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29次地方制度調査会第7回専門小委員会 次第



平成20年2月28日(木) 10時00分〜12時00分
三田共用会議所 第4特別会議室(4階)


1   開会


2   議題

  監査機能の充実・強化のための方策


3   閉会

配付資料(PDF)
 
資料1   監査機能の充実・強化を図るための具体的な方策に係る論点
資料2 諸外国における監査制度について(追加提出資料)





○林小委員長 まだお見えでない方もいらっしゃいますけれども、時間がまいりましたので、第7回の「専門小委員会」を始めさせていただきたいと思います。
 本日の議題は、前回に引き続きまして「監査機能の充実・強化のための方策」となっております。
 まずは事務局から説明をいただき、その後に意見交換を行いたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。

○行政課長 行政課長の幸田でございます。
 本日、衆議院で総務委員会が開かれておりまして、自治行政局長ほか2局長が出席しております。自治行政局長は後で遅れて出席させていただきますけれども、おわびを申し上げたいと思います。
 それでは、今日の資料について説明させていただきたいと思います。
 「監査機能の充実・強化を図るための具体的な方策に係る論点」でございます。本日は卓上にこれまで配付させていただいた資料を置かせていただいておりますので、制度あるいは運用等について適宜参照していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、資料1の1ページをお開きいただきたいと思います。
 「第1 監査委員制度」でございます。
 「1 選任方法」。
 「現行制度」では、監査委員は、議会の同意を得た上で、長が選任となっております。
 監査委員につきまして、独立性を強化すべきではないか、あるいは現在長が選任しておるということでございますが、長が任命すると、独立性が十分担保できないのではないかという課題がございます。
 「論点」といたしましては、長が仮に任命をしないという制度に変更するとした場合には、どのような選任方法が考えられるのか、また監査委員としてふさわしい者を選任し得る選任方法をどのように考えたらいいのかということが論点であろうかと思います。
 「対応策の検討」といたしましては、地制調で委員の方々からもこれまで意見が出されたところでございますが、変更するとすれば、監査委員を議会において選挙する方法があるのではないか、 監査委員を公選により住民が選出する方法もあるのではないか、そういった意見が出されたところでございます。
 2ページをお開きいただきたいと思います。
 「2 委員の構成」についてでございます。
 「現行制度」では、監査委員は、人格が高潔で、地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に監視優れた識見を有する者・議員のうちから選任となっております。
 当該地方公共団体の常勤職員であった者、いわゆるOB制限でございますが、現在1人以内ということで順次制限が強化されてきたところでございます。
 議員のうちから選任される者、いわゆる議選委員でございますが、2人あるいは1人となっております。
 「課題」でございますが、監査委員の監査の専門性を高めていくべきではないか、OB委員につきましては、身内に甘いという批判があるのではないか、議選委員につきましては、短期で交代する例が多い、また当該団体の内部にある者ということ、その監査が形式的になっているのではないかという意見があるということでございます。
 「論点」といたしまして、地方公共団体の監査に求められる専門的な知見をどのように考えていったらいいのか、監査委員と外部監査人との関係・役割分担をどのように考えるのか。
 いわゆるOB委員の監査委員でございますが、当該地方公共団体の事務に精通していることについて、どう考えるのか。
 株式会社の監査役の制度でございますが、半数以上は、社外取締役としており、当該株式会社の役員等であった者が監査委員となることは否定していないこととの関係をどう考えるか。
 議会の議選委員でございますけれども、当該地方公共団体の行政全般にわたって、幅広い見地から執行機関をチェックするという議会自身の機能と議選委員として監査委員の監視機能の役割分担について、どのように考えるのかということでございます。
 「対応策の検討」といたしましては、弁護士・公認会計士・税理士といった資格を有する者を監査委員に積極的に登用することを促進することが適当かどうかということでございます。こういった資格を有する者が監査委員になるということは、順次増えてきております。
 選任方法を変更する場合に、議選委員をどう考えるのか、先ほど議会で選出する方法がございましたけれども、仮にそういったことに変更する場合、議選委員をどう考えるのかということでございます。
 選任方法を同じように変更した場合に、OB委員というのはどのように考えたらいいのかということが対応策としての検討項目でございます。
 3ページをお開きいただきたいと思います。
 「3 監査委員の権限・責任等」でございます。権限があって、それに伴って責任があるということで、1つの項目として整理させていただいております。2ページにわたって見にくいかと思いますが、順次説明させていただきます。
 「現行制度」では、監査委員は、監査のため必要があると認めるときは、関係人の出頭を求め、若しくは関係人について調査し、若しくは関係人に対し帳簿、書類その他の記録の提出を求め、又は学識経験を有する者等から意見聴取が可能とされております。こういった権限を行使して、監査を行うこととなっております。
 長等が監査結果に基づき、または監査結果を参考として措置を講じたときは、その措置状況を監査委員へ通知、監査委員が公表となっております。現行法では、措置を講じない場合にはその義務はないとされております。
 監査結果の報告やそれに添えて提出できる意見については、監査委員の合議によって決定するとされております。平成3年の改正によりまして、例月出納検査等一部の例外を除きまして、原則合議とされております。合議というのは、決定には全監査委員の意見が一致することが必要とされております。
 監査委員に職務上の義務違反があると認めたときには、長は議会の同意を得て監査委員を罷免することが可能とされております。
 住民監査請求・住民訴訟の対象についてでございますが、前回、委員から御質問がございましたけれども、違法または不当な財務会計上の行為及び一定の怠る事実が対象とされております。監査行為自体は、対象とはなっていないということでございます。
 「課題」でございます。
 監査委員の監査の実効性が低いのではないか、長等が監査結果の報告を踏まえて措置を講じない場合にも、説明責任を果たさせるべきではないか、監査結果の報告等の決定は、原則合議によるとされておりますけれども、監査委員の意見が出されにくくなっているのではないかということでございます。
 監査委員の監査の実効性を高めるため、監査委員が十分な監査を行わなかった場合、何らかの責任を問う仕組みが考えられないかという御意見が出されておりました。
 4ページをお開きいただきたいと思います。
 「論点」でございます。
 議会の百条調査権については、あらかじめ一般的・包括的に常任委員会等に対して委任することを認めず、個別案件の都度、議会の議決を必要として行使するとされておりますが、同様の権限を監査委員に認めることが適当かどうか、監査結果の報告の決定等を合議によることとした趣旨は、監査の慎重な実施を期するとともに、監査の社会的信頼を確保するという趣旨で原則合議とされたわけでございますが、これをどのように考えるのか、合議の対象を見直すとした場合に、住民監査請求の監査結果、職員の損害賠償命令に係る事実の有無・賠償額の決定についてはどのように考えたらいいのかということでございます。
 次は責任関係でございます。
 株式会社の監査役は経営に参画するものということで、任務懈怠についての損害賠償等の責任が課せられておりますが、執行機関の意思決定に関与しない監査委員に同様の責任を課すことができるのかどうか、直接の財務会計上の違法・不当な行為を行った者については、損害賠償責任が問われることになりますが、それに加えて監査委員に責任を課すことが考えられるのかどうか、監査委員の現在の報酬は必ずしも高いものではないわけですけれども、損害賠償責任を課すとした場合に、責任と報酬とのバランスがとれるのかどうかということがございます。
 「対応策の検討」でございます。
 監査結果の報告等に関する措置状況についての何らの措置を講じなかった場合でも、その旨を監査委員へ理由を添えて通知するとすべきではないか。説明責任を果たすこととすべきではないかということでございます。
 一定の場合を除いて、監査結果の報告やこれに添えて提出できる意見の決定等について、合議を要しないこととしたらどうかということでございます。
 監査委員の監査についての責任の問題ですが、いかなる責任の取り方が考えられるだろうかということについて、対応策の検討項目といたしております。
 5ページをお開きいただきたいと思います。
 「4 事務局体制」についてでございます。
 「現行制度」では、都道府県の監査委員には事務局を置くとなっております。
 市町村の監査委員につきましては、条例の定めるところに置くことができるという制度でございます。
 「課題」としまして、監査委員事務局の独立性・専門性の強化を図っていく必要があるのではないか、特に小規模団体について、その事務局体制の強化を図る方策を検討すべきではないか、監査委員事務局職員のモチベーションを高めるための方策が必要ではないかということでございます。
 「論点」としまして、独立性の強化のために、仮に監査委員事務局と他の執行機関間の人事異動を制限するといたしますと、優秀な人材が集めにくくなるのではないか、特に小規模団体において、人事の硬直化が進むのではないか、独立性の強化のため、監査委員事務局の外部性を高める方策は考えられないか。長部局と監査部局の緊張関係を高める必要があるのではないかということでございます。
 現行制度上も事務局の体制強化は地方公共団体自らの判断で対応可能ですが、例えば小規模市町村で事務局の共同設置等も可能でございますが、制度上一定の義務付けまで行う必要があるかどうかということでございます。
 「対応策の検討」を3つ挙げております。
 監査委員事務局職員への外部登用を促進する方策が考えられないか、代表監査委員の事務局職員の任免権、代表監査委員が任免権を持っているわけでございますが、この任免権を実質的に行使するための方策が考えられないか、監査委員事務局の外部性を高める観点から、共同設置を促進する方策をどのように考えるのかということでございます。
 6ページをお開きいただきたいと思います。
 「第2 外部監査制度」でございます。
 「1 包括外部監査の監査方法」でございます。
 「現行制度」では、包括外部監査人は、地方公共団体の財務に関する事務の執行、経営に係る事業の管理が最少の経費で最大の効果を上げているか、常にその組織及び運営の合理化に努めているかといったことを達成するため必要と認められる特定の事件について監査を実施することとなっております。
 「課題」といたしまして、包括外部監査人の監査は実効性のあるものとなっているのかどうか。
 現行制度については、今、御説明しましたように、包括外部監査人がそのイニシアティブで監査を行う特定の事件を選定するとされているわけでございます。特定の事件の選定というのが、当該地方公共団体にとって適切なものとなっているかどうかということでございます。
 「論点」としまして、包括外部監査は、監査の独立性・専門性を強化する観点から、監査対象の選定について包括外部監査人のイニシアティブに委ねる、そういう考え方で今の制度ができているわけでございますが、この考え方は、現在でも妥当するのではないか、複雑多岐にわたる地方公共団体の事務を監査委員と外部監査人でダブルチェックを行う必要性は引き続きあるのではないかということでございます。
 株式会社の会計監査人は、貸借対照表・損益計算書等の財務諸表を監査するとされていますけれども、地方公共団体においても、一定の監査については包括外部監査人が行うことが考えられないか、包括外部監査として一定の監査を義務付けたらどうかということでございますが、一定の監査を義務付けた場合に、業務が膨大になり、それに伴って費用も高額にならないかということでございます。
 「対応策の検討」としましては、現在の包括外部監査人のイニシアティブによる監査という制度の大枠は維持しつつ、監査に加えて必要監査事項として予算・決算の財務書類の監査は最低限行うことを義務付けるとする方策はどうだろうかということでございます。
 7ページをお開きいただきたいと思います。
 「2 包括外部監査の義務付けの対象団体等」でございます。
 包括外部監査につきましては、平成9年に導入されたときに、都道府県・指定都市・中核市に義務付けがされております。この当時は、特例市の制度がございませんでしたので、中核市まで義務付けとなったところでございます。
 個別外部監査については、条例により任意に導入するという制度になっております。
 「課題」といたしまして、包括外部監査の義務付け対象団体の範囲を見直す必要があるのではないか、外部監査人の専門性の確保や包括外部監査を行う団体の拡大を踏まえると、外部監査についての情報交換等を行う仕組みが必要ではないかということでございます。
 「論点」としまして、現行制度上、地方公共団体の監査は監査委員が担うことを基本としつつ、その監査機能の独立性と専門性を強化する観点から外部監査を行うとされていることといたしますと、一定の規模以上の団体に対して包括外部監査を義務付けることは必要なのではないか、処理する事務が多いと言えることなどから、都道府県とその事務の一部を処理することとされている指定都市・中核市について包括外部監査を義務付けているわけでございますが、事務量が少ない小規模団体にまで包括外部監査を義務付けることが適当かどうかということでございます。
 小規模団体にまで包括外部監査を義務付けるとした場合に、人材の確保の困難ではないか、また、過大な財政負担を強いることになるのではないかということでございます。
 義務付け対象団体を拡大する場合に、外部監査の実効性を確保するため、情報共有を図る等の仕組みが必要ではないかということでございます。
 「対応策の検討」としましては、包括外部監査の義務付け対象団体を特例市まで拡大するかどうかということ、外部監査人の専門性を向上するための機会を増加させるべきではないかということでございます。
 以上が、具体的な監査制度の見直しの方策についての論点でございます。
 資料2を見ていただきたいと思います。前回、委員の方からの追加資料提出の要請等がありましたが、これを踏まえて、若干整理したものでございます。簡単に説明させていただきます。
 1ページは、前々回出した資料で「各国の地方自治体の内部監査制度の比較」でございます。前回、各国の地方自治体について、住民からの監査の要求ができる制度があるかどうかという御質問がございました。
 2ページをお開きいただきたいと思います。イギリス、ドイツ、スウェーデンの内部監査制度では、住民からの監査の要求はできないとされておりますが、韓国の制度では住民の一定の署名数によってできるという制度になっております。
 3ページをお開きいただきたいと思います。諸外国で監査についての成果が上がっている事例があれば出してほしいということでございました。このような資料を事務局で探したところ、韓国、スウェーデンについてこういったものがございましたので、資料として付けさせていただきました。説明は省略させていただきます。
 4ページは、各国の自治体の外部監査制度についてでございます。イギリスのオーディットコミッションについてのお話もございました。
 5ページをお開きいただきたいと思います。これは前々回も若干説明をさせていただきましたけれども、イギリスのオーディットコミッションは国務大臣が任命をした組織で、1982年に設立されて、事務局の職員数は1,277名、下部機関として地区の監査委員も持っております。定期的に開催して、ほぼ月1回行っているということでございます。
 6ページをお開きいただきたいと思います。各国の会計検査院制度の比較でございます。
 前回、アメリカのGAOについて委員から発言もございました。「位置づけ」のところを見ていただきますと、アメリカのGAOは議会の附属機関とされているものでございます。
 7ページをお開きいただきたいと思います。GAOの活動としましては、年間1,400件程度のレポート、議会への報告書などを作成しております。
 勧告を含む報告書に対して、行政府では改善措置を説明する文章を上院政府問題委員会、下院の政府運営委員会に60日以内に提出しなければならないとされております。
 4番目の○を見ていただきますと、1998年のGAOの勧告に対して、2002年の時点で、勧告事項の約8割が改善という形で対処されるということでございます。
 8ページをお開きいただきたいと思います。GAOの評価についてでございますが、GAOはアメリカの立法補佐機関の中でも独自の存在と位置付けられて、政治的な中立性、独立性が強く求められているものでございます。
 1990年代前半、GAOの活動について議会の多数である民主党よりだという批判が高まったところでございます。議会の附属機関でございますので、議会の多数党の意向を強く反映して活動している。そういう批判でございます。
 その後、やはり議会の多数派が主導してGAOの活動が行われている。そういう見方もございます。
 そういうことで、いわゆる統一政府といいますか、ブッシュ政権のときに共和党が議会の多数を占め、しかも、大統領も共和党のときにはGAOの活動が停滞した、そして、昨年また民主党が多数になりますと、イラク戦争が効率的であったかどうかといったようなことを取り上げて、GAOの調査が行われたといったことも事実としてあったと報告されております。
 ごく簡単でございますが、追加提出資料の紹介をさせていただきました。よろしくお願いします。

○林小委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、意見交換を行いたいと思いますが、少し区切りながら意見交換をさせていただければと思っております。
 まず第1ラウンドは「第1 監査委員制度」の「2 委員の構成」までにします。要するに、いかにして独立性と専門性を確保するかというところで、2ページまでについて御議論をいただきたいと思います。
 なお、本日、可能なところは一定の方向性を見出せればと思っておりますので、そのように御承知おきいただきながら、御議論をいただければと思います。
 それでは、どなたからでも結構ですので、御意見、御質問等がございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。

○小林委員 前回、私が4点ぐらいに整理したかと思うんですが、そのうち独立性と専門性という話から、前回挙げたお話ですと、経済学との関連から言えば、執行部門からの監査に対する圧力、目に見えない形での圧力なども含めて結託ととらえてよろしいかと思いますが、そういうことを防ぐ点で、きちんと確保されなければならない。
 あれから少し地方制度調査会の過去の資料などをいろいろ見返して、流れはどうなっていたかというのを確認しながら少し考えたんですが、やはり議会から切り離すことをもう少し進める必要があるのではないか。前回、西尾先生がその辺を強くお話されていたかと思うんですけれども、ここにもありますが、議会はもともと強い調査権と検査権を持っていて、もともとあるものに加えて議選の監査委員が入っている仕組みになっているかと思うんですが、これを外してもいいのではないかという考えを私は持っております。
 そのほか、ここに住民公選というお話があると思うんですが、これは現状の仕組みでは難しいのではないか。理由は簡単で、住民がそもそも監査委員をよく知らない。具体的に監査委員の活動はどういう仕組みで、どうやっているのか。すごく大まかでも把握しているかというと、多分ほとんどの住民はよく知らない。一部の詳しい方はよく知っているかと思うんですが、広報体制が余りきっちり整っていないというのは、例えば市の広報を通じて、監査活動をこういうふうにやっていますというのが、現行でやっている自治体がなかなか見受けられないということを考えると、難しいのではないか。だから、住民が監査委員を知るということとセットになって公選制を入れるのであるならば、入れないといけないような気がします。
 そこから先の議会の選挙というのは、私はよく考えがまとまらなかったのでコメントは控えます。
 もう一つの論点である専門性ですが、前回、片山先生がおっしゃっていた不正だと認識していなかったというお話と多分関連性が出てくるかと思うんですが、1つの方策としては、統一的な監査基準で、今でも都市監査基準準則だとか市町村監査基準というものがあるかと思います。この辺は詳しくチェックはしていないんですが、どの程度統一的になっているのか。
 それに加えて、株式会社では会計士監査の不正な事例を集めて公表するというのは、今朝の日経に載っていて電車の中で見てきたんですけれども、こういったことはやってはいけないという不正な事例を広域的に国でつくるのが一番いいのかもしれませんが、集めて、これは不正なんだということを監査委員あるいは監査事務局が共有する。執行部門の職員についても、こういうことはやってはいけないんだということを事例を集めて周知させるというところも含めて、専門性を高める。そういうところを入れることによって、徐々に専門性が高まっていくのでないかという考えを持っております。
 前回からの議論も踏まえて、今の資料から少しお話すると以上です。

○林小委員長 ありがとうございます。
 選任方法を改めれば独立性が評価されるというわけではないんだろうと思いますけれども、今の御発言でいきますと、議選委員はやめた方がいいのではないかということと、公選で住民が選出するという方法はなかなか難しいのではないか。
 それから、不正をなくすためにも、さまざまな情報あるいは基準を提示することが必要なのではないかというお話でございました。
 選任方法で議会が選挙するかどうかについては、まだ考えがまとまっていないということだったと思いますが、今の小林委員の御発言に対してでも結構ですし、何か御意見がございましたら、お願いしたいと思います。
 西尾委員、どうぞ。

○西尾委員 私は、結論的には監査委員を議会において選挙する方法に改めてはどうかと思っています。その趣旨は、執行機関からの独立性を高めるためでございます。ただ、議会で選出をしますけれども、監査委員は議会に所属する機関ではなくて、議会からも独立した機関、選挙管理委員会等々の行政委員会と並ぶような、長からも、執行機関からも、議会からも独立した機関にするのがいいのではないかと考えております。
 そうなりました場合に、従来の議選の監査委員、議会の議員自身が監査委員になり得るかどうかという問題ですけれども、私は議会から独立した監査委員にするのではあれば、議選の監査委員は禁止したらどうか。議会のメンバーが自ら監査委員を兼任するのはやめさせるようにすべきではないかと思います。その際は、かつての議員も外すべきではないか。どうしてもそういう人を前官礼遇するように使いかねないところがありますので、それも禁じるべきではないかと思っております。
 そして、資格者の問題ですけれども、直接公選で監査委員を選ぶのなら、そもそも被選挙人について資格を特定することはできないわけです。どんな市民でも立候補して、当選すればなり得るというのが直接公選の基本的な制度ですから、もしそうならば、およそ資格などを問う余地はないわけですけれども、直接公選の道をとらないで議会から選任する場合には、一応、議会でどういう人から選ぶべきだという基準があった方がいいのではないかと思います。
 その際、専門家ばかりが集まることがいいことだとは私には思えないので、弁護士、公認会計士、税理士といったような専門家と良識ある市民から構成する、選出する選び方ではないのか。複数である場合には、必ず一部は専門家から選ぶべきであるし、一方はそういうことにこだわらない良識ある市民から選ぶことにすべきなのではないかと思っております。
 一番の難問は、この際、職員のOBを外すのかどうかとか、制限するのかどうかという問題です。従来は長の方が候補者を選任していましたので、それとの関係でOB職員の制限が設けられてきたわけですが、議会が選出するということであれば、かつての職員で一番よく知っている人間が1人ぐらい入るのがいいのでないかということも十分あり得ることなので、果たして制限する方がいいかどうかということは、迷っております。
 以上です。

○林小委員長 ありがとうございます。
 おおむね西尾先生も議会が選挙する。ただし、議会からは独立したものとしなければならない。そのためにも議選の委員は廃止をすべきだということ。
 それから、委員の範囲ですけれども、専門家とバランスを取るためにも良識ある市民を加えるということ。
 OBに関しましては、選出の仕方が変われば、従来とは違って独立性が保てるので、そういうことも考えていいのではないかということで、OBを禁止することはいかがなものかと私はとらえましたけれども、ほかの委員の先生方はいかがでしょうか。どうぞ。

○江藤委員 結論からいいますと、私はやはり監査委員は議会で選任すべきだろうと思っています。今までの議論もそうなんですけれども、長の選任だから身内に甘くなるということで、独立性をどうやって担保するか、保証するかという議論がずっと続いてきたのではないか。その意味では、議会の選任というところにいくんだろうと思います。
 そこで中立性をどういうふうに保証していくかのところで、本来は議会で監査の機能を持てばいいんでしょうけれども、それがなかなか難しい。イメージとして、議会の強い指揮監督下に置いていくんだという議論もあったと思うんですけれども、それだと西尾委員が言われるように、議会を対象にするときはどうするんだ。そこのところはチェックが甘くなるのではないか。従来の執行機関に甘いところを今度は議会でも同じことをやるのではないか。そういう議論がある中で、今、西尾委員から中立性を保証するために選挙管理委員会のようなものを想定した方がいいのでないかという提案がありました。なるほどと思います。
 ただ、そういう中立性を保証しているものが、実際上、執行機関をどのくらい強く監査できるかどうか。今の監査委員の状況でも、確かに議選の委員というのは任期の交代ですぐやめてしまうなどの問題があると思うんですけれども、議会の議員が入っていることによってチェックの効き目もあると思っています。言わんとするのは、私などのイメージは、強い執行機関に対抗して資料を出させて監査するということを、今の日本の地方自治体の中で、中立性を保証していく制度で実際上できるのだろうか。それが保証できれば、私もそちらの方に賛成します。
 もう少し強くいいますと、公選の議員と一緒になって執行機関をチェックしていく、スクラムを組んでいくんだという方が、私は現実的ではないかと思っています。勿論、中立性を保証できて、監査機能を強化できるという保証があれば、そちらの方でもいいんですけれども、現状ではなかなか難しいということです。
 ただ、議会も対象に挙がっている、政務調査費などは、今、どんどん住民監査請求が出されている。これには応えていかなければいけないとすると、議員自身も襟を正すというんですか、自分のことも律せないような者が何で監査ができるんだというメールマガジンが流れてきましたが、まったくその通りだと思います。本当に議員自身がちゃんと自分たちを律せられるようなことをやりながら、件数を減らす。ただ、議会にも監査がかかるので、どうやって突破していくかという議論もやはり考えていかなければいけない。
 そこで、前回、斎藤委員が外部監査契約を結ぶときに、現行では、外部監査契約を結ぶ際に議会で議決をしなければいけないわけですが、長あるいは住民からの請求については、議会の議決を得なくても外部監査契約が結べるようなことも考えていくことも必要だとおっしゃいました。そうしたことも考えた方がよいと思います。ただ、1人でも住民監査請求ができるという、この辺がまだ煮詰っていないんですけれども、そういうことも考えてよいかと思います。
 結論としては、今、お話をしましたように、中立性を保証しながら監査が強化できるならそれでもいいんでしょうけれども、現状からすると議会の指揮監督の下でいく方が現実的なのではないかと思います。
 それから、基準や専門性については、西尾委員が言われたことに賛同します。
 ただ、OB職員については、議会が選任するのであれば、私は制限を取っ払ってもいいのではないかと思います。職員の人たちでもやる気がある、議会と一緒になって頑張っていこうという職員もいますから、そういう人たちを登用することは必要なのではないかと思います。

○林小委員長 今の御意見で、要するに、中立性ということは非常に重要なキーワードだと思います。それが確実にできるのであれば、その辺りは具体的に制度化するときに議会の下に置くことになるのか、あるいは議会とは独立した組織として議会と監査委員とでダブルチェックの形になるのか、その辺りは現実に運用していく中で、どのような組織図にすればいいという話なんでしょうか。
 西尾先生、独立した機関ということになりますと、今、江藤委員が言われたことと外形的にどのような違いを持たせるところが大きなポイントになるのか。私は専門外なものですから、教えていただければと思います。

○大山委員 もしかしたら御参考になるかもしれませんけれども、イギリスの会計検査院の資料は前にも出していただいているんですが、ここだとはっきり書いてないんですけれども、イギリスのNAOというのは、委員長は議会のオフィサーなんです。だけれども、非常に独立性が強くて、どちらに置いてあるかと言えば立法府の方なんだけれども、立法府の指揮監督に従っているわけではなくて、自分の判断で調査をしていく。だから、議会も調査の対象になり得るという制度づくりもあり得るのではないかと思います。
 それから、議会との関係というのは、実は附属機関であるかそうではないかとか、まずどういう調査をするか、だれが発議するかということも勿論ありますけれども、調査結果をどうやって議会の審議とうまくかみ合わせていくかということの方が、むしろ、実際はもっと重要です。不正の監査というのはまた別ですけれども、次の政策決定につなげていくために、どういうふうに議会と協力し合っていくかという体制を考える必要もあるのではないかと考えています。

○林小委員長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○小幡委員 まず選任方法の意見としては、議会で選挙することに賛成です。やはり技術的、専門的な性格がございますので、公選というのはなかなか難しいという感じがしております。
 その上で、先ほどから議論になっておりますけれども、議会が選任すると決めた場合に、更に委員についてどういう縛りをかけていくかということですが、まず議選委員については、御意見があるところだとは思います。私も監査委員などの大会で講演したり、あるいは話を聞いたりしたことがございますが、すべての自治体と言うわけではないんですけれども、議選の方が必ずしも監査委員合議なものですから、なかなか合意していただけなくて結果が出せないとか、多少そういう弊害もあるというのは聞いておりますし、やはり議会が選任するという形を明確にとった場合には、この議選委員までは要らないのではないかという感触を持っております。
 更にOBをどうするかというのは非常に難しいところで、議会が決めるわけなので、OBではあるけれども精通している人がよいんだと議会が決めれば、それはそれでよいというのが1つの考え方かと思います。本来の趣旨はそうなのですが、それで本当によいか、大丈夫かという不安感が若干あって、余りそれがすべてになってはいけない。つまり、今の人にどういう縛りをかけるか、全く撤廃してよいかというのは、今、若干迷っております。
 もう一つ、弁護士、公認会計士、税理士といった資格ですが、本来はこういう専門家を1人ぐらいは置いた方がよいと思います。ただ、それを必ずという形で、今、縛りをかけてよいか。非常に小さな自治体など2人とかの監査委員のところで、必ずこれを1人置けという縛りを現状でかけて回るかという心配があります。ただ、方向としては、こういう専門家が1人はいた方がよいとは思っておりますが、直ちにそれを法律上の縛りにできるかというところは、今の段階では多少不安だというところがございます。

○林小委員長 そうですね。縛りをかけるというよりは、積極的にそういう人も登用することだろうと思います。
 議会からの独立性の辺りは、少し議論があろうかと思いますけれども、議会で選挙して選任することに関しては、いかがでしょうか。どうぞ。

○金子委員 監査の独立性を高める、専門性を高めるというお話なんですけれども、強い執行部とそれを監視する機能を持つ議会に対抗する第三の権力みたいな形で監査委員を位置づけるということぐらい結構ドラスティックなことを考えないといけないと思います。前回の委員会でも御発言のあった監査委員の存在自身が全然重く見られていなくて、みんな知らなくてという状況は、なかなか変わらないと思います。
 だから、そういう意識とか文化を変えるためにも、私は監査委員を第三の権力みたいな形に位置づけて、選任については、いきなり公選というのも実施するのはなかなか難しいとは思うのですけれども、議会で監査委員を選挙する場合にあっても住民の意思が反映されるというか、住民が自ら参加して決めたみたいなことがないと、公選の長をいただく強い執行部、住民から公選された議員によって構成される議会との関係の中で監査委員が困難な状況に直面した場合には、私たちは住民から選挙された身なんだから、お前の言うことなんか何なんだという状況もあり得るんです。そういう意味では、民主的正統性を監査委員の選任について反映するような制度を考えた方が、実効性が上がってくる感じがします。
 今までのお話では、従来の制度をちょっといじってやっても、実際の現状を変えることにはなっていかないのではないか。先ほど、監査については余り住民は何もやっていないというようなお話もあったんですけれども、一部、市民オンブズマンの運動とか、情報公開請求をして、政務調査費がこうなっているとか、会議費がこの辺に使われているということを明らかにしていく運動もあるわけですから、全くそういう動きがないわけではない。それなりに市民の意識も高まってきている。これからますます税収が少なくなって、財政が厳しくなると、少ない資源を有効に活用しなければいけない。それによって住民の福祉を向上させていかなければいけないということになってくると、市民というのは切実な利害関係者になってくると思います。
 前回のお話では、監査委員も執行機関と議員のインナーサークルの中に包含されていて、若干地位が低い。監査が無視されがちなのは、監査委員が低く位置づけられていることが1つの要因ではないかと思うので、その辺りの現状を変えていくためには、公選的な要素を入れた方が実効性が上がる制度になるのではないかという感じがいたします。

○林小委員長 おっしゃっておられることはよくわかります。ただ、制度化することになってきますと、非常に難しい部分がある。
 それから、西尾委員がおっしゃったように、監査委員に良識ある市民に参画していただく。そういう運用の中で担保することが可能な部分もある。勿論、市民の意識が非常に重要なんですけれども、今、独立性や専門性を強化しなければならないという問題が喫緊の課題として出ておりますので、とりあえず制度化できるものを、あるいは制度化していかなければならないものについて、ここで少しまとめていけないだろうかと思っておりますので、御指摘自体は非常に重要だとは思います。

○片山副会長 私はこの種の制度を考える場合に、ワンパターンにする必要はないと思います。国が1,800の自治体を全部ワンパターンで律しようとすると、今までのような議論で、多分収拾がつかないだろうと思います。
 今、我が国の自治体というのは非常に多様化していまして、都道府県と市町村という類型もありますけれども、都道府県の中でも東京都のようなところと人口60万を割る県もあるわけです。市町村になると、横浜、大阪みたいなところから、1,000人を割る自治体もあるわけで、そういうところに1つのパターンを押しつけようとしても、所詮無理なんです。力量が全然違いますし、自治体を取り巻く環境も全く違います。
 一方の議会も、総じて、はっきり言えばレベルは低いけれども、いいところも最近ちょくちょく出てきているのは御承知のとおりだと思います。だけれども、議会も千差万別なんです。だから、監査委員制度に限らず、そもそも1つのパターンを制度化しようというのは、私は無理だと思います。幾つかの選択肢を提示して、その中から選び取るという仕組みが多様性を認める地方分権時代にはふさわしいのではないかと思います。是非そういう議論にしていったらどうかと思います。
 例えば現在の制度でも、全く否定すべきてものではないと思います。やはりそれなりの有意性というか、利点はあるわけです。ただ、現在の制度にはマイナス面も多くて、そこで独立性などの話も出てきているわけです。そうすると、現行の制度を改良するんだったら、どういうタイプになるだろうかというのは、1つの選択肢になり得るだろうと思います。
 もう一つは、思い切って議会に拠点を移してしまおう。私は理念的にはその方が正しいと思います。だから、議会中心主義というのも1つの選択肢になると思います。ただ、現実には議会が住民からほとんど信頼されていないところが多いですから、議会が選ぶんです、議会が中心になるんですといったときに、理念としてはいいんですけれども、住民の皆さんから見たら、あのおっさんたちがまた決めるのかという話になって、改悪だという印象になる自治体が多分多いと思います。だから、全部を議会依拠型にするというのは、余り評価されないのではないかという気がします。だから、選択肢だと思います。
 それから、先ほど金子さんが言われた公選型というのも私は理念としては必要だと思います。最後は納税者、タックスペイヤーがきちっとチェックするんだ。いい加減な人たちに任せたくないというのはそのとおりだと思います。その面も残しておくとすれば、公選タイプというものも選び取れるようにしておいたらいいんだろうと思います。非常に難しい問題は勿論ありますけれども、あえて選び取るという自治体があれば、それはそれでもいいと思います。そういう幾つかのタイプをそれぞれ商品化して、こういうタイプを選べば委員の構成やどういう委員を選ぶかというのはこんなふうになりますという1つのキットにして、それを何種類か提示して、法制度化しておいたらどうかと思います。
 しかも、それぞれのタイプの中で、自治体において改良が可能になるような、全部国が決めてしまうのではなくて、1つのタイプを選んだ中でも更にそれを改良していけるような柔軟性をそれぞれの選択肢の中にビルトインしておくことが重要なのではないかと思います。
 それをどこでどういう形式で決めるかというと、最近、自治基本条例が随分出てきていますから、自治基本条例がまさにこういうことを決める場であっていいと思います。もっと自治体レベルでも立憲主義といいますか、自治体の構成や権能などを基本法で選び取る。それが執行機関や議会を制約する。そういう意味での立憲主義は自治体レベルにもあっていいと思います。
 今、自治基本条例というのは、数例を除いて、ほとんどはやり病みたいな意味のないものが出てきていますけれども、こういう選び取るものを自治基本条例でやることになったら、自治基本条例は相当意味を持つことになると思います。
 これは監査委員制度に限りませんけれども、是非この際、何でもかんでも地方制度調査会でワンパターンを決めて、国法で決めて、わけのわからない自治体もみんな右へならえをさせられて、右往左往するという愚はもうやめたらいいと思います。自分で主体的に考えて選び取る。少なくとも選び取る作業までは自治体がやることにした方がいいと思います。
 一例を挙げますと、出納長をやめましたね。ほとんどが形骸化して冠婚葬祭係みたいになっていましたし、処遇ポストになっていましたから、あれはいいと思います。だけれども、中にはちゃんとやっているところ、やろうとしたところもあったんです。監査委員とも議会とも違う内部で財務の自己チェックをやっていこうということで、それなりにしっかりした運用をやっていたところもあるんです。そういうところも出納長がなくなったから、経過期間が終わったら廃止してしまうんです。それはもったいないんです。47分の1だからしようがないと思ったりしましたけれども、右から左に全部変えてしまうという今までの中央集権的な自治制度の在り方は、やめた方がいいというのが私の考え方であります。

○林小委員長 ありがとうございます。
 いろんなパターンがあり、その中から自治体が選択する余地を残して、制度化するのは最低限のところということが、地方分権時代にはふさわしいのではないか。そういう御意見で、私もそのとおりだと思います。
 とはいいながら、やはり現実に自治体がどのように選択をするんだろうかといったことを考えたりすると、ある一定の方向性が必要になると思ったり、非常に悩ましい問題だと思いますけれども、いかがでしょうか。
 どうぞ。

○名和田委員 手短に意見を2つだけ申したいと思います。
 1つは、監査委員を議会において選挙する方法をとるかどうかという点については、ポイントは江藤先生がおっしゃったことだと思います。私も監査の分野は弱いんですけれども、当該委員会の委員長が入っている審議会というのを経験したことがありまして、議員が入っていることの重みというプラス面と、形式的であるというマイナス面というものを感じました。そのバランスを私の経験の範囲だけでいうと、やはり西尾先生が言われたように、議会において選挙し、かつ議員は選ばないというのが適切ではないかと感じております。それが1点目です。
 2点目は質問にも当たるかもしれないんですが、一応、意見として言わせていただきますと、細かい話になりますが、2ページの「対応策の検討」の論点に「○ 弁護士・公認会計士・税理士といった資格を有する者を監査委員に積極的に登用することを促進することが適当か」とございます。弁護士や公認会計士等々の専門職は、法律上の業務独占によって成り立っていると思います。弁護士しかしてはいけない業務などがあって成り立っていると思います。もし必ず弁護士、公認会計士などを列挙して、こういう専門職を持った者を委員として登用しなさいとするのであれば、それは業務独占という各資格の根幹に関わる制度的な手当になってしまうので、これは大ごとではないか。
 むしろ、そういうことをやろうとしている趣旨ではないと私は理解しまして、登用することを促進することが適当かどうか。これは法制的にどういうふうに表現するのかという細かいことを考えてしまったのですけれども、現行制度ではその他行政運用に関し、優れた識見を有する者という文言である。これは法律の文言だと思うんですが、これを若干変えて、専門性を有する者または市民的良識を持つ者とかこういう表現して、事実上、解釈で専門家と市民が9対1の割合ぐらいで入るような配慮をして、あとは片山先生がおっしゃったように、自治体の判断に任せる。こういう方向であれば、私は望ましいやり方ではないかという気がしております。
 以上です。

○林小委員長 ありがとうございます。
 どうぞ。

○西尾委員 大変いい議論になってきていると思うんですけれども、片山副会長が言われた制度の選択制は、基本的にはこれから広めていくべきなんだと思います。過去のここの答申でも、教育委員会制度は、現在必置規制になっているので、教育委員会を置くのもいいし、教育委員会を置かなくてもいいという選択制にすべきではないかという答申を出したわけです。農業委員会についても同様の答申を出しているわけで、自治体によって選べる制度にしていこうとう流れは、だんだん広がっているんだと思います。
 監査委員の制度を考える際にも、そういう選択肢を並べるというのは、1つの新しい方向ではないかと思います。ましてや、これから地方議会の改革問題でどういう議論になるのかわかりませんけれども、地方議会の在り方も幾つものパターンがあり得ることだと思います。お話に出た出納長・収入役の話とか、副知事、助役の話にしても、だんだん弾力化してきている流れになっているわけですから、監査委員制度を考える場合にも、1つのパターンを推奨するのではなくて複数のパターンを国法上は例示していて、自治体は選んでいくんだというのが1つの考え方だと思います。
 金子委員が言われた直接公選のメリットは消し難いので、市民から私がやるという人が出てくる仕組みはないかとおっしゃったわけですが、直接公選をとらないで議会が選出するという方法に組み合わせてやるとしたら、私がやりたいという立候補者を公募するんだと思います。公募して出てきた人の中に適任者がいると思われたら、議会で選ばれたらいいという制度もあると思います。私にやらせてくださいという人が出てくることは、非常にいいことであるわけで、その人が本当に適格者かどうかは議会が判断するというのも1つのやり方だと思っています。
 それから、江藤さんが言われた議会との関係なんですけれども、私は議会からも執行機関からも一応自立した中立的な第三者機関の方がいいのではないかと申し上げましたが、この場合、監査委員自身のイニシアティブで監査に入るというのが中心になりますけれども、よそから監査請求が出てくるものを、どこまで受け取って監査委員がやるのかという問題があるわけです。現行制度でも、長による請求というものがありますし、住民監査請求というものがありますし、議会から請求するものもあるわけです。議会からの請求をどう考えるかということなんだという気が私はしています。
 3ページ、4ページ目の議論に入ってしまうことになりますけれども、論点の冒頭に百条調査権との比較が出ていますが、要するに議会が議決をして、そのことを監査委員に監査してくれと議会が要求するという制度です。そのことを言っているんだろうと思うんですが、特定のことを指定して、このことについて監査をしてほしいと議会側が請求するという制度なのではないか。それを念頭に置いているのではないかと思うんですけれども、違っていたら訂正してください。
 そのときに、議会の議決で、勿論、監査請求をするものがあってもいいんですが、議決となれば、多数の賛成者がなければ議決できないわけです。そうすると、案外、監査請求というのは議会の少数派の要求が大事なのかもしれないです。執行機関と与党関係になってしまっているというのが多数派であれば、多数派は監査することを好まないんだと思います。本当に監査してほしいというのは、少数派から出る要求であることの方があり得るわけで、あえて少数派の監査請求を認めることを考えていくと、議会が監査委員を使って監査するという機能が生きていくのではないか。そこはもう少し検討する余地があるのではないかと思っています。
 以上です。

○林小委員長 ありがとうございます。
 どうぞ。

○篠崎委員 1点だけ、OB職員に関してどうかということなんですが、議員さんと職員の方々の関係がかなり強い現状があります。例えば議員さんが人事に関して裏で力を持っているとか、そういう中でOB職員を議会が選ぶというのは、その部分の危険性があるのではないかと思っています。私は原則としては多様な選択肢があればいいと思うんですけれども、OB職員を積極的に可と言う必要はないのではないかと思っております。

○林小委員長 ありがとうございます。
 いろいろ御意見をいただきました。やはり選出の仕方についても幾つか選択肢を提示して、そして、責任を持って自治体が選ぶという方向性を1つ考えていくべきではないかという御意見がございました。これは西尾委員もおっしゃったように、議会の在り方についてもそういう形になるんだろうと思いますので、この辺りはまた議論をさせていただきたいと思います。
 今日、一定の方向性を出すと申し上げましたけれども、やはりもっと議論しなければならない部分もありますので、とりあえず独立性・専門性については、ここで切らせていただきます。
 続きまして「3 監査委員の権限・責任等」に移りたいと思います。これも密接につながっておりますので、その辺りにつきまして御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。3ページ目、4ページ目の3でございます。
 どうぞ。

○斎藤委員 4ページの「対応策の検討」の1番目ですが、措置を講じなかった場合においても通知する。これは首長部局の説明責任になり、先ほどの議会によって監査委員を選出し、そして、監査結果に基づいて議会が長に対するチェック機能を高めるという1つのメリットからすると「対応策の検討」の1つ目は、積極的に考えるべきではないかと考えます。
 2番目の合議、先ほども委員の合議によって決定することになっているために、なかなか出ないことがあるという御意見がありましたが、そことの関係でも、単独でできるようにするのは、1つの方向性としてあると考えます。特に専門性をそれぞれ高めて、適任者をどういう方法で選ぶかというのは、まだブランクのところがあろうかと思いますが、例えば議会がこういう人がいいと選んだのであれば、その人が単独でできるようにするというのは、1つのあり得べき方向だと考えます。
 ただ、現行法の他の規定との関係で詰めなければならない。やや細かくなるかもしれませんが、4ページの「論点」の3つ目、通常の監査報告を単独でできるとしても、そのほかに住民監査請求、職員の賠償命令についても、現行法ですと合議でということになっています。後者については、会計職員の賠償命令は合一的に確定しなければなりせんから、個別にばらばらというわけにいかないので、合議を残さざるを得ないのかもしれない。ただ、その場合、例えば意見が分かれた場合には、多数意見と少数意見を併記してやるようにすることもあり得るとは思います。ただ、現在は監査委員の数が2名と言うこともありますが、そうすると1名1名で分かれた場合どうするのかということで、ここが少し残るのではないか。
 住民監査請求については、あとに住民訴訟が控えておりますから、早く出した方がいいというのであれば、単独という選択肢も通常の監査と同じようにあるのではないかと思います。
 以上です。

○林小委員長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○小幡委員 1点先ほどのものに戻りますが、私もいろいろな選択肢というのは本来あるべき姿だと思うんですが、例えば農業委員会とか教育委員会のいわゆる必置規制と違って、監査委員のような場合は、例えば情報公開が民主主義の標準装備だと言われるものと似ていまして、どうしてもこれだけはやってもらわなければいけないという意味での一種の義務づけは必要な部類ではないかと思います。
 そういう観点から、勿論、自治体の大きさなど事情によって選択肢を認めた方がよいという部分はあると思いますが、ただ、どんな自治体でもこれはやってもらわないと困るという性格のものではないと思いますので、そういう観点からつくっていただければと思います。
 それから、今の権限・責任の話でございますが、私も合議のところは、合議にしない方がよいという今の斎藤委員の御発言に賛成です。
 責任のとり方なんですが、前に私も質問して、監査の在り方自身については自治法上ずばりというものがないということなんですが、外部監査の場合は契約ですので、契約上で責任を果たさなかったという形の責任はあると思います。
 監査委員の場合、罷免というものはございますが、罷免されてもというのは若干ございますので、何かしら責任というのは考えた方がよいのではないかという感じはしております。ただ、確かに報酬がハイリスク・ローリターンではなかなか回りませんので、なり手もいない。
 そこら辺の難しさはあるとは思うんですが、例えば今の住民訴訟みたいなものにのせるのは難しくても、会計職員の責任は243条の任意の方で故意・重過失という限定があるので、故意・重過失のときに限るぐらいで、本来絶対に見逃すべきではなかったものをあえて見逃したとか、そういうものについての責任などはつくってもよいのではないか。今、地方自治法上ないわけですので、新たにどこかにつくらざるを得ないということにはなるかもしれませんが、私はやはり故意・重過失ぐらいに限定しておけば、それぐらいの責任はあってもよいのではないかと思います。
 今のお話と絡みますが、合議で常に決めていくと監査委員の責任が不明確になりますので、少数意見をかけるとか、合議の場合にも、少なくとも後の責任も付随してくる上で決め方についても考える必要があるのでないかと思います。
 以上です。

○林小委員長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。西尾委員、どうぞ。

○西尾委員 たびたび発言して申し訳ありません。
 今も職務上の義務違反があれば、罷免要求ができる。長の方から議会に対して同意を得て、罷免することができるという規定があるんですが、職務上の義務違反というものに加えて、小幡委員がおっしゃるように故意・重過失という規定の仕方が一番いいのかどうかは、もう少し専門家に検討してほしいと思いますけれども、少なくとも違法、不当な支出行為があることに気づいていながら何も指摘をしなかったということは、当然に罷免される事柄ではないかと思いますので、私はこれだけのことはしなければいけないというあれは置いて、罷免の制度は残した方がいいのではないかということが1点です。
 もう一つ、直接公選問題とか第三者機関制度ということから言えば、監査委員のリコール制度があってもいいのではないか。住民からあの人に対して解職請求をするということは、制度としてあってもいいのではないかと思います。
 以上です。

○林小委員長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。どうぞ。

○小幡委員 私も当然罷免という制度は残しておくべきだという上で意見を申し上げたので、今のリコールも非常に魅力的だし、あるべきだと思います。
 故意・重過失の制度というのは、確かに法律的に多少詰めなければいけないとは思いますが、例えばという形で提案させていただいたということです。

○林小委員長 やはり何らかの責任強化という方向で考えるべきではないかという御意見だったと思います。
 どうぞ。

○行政課長 監査委員の解職請求については、現在、地方自治法の86条で制度としてございます。

○西尾委員 そうですか。教育委員会の委員と同じような扱いになっているわけですね。

○行政課長 そうでございます。

○林小委員長 いかがでしょうか。
 権限も自治体で選択すればいいのではないか。最低限ここまでは全自治体でやってもらわなければ困るけれども、どういう権限を与え、そして、それに併せてどういう責任をとらせるかということも含めて、自治体が知恵を絞るべきではないかという考え方もあるかもしれません。ですから、そういう意味では、責任に応じた報酬もそれなりに自治体でやる。ただ、ここまでは絶対にやってくださいという最低限の責務というか、これは一定の基準を設けなければならないとは思うんですけれども、そういうところにもつながってこようかと思いますので、もう少し柔軟な規定を設定することも議論の選択肢の1つだと思います。
 いかがでしょうか。権限と責任につきまして、何か御意見ございませんでしょうか。どうぞ。

○斎藤委員 1つだけ確認的な質問なんですが、先ほど西尾先生からもありましたが、4ページの「論点」の1つ目です。百条調査権と対比している部分なんですが、同様の権限を監査委員に認めるというのは、やや文意があいまいで、例えば合議にしなかった場合に、個々の監査委員が委任なしにやれるということも考えるべきではないかという趣旨なんでしょうか。それとももう少し別のことなのでしょうか。ちょっとあいまいだと思います。

○行政課長 前段は今の制度を説明しているものなんですけれども、百条調査権については偽証罪などの規定もございまして、そういった強い権限を監査委員に認めるのが適当かどうかということでございます。
 先ほどの議論との関係でいいますと、監査委員ができるだけ独立した存在になって、監査の報告、指摘をする。そういったものは議会の方で受けて、百条調査権というのは議会自身が行使できるわけですので、そういう流れで現在の制度をより実効性があるものにしていくということでいいのではないか。つまり、百条調査権と同じような権限を監査委員に認めることは、少し議会との権限、役割分担の関係からどうなのかという問題意識でございます。

○斎藤委員 そうしますと、やはり選出方法で議会による選出を選んだ場合には、むしろ、監査委員の専門的な監査を基に、議会が首長部局との間で透明にやりとりをすることになるのではないかと思います。

○林小委員長 いかがでしょうか。どうぞ。

○片山副会長 この権限と責任の問題も、私が先ほど申しましたように、やはり選択制にすべきだと思います。最低限これだけは絶対にやらなければいけないという基本コース、それから、かなり高度な内容を持つ監査をやる。それには当然それなりの権限を付与されなければいけないし、それに伴う責任も生じてくる。併せて報酬も高くないといけない。今、報酬も条例で決めるようになっているわけですから、権限と責任と報酬とがセットになると思います。
 それをワンパターンにすると、非常にこれはいろんなところでハレーションを起こしますから、やはり選び取れるような仕組みにしてあげておいた方がうまくいくんだろうと思います。

○林小委員長 これも今後もう少し議論をしなければならないだろうと思います。これは地方分権時代のあらゆるところに絡まってくる問題だと思いますので、その辺りは改めて議論させていただきたいと思います。
 それでは、続きまして「4 事務局体制」について、御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。どうぞ。

○西野委員 外部監査については、その後でございますか。

○林小委員長 後にします。
 どうぞ。

○武田委員 今の片山先生の御意見にも少し関わってくるんですが、事務局体制のこともそうだと思うのですが、確かに自治体の選択を認める。最低限の規定をした上で、自治体の選択権に委ねるというのは考え方としてあるかと思うのですが、その際に、より住民に対して責任を明確にしようとする監査の在り方に対して、インセンティブを与えるような仕組みが不可欠であろう。自治体の選択に委ねておいただけでは、全体的な制度の改善がなかなか難しい。
 例えば自治体が監査委員に高い報酬を払えるわけでもないし、そうした場合には、専門性の高い監査委員を選任することも困難でしょうし、監査委員に非常に質の高いリスクを負わせることも恐らく困難になるであろうと思われるわけです。
 事務局体制の場合も同様で、事務局体制をきっちり置いて、監査委員がフルに働けるような制度を整えていくことも重要ではありますが、それをやっていく際に何らかの自治体に対するインセンティブをつくっていく上では、一種の財政的な誘導、必置規制ではないけれども、そうしたものに取り組む動きに対して、一種の誘導するような仕組みも一方では必要ではないかと思います。

○林小委員長 事務局体制に関しましては、運用上かなりのところまで対応可能になっております。今の武田委員の御発言は、むしろ、そういうインセンティブを与えるような制度をつくる必要があるのではないか。こういうお話でございましたけれども、ここは制度化という話よりは、地方制度調査会がどこまで議論するかという話だと思いますけれども、この際こうすればもっとよくなるというお話がございましたら、どうぞ。

○小田切委員 必ずしも運用上の話ではないんですが、私は農山村を歩いていることもあって、合併が進んだとはいえ、残っている小規模自治体と接することがありまして、恐らく監査委員制度は小規模自治体について独自の領域といいましょうか、独自の課題を持っていると思います。
 と申しますのは、当然、小規模自治体であるがゆえに財政規模も小さくて、監査が行き届きやすいといいましょうか、見渡しやすいということもあるんですが、それよりもなれ合いになりやすい。このベクトルを比較した場合、明らかに後者の方が強くて、その意味で監査委員制度の拡充というのは、小規模自治体においてこそ意味があると私自身は感じ取っております。
 その点で、4回目の小委員会でいただいたデータを見て驚いたんですが、町村における事務局が設置されているのは、33%という数字だったと思います。これを更に人口で刻めば、恐らくかなり低い数字が出てくることが当然予想されるわけでありまして、そういうことでいいのかという思いも大変強くあります。その点で、事務局については必置ないしはそれに準ずるような規制が私は必要だろうと思っています。
 そうなると、小規模自治体は行革などを進めておりますので、大変なことになりますが、そこで選択肢として出てくるのが共同設置ということであって、選択肢としては単独設置か共同設置を選ぶ。そこで選択をしてもらうような仕組みがよろしいのではないかと思います。
 以上です。

○林小委員長 ありがとうございます。
 今、必置はすべきだ。ただ、小規模自治体の場合は、共同設置という形をとることが可能なのではないかということでございますけれども、それに対して何か御意見ございませんでしょうか。
 どうぞ。

○大山委員 これはこれからの話だと思うんですけれども、事務局体制が難しいというのは実は議会も同じです。議会の事務局をどう考えるかということと同じような話だと思うんですけれども、結局ここに書いたような人事の硬直化とか、優秀な人材をどうやって集めるかとか、独立性をどう確保するかというのは、多分同じような論点が出てくると思います。
 これは地方制度調査会でこうしろというのは難しいと思うんですけれども、私は1つの自治体の中で人事を回していて、議会事務局なり監査の事務局が独立性・専門性の高い人材が集まるというのは無理だと思います。だから、六団体や広域連合でもいいんですけれども、そういうところが積極的に関わって研修するとか、そういう体制が本当は望ましいと思っています。だけれども、それは国からこうしなさいという話ではないかもしれません。

○林小委員長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○江藤委員 今の小田切委員と大山委員の意見に大賛成なんですけれども、例えば山梨県の市町村の監査委員を見ていると、事務局が総務課だったり議会事務局だったり併任しているんです。議会もそうなんですけれども、大山委員が言われるように事務局が頑張れば議会も頑張るところも多い。しっかりとした事務局体制が組めるかどうかというのは、大事なポイントだと思います。
 その意味で、市町村についても必ず事務局を置く。悩むところなんですけれども、条例で置けばいいんだということなんですけれども、置く方向での議論が必要だと思います。
 昨年制定された財政健全化法で健全化計画、再生計画を立てるときに、外部監査でやる。これも内部の監査委員を信用していない。この論点は外部監査制度の議論のときにまたお話するつもりですけれども、そうした人材がいるのかという心配もあります。
 もう一つ、16条で事務局体制を簡素化することができると書かれている。むしろ、そういうところの方が事務局体制をしっかりすべきなのではないかと思っています。議会も今回の監査委員も事務局がしっかりする体制がむしろ必要です。そのためには、どういう制度設計か。ここに「対応策の検討」というものが出ていますけれども、そういう方向での制度設計が必要だと思います。

○林小委員長 どうぞ。

○片山副会長 事務局を考えた場合、小田切さんが言われたように、小さいところほど監査の必要があるというのは、そのとおりだと思います。ところが、小さいところほど専任の職員などは置きにくいんです。ましてかなり専門的知見を持った職員を置くというのは難しいんです。そこをどう考えるかということなんですけれども、基本的には自治体の自治権に属することですから、国が必置で監査委員の事務局をちゃんとしなさいというと、今までの分権の流れに反するんだろうと思います。だから、そういう監査の事務局体制をしっかりしなければいけないというリテラシーを持つような自治体を形成するという、運営の話になるんですけれども、それが基本だろうと思います。
 ただ、先ほど江藤さんが言われたように、大体総務課で兼務をしていたりしていますと、最初からやる気がないみたいになるんです。自分たちのやったことを自分たちが批判的に点検するのは、日本人は苦手なんです。だから、方違えではありませんけれども、そういう具合の悪いところが兼務をしないという規制を1つ加えてもいいんだろうと思います。
 1つ例をいいますと、固定資産評価審査委員会という執行機関なんですけれども、要するにクレーム処理の委員会が市町村にあるんです。従前は小さい市町村は、ほとんどが事務局を兼ねて税務課の職員がやっているわけです。税務課の人が評価をして、その評価に対してクレームがくるときに、その評価をした人が受け付けるんです。持っていきにくいし、もらう方も非常に嫌な気分です。そこは別のところに置きなさいという一種の規制をはめたんです。だから、少なくとも税務課はだめです。そういう小さいところにも監査のミッションが働きやすいような事務局の在り方というのは、多少の規制を加えてもいいんだろうと思います。そんなことも1つの参考にしていただければと思います。

○林小委員長 必置はなかなか難しくて、だからこそインセンティブだというのが武田委員の御発言だろうと思います。ただ、インセンティブということになりますと、これもなかなか難しい部分があるので、この辺りも少し検討していかなければならないだろうと思います。
 それでは、残り30分になりましたので「第2 外部監査制度」につきまして、まとめて御意見をいただければと思います。
 どうぞ。

○西野委員 外部監査につきまして、一言考えていることを申し上げたいと思います。
 資料1「監査機能の充実・強化を図るための具体的な方策に係る論点」の6ページの最初にございますように、包括的外部監査は「最少の費用で最大の効果を上げているか」「組織・運営の合理化にいつも努めているか」を特定の事件について監査するとなっております。 これを一目見ると、イギリスのベストバリュー制度を思い出すわけでございますが、こういう形で外部監査を行う場合に重要なことは、個々の自治体について監査を行った後、それを全体として取り纏め相対的な評価として各自治体にフィードバックし、その後の更なる改善のインセンティブとして活かしてゆくことだと考えます。
 日本の外部監査は、そういうことまでしていらっしゃるのかどうかということをまずお伺いしたいと存じます。イギリスのベストバリュー制度では、各地域のベストバリュー戦略が出されて、それに沿った実行計画が作成され実行されますと、その「評価」を外部監査委員会が行う仕組みになっております。
 重要なのは、実行と監査なのですけれども、その後、全体の監査・評価を総合・比較しております。リーグ表のような形の評価表を作成して、プリンシプルに沿って優れた形でそれを達成しているかどうかをきちっと評価し、当該自治体がどういう位置にいるかということがわかる。相対的な達成度を把握することによって、次の改善策が提出されることになるわけです。
 ですから、日本の外部監査のやり方が、もしも監査を各自治体にフィードバックさせて終わりというのでしたら非常にもったいないと思いますので、この点が今、具体的にどうなっているかお聞かせいただけますでしょうか。

○行政課長 包括外部監査によって、どのような改善措置が図られたかということについては、若干資料を前回出させていただいています。
 外部監査について、どの程度報告書が出されているかということにつきましては、実際、監査法人などに聞いてみたわけですが、制度導入以来、年々レベルが上がっているのではないか。実際に相当分厚い報告書を出して、それを基に自治体の方で改善措置がとられている事例もあると聞いております。
 

○西野委員 ありがとうございました。
 そうすると、かなりいい方向には向いていると言えますが、まだそれでは不十分だと思います。つまり、その後どのように改善していくかという計画を立てて、それに関してどの程度達成できたかということまで含めて評価して、それを公表していく。具体的な自治体の名前を書く、書かないは別としまして、やはり評価したものを公表していくことが必要だと思います。
 もう一つ、非常に小さな自治体につきまして、むしろ、外部監査が必要ではないかと思います。外部監査の場合には一定の規模以上の団体が対象とされておりますが、監査を実効性のあるものにするためには、私は小さなところほど実は外からの監査、客観的な評価が重要ではないかと考えております。

○林小委員長 外部監査に何を求めるかということになりますと、やはり行政の改善にフィードバックして、それを市民の利益につなげていくべきだ。そういうことでいきますと、場合によっては小規模自治体の方が必要なのではないかという御意見はよくわかります。
 ただ、今、外部監査を義務づけるということになりますと、小規模自治体に義務づけるのはなかなか難しいということで、大規模な自治体ということになっているんだろうと思います。ですから、その辺りも外部監査は一体どうあるべきなのかという議論が必要なんだろうと思います。これは行政評価も含めて、今後、行政を更に改善していくための1つの手段ですので、情報公開や評価の在り方、それを比較することも含めて、議論していかなければならないことで、今、西野委員がおっしゃったことは、そのとおりだと思います。
 今回は、今の外部監査制度を本当に実効性あるものにするために、とりあえず、こういうことをやらなければいけないのではないかというところに議論を絞らせていただければと思っております。勿論、そういった議論はいずれやることにしたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。御意見ございますか。今、西野委員がおっしゃったようなことでも当然結構ですので、何なりと御意見をいただければと思います。
 どうぞ。

○小林委員 西尾先生に追加的な話だと思うんですが、小規模自治体に外部監査を導入するのが難しいというお話なんですが、その1つの解決策として、何年かに一遍やる。毎年やるのは財政上、事務作業上無理だとしても、数年に一度入れる。何年かは決めないといけないとは思うんですけれども、現行の仕組みよりは時間をあけて入れる方法も1つのやり方だと思います。

○林小委員長 西野委員がおっしゃったように、財政上の問題も、小規模自治体で仮にベストバリューが達成できれば、それを上回る財政上のメリットは本来出てくるはずなので、むしろ、そういうことはやった方がいい。ただ、それを義務づけるかどうかという話になってくると、これは少し検討しなければならないということなんだろうと思います。
 いかがでしょうか。どうぞ。

○政所委員 いずれも市町村によって格差があるわけです。今、委員長がおっしゃったように、現実的にできないことを言っても難しいと思うのですが、先ほど大山委員がおっしゃった広域連合のような形で人事交流といいますか、必要に応じて、あるいは住民から請求があったときに外部監査がスピーディーに手当てできるような、費用等の分担ができるような方法があるのではないか。先ほど広域連合とおっしゃっられたのですけれども、そういうことが現実的なのかということを感じます。

○林小委員長 広域的にやれば比較、検討も可能になってまいりますので、そういう意味では、広域的な取組みというのは、今後取るべき道ではないかと思います。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○武田委員 包括外部監査のイメージがいま一つ具体的に描けていないものですから、行政評価と政策評価との違いが判然としていない。
 つまり、先ほど西野委員が言われましたように、ベストバリューのような一種の行政評価を監査という制度の中に取り込もうとしている仕組みだと考えられるわけです。政策評価には、私は教育的な効果といいましょうか、内部で自らの点検をやっていくところに大きな意味があると思っています。最少のコストで最大の効果をというときに、どうしてもここには価値判断が入ってこざるを得ないところがあって、効果をはかるのも、必ずしもすべてが客観的にはっきりと評価ができるものではないし、何らかの価値判断が出てくるものもあります。
 確かにこれが広域的なものになじむかどうかということも悩ましいわけですけれども、内部での評価、点検の努力という側面も一方ではあり、住民にとってより効果的、効率的な行政をやっているかという外部的な目からのチェックも必要である。両面あるかと思います。どちらがいいのかというのは、私も今の段階では明確に言えませんけれども、ただ、先ほど委員長が言われましたように、外部監査の中身については、もう少し議論が要るのではないかという感じがいたしました。

○林小委員長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○小幡委員 外部監査制度が導入されて何年になりますか。

○行政課長 外部監査制度は、平成9年に採用されました。

○小幡委員 ぱっと見たところ、外からの目が入るわけですから、当然よいはずでありまして、現実のやり方あるいは報酬等を含めて、多分必置を拡大していく方向なんだろうとは思うんですが、検証といいますか、今までの数年間で本当にどのようなものであったかということをしっかり整理した上で、例えば特例市まで拡大するかとか、そういう話になってくるのだろうと思っております。
 もう一つ、個別外部監査は条例で任意導入が可能な制度でございますから、これもまさにこの事柄について、しっかり外からの目でやってくれということに応ずる話です。これは今でも条例で勿論任意導入できるので、それをどういうふうに充実していくかというやり方は難しいのですけれども、これなどはもっと充実を図っていければ、外からの目が入りやすいというよい制度ではないかと思います。
 その上で、自治体の包括外部監査の義務づけの拡大と、もう一つは、6ページにあります必要監査事項です。結局この話というのは、貸借対照表・損益計算書等のいわゆる株式会社等については必ずやれとなっています。これによって、今、現に契約しているものに、更にどのくらいプラスの費用がかかるのか。その辺りがわからないので、その検討も必要だという感じがしております。

○林小委員長 どうぞ。

○行政課長 今、小幡委員から御指摘がありましたように、どのぐらいの費用になるのかということも十分検証した上で検討する必要があると思っております。
 これからその辺も聞いてみる必要があると思っておるんですけれども、ある監査法人に聞きましたところ、財務書類の監査を義務づけることで、現在のキャッシュフロー中心の財務書類であれば、それほど困難でない。しかし、四表まで対象になると、費用もはね上がるのではないかといったようなことで、この辺も監査基準の関係等々がございますので、もう少し検証してみる必要があるかと思っております。

○林小委員長 包括外部監査と個別監査の関係です。要するに、包括外部監査の中で行政評価や政策評価をやっていかなければならない。そういう西野委員の御発言だったのではないかと思うんですが、その辺りはどのようにうまく接合しながら使い分けていくかのということも、恐らく今後の課題だろうと思います。
 それから、財務書類の監査を義務づけることに関しても、費用の問題なのかそうではないのかという問題もありますし、財務書類の監査を義務づけるかどうかということが、1つ大きな論点だろうと思うので、この辺りはいかがでしょうか。費用以外の面でも何か御意見がございましたら、お聞かせいただければと思います。
 どうぞ。

○斎藤委員 ごく手短に2つ申し上げます。
 1つは、個別外部監査の手続について、対応策等に載っていませんけれども、監査委員自体の選任方法なり仕組みが変わるのであれば、個別外部監査の手続、繰り返しになりますが、住民監査請求について監査委員が相当であると認めて、なおかつ、議会の議決を経て、初めて個別監査、外部監査が入るという多重防御みたいになっているのは、使い勝手を高めるという意味でも改善の余地がある。包括外部監査なり個別外部監査の他の類型の長の要求によるものについても、監査委員の選出方法なりシステムが変わるのであれば、見直すことも必要なのではないかと考えます。
 特例市に拡大すべきかどうかについては、これも監査委員制度が変わって、小規模なところで一生懸命やっているときに、なおかつ、プラスで包括外部まで一律にやるというのは、自立的な考え方にやや反するものがあります。こういう規模、権限の団体であれば、全国標準でスタンダードを示す必要があるというところに、やはりとどめるのが1つの考え方だと思います。
 先ほど小幡委員が別の論点で、こういう制度については、全国一律という部分も民主主義なりとの関係で残るのではないかとおっしゃいましたけれども、やや論点は違いますが、同じような考慮事項もあるのではないかと考えます。

○林小委員長 ありがとうございます。
 中核市まで義務づけているので、これとほぼ同じ権限で持つであろう特例市までという考え方も1つあるわけですが、ただ、分権時代なので、義務づけはできる限り少なくしていった方がいいという考え方もありますので、これにつきましても、慎重に考えなければならないだろうと思います。
 それ以外にいかがでしょうか。どうぞ。

○大山委員 先ほど監査委員のところで、監査の結果が出たときに議会と連携していくことが大事だというお話をしたんですけれども、議会との連携というのは、結局その次の政策決定に生かすということだと思います。そういう観点で見ると、包括外部監査人の目的の最少の経費で最大の効果を上げているかとか、そういう話というのは、まさに次の条例制定なり予算審議なりに生かしていかなければいけない論点だと思うので、こちらの外部監査の結果をどういうふうに議会に持ってくるかという仕組みも1つ考えた方がいいと思います。
 それは議会の方の受け皿の問題になってくるので、次回以降の議論になるのかもしれませんけれども、例えば決算委員会とか、そういうところとのつなぎを考える必要もあると思います。

○林小委員長 これは情報の問題あるいはフィードバックさせるといったようなことで、西野委員とつながる御意見だと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、当初、一定の方向性ということも考えてはいたんですけれども、ある部分は少し焦点が定まってきたところもありますし、例えばこの辺りはもっと抜本的に選択肢を広げるといったような御議論もございましたので、今後どのような形で議論するかということにつきまして、また少し検討させていただきたいと思っております。
 ありがとうございました。
 それでは、時間がまだ少しございますけれども、とりあえず、本日の「監査機能の充実・強化のための方策」についての意見交換は、これで終わりたいと思います。
 続きまして、今後の日程等につきまして、事務局よりお願いいたします。

○行政課長 次回は3月でございますけれども、議会制度、住民自治について議論いただくということで、前回もお話させていただいたところですが、今日も監査の検証等の話がございました。それとも関連するかと思うんですが、監査は都道府県の協議会、市の協議会、町村の全国組織がございます。そういったところからヒアリングをしてはどうかと考えておりまして、現在、日程上可能かどうか打診をしております。今日の時点でまだ返事がきておりませんので、その辺の対応ができるかどうかも含めて、また、次回両方を一緒にやることにするのかどうかも含めて、委員長と御相談をさせていただいて対応したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○自治政策課長 引き続きまして、次回以降の日程について御説明いたします。
 第8回の専門小委員会につきましては、3月26日水曜日、同じ場所で午後1時から3時まで実施いたします。
 第9回の専門小委員会につきましては、4月25日金曜日、午後2時から4時まで、場所を変えまして、全国都市会館で行います。
 恐れ入りますけれども、御出席の有無については、3月6日までに御返送いただくようにお願いいたします。
 年度末で大変お忙しいところではございますが、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○林小委員長 次回は3月26日ということでお願いいたします。
 それでは、これをもちまして、本日の専門小委員会を閉会したいと思います。長時間どうもありがとうございました。



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