会議資料・開催案内等



29次地方制度調査会第15回専門小委員会 次第



平成20年9月30日(火) 10時00分〜12時00分
三 田 共 用 会 議 所 第4特別会議室


1   開会

2   議題

    議会制度のあり方に関する意見交換

3   閉会

配付資料(PDF)
 
資料1   地方議会制度に係る論点(項目)
資料2   議会制度のあり方に係る論点




○林小委員長 それでは、時間がまいりましたので、第15回の専門小委員会を始めさせていただきたいと思います。
 本日は、前回に引き続きまして、議会制度を議題に意見交換を進めたいと思います。
 今回は、議会制度の在り方につきまして論点を整理しておりますので、まずは事務局から御説明をいただいた後に委員間での意見交換を行いたいと思います。なお、できましたら今回だけでと思いますけれども、なかなか懸案事項も多いものですから、2回に分けて意見交換を行おうと思っております。今回は今日配っていただいております資料1の「第1 議会の団体意思決定機能や監視機能の向上策」について、事務局より20分程度御説明をいただいた後に、委員間での意見交換を行いたいと思っております。
 それでは、事務局からお願いいたします。

○行政課長 お手元に資料1と資料2をお配りいたしております。資料1は、項目だけがわかるように並べたものでございます。資料2の方に具体の内容を入れておりますが、前回までにいろいろ提案をいただいております論点につきまして、今回委員会における今後の審議内容がより明確になりますように、地方制度調査会の審議項目に沿いまして、少し整理をし直したものでございます。
 具体的な中身は資料2でございますけれども、構成がそれぞれの項目ごとに「論点」「検討の視点」「対応策の検討」とさせていただいております。論点につきましては、前回までの小委員会におきまして、それぞれ御提案をいただいておりました論点をそのまま記載いたしております。その後で検討の視点ということで、今後の対応策を検討するに当たりまして議論のきっかけとなりますように、いろいろと現行制度の趣旨あるいは考えられる課題、懸念等々の視点を記載させていただいております。そして、対応策の検討のところで今後どういう方向性にしていただくかということを御検討いただき、方向性を決めていただきたいというものでございます。
 それでは、順次御説明をさせていただきます。まず、資料2の1ページ「第1 議会の団体意思決定機能や監視機能の向上策」の「1 議決事件」でございます。
 ここにあります論点は大きく2つでございまして、1つは、契約の締結なり財産の取得に関する議決事件に関して政令の基準がございますが、これを緩和・廃止することはできないかという点。もう一点が、法定受託事務を議会の議決事件として対象にするということでございます。
 検討の視点でございますけれども、最初に政令基準が設けられた趣旨をどう考えるのかということを書いてございます。これは3ページをごらんいただきたいと思います。政令基準が設けられました昭和38年の改正の経緯を書いてございまして、昭和37年に地方財務会計制度の改革に関する調査会の答申がございました。下線を引いてございますけれども、契約の締結、財産の取得等のように議会の議決によって成立した予算の執行に係る事項というのは、執行機関の責任において処理することといたしまして、条例で定める重要な契約を結ぶことについて、議会の議決はこれを要しないものとすると。それまで重要な契約について議会の議決となっておりましたが、この答申でこれを執行機関の責任としてはどうかという答申が出されたわけでございます。
 これに対してその後の検討の末、改正当時の政府答弁という昭和38年の地方自治法の改正のときの答弁でございますが、全然議会の議決事項から外してしまうということは、やはり行き過ぎではなかろうかと。調査会の答申の趣旨も勘案いたしまして、従来条例に任せておりました契約の程度を政令で合理的な基準を決めることにしようというのが、この改正の趣旨でございます。また府県、市町村によりまして、かなり現状おきましてはバラバラであるということで、これらの点についてもう少し合理的なものを定めようという考え方をいたしております。
 こういった経緯で政令基準が設けられているということでございます。
 1ページにお戻りいただきまして、検討の視点の2つ目でございますが、契約の締結とか財産の取得・処分を議会の議決にかからしめることは、議会の長に対するチェック機能に係わるものでございますけれども、まさに今申し上げました予算執行に係ります長の権限に対する議会の関係、チェックの基準というものを一方の議会の裁量に完全に委ねてしまうということについて、どのように考えるのかということがあろうかと思います。
 また、同じく本来執行機関の権限に属する予算執行でございますけれども、これに対する議会の議決による関与の在り方をどのように考えるのかということでございます。
 それから、仮に政令基準を緩和・廃止した場合に、実際の長の執行事務に与える影響、前回、市長会3団体等のヒアリングでも少しございましたが、そういう影響・心配についてどのように考えるのかということでございます。
 もう一点の法定受託事務関係でございますが、議会の議決事件に関する取扱いに関しても、自治事務と法定受託事務とで差異があり得ると考えるべきかどうか。
 また、個別の法定受託事務につきまして、具体的に議決事件の追加が許容されるべきと考えられるものが実際としてあるのかどうかということがあろうかと思います。
 その上で「対応策の検討」でございますが、1つは、第96条第1項第5号、第8号の議決事件に関する政令基準を廃止するということが考えられないか、あるいはどう考えるかということが1点でございます。
 それから、法定受託事務につきましては、議決事件を追加した場合に議決が得られないときの事務の執行について問題が生じることはないのだろうか。
 それから、法定受託事務につきまして、具体的にどのような議決事件の追加が考えられるのかといった地方側の意見・要望なども踏まえまして、個別の法律に即してどのような問題があるのかを更に議論していく必要があるのではないかといったようなことを書かせていただいております。
 次に5ページでございます。「2 議会の監視機能」でございますが、ここの論点の上の2つは議会の実地検査権の付与でございます。監査委員の御議論の中で議選委員を廃止するということがございましたので、それに併せて議会に実地検査権を付与してはどうかという論点でございます。
 もう一点は、議会の調査権について、少数者の調査権を認めるということについてどう考えるかということでございます。
 検討の視点は、議会に実地検査権を付与することについてどう考えるのか。
 現行制度上、議会が実地検査を行う必要があるときには監査請求をやっております。それによるべきというのが現行法制でございますが、議会の実地検査権と監査請求権の関係をどのように考えるのか。また、専門的知識・経験を有した監査委員による監査と、議会の監視機能との役割分担をどのように考えるのかといったようなことがございます。
 それから、調査権関係につきましては、調査権は議会としての意思決定によって発動されるものでございますが、その意思決定がなされるまでの過程の在り方につきましては、少数者の意向にも配慮した運用の方法というものがあり得るのではなかろうかということでございます。
 その上で、対応策の検討といたしまして、1点目につきましては、議会の監視機能を向上させるため実地検査権を付与することが考えられないだろうか。その場合に、仮に付与するということであれば、併せて議会の監査請求権はどう考えるのかということがございます。
 2点目は調査権の問題ですが、調査権に関して議会の意思決定がなされるまでの過程におきまして、少数者の意思をどのようにくみ上げ実現していくか、これはそれぞれの地方団体の地方議会で、さまざまな現実的な運用というものが考えられるのではなかろうかということでございます。
 次に7ページでございます。「3 議会に経営状況の報告を要する法人の範囲の拡大」でございます。
 論点は、法人の範囲を現在2分の1出資法人でございますけれども、これを4分の1以上の出資法人に拡大することはできないかといったことでございます。
 検討の視点の第1番目、長は2分の1以上出資法人等の経営状況を調査する権限がありまして、これを前提として議会に法人の経営状況を報告いたしております。したがいまして、議会への報告の法人の対象を拡大するということは、併せて長の法人に対する調査権限を拡大するということになりますので、この前提となります長の調査権の対象範囲を拡大させることについてどのように考えるかということを併せて検討する必要があるということでございます。
 それから、現行制度上は議会が監査請求権を行使いたしまして、4分の1以上の出資法人につきましては監査請求の対象にすることができまして、出納その他の事務の執行の監査ができるわけでございますけれども、これに加えて更に、経営状況の報告を有する出資法人まで拡大するということについて、どう考えるのかということでございます。
 次の「○」は少し観点が違いますが、そもそも会社法の規定、それぞれの法人を規制する法律がございまして、そういったものに基づく一般の出資者というものもおられるわけでございまして、その権利以上の権利を特別に地方公共団体のみに付与するということについても、どう考えるかという検討が必要かと思っております。
 それから、現実に出資割合が2分の1未満の法人等に関して、長が任意で議会に経営状況を報告するという運用を自主的な形でやられている地方公共団体もあるようでございまして、法人の独立性・自主性を確保する観点から、経営状況の報告を要する法人の範囲を自主的な対応ではなくて、法令上一律に拡大するということについて、どのように考えるかということでございます。
 対応策の検討といたしましては、今申し上げました長の調査権の対象、経営状況の報告を要する対象、いずれも出資法人の範囲を2分の1以上から4分の1以上に拡大することについて、どのように考えていくのかということでございます。
 8ページに参考でございますが、「改正の経緯について」と真ん中辺りにございます。もともと2分の1以上と考えられた経緯でございますが、地方公共団体が資本金の2分の1以上を出資する云々の公社は、地方公共団体の事業の一部を執行する、地方公共団体の分身的・代行機関的性格を有していると考えられるという説明がございまして、昭和37年の改正により出資法人に対する長の調査権及び議会への報告が新設されたということでございます。
 次に9ページ「4 住民訴訟と議会の議決による権利放棄」でございます。これは住民訴訟が提起された後に、議会が当該訴訟において問題となっております損害賠償請求権を放棄する旨の議決をするという事例をいくつか以前御報告させていただいたと思いますが、こういう議決をすることは議会が執行機関に対する監視機能を有していることからすれば問題があるのではないかということでございます。
 検討の視点でございますけれども、現在まで小委員会には4事例の御報告が確認されておりますが、議会の権限を制限するという制度改正にまで踏み切るまでの状況にあると考えるのかどうかということでございます。
 それから、住民訴訟は住民一人でも提起できるというものでございます。一方で、住民の代表である議会がございますので、住民訴訟の提起によりまして、住民の代表である議会の議決による権利の放棄に制限を設けるということが、そもそも適当であるのかどうかということでございます。
 それから、いろいろなケースがあるわけですが、例えばということで、長または職員等がいろいろな法解釈の違いによりまして、結果として巨額の損害賠償責務を有するようなケースもあるわけでございまして、私的に自分が利益を得たということでなく、結果として損害賠償債務を負担する場合もございまして、法的な支払い義務が存在するということは一方でありつつ、住民の代表である議会として、政治的あるいは政策的な判断として当該請求権を放棄するということについて、これを一切禁止するということが適当かどうかということでございます。
 仮に住民訴訟の提起があった場合に権利の放棄を制限するといたしました場合に、地方公共団体の損害賠償請求権等につきまして、たまたま住民訴訟が提起されていたかどうかということで、放棄ができるかどうかに差異が生じるという問題はないのかということでございます。
 一番下ですが、仮に権利放棄を制限するという場合にも、いかなる要件が考えられるかということで、住民訴訟の進展状況によって区別を設けるという方法はあり得るのかということで、例えば、住民訴訟の係属中に限って権利の放棄を制限するという考え方はあり得るのかどうかということでございまして、対応策の検討につきましては、いずれにせよ住民訴訟と議会の議決による権利放棄との関係をどのように考えるのかということだと存じます。
 10ページでございます。「5 議会における財政統制、審議の活性化等」ということでございます。論点にはいろいろなことが入っておりますが、例えば巨額の起債、税率による議会の財政統制の問題、それから、住民投票の問題、実質的な審議のための総合計画に関する審議、決算を不認定とした場合の長からの説明義務等の対応措置。
 それから、4番目、5番目は意見が異なりますが、長の議案提出権をなくすということについての議論でございます。
 それから、議会基本条例というものがいろいろな議会で検討されておりますが、これについてどう考えるのか。
 それから、最後に、議会と地域自治組織との関係でございます。
 検討の視点といたしまして、議会の税率の決定の在り方についてどのように考えるのか。また、巨額の起債等に関する住民投票について、現行制度上も諮問的な住民投票であれば任意で実施することができるわけですが、これを法定の制度として設けることについて、どのように考えるかということでございます。
 次に、決算の不認定でございますけれども、長が政治的な責任を負うわけでございます。また、議会は決算の審議の結果を次の予算の審議等に活かすことができるわけでございますが、これに加えて、決算不認定の場合の対応措置を更に定めるということについて、どのように考えるのかということと、また、具体的にどのようなものが考えられるのかということでございます。
 議案提出権を議員専属とすることについては、長と議会との二元代表制を基本とした現行制度に与える影響をどう考えるのかということでございます。
 最後といたしまして、地域自治組織の意見等については、これを議会が尊重し、審議に反映されるようにしていくことが考えられないかということでございます。
 11ページの対応策の検討でございますが、まず1つ目の税率の在り方でございますけれども、これは議会制度の範疇にとどまらず、地方税制の在り方の中での検討が必要ではなかろうかということが1点。
 それから、起債の住民投票の問題でございますが、起債は個々の事業における財源調達の一手段でございまして、長の予算執行の中で起債の部分だけを取り上げて、住民投票を制度として一律に設けることが適当かどうか。一方で、重要な案件につきましては、自主的な住民投票を行って、これを参考として意思決定をしていくということもあり得るのではないかということでございます。
 また、決算の不認定につきましては、執行機関としても重く受け止めて対応をしていただくということが大事ではないかということでございます。
 議会審議の関係ですが、議会基本条例の制定でありますとか、総合計画に即した審議等を通じて、議会における実質的な審議というものを促進していただくということが大事ではないかということでございます。
 12ページ「6 議会事務局の体制、透明性の向上等」でございます。
 論点といたしましては、前半の5つぐらいが透明性の観点でございまして、議員の賛否等の議論の経過を文書で出させるとか、あるいは議論の内容を開示することによって、住民の選挙に関する関心を高めることができるのではないかと。
 それから、議会のウェブサイトにおいて立法情報を掲載するといった形へ充実すべき。
 また、地方議会について、もっと目が届くような形での情報公開、また、行政評価等についてもわかりやすいような形で情報を提出することができないかということで、いずれも情報公開、透明性の向上に関する論点でございます。
 下の2つは事務局体制でございますが、議会のチェック機能を果たす上で必要な専門性を議員が養う機会がない、事務局体制を強化、特に立法機能の面で必要があるのではないか。
 それから、議会図書館の充実・整備について、どのように考えるのかといったことでございます。
 検討の視点といたしまして、議会における審議の内容が住民に対してわかりやすいものとなっているか。また、住民にも本会議や委員会を傍聴する意欲を持たせるような方策はないか。
 また、議会や議員の活動内容について、議会での活動報告を充実させて、議案に対する議員の賛否状況を明らかにするといったことで、住民に対して議員の活動が目に見えるような形で情報公開、透明性の向上ができないかということでございます。
 それから、事務局体制につきましては、現行制度上も地方公共団体自らの判断で対応が可能でございますが、制度上更に一定の義務付けまで行う必要があるのか。
 それから、議員のサポートといった観点から見て、事務局職員の研修あるいは人事異動等について、どのように考えるかということでございます。
 対応策の検討といたしまして、議会は住民に身近なものとなるため、本会議や委員会等の運営に工夫の余地がないか。
 それから、議会活動について住民にわかりやすいような形で情報公開に努めていくべきではないかということでございます。
 また、議会事務局の体制の強化につきましては、どのように考えていくべきかといったようなことでございます。
 以上「1 議会の団体意思決定機能や監視機能の向上策」に関する6つの大きな項目につきまして御説明を申し上げました。よろしく御審議のほどお願いいたします、

○林小委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、これから意見交換を行いたいと思いますけれども、今、御説明をいただきました第1の部分を2つに分けて前半・後半という形で議論をさせていただきたいと思っております。

 まず、前半といたしましては、資料2の1ページの「1 議決事件」から、7ページの「3 議会に経営状況の報告を要する法人の範囲の拡大」、資料1でいきますと1、2、3の3つつきまして意見交換を行いたいと思っております。なお、意見交換の中である一定の方向性を見いだすことができるようなものがあればということも考えておりますので、その点御理解をいただいた上で意見交換を行いたいと考えております。
 それでは、大体11時過ぎくらいまで前半部分で御意見をいただきたいと思いますが、どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

○斎藤委員 第1の「1 議決事件」の論点で、特に法律の改正が問題になる論点の2つ目ですけれども、まず、法定受託事務について追加で議論すべきではないかという論点です。これは私も既に何度か意見を申し上げておりますが、まず、客観的な経緯のところで4ページを見ていただきたいと思います。そこで、法定受託事務について議会の関与をどう考えるかということについて、分権推進委員会の第1次勧告、それから、分権推進計画が挙がっております。そこで下線を引いてある部分が議会の議決に関するところなのですが、下線を引いていない部分は、法定受託事務について法律あるいは政令による明示的な委任がなければ条例が制定できないかどうかということについて、この第1次勧告と分権推進計画では明示的な委任がなければできないという立場に立っていた。ところが、これは恐らく次回資料でお出しいただいた方が明確になると思いますけれども、この後、具体的に分権推進計画を自治法改正にする国会審議において、内閣法制局長官はこれはそうではない、つまり、法定受託事務についても自治体の事務なのだから、明示的な法律の委任がなくても、法律に違反しなければ自主条例の制定が可能であるというふうに政府の解釈が変わったわけです。これは妥当な方向であると考えますが、それにもかかわらず、議決の方は法定受託事務についてはだめだというのが残っている。そこの部分だけ。それを踏まえた上で、4ページの後の第28次地方制度調査会では、法定受託事務についても議事事件の追加を認めることが適当であるという方向で考えている。そうだとすれば、この法定受託事務を一般的・概括的に地方自治法で議決の対象から外しているのは機関委任事務時代に、機関委任事務は議会の関与というのは極めて限られておりましたから、いわば負の遺産をそのまま引きずっているということではないでしょうか。最後の部分は意見になりましたけれども。
 それで、具体的には、2ページの対応策の検討で2つ、法定受託事務に関しては、事務の執行について問題が生ずることはないか。それから、どういう事務について地方で欲しいのか、むしろそれを聞くべきではないかと。これは前回のヒアリングで石井知事もおっしゃったところです。しかし、先ほどの経緯からすると、それはむしろ法定受託事務について一律にブロックしている方が原理原則としておかしいわけであって、もし、この法定受託事務について議会の議決をかませると困るというものについては、個別の法定受託事務の母法、つまり個別作用法あるいは処理基準において、そういう議決なり議会の関与を制限するというのを個別に立てるべきではないかと考えます。
 その上で、何か事務の執行に問題が生ずるというのであれば、法定受託事務についてはそういった特別な立法上の手当なり行政的な関与が認められているわけですから、そこで個別に支障が生ずるものをとめればよいのであって、自治法の方で第1次分権改革以前の規定をそのまま置いておく必要はないし、適当ではないと考えます。
 少し長くなってしまいましたが、法定受託事務については以上です。
 それから、もう一つ、政令基準の緩和・廃止ですけれども、これも前々回か前回申し上げたことの繰り返しになってしまうかもしれませんが、検討の視点の1ページの2つ目の「○」との関連で言えば、そこでは長と議会の関係にかかわるチェックの基準をすべて議会の裁量に委ねるということについてどう考えるかという検討事項が挙がっていますが、これは長と議会と考えるよりは、国が政令で一律に決めていることをどう評価するのか。それを条例で緩和し、もっとより厳しく見るんだということは、現在の自治体の自律性・自律性の拡大ということにつながる。つまり、条例で契約の種類であるとか額の上限を決めるのは、何も議会にフリーハンドを与えるというわけではなくて、長が提案して議会と協議して、うちの自治体ではこういった契約については議会にも見てもらいましょうと、あるいはここについては、むしろ長の方がもっとマネジメントの観点から自律的にやりましょうと決めればいいので、それを国の方が昭和37年で決めたスキームのままに一律に縛っておく必要はないのではないかと考えます。
 そして、昭和37年の答申で具体的に挙げられた、予算で見ているのだから、再度締結の段階で見る必要はないのではないかということについても、予算の段階では非常に概括的・一般的な形で、例えば一般競争入札でこういう額の範囲で予算をつけますとしたけれども、実際の契約締結に当たって競争入札の結果、額が適当であったかどうかということのチェックは予算の段階ではできていない場合があると考えますから、そうだとすれば、契約の締結等について各自治体でこういったタイプの契約あるいは額については、もう一度議会に見てもらいましょうというのが今回の趣旨であるチェック機能の強化ということからしても、それに沿ったものになるのではないかと考えます。
 少し長くなってしまいましたが、以上です。

○林小委員長 今、非常に重要な御指摘をいただいたと思いますが、今の点につきましては何か御意見ございませんでしょうか。

○西尾委員 議決事件の2点目の件ですが、契約の締結とか財産の取得または処分の問題ですけれども、ここは斎藤委員と私と感覚が違うかなというところがございます。本来これは執行権に属する事柄でありまして、国会の場合であれば国会にその種の権限は全くありません。国会は立法権、予算議決権等はありますが、そういう政府の執行権にかかわるという権限は原則としてないわけです。地方議会の場合にはそれが一部与えられているというところに特徴があるわけですけれども、これはいい面と悪い面と両方あるように思います。執行権にかかわることについて最終的に議会の議決を要するということになりますと、議会の議員がこれに介入する公式の口実があるわけでありまして、そのことがやはり個別の契約案件等々について、議員が仲介・あっせん・介入を始める一つのきっかけなんですよね。どこの企業を誘致するか、工場に何を持ってくるかから始まりまして、どの下請け業者を使うべきかということをめぐっても、議員がさまざまな働きかけを始めるということの一つの裏は、議決権を議会が持っている、そのことに議会が口を出す権限を持っているということに制度的な背景があるわけです。
 私は、契約に関する議決権とか財産処分に関する議会の議決権を廃止すべきだとは言いません。地方議会の場合にはそれも必要かと、意味もあると考えていますので、この制度を否定することはしませんが、しかし、全く政令基準、法令基準というものがなくなって、自治体の条例その他で自由に決められるようにして、そのときにすべての契約案件を議会の議決にかからしめろということが起こってもいいのだろうかと、それはかなりの大問題だと思うんです。そこまで議会が執行権に介入するにようになったならば、非常に大きな混乱が日本の場合ほぼ確実に起こるだろうと思っているわけです。
 ですから、現在政令で定めている基準が果たして妥当か。もう少しこの基準を下げて、議会が議決すべき事件の範囲を広げる方がいいということがあるのならば検討してもいいですけれども、これを無制限に議会が自由に拡大できるということにするのは、私はどうも賛成できないという立場です。むしろ、個々の契約案件とか財産処分案件に議決権を持つという形ではなくて、自治体としてどういう手続を経て、どういう手法で契約をすべきかとか、財産処分に当たってはどういう判断基準を立てるか、どういう手続をたどるべきかというようなことをきちんと条例で定めると。どういうルールをつくることが一番適切かということを議会が真剣に議論していただいて、契約条例のようなことをおつくりになる方が、むしろはるかに重要なことなのではないかと。一般的なルールに関して、もっと議会は真剣に議論しなければ監視機能は果たせないわけですね。しかし、そのことと個別の契約の話、個別の財産処分の話に議決権を持つということは物すごく違うことでありまして、個別の契約案件に無制限に議決の権限を拡大することには私は反対です。

○林小委員長 ありがとうございます。要するに、契約等で効率の悪いものが行われている可能性もあるのではないかというところから斎藤委員の御意見が出てきた。それに対して、契約等に議員が介入するという可能性もあるのではないかということで、これは意見が完全に分かれておりますが、その点について、議論していただくというよりも、ほかの委員の方々はどのようにお考えなのか、お聞かせください。

○江藤委員 この間2回ほど欠席させていただいて、行政課長も代わられたということでちょっとびっくりしているんです。少し様子を見てからお話ししようかなということだったんですが、今の議決事件の第96条第2項の括弧書きと第1項の契約の2点ほどお話をさせていただきたい。まず最初に、議決事件の付加、第96条第2項の括弧書きにつきましては、ここに28次地制調委員の方がいらっしゃると思いますけれども、そこではこれは「見苦しい文言」だと委員の方から出ていて、諸井委員長もこんなものはとってしまえばいいんじゃないかという話があったのを、まだここでも議論しているのかというのが正直なところの印象です。いろいろな事情があると思いますが、住民自治だとか自治体の充実ということを考えれば、削除は基本的に問題ないと思っております。自治体の事務というのは当該自治体の事務ですから、いろいろな縛りがあっても自分たちのことは責任を持つというのが前提だろうと思います。例えば、対応策の検討のところに第96条第2項で括弧書きの廃止がありますけれども、もともと自治体というのは住民の福祉の向上のためにやっていて、何か変なことをやるということを前提していればいろいろなことを考えられるのでしょうけれども、そんな変なことをするかどうかという思想の問題もあると思うんですね。
 それから、問題が生じることはないかどうかといっても、法定受託事務については関与の仕方が自治事務とは違うのですから、何かあったときに別立ての関与の仕方というのがあるでしょうと。もしくは、万が一問題があるような事項については、斎藤委員が言われたように個別に法律でやることが前提なんじゃないかと思っております。
 第96条第2項については、議会の議決権限を単に強めるという意味で第96条第2項の括弧書きをとるという意味だけではないと思うんですね。議会で議論するというのは公開の場で討議をして、地域にとってこれがどういう意味なのか議論をするということがすごく大事なことだと思います。そういう意味では私は第96条第2項の括弧書きをとるというのは、28次から続いていたのかもしれませんが、そろそろ決着をつけた方がいいんじゃないかとは思います。
 それから、契約などの政令基準についての斎藤委員と西尾委員とのお話ですが、当初は国が縛るというのはよくないんじゃないかというお話をしようと思っていました。それこそ自治体の自由に任せて、政令基準を廃止することは斎藤委員が言われるように、議会の議決によって契約などでの執行機関への縛りを強めることが目的なのではなくて、国の縛りから自由度を高めることがまず目的なんだよと。これだったら取っ払えばいい、あるいはちゃんとして議会で条例を決めてやればいいんじゃないかと思っていた方ですが、西尾委員のお話を聞いて、まずは執行のルールをしっかり条例でやることの方が先決だと思いました。更に、分権改革推進委員会で上書き権等の議論があるとすれば、そこのところで突破できる可能性があるのではないかということで、まずは、契約等のルールを定めること、そこまで条例でかかわれるということが確認できれば、私は政令基準の廃止よりはそこが先かなと。
 ただ、正直言いまして、余りにも政令基準のハードルが高過ぎるんですね、現実においては。だから、もう一度廃止まではいきませんけれども、緩和についてはしっかりとこの時期に考えたいと思っております。
 以上です。

○林小委員長 ありがとうございます。
 ほかの委員どうぞ。

○武田委員 ただいまの御発言に私も非常に賛成です。第96条第1項の第5号と第8号についてなんですけれども、私は先ほどの斎藤先生と西尾先生の議論が余り食い違っているとは思えなかったんですね。というか、ちょっと違う論点を提起されていたかと思うんです。私は第5号と第8号を廃止することではなくて、政令基準を廃止しつつ、それを条例で定めることができる項目として考えれば、お二人の見解はさほど食い違わないのかなと思って聞いておりました。
 とりわけ政令基準、2ページにあります数字を見て、これはかなり変だなと思うことが多々あります。例えば、町であっても人口急増の地域であれば市を上回る人口のところもありますし、地価もかなり高くなっているところがあります。他方で、市であっても過疎化が進んでいる市であれば町村並みの地価のところもあります。ですから、ここで機械的な政令基準でこうした基準を定めているということ自体は、余り現実に適応していないのではないかと。むしろ地域の実情に応じて条例で定めることができる、あるいは議会が定めることができるようにした方が望ましいのではないかと思いました。

○林小委員長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。

○斎藤委員 私の意見はどちらかというと、マクロの観点で国における一律の義務付けを緩和するというのが一つ、それから、これは理想論かもしれませんけれども、長と議会がきちんと協議して条例で決めれば、おのずとその自治体に合った基準が出てくるのではないか。例えば前回、新見市長の石垣さんは現在のでも細か過ぎると言ったわけでして、それがもし新見市でむしろそれは引き上げて、ほかの部分にリソースを注ぐべきだと議会と長で一致すれば、むしろ政令基準よりも高いものが出てくるかもしれない。そういった一般論で言ったわけで、そうはいっても議員の個別の介入の方が弊害が強いというのであれば、一律の廃止というのは望ましくないという方向が出てくるのではないかとは考えます。ただ、その場合でも政令の基準によると。ただし、条例によってそれをある範囲で上下することができるとか、そういったより具体的かつ中間的な策は、政令基準を残しつつ条例によってカスタマイズするという方法というのはあり得ると思います。
 それから、勿論、契約の締結の手続等について透明化を図ったり、ルール化するということについては賛成でございます。

○林小委員長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 政令基準を残したままで上下条例でというのは、これまた非常に難しいのではないかという気もするんですね。だから、どの範囲までという話にもなってくるでしょうし、私自身はやはり西尾委員が言われた、いずれにしても適正な契約が行われているのかどうかという問題は非常に大きな問題ですから、そこらはきちんとどういうルールで契約をするのかというところで、きちんと担保するということをまず考えていく必要があるのではないかと私個人的には思っております。ただ、御指摘があったように、政令基準が今の基準それ自体が妥当かどうかということについては、少し検討の余地があるのではないかということで考えておりますけれども、いかがなものでしょうか。

○西尾委員 余計な発言ですけれども、今、委員長が政令で定められた基準を条例で若干ある範囲で上下修正する余地もあり得るという斎藤委員の意見に対して、それは難しいんじゃないかと切って捨てられましたが、今、地方分権改革推進委員会で、まさにそれを何とかできないかということを検討しているのでありまして、斎藤委員もそれにかかわっておられるからそういう発言をしていらっしゃるわけで、これはむげに否定しないでください。

○林小委員長 私は程度の問題だと思っていまして、基本的には国が一律に決めるというのはやめた方がいいと。ただ、それによって出てくる問題というのがさまざまあるという反作用もあって、どちらを重視するのかという話だと思うんですね。ただ、そのときに条例で上下という場合に、どの範囲までという話が当然出てくるので、そこは何か目安みたいなものがあるのでしょうか。分権改革推進委員会の方で政令基準を取っ払おうという議論はないでしょうかね。自由度を高めるという意味では。そこは、ある一定の範囲の中であればOKだというようなことでいけば、それも政令で決めるんですよね。その辺りをちょっと教えてください。

○斎藤委員 分野によっては政令による基準、義務付けそのものをなくしてしまって、自治体の自由に委ねましょうという分野もあります。しかし、そこまでいかないというものについては、やはり法律なり政令で一応決めはすると。特段に各自治体で条例をつくらなければ、政令基準がそのまま適用になる。しかし、国の法令・政令の方で、そうではなくて地方の実情において、例えば、プラスマイナス10%の範囲で規制の対象を緩和したり、厳しくしたりしていいですよと、こういう手法はほかの都市計画などの分野では既にいろいろとられている。ですから、一般論としては、ある上下の範囲を設けた上で条例に委ねるということはできます。委員長がおっしゃるように、契約の締結、実際の財産取得処分という分野について、政令基準で決めてプラスマイナスという手法を選ぶのが適切かどうかということだと思います。全国一律で決めるものであるけれども、その値が大き過ぎるかどうか一律に判断するか、それともカスタマイズの余地を認めるか、それは手法としては両方あり得るということだと思います。

○林小委員長 西尾委員は、要するに政令基準は残したままで上下、一定の幅の範囲であれば自由度を認めようということに関しては。

○西尾委員 そこまで細かく私の意見を言うべきだとおっしゃるのならば、政令基準でこれ以下は認めないという制度にしておくべきだと。条例での上下を私は許容すべきではないと思っています。しかし、現行の政令基準が果たして妥当な水準かどうかは議論の余地はあるでしょうと。範囲の設定を完全に条例に委ねるというのは、私は反対と言っているということです。
 斎藤委員を補足したのは、政令基準を条例によって左右するという制度を一般的に委員長に否定されるのは困るから申し上げただけで、この件について言っているわけではありません。

○林小委員長 承知いたしました。

○江藤委員 今の第96条第1項についての話で、まずは契約のルール、例えば総合評価入札というルールをそれぞれ自治体ごとにしっかりつくるんだよというメッセージが一つあると思うんですね。
 それから、今は上書き権の話が出ていて、結構政令基準で上下することができるんだよという議論と、それから、西尾委員は下はだめだよという議論とかいろいろあると思うんですけれども、基本的には私はそれぞれの自治体で決めればいいことだと思います。それはなぜかというと、議会で議論して条例で決めるということであれば、住民が認めるということにもつながっていきますから、その意味では全部だめだよという言い方は妥当かどうかということは一言言わせていただきたかったのが一つ。
 もう一つは、今の上書きの話を強調しますと、現行の政令基準の緩和の議論が弱まってしまうのではないかと。全国議長会で政令基準の議論というのは出ていたんじゃないかと思うんですが、出ていませんでしたか。もうちょっと言いますと、町村に行きますと、例えば政令基準の5,000万円以上の契約なんて余りないよ、2,000万円ぐらいにしてくれないと議会はほとんどかかわれないよと。かかわれない方がいいという議論でしたら、ハードルを高くすればいいんですけれども、ほとんど死文化しているような政令基準で果たして妥当かどうか。だから、そういう意味では、上書き権の議論も大事だと思いますけれども、そこのところができない以前は、あるいは議論している間は、政令基準の緩和の議論はできないよというのではなくて、緩和の議論も同時に進めるべきではないかと思います。

○林小委員長 ありがとうございます。

 今、江藤委員も、この件に関して政令基準それ自体は残したままで、基準の妥当性について再検討の余地があるのではないかと。これは西尾委員も恐らくそのようにお考えだと思います。
 というようなことで、一定方向性というか、これからまだ更に議論しなければならない部分もありますけれども、この件に関してはそういうことでとりあえず置かせていただくということにさせていただきたいと思います。
 それから、法定受託事務ですけれども、これに関しては28次で既に一定の答申が出ております。それを更にここで議論するということもいかがかとも思います。ただ、具体的にどうするんだという制限列挙的な関与の仕方を考えていくのかといったようなところにまで議論は来ているのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
 それでは、もう少し前半部分の意見交換を進めたいと思いますので、どなたでも結構ですから、よろしくお願いいたします。

○江藤委員 何度も済みませんけれども、議会の議決事件と関係あるかどうかなんですが、私は議会にもいろいろなところがあって頑張っているところもあると思うんですが、特に頑張っているところを更に進めて、それを広げられるような改革が必要だと思っています。
 議会改革をやっている議会からいろいろな提案が出されている、あるいは構造改革特区などで議会改革を提案しているところもあると思うんです。そういうところがどんなものを出しているかというのは、私たちも知っておかなければいけないなと思うんです。例えば、特別多数による議決事件を条例で定められないかという提案がありました。これは後ろの方で自治基本条例などの議論がなされるだろうと思いますが、その最高規範性を出していくときに住民投票を入れていくのか、議会の特別多数というものも入れた方がいいんじゃないかと、いろいろなところで議論しているんですけれども、自治法の縛りがあって特別多数決はできないという解釈です。そういう意味では、ある程度大事なものについては特別多数を条例によって定めるなどのような提案も、私は受けてもいいんじゃないかと思っています。議会の議決の項目にかかわるかどうかわかりませんけれども。
 あと1点なんですが、条例制定の直接請求のときに住民が50分の1以上で出しますが、議会が否決したらそれでおしまいということです。市町村合併の特例のときだけ6分の1以上の連署で、今度は住民投票にかけて、その結果を議会の議決とみなすということがありますが、こういうものは活用できないのかどうか。ここの議会の議決の対象かどうかわかりませんけれども、住民自治というのであれば議会の議決にかかわる案件として少しそういうことも含めて考えていいのではないかという提案です。
 以上です。

○林小委員長 ほかにいかがでしょうか。法人の範囲の拡大といったようなこともございますので。

○名和田委員 前回欠席してしまいまして、状況がよくわからないところもあるのですけれども、資料2の5ページの検討の視点のところで、調査権に関してですが、少数者の意向にも配慮した運用方法という議論が出ているのに非常に着目しておりまして、議会とはちょっと離れるんですが、次回ということでしょうけれども住民投票という議論も出てきてきて、これは今日、大山先生がいらっしゃらないのに言っては失礼かもしれませんが、大山先生の書かれたものを見ると、住民投票も少数の人が問題提起できるという意味で、ある種の少数者保護であるわけですね。私の理解では、今時の調査会では議会の活性化とか、あるいはさまざまな社会層の人が議会活動あるいは市政において参加できるような方向の制度改革をしようということが、大枠的な合意を得られた雰囲気として進んできているように思いますが、そう考えた場合に、少数会派でも一定の影響力を実感できるような仕組みにしていくということも非常に重要ではないかと。今、少数者と一般的に言うと、決定があった後それをひっくり返す、例えば、憲法訴訟とかそういう形でひっくり返せるという制度の方に目が行っておりますけれども、実際には少数者保護というのは、議会の審議手続とかそういう局面でも大いに発揮されるべきで、むしろ例えばゲオルグ・イエリネックの『少数者の権利』などという文献を読むと、むしろそちらの方が主に検討されているわけです。ですから、国会でも勿論そういう仕組みがたくさんありますけれども、地方議会においても少数者が十分に活動できて、市政に関与できるような仕組みをつくり上げていく、現にそういう仕組みがあるのだと思いますけれども、その意味で調査権に関して少数者の意向に配慮した運用方法というものについて、どのようなことが考えられるか、是非お詳しい方に教えていただきたいなと思っている次第です。

○林小委員長 ありがとうございます。
 一つは、2番目の議会の監視機能のところで、実地検査権を付与するかどうかということが監査委員の議選委員を外すかどうかというところとセットだと思いますけれども、この辺りはここに書かれていますように、議選委員を廃止するのであればということで、実地検査権を付与するという方向で考えるということに関してはいかがでしょうか。よろしいでしょうか、何か御意見ございませんでしょうか。

(「賛成」と声あり)

○林小委員長 ありがとうございます。では、賛成だということで理解をさせていただきたいと思います。
 それから、少数者の意思をどのようにくみ上げ実現していくかについては、更に具体的にどのように運用していくのかという問題がございますので、今、名和田委員からも御指摘がございましたように、今後更に検討を進めていくということでまいりたいと思います。
 それから、3番目の「議会に経営状況の報告を要する法人の範囲の拡大」というところで、4分の1以上を出資している法人等に拡大することはできないかという一つの論点がございます。これにつきまして御意見を伺わせていただければと思っております。いかがでしょうか。

○斎藤委員 結論から言いますと、私は対応策の検討で長の調査権の対象も4分の1以上に拡大し、なおかつ議会に報告を要する範囲も4分の1以上にするというのに賛成です。それは、第三セクター等に対するチェックが厳しく求められているという現況からしてもそうだと考えます。
 ただ、検討の視点の3つ目、長の方も議会の方も4分の1にした場合に、会社法との関係をどう考えるのかというのが挙がっていますが、ただ、監査委員の監査については4分の1以上に現行法でもしているわけですね。だから、そこは会社法の一般ルールを自治法という特別法でオーバーライドしていると。それは地方自治の観点からそういう特別な関与を認めているのですから、その延長線上で長及び議会の一般会社に対する関与を特別法として認めるというのは、立法判断としては特に問題はないのではないかと思います。

○林小委員長 いかがでしょうか。ほかの委員の方、何か御意見ございませんか。

○江藤委員 2点目と3点目の議会の監視機能と、議会に経営状況の報告を要する法人の範囲の拡大というのは、かなり重なっている部分があるなと思っています。監査委員制度のときに議論したのは、議会がしっかり選挙して監査に適した人を選ぶことと、議会として監査機能を充実させることだという話だったと思います。そういう意味では、2点目のところで実地検査権を導入する、先ほど問題はないという話ですけれども、これも議選を廃止したのであれば実地検査権は議会として大事なんだよということと、それから、監査委員がやっていた出資法人の4分の1にもかかわれるというところについては、私はむしろそうすべきだと思います。特に3点目の経営状況の報告を要するというところが引っかかるんですけれども、ただ単に報告だけなのか。それだけだと基本的には報告だけだと思うんですが、とりあえずは4分の1の出資法人に拡大したということだけでしようがないのかなという気はしますけれども、議会の監査機能の充実というのであれば、もう少しかかわれないのかなと個人的には思います。
 それから、もう一つここで落ちているんですが、前の監査委員の議論のところでもお話ししたんですけれども、議選委員を廃止するときに実地検査権だけではなくて、議会として監査請求をもう少ししやすくできないかどうか。今の監査請求というのは議会の議決ですから、過半数になると思いますけれども、例えば、臨時議会の請求のように議員定数4分の1で請求ができないかどうか。議選の意味というのは歴史的にはすごく重い意味が確かにあったと思うんですね、問題がありつつも。だから、そこを外すということであれば、議会としてしっかりかかわれるような、監査との連動、監査委員をつなぐような制度設計というものも必要なのではないか。これは名和田委員が少数者の調査権ということで議論されたのと重なる。4分の1ということであれば。それだけだとは思いませんけれども、少数者が調査していくときに、できるだけハードルを低くしていくという議論ともつながる論点かと思いますので、一言言わせていただきました。

○林小委員長 4分の1以上に拡大するということに関して是とするという御意見だと思いますけれども、ほかにそれはちょっとどうだろうという御意見はございませんか。よろしいですか。
 それでは、いろいろ悩ましい問題も抱えておりますけれども、基本的に委員会として4分の1以上に拡大するという方向は考えていいのではないかという御意見が多数だと判断いたします。これにつきまして、また更に、さまざまな点を考慮していかなければならないと思いますので、それを踏まえて具体的にどのように落とし込んでいくかということについて、また検討を進めてまいりたいと思います。
 それでは、前半部分はとりあえずこれで終わらせていただきまして、後半の資料1の「4 住民訴訟と議会の議決による権利放棄」から「6 議会事務局の体制、透明性の向上等」まで意見交換を行いたいと思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

○斎藤委員 4の議会の議決による権利放棄も、既に意見は申し述べておりますが、今回出てきました検討の視点と対応策について、若干意見を申し述べたいと思います。
 検討の視点の2番目の「○」と4番目の「○」で、それぞれ住民訴訟というものが住民一人でできる、あるいはたまたま住民訴訟が提起された場合に制限するのはいかがかという観点がそこに出ておりますけれども、住民訴訟という一般制度が財政統制、住民の直接参加制度として地方自治制度上非常に重要なものであるということは間違いない。そこに直接参政的な要素、あるいは議会と長が全部決めるのではないですよという要素が入っている。住民訴訟が係属中に議会が係争案件について放棄してしまうと、それについて裁判所の判断を仰ぐという機会を永久に失われてしまうわけです。ですから、住民訴訟の係属中には、少なくとも議会の議決による権利の放棄を何らかの形で制限すべきではないかと私は考えます。
 それから、検討の視点の3つ目の「○」で、例えば法解釈の違い、あるいは制度の転換期にミスをしてしまったと。別に故意でもないし、談合とかそれに関与したわけでもなく、首長や自治体職員が責任を問われるという事案は確かにございますが、それも前回、私は日韓高速船の事案が最高裁判所で責任は否定された。つまり首長が損害賠償を負う必要はないとされた事例を申しました。ですから、裁判所の判断も一審ではそういった巨額の損害賠償というのが新聞報道されたりして注目を集めますけれども、最高裁まで行けば政策判断の相違に基づく住民訴訟というのは、おのずと適正に制限された判断が出てきている。これは日韓高速船だけではなくて、岡山の有名なチボリ公園に関する職員派遣の事件もそうで、過失がなかったという判断が最高裁でもなされた。ですから、そういった裁判所の判断を仰ぐことも拒否して、とにかく嫌なんだと、放棄するというのは行き過ぎの制度ではないかと考える次第です。
 以上です。

○林小委員長 御意見よくわかります。

 ほかの委員いかがでしょうか。

○名和田委員 蛇足ですけれども、斎藤委員のお考えに賛成です。特に、住民一人でも提起できる住民訴訟というのは、さっき申しました少数者保護の非常に典型的な制度であるわけですね。訴訟を起こすというのは一人でもできる。その結果、民主的多数派が決めたことでも、間違っていれば否定できるという仕組みですから、非常に重要な制度であると思います。確かに、現実においては首をかしげるような住民訴訟も、勿論個人的な見解ですけれども、たくさんあると思います。しかし、こういう制度があるということは民主主義が機能していく上で非常に重要であり、それが途中で終わってしまって判決まで至らないというような仕組みは、少数者保護という観点からしておかしいと私は思います。
 ついでに言うと、3番目の「○」も斎藤委員が解明されて基本的に賛成ですが、司法の判断でひょっとしたら巨額の損害賠償義務を負うかもしれないというようなことを心配しながら公務員をやっているというのも、公務が停滞するというのは勿論そのとおりだけれども、やはりそこは適切に立法・行政・司法の国家権力が機能するということに基づいて制度が設計されているので、例えば保険制度とか、もし、そういうおそれが現実にあるのであれば、そういった仕組みが別途展開されたり、あるいはさまざまな制度的な手当がなされたりするでしょうから、これも議会がそういうことのために温情的に債権放棄をするというような仕組みで対応するのはいかがなものかなと私は考えます。
 以上です。

○林小委員長 名和田委員、住民訴訟には首をかしげざるを得ないようなものもあるんだけれども、やはりそういうものもきちんと拾い上げることが非常に重要であるというように、どちらが重要なんだろうということだと思うんですね。つまり、首をかしげざるを得ないようなものは議会の段階で放棄したらいいじゃないかという話なのか、それよりはむしろ、そういうコストがあったとしても、すべて放棄するということはやめようじゃないか、制限しようという方が重要であるというお考えですよね。

○名和田委員 一人でも問題提起できるという海路を開いておくことは重要だと思います。

○林小委員長 それは非常に重要ですね。

○名和田委員 蛇足ですけれども、ちょっとだけ補足しますと、例えば、私はある種の国家賠償訴訟、学校の事故に関する訴訟とか、あるいは公園でのいわゆる設置管理に関する訴訟といったものも、自らの地域社会に対する責任を放棄して人を責めているというような気が非常にしておりまして、こういう訴訟を通じて問題提起をするということが、むしろ地域社会において負の効果を持つという点は非常に問題だと思っております。しかし、日本の国は基本的人権を一つの政治原則にしている社会である限り、一人でも問題提起が出て聞いてもらえるということがなければならない。たまたま地方自治法にはこういう制度があるわけで、これは確かに負の効果がたくさんあると思っておりますけれども、さっきの国賠訴訟しかり、住民訴訟しかり、いろいろな逆機能があることは十分問題だと思っておりますが、やはりこういう機会があることは重要だという判断を私はしております。

○林小委員長 住民訴訟それ自体を否定しているわけではなくて、要するに首をかしげざるを得ないようなものに関しては、議会でということがやはり要るのではないかということで、これを制限するのはいかがなものかというような意見もあるということなんですよね。だから、その辺り非常に悩ましい問題だと思うんですけれども、そういうコストを払ってでも、やはり議会はきちんと議論し、そして、裁判に持っていくということは要るんじゃないかという御意見と、やはりいろいろな弊害もあるので、そこは住民の代表である議会がチェックをし、そこでシャットアウトするということも意味があるのではないかと、これはどちらが科学的に正しいかという答えを出すのは非常に難しいんですね。だから、この辺りはもう少し御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。

○名和田委員 私が申し上げたのは、むしろ「○」の5つ目でしょうか。係属中に権利放棄をしてしまう、斎藤委員が問題にされたのもその局面かなと思っておりまして、少なくとも最後まで聞いてもらえるということが民主社会では重要だと、そういう趣旨です。

○斎藤委員 住民訴訟に対する濫訴の弊害をこの議決でブロックするというお考えがあるようですけれども、ただ、それについては、さきの地方自治法の改正で住民訴訟制度を2段階の訴訟にして、第1段階の訴訟で地方自治体自体がかかわって、きちんと攻撃・防御する。そして、第2段階の訴訟に至るという制度改正をして、言いがかり的な訴訟に対する対応は格段にかどうかわかりませんが、前回の改正で手当がなされているはずです。
 もう一点は、本当に首長なり職員に対する損害賠償請求権はないにもかかわらず言いがかり的に訴えているのであれば、それは根拠がないわけですから、裁判所がきちんと判断すれば損害賠償請求権があるという判断にならないはずですよね。一審・二審で仮にそういったものがたまに出るとしても、最高裁まで行けば安定的な判断にだんだんなってきていると思うので、そういう濫訴なり言いがかり的な訴訟を議会の議決でブロックするというのはいかがなものかということで、ちょっと補足させていただきました。

○林小委員長 今の件に関していかがでしょうか。

○金子委員 素人っぽい考えになりますけれども、訴訟であれば公開の法廷で原告と被告が意見を交わせて、それで住民なり国民はみんな知ることができるというわけですよね。だけれども、議会で権利放棄というようなことをやられると、議会の審議における情報公開は不十分だというような現状もある中では、そうやられると本当に正しい判断であったとしても住民からはわかりにくい、本当に不正をしているように見えるというところが、住民自治の強化という観点からは問題と考えますので、私も斎藤委員の御意見に賛成で、やはりそれは公開の法廷できちんとやっていただくと。それで最高裁なりできちんとした判断にお任せするという方でよろしいのではないかと思います。

○江藤委員 私も最終的にはそうかなと。正直言いまして山梨県でも玉穂町議会が権利放棄をしたということで、私は個人的にはとんでもないと思っています。ただ、今、金子委員が言われたように、公開の場でできるからそういう裁判にかけるという議論ですけれども、本来議会というのは公開と討論というのが原則だと思うんですね。将来的には国でそういうふうに放棄することを法律で縛るというよりは、住民自身や議会が決めればいいことだというのが原理原則だと思います。ただ、斎藤委員が言われるような問題点も現状にあるので、今の時点では斎藤委員のお話はよくわかるという程度で。議会や公開で議論していないから裁判所が公開だということについては、私は正直納得できません。

○林小委員長 だから、今の議会の現状を踏まえて金子委員の御発言がありましたので、やはり議会で透明度を上げてそういうことをきちんと議論するということが、この件にかかわらず非常に重要なことでございます。
 この点に関して検討の視点のところで名和田委員もおっしゃったように5つ目の「○」、仮に権利の放棄を制限する場合いかなる要件が考えられるか。住民訴訟の進展状況により、区別を設けるのか、例えば、住民訴訟の係属中に限って権利の放棄を制限するとの考え方はあり得るかということですけれども、名和田委員、これぐらいはやっていいんじゃないかということですか。

○名和田委員 私個人的にはそう思っております。ただ、法制的にいろいろ諸関係を精査した上で言っているわけではないので、そこはむしろ事務的にも検討していただいた方がいいかなと思います。

○行政課長 事務局からよろしいでしょうか。今回、住民訴訟と議会の議決に関しまして、検討の視点はどちらかというと住民訴訟と議会の議決の優劣についてどう考えるのかということを前面に出して書かせていただいておりますので、小委員長から御指摘がありました一番最後の係属中に限って権利の放棄を制限するという考え方について、どういう論点があって、どういう問題点があり、どういう課題があるのかというのは今回詳細に整理し切れておりませんので、その点については次回以降に整理をさせていただきたいと思っております。

○林小委員長 よろしくお願いいたします。
 それでは、それ以外のところで御意見ございませんでしょうか。

○小田切委員 10ページの論点の5番目のところで2つ申し上げたいと思います。
 一つは、今の段になって素朴な発言で恐縮ですが、2つ目の「○」に総合計画のことがございます。これをめぐっては武田委員を中心に、第96条の議決事件のことともかかわるわけなんですが、総合計画を審議する重要性ということが訴えられて、私も全くそのとおりだと思うんです。ただし、ここでは推進すべきではないかという表現であり、言わば運用にかかわる地制調としてのメッセージということなんですが、ここはやはり総合計画に係る審議などは、私など議会制度を外部から見ている人間にとっては、今までこういう仕組みがなかった方が不思議なのではないかと思っておりますので、何らかの制度化ができないかということを、この段階で申し訳ないんですが、あえて問題提起してみたいと思います。
 2点目、一番最後の「○」で、議会と地域自治組織との関係についてこのようにまとめていただいて、何回も発言を繰り返している者として大変ありがたく思います。これはむしろ事務局などに対する質問ということになるでしょうか、こういう形で議会と地域自治組織との関連を詰めていく場合、やはり何といっても地域自治区の一般制度の検討というものが、結論が出ていないとなかなか進めづらいということがあるのだろうと思います。その点で、数回前までは地域自治区の議論がセットでされていたわけですが、この議論が議会制度の後に来るのかどうか、今後の審議のスケジュールをお知らせいただくと、この論点についての議論が大変しやすくなると思います。
 2点目は質問ということでお願いいたします。

○自治行政局長 地域自治区は、住民の組織ではなくて地方公共団体の言わば役所の中の組織の在り方で、もともと入りました経緯が27次の地方制度調査会の議論の中で、合併との関連で出てきた議論なんですね。それがそういう域内分権を図っていくという要請は、何も合併関係市町村だけではないところでも起こり得るということでこれができたので、この点についてはこの議会の御審議の後に、合併を含めた基礎自治体の在り方というところで私どもなりのデータも準備させていただいて提供させていただきたいと思っています。

○林小委員長 総合計画に関しまして、何か御意見ございませんか。

○武田委員 これについては大分発言してまいりましたので、ちょっと考えていることを発言させていただきたいと思います。
 これをどういう形で盛り込むかというのが非常に難しくて、自治体に対してこれを義務付けるということは難しいのかもしれないので、推進の方策というところをどう展開するかというのが非常に悩ましいところだと思います。議決事項の中にこれを含めることができるという、先ほどの第96条第2項での議論で、各自治体がこれを条例で入れることができるというのは全く差し支えないのですけれども、第96条の定め方としては、議会において指示するべきことは、むしろ自主性に委ねるというところを重点化することで当然これも含められる話ですので、この第96条に結びつけた議論にするかどうかというのは、私も皆様の御意見を伺いたいところではあります。
 ただ、一般的な動向として、この計画の作成方法が非常に予算から乖離している事例が多くて、将来的に複数年度の予算は縛ることになる可能性があるにもかかわらず、非常に美しい大きな計画をのせてしまうということが多々見られるわけでして、これをもう少し実質化していく方策はないものか。これは今、挙げられている論点とはかかわりませんけれども、議会において複数年度にかかわる予算審議の可能性ということに少し道を開くような議論があってもいいのではないかと思います。
 それから、別な論点で、起債や税率に関する議会の財政統制をどのように考えるかという論点は、ここの書き方として意味不明なんですが、これは議会の議決事項として起債や税率に関して、これは当然含められていることであって、これを住民投票の対象として拡大すべきかという論点として考えていいのでしょうか。今のは質問です。

○林小委員長 今の論点の1つ目は、やはり税率決定に対して議会がほとんど実質的な役割を果たしていないと。標準税率の問題とか、こういうことがあって御意見が出たわけです。ですから、税率に関して言えば、標準税率それ自体の問題ということもあるし、標準税率はあったとしてもそれを超過課税するとか、税率を各自治体が自主的に変更するということがほとんど行われていないということの問題なのか、その辺りが明確ではありませんので、この点に関しては私自身もペンディングしたいと思っております。
 それから、先ほどの総合計画を議会でという話なんですが、これも制度化して義務付けるというところまでいくと、ちょっと問題なのではないかと。総合計画自体物すごくいろいろな問題も抱えているわけで、その辺りも総合計画の在り方ということも含めて今後考えていかなければならないと私は思っております。したがいまして、そういう道を開くということで行けないだろうか、あるいは推進をするというメッセージを発するということで、できる限り義務付けは避けたいと考えておりますが、いかがでございましょうか。

○名和田委員 これは林小委員長への質問みたいになるかもしれませんけれども、私もそこのところは悩ましく思っているところで、私は横浜市しか知らないんですが、横浜市の場合はむしろ非常に慎重に考えて、今後5年間なり10年間で本当にできるだろうかと、これは書いてしまって大丈夫だろうかというようなことを、かなり綿密に精査してつくっていくと認識しております。そうすると、住民の方もよく知っていて、今度の総合計画にのらないと5年間はできないことになっちゃうよと。例えば、公園で子どもの遊び場とかそういうのは総合計画にまずのって、その後また局と交渉してみたいなことになるんだということを住民もよく承知していると。こういうふうに総合計画というものの運用が定着してくると、何らかの市政の上での仕組みと位置付けざるを得ないと。しかし、現実には計画というものの特性からして、議会がどうかかわればいいかよくわからないということで、全員協議会で承認を得るということがよくやられてきたかと思うんですね。それを一歩進んで議決事件にしてきちんと、全員協議会がきちんとしていないかどうかわかりませんけれども、きちんとした制度にのせて議会も関与するということで、議決事件に自主的に加えることを推奨するという辺りが落としどころかなというのが林小委員長の御趣旨でしょうか。質問です。

○林小委員長 これを議決事件として義務付けてしまうことによって出てくる問題というのはあるだろうと思うんですね。ただ、横浜のように総合計画をきちんと具体的にやっているところもあれば、まだまだ夢のような絵を描いているところもあるし、といったようなこともあるので、私の偏見かもしれませんけれども、例えば、人口フレームにしてもいろいろなものが出てきたりするわけです。ですから、どの辺りまで議会でということを議論するのかというような問題もありますし、例えば、実施計画だとかその辺のところもどうするんだと。将来を縛ることにもなりますしというようなことも考えると、やはりそれはそれぞれの自治体で考えていくべきことなのではないかというようなことで、むしろ推奨というところを落としどころとしたいと思うんですけれども。

○名和田委員 もう1件しつこいようですけれども、基本構想というのは昔からあって、これは議会が議決して定めなければならないことになっていますよね。基本構想というのは恐らくA4一枚ぐらいの紙ぺらにすぎないわけですけれども、これを充実させる、ただ基本構想というのはかなり長いスパンのものだと、法律上そうなってはいないと思うんですが、そういう了解みたいなものがあって、30年、40年ぐらい変えないみたいな運用が行われているんですけれども、ここをいじくるという手法はないんでしょうか。そういう一つの問題提起です。

○林小委員長 義務付けるということに関してはいかがですか。そこまではいかないということですね。

○政所委員 委員長が御指摘のとおり、総合計画というのが、ただ単純な夢プランになっているケースも多々あることは十分承知しております。それが夢プランプラス地域経営設計図になっているかということをきちんと住民が知って、精査のための議論が議会で忘れないできちんとされているということが重要だと思います。ですから、義務付けるというのは無理があるように思いますけれども、当然議会で議論すべきであり、執行予算は総合計画ではこう段階的になっているということで、住民には短期、中期、長期の地域の経営の設計図が伝わるということが重要なのではないかと、そのように思います。

○林小委員長 恐らく総合計画それ自体が、住民がどの程度周知しているかということになると、これは非常に怪しい部分がありますね。広報等で出るわけですけれども。ですから、その辺りも非常に大きな問題、総合計画は非常に重要なことだと思いますので、総合計画自体の問題点というものもあって、これは自治体にもっとしっかりしろよというようなこともありますし、それをもっと広く住民の中で議論するというようなことを進めていくべきだということで推奨するということで、この点については御了解をいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、それ以外に、まだもう少し時間がございますので、御意見をいただきたいと思います。

○小林委員 決算のお話なんですが、議長会の方々が決算不認定のときに、首長への説明義務を求めるというお話を仕切りにされていたかと思うんですけれども、いろいろ考えてみると、首長が決算内容についていろいろ説明するのは当然のことであると思うんですが、それは決算審議の質疑の中で十分明らかにされるべきことだと思いますし、不認定の後にもう一回説明を首長にしてもらって何を期待しているのかが、議長会の方々のお話を聞いていてよくわからなかったというのがあります。それで、次の予算審議に生かせるんじゃないのかと私は質問したんですが、はっきりした答えがよくわからなかったので、もしこれをやるのであれば、どのような効果を期待してこういう仕組みを入れたいのか、入れるのかというのがもう少しはっきりしない限りは、話を進めづらいのではないかと思います。
 基本は、決算審議の質疑の中で不明なところとか、まずいところというのを明らかにしてというのが基本スタイルで、それが住民に対して議会自身が説明になるというのが原則だと思います。これは私としての意見です。

 次の首長の議案提出権をなくしというお話が書いてあるんですが、これはどういう経緯で論点に挙がってきたのか今思い出せないでいるんですけれども、私はこれについては反対です。というのは、首長とかあるいは首長部局というのは、行政を執行する中でそれなりの議会よりも異質な情報を持っていると思います。そういった中で、こういう仕組みをつくりたいとかあるいはやりたいというときに、条例案をつくって議会に審議して、条例化するというような一面もあるかと思いますので、首長部局の議案提出権をなくしという話は、情報の面から考えたときでも支持されないんじゃないかと考えておりますので、出てきた経緯が思い出せないので的外れな意見かもしれませんが、以上2点です。

○林小委員長 決算不認定の場合に、決算の審議の過程でその辺りをきちんと議論すればいいと、そのとおりなんですね。ただ、それが恐らくできていないからこういうことになってきたのだろうと思うんですね。だから、そこらはやはり決算審議の中で不明なところをチェックし、次の予算編成に反映させるということであれば、場合によっては不認定ということは起こらないかもしれない。だから、そこがきちんとできていないということが、恐らく議長会から出てきているのかもしれないなという気もいたします。だから、これは制度化するというような話でもないだろうし、ただ、もう決算は終わってしまったんだから仕方がないじゃないかという話はとんでもないことなので、それに対して対応するということも絶対必要だと思います。ただ、それを制度化するということもなかなか難しいと思いますので、この辺りも今おっしゃったような決算の審議の中できちんと議論を尽くすということと、そして、不認定になった場合には、何らかの対応をするということをメッセージとして出していくということではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○斎藤委員 決算の不認定の話に絞りますけれども、この検討の視点では具体的に法律で書くとして、どういう対応措置があるのかという点があがっていますが、例えば非常に極端なことを言えば、未執行部分は執行できないようにする。その年度の予算の使い方で全部使い切っているかというと、そうでない部分が出てきた場合に、そういうのはあるかもしれませんが、それは非常にレアケースを想定して、なかなか制度的な仕組みとしては難しいと思うんです。ですから、具体的にもし法律にあえて書くとすれば、やはり説明義務、ここに出ていることです。それをなぜあえて書くのか、当たり前じゃないかと。たしかヒアリングでも、そんなことがあれば説明しますよという御意見があったと思いますし、それから、決算認定・不認定の審議の中で十分説明すればいいじゃないかというお話も確かにわかります。ただ、自治法制度の中には当たり前のことだから書かずに、むしろ自由度を拡大すればいいということと、書いていないことはやってはいかん、あるいはやらなくていいということが現在混在しているのだと思います。先ほど出てきた総合計画のような話は、どちらかといえば自治体の創意工夫でやっていただいて推奨にとどめるという話だと思うんですが、議会関係の規定や議会と長の関係に関する規定はむしろそうではない、つまり自治法に書いてあることがマキシマムだという考え方が結構強いと思うんですね。例えば、議会に附属機関を置けるのかどうかという話についても、それは置けないんだという前提で代わりに学識経験者を活用して、それを複数集めることができますよという新規の立法対応をしたというような経緯がありますから、そうだとすれば当たり前のことであっても、もしも不認定というような事態に至った場合には、やはり改めて長の方に説明を求めるということで制度的なバランスの回復を図るという意味は、象徴的な意味にすぎないと言ってしまうとやや消極的過ぎますけれども、あるのではないかと考えますが。

○林小委員長 説明責任はきちんと果たしていると言われても、説明責任の中身ですよね。これも非常にいろいろな考え方があるので、制度化すると言っても説明をするという義務をつけるという程度ですよね。だから、斎藤委員がおっしゃったように象徴的な話ということになるのかもしれませんけれども、この辺りどうですかね。やはり制度としてそれでもやはりきちんと制度化してというか、法律に書き込んだ方がいいということになるのか。あるいはメッセージでいいのではないかということになるのか、いかがでしょうか。

○江藤委員 私は議会の議決事件のこととか執行機関と議会との関係というのは、基本的にはちゃんと法律に書き込む方がいいのかなと思っている方ではあるんですが、そうはいっても自由度を高める方向ならば地方制度調査会でもかなり柔軟な議論をしていいと。前に確認したのは、自治法に書いていないことでも禁止されていないからいいだろうと、いろいろありますけれども原則としてはそうですという話だったと思うんですね。そういうことを確認していったとすれば、附属機関の設置はダメとかあるいは会議規則についてはやるけれども、議会基本条例は難しいんじゃないかというような解釈がまかり通っていた。そういうことはないよという確認ではあったと思うんですね。そういう流れからすると、書かれていないことでも議会運営を自治の側面から考えていくとすれば、いろいろな活用の仕方があるのだろうと。今の話でも、決算の認定の権限は議会にある。そこで議論できるわけです。その上で決算が不認定になった、それで終わりというのではなくて、議会として説明を求める、今後の予算にどういうふうに反映していくかの場を設ける、法律上そんなことないからできないだろうではなくて、それぞれのところでしっかり縛りをかけていけるような議会運営の在り方を、それぞれの議会が決めることができる、住民が決めることができるということであれば問題はないのではないかと思います。
 ただし、そこに書いていないものだからだめだよ、できないんだよと簡単に執行機関側が勝手な解釈でやることだとすれば、やはり分権には逆行するかもしれませんけれども、ある程度の義務付けはしていかなければいけないと思います。だから、そこの自由度はどのくらいあるのか。恐らく議会改革を進めている、頑張っているところというのはそこのところが大変なんですね。法律に書いてあればわかる、でも、解釈のところでかなり縛りがあって、狭く議会の権限や組織運営については議論されていた、ここをどうやって突破していこうか、すごい努力だと思うんですね。だから、本当に地制調としてそういう自由度を高めるということであれば、私は今のお話で構わないと思いますけれども、そうでなければまた考えることは必要だと思います。

○林小委員長 だから、書いていないからやらなくていいんだということでは困るわけですよね。それはそうじゃないんだということの確認ができていれば、メッセージの中でそういうことではないんだということがわかれば、住民がそれに関してどういう判定を下すかという話にもつながっていくわけですから、やはり書いていなくてもやれるんだ、禁止されていないことはやれるんだというようなことを少し具体的な事例としてメッセージとして発信していくということは非常に重要なことではないかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。

○金子委員 これは、ここで議論が終わるわけではないのですけれども、実は5のところで議会と地域自治組織との関係についてどのように考えるかということなんですが、これについては後で地域自治区のところでちゃんと議論しなければいけないと思うんですけれども、地域自治区を設けて、そこに地域協議会を設置し、地域協議会で主に地域の課題を議論して、まちづくりを進めていくというようなことは各地域自治区を設置されている市では行われているところではありますが、地域の細々した課題は地域自治区の地域協議会で議論するということと、あと、市議会ではもうちょっと市全体の大きな話を議論するというような形で、地域自治組織の協議会と議会というのが何らかの形でいい役割分担関係を図っていけるような制度設計に持っていったら、より住民自治が強化されるのではないかという感じがしております。これはここで議論が終息するわけではないので、また地域自治区のところでというお話でございます。

○名和田委員 1点、さっきの斎藤委員の応答義務を書くかどうかという話ですけれども、私がもはや法学者のはしくれと言っていいかどうかは非常に問題ですが、私の持っている法的感覚から言うと、団体の中の機関同士の関係なので、不認定という極めて重大な事態に対して何らか応答すべきであるということが法に書かれてあることの意味は極めて大きいと思います。地制調として重く受け止めるべきだというメッセージを発したときに、立法者の側で御判断になって、法に書こうという対応は十分あり得ると思います。
 もう一点、今の地域自治区の件でさっきから気になっていたんですが、先ほどの行政局長のお話の中にほんのちょっとだけ出てきた論点であるようにも感じておりますが、地域自治区とか地域協議会というのは市長にぶら下がっている機関ですよね。だから、議会との関係はかなり間接的なんですよ。諸外国の例を見ると、むしろ議会にぶら下がっている制度設計の地域自治区もあるんですね。要するに、議会の中の専門委員会とは別に地域別委員会をつくるという発想の制度設計が幾つかの国や州で見られます。これは地域自治区制度の法制的なつくりそのものの根幹にかかわっていく論点も含まれていると感じております。議会が尊重し審議にというところは、本来市長に尊重していただくための機関として設計されているものをどうやって議会が尊重するのかという、政治的にも非常に重要な論点であると受け止めていて、そういう意味でも非常に重要だと思っています。

○林小委員長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。

○斎藤委員 今の名和田委員の御意見と同じでして、一般には自由に、例えば、議会の自律権でやるべき事柄もあるんでしょうが、決算の不認定に関しては両者が不幸にして対立して、ぎりぎりの状況になったというときに、どう制度的に決着をつけるかという面を含んでいますから、そうだとすると自由に委ねてしまっては、長の方でそれは協議でやったことですよと言えばおしまいになってしまうので、そこはやはり法律で説明義務を書くべき制度分野ではないかと考えます。

○林小委員長 これはちょっと私自身判断できなくて、つまり書かなければやらないじゃないか、やらないところがあるので書かないといけないという話は、恐らくこのテーマだけではなくて、いろいろなところであるわけですね。だから、事務局でも義務付けた方がいいという議論もあるし、その辺りは非常に悩ましい問題で、私自身ここでどのように判断すればいいのかというのが、大体半々ぐらいでしょうか、いかがでしょうか。その点に関して、別に判断を下さなければならないということではないんだろうと思いますが、もう少し御意見をいただければと思います。恐らく科学的にはこちらが正しいんだということはなかなかなくて、法律に書き込んでいなくてもきちんやるということが担保されれば、こういう話にはならないんですけれども、そうではないところが出てきたときに困るじゃないかという話があるので、いろいろな問題に相通ずるところがありますね。

○名和田委員 私が先ほど申し上げたのは、地制調としてメッセージを出せば立法者の側で御判断になると。少なくとも委員個人としては法に書いてあることの意味は重たいという感覚でおりますので、そのことを地制調全体の合意事項として踏まえて、そういうメッセージを出せば、立法者の側で法文に書くかどうかの御判断をしていただけるという落としどころで行ってはどうかということです。

○林小委員長 わかりました。そういうことでよろしいですか。
 ただ、それで法律に書き込むかどうかということは、地制調の方でメッセージあるいは一定の方向を出さないと難しいのかなという気もしますが、その辺りはよくわかりませんので。

○行政課長 先ほど江藤委員からも、メッセージを出すことがどの程度地方への効果があるのかというようなお話もございましたので、その辺りについてどのようなメッセージの出し方があって、それがどの程度の意味を持たせることが可能かという点も含めて検討させていただきたいと思います。

○小林委員 1つだけそのときにお伺いしたいのは、決算を不認定するときに、例えば議会の側が何かを求めるような附帯決議を一緒につけて不認定するというようなことは可能かどうかということをお伺いしたいんですけれども。

○行政課長 附帯決議でございますので、現実にはさまざまな議案を議決するときに当然、附帯決議というものはいろいろな形でついてくると思いますので、決算の場合にも当然可能だと思います。

○小林委員 だとすれば、そういうふうな仕組みを通じて、市長に政治的追及というか、そういう責任を負わせるということも十分可能であるので、私自身こういうものを書いてしまうと、議会が無能力であるというのを法律に明記してしまっているという感じがしないでもないので、附帯決議とかいろいろなことができるのであれば、特に法律に書く必要はないのではないかと思います。

○林小委員長 ありがとうございます。では、メッセージとしてどのような効果的な対応策があるのかということを含めて、また提案をしたいと思いますので、そのときに御議論をいただければと思います。これではやはり法制化しなければいけないということになるのか、これなら大丈夫だろうと、あとはそれを広く周知していただくという方向をどのように模索するかということになるか、それはまた出次第ということで考えさせていただきたいと思います。
 まだもう少し時間がございますが、いかがでしょうか。

○武田委員 先ほど別の委員から指摘があったかと思うんですが、5番目の論点の4つ目と5つ目、長の議案提出権をなくしというのも私も何回か欠席しておりますので、その間にひょっとしたらこういう議論がなされたのだろうかと思って不思議に思っておりましたけれども、こういう議論になっているんでしょうか。

○行政課長 これは大分前だったと思いますけれども、議会の立法機能がしっかりしていないとか、実質的にそういう機能を果たしていないんじゃないかという議論の中で、例えば長の議案提出権をなくしたりすれば、勢い結果として議会の立法機能が高まらざるを得なくなるのではないかと、このような形で意見の陳述があったと記憶いたしております。

○林小委員長 ですから、委員として議会がしっかりしさえすればこの論点はなくなるわけで、そういう意味では論点から外そうと思います。
 よろしいですか。御発言なさった方いらっしゃいますけれども、今、議会改革で議会を更に強化しようという話の中で、こうすれば議会も充実するんじゃないかという話はちょっと避けたいと思いますので、よろしいですか。

○政所委員 今の件にも関係がありますが、長の議案提出権がなくなるということは、直接選挙で選ばれた方を通じての住民の意思というものはどうなるのかなということですが、少し戻って申し訳ないですけれども、先ほど来の住民訴訟やリコールその他の住民からの異議提訴に関してですが、江藤委員から現行の法律の中でハードルが高いというような言葉が出たと思いますけれども、小規模自治体等々では、例えば、そんなに大口の契約先が実質上ないというようないろいろな問題があります。そうした中でのハードルが高いということもあります。かなりハードルが高いということを現場で見聞きしております。例えば、住民からの提示の一つと捉える署名運動システムは時間がかかる、一人一人の実印が必要であったり、署名が必要だったりということで、例えば、一つの住民意志が立ち上がっていく中で時間がかかる訳です。議会の方で却下され、時間切れということに幾つか直面しました。やはり住民の意思がどういう形で議会の審議中に同時進行の形で反映されるのかというところがスピードの問われる現代、大切です。ずっとつながる論点でもあります。住民が議会で審議最中に、果たしてどのように意見が伝わるのかということについて、意見を一つだけ申し上げます。

○林小委員長 非常に重要な御意見だと思います。
 いかがでしょうか、今日これだけはということがございましたら。

○小田切委員 先ほど総合計画の件で、最終的に出た結論はそれでよろしいかと思います。地制調のメッセージには何段階かメッセージがあるということで、この問題はでき得ればかなり高いランクで、総合計画の審議を議会議決の中で位置付けるべきだというメッセージを出していただきたいと思います。その際重要になるのが現状の実態だろうと思います。この前の都道府県議長会の発言の中で、大体半分ぐらいの都道府県議会で総合計画の審議を議決案件として条例の中に入れているということだったのですが、これは私は聞いてむしろ少ないと驚いた方なんですが、この辺の実態を是非調べていただきまして、条例の中にどのくらい位置づけられているのか、あるいは条例の中に入れていないけれども協議会で処理しているもの、いずれにしても総合計画と議会のかかわり合いをまとめていただくことによって、メッセージを出すにしても非常に強いメッセージになる可能性があるのではないかと思いますので、御検討いただきたいと思います。

○林小委員長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。

○江藤委員 どこに入るかわからないんですが、先ほど構造改革特区の申請の議会のかかわることを確認した方がいいというお話を一つしましたけれども、もう一つ、議会予算の執行についても出ています。結局、首長の方に委ねなければいけないという現状がありますよね。二元代表制というのであれば執行だけではなくて、議会費の調製などは議会でやるんじゃないでしょうかと思うんです。ここは法律を変えないとだめだと思いますけれども、せめて議会費のところでは調製と執行について独自の権限がないとなかなか難しいんじゃないかと。どこに入るかわかりませんけれども、そういう提案もさせていただきたいと思います。

○林小委員長 いかがでしょうか。それでは、そろそろ時間もまいりましたので、意見交換はこの程度にとどめたいと思います。
 次回は、残された課題、14ページの「第2 議会制度の自由度の拡大」から御議論をいただこうと思っております。
 それでは、事務局から今後の日程等について御説明をお願いいたします。

○事務局 次回の日程でございますけれども、既に御案内をさせていただいておりますとおり、1週間後の10月7日火曜日の午後3時から、同じ三田共用会議所で開催させていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、それ以降の日程でございますが、現在調整中でございまして、決まりましたらまたすぐ御連絡をさせていただければと存じますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○林小委員長 それでは、これをもちまして本日の専門小委員会を閉会いたします。長時間どうもありがとうございました。



戻る

ページトップへ戻る