会議資料・開催案内等



29次地方制度調査会第5回専門小委員会 次第



平成19年12月21日(金) 10時00分〜12時00分
三田共用会議所 第4特別会議室(4階)


1   開会


2   議題

  住民自治・議会制度・監査制度等について


3   閉会

配付資料(PDF)
 
資料1   基礎自治体における住民自治について
資料2 諸外国における地方自治体の議会制度について
資料3 地方議会について(追加提出資料)
資料4 諸外国における監査制度について
資料5 地方公共団体と株式会社における監査機関について
資料6 監査制度について(追加提出資料)





○林小委員長 それでは、時間もまいりましたので、第5回専門小委員会を始めさせていただきます。
 本日の議題は、「住民自治・議会制度・監査制度等について」ということになっております。
 まずは事務局から御説明をいただき、その後に意見交換を行いたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

○行政課長 行政課長でございます。資料はすべて説明させていただいて、その後、質疑をいただければと思います。
 まず、資料1の「基礎自治体における住民自治について」をお開きいただきたいと思います。地方分権の進展、あるいは市町村合併によりまして一層住民自治の充実が求められているという認識の下に、住民自治の在り方を考えていくということでございまして、その中で地方制度調査会といたしましては地域自治区制度の在り方、それからコミュニティというものが審議項目として総会で採択されたわけでございます。したがいまして、その地域自治区とコミュニティの関係を中心に現状、それから若干外国の制度等について説明をさせていただきたいと思います。
 まず1ページでございますけれども、平成16年の地方自治法の改正によりまして地域自治区制度が設けられたところでございます。これは、住民自治の観点から地域住民の意見を反映させるということで区を設け、住民の意見を取りまとめる地域協議会と、住民に身近な事務を処理する事務所を置くものでございます。
 地域自治区を市町村に置く場合に、当該市町村全域に置かなければならないとされているところでございますが、これは住民の意見を反映させるという意味からは一部地域に置くということではなく、やはり全域に置くべきであるということでそういう制度に現在なっているところでございますけれども、名和田委員が座長をされたコミュニティの研究会等で使いにくいという指摘がされているところでございます。制度が使われなければ、かえって住民自治の充実が進まないのではという意見も出されたところでございます。
 「地域協議会の権限」でございますが、条例に定める地域自治区の区域に係る重要事項について市町村長が意見聴取をする、または市町村長等に対する意見具申権というものが権限として法定されております。
 それから構成員でございますが、地域自治区の区域内に住所を有する者から市町村長が選任するとされておりまして、多様な意見が適切に反映されるものとなるように配慮しなければならないと規定されております。任期は、4年以内において条例を定める期間とされています。
 また、「事務所」について事務所設置をする。市町村事務を分掌するとともに、地域協議会の事務を処理するとされております。
 「予算編成権」についてはないということで、市町村において地域自治区に係る予算を措置するとされております。
 「地域自治区の活用状況」でございます。次のページをお開きいただきたいと思います。一般制度としては15団体、合併特例制度としての地域自治区は38団体、101自治区でございます。
 「設置期間」としては、一般制度は大半の団体で設置期間は設けない。
 それから、構成員の定数は15から20名としているものが約70%でございます。
 構成員の任期を2年とする団体が大半でございます。
 それから、構成員の属性でございます。構成員のほぼ半数が「公共的団体等を代表するもの」、次いで「地域の行政面に関し優れた見識を有するもの」が多い状況でございます。公募については、全体の約10%でございます。
 なお、構成員の選任に当たって特徴的な取組みとしましては後ほど具体的に紹介させていただきますけれども、上越市では公選に準じた手続を取っておりまして、市長は投票の結果を尊重して委員を選任するとされております。また、浜松市では選任に当たりまして男女それぞれの投票率を3割以上と設定としているという例がございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。「審議事項」といたしましては、市町村の基本広報の作成に関する事項が40%、市町村建設計画の変更に関する事項が27%でございます。
 「主な課題・留意事項等」としては、住民参加を行いやすくすることが課題である、あるいは地域自治区制度についての住民の理解の浸透が課題だという回答が寄せられたところでございます。
 なお、右の先ほど申し上げました合併特例制度、38団体、101自治区についても参考までに載せております。
 次のページをお開きいただきたいと思います。特色のある事例を3事例紹介させていただきたいと思います。
 1つは宮崎県宮崎市でございます。平成18年に一般制度の地域自治区を設置いたしました。旧宮崎市の区域を分割して、15の地域自治区を設置したところでございます。委員数は289名、特徴といたしましては地域協議会において地域のさまざまな課題を解決する地域魅力アップ事業に対する補助金の審査を実施しているということでございます。また、地域協議会の事務局に地域コーディネーターを配置しているという取組みも行っております。
 次のページをお開きいただきたいと思います。上越市でございます。上越市は平成17年に合併特例の地域自治区を設置しております。13の旧町村の区域に地域自治区を設置したところでございます。したがいまして、旧上越市においては地域自治区は現在設置されておりませんけれども、今度の4月から旧上越市においても地域自治区を導入するということで進めていると聞いております。ここでは地域協議会委員数は192名、そのうち約40%が元あるいは前議員であって、約15%は元、前あるいは現町内会長、自治会長ということでございます。ここでは地域協議会の委員は長の選任でございますけれども、公選に準じた手続をとっているということでございます。これによって、地域協議会の代表性等が高まっていると言われております。
 次のページをお開きいただきたいと思います。この上越市におきましては、合併に際して市の施設の管理業務のほか、バスの運転業務等の市の委託業務を担うとともに、自主事業を実施するNPO法人等を設立したところでございます。地域協議会はこのNPO法人等の意見等を踏まえながら審議を行って、その結果を踏まえて提言等を行っているということでございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。長野県の飯田市でございます。飯田市は平成17年、これは合併特例で一般制度として地域自治区を設置いたしております。地域自治区の区域に対応する形でまちづくりの委員会を設置しておりまして、このまちづくり委員会においては行政と連携しながら各種団体間の連携、協力などを行っているということでございます。このまちづくり委員会の推薦が約80%で、地域協議会の委員が推薦されております。残り約20%が公募ということで、それに基づいて市長が選任をされているということでございます。
 次の8ページから10ページまでは地域自治区の一般制度の設置状況について、それから旧合併特例法に基づく設置状況について全国の状況を表にいたしております。後ほどごらんいただきたいと思います。
 次に、11ページはコミュニティについてでございます。「コミュニティの定義」ですが、いろいろな方あるいはいろいろな場でコミュニティについて触れられておりますけれども、マッキーバーは「社会的存在の共同生活の焦点」である。それから、国民生活審議会調査部会、1969年におきましては、「生活の場において、市民としての自主性と責任を自覚した個人および家庭を構成主体として、地域性と各種の共通目標をもった、開放的でしかも構成員相互に信頼性のある集団」であるという定義がされております。
 また、旧自治省のコミュニティ研究会の報告、1977年では、地域社会という生活の場において共通の行動を目指そうとするその態度の中に生み出される連帯であるということで、国民生活審議会とやや似ておりますけれども、そういった報告になっております。
 また、倉沢先生の『コミュニティ論』では、「コミュニティの基本特性は、地域性と共同性」であるという非常にわかりやすい説明がされております。
 2005年の国民生活審議会では、問題意識を共有する者同士で自発的に結び付いて、ニーズや課題に能動的に対応する人と人のつながりの総体というような表現がございます。コミュニティにつきましては、1990年代に阪神・淡路大震災の発生あるいは高齢化の進展によりまして地域福祉あるいは防災の分野でコミュニティの重要性が再認識をされたところでございますけれども、現在もコミュニティ論議が盛んになっているところでございます。背景としましてセーフティネット、過疎化の進展あるいは市町村合併等があると言われております。
 このコミュニティの規模でございますが、個別の地域社会の環境、あるいは特性、生活圏の広さ等に応じて多様な規模のコミュニティが考えられるとされておりまして、小学校区あるいは中学校区などというふうにとらえられております。
 次のページをお開きいただきたいと思います。「小学校区数、中学校区数の推移」でございます。この学校数は公立学校数、分校を除く数字でございますけれども、横ばいというふうに言えるかと思います。
 次のページをお開きいただきたいと思います。「コミュニティ活動の類型」でございます。これは第26次の地方制度調査会に出された資料でございますけれども、参加形態として全戸参加か有志参加か。活動目的として、問題解決型か生活充実型かによって4分類に分類されているものでございます。これは、コミュニティ活動に注目して分類したものということでございます。全戸参加+問題解決型ということですと、全世帯共通の地域問題に取り組む、生活充実型+全戸参加ですと全世帯対象のさまざまな親睦活動。有志ということになりますと問題解決型+ボランティア活動、それから生活充実型として文化・スポーツ等の個人参加のクラブ活動、こういったような分類になるのではないかということでございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。地縁による団体の権利能力の取得制度でございます。これは、権利能力なき社団に該当するものとして自治会、町内会等が位置付けられてきたわけでございますけれども、その場合には不動産登記について代表者名義等によって登記するよりほかなかったということで、平成3年の自治法改正によりまして地縁による団体が権利能力を有する法人格を取得する制度が創設されたものでございます。
 平成14年の数字でございますけれども、地縁による団体は全国で29万6,770団体、そのうち認可を受けた地縁による団体が2万2,050団体という状況でございます。
 次のページは、認可の要件として地域的な共同活動を行うことを目的とする、そして、その活動を行っていく、区域が住民にとって客観的に明らかである、区域に住所を有するすべての個人が構成員になることができる規約を定めている、こういった要件で認可を行うこととなっております。
 次のページをお開きいただきたいと思います。「町内会・自治会等の性格」でございます。これは、形態・規模は多様でございますけれども、一定の地域区画を持ち、また世帯単位として構成される全世帯加入という考え方に立っている。そして、地域の課題に包括的に関与するというふうに捉えられております。そこに居住するすべての世帯を組織することを目指すものだととらえられていると言えるかと思います。
 なお、今年の8月に内閣府で発表いたしました町内会・自治会の地域のつながりに関する調査というものがございます。これはモニターの2,000人にアンケート調査をしたものでございますが、町内会、自治会がある地域は9割以上であった。また、活動は情報の連絡、盆踊り、お祭りなど、多岐にわたっていたといったような結果が出されております。 次のページをお開きいただきたいと思います。今、申し上げました地縁による団体の認可事務の状況等に関する総務省の調査でございます。この2番のところを見ていただきますと、認可地縁団体の総数というものが11年には1万6,340余りであったのが平成14年には2万2,000余りということでございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。認可別の地縁団体数の状況ということでございます。住民相互の連絡、回覧板等が割合としては88.3%、集会施設の維持管理が81.5%、区域の環境美化清掃活動というのもかなり高い割合となっております。
 次のページをお開きいただきたいと思います。認可地縁団体の認可時における構成員数の規模別地縁団体数の状況でございます。これは認可地縁団体数の欄を見ていただきますと、100人から300人未満というのが3,000団体くらい、300から500というのが約1,300、それから加入率の割合につきましては70から90%が1,626、90%、100%が5,128という状況でございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。コミュニティに関連するものとして「ソーシャル・キャピタルに関する議論」というものが最近されているところでございます。ソーシャル・キャピタルは一般的に「社会的なつながり」、「社会全体の人間関係の豊かさ」といった意味でございます。近年、1990年以降、アメリカの政治学者のパットナムがアメリカにおけるソーシャル・キャピタルが減退しているということを指摘したボーリングアローンという本を出して反響を呼んだところでございます。
 日本におきましては、内閣官房で自治会等の地縁組織に加えてNPOまでも含めたネットワークづくりを通じた地域再生という観点から、ソーシャル・キャピタルについて検討をしているところでございますし、自民党でもソーシャル・キャピタルについての検討会の動きがあるところでございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。「海外の住民自治組織」についてでございます。海外の住民自治組織の関係につきましては、調査が現時点では必ずしも十分ではございません。それぞれの国の内容について粗いところはございますけれども、現在わかっている範囲で紹介させていただきたいと思います。
 英国についてはパリッシュということで、もともと教区の意味でございますけれども、全英で1万1,300くらいあるということで、規模は小さく2,500人未満が80%強と言われております。このパリッシュはパリッシュ議会というものが設けられるということでございますが、有権者の200人未満のパリッシュについては議会の設置は任意とされております。
 次のページにわたっていてちょっと見にくいかと思いますが、英国のところを見ていただきたいと思います。協議会等の構成員は、パリッシュ議会議員は直接選挙とされております。報酬は無報酬、機能としては市民ホール等の管理、ディストリクトからの協議に対する意見具申ということがございます。ディストリクトは、このパリッシュの意見には拘束されないとされております。
 なお、英国についての平均的なパリッシュ像としましては、議員が大体9名、人口が1,700人で、財政規模は250万程度というふうな資料がございます。
 次にフランスについてでございます。フランスは、1つは近隣住区評議会というものがございます。これは、ミッテラン政権のときの分権改革の流れの中で地域民主主義を活性化させるためということで、2002年の法律によりまして、近隣住区評議会という制度ができたものでございます。人口8万以上のコミューンについては必置、それ未満は任意となっております。
 意思決定システムとしては地域評議会ということでございますが、次のページにまたがりますけれども、市長からの提案によってコミューン議会の議決によって構成員が選出されるということでございます。機能としては諮問機関的な機能ということで、地域住区に関する問題について諮問を求められ、提案を行うということでございます。
 フランスにおいては、もう一つ前のページに戻っていただきまして、区というものがございます。これは、1982年の法律に基づきまして、大都市においてパリ、マルセイユ、リヨンにおいて必置とされているものでございまして、区議会の設置が義務づけられております。
 次のページをお開きいただきたいと思います。この3都市におきましては市議会議員の選挙と同時に区議会議員選挙を行うということで同一の名簿で実施をする、上位の3分の1が市議会議員を兼ねるという形の直接選挙になっております。報酬については無報酬、機能としては諮問機関ということで市議会に対して区内で実施される市の事業、区内で実施する団体への助成禁止の設置、市の設置する公共施設の運営条件等について意見を述べることとされております。
 また前のページに戻っていただきましてドイツでございます。市町村部分区、この訳はほかにも幾つかあるようでございますけれども、ここでは一応市町村部分区と呼称させていただいておりますが、市町村の中に部分区、区議会を設けるということでございます。設置義務は任意でございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。これは州によって若干違うということでございますけれども、一般的に市町村議会の通常選挙と同時に施行して直接選挙されるということでございます。無報酬で、一般に区域に関わる事項について提案を行うこと、重要事項について聴聞を受ける諮問機関ということでございます。ただ、ベルリンの区に設置される区代表者集会は区の予算等を決定する権限を有しているとのことでございます。 前のページに戻っていただきまして、アメリカのピッツバーグ市でございます。近隣協議会ということで、州法に基づいて住民が自ら設置をする。任意でございます。
 次のページでございますが、住民の互選によって協議会の構成員を選出する。市の委員会等への参加を通じて提案や主張を行うということでございます。そういう意味では、決定機能というのは有しないと考えております。
 その後、これまでの答申等の資料を付けさせていただいておりますが、説明は省略させていただきます。
 次に、「諸外国における地方自治体の議会制度について」を説明させていただきます。資料2でございます。
 まずイギリスでございます。2ページをお開きいただきたいと思います。イギリスの議会あるいは首長との関係につきましては、ここでは「公選首長と内閣制度」、「公選首長とカウンシルマネージャー制度」というものを載せておりますけれども、このほかに委員会制度、議員内閣制度をとる形態もございます。
 まず、「公選首長と内閣制度」でございます。これは、それぞれ議会と首長を選挙で選出をする。そして、議員のうちから構成員を任命して内閣を組織するということでございます。
 それから、右側の「公選首長とカウンシルマネージャー制度」につきましては、議会、首長を選挙する。そこにカウンシルマネージャーを議会が任命をするということでございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。ここでは不信任、再議、専決処分、議会の招集権等についての制度の説明をさせていただいております。議会の招集権につきましては、形式的には監督官が招集の告知を行うとされております。
 次のページをお開きいただきたいと思います。「会期・議員定数・議員報酬等」についてでございます。
 会期につきましては、議会は最低年1回本会議を開催するということが義務づけられているだけで、それ以外は自治体で個別に決定することができるとされております。
 議員定数につきましては、選挙区と定数が右の表のとおり規定されているところでございます。
 議員報酬でございます。基本的には給与は支給されていないということでございますけれども、法に基づく手当として基礎手当、特別責任手当、あるいは世話手当等があるということでございます。
 ちょっと資料を付けておりませんけれども、例として今年の2007年度のものを若干紹介させていただきます。オックスフォードのシティカウンシルの事例としては、人口オックスフォードシティカウンシルは13万4,200人のカウンシルでございますけれども、基礎手当が日本円にして年間100万円、それから特別責任手当というのは議会のリーダーに対する手当でございますけれども、年間250万、それから子どもに対する世話手当が1時間当たり1,800円ということでございます。
 また、人口が106万のサリーカウンティカウンシルの事例ですけれども、基礎手当が年間280万、特別責任手当が年間610万、世話手当が1時間当たり約1,600円という状況でございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。「職業公務員と議員の兼職可能性」ということでございます。これは、地方公共団体の公務員は当該地方公共団体の被選挙権者となることはできないとされております。また、政治的行為が制限されるポストにある地方公共団体の公務員は、当該地方公共団体を含むいかなる地方公共団体の議員でも被選挙権者となることはできないとされております。
 「兼職の禁止」につきましては、地方公共団体の公務員は当該地方公共団体の議員になれないということでございます。
 次に、ドイツについてでございます。議会の組織についてでございます。ドイツは州によって制度が違うわけでございますけれども、2例を挙げております。バーデン・ヴュルテンベルク州、これはシュトットガルトの近くの州でございますけれども、広域自治体、クライス、日本で訳せば郡ということになろうと思います。それから基礎自治体、ゲマインデ、市町村ということになると思います。こちらは、住民が選挙によりまして首長を選挙する。その首長が議会の議長になるということでございます。フランスの場合には、議会の議長が首長でございますけれども、これは議会で互選された議長が首長になるということでございますので、その制度とは違うわけでございます。
 それから、ヘッセン州につきましては住民がそれぞれ首長と議会の議員を直接選挙するということでございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。「バーデン・ヴュルテンベルク州の基礎自治体、ゲマインデの例」でございます。ゲマインデ議会は5年の任期とされております。それで、先ほど申し上げましたように首長が議会の議長になるわけですが、こちらは任期が8年となっております。
 下の注2に書いてございますように、首長に選ばれた者が議会の議長を務めることになるということでございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。不信任、再議、専決処分等の関係につきましては、今回の地方制度調査会の審議項目の中では幅広い層からの議員の選出の問題等々が審議項目として掲げられているところでございますので、以後、このページにつきましては資料のみ見ていただきまして、説明は時間の関係で省略させていただきたいと思います。
 それでは、11ページをお開きいただきたいと思います。「会期・議員定数・議員報酬等」でございます。会期は、議会は夕刻から開催される。議員定数につきましては、人口規模に応じて州法で規定しているということでございます。議席数は、人口に応じて規定されております。それから、議員報酬でございます。通常、少額の報酬と出席手当が支給されるとなっております。
 この例としましては、10万人規模のゲマインデにおきましては月3万4,000円の定額、クライスの場合には月2万5,000円の定額と出席手当が1,800円、ノルトライン・ヴェストファーレン州の例でございますけれども、そういった事例がございます。
 次に12ページをお開きいただきたいと思います。「職業公務員と議員の兼職可能性」でございます。連邦、州、市町村における官吏等の被選挙権は法律によって制限できるとされておりまして、一般的に広く立候補・選挙準備のための休暇の保障が規定されているところでございます。
 「兼職の禁止」でございます。これは、市町村に勤務する者は当該団体の議員になることはできないということでございます。他の公務員も含め、官吏は連邦議会議員、州議会議員、そして当該団体の議員との兼職が禁止をされております。それから、先ほど申し上げましたように地方議会議員につく官吏については原則として必要な有給休暇が認められております。
 次に、スウェーデンをお開きいただきたいと思います。14ページでございます。広域自治体のランスティングは、住民が議会の議員を選出する。任期4年でございますけれども、そこが執行委員会その他の委員会を組織するということになります。この委員会につきましては、1991年の地方自治法改正によりまして、どのような委員会を置くかの決定は自治体に委ねられているところでございます。
 それから、基礎自治体、コミューンでございます。住民が選挙によって議員を選出する。4年でございます。やはり同じように執行委員会を組織して行政を行っていくという形になっております。
 15ページは省略させていただきまして16ページをお開きいただきたいと思います。会期でございます。コミューンは一般的に7、8月の時期を除いて毎月1度、年間おおむね10から12回程度開催する。通常、夕刻から開催されて2時間から5時間程度行っているということでございます。ランスティングはコミューンよりも開催日数が少なく、昼間に開催されることが多いとのことでございます。
 議員定数につきましては、人口規模に応じて最低議席数を規定しているということで、議席数は例えば31以上とか、以上ということでございます。つまり、上回ることは自治体の自由とされているわけでございます。
 それから、議員報酬でございます。原則として無休で専業職ではないということで、多くの地方議員が兼業である。ただ、例外としてコミッショナーということで、先ほどの制度で執行委員会の委員長を務める議員等が通常フルタイムに勤務をしてフルタイムの専業職としての報酬が支払われているところでございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。コミューン、ランスティングにおいて、幹部職員として雇用されている者は地方議会の議員の被選挙権がないということでございます。
 それから、兼職のところでございますが、それ以外の地方公共団体の職員は当該職員が勤務する団体を含めて団体の議会議員を兼務することはできるわけでございますが、当該職員が地方議員として議会で所属する委員会は、職員として勤務している分野とは異なる分野でなければならないとされております。
 次に、フランスでございます。19ページをお開きいただきたいと思います。フランスの広域自治体、レジオンは州、デパルトマンは県というふうに訳されております。フランスにおきましてはもともとデパルトマン、レジウムとも国の完治的な行政機関であったわけですが、徐々にいわゆる県議会議長の公選、県議会議員の公選等の一定の執行権限の付与、あるいは一定の執行権限の付与などによりまして権限が拡充されてきたわけですけれども、完全な自治体となりましたのは1982年の地方分権改革によってでございます。それで住民が議会の議員を選挙するということになっておりまして、そこで議長が選出された者が執行理事会の首長となるということでございます。
 それから、コミューンにつきましてもコミューン議会の議員を、任期6年でございますけれども、住民が選挙いたしまして議員の互選によって議会の議長が決められまして、その方が首長、メール、英語で言うとメイヤーになるわけでございます。
 次のページは省略をさせていただきまして、21ページをお開きいただきたいと思います。議員の定数につきましては、人口規模に応じて地方自治法において規定されております。それから、議員報酬でございます。原則的に無償でございますが、手当を受けることもできる。手当については、10万人以上のコミューンと言われております。
 また、議会が認める職務を執行する場合には一定の条件の下に必要経費について実費弁償されるとのことでございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。「被選挙権の制限」につきましてはコミューン、職員は自ら所属する団体の議会議員に立候補することはできないとされております。ただし、職員を辞職した6か月以後であれば立候補できるということでございます。
 「兼職の禁止」につきましては、説明は省略させていただきます。
 イタリアで、24ページでございます。レジオーネが州、フロヴィンチアというのが県、コムーネが市町村に相当するということでございます。イタリアにおきましては、2001年の憲法改正によりまして国の権限が明記されまして、それ以外のすべての分野についての権限というのは基本的に州に専属するということになり、立法権を有するとされたところでございます。住民が議会、任期5年でございますけれども、それから首長を選出するということでございます。首長につきましては、従来は議会によって選出されておりましたけれども、1999年の憲法によって直接選挙となったところでございます。
 市町村につきましては、住民が議会、それから首長を選挙するという制度でございます。 次は省略させていただきまして、26ページをお開きいただきたいと思います。会期でございます。コムーネにつきましては、8月を除く毎週月曜日の18時から20時に議会が開催をされている。プロヴィンチアについては、ほぼ週1度議会が開催されているということでございます。議員定数につきましては、人口規模に応じて法律で規定をされているところでございます。議員報酬については、コムーネは出席に応じた日当を支給、プロヴィンチアも同様でございます。
 なお、レジオーネは当該団体の職員給与と同じく生活給であるとされております。
 次のページをお開きいただきたいと思います。兼職の関係でございます。コムーネ及びプロヴィンチアの議会議員は一定の公職にある者、下の注1をごらんいただきたいと思いますけれども、こういった者は被選挙権を有しないとされております。
 次に、韓国でございます。29ページをお開きいただきたいと思います。韓国については、広域自治体・基礎自治体、ともに議会と首長を選挙する形でございます。任期は4年ということでございます。
 次は省略して、31ページをお開きいただきたいと思います。韓国は日本の制度と似ているわけでございますけれども、定例会は毎年2回開催されるということでございます。
 なお、会期の日数の上限は大統領令で定められているということでございます。
 広域自治体については定例会120日以内、基礎自治体は80日以内、臨時会は15日以内と定められております。
 議員報酬についてでございます。議員につきましては、従来は名誉職で無奉職の非常勤の職であったわけですが、2003年の地方自治法の改正によりまして名誉職の規定は削除されたところでございます。2003年のものしかわからないんですけれども、広域議会議員につきましては大統領で定める範囲内において条例で定める議政活動費というものがその下の行にございます。日本で言うと議会の活動ということだと思いますが、議政活動費用が1,080万ウォン、会期手当が960万ウォン、合計2,040万ウォンということで、2003年の数字でございますが、日本円で250万ということでございます。
 それから、基礎自治体につきましては議政活動費が660万ウォン、会期手当が560万ウォン、合計1,220万ウォン、日本円で150万程度ということになるかと思います。2004年には引き上げるということですが、そちらの数字は現時点では把握していません。
 それから、32ページは兼職可能性でございます。一定の公職者が立候補する場合、当該選挙の60日前までにその職を辞任しなければならないということで、その職としては注1にございます。日本と違う部分としては、協同組合の役職員とか、あるいは大統領令に定められたジャーナリストといったものが注1のところに掲げられております。
 次のページをお開きいただきたいと思います。「基礎自治体における各国議席数比較」でございます。これは、ごらんいただきたいと思います。
 次に、資料3で「地方議会について」の追加資料でございます。これは、前回御質問いただいた関係のものを今回出させていただいております。
 なお、平成18年の自治法改正を踏まえた議会運営の改善の状況につきましては、新たに調査をしまして来年提出させていただきたいと思います。また、総合計画の策定における議会との関係についても同様とさせていただきたいと思います。
 それから、5ページをお開きいただきたいと思います。これは、職業別の当選人数ということで選挙の調べでございます。その他の職業の大半は、専業の議員ということでございます。
 前回御質問のありました税条例の関係でございますけれども、19年度の税制改正についての税条例につきまして、都道府県と政令指定都市にその議決についてお聞きしたところ、都道府県10団体、指定都市2団体が議会の議決によるということでございました。
 なお、専決処分によるものとした団体については、都道府県37団体、指定都市15団体でございましたけれども、いずれもその大半は平成19年4月1日から施行しなければならないものにつきましてあらかじめ議会へその旨、報告をし、あらかじめ説明と審議をした上で専決処分をしているということでございました。
 次に「諸外国における監査制度について」、資料4にいかせていただきたいと思います。まず各国の内部監査制度と外部監査制度に分けまして状況を御説明させていただきたいと思います。2ページをお開きいただきたいと思います。「各国の地方自治体の内部監査制度の比較」の表でございます。
 イギリス、ドイツは執行機関の内部部局とされております。スウェーデンは執行機関から独立した委員会とされておりまして、任命権者は議会となっております。
 フランスは国の機関の一部とされて、任命権者は大蔵大臣となっております。
 韓国については、議会の委員会として議会が任命をしているということでございます。 それでは、ごく簡単になろうかと思いますけれども、各国の制度を説明させていただきたいと思います。
 3ページをお開きいただきたいと思います。「イギリスの地方自治体の内部監査制度」でございます。これは内部の監査局という組織が監査をするということでございまして、財政部長を通じて議会に監査結果を報告するということでございます。監査対象は、ここに掲げられているような対象を行っているということです。
 なお、監査局長は専門資格が必要で、局長以外は必要ないということでございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。ドイツも同様に内部の監察局が監査をしているということでございます。基本的には適法性の監査、財務監査が中心でございます。局長については自治体の上級管理職・会計士等の資格が必要で、長以外は特段の資格は必要ないということでございます。
 次のページは、スウェーデンでございます。スウェーデンは外部監査の制度はなく、この内部監査の監査委員会、独立した委員会が監査をしているということでございます。この監査委員は任期4年で独任制で、事務局は存在しない。契約によって民間コンサルタントあるいは監査法人等を補助機関として利用するということでございます。なお、監査委員は各政党の指名によって1名ずつ就任しているということで、議員が就任している例が多いということでございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。フランスの内部監査制度でございます。フランスはほかの国とは大分異なっておりまして、左側を見ていただきますと地方公共団体の支出・収入、お金の出し入れについては右の公会計官という国家公務員が行っているということでございます。そして、そのカントンレベルの財務局の上に県レベルの財務局本部がございまして、そこに地方監察官というものがいるということでございます。基本的には適法性の監査、事前監査を行っているということでございます。
 しかし、2001年の組織法の改正によりまして、この公会計官の任務については行政執行監査も求められるようになったとのことでございます。
 次に、韓国を見ていただきたいと思います。韓国は議会のところに監査委員会があって、書類等の要求等ができるという制度になっておりまして、監査対象も財務監査、行政執行監査などでございます。
 次に、外部監査制度にいきたいと思います。9ページをお開きいただきたいと思います。各国の外部監査制度の比較でございます。
 イギリスは独立した法人である監査委員会、オーディットコミッションが自治体ごと外部監査官を任命して行っている。このオーディットコミッションは、国務大臣が任命した委員によって行っているということでございます。財務監査、行政監査等を行う。
 ドイツにつきましては州政府の機関がゲマインデ、市町村の監査などを行うということでございます。
 スウェーデンは内部監査のみ、フランスにつきましては州の会計検査院、国の組織が行っているということでございます。
 韓国も、内部監査のみでございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。イギリスにつきましては、オーディットコミッションはかなり大きな組織でございまして、事務局の職員が1,277名ということでございます。独立した法人格を有し、最大18名の委員がいる。任期が3年、そして自治体ごとに外部監査官を任命して自治体の監査を行うということでございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。ドイツでございます。ドイツにつきましては州の自治体監査局が、州が郡、カントン、それからゲマインデを監査するという形になっております。適法性の監査が主でございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。フランスにつきましては先ほど申し上げましたようにかなり国の関与といいますか、役割が大きいわけでございますけれども、地方長官、プレフェが州の会計検査院に対して予算行為の監査の申立てを行うということでございます。この州の会計検査院というのは、1982年3月の地方分権法によって制定されまして、1983年1月に設立をされたものでございまして、各州に置かれて26あるということでございます。そして、この監査官、監査体制の委員長ほかでございますけれども、監査官はENAの出身者がなっているということでございます。
 次は、14ページで「各国の会計検査院制度」についての資料でございます。アメリカ、イギリス、ドイツについて、これは日本の会計検査院に相当する制度がどうなっているかということでございます。これは以前、委員の方からアメリカのGAOなどの制度も比較、分析する必要があるといった御意見をいただいたかと思います。アメリカのGAOは議会の附属機関とされておりまして、行政府から独立してかなり活発な活動をしていると言われているものでございますけれども、1921年に設立されたものでございます。職員数が3,210名ということでございます。当初は財務監査が中心であったわけですけれども、現在はプログラム評価、いわゆる行政監査、効率性の検査が中心になっているということでございます。
 イギリスにつきましては、もともと大蔵省の外庁であった者が1984年にNAOという形でサッチャー改革のときに今の組織になったものでございます。これにつきましては、職員数が765人ということでございます。このNAOが提出した決算検査やバリュー・フォ・マネーの検査の報告を基に、決算委員会は自ら報告書を作成しているということでございます。
 ドイツにつきましてはBRHということで、これももともと合規性の監査が中心だったわけですけれども、経済性というものを1969年の基本法によって加えて拡充をしたということでございます。職員数は704名ということでございます。
 時間の関係で15ページ、16ページ、17ページは省略させていただきます。
 次に、株式会社との関係でございます。大分説明が長くなっておりまして申し訳ありません。株式会社との関係については、1ページをお開きいただきたいと思います。内部の監査機関と、それから外部監査ということでありますけれども、まず内部の監査機関の比較でございます。
 比較をするに際しまして、さまざまな株式会社についての制度がございますので、株式会社については1ページの枠のところでございますが、公開会社、大会社というものを前提にしております。それから、地方公共団体については都道府県を前提にして比較をさせていただくということでございます。それから、地方公共団体の監査委員の監査につきましては株式会社の比較のため、いわゆる財務監査、行政監査、決算審査のみを取りまとめているところでございます。
 それでは、2ページをお開きいただきたいと思います。地方公共団体の方は、前回説明いたしましたので基本的には省略をさせていただきたいと思います。株式会社監査役、右の方を見ていただきたいと思います。3名以上の監査役、そして半数以上は社外監査役とされております。したがいまして、下に人の形がありますけれども、社内監査役1人、社外監査役2人という場合と、社外監査役3人という2つのパターンが考えられる。任期は4年以内の事業年度のうち最終のものについての終結ということでございます。
 3ページをお開きいただきたいと思います。株式会社の監査役は株主総会の決議をもって選任をするわけでございますが、取締役は監査役の選任議案を提出するときには監査役会の同意が必要とされております。また、監査役は取締役に対しましてその議案の提出の請求ができるということでございます。
 4ページをお開きいただきたいと思います。これは解任でございます。取締役会が解任議案を出すときに意見陳述ということがございます。
 5ページをお開きいただきたいと思います。「監査等の方針」でございまして、監査役会が決定した監査の方針、株式会社の業務、財産の状況等に基づきまして監査役が監査を実施するとされております。監査役会の決定は監査役の権限の行使を妨げることはできないということで、監査役の独任性というものを担保する制度となっております。
 6ページをお開きいただきたいと思います。監査役は取締役の職務の執行を監査するということでございますので、これは職務の執行すべてが対象になるということでございます。監査役は取締役が株主総会に提出しようとする議案等を調査するということでございます。この調査は法令、定款に違反しているかどうか、または著しく不当かどうかということを調査するものでございます。
 7ページをお開きいただきたいと思います。監査役は取締役の職務の執行を監査したときは監査報告を作成するということになっております。
 8ページをお開きいただきたいと思います。「決算書類の審査等」でございます。これは、各事業年度の決算書類を会計監査人が監査をして会計監査報告を監査役会に提出するという形になっております。
 9ページからが「外部の監査機関についての比較」でございます。株式会社会計監査人についてでございます。選任資格は公認会計士と監査法人となっております。それから、任期につきましては選任後1年以内に終了する事業年度のうち終結のときまでということでございます。これは、事業年度が半年ごとという場合もあるのでこのような書き方になっております。
 11ページをお開きいただきたいと思います。「選任方法」でございます、株主総会の決議によって選任する。取締役が選任議案を提出するときは同意が必要ということでございます。また、監査役会から請求することはできるということで、これは先ほどの内部の監査機関と同様に地方公共団体の制度とは異なって同意、あるいは請求という権限があるわけでございます。
 12ページをお開きいただきたいと思います。「解任方法」でございます。解任につきましては株主総会の決議をもって解任する場合と、監査役会による場合と2つのものがございます。株主総会による場合には、いつでも解任が可能でございます。監査役による解任については、米印のところにありますように解任要件が定められております。そして、監査役会が解任をする場合には右のところにございますように解任後の株主総会に対する意見陳述という手続がございます。
 13ページをお開きいただきたいと思います。これは会計監査人が監査をするということで、14ページを見ていただきたいと思います。
 これは「監査結果の取扱い」でございます。会計監査人は会計監査報告を監査役会、取締役会に提出をする。そして、各事業年度にそういった書類を監査して株主総会が承認するということでございます。
 最後に、株式会社の機関設計ということでございます。16ページをお開きいただきたいと思います。先ほど申し上げましたように公開会社、大会社を基に比較をしたものを説明させていただきましたけれども、株式会社の種類によりまして監査の機関設計の選択肢というものがかなりバラエティがあるということでございます。後でごらんをいただければと思います。
 最後に、18ページでございます。比較のところでは取り上げなかったわけでございますけれども、委員会設置会社というものがございます。平成14年の商法改正によって導入された制度でございまして、定款によって委員会設置会社になることを選択した大会社などを委員会設置会社と言うわけでございます。これは、従来の監査役制度をやめる代わりに、ここにありますように取締役の入替えを議論する指名委員会、役員報酬の基準や額を決める報酬委員会、業務を監督監査する監査委員会の3委員会を置く、いわゆる米国流の企業統治機構、コーポレートガバナンスが特徴になっているものでございまして、各委員の過半数を社外取締役にするということが条件となっております。
 従来の監査役制度の会社との大まかな違いということですと、第1点として取締役会の役割というのは基本事項の決定と各委員及び執行役の選任等が中心となりまして指名委員会、報酬委員会、報酬委員会、監査委員会の3委員会が監督・監査機能の主要な位置を占めるということが1つでございます。
 もう一つは執行機能の制度的分離を進めまして、業務執行は執行役が担当するということでございます。
 最後に、前回の御質問に対応した追加提出資料についてでございます。
 なお、前回、監査が適切に実施されていなかった団体の事例を調査してほしいということでございました。これにつきましては、時間的な関係から今回提出させていただいておりませんけれども、前回大阪とか夕張などが出ておりましたが、対象団体などを検討いたしまして調査をして来年提出させていただきたいと考えております。
 あとは、前回御質問がありましたものに対応した資料を付けさせていただいておりますが、説明は省略させていただきます。
 以上で、説明を終わらせていただきます。

○林小委員長 どうもありがとうございました。
 1時間ばかり質疑応答ということで進めたいと思いますけれども、議論をスムーズにするために今、一括で説明をいただきましたが、まず住民自治制度から御質問、御意見をいただいて、相互に関連しておりますけれども、できる限りそういう形で、次に議会、最後に監査制度という形で質問、御意見をいただきたいと思います。
 どなたからでも結構ですので、よろしくお願いをいたします。

○名和田委員 また突っ込んだ議論はそのうちに機会があると思いますので、簡単に気が付いたことだけ申し上げさせていただきたいと思います。
 まず最初に非常につまらないことですけれども、資料1の21ページのドイツのところは設置義務が任意となっていますが、必置だと思います。任意になっているのは農村部の仕組みだと思います。
 今のはつまらないことで、これ以外にも3点ほど感想といいますか、今後の審議への期待を申し上げさせていただきたいと思います。
 まず、日本の地域自治区制度について市町村の全域に置かなければならない。地方自治法に基づく一般制度としての地域自治区は当該市町村の全域に置かなければならないという仕組みになっていて、資料1の1ページですけれども、これが使いにくいという指摘があるということを言われました。この使いにくいという判断がどこからくるのかというと、やはり第27次地方制度調査会でこの仕組みが地域自治組織として提唱されたときに、住民自治を充実させるという趣旨とともに、いわゆる協働を進めていく仕組みとしても発想されていたということと関係があると私は思っております。公共サービスを行政と市民社会の諸力との連携によって確保していくという考え方ですね。この協働の課題が非常に大きな地方行政の課題となっていて、それの一つの制度装置としても地域自治区を活用していくという考え方があったと思うんです。
 それで、協働の活動を進めていくという発想からすると、できるところからつくっていくというのが望ましいと思われるわけです。他方で、住民自治という観点に立てば当然同じ市町村なのに区域、地域によって民主主義の度合いに差があるのは何かおかしいのではないかということになると思います。諸外国と比較しても、この協働という観点が強く出ているのが日本の地域自治区制度の特徴であって、そういう観点が入っているので使いにくいという発想になるのかと思っております。これは、そのうちにまた必要に応じてこの調査会でも深めていきたい論点だと思っております。
 それから、使いにくいというふうに当初思ったのですけれども、実際には今日御紹介がありましたように地域自治区制度はそれなりに使われておりまして、この地域自治区制度ができて使われ始めたということのインパクトについて簡単に私の印象を申し上げさせていただきたいというのが第2点目です。
 やはり使われ始めると、地域自治区の中の住民組織である地域協議会というものは意思決定機関である、地域の総意を対外的に表示する機関であるという性格が強く意識されて、今まで地方行政の場では協働、協働と言って、住民は仕事をさせられるばかりという雰囲気が漂っていたように思いますが、やはり仕事もやるけれども、地域のことは地域で決めるんだという課題が強く意識されるようになったと思っております。先ほどの資料の御紹介でも、上越市に関しまして、この地域協議会の議決を執行するためのというふうに明示的におっしゃったわけではありませんけれども、NPO法人等が設立をされた。こういうふうに地域協議会で決めて、それを住民あるいは行政がやっていく。こういうふうに、地域で決めて地域で行う。地域で決めるんだという住民自治の側面が非常に強く意識され始めたということは、一つの住民自治の前進ではないかと私は思っております。地域自治区制度を採用しなかった自治体におきましても、そういった課題は意識されていると感じているところでございます。
 最後の3点目ですけれども、上越市は先ほど御紹介がありましたように公選に準じた、いわゆる投票によって地域協議会の委員を選任しているということで、これによって地域協議会の代表性が高まっているという御説明が5ページであったわけです。この上越市の実験の意味なんですけれども、私はドイツでこの種の仕組みをつぶさに観察をいたしまして、その政治色の強さに驚いた経験があります。地域レベルで、コミュニティレベルでこのように政治色の強い制度をつくるということが日本で可能であるかということについてやや疑問を持っておりまして、その観点からすると今般の地域自治区制度で公選制度が見送られたということについては、私は内心ほっとしたというか、始まりはそれでしようがないんじゃないかと思っておりました。
 ただ、究極的にはやはり地域の民主主義を厚くするという課題はあるわけであり、当然公選が理想としては望ましいと今でも考えております。その観点からすると、もう一度地域自治区制度を更にバージョンアップするという課題を考えるならば、やはり公選制を導入すべきかどうかということを我々も議論しなければならないと思うんです。
 その意味から言うと、上越市の実験は非常に大きな意味を持つと思っております。実際に投票をやって選んでいるわけですね。この結果、地域社会でどういう波紋があったかとか、どういう実態が生じたかとか、そういったことについてやはり検証をしていく必要がある。特に結果として御紹介がありましたように、元議員が40%を占めていて、それなりに地域協議会はそういう感じの雰囲気になっているわけですけれども、もう一回投票よる公選がもうすぐありますので、そういった結果を貴重な実験として我々としても検証して地域自治区制度の次なるバージョンアップを考えていくべきではないかと考えております。以上です。

○林小委員長 御質問という形ではなかったかと思うんですが、1つは活動主体としての自治組織と、それから意思決定を担うという意味での両面あるんだろうと思うんです。だから、そこら辺をどのように切り分ける必要があるのか、あるいは切り分けない方がいいのか。そこは当初の住民自治の向上という点からいくと、いわゆる官から民への協働という話と、それから分権的な、取り分け合併を踏まえたそれぞれの地域の意思決定を尊重するという両面があるので、その辺りはまた名和田委員からいろいろ御意見をいただければ、もう少し深掘りをしていくときがあると思いますのでよろしくお願いをしたいと思います。

○西尾委員 地域自治区合併特例区制度が生まれたのは一つの前進だと思っておりますけれども、あのとき地方制度調査会が議論して大筋考えていた線と、最後に法制化された点で変わっている点が幾つかあって、それが現在の使いにくさをつくっている要因ではないかと私は思っておりまして、かなりの点、名和田委員と意見は一致しているのですけれども、私は合併市町村の場合であれ、そうではない一般制度の場合であれ、基礎自治体のある特定の地域だけ、特定の区域だけに地域自治区が生まれるということを許容すべきだと思うんです。つくるからには市内全域につくらなければならない。市町村内全域につくらなければならないという制度、そうでなければ法の下の平等に反するというのが内閣法制局の見解だったそうですけれども、それは自治の思想とは非常に矛盾する考え方ではないかと思っておりまして、市町村内全域に設置する必要は必ずしもない。特定の地区だけに設置するということを許容していくべきであると思っています。
 第2点目は名和田さんは言わなかったことなんですけれども、そういう前提に立ちますと、今の制度は市町村の議会が条例で設置するという方式になっているわけですが、そうではなくてその地域の住民の直接請求で地域自治区を創設するという道を開くべきではないか。一定の必須の署名要件等はあるかもしれませんが、ともかく地域の側から、住民の側から、この地区に地域自治区を設けたいという意思表示があって、それを受けて議会が判断をする、市町村議会が判断をするという道も開くべきなのではないかと私は思っています。今はその道がないと思っていますが、そこを開いてあげるべきなのではないかと思います。
 3点目は、そこに協議会なり、あるいは議会なり、そういう議決機関を置くという場合に、その構成員を直接公選するという道を閉ざしているわけです。閉ざしているからこそ、上越市のようにそれに準じた準公選を実施するというところが出てきたわけですが、私は直接公選の道も選べるようにすべきではないか。地域自治区をつくるからには全部、議決機関の議員はすべて直接公選にしなければならないという制度にしろと言っているのではありません。直接公選を選びたいのならば直接公選をやってもいいという制度にすべきなのではないかと思っています。
 以上のようなところを少し変えてあげると、もう少し地域自治区の制度というのは活用の余地が出てくるのではないかと思っています。
 それからもう一点だけ申し上げますと、今は一般的な市町村における地域自治区の制度について話しているわけですが、これを政令指定都市の行政区に適用して、行政区の区域に地域自治区をつくるということも許容しているわけです。その例は新潟市とか浜松市のようなところに出てくるかもしれませんが、既存の政令市には今のところ出てこないわけです。私は、政令指定都市の行政区単位に設ける自治組織としてはもうひと工夫何か新しいことを考えなければいけないのかなと思っていますということだけ申し上げておきたいと思います。以上です。

○林小委員長 ありがとうございます。ほかに御意見はございますか。

○小田切委員 私も、2つの点を申し上げてみたいと思います。
 1点目は地域自治区の話で、名和田先生、西尾先生がおっしゃったことと重なるところがありますので、外れたところを1点だけ申し上げてみたいと思います。新しいコミュニティとか、あるいは新しい住民主体と言われて活発な活動が各地で進んでいるわけですが、それとやはり地域自治区で網をかぶせた、その主体の単位が大きくずれているという点であります。そういう意味で、私たちが目の前で見ているような活発な活動している単位というのは、むしろ昭和の合併のときの旧村単位といった規模での活動が一般的なのだろうと思います。その点では、地域自治区をそういう組織に適用するのがいいのか、あるいはまた新しい組織をつくるのかということは議論すべきだろうと思います。 
 その点で、恐らくそういう住民主体の組織の要件というのは3つほどあります。1つ目は、やはり、地域内の全世帯が参加するものであること。2つ目は、財産を持てるということ。そして、3つ目は経済活動ができるということですね。特に農山村ではこういった組織が経済活動をするということが非常に強まっておりまして、そういう意味で事例の中にございましたように、例えばNPO法人格を取得するとか、自治法上の認可地縁団体で経済活動をするとか、やや無理がある活動をしている。そういう点で新しい法人格が必要なのではないかと、そんなことを考えます。
 それから2点目でございますが、コミュニティの議論をさせていただきたいと思います。多分、現在第2次コミュニティブームで、人によっては第3次コミュニティブームとおっしゃっていますが、60年代後半から70年代前半のまさにコミュニティ対策要綱が出たときが第1次だとすると、第2次は国際的にも世界各国で同様の議論がなされているコミュニティ議論が活発化した時期だろうと思っています。
 ただ、問題はこの地方制度調査会の場でこのコミュニティの議論をどこまで深めるべきなのか。つまり、制度的な議論にとどめるべきなのか、そうではなくコミュニティの在り方ということまで踏み込むべきなのかということは論点だろうと思っています。
 ただ、私自身は、でき得れば名和田先生が中心になって御検討されているようなコミュニティ研究会の中身も含めて、是非コミュニティというのはどうあるべきかというところまで今回においては踏み込んでいただきたい。それはまさに第2次コミュニティブームという象徴的なタイミングだからそれが必要だろうと思っています。以上でございます。

○林小委員長 ありがとうございます。議会にしても、在り方を議論するということと、それから制度を議論するということ、これは恐らくいろいろなテーマに関して出てくる問題だと思うんですね。これにつきまして、また少し検討させていただきたいと思います。 では、どうぞ。

○眞柄委員 20ページのソーシャル・キャピタルに関することですけれども、近年政府もこの議論に関してはよく御研究されているようですし、実態として全国の自治体でこのソーシャル・キャピタルを豊かにすることでコミュニティの活性化をするためのいろいろな取組みが近年されていると思うんです。ただ、ここで非常に注意しなければいけないと思うのは、パットナムのソーシャル・キャピタル論というものは、もともとソーシャル・キャピタルというのはあくまでも独立変数であって、一番問われているのはソーシャル・キャピタルが豊かか、豊かでないかによって行政的な実績が変わってくるといったところだと思うんです。ですので、このソーシャル・キャピタルがどの程度充実しているかということを今後検討していくだけではなくて、これによって行政的な成果あるいは経済効果なども含むと思いますけれども、そういったものが全国の自治体でどういうふうに変わってきているのか、あるいは変わってきていないのか、そういった従属変数的な調査も必要なのではないかと考えました。

○林小委員長 ありがとうございます。住民自治につきまして、ほかにどうぞ。

○片山副会長 最初に地域自治区ですけれども、私は西尾先生が言われたことに全面的に賛成なんです。特に何でも、何かするというときには一律でないといけないという発想は是非やめなければいけないと思います。問題のあるところ、特に濃密に例えば意見を聞かなければいけないところ、そういうところに重点的にやるという発想があってしかるべきだと思うんです。
 一例を紹介しますと、これは地域自治区ではないんですけれども、私が鳥取県にいたときに県版のいわば地域自治区もどきのものをつくったんです。それは県庁から一番外れたところのある郡で、日野郡というところなんですけれども、面積が非常に広い。過疎化が進行して高齢化が進行して、人口も減るものですから県会議員の数がとうとう人口比例で1人になってしまった。問題は増えるけれども代表は減るという反比例の関係になるんです。
 そこで何とかしなければいけないというので、郡単位の郡民会議というものをつくったんです。定数24で、それは立候補制で、かつ抽選という非常に特異な制度なんですけれども、そういうものをつくっていろいろ地域の問題を吸い上げるとか、その郡内での県政の点検とかチェックとか意見を言ってもらう。それから、郡内のいろいろな課題についての意見集約をしてもらう。こんなことをやったんです。
 それで、1つだけなんです。ほかのところはやっていません。それはなぜかというと、そこに一番問題が凝縮しているからなんです。もう一つは、1つですから知事もしょっちゅうその郡民会議が開催されているときには出席できるんです。ですから、地域自治区なども被合併町村で問題を抱えているところとか、そういうところを選んでやるということはあっていいと思うんです。先ほどのことをちょっと敷衍したいと思います。
 それから、コミュニティは非常に重要ですけれども、今、現実はこういう理論的な整理とはかなり懸け離れた実態になっています。それで、総務省の皆さん方がこの問題を扱われるわけですけれども、どなたか住所地で町内会とか自治会に出られて役員などをやっている人はおられますか。もしいたら教えてください。多分だれもやっていないだろうと思うんです。だから、空理空論になるんです。
 これは苦言を呈しますけれども、例えば総務省消防庁は自治体の職員などに対して消防団に入れとかと言って号令を掛けていますけれども、総務省の人はだれも入っていないでしょう。まず塊より始めよでやってみられたら、コミュニティの問題などはよくわかりますよ。
 かく言う私の場合はどうかというと、実は今年の3月まで鳥取市東町1丁目というところの町内会の会長を我が家でやっていたんです。それは問題だらけなんです。だから、町内会の役員とか、まして会長をやるというのはどんなことかはやってみないとわからないです。是非やってみられると問題が浮き彫りになってくると思うんです。百の議論より一つの実践の方がいいと思います。
 もう一つ、これは今までの議論と外れるんですけれども、住民自治といった場合に私などは教科書的に言えば団体自治に対して住民自治ですね。そうしますと、住民自治というのは何かというと、それは主権者である住民が自治体をコントロールする。住民による規律づけの話だと思うんです。
 そうしますと、一番問題なのはやはり例えば選挙制度です。選挙は非常に大きな話ですからちょっと置いておくとして、あとはこの地方自治の分野で言えば直接請求です。ここはやはり光を当てなければいけないと思います。
 例えば首長のリコールという制度がありますが、ほとんど使われていないですね。これは実際に規模が大きくなりますと使えないんです。それで、結局首長も悪いというか、当たり外れがあってかなり外れたのは、本当は直接請求でリコールしなければいけないんですけれども、それが作動しないで結局司直の手にゆだねているわけです。警察や検察の手にですね。
 本当は、主権者が選んだんだから外れがひどかったら主権者がやはりリコールでリカバーするべきです。そのメカニズムが健全に働かなければいけない。これが住民自治だと思うんです。特に首長もそうですけれども、教育委員の問題というのは今、地方で議論が噴出していまして全く当事者能力がない。それで、教育委員にもリコールの制度はあるんですけれども、やはり労多くして益なしなんです。寝食を忘れて本当に何もしないで子どものために、子どもの面倒も見ないで署名を集めなければいけない。集めても結局だめだったということなんです。使い勝手がすごく悪いんです。
 これをもうちょっと住民自治の観点、地方分権の観点から光を当てるということがテーマとしてなければいけないと思うんです。条例の制定・改廃の請求もそうだし、前回ちょっと出てきましたけれども、住民監査請求とか、監査の請求とか、これらも住民自治の観点からやはり点検してみないといけないと思うんです。
 それからもう一つは、住民投票というものが今は制度化されていませんけれども、これが地方分権の時代になると住民投票という問題をもっとクローズアップさせなければいけない。それで、これを現場でいろいろ試行錯誤して、例えば前々回だったでしょうか。宮古の市長さんが自治基本条例の説明をされたときに、宮古市では住民投票制度をいわば一定の要件が成就すれば義務化するということにされていましたね。あれは選択の問題ですけれども、私は現行の地方自治法の制度的欠陥というものを補う自治体レベルでの工夫だろうと思うんです。だから、こんな新しい試みも含めて本当の主権者である住民がいかに自治体を規律づけするか、それをテーマにすべきだと思うんです。
 特にこの問題で申し上げておきたいのは、直接請求制度の中の条例の制定・改廃の分野で税条例を直接請求の対象から除外しているんです。これなどは本当に古いと思うんです。自治というのは仕事と負担との兼ね合いで決まるのが基本ですから、税率をいじるというのは住民自治の一番の根幹なんです。これを、我が地方自治法は直接請求の対象からわざわざ除外してあるんです。それと分担金、負担金もそうですけれども、要するに住民が負担する分野についてはシャットアウトしているわけです。
 これは何かというと、愚民観だと思うんです。これをやらせたら住民は皆、税を下げろ、サービスを上げろと言って破綻するに違いない。だからさせないんだということですね。こんな愚民観で地方分権をやろうなんて無理です。それは愚民もいるかもしれないから、それは破綻したらいいです。失敗したらまた立ち上がればいいんですから、失敗する自由も含めて分権するという発想に立たなければいけないので、こういうものは絶対にやめなければいけないと私などは思うんですね。
 そんなことも含めてここの議論の対象にしていきたいと思いますし、まず差し当たっては直接請求制度、リコールとか条例の制定・改廃の請求などがどういう状況にあるのかということを、もし総務省の方で資料があったら提示していただきたい。なかったら、できる限りの調査をしていただきたいと思います。

○林小委員長 ありがとうございます。基礎自治体における住民自治ということでありまして、これは地域自治区制度だけではないので、今後そういうことも含めて議論をしていかなければいけないと思います。
 時間の関係で、次の議会制度にテーマを移らせていただきたいと思います。それでは、どなたか御意見、御質問をいただけましたらありがたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○西尾委員 議会制度の中に監査制度も入っているんだろうと思って、監査制度のことについて意見を述べますが、前回も前々回も私は全く発言しなかったんですけれども、毎回大量の資料が出てきて大量の御説明をいただくので、今日は勉強会かと思って聞いていると、結局発言しないで終わってしまうわけなのですが、いつまでたってもこうらしいのでそろそろ意見を述べなければいけないのではないかと思って意見を述べさせていただきます。
 監査制度が改めて問題になったのは、いろいろな事件があったからだと思うんです。裏金問題があり、知事の談合疑惑問題があり、夕張市の財政破綻があり、政務調査費問題があり等々ということで、さまざまな問題が一斉に噴出してきたので、一体監査制度は機能しているんだろうかというところから始まっている。あるいは、議会による監視というのは働いているんだろうかという問題になってこういう諮問事項になってきたんだろうと思うんです。もしそうだとすると、結局現在の監査委員あるいはその事務局というものの独立性が問われているということなのではないかという気がするんです。
 そうしますと、現在の監査委員は首長が人選をし、そして議会の同意を得て任命するという方式になっているので、監査委員については首長からの独立性に欠けているのではないかということだと思うんです。そういう監査委員が本当に執行機関の業務を中立的に監査するだろうか、その意欲を持つだろうかという疑問だと思うんです。
 更には、それを補佐している事務局というものは、事実上、市町村の一般職員あるいは都道府県の職員が人事異動である期間そこにいるだけで、その前は執行機関で働いていた、または一定年数働いた後には執行機関のどこかに戻って働くという立場にある人たちで、この人たちが本当に自分たちの仕事仲間の仕事を客観的に中立公正に監視するだろうかということだと思うんです。これが根本的な疑問だとしますと、この解決は容易なことではないのでないかと思うわけです。そこに疑問が抱かれたということになると、解決方法は非常に限定されているのではないかという気がいたします。
 監査委員についてまず申し上げれば、首長からも、もしも議会からも独立した監査委員が必要だということになるとすれば、今日の資料にはありませんでしたけれども、アメリカの自治体のすべてではありませんが、多くの自治体で使われている監査委員の直接公選あるいは監査役の直接公選という制度だと思うんです。議員や市町村長と同じように選挙で立候補して選ばれて、私は監査役をやりますと言って当選してきた人が完全に独立の立場で監査を行うという、この方式が1つあると思うんです。
 しかし、日本で万が一そういう制度をとったときに立候補する人がいるんだろうかとか、立候補した人が本当に有能な監査役になるだろうかというと、ちょっと首をかしげたくなる制度だと思うんです。
 もう一つの方法は、議会が本来執行機関を監視すべき機関なのでありまして、したがって監査という機能も議会の機能だと割り切った方がいいのではないか。首長から完全に独立する、それで、議会の中に監査委員を置く。これは、今やっている議員が監査委員になるというのではなくて、議会が監査委員を任命して、議会に直属している監査委員が執行機関を監査するんです。議会の指揮監督の下に執行機関を監査するんですということしかちょっと考えられないのではないかと思うんです。私はどちらかというと、日本で本当に独立させようと思ったら、議会直属の監査制度という方がむしろ可能性はあるのかなという感じがするということです。
 それから、事務局問題はもっと厄介なことなんですけれども、議会にもし監査委員が置かれれば、それを補佐する事務局、監査事務局というものも議会事務局と一体で強化するというようなことになるのでしょうが、ここで事務局の独立性を高めるということになれば、議会の事務局あるいは監査事務局というのは外部からどんどん人を任用する、中途採用であれ、任用するというような制度、一般の職員を回転させて使うというのではなくて、議会を補佐するということを専門に志願してくる人を採用する。そして、一市町村でなかなか雇い切れませんし、長い間、固定できませんから、自治体間を渡り歩くというような人をだんだん育てていく以外にないのではないかという気がしているわけです。これは地方公務員制度の設計の問題になってくるのですが、そういうことを考えざるを得ないのではないかという気がします。
 もう一つは外部監査制度で、公認会計士事務所とか監査法人に対して契約をして監査させるというのが都道府県と政令市に義務付けられているわけですけれども、これも機能しているのかという疑問が出されているとしますと、これはできるだけ簡便に制度をつくろうということでそうしたんですよね。
 それ以外の方法を考えろと言われると、イギリスの、全国レベルで国といわば自治体の共同設置機関のようにつくっている監査委員会というような監査機構をつくって、それが自治体の外部監査をするというような仕組みを考える以外にないのではないかと思っています。そこまでここで議論をするのかどうか、今後皆さんの御意見を聞きたいと思っている次第です。

○林小委員長 ありがとうございます。ようやく御意見をいただけたという感じです。とりあえず勉強会をしながらフリーディスカッションをしていただいて、そしてまた更に深彫りをするというような手順で進めたいと思っておりますので、今後はやはり焦点を絞っていきながら議論していかないといけないと思いまして、今日はそういうところも踏まえていろいろな御意見を出していただければと思っておりますので、忌憚のない御意見をいただければと思います。

○政所委員 監査についての件で、資料6の4ページに台東区の事例がありますので、これを例として取り上げますと、保育事業についての個別的な外部監査ということで、一つの事例としてですが、この中で保育事業に関する1から5の監査の観点が書かれています。経済性、効率性、有効性、契約、入園の審査、受益者負担の合理性、この一例を取ってみても監査の基準や検証というのは、保育の本質的なものとは一部相反した監査条件ともなれるのではないかと思うのです。
 例えばこれを公認会計士の方が監査するときに1)から5)についての基準に限定されるとなると、利用者にとって、教育とか保育という分野における問題はもっと質的なことがきちんと監査の条件に入っていないと矛盾が起こると思うのです。
 ほかの例もそうなのですが、昨今、財政が抑圧されている中で入札制度等も含めて、コストを優先基準にする評価というようなことのみが、公平・公正なる監査となってしまいます。監査はだれがするのかどういう人を選出するのかと同時に、その地区に合った個別の案件についてどういう質の検証が必要なのかが大切です。住民自治・自律の観点から、住民がその辺りに直接関与していないというところにいろいろな問題が出てくるのかということをこの事例を通じて感じました。監査の質、適応要項、評価基準や条件が重要ということです。

○林小委員長 ありがとうございます。企業との対比で監査制度を御説明いただきましたけれども、やはり行政と民間企業では随分根本的にありようが違うところもあるんだろうと思うんです。それで、例えば企業の場合はやはり売上げがあるし、あるいは利潤があるわけで、それを見ることによって最少の経費で最大の効果を上げているかどうかというところがある程度はっきりするわけですが、行政サービスの場合はもちろん売上げもありませんしプロフィットもありませんから、その辺りの質をどう担保するのか。
 民間企業の場合は、質が悪ければ売れなくなるわけですね。ですけれども、行政サービスの場合は独占的に供給をしておりますから、質の問題をどうやって担保していくのかというようなことも、やはり問題として出てくるんだろうと思います。
 ただ、効率化ということが十分に図られていないということも事実なので、まず質の部分ももちろん重要ですけれども、やはり最少の経費でというところもまだ十分に押さえられていないというところから日本の場合には出発しなければならないのかなというような感じがするんです。ですから、その辺りで望ましい監査制度というのは一体どうあるべきなのかということを、やはり現状の問題点も踏まえて議論していかなければならないだろうとは思っております。ほかに議会、監査制度についていかがでしょうか。
 では、小林委員どうぞ。

○小林委員 先ほど監査の独立性のお話が出たかと思うんですが、内部の人を監査として選ぶにせよ、外部の人を監査として選ぶにせよ、いずれにしても一生懸命仕事をしてもらわないといけないということがどこかで担保されない限りは、きっちりした監査ができないと思います。そういったときに、やはり監査をする人たちが何らかの形で責任を負う仕組みを入れないと、どんな人がやったとしても実質的な機能を持たせるのは難しいと思います。
 あるいは全く同じことですが、うまくいったら報酬を出す。何をもってうまくするのかというのは難しいことだと思いますが、例えば民間ではまれだとは思うんですけれども、外部監査、会計士監査を入れて企業の場合に不正があったとき、うろ覚えなのですが、例えば山一のケースですとちゃんと監査していなかったじゃないかということで訴訟がたしか提起されたという記憶があります。
 それで、自治体の方を見たときに監査委員の仕事の結果がきっちり責任を伴って評価されるという仕組みを余り聞いたことがないので、そういったこともきっちり仕組みとして、制度として入れることが実質化させる一つのポイントだと思います。以上です。

○江藤委員 議会のところについて幾つかです。その前に先ほどの議論では住民自治というと地域自治区とコミュニティだけではなくて直接請求なども広く審議対象にするということが確認されたということなので、私も大賛成です。
 それで、議会と監査についてです。それこそ行政事務の監査委員を首長が任命すると独立性が担保できないのではないかというのはそのとおりだと思うんです。主に執行機関を監査するものを首長自身が任命すると独立性が保たれない。先ほど西尾委員は、議会の方が指揮監督できる監査委員が必要だと。選任という言葉は使われていなかったかと思うんですが、議会の方から同意ではなくて選任をしていくという、恐らくその辺りの制度改革が必要だと思っています。
 同時に、議会の方が監査の主体性を持つことになると、やはり議会の方もパワーアップしないと、丸投げではだめなわけです。監視機能、監査のところだけではなくて、政策形成だとか調整機能だとかというかなり広い分野の議会の役割を議会改革の中で議論しなければいけないんじゃないかという気がしました。
 2点目は、そうした改革ができた後にその議会の担い手なんですけれども、ここのイメージが今日提出された資料、議論からすると大分ブレていると思います。
 1つは、兼職のところの規制を緩和しよう、公務員との兼職を認めようと。ここの兼職については当該自治体はだめなんだよねと、いろいろな国の事例を出しながら方向性を示されている。そうだなと思うんです。もちろんこの運用については、昼間開催では実際に無理ですから、これを現実的にどうするかという議論になってくると思うんです。夜間開催も考える。昼間開催の場合は、休職・復職制度化などの議論へと連なる。原則としては今日の資料からそういうふうなことが読み取れると思いました。
 もう一点、今日の資料のところで、例えばイギリスについては議員は名誉職です。ドイツについてもそうです。それから、スウェーデンについては専業職ではないという規定なんです。それで、議員の身分の規定の仕方というんでしょうか、ここのところが名誉職と専業職で分けられている規定なのか、専業職ではないと言って名誉職とは書いていないとすれば、何らかの違う概念があり得るのかどうか。そこのところも恐らく議論していきたいと思っておりますけれども、実際に提出された資料の中でどういう読み方をされているかを教えていただきたいと思います。
 3点目は今後の要望なんですけれども、今、議論しているところというのは、今までの地制調などでも議論したところは確かにあるんですが、同時に議会改革の議論では3つの全国議会議長会がかなり充実した提案をされているんですね。今回の監査のところでもそうですし、議員の身分についてもそうです。しかも、現場を理解した上での地道な提案が出されています。したがって、資料としていままでの地制調答申と同時にそれらを添附する、あるいは報告するということは必要なんじゃないかと思います。以上です。

○林小委員長 ありがとうございます。1つ質問がございましたので、それに対してお答えをいただければと思います。

○行政課長 議員の身分の関係ということでございますが、外国の制度については、例えば韓国は名誉職だったけれども、それを変えたといった事例、それから今、江藤委員からお話がありましたように、各国でそれぞれの国の事情の中で名誉職あるいは専業職でないと書いてある。それが相互に全く一致しているのかどうかというところは必ずしもわかりませんので、一概には言えないかと思います。
 それで、日本の場合は今もお話がありましたけれども、議長会等から議員の職務の明確化あるいは身分というようなことでこれまで要望が出されておりまして、それは地方自治法で地方議員が非常勤の職員と一緒の条項に規定されているということで、それをもっと職務を明確化してほしいという話がございます。これは同じ条文だということで非常勤だということではないわけでございますけれども、そういう意味で一体地方議員というのは国会議員との比較も含めてどのような位置付けをするのか、議員活動というのはどういう範囲なのか、こういったような議論があるということでございまして、これについては自民党を含めた国会の中でも議論されているという状況でございます。

○林小委員長 今、江藤委員が言われたことは非常に重要で、報酬を考えるとか、あるいは兼職の問題というのは必ずそことの結び付きというのが出てくると思うんです。だから、その辺りも議会の活動をどのようにとらえるのかということが非常に重要ですので、この辺も既にいろいろ御提言なさっておられることも含めて論点を整理し、そして出させていただきたいと思います。ほかにいかがでしょうか。

○片山副会長 監査委員なんですけれども、先ほど西尾先生が公選制もあるがと言われました。私も本当は公選制が原則だろうと思うんですけれども、現実に今、公選制をしたらどうなるだろうかとさっき想像したんですが、多分各党相乗りの選挙になったり、恐らく首長も選挙応援に行ったりすると笑い話のようになってしまうので、現状では無理だろうと思います。
 そうすると、やはり議会による選任の方が、より害が少ないというか、ベターなのかとは思うんですけれども、議会によっては例えば落選中の同僚議員の居場所を見つけてやったりするようところが必ず出てくるんです。だけど、今よりは独立性が強まるという意味では議会の選任の方がいいかなという感じはします。
 あとは、外部監査が機能していないのではないかという問題提起をされて、私もそう思います。しているところももちろんありますけれども、基本的に外部監査も一つのビジネスになっていまして、そのビジネスの発注先に対して致命的なことは言わないということだろうと思うんです。ですから、今の外部監査でいいということにはならないし、外部監査の純化が行われない限り、これをどんどん人口の少ない自治体などに広めるというのは、私はやめた方がいいと思います。
 むしろ私などの経験から言うと、頼まないのに監査をしたい、したいという人は世の中にはいるんです。オンブズマンです。この人たちは無料で頼みもしないのにやってくれるんです。やりたいんです。そういう人を活用したらいいと思います。
 例えば、外部個別監査をしたいという人がいたら、一定の資格、権限を与えてやってもらった方がいいんじゃないか。今すごくモチベーションが高いですし、独立性は強いですから、こういうことをやってもらった方がいいと思います。皆さんは多分、そんなことをしたらかき回されてとすぐ心配されるでしょう。かき回されて中を見られて困ることがあるならば直さなければいけないんです。それから、違法に不当にかき回すんだったら、それはちゃんと制度的に制御したらいいわけです。だから、オンブズマンなどに秩序だってちゃんとした権限を与えて、ルールを決めて外部個別監査をしてもらうというのは一つの有力な選択肢ではないかと私は思います。
 それからもう一つ、さっき幸田課長が説明された中に、書面になっていないんですけれども、税条例の専決処分をしているのが37道府県、それから政令市が十幾つありますが、これは是非書面でください。メールでも結構です。
 その際、やはり専決処分をしているところがあって、それは4月1日から施行するものがあるからだと説明されたんですけれども、これは実はほとんど改善されているはずなんです。もういなくなりましたけれども岡崎さんとか、それから長野に行かれている板倉さんなどが随分努力をされて、専決処分せざるを得ない地方税法の改正というのはひょっとしたらごく例外的にはあるかもしれないけれども、ほとんどなくなっているはずです。
 だけど、現時点でまだ多くの団体が専決処分をしている。それが、皆さんから見られて専決処分の要件に当たる事由がある。それは、税法の改正が遅いからとか、施行が4月1日からだということがもしあるとしたら、それは地方税制局の怠慢なんです。
 ただ、私はそれは皆さん改善されてなくなっていると認識していまして、全国知事会で調査したことがあるんですが、ほとんどなくなっているんです。だから、なくなっているのにまだやっているとすれば、それは専決処分を越権でやっているとしか思えないです。そこのところをもし高橋さんの方で何かあれば、あなたの局の名誉も問われているわけだから、何かあったら教えていただければと思います。

○税務担当審議官 その点につきましては、次回改めてその資料をお出ししたときにまた御説明させていただきます。

○林小委員長 それでは、ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○幕田委員 監査制度ついての意見なんですが、わかりやすいところで,資料5の8ページをご覧いただければと思います。私が申し上げたいのは、普通は資本金が5億円以上の大会社の例ですが、今後の議論において、それを参考にしていただければという趣旨でございます。
 8ページの右下に株式会社の監査を示した図があるわけですけれども、ここには書かれておりませんが、普通の会社ですと、社内に社長直属の考査室、考査課あるいは考査役という個人で背負っている場合もあるんですが、そういう社内の監査的な仕事を常時行っているセクションがございます。これは社内の監査に関わるようなものを事前に粗ごなしといいますか、普段から調べておきまして、不正がないかどうかというのも引っくるめて、かなり広範囲に見ております。ただ、全部の業務を細かく見ているほどの余裕はないというのが普通だと思いますけれども、ざっとした監査的なものは行っているんですね。
 あわせて,会社での不正な仕事とか、これはいけないことなんですよという社内の行政指導的なことも、普段から行っているわけです。そういうことを行っている上に、監査があるんですね。監査は独立していまして、選任も株主総会に提案されて決められております。
 それで、資料5にも書いてありますけれども、監査役の半数以上は社外監査役で占めなければいけないということになっております。やはり、社外監査役に入っていただくと、見る視点などが変わってきますので、かなり参考になるというのが実感でございます。
 そのほかに会計監査人、それから監査法人等の団体があるわけですね。先ほど片山先生からお話がありましたけれども、確かにずっと同じ方、同じ法人に長くやっていただくと、余り難しいことは言わないで何となくなれ合いみたいなところが出てくるようなところがございます。ですから、本当はある期間を置いて交代した方がいいのかもしれませんけれども、逆に気心がわかるというか、仕事のやり方もお互いにわかっているので能率が上がるという面もあります。これは両方を考える必要があると思います。
 ただ、市町村には規模の大小がありますから、小さいところは大きい監査法人を使うわけにはいかないと思いますので、その場合は個人の公認会計士に頼んで、アウトソーシング的にその部分だけ、そのときだけ頼むというようなことになるのではないかと思います。大体そのようなことで、株式会社の監査の仕事というのは行われておりますので、御参考にしていただければと思います。

○林小委員長 ありがとうございます。どうぞ。

○斎藤委員 2点ほど、簡潔に申し上げたいと思います。
 1つは地方議会のところで、これは林委員長、それから江藤委員の指摘の確認ということになりますが、今日の資料の大きな項目では職業公務員と議員の兼職可能性ということで比較をなさって、諸外国を見ますと一定限度認めるという方向はあるわけですね。日本においてもそういうものを考えるとすれば、それは明らかに幅広い人材の確保ということにはつながるんだと思います。
 しかし、諸外国でそういうものを認めるのはなぜかということになると、議員の性格なり議会の権限の問題とつながっているわけで、資料で言えば前のページの議員の報酬のところに一括されておりますけれども、やはりそういう議員の性格なり議会の権限等を有機的に検討した上で、この項目として検討すべきことではないかというのが1点でございます。
 もう一点は、外部監査制度でいろいろな御指摘が既にありました。今日挙がっている諸外国の例の外部監査制度と一括されているものの多くはいわば自治監督で、上ですね。上と言っては語弊がありますが、国がやるという側面をかなり含んでいる。ドイツ、フランスは明らかですし、イギリスについても一応協働という側面はあるにせよ、やはり国からの矢印があるので、現在の自治体が任意に委託するのでは限界があるというときに、では国に戻るのかというと、これはかなり問題を含んでいると思いますので、そうではないような制度の在り方ですね。具体的には住民にどう関わってもらうのか。これは片山副会長も御指摘されていたところにつながるんだと思いますけれども、その辺を少し考えていければと思っております。以上です。

○林小委員長 ありがとうございます。では、金子委員どうぞ。

○金子委員 データないし情報があれば教えていただきたいと思います。
 資料4の「諸外国における監査制度について」の2ページ目に「各国の地方自治体の内部監査制度の比較」というものがありますが、今までの議論からすると日本では内部監査制度が余りうまく機能していないのではないか。だったらこういう日本とは若干違う制度を持っている国で内部監査制度がどのくらい有効に機能しているのかというようなパフォーマンスの指標とか、そういうものがありましたら教えていただきたいと思います。
 日本と比較した結果、どの制度がよくて、どれが悪くて、制度は制度でよろしいのですけれども、どういうふうに運用して結果を出しているかということが重要だと思うので、そういうものがあれば出していただくと非常に制度の検討の参考になろうかと思いますのでよろしくお願いします。

○林小委員長 重要なのはそこなんですね。うまく機能しているのかどうかというところがあるんだと思います。
 ただ、これは外国でうまくいっているところもあれば失敗しているところもあるでしょうから、その辺りは可能な限り情報がありましたら御収集いただければと思います。
 では、武田さんどうぞ。

○武田委員 2点ほど感想といいましょうか、意見といいましょうか、申し上げたいと思います。
 1点目は議会の在り方と言いましょうか、議会に求められるチェック機能との関わりで、要するに議員にはある程度の専門性が求められるということが何となく見えてきたような気がいたしますが、実際のところ議員の専門性というのは現在の日本の議会制度を見ますと政治家としての専門性というか、専門政治家というか、そうした部分での専門性に尽きていて、むしろチェック機能を果たす上での行政の全体を見渡した公平な執行とか合規制、あるいは効率性というものをチェックできるような意味での専門性というものが議員の方に養われる機会がないという点が大きいのではないかと思うんです。
 その意味で、これは私も聞きかじりで余り詳しくないのでもし御存じでしたら教えていただきたいんですけれども、ドイツで聞いた話ですが、議会改革の中で議会事務局といいましょうか、それぞれの会派の事務局を強化して、そこでの調査権限あるいはその調査や専門的な企画を行っていくための活動費用について、日本で言う政党助成金のようなものでしょうか、地方議会において会派レベルの事務局体制を強化するというふうなことをやっているという話を聞いた覚えがあります。つまり、議員に求められる専門性をそうした事務局体制を強化することでやっていくという点が1つは考えられるのかなということです。
 それで、もう一つ、それと関わって他方で今日御提案といいましょうか、いろいろ出てくる資料の印象から言うと、無休化とか兼業の容認という方向をサゼスチョンしたいのかなととれるのですが、その場合に確かに兼業ないし無休化によって現在の専門政治家というんでしょうか、そういう議員の像からは異なる議員タイプが出てくることは考えられます。ただ、やはりその場合でも議員が行政に関して一定の勉強といいましょうか、知識を持って総合的に判断できる能力を得るだけの時間が確保できるかという問題がどうしても出てきます。
 ですから、その方法が日本でうまく機能するかどうかというのは、まさしく労働時間の在り方に関わってくるといいましょうか、疲れ果てて帰ってきた勤め人がその後果たして議員として兼職できるかというと、それは十分な議会議員としての機能を果たせるようにはおよそ思えないので、この点が日本においてどの程度適用可能かというのは、その社会的な背景の違いを考える必要があるのかなということを1つ思いました。
 それからもう一つの専門性、同じ監査という言葉を使っても議会レベルで行われるチェック機能と、例えば会計なり法律なりの専門知識を持った人間が行うべき監査の機能はおのずと違うだろう。つまり、監査法人であるとか、資格を持った人ですね。そういう専門的な知識、ごくごく専門的な知識のところから求められるチェック機能というのはまた別の観点で必要であろう。議会とは別のチェック機能として、やはりこれは不可欠であろうかと思います。
 ただ、その場合に問題になってくるのは、小規模自治体においてどうやってそうした専門の外部監査者を確保できるかという問題であって、これは先ほど出てきたお話の中で他国のケース、イギリスのケースでしたか、私も面白いと思いましたのは、国との共同と言うとちょっと話が大きくなりますけれども、例えば都道府県内であれば市町村間の一種の事務組合的な共同でもって監査機関を置くというようなことも場合によっては考えられるのかなというような印象を持ちました。

○林小委員長 ありがとうございます。それでは、そろそろ時間がまいりましたので、意見交換をこれで終わりたいと思いますけれども、どなたか是非御発言をという方はどうぞ。

○片山副会長 住民自治のところで言おうと思って言っていなかったんですけれども、地方自治法の最後の方に大方の人が忘れた制度で審決の申請というのがあるんです。私は、これは住民自治というか、民主主義の観点から見ると非常に意味のある制度だと前々から思っているんです。
 というのは、行政不服審査だとか、例えば最近の情報公開条例だとか、そういう一連の不服の申立てとか、クレームをつけたりする制度が種々ありますが、それらの制度では対象外とされた場合にこの審決の申請というので、最後のとりでとして市町村の場合だったら知事に、都道府県の場合だったら総務大臣に対して文句が言えて、それから訴訟に持ち込めるという制度なんです。非常に私は珍しい制度だと思っているんですけれども、いかんせん全く使われていないだろうと思うんです。
 だれもほとんど知らなくなっていまして、これはリバイブする必要があるんじゃないかと思いますので、一回ここで紹介を事務局の方からしてください。それから、もしどこかでこれを使っているところがあったら教えてください。

○林小委員長 ありがとうございます。
 私の方から1点だけお願いをしたいのが、先ほど金子委員からの諸外国で監査制度がうまくいっているのかどうかということなのですが、今日は事例で資料6で出していただいて、例えば先ほど政所委員からもありましたように、監査の中身、内容としてこういう観点から監査が行われたという結果ですね。それをどのように評価して、あるいはそれを自治体がどのように受け止めたのかというところの事例で結構ですので、出していただければと思っております。
 それでは、今日の住民自治、議会制度、監査制度、これはすべて非常に重要なテーマでございます。今後、制度の在り方と、そしてそれは自治体単独で努力すればできるではないか、しかしながら、それがなかなかできていないというところに対して地方制度調査会はどのように関わっていくべきなのだろうかということも含めて、少し論点を整理しながら今後諸制度について深堀りを進めてまいりたいと思いますが、それは年明け以降ということになろうかと思います。
 それでは、引き続きまして今後の日程等につきまして事務局よりお願いをいたします。

○自治政策課長 次回の第6回専門小委員会の日程でございますが、本日の資料に御案内を入れておりますとおり1月29日火曜日、同じ時間帯の10時から12時まで、この場所で行いますのでよろしくお願いいたします。
 また、その次の第7回の専門小委員会でございますが、今のところ2月28日木曜日を予定しております。詳細につきましては、決まり次第御連絡させていただきますのでよろしくお願いいたします。以上です。

○林小委員長 それでは、1月29日、2月28日ということでお願いをいたします。その後の日程につきましては、また事務局の方から改めて御案内をさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いをいたします。
 それでは、これをもちまして本日の専門小委員会を閉会いたします。長時間どうもありがとうございました。


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