則の対象外とするといった法律効果があるという整理になっております。
 5ページでございます。地域自治区制度を活用した住民等との協働の事例を全国的に調べていただけないかという要望がございましたが、全国的な調査というのはなかなか難しいところもございます。現在、把握しております事例として、宮崎市、上越市、飯田市についての事例をここで入れさせていただきました。説明は省略させていただきます。
 次に、資料4をお開きいただきたいと思います。地方議会制度に係る論点として、これまで総会、専門小委員会を含めて、委員の方々の御発言を論点という形で整理したものでございます。それと併せまして、それぞれの大きな論点につきまして、これまでの制度の考え方と地制調答申など、過去の答申等について、その下に点線囲いで資料をつけております。それを併せて説明させていただきたいと思います。
 まず、「1 議員の身分、選出のあり方等」でございます。ヨーロッパやアメリカの基礎自治体の場合には、ほとんど無報酬で実費だけの支給を受けている。そのため夜に議会が開かれることが多いので、そうすべきではないかという御意見。
 それから、欧米のように議員をボランティア化すればいいかというと、今の日本の市町村は非常に規模が大きくなって、かなり高い専門性を有するので、軽々に無給にすればいいという議論にはならないのではないかという御意見。
 海外のような議員の兼職方法が人でうまく機能するかどうかというのは、まさしく労働時間の在り方にかかわってくるので、どの程度適用可能かというのは社会的背景の違いを考える必要があるのではないかという意見。
 それから、地方議会の議員について、公選職という位置づけができないのか。
 女性を含め、多様な人が立候補できるようにするには、選挙制度についても検討する必要があるのではないかという御意見。
 また、女性の議員を更に増やすための方策を考える必要があるのではないか。
 それから、議員の間は一時的に離職し、その後復職できる制度というのが考えられないか。また、法定得票数を獲得できなかった場合の供託金の没収などは、立候補の乱立を防ぐという趣旨はあるものの、多様な層からの立候補を妨げていないかといった御意見がございました。
 下でございますが、議員の身分の位置づけについては、以前説明をさせていただきましたが、市制町村制、府県制下においては、地方議会の議員は名誉職とされていて、無給を原則とし、職務の取扱いのための実費弁償を受けるとされていたわけですが、昭和21年の改正によりまして名誉職制度が廃止された。また、地方団体の事務が著しく複雑多岐・煩雑となってきたため、議員の職務も相当多忙になってきたということで、議員に対して報酬が支給されることとされたわけでございます。
 その後、国会議員に対して期末手当が支給されていることにかんがみて、昭和31年の自治法改正によって、地方議員に対して期末手当を支給できるとされたところでございます。
 地方議会の議員については、地方公務員上、特別職の地方公務員に分類されるということでございますが、そのほか議員の身分の位置づけについての明確な規定はございません。
 公選職について。第28次の地制調答申におきまして、議員について常勤・非常勤という職の区分とは別に、公選職という新しい概念を設け、位置付けの変更を行うべきであるという議論もあるが、この点については、公選職にどのような法的効果を持たせるのか、政治活動と公務の関係をどう考えるのかなどの論点があり、引き続き検討する必要があるとされたところでございます。公選という意味では、長も選挙で選ばれるということなども指摘されたところでございまして、公選職というものはなかなか難しいとされたところでございます。
 なお今回、通常国会におきまして議員立法で地方自治法が改正されまして、6月18日に公布されたところでございまして、ここでは先ほど議員の身分、議員の活動という部分がございました。議長会からはそういった要望も出されていたわけですけれども、今回の自治法改正におきましては、議員活動の明確化ではなくて議会活動の範囲の明確化ということで、各派代表者会議、全員協議会等議会における議案の審査、議会運営の充実を図るための各種の会議が開催されているという現在の実態を踏まえまして、議会活動の範囲を明確にするため、議会が会議規則の定めるところによって議案の審査あるいは議会の運営について協議、または、調整を行う場を設けることができるという根拠規定が地方自治法上新たに設けられたところでございます。
 また、議員の報酬についての規定の整備といたしまして、議員の報酬の支給方法に関する規定が、他の行政委員会の委員の報酬の支給方法に関する規定と異なっていることを明確にするということで、現在同一の条文になっているものを議員の報酬についての規定を分離し、また、名称を「報酬」から「議員報酬」という固有の名称に改めるという改正が行われたところでございます。
 次に、「2 小規模自治体における議会制度」でございます。小規模自治体についての議会制度は、ほかの自治体と同じに考える必要はないのではないかといった御意見が出されたところでございまして、こういう項目として設定させていただいております。
 小規模自治体の議会は、本会議中心でやった方がよいのではないか。議事定足数が過半数となっていることが本会議をやりにくくしているのではないか。
 議員の定数も自由にしたらどうか、また町村総会との併置も考えられるのではないか。
 ヨーロッパやアメリカの基礎自治体の場合には、ほとんど議員が無報酬で、実費だけの支給を受けている。夜開かれていることが多いので、そうすべきではないか。これは先ほどの1の意見と共通のものをこちらにも書いております。
 今の日本の市町村は非常に規模が大きくなり、高い専門性を要するのに、特に町村議員の報酬はこれだけで生活できるという額ではないところが結構あるような気がしている。欧米のように議員をボランティア化し、無休にすればよいという議論になると、かなり限られた社会層が占めることになるのではないかという御意見もございました。
 議員定数に関する答申等でございます。議員定数は小規模自治体の問題だけではございませんけれども、議員定数についての答申を紹介させていただきます。
 平成11年の改正前までのものとしましては、昭和57年には減数条例がかなりの団体で制定されていて、その努力は正当に評価されるべきであるが、なお一層の簡素化を図るべきである。
 昭和59年の臨時行革審の意見では、引き続きなお一層の合理化が図られるよう期待する。
 昭和61年、自主的に議員定数及び議員報酬の見直しが行われるよう期待する。
 地方分権推進委員会第2次勧告、平成9年ですが、国は議員定数について、地域の実情等に応じた組織・構成の見直しが弾力的に行えるよう、人口段階を大くくりにするなど、基準の一層の弾力化を図る。なお、この基準の見直しに当たっては、減数条例の制定状況を十分勘案するとされております。
 第28次の地制調答申では、議員定数に関する答申といたしまして、議員の議員定数についてはその上限を法定しており、これを撤廃すべきであるという意見があるが、この点については条例定数制度の施行から日が浅く、また、市町村合併に伴う定数特例、在任特例等が平成22年3月の合併まで適用されることなどの事情があり、少なくとも当分の間は現在の制度を維持することとした上で、その後、制度の在り方について引き続き検討することとすべきであるとされております。
 法定上限については、平成11年改正ということでございますが、その採用された理由としましては、地方行政についても一層の合理化が求められていること等が考慮されたものであるとされております。先ほど来説明させていただきましたように、与党の考えを踏まえたものと考えています。
 町村総会に関する答申としましては、平成元年第22次地制調の答申では、小規模町村がその判断により町村総会の制度を活用することができるよう検討するとなっております。また、地方分権推進委員会第2次勧告では、国は小規模町村が地方自治の一つの在り方として、条例により町村総会へ移行できることについて周知するとされております。
 「3 議会の権限」についてでございます。本地制調の審議項目として団体意思決定機能、監視機能の充実・強化という項目がございますけれども、両方を含むものでございます。
 法第96条第2項による議決事件の追加を積極的に図っていくべきではないか。
 法定受託事務に係るものについても、議会の議決事件を追加できるようにすべきではないか。
 議会に財政上の報告を要する法人等の範囲については、監査委員の監査の対象となるものと同じく、当該団体が資本金、基本金その他これらに準ずるものの4分の1以上を出資している法人に拡大することはできないか。
 住民訴訟が提起された後、議会が住民訴訟において問題となっている損害賠償請求権等を放棄する旨の議決をすることは、議会自体の監査機能・チェック機能という考え方からすれば、問題があるのではないかという御意見。
 監査委員について、仮に議選委員を禁止するのであれば、議会が監視機能を十分に果たせるよう、例えば実地検査権を付与するなど、議会の監視機能の向上のための方策が必要ではないか。
 監査委員を通してやるのではなく、独自に議会として執行機関を監察する機能を強化するため、議会に実地検査権を付与した方がいいのではないか。
 長の議案提出権をなくし、立法機能を議会の専属とすれば、勢い議会の立法機能は高まらざるを得なくなるのではないかという御意見。
 議会の財政統制をどのように考えるのか。例えば巨額の起債等の場合。
 現在の議会は、税率を事実上決定していないが、税率については議会で自由に決めるということにすべきではないか。
 議案の提出が長によるものか議員によるものかは重要ではなく、むしろ議会において議案に対する実質的な審議が行われるかどうかが重要ではないかという御意見がございました。
 議決事件の追加についての答申としましては、平成9年の地方分権推進委員会第2次勧告におきまして、地方公共団体は、議決事件の条例による追加を可能とする規定の活用に努めることとされておりますし、第28次の地制調答申、平成17年におきましては、議会の権能を拡大する見地からは、まず、議決事件の条例による追加を可能とする規定を活用することにより、各地方公共団体の実情に応じた議決事件の追加を図ることが考えられるとされております。前回説明させていただきましたように、必ずしも十分活用されているかどうかということについては、いろいろ御意見があろうかと思います。
 第28次の地制調答申におきまして、法定受託事務についての第96条第2項の答申でございます。法定受託事務も地方公共団体の事務であることからすれば、自治事務と同様議決事件の追加を認めることが適当であるものと考えられる。この点については、法定受託事務に関する関与の特性等にかんがみ、法定受託事務と議会の議決との関係の整備について引き続き検討する必要があるとされております。
 次に、出資法人に対する長の調査権及び議会への報告を要する法人の範囲についてでございます。地方公共団体が資本金の2分の1以上を出資するとか、債務保証または損失補償の形で大きな財政的責任を負担している公社は、地方公共団体の事業の一部を執行する地方公共団体の分身的、代行機関的性格を有していると考えられることから、地方公共団体の長及び議会において、これらの公社の経営状況を把握し、その経営の適正化を期するために必要最小限度の関与の方法として、昭和37年の改正により、出資法人に対する長の調査権等及び議会への報告が新設されたところでございます。これが現在の制度でございます。
 実地検査権についてでございます。これは前回御説明させていただきましたけれども、市制町村制下においては、明治44年の改正によって、議会に以前は実地検査権が付与されていたわけですけれども、市の行政が広範複雑にわたり、専門的知識経験を有するものでなければ検査の実行が期しがたい。また、町村において実地検査の必要が乏しく、実際に行われた例もほとんどなかった等の理由によりまして、昭和18年の改正によって実地検査権の規定は削除され、新たに市考査役制度、これは今の監査委員に相当するものが設けられて、こちらが実地検査を行うとされたわけでございます。
 なお、市町村会の監査請求権は昭和21年の改正により設けられております。
 現行法においても、法第98条第1項の検査権には実地検査は含まれない。そのような必要がある場合には、監査委員の監査に委ねるものとされております。
 次に「4 議会の会期、運営等」でございます。
 会期制が妨げとなって、サラリーマンなどが議員になる意欲を持てないのではないか。基礎的自治体の議会を毎週夜に開催できるようにするため、会期制について検討できないか。
 国会の議事手続や国会法の規定は世界標準からかなり外れているにもかかわらず、地方議会の議事手続や地方自治法は国会に引きずられてしまっているのではないか。例えば、会期にしても、地方議会が通年会期で曜日を決めて開催し、会期不継続の原則も適用しないようにしたいというところがあれば、それができるような制度にしていくべきではないかという御意見。
 議事機関である議会が自ら集まることができないというのは問題ではないか。議会に招集権を与えることも検討すべきではないかという御意見がございました。
 まず、会期制についてでございます。会期制については、国会においても地方議会においても会期制というものが現在あるわけでございますが、この定義につきましては、会期とは議会が活動するものとされる一定の期間を言うというのが一般的でございます。
 明治21年制定の市制町村制では、市会及び町村会に関して、会議の種類、会期等についての規定はなく、議長が必要に応じて招集するものとされておりました。
 明治44年の改正によりまして、市会と町村会の招集権者が長とされたほか、速やかに議決すべき事件に即応するため、長は会期を定めて招集することができるものとされたところでございます。
 更に、昭和18年の市制の改正により、市会においては通常会及び臨時会の区分が設けられました。
 他方、明治11年制定の府県会規則におきましては、府県会は通常会と臨時会に区分しまして、当初から会期に関する規定がございました。明治23年制定の府県制におきましてもこれを引き継いでおります。
 昭和21年の府県制・市制町村制の改正によりまして、府県会、市会、町村会は定例会と臨時会に区分されまして、定例会は毎年6回以上開くものとされて、これが地方自治法に引き継がれたわけでございます。その後、随時の改正を経て、最終的に平成16年の改正によりまして、定例会の回数制限は廃止され、条例で定める回数開くものとされたということでございます。
 現行法については、以前説明させていただきました。
 夜間・休日議会についての、これまでの主な答申でございます。
 平成9年の地方分権推進委員会第2次勧告におきましては、議会活動に対する住民の理解を深めるため、地方公共団体を休日・夜間議会の開催、住民と議会とが直接意見を交換する場の設定等に努めるものとするとされております。
 平成12年の第26次地制調答申におきましても、夜間・休日の議会の取り組みが行われているが、このような取り組みの促進を図る必要があるとされております。
 第28次地制調答申におきましては、住民を代表する議会の議員に幅広い人材を確保できるように、女性や勤労者が議員として活動する上での便宜に資するよう、休日・夜間等に議会を開催する等の運用上の工夫をすべきであるということで、表現が若干変化しております。
 議会の招集の在り方については、第28次の地制調答申に基づいて法改正がされているところでございます。議長は議会運営委員会の議決を経て、当該地方公共団体の長に対し、会議に付議すべき事件を示して、臨時会の招集を請求することができるとされておりました。その招集請求があるときは、一定期間内に長は招集しなければならないという改正をされているということでございまして、招集権については第28次の地制調答申では一定の結論を出したと解されているところでございます。
 地方議会の議事手続についてでございます。地方自治法上の議会の議事手続等の定めについては、憲法及び国会法上の規定との類似点が多く見られるところでございます。
 次に「5 透明性の向上、議会事務局の強化等」でございます。
 地方議会について、もっと目が届くような形で情報公開ができないか。
 住民の側も普段の議員の取り組みを知った上で投票をしているのか。選ばれる人の情報を得た上で選んでいないのではないかという御意見。
 議会において実質的な審議が行われることが必要である。そのためには、議案に対する議員の賛否等の議論の経過について、文書で出させるぐらいのことはさせてもいいのではないか。
 議論の内容を開示することが重要であり、これにより選挙の関心が高まるのではないか。
 議会のチェック機能を果たす上で必要な専門性を議員が養う機会がないのではないか。事務局体制を強化することにより、議員に求められる専門性を補えないかという御意見がございました。
 透明性の向上についてのこれまでの主な答申といたしましては、平成9年の地方分権推進委員会第2次勧告におきまして、地方公共団体は、議会の公開性を高めるため、本会議に加え、委員会やその審議記録の公開を一層進め、議会関係の事務についても情報公開条例の対象に含めるものとするとされております。
 平成12年の第26次地制調答申におきましては、透明性を高め、住民との意思疎通を促進することが重要。
 第28次の地制調答申におきましては、休日・夜間議会の開催、ケーブルテレビ、インターネット等の手段を用いた議会の審議状況の中継、審議記録の公表など、審議の公開や議会に関する情報の積極的な広報を充実すべきであるとされております。
 次に、議会事務局についてのこれまでの答申でございます。
 平成9年の地方分権推進委員会第2次勧告におきましては、地方公共団体は議員とそれを補佐する議会事務局職員の調査能力、政策立案能力、法制能力等の向上を図るための研修機会の拡大と、研修内容の充実に努めるものとする。
 地方公共団体は、議会事務局職員の資質の向上と執行機関からの独立性の確保を図る観点から、専門的能力の育成強化を図るための共同研修の実施、相互の人事交流の促進等の措置を積極的に講じ、中核となる職員の養成、議会事務局の体制整備に努めるものとするとされております。
 平成12年の第26次地制調答申におきましては、地方議会の審議能力を向上させる観点から、議会事務局の補佐機能のより一層の充実を図るべきであるとされております。
 平成17年の第28次の地制調答申におきましては、専門的能力を有する職員の養成・確保のための方策を検討するなど、議会事務局の補佐機能や専門性の充実を図るべきであるとされております。
 以上が、地方議会に係る論点ということで、これまでこの委員会において出されましたものを分類して整理したものでございます。
 以上でございます。
○林小委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、今日のメーンテーマは議会制度に係る論点の意見交換でございます。まず、資料1から資料3までのところで御質問・御意見はございませんでしょうか。資料4の論点につきましては、また後ほどお話を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。もし、会議中に何か出ましたら、その都度御質問いただければと思います。
 それでは、資料4「地方議会制度に係る論点」につきまして、意見交換をお願いしたいと思います。後ほどお話し申し上げますけれども、次回に議長会からヒアリングをしたいと考えております。したがいまして、今日は論点をすべて出し尽くしていただいていないかもしれませんので、その辺りを中心にお出しいただきまして、議長会から論点について御意見を伺うという形にさせていただきたいと思っております。したがいまして、論点の対応の仕方ということにつきましては、また改めて時間をセットして、そこで御議論をいただきたいと思っておりますので、今日のところは議会について幅広く、今、論点の御説明をいただきましたけれども、それ以外にこういう論点があるのではないかといったようなことがございましたら、その点について御意見をいただきたいと思っております。
 それでは、どなたからでも結構ですので、御意見をいただけますか。
○武田委員 資料4の御説明を聞きながら、少し疑問に思った点が幾つかありまして質問させていただきます。
 例えば3〜4ページ、町村総会に関する答申というのが過去に第22次地制調、地方分権推進委員会第2次勧告で、この活用を図ることが望ましいということが言われていたりします。それから、5ページで議決事件の追加というのをもっと活用すべきだということが2回にわたって答申されております。更に、9ページの議会事務局の充実ということでも同じように答申が3回にわたって出ているわけです。これは繰り返し繰り返し同趣旨の答申がされていて、ここでもう一回同じ答申をするというのは非常にむなしい気がするのですけれども、今挙げました3点は答申したものが実現に至っていないという背景には何があるのかなということをお聞きしたいと思います。
○林小委員長 なかなか難しいと思いますけれども。
○行政課長 どういうところに問題があって、どう変えていくべきかということは本調査会で御議論いただくことだろうと思いますけれども、町村総会については、現状は前回御説明させていただきまして、現在やっているところはないということでございます。これもその際にお話ししましたけれども、制度について町民がみんな参加するということでございますので、また、先ほどの外国の例からいきましても、自治体の人口が多いところで果たしてそれが実現できるのかどうかということも含めて検討する必要があるのかなということです。町村総会については現在行われていないので、なぜそれが行われないのかという突っ込んだ検討は現在までやっていないところでございます。
 それから、事務局の関係につきましては、どのような事務局体制になっているかというのは調査を定期的にしております。先ほど議会基本条例というのが幾つかできているということを御紹介しましたけれども、県では三重県が議会基本条例を制定しておりますが、その議会基本条例の中に1条ございまして、議会は専門的な知識経験を有する者を任期を定めて議会事務局職員として採用する等充実を図ることができるといった規定は、三重県の条例で初めて設けられたという例で、そういった幾つかの取り組み事例、事務局強化のために各自治体でいろいろ工夫をしなければ取り組んでいるのはあるわけですが、しかし、事務局体制というのはまだまだ不十分だという意見が多いということで、この項目設定をさせていただいているところでございます。そういった委員の御意見もあったと承知しております。
○武田委員 予測したお答えとしては2点ほどあったわけですけれども、1つは、周知がされていないというか、そういう制度があるんだなということを知らない、実は前回までの議事録を見ましたら、実は禁止されていないのでできるんだということを案外知らないでいるのだなと私そう思いました。
 もう一つは、財政的な事情でしょうと思われます。というのは、やはりこの間の議論を見ていて、制度的にそれを充実させるのが望ましいのだけれども、やはり財政的な事情でなかなかできないというところが一番のネックなのだろうと思いました。私は実はこれまでは、それを義務化することで国からの財政的な支援の根拠が得られるのではないかということを考えてきたのですが、前回の監査のこと、あるいは今回の議会の在り方についてもそうで、これを一件一件すべて義務化してしまったら分権化の意味がないような気もしてまいります。したがいまして、何らかの形でこうしたものを包括的に、小規模な自治体であっても実現できるような何らかの方策が要るのではないかと。ここまでいくと言い過ぎかもしれませんけれども、例えば、段階補正を見直すというような、一旦削減したものを元に戻すというようなことも含めて、現在ある基礎自治体が財政的な事情で活用するべきものをしていないという事態は、やはり問題ではないかと思った次第です。
 以上です。
○林小委員長 ありがとうございます。
 今、武田委員がおっしゃって、やれるのにやっていないというのをどうするんだというところが恐らく今後のこの委員会の、今、行政課長が言われたように、今までのような積極的に進めるということだけではだめだろうと。ただ、義務づけるかどうかということになってくると、また非常にいろいろな問題が出てきますので、それも含めて対応を考えていかなければいけないと思っておりますので、これはまた改めてどのようにすればできることが積極的に行えるようになるのかということについて御意見をいただければと思います。
 今日は、とにかく論点が出尽くしていないだろうと思いますので、何かございましたらお願いします。
○江藤委員 これらの論点については今まで地制調でいろいろ議論したことが書かれていて、それぞれの委員の想いとかお顔が浮かんでくる、なかなかまとまった論点だなという気はします。
 今の議論とも関連しますが、ここに書いてあるのは運用でできることと、制度改革というのとごっちゃまぜになっていると思うんです。今、委員長が言われたのは、運用についてもなぜできないかを踏み込むという話だと思うんですが、それはある程度メッセージを送るというような意味合いだと思うんですね。特に、地制調として大事だなと私が思っているのは、第28次のときもありましたが、権限のところとか、議会と長との関係をどうするか、そこの縛りはちゃんとして、あと組織運営については自由にしていくんだというあの流れでもいいと思うんです。そういう意味では、運用でできるものと制度改革のものというのは分けて議論する方がいいんじゃないかということです。
 それから、落ちている論点をということであれば、今までここで議論した中では西尾委員が出されている選挙制度が落ちているんじゃないでしょうか。一々繰り返しませんけれども、選挙制度は比例代表にするという明確な提案があったんじゃないかと思いますし、市町村レベルの議論も必要ではないか、どこかありましたか。
○林小委員長 5つ目の「○」で、選挙制度についても検討する必要があるのではないかと。
○江藤委員 もっと具体的に提案されていますよね。県レベルについては比例代表の提案もありますし、恐らく市町村レベルについても議論していかなければいけないというのは、この論点整理で落ちているのではないかと思いますので、是非お願いしたいと思います。
 もう一点、この間の議会の論点ではお話ししていないんですが、監査委員制度改革に伴う議会と監査のかかわりについてです。ここの地制調では監査委員制度を変えたというかなり大きな改革提案があったんですね。そこで、西尾委員も言われていましたように、実地検査権を入れる、これは入っているんですが、この間も監査委員については中立性・公平性、この辺は微妙なところで議論していたと思いますけれども、議会が選挙する、これは大事なんですが、議選を通して監査をやるというのはやめましょうよ、議会として独自にやりましょうよというメッセージを送っているわけなんですが、もう一つもっと具体的に言いますと、監査委員に対しての議会からの監査請求権は再考してよい。首長は1人でできますし、住民については2%、あるいは住民監査請求は1人でもできる。議会の場合は監査請求は議決ですよね。そうすると半数になるわけです。それはもうちょっと使いやすくならないか。もっと具体的に言うと、例えば、臨時議会の請求のように議員の4分の1の請求で可能かどうかとか、監査制度の改革提案に伴う議会と監査のかかわりの議論というものも大事なのではないかと思います。
 それから、もう一点は定数のところ。先ほども報告があったんですが、合理化の議論で議会の定数をずっと議論されていたようですけれども、定数というのは合理化なんですか。むしろ、活発に議論する中で定数の議論をしていくならまだわかるんですが、行政改革をやっているんだから議員の人数を減らせよという文脈は、議会を活性化する議論とかなり違うんじゃないかと。そこの確認も一言だけ言わせていただきました。
○林小委員長 1点目の運用と制度上の問題というのは、切り分けてやらなければならないということはそのとおりだと思います。したがって、対応の仕方を考えるときに、そこの辺りをきちんと切り分けた形で、地方制度調査会としては、やはり制度上の問題を中心に取り上げ、ただ議会の中で質の問題といいましょうか、積極的に取り組んでいるところとそうでないところがある。その場合にどのようなメッセージを送るのかということで、従来型のメッセージでいいのかどうかということは、やはり検討しなければならないと思いますので、その辺りは切り分けた形で、江藤委員がおっしゃるような形の議論をさせていただきたいと思います。
○行政課長 選挙制度のところは、今、委員長からお話がありましたように、1ページに書いてあるつもりだったんですけれども、どこまで具体的に全部書くかということがあろうかと思います。ただ、もう少し具体的に書いた方がいいということでしたら、論点の整理としてはもう少し具体的に記述したペーパーにさせていただきたいと思います。
 それから、監査請求について議会で少人数でもできるようにするというのは論点として新しいものなので追加するという形で、今日はそういう意味で委員の皆さんが出された論点については、随時追加した形で整理をするようにしたいと思います。
○林小委員長 論点ですから、対立する意見も含めて今日は書かせていただいております。
○小林委員 制度と運用のお話が出ましたが、どちらかというと運用の方になるのかなと思いながら、少しお話を加えさせていただきたいんですが、前回から出ている透明性の話のところと関係があると思うんですけれども、前回、片山先生が財政統制の話が全然できていないというお話をされていたと思いますが、現状の制度でも結構やろうと思えばできるけれどもできていないということは結局、議員のインセンティブというか、議員さんが一生懸命やればできるのにやっていないというところが非常に大きな問題なのではないかと思います。皆さんそんなの分かり切っていると心の中ではお思いかもしれませんが、経済学の中ではインセンティブの問題はずっと大きな問題で、どう一生懸命やってもらうのかという仕組みを考えるのが非常に大きなテーマになっています。
 では、議員さんの場合、例えば、決算審査を一生懸命やって次の予算審議にそれを生かしていくように仕事をしてもらう、そういう仕組みは何なのかとか、そのほか政策立案という点で、住民の要望とか住民を見ながら政策立案をするような仕事が、より議員さんの側から自分でできるようになるのかという仕組みは何なのかといろいろ考えたところ、やはり結局、住民の監視下に置きながら、次の選挙で当選するとかしないという部分が一番大きな議員さんの関心事だと思います。その辺で、住民が議員さんについて知るということについて障害になっているものがあれば、それについてもうちょっと地制調として意見を出していくということが必要なのではないか。要するに、そこに議員さんのインセンティブの考え方を付け加えていくという視点が必要なのではないかと思って、重複している部分がありますけれども、お話しさせていただきました。
○林小委員長 ありがとうございます。
 これは非常に重要な問題だと思います。ただ、難しいわけですけれども、知恵を絞ってと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
○斎藤委員 3点ほど指摘させていただきたいと思います。いずれも資料4で言いますと5ページの議会の権限にかかわるところです。
 1点目は、1つ目の「○」で第96条第2項で積極的に議決事件の追加を積極的に図っていくべきと、これは原則の運用の話だと思うんです。ただ、そこで確認しておきたいんですが、今日は資料1の7ページで自治体が法律により義務づけられている計画の例を出していただきました。自治事務についてもこういった例がたくさんあると。これだけ義務づけるのがいいのかどうか、もっと自由度を高めるべきではないか。これはミッションとしては分権改革委のミッションであるということは承知しております。その上で、現行のこの計画について議会が第96条の議決をする。例えば、都市計画法に基づく都市計画について、議会の議決を経て市町村・都道府県が決める。あるいは3つ目の地域森林計画であれば、議会の議会の議を経て、都道府県知事が決定すると。これができるのかどうかということですね。私自身は、これらは自治事務でありますし、それぞれの根拠法が手続についてマキシマムなものだとして、明示していない限りは、手続としてかっちり決め切っていて、これ以上の追加は認めないと明示しているのでなければ、これは現在もできると考えますが、いかがでしょうかというのが1点目です。
 2点目は、議会権限の中の財政統制をどう考えるのかという点、それから、チェック機能をどう高めていくかということについて、もう少し自治法の条文について具体化すべきではないかと考えます。
 これも第96条の議決事件になりますが、契約の締結や財産の処分についての議会の議決については、現在、政令で対象となる契約なり処分の内容と、額の下限が決められています。これは先ほどの1点目にもかかわりますが、義務づけ、枠づけにほかならないわけで、自治体ごとにチェック機能を議会も含めて考えていくのであれば、その契約の対象であるとか、額の下限というのはもう少し柔軟にするという義務づけ、枠づけの緩和と平仄を合わせるのであれば、むしろ条例で自由に決められるように、これは自治法の改正でできることですので、考えることができるのではないか。
 それから、3点目は、財政統制の具体的なことで先ほどの議論にもかかわると思うんですが、議会で何かチェックしても、レスポンスがないというものがあります。例えば、決算を不認定だと議会がしたとしても、これは市長なり知事部局からのレスポンスについての規定は何も現行法ではない。予算の議決については再議をするとか、それこそやりとりがあるわけですが、決算不認定の場合の説明義務といったものが具体化としては考えられないかと思います。
 以上です。
○行政課長 第1点についてですけれども、具体例として都市計画法の都市計画につきましては、私どもは国土交通省の都市計画課長に個別法としての考え方があるかどうかということで確認をいたしましたが、現在の法制度上第96条の追加議決にするということは議会が決めればできるというのは明確であるという返答でございます。したがいまして、今、斎藤委員がおっしゃいましたように、明示の追加は認めないという法律上の規定等がない限り、地方分権一括法制定以後においては、議会の議決対象にするということについては、自治事務については可能だと考えております。
 それ以外の論点につきましては、当審議会で御議論いただいて、今後どういう方向にするかということだろうと思いますので、論点として追加し、資料として整理させていただきたいと思います。
○西尾委員 最初に前回、私が発言したことについて補足的に改めて発言させていただきたいということと、その後少し新しい論点を出してみたいと思っております。
 前回、地方議会の会期という制度について全面的に見直すべきではないかという趣旨の発言をいたしました。議会が活動する期間という意味での会期というものが、地方議会に対して果たして定める必要があるのか。事実上通年で、いつ開いても差し支えないという制度でいいのではないかと。あとは、自治体において執行機関と協議しながら、どういう時期にどういうふうに議会を開催するのが適切か、それぞれの条例等で規定をすればいいというふうに弾力化すべきではないかと。会期という概念と、更に言えば定例会、臨時会という区別を設ける必要はないのではないかという趣旨のことを申し上げたわけであります。それがあるがために、一般のサラリーマンのような人が議員になることが不可能になっているのではないかという趣旨のことを申しました。この会期について、制度を弾力化してほしいということは、都道府県議会、市町村議会を通じて言えることだと私は考えています。
 その上で、欧米の自治体に普通に見られるように、毎週定例曜日の夜間に会議を開くといった形態の方が望ましいのではないかという趣旨の発言をしましたが、それは基礎自治体の市町村の議会について私としては考えているということで、必ずしも都道府県議会まで含めて考えているわけではないと。毎週定例曜日の夜間に開いていくというようなことを標準的なパターンとして考えていくべきだと私が思っているのは、基礎自治体の議会についてであるということを、念のためにもう一度申したいと思います。
 それと、議会をいつ開いてもいいということになりますと、開催回数がどんどん増えてくるという可能性もあるわけです。そうすると、恐らく執行機関の側からすれば、それはとんでもないことで、議会を毎日のように開かれていたのでは仕事にならないという反発が出てくるだろうと思います。これから三長会から意見を聞かれるようになれば、知事会、市長会、町村会は当然そのことに強い疑問を提起されるのではないかと思います。これは、これまでのように地方議会というのは、県なら知事以下部課長を呼び出して、市町村ならば市町村長、部課長を議場に呼び出して、それを相手に質疑をするという通常パターンの議会活動を年がら年中やられたら本当に仕事にならないですね。したがって、議会の開催回数を自由化する、あるいは増やすということは、当然に理事者を本会議であれ、委員会であれ、議場に呼び出すということは必要最小限に限定しなければならない。それ以外は、議員同士議論をする場あるいは市民と意見交換をする場なのでありまして、理事者とのやりとりは本当に必要最小限に限定するという、これまでの議会の運営方法を変えるということを当然に前提にしなければ成り立たないということは当たり前だと私は思っているんですが、そう受け取っていただかないと困りますので、それは当然の前提として申し上げているということを付け加えさせていただきたいと思います。
 それから、今日は新しいことを申し上げたいと思いますが、ここに挙がっている論点におよそ触れられていない問題についてです。地方議会の議員が議会で活動するのではなくて、議会外で活動する、それを政治活動と言うのか、議員活動と言うのが適切かわかりませんけれども、日本の地方議会の議員の方々は、住民から寄せられる相談とか苦情、陳情といったものに個別に対応なさって、それを市町村長とか市役所の部課長等々にこういう話が来ているんだけれどもという仲介あっせんをする、もっと端的に言えば口利きをする。そして、そういう住民の個々人が抱えている問題の解決を図るといいますか、その手助けをするということこそ、議員の本務と考えておられるような議員が非常に多い。ごく普通の議員さんは、みんなそう思っていらっしゃるのではないかということです。しかし、これは非常におかしいなことでありまして、その住民が役所の窓口に行って、正規の申し込みをして受け入れられるものであれば受け入れられたらいいのでありますが、その窓口では受け入れられないからこそ議員に頼みに来ると。議員さんのお力で何とかしていただけないでしょうかという頼み事が実に多いと。それを議員が取り次いで口を利くということは、議員の力で行政の運営を歪めているわけです。言葉を極端に悪くすれば、横車を押すとか、横やりを入れる行為であるということなんですね。公正・中立な行政の運営を力をもって歪めている行為であると思われるわけです。これは地方議会議員たりともやってはならないことであると。国会議員も勿論でありますが。国会議員の口利き、仲介あっせんについては随分論議はされています。今回の政官接触の禁止であるとか、それは今はできないとかいろいろ議論されていますが、そういう問題の一環でもあるわけですけれども、地方議会議員の方がむしろ当たり前に行っているのではないかということです。それは間違っているというメッセージをきちんと出すべきであると。そういうことが議員の本来の活動であってはならないということを言うべきではないかと思うわけです。
 どうして、そういうことがルーズに行われてきたかというと、歴史的な由来もあると思うんですね。戦前の市制町村制時代には、国の管理については勅令で現在の国家公務員法に該当するような服務規律、規程がちゃんとありました、あるいは管理に関する任用規程、選考規程がすべてありました。しかし、戦前の市制町村制時代には、戦後の地方公務員法に当たるようなものはなかったわけです。吏員に関する法令というのはなかったわけです。ですから、基本的に自治体の自由になっていたわけです。そこで、戦前の市町村の場合には、市会の議員の圧力とか町会の議員の圧力で縁故の人たちが職員に採用されるなどというのは、てっぺんは東京市から始まって、至るところにごく普通に行われていたわけです。
 そういう伝統は戦後になった地方公務員法がつくられ、公務員たるものは試験選考で採用することが原則と。そうでない場合でも、面接で資格を判定して採用すべきものだという原則が立てられましたが、戦前以来のそういう習慣がありますし、人事院とか人事委員会が置かれているのは限られた自治体ですから、普通の市町村の場合にはそういうものもありませんので、そうすると、採用試験というものは行われていても、その上に縁故採用というのがかなり広く行われてきたという伝統があると思うんです。そういうことから始まって、うちの子どもを保育所に入れてやってくれないかとか、事細かになれば福祉バスだとか、社会教育バスというものをうちの団体が借りたいんだけれども、口を利いていただけませんかというたぐいに至るまで、すべて市議会議員を通すと何とかいくという観念が市民の中にあるわけです。これを何とかして正常な姿ではないということをはっきりさせていかなければいけないのではないかと私は思っているわけです。
 これを制度化するというのはなかなか困難なことで、専ら運用の改善の問題なのかもしれませんけれども、かつて鳥取県で片山知事時代は行われたのではないかと思いますが、これは県議会のレベルの話ですけれども、議員から何らかのそういう口利き、働きかけを受けたときは必ず記録にとどめて公表するということを執行機関側がやれば、大きな抑制機能になります。私はそういうこともあえて考えて、この悪弊は徐々に消していかなければいけないのではないかと思っていると。少なくとも今回、地方議会の在り方を問題にするときには、この調査会からそういうメッセージは出したいと希望している次第です。
 以上です。
○林小委員長 ありがとうございます。
 おかしいんじゃないかと恐らく多くの方が思っておられて、私も専門じゃありませんけれども、議会に関する本を読ませていただくと、今、西尾委員がおっしゃったようなことがいろいろな例として書かれたりしていて、先ほど小林委員も恐らくそういう市民との関係をどうするのかというようなことで、やはり議会活動、議員活動の在り方を根本的に見直していかなければいけないという、恐らくいろいろな問題はすべて根底はつながっているのだろうと思うんです。ですから、その辺りをきちんとやっていかなければいけない、運用の問題だけれども制度化していくということも、場合によっては必要なのかもしれないということも踏まえて、本気で考えていかなければならないだろうと思います。随分以前からそのように言われながら、なかなかできない。今日出していただいたアメリカのところでは、議員が当局に質問する場ではなくて、住民の意見を聞きつつ、それを踏まえて議員が他の議員と意見と闘わせながら合意を形成していく場であると。こういう場でなければいけないということだと思うんですね。それをどのように実現していくのかというところをメッセージでいいのか、あるいはもう少し踏み込んでいくのかというところも非常に大きな課題だろうと思います。
○片山副会長 論点を整理していただいて、大体私が言ったようなことも盛り込んでいただいているんですが、整理の仕方というか切り口をちょっと変えてみたらどうかと思うんです。これは従来型の切り口ですよね。地方自治法の解説書タイプの切り口ですけれども、従来の体系は大体議会というものは従属的扱いを受けているんですね。二元代表制でありながら、首長に比べれば下に置かれた扱いなんです。そうでなくて、もっと根源的に議会と首長との関係が二元代表制になっているという面も含めて、切り口を変えてみたらどうかなと思うんです。
 1つは、まさに二元代表制なんですけれども、二元代表制を明確化するということは必要だと思うんです。そうでない制度、仕組み、運用がありますから、そういうものを論点として挙げる。ここの中に入っているものも多いので再整理するということですけれども、例えば、二元代表制という面から見て、今、議会に自主招集権がないというのは二元代表制という観点から見たら非常に問題があるわけです。やはり長優位になっているわけです。そういう切り口で見たら、やはり変ですねということだと思うんですよ。さっき行政課長さんは、これは法律改正で招集要求権が自治法の第101条でできたから、これで一応一段落しているんだという解説をされたでしょう。それは間違いですよ、解決していないんですよ。二元代表制という面から見たら、やはり自主招集権は必要なんです。そのときに、西尾先生がさっき言われたような問題が発生するから、それをどうしましょうかという話を論点として整理しなければいけないと思うんです。
 それから、二元代表制といったときに当然、立法機関対執行機関という対抗軸が出てくるわけです。立法機関と執行機関という対抗軸で見たらどんな論点が出てくるかというと、これもさっき西尾先生が言われた口利き案件というのをどう見るかというのは、まさにここに入ってくると思うんですよ。というのは、議会は本当は立法機関でシステムをつくったり、改革したりする役柄なんですけれども、実は行政のほころびをこまめに補っている面があるんですね。私は口利きは悪かというと、全部悪だとは言えないと思うんです。例えば、困ったおばあちゃんがいて、そのおばあちゃんを何とか助けてあげたいというのは一つの政治課題なんですね。保育所にどうしても入れたいけれども入れないでお母さんが困っている、何とかしてあげたいというのは政治課題なんです。やはりそれは悪いから一切取り上げないというと困る人も出てくるわけです。ただ、その人をごり押しをして、ほかの人を後回しにすればいいというのは割り込みですから、これは不公正ですよね。では、そういうときどうするんですかというと、やはりシステム改革だと思うんですよ。保育所に待機児童が出ないような政策を実現する、公営住宅にみんな入れるようにしてあげる、公立病院で患者さんが朝から並ばなくてもいいように窓口を充実するとか、そういうのが本当はシステム改革で議会の仕事の一つだろうと思うんです。そもそも議会がルールをつくって、執行機関がそれを誠実に執行すると地方自治法に書いていますから、そういう関係を念頭に置いたときに、今の自治法の制度や仕組みや運用上どういう問題点や課題があるかという整理ができると思うんです。
 それから、事務局の強化はいつも出てくるんですけれども、何か漠然としてむだじゃないかという話になるんですが、さっきの立法機関と執行機関との対抗軸という二元代表制で考えた場合は、明らかに立法機関は非力なんですよ。執行機関は実に数多くの職員を抱えていますけれども、立法機関のサポート体制は本当に非力です。特に市町村になったらもっと非力です。そういう中で、ちゃんと二元代表制でやりなさいというのはなかなか難しいですから、そういう観点から事務局の強化は必要だと思うんです。では、何が必要かというと、それは立法とか調査とか、そういう機能を強化してあげなければいけないんですね。庶務的な機能だとか議員さんの身の回りのお世話をするための事務局の強化ではないはずなんです。
 だから論点を絞って、二元代表制、立法機関としてのサポート体制の強化、それならば事務局は例えば国会にあるような立法考査の補助という面に絞って強化をしましょうとか、議会図書室というのが地方自治法の第100条に書いてあるんですね。100条調査権の規定の下に書いてあるんですけれども、ほとんどこれは機能していないです。どこに行ってもほこりをかぶったような部屋になっているんです。沖縄県議会は立法院の伝統を引き継いでいますから、実に立派な議会図書室を持っています。兵庫県も非常にいいんですけれども、そういうのは例外で、殆どの地方議会の図書室はちゃんと整備されていません。議会図書室は本当は議員の調査立法活動をバックアップする有力な機能を持っているんですが、ほとんど顧みられていないのが実態なんですね。その根拠規定も、官報か何かを置いておきなさいというような全く身もふたもないような規定になっています。そこで、もうちょっと議会図書室の持っている理念、すなわち二元代表制のもとで議会が執行機関に頼らなくても資料、情報を自ら収集することができる、調査することができる、その拠点が議会図書室だという趣旨を法律に書き込むことなども必要だと思うんです、本当は。そういう理念も含めた議会図書室などを論点として光を当てたらどうかと思います。
 もう一つの大きな論点は、議会は間接民主制とその補完についてです。今の地方自治制度は、間接民主制を基本に構築されていますが、それが機能麻痺を起こしているとか、機能低下を起こしているとか、機能不全を起こしているところに問題があります。では、間接民主制が機能不全を起こしたときどうしますかというと、やはり原点にかえって直接民主制による補完ということが論点として出てくると思うんです。そういう切り口でやってみると、例えば、住民投票の余地というのが大きく出てくるわけです。例えば、私が言いましたけれども、財政統制がなぜ議会できかなかったのかということ、それならば直接民主制を補完的に導入して、大型の起債をするときには住民投票でその是非を決めたらどうですかというような話になると思うんです。それから、さっき出ていた町村総会なども直接民主制ですから、間接民主制を補完する直接民主制という論点の中に収まるのだろうと思うんです。
 もう一つは、いつも気になっているんですけれども、地方自治の本旨というのは憲法第92条に書いてあります。これが相当踏みにじられていると私はいつも思っているんです。今日は具体例は言いませんけれども。総務省も地方自治の本旨をかなり踏みにじっています。あらためて議会制度を考えるときに、地方自治の本旨から見て今の議会制度がそれに悖っているものはないかどうかを点検したらいいと思うんです。そうすると、今大半の住民はサラリーマンですけれども、この人たちがほとんど代表されないというのは地方自治の本旨に悖っているのだと思うんですよ。そういう面で選挙制度などがその論点の中に収まってくるでしょうし、それから、大山先生が前回言われた、例えば議会について会期不継続の原則などをぐちゃぐちゃ地方自治法に書いているのも、そんなものは住民の代表に任せたらいいじゃないかということで、これも地方自治の本旨に関わる問題になると思うんです。だから、ちょっと切り口を今までの地方自治法の解説書の切り口ではなくて、もうちょっと理念的な原理的なものに少し変えたらどうかということを提案したいと思うんです。そうすると、新しい切り口から新しい視野が開けてくるのではないかと考えています。
○林小委員長 ありがとうございます。
○眞柄委員 大変興味深い御指摘が幾つかあったと思うんですけれども、特に西尾委員の御指摘は、第28次と違って第29次で何か新鮮なものとしてこれを提案する価値は非常に高いと思うんです。つまり、地方政治の非常にフォーマルな制度はそれなりにこれまで整ってきたけれども、実質的に地方政治を動かしている次元というのは、実はインフォーマルな次元であって、特定の個人と議員さんが口利きを、政治学では恩顧主義と従来は言っていたと思いますが、政治家の議員さんと住民の間にパトロンとクライアントのような関係があって、そこでは普遍的な利益というよりは個別的な利益が追求されてという、余りよくないパターンというのが確かに認められないわけではなくて、むしろフォーマルな次元よりもインフォーマルな次元の方が実質的な政治を動かしているというところもあるかもしれないと思うんです。これをよくしていくというのは、私は本当に価値のある提案だと思います。
 先ほど西尾委員から執行側が何らかの口利きがあったときに、それを公表していってはどうかという御提案があって、確かに立法と執行の間の関係でこれを是正することが可能であるとは思うんです。ただ、全体的なことを見てみますと、先ほどサラリーマンの代表が過少であるという御指摘があったとおり、例えば、これは立法と執行の間の関係だけというよりは、議員の構成に関して職業政治家だけというよりは、普通の人たちが構成メンバーになると、かなり違ってくるのではないかと。顔ぶれもがらっと変わってくると、住民・市民がかなり自分たちに近い人が議会にいて、その人にもうちょっと普遍的な利益を追求できるように議会の場で議論していってほしいという考え方になっていく可能性もございますので、やはりサラリーマンなどの代表も増やしていくということも考えますと、今日資料4の中でいただいている論点の中で、例えば、1ページの一番最後に書いてある一時的に議員の間は離職して、その後復職できるような制度は考えられないかとかさまざまな工夫があると思うんです。それから、供託金募集は大変なんじゃないかとかいろいろあると思うんですけれども、現実的に考えてみてサラリーマンというのはすごく働いていて、時間もないですし、かなり疲れていますね。ですので、恐らく1ページの下の方の提案のようなものを含めて、本務先の環境整備というか本務側の配慮というものが現実的にはとても重要であって、それをクリアしないとなかなか実施的な変化にならないのかという気がいたします。ですので、西尾委員の御提案も含めまして、単に立法と執行の間の関係を少し変えていくということだけではなくて、もうちょっと社会の方からの議会への変化というか配慮も提案していったらいいのではないかと思います。
○林小委員長 ありがとうございます。
 働く女性が子どもを産みやすいような環境をつくる、これもやはり職場の企業側のそれに対する取り組みということにもかかわってきますし、議員活動をやるためにもそれなりのサポートがなければできないだろうと。これはそのとおりで、では、どうすればいいんだという議論を恐らくこれからしていかなければならないと思うんですね。そういう少し長い目で見た話と、長い目で見るとよくないのでしょうけれども、そして、すぐにでも解決しなければならない問題があるだろうと思います。一方で、アクションプランとして早急にこれだったらできるという話と、更にもっと議論していかなければならないということとがありますから、その辺りはまた論点の整理と対応策を考える中で詰めてまいりたいと思っております。本日は、そういうことも含めて広く論点を出していただければと思っております。
○大山委員 ほかの方の御発言に補足するということで2点申し上げたいと思います。
 1点目は、江藤委員が最初におっしゃった監査の話なんですけれども、前回、国会法のまねをするなと言っておいて矛盾するんですが、国会法の近年の改正で行政監視関係というのはかなり変わってきているんですね。それを取り入れるというか、まねをする必要はないんですけれども、もうちょっと先に行くような形で地方もやっていったらいいと思うんです。
 一つは、監査委員とどう連携するかという話については、条文を確認してこなかったんですが、会計検査院から報告を受けるようにできるという改正が最近、国会の方ではなされていますので、そういうことも考えられる。
 もう一つは、何でも行政監視とか調査というのを多数決でやるというのは確かに問題で、少数者調査権と言うのですが、4分の1とかそういう人たちから要求を出して、例えば100条調査権そのものではないけれども、予備的な調査をするというようなことも国会法改正ではできているので、そういうことも考えられるかなということがございます。
 2点目は運用の問題なんですけれども、小林委員のおっしゃった議員の活動状況をどうやって公開するかということについてです。資料1の26ページにウェブサイトの掲載内容というのが出ていまして、これは大体似たより寄ったりだと思うんです。衆議院も参議院も似たり寄ったりで、子ども向けのキッズページがあるかないかとか、そういう程度の話なんですけれども、外国の議会のウェブサイトと比べるとすごく違うんです。何が違うかというと、立法情報がないんです。要するに、よその国の議会のウェブサイトを見ると、物すごく文書がいっぱい引けるようになっていて、文書の中身というのは単に会議録だけではなくて、どこの議会でも審議をするときに行政側から資料をとっているんですよね。そういうものは、ただ議員がその場で見て捨ててしまうのか、家に持って帰ってファイルしているのか知りませんけれども、それきりになっているんですが、そういうものも議会の側が編集してウェブサイトなりに載せて公開するということができれば、議会というのは会議の席で公式にこういうことをやっているんだということがもうちょっと住民に伝わっていくと思うんですけれども、これは制度改革でそうしなさいというわけではないんですが、もうちょっと考えていければいいかなと思います。
 以上です。
○政所委員 論点を広く見る観点から、先ほど都道府県議会と市町村議会の話が出ました。これが二重機構とか二重体制になっていないかの点です。
 例えば、政令市が多くなりました。人口・面積の規模も数十万から250万以上という格差があります。例えば福岡、大阪、名古屋、横浜などの都市ですと、県議が持っている情報と市議が持っている情報、本来は地域特性を考えれば水平ネットワークで地域課題を共有しなければならず、また数々の果たすべき機能も重なっています。財政課題から捉えれば、事業者は事業税などを県に。経済活動から発生する納税はというと、国に、県に、市町村にと複雑です。先ほどの囲い込み型の口利き役というようなマイナスの面もありますけれども、地域の経済活動に密接な、緊急に解決しなければいけないような地域社会問題など、議員が果たすべき情報把握がバラバラになってはいないのだろうかという問題です。
 ですから、やはり今後、地域自治区を考えていく上でも県議会、市町村議会、そして、地域自治区がどのように補完し合うべきなのかということは論点の一つです。
 以上です
○名和田委員 今、県と市と地域自治区の補完関係というようなことをおっしゃいまして、西尾委員もよく自治の重層構造ということをおっしゃると思うんですけれども、議員の報酬のことについて余り具体的なことではないんですが、基本的な考え方についてほんのわずかなことを申し述べたいと思います。
 先ほどの西尾委員の御発言あるいは前回の西尾委員の御発言の中にもそういったニュアンスがあったかと思いますが、やはり日本の自治体というのはかなり大規模で、欧米から見れば驚異的に大規模で、ほとんど州と同格みたいなところがあろうかと思うんです。そして、非常に専門性が高い。だから、議員などもなかなかボランティアとか片手間ではできがたいのではないかと思うんです。私も前回そういうことを背景に意見を言ったのですけれども、欧米の基礎自治体の議員が原則無報酬で、夜会議をやっているというのを専門性とか権限の大きさの違いを無視して、安易にまねするというような風潮が、時として日本のマスコミなどの論調にあるかと思いますが、それはなかなかストレートにはいかないのではないかと。勿論、一般の人が片手間という言い方はよくないですが、ボランティアでごく平場で日常感覚で民主的な議論をするという場は必要で、それが地域自治区なのかなと思うんですね。そういうところを県にあらしめるために、前回も言いましたけれども、選挙制の地域自治区を置いて権限も移譲するみたいな制度を地方自治法に置くということは賛成です。
 それとは異なって、基礎自治体のレベルの権限も非常に大きく専門性も高いので、そこではやはり基本的にはちゃんと生活できるだけの、政治家と言われる方々の生活構造がどうなっているのか知りませんけれども、世間的に見て生活が成り立つだけの報酬を保証するということが必要ではないか。
 それに付言して考えると、町村総会制度がどうなのかということを考えると、やはり専門性もなく、かつ、ボランティアで集まって非常に高度なことを議論しなさいというのは敷居が高いということが、制度が活用されない背景にあるのかなと思います。ですから、今の市町村は基本的には非常に専門性が高いので、サラリーマンが議員になるというのだったら離職をして専念せざるを得ない場合が多いのではないかと思います。先ほど西尾委員も基礎自治体と県との間で会議の持ち方について区別して御発言されましたけれども、恐らく基礎自治体の一定規模以上のところは、かなり専門性が高いのではないかと。だから、それを勘案して恐らく報酬の額も適正に決めていくべきではないか。少なくとも無報酬で夜やればいいじゃないかということでは、なかなかすんなりとはいかないのではないと考えております。
 以上です。
○林小委員長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
○斎藤委員 1点だけ。先ほどの議論で、議員と住民との関係についてのお話を伺っていて、インフォーマルなものをそのままにしておくのはよくないということで、そうすると、個人の救済を議員に求めるというのは確かに筋が違うと思うんですが、不適切な行政の活動がたくさんあるというのをとらえて制度を改正するなり、行政はもっとちゃんとやれというのは議会の監視活動の中に含まれると思うんです。ですから、インフォーマルなものをきちんとフォーマルな議会活動の中でやるということの運用なり制度改正というのは考えていいと思います。
 例えば、議会にオンブズパーソン的なものを置く。これも運用でできるかどうかという点がありますし、請願については議員の紹介を得てということが現行法でも書いてある。そうすると、そういった請願についてどう位置づけるのか。請願が採択された場合の行政の対応をどう考えるのかということで、必ずしも立法に議会が純化する必要はないのであって、監視機能という点で住民からの情報をフォーマル化して行政運営に反映させるという手を考えるべきではないでしょうか。
○武田委員 議会のチェック機能という点で、先ほど出ました財政統制のことについて次回、議長会のヒアリングということですので是非お聞きしてみたいなと思います。現実に議会が財政統制といった際に、予算についてどの程度実質的に審議ができているのか。例えば、大きな金額の地方債への記載の場合とか、大きな契約の場合というお話がありましたけれども、それ以外に、年々の予算審議の中で議会が、どの程度実質的に予算を全体の枠にわたって議論できているのかという率直なところをお聞きしたいなと思いました。
 ただ、実質的に予算の議論というのは議会では余りなされていないのではないかなという予測は成り立ちます。正直言ってしまうと、財政統制を地方議会に委ねるのはかなり無理があるのではないかとも思えます。とりわけ、この議論のように議員の名誉職化とか、住民の構成を反映したような一般のサラリーマンや女性という代表を広範に出すというこを考えますと、そうした議員の専門性を確保することが一層困難になってくれば、やはりチェック機能というのは余り過大な期待はできないのではないかという気がしてきました。
 そうしますと、では、議会を何を議論すべきかというときに、当然立法権もありますけれども、私は総合計画というものをもう少し位置づけた方がいいのではないかと。つまり、これは複数年度にわたる予算に代替するような意味合いといいますか、中期的な地域の課題を優先順位を決めるというのでしょうか、一種の政策立案、企画立案的な意味を持つ総合計画ですから、これを予算とリンクさせる、予算を裏で規定する計画というような位置づけを持ってくれば、むしろここを議会が議論するということにより現実味があるのではないかと思った次第です。
 ですので、次回、議長会のヒアリングということですので、財政統制の現実性と総合計画の議論をどのようになされているか、この2点を聞いてみたいなと思っている次第です。
○西野委員 少しお話が遠くなるかもしれないですけれども、今私が関心を持っていることから今日の議論に結びつけてお話をさせていただきたいと思います。
 先ほど来問題になっておりました西尾先生が御提案になったインフォーマルな議員の議会外での活動ということについてどう考えるかということと、更に、ほとんどの人口の大きな比率を占めるサラリーマンの代表が送られていないという形の議会をどうすべきかという問題に関連してでございます。
 今、非常に財源が限られた中で、多くの住民の社会的なニーズというのが大変多様化してきて、しかも、それが大きな額になりまして、ギャップで非常にどの地方も財政難に陥っているわけでございますが、そういう中で最近浮上してまいりましたのが、ニュー・パブリック・マネジメントという考え方で、これは単なる住民というよりは、住民を顧客というような形で企業が考えている顧客に対応するわけでございますが、その満足度といいますか、あるいは雇用を高めるというような形でどうしたらいいかとパブリックマネジメントを考えていく考え方でございますが、それが更に進んで、最近ではニュー・パブリック・サービスという考え方で、こちらはNPSと言われていますけれども、住民が地方自治体の補助を努めるというよりは、更に進めまして住民が中心になってマネジしていくような自治体、そして、公共サービスの提供者として住民が中心になっていくという考え方に移っていくような傾向が見えてきております。
 私は、その中で議会にサラリーマンを送り込むということは、今存在しているような形の議会にサラリーマン代表の住民を調和させるというよりは、逆にステークホルダーといいますか、利害関係者の一番大きな中心になってくるような人々が参加できるようなスタイルに議会の方を変えていくと。そういうことが必要なのではないかと考えているわけです。
 そういうふうにしていかないと、これからいろいろなことを考えるときに、これから先の潮流がどの方向に行っているのかというのを眺めながら改革していく必要があるのではないかと思いますので、具体的な議論につながらないで申し訳ないんですけれども、そう考えておりますが、いかがでしょうか。
○江藤委員 いろいろお話を伺っていて、今回の改革提案とか視点というのが従来の議会のイメージをかなり大きく変えなければいけないんだいということを皆さん言われていて、そういう方向での改革をしたいなと思っています。
 議会というのは、議員同士で議論したり、議員と市民との広場であるというメッセージが伝わっているなというのが一つと、やはり二元代表制とか機関対立主義を担う議会として、そこの力をどう発揮するかという意味での議会像というのは、現実とはかなり違う提案が出て、そこへ行くような運用や制度改革をと思っています。
 先ほど私は制度改革と運用と言いましたけれども、運用でもできるよと。例えば、議員同士で集まるのは自治法の第121条でできないことはないんですね。執行機関を呼んでいるのは議長ですけれども、議員だけが討議する議会というその運用が作動できないような問題も、是非ここでも議論したいなと思います。
 あと、「地方議会制度に係る論点」ですが、片山副会長が少し整理しろよと言ったので、整理されれば今お話しすることは解決できると思うんですが、3ページの小規模自治体における議会制度という、「小規模自治体」を入れることは何らかの意味があるんでしょうか。ここで書かれていることは別に小規模じゃなくて、自分のところでやれよという話だと思うんですね。何らかの枠をかけなくて自由にどうぞとやるのが、今回の地制調の方向ではないかと思っています。
○林小委員長 ありがとうございます。
 小規模自治体に関しては、例えば、議員の身分だとか選出の在り方を考えるときに、すべての規模の自治体を一律に考えることができるかという話も一方であるわけです。
○江藤委員 わからなくもないんですが。
○林小委員長 そこで、そういう形で出すことが、これはやはり共通の問題だということであって、小規模自治体というのを特出ししなくてもいいということであれば、それはそれで構わないのですが、すべての自治体に画一的にというわけにはいかないだろうし、やはり人口数百人のところと数百万人のところと一律に話もできないのではないかという配慮で、「小規模自治体」ということで特出しをしているととらえていただければ結構かと思うんですが。
○小林委員 先ほどの武田先生の話の中で出ていた予算の話で1点だけ追加なんですけれども、制度の話なんですが、自治法の施行規則で今現在、予算調整の様式というのが定められていると思うんですけれども、それと、あと説明書をつけなさいという款、項、目、節ですけれども、当該年度については細かく書かれているんですが、先ほどニュー・パブリック・マネジメントの話が出ていましたが、そろそろPDCAが働くような、要するに、前年度とかそれ以前の政策の効果が働くようなものがわかるような様式に改めて、より議会の場で予算の審議がしやすいような資料、予算書、予算に関する説明書、現行でも加えて必要な資料は出せるという規定は入っていたかと思いますが、それをもうちょっと予算審議を実質化するという意味で、款、項、目、節は残してもいいとは思うんですが、もうちょっと政策効果比較できるような様式に改めるのか、あるいはつけ加えるという方向なのか、その辺は考えがまとまらないんですが、そろそろそういうことも考えた方がいいのではないかと。
 1点補足をお願いします。
○林小委員長 ありがとうございます。そろそろ時間も近づいておりますが、次回は議長会のヒアリングですので、よろしいでしょうか。
 それでは、私も事務局の問題だとか、あるいは議会がどの程度本気で行政の在り方に取り組めるんだろうかということを考えたときに、国と地方との関係というのは非常に大きな影響を与えているんじゃないかという気もするんですね。つまり、事細かく地方行政に対して関与するということになってまいりますと、どうしても情報ギャップというのが生じてしまって、事務局もこれを周知するためには、よほどの人材と時間とエネルギーが必要になる。ですから、その辺りをもっとシンプルにするという意味では、分権を進めていくということが議会の活性化にもつながるのではないかというような気もするわけです。
 あるいは、住民との関係でいきますと、企業の問題でもプリンシパルエージェント問題というのがあって、要するに、住民の意思がどの程度行政に反映されているのかということが企業の株主と経営者の関係、そして、自治体でも同じようなことが言われると。そうすると、サラリーマンという話よりは、むしろサイレントマジョリティーと言いますか、ほとんど何も言わない、むしろ言ってもむだと思っている市民・住民をどのように行政の中に巻き込んでいくのか。これは恐らく議会の問題でもありましょうし、首長さんの問題でもありましょうから、その辺り、むしろ住民が感心を持たないというのは、要するに合理的な政治的無知という言葉がありますけれども、むしろ無知であることが合理的だと幾ら言っても、何分の一なんだからということであると。そして、一方で、非常にインフォーマルな形で議員さんのことをよく知っているとか、あるいは知り合いだという方の利益が優先されるといったような不満が一方である。
 この辺りを根本的にどのようにして変えていくのかというところが非常に重要な問題で、そういう意味では財政規律という話は恐らく地方債も民間資金がどんどんウエートが高くなってまいりますから、よく言われるのは市場のテストにかかると。ところが、市場のテストにかかっても、それが住民の満足を高めているのかどうかとか、あるいは効率的な行政サービスの提供になっているのかどうかというところのテストは、私はかからないと思っているんですね。やはりそこは政治のテストであったり、あるいは監査委員制度の中でその辺りはきちんとチェックしていかなければならないので、そういう意味では、先ほど小林委員がおっしゃったPDCAサイクルの中で監査あるいは議会が果たすべき役割というところから考えていくということも、非常に重要なのではないかという感じがしております。
 非常に抽象的なお話で申し訳ありませんけれども、そういう時代だということで、第29次の地方制度調査会で議会の在り方を考えていく。場合によっては、引き続き次の地制調にというようなテーマもあるかもしれませんけれども、次回、議長会からお話を伺って、議会と首長との関係ということでもありますので、その次に3団体のヒアリングをしてはどうかという具合にも考えておりますけれども、そのようにさせていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)
○林小委員長 それでは、それが終わった後で論点をもう一度整理し、場合によっては優先順位をつけなければならないかもしれませんが、対応の仕方をこの場で議論したいと思っております。今日はどうもありがとうございました。
 それでは、事務局にバトンを渡します。
○自治政策課長 次回の日程でございますが、7月29日火曜日、午後3時から三田共用会議所で行いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○林小委員長 これをもちまして本日の専門小委員会を閉会いたします。長時間どうもありがとうございました。



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