会議資料・開催案内等



29次地方制度調査会第8回専門小委員会 次第



平成20年3月26日(水)13時00分〜15時00分
三田共用会議所第4特別会議室(4階)


1   開会


2   議題


  1) 監査に関する意見聴取、質疑応答
三栖 賢治   全都道府県 監査委員協議会 連合会 会長県
東京都代表監査委員
高橋 敏朗   全国都市監査委員会 会長都市
大阪市代表監査委員
中澤 尚   全国町村監査委員協議会 会長町村
山梨県市川三郷町代表監査委員
樫谷 隆夫
松本 正一郎
  日本公認会計士協会公会計担当 常務理事
日本公認会計士協会公会計委員会
  地方公共団体 監査専門部会長

  2) 委員間のフリーディスカッション


3   閉会


配付資料(PDF)
 
資料1   (全国町村監査委員協議会提出資料)
資料2 (日本公認会計士協会提出資料)
資料3 監査機能の充実・強化を図るための具体的な方策に係る論点(修正)
資料4 監査制度について(追加提出資料)





○自治政策課長 それでは、まず最初に事務局から御案内申し上げます。定刻になりましたので、開催させていただきたいところでございますけれども、先ほど林小委員長から御伝言がございまして、山手線の乱れで15分程度遅れてしまうということでございました。今日は最初は意見聴取でございますので、それを先に進めてほしいということでございますので、順次進めさせていただきたいと思っております。
 なお、中村会長は御出席の予定でございましたけれども、体調不良ということで急遽御欠席でございます。
 本日は、監査に関する意見聴取を40分程度、それに対する質疑応答を30分程度、そして最後に委員間のフリーディスカッションを30分程度といった組立てで進めてまいりたいと思います。
 本日、監査に関する意見聴取に5名の方に出席いただいております。御紹介させていただきます。
 全都道府県監査委員協議会連合会会長県東京都代表監査委員、三栖賢治様でございます。
 全国都市監査委員会会長都市大阪市代表監査委員、高橋敏朗様でございます。
 全国町村監査委員協議会会長町村山梨県市川三郷町代表監査委員、中澤尚様でございます。
 公認会計士協会公会計担当常務理事、樫谷隆夫様でございます。
 同じく公会計委員会地方公共団体監査専門部会長の松本正一郎様でございます。
 それでは、小委員長が来られましたので、最初の紹介だけ終わりましたので、順次、東京都の方からしゃべっていただくというところからお願いしたいと思います。

○林小委員長 どうも申し訳ございません。

○東京都代表監査委員 全監連の会長県として出席はしておりますが、全監連の意見として集約する時間的余裕はございませんでしたので、東京都の監査委員として意見を申し上げるということにしたいと思います。若干は各県からの意見はとりまとめておりますので、関連づけて御説明を申し上げたいというふうに思います。
 後の説明に関連がありますので、私どもの監査委員の構成と監査の実態につきまして、最初に簡単に御報告をいたします。
 東京都の監査委員の構成は、議選の委員が2人で、自民党と民主党であります。公認会計士が1人、この人は元東京都の包括外部監査人でございます。それから、民間の大手の企業の元監査役、女性の委員でございます。それから、自治体のOBで、これは私でございます。計5人でございます。私どもといたしましては、バランスのとれた構成になっているというふうに認識をしております。
 事務局の体制は、局長以下88人でございます。
 監査の実態でございますが、詳細は省略しますが、定例監査と財援監査のいわゆる財務に関する監査に絞って御報告しますが、定例監査の対象箇所数は928でございます。財政援助団体等監査の対象団体数は2,467でございます。全体として財務に関する監査の対象は約3,400でございます。このうち19年度に監査をいたしましたのは665か所でございます。指摘等いたしましたのは279件でございます。不経済支出については、約10億2,000万円でございます。これは議会に報告をいたしました。そのほか、いろいろ監査があることについては御案内のとおりでありますので、省略をいたします。
 私どもとしては、最善を尽くして監査をしているというふうに認識をしております。身内に甘いという指摘があるようでありますが、監査の現場では常に非常に緊張感をもって監査を実施しています。監査委員が、例えば、身内に甘いとかいうような監査をもしやったとか、身内に甘いというような指導とか審議をしたとしたら、他の監査委員から一遍で信任を失ってしまう。それから、88名の事務局の職員から信頼を失ってしまう。私どもはそういう認識をしているところでございます。
 ただ、あえて監査に甘くなるという理由を1つだけ申し上げるとしたら、外部監査との比較で申し上げますと、19年度の実績では、包括外部監査は2つのテーマに絞って、14人の公認会計士等が1年間かけて、実質は8か月か9か月だと思いますが、深く絞った監査を実施している。これに対して私どもは、665か所の監査を実施している。事業所によっては、大体2人、多くて3人ぐらいで2日か3日で監査を実施しているわけです。監査委員監査の特徴といいますか、長所は、事前にその事務所に対して情報を持っていける。どういう事業をしているか、どういう問題があるのか、事前に調査をしていける。そして、どういう監査の仕方をするのか、どういう攻め方をするのか、どういう切り口でいくのかというのを事前に詰めてから行っているので、2日間でもある程度勝負はできていると、こういうことだと思います。ただ、包括外部監査と比べたら、2人で2日間やる監査は、広くやるけれども、浅くなるということは否定できないというふうに思っております。ただ、これは、監査委員監査が自治体の事務全般について監査をするという使命があるからでございます。
 次に、監査委員制度について、監査委員の独立ということでございますが、組織的独立、経済的独立、精神的独立、この3つがあることは御案内のとおりでございます。この3つのうちで最も重要なことは精神的独立だというふうに思っております。一人ひとりの監査委員は独立不羈の立場で、強い正義感を持って毅然とした監査をする、そういうことが期待されているだろうというふうに思っております。
 東京都では、知事は任命権者ではありますが、知事からは完全に独立している。知事から監査に対して干渉は全くございません。自治体の長が任命しているということをもって独立性が担保されていないということは、私どもはそういう認識はしておりません。
 それから、監査委員は議会で選任するということにつきましてでありますが、議会で選挙を行うということは一定の意義があるというふうに理解をしております。ただ、立候補する人をどういうふうにして人選するのか、具体的な問題になるとちょっとはっきりいたしませんが、少なくとも執行機関からの組織的独立だけは強化されるだろうというふうに私どもも思っております。
 勿論、若干の問題点もあります。不偏性が担保できるかどうかとか、あるいは現在、非常に苦労しておりますが、議員に対する住民監査請求が非常に多くなっています。政務調査費、選挙の際のガソリン代とかポスター代の水増し請求、議員の公用車の使用、こういうことで住民監査請求が次から次へと出る。こういうことに対して、的確に監査できるのか。議員に対する関係人調査というのは非常に神経を使うところでございます。
 それから、公選により選挙するということでどうかということは、私どもとしては意見を申し上げることができません。ちょっと見当がつかないので、全監査委員の意見は、これらについては申し上げにくいところです。あえて言えば、独立性は担保されるかもわかりませんが、専門性とか適任性についてはどうかと、そうなるんだろうというふうに思います。外国で公選制をやっていることについてはよく承知をしています。それは長い歴史があって、成熟した制度として機能しているんだろうと思います。今すぐ日本でやったらどうなのか、それは先生方の御意見と同じでございます。
 それから、監査委員の選任方法につきましては、他府県からも次のような意見がございました。若干箇条書き的に申し上げますが、現在の選任方法は、長が選出する識見を有する者と、住民の代表である議選の委員がバランスよく選出されている。2つ目、公選の場合は、監査委員としてふさわしくない人が選出される恐れがある。市町村等においては立候補者がなく、識見委員が不在となる恐れがある。3つ目は、現行法によるか、公選によるか、議会の選挙によるか、これは自治体の判断で行えるようにするのが望ましいのではないか。こういうような意見でございます。
 次に、監査委員の構成で、専門性についてでございます。東京都では、平成16年度から公認会計士1人を選任をいたしました。それから、昨年の10月からは1名増員することができましたので、企業の監査役経験者を選任しております。公認会計士を1名入れるということについては、これは非常に意義があると思っております。ただ、自治体の監査は御案内のとおり、行政のありようを問う行政監査とか、財務監査でも3Eの観点からの監査が非常に重視されるようになってきておりまして、必ずしも多くの公認会計士が必要だということではございません。現在の公認会計士の監査委員も、公認会計士は1人でいいと言っています。多様な経験を持った人が多様な意見を出してくれると、その方が監査としては充実するという意見がございます。
 OB委員については、私がOB委員でありますから大変申し上げにくいんですが、東京都にOB委員がいなくても問題はありません。要は人材の問題だと思います。民間の人がいいとか、OBが悪いとか、こういうことよりも、いい人材がいるかどうかということだろうと思います。いなくても問題はありません。
 議員の委員のことについて一言だけ申し上げます。議選委員については、都政について大変深い知識を持っている人がおられます。執行機関に大変抑止力があって、実効性を高めている、そのことは事実でございます。それから、議選の先生は短期で交代しているということですが、議選の委員には専門性を期待するということはないわけでございまして、住民の代表として強い独立性をもって強い監査をしてほしい、そういうことが求められていると思います。現実に、非常に強い意見を言う、非常に強い指導の仕方をするという先生もいて、それはそれで独立性が強い人だから言えることであるというふうに思っていて、これはこれで機能しているというふうに私は思っております。
 最後に、他府県からは次のような意見がございました。1つ目は、先般の法改正によりまして識見委員の増員が可能になり、専門家を確保することができるようになった。2つ目は、公認会計士、税理士といった資格を有する者を監査委員に積極的に登用していくことが望ましい。3つ目は、行政OBを排除するべきではない。行政経験を踏まえた意見等は重要である。情実に流されるようなOB委員は選出されないものと考えている。4つ目は、議員は県政に対して幅広い視点から監査を行うことが期待できる。議選委員がいることによって緊張感が生まれている。5つ目は、議選委員を減らして識見委員を増やすこともよいのではないかということでございます。
 時間が来ましたので、終了いたします。

○林小委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、高橋様、よろしくお願いいたします。

○大阪市代表監査委員 全国都市監査委員会の会長都市を務めさせていただいております大阪市監査委員の高橋でございます。
 本日、この場におきまして発言する内容、意見等につきましては、急遽出席の御依頼があったことから、時間的な制約がございまして、全国都市監査委員会の理事会等で決定した見解ではなく、本会理事都市等の24市に対しまして、短い時間の中でアンケート調査した結果に基づく見解であることを御了承いただきたいと存じます。
 現在、大阪市の監査委員の構成は、議選が2名、自民党の方と民主党の方、それから、識見が2名の合計4名でございます。識見のお1方は弁護士さんでございまして、残りの1人が私でございます。私は大学から請われて監査委員を務めさせていただいております。
 事務局が、実際に監査に当たる者だけに限定しますと43名、うち任期付職員である公認会計士が2名、職員としております。
 今回、論点として出されております点を中心に、少しまとめたものに基づきまして御返答をさせていただきたいと思います。
 まず、1つの大きな論点でございますが、監査委員の選任方法を議会選出とすべきではないかということについて、24市に投げましたところ、議会による選任には消極的、あるいは慎重であるべきという意見が多うございました。議会による選任が賛成というのは24市の中で3市でございます。監査委員制度の強化は必要であるが、監査委員の選任方法とは直接関係しないのではないか、余り関係がないのではないかという意見が多数を占めております。言葉を変えますと、すなわち、現行の選任方法のゆえに監査委員の立場が弱くなっている、あるいは弱いと考えている都市はほとんどございません。そういうことでございます。
 それから、委員の構成でございますが、人口の多い大都市と中小の都市では意見がかなり異なっております。人口の多い大都市、特に政令市のような場合は、どちらかというと専門性、あるいは専門的な知識を有する識見の監査委員をできるだけ登用すべきではないかといったような意見がどちらかというと多数を占めておりますけれども、中小の都市では必ずしもそういった意見にはなっておりません。1つは、財政的な理由があろうかと思います。
 監査委員の権限・責任につきましては、監査委員の権限・責任は基本的には対置、対等であるべきだというふうに考えておるところがございます。すなわち、監査委員に権限がないにもかかわらず、責任を負わせるということはできないのではないか。権限の範囲で責任を負わせるべきだという意見でございます。
 そのほか、公選により選出する方法につきましては、先ほど東京都さんがおっしゃいましたように、現状では難しいのではないか。監査委員の候補者が監査に対してどのような専門的知識を持ち、どのような立場で臨もうとしているかを、市民、あるいは住民に周知させるのは極めて難しいというような印象を持ちます。そういう意味で、公選制ということについては、今後、検討の材料ではあっても、今、直ちに採用するのは難しいのではないかという意見でございます。
 続きまして、選任方法を変更する場合、議選委員をどう考えるかということにつきましては、これは意見が相半ばしておりまして、議選委員は必要であるという考え方の都市が24市のうち5市、必要でないというのが4市、その他の意見が1市という形になっております。
 時間がございませんので、前へ進ませていただきます。選任方法を変更する場合、OB委員をどう考えるかということでございますが、OB委員は必要なしという意見の方がどちらかというと少数でございます。OB委員も必要に応じて選任された方がいいのではないかという意見でございます。
 それから、監査委員の権限強化をめぐっての論点がございましたので、監査結果の報告等に対する措置状況について、何らの措置を講じなかった場合においても、その旨を監査委員へ理由を添えて通知することとすべきかといったようなことに対して、未措置も含めて、理由を付して公表すべしといったような都市の意見が出ております。
 それから、これは非常に重要な論点と思いますが、一定の場合を除き、監査結果の報告や、これに添えて提出できる意見の決定等について合議を要しないこととするかということに対しましては、14市が回答を寄せてくれまして、従来どおり合議を要するというのが6市ございました。そういう意見がかなり多いという印象でございますが、しかし、一方で、その他5市の回答にも注目したい。つまり、合議制を基本としつつ、内容により、監査委員個々の付帯意見を付することを可能とすることも必要と考えますというような意見が5市ございました。例えば、住民監査請求等で職員の責任を認定し、損害額が幾らといったような場合には、これはやはり合議が必要になるのではないかといったようなことになると思います。
 権限と責任の関係につきましては先ほど申し上げましたので、ここでは省略いたします。
 事務局体制でございます。これは非常に重要でございまして、監査委員事務局職員への外部登用を促進する方策が考えられないかということに対しまして、代表監査委員が専門的なスタッフを実質的に任命できる権限が必要であり、このことにより、実質的に外部監査と同様の効果を得ることが可能といったような意見とか、高度な専門家を任期付職員として容易に採用できる制度が必要。あるいは職員の独立性、専門性の強化を図るとともに、外部からの専門家の登用の促進を進めることなど、現行制度での体制強化を図ることが必要であると考える。つまり、監査委員の選任以上に事務局職員の強化を図るべきだという意見が相当な都市から寄せられております。
 それから、監査委員事務局の外部性を高める観点から共同設置云々というのがありますが、これは比較的小規模の都市、あるいは町村等においてのことでありましょうから、言及は避けさせていただきたいと思います。
 外部監査制度につきましては、一定評価し、現在の在り方をある程度続けていくべきである。ただ、財務書類の監査を必要監査事項として義務づける必要はないという意見が多数を占めております。
 特例市まで拡大するかということにつきましては、これも意見がまちまちということでございます。
 後ほど補足したいと思います。以上でございます。

○林小委員長 ありがとうございました。
 それでは、中澤様、よろしくお願いいたします。

○山梨県市川三郷町代表監査委員 中澤でございます。
 このたびは発言の機会を与えていただきまして感謝を申し上げます。私ども全国町村監査委員協議会は、都道府県や市に比べますと後発でありまして、平成3年4月に結成されたばかりでございます。このような場にお招きいただいたのは、第25次の地制調が初めてであったと聞いております。それまでは町村の監査委員がおよそ制度改正等について意見を述べる機会はほとんどなかったというようなことでありました。平成3年以降は私どもも毎年総会の場で幾つかの要望事項を決定しており、既に実現した事項もありますが、引き続き要望している事柄もございます。本日はせっかくの機会でありますから、会として機関決定したものは勿論、それ以外についても、私見も交えて若干意見を申し上げてみたいと存じます。
 まず、監査委員の選任方法につきましては、従来からさまざまな考え方があるようでございますが、私どもは毎年、定期総会において、お手元にお配りしております要望書のとおり、監査委員の独立性を確保するため、監査委員は議会において選任できるよう改めることとの要望を決定しているところでございます。
 次に、委員の構成についてでございますが、監査委員の選任方法を議会の選任に改めた場合の、議員選出の監査委員と、いわゆるOB職員の委員の問題でありますが、実際、監査を行う上では、議選委員の着眼点や意見等は非常に参考になっております。また、OB委員ですが、自治体の監査は書面や聞き取りだけでは十分な監査はできません。まして町村においては、識見の監査委員はほとんどが1人であります。しかも非常勤であります。やはり自治体の内部事情に精通しているというのは監査を行う上で必要かつ有効だというふうに考えております。
 また、私も実感をしましたが、監査委員に任命されるというのは精神的には大変重いものがございます。そしてまた、即一人前の監査人になれるのではありません。やはり監査委員としての心構え、必要な知識、そして経験の積み重ねが不可欠ではなかろうかというふうに思います。だれが監査委員になるかということも大事なことかもしれませんが、監査委員と監査事務局の研修体制をもう少し制度的に仕組めないかという気がしております。
 次に、監査委員の権限・責任等についてでございます。まず、18年の法改正で識見の監査委員は定数を増やせることになりましたが、まだほとんどの町村では2人体制です。しかも、監査事務局も7割近くは未設置であり、職員もほとんどが兼務であります。
 例えば、監査委員の報酬一つ取りましても、私どもの調査では、お手元の表のとおり、識見の監査委員の場合で、年俸で支給しているところの最高は91万円、最低が2万7,000円、平均26万8,000円でございます。月額支給のところの最高は16万5,000円、最低は9,000円、平均4万6,400円です。このような報酬の目安は、各種の行政委員会の委員とのバランスなどで決められているところが多いようでございます。ちなみに、私のところでは、年俸で13万3,000円でございます。
 また、監査委員費も、山梨県の1町村当たりの平均は47万2,000円で、私のところでは44万7,000円です。これを一般会計予算に占める比率にしますと、1万分の1にすぎません。つまり、監査に対して、これだけのコストしか負担をしていないということになろうかと思います。
 更に、私どもは、役場に行っても監査委員の部屋もないところが6割、部屋どころか専用の机すらない状況です。しかしながら、このような状況が長く続きますと、それが当たり前のように思われております。どこかの一部の自治体で何か不祥事が起きるたびに監査委員は何をやっていたんだと言われ、その都度、法律上の監査委員の権限も強化されてきました。しかしながら、これらの権限を適切に行使するための体制整備が格段に遅れているこの現状を改善しなければ、監査の実効性も、その結果責任も問えないのではないでしょうか。
 先日、私ども山梨県内の監査委員が集まって、さまざまな意見交換をしましたが、このままの監査体制で責任まで追及されることになりますと、現在でも監査委員になり手がない上に、監査委員を辞める人はあっても、ますます監査委員になり手がいなくなるというふうにも思います。私のところもそうですが、多くの町村は合併しました。その結果、監査委員の数も減り、ただでさえ十分な監査ができない状態が更に拡大しているのが現状であります。
 そこで、私はあえて申し上げますが、監査機能を強化するには、法律による一定の義務づけが必要かというふうに思います。例えば、町村においては、監査委員の定数は少なくとも3人にすることが必要だと思います。識見の監査委員がもう1人いることで、かなり監査の目が行き届くようになります。そのための経費負担も、現状の監査委員の報酬を前提にすると、年間数十万円で済むことになり、それほど大きな財政負担にはならないのではないかというふうに思うところでございます。
 また、監査は本来、独任制の建前をとりながら、平成3年の法改正で合議制が拡大されました。今後もこの合議制をある程度残すのであれば、一般的に合議する場合の最少人数は3人は必要になろうかと思います。町村のように原則定数が2人ですと、意見の相違があった場合、監査意見を出せないことがときどきございます。可能な限り監査委員の意見が住民にわかりやすく反映されることが必要だと思います。更に、都道府県のみでなく、市町村においても常勤の監査委員を置けば、もっと監査の実効性が上がると思います。現状でも置くことができるわけでありますが、町村においてはほとんどありません。
 次に、事務局体制について、私ども町村においては、長い間、監査事務局は置けないとされてきました。平成3年の全国協議会設立以来、最初に掲げた制度改正要望事項は、町村においても監査事務局が置けるようにというものでした。以来、平成9年の自治法改正でようやく市と同じように条例で置くことができるようになったわけであります。その後、私どもも監査事務局の設置について、町村長、議長を初め関係者に働きかけてきましたが、10年かかってようやく3割でございます。
 その原因はさまざまあろうかと思いますが、新たに事務局を設置することに対しては、行政改革、あるいは市町村合併、財政的な理由等で無理だとの声をよく聞きますが、私ども監査委員が望んでも、私どもには実質的な職員の任免権、人事権はありませんし、そのための予算や条例の提案や決定権はありませんので、結局、限られた予算、人的資源、時間等、与えられた条件の下で監査を行うしかありません。したがって、監査機能を充実・強化するには、まず監査事務局を設置することを義務づけることが是非とも必要だと思います。このことは私どもの総会において要望事項として機関決定しているところであります。
 また、監査事務局を共同設置してはどうかという話は以前からありますが、それが実現しないのは、まず、それぞれの自治体の根っこに監査事務局がないのに、いきなり共同設置というのはいささか順が逆ではないかというふうにも思います。
 最後に、外部監査制度についてでございますが、外部監査につきましては、私ども町村においてはほとんど実践例がございませんし、また、外部監査に必要な条例を設置している町村も2%足らずです。私は個別外部監査については、町村においても、例えば、住民監査請求があった場合など、内容によっては、いわば駆込寺として大いに活用できるのではないかと考えています。ただ、経費の面、あるいは離島などの遠隔地に果たして来てくれる人がいるかどうかという気もいたします。
 現在、私どもの町村で、例えば、住民監査請求が出され、判断や意見等で困ったとき、各県の監査委員協議会、あるいは全国協議会に相談し、必要な場合には全国協議会の顧問の公認会計士の先生に相談し、また指導を仰いでおり、大変助かっております。このような全国規模の監査機構のようなものが整備されてくれば、また大いに活用できるのではないかというふうに思います。
 いろいろ申し上げましたが、当調査会におきまして今後御検討いただきますようお願いを申し上げます。

○林小委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、樫谷様、松本様、よろしくお願いいたします。

○日本公認会計士協会 日本公認会計士協会で公会計とか公監査を担当しております樫谷でございます。
 このたびは地方制度調査会の専門小委員会において意見を述べさせていただく機会をいただきまして、大変ありがとうございます。基本的には資料2という日本公認会計士協会提出資料の「外部監査制度について」というもので説明をしたいというふうに考えております。
 それでは、2枚めくっていただきまして、1ページ目、「包括外部監査人の就任状況」というところがございますので、ここから説明をさせていただきたいと思います。包括外部監査人のこれまでの就任状況をまとめたものでございますが、多くの地方公共団体におかれましては、私ども公認会計士にお声がけをいただきまして、包括外部監査人に多数が就任させていただいております。平成19年度は113団体中104団体、92%の団体において、公認会計士が外部監査人監査、包括外部監査人を務めております。本日は、このように包括外部監査人を務めております公認会計士の立場から、外部監査制度について意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、包括外部監査が効果を上げているかどうかという点についてお話をしたいと思います。複雑多岐にわたります地方公共団体の事務につきまして、監査委員と外部監査人でダブルチェックをしていることになりますが、そういう構成について、この委員会で議論していただいているということと存じます。
 2ページをごらんいただきますと、「包括外部監査の効果」というところがございます。包括外部監査人からの意見と、それに対する措置の状況を記載しております。地方公共団体名は伏させていただいておりますが、コスト削減計画の成功例のノウハウの蓄積と、住民の参加によるコスト削減を検討されたいという意見に対して措置されました。これは、公園霊園費のコスト縮減総額が7,000万円増加したと、つまり、コストが7,000万円、より減少したということでございます。また、「思い出ベンチ事業」の実施をされて、寄附を募った。今までは公費をやっていたのを、寄附を募ることによって、ベンチ1基当たり15万から20万ぐらいらしいですから、200基、100基となりますと相当の金額になるということで、公費を使わないということでございます。
 その次の3ページ目でございますけれども、水道局職員に関することでございますが、水道局の人員だけでなく、水道サービス公社の人員を考慮に入れまして人員計画を策定すべきであるという意見に対して措置をしていただきまして、12人の人員を削減していただきました。これは今後50人の削減が見込まれております。年間50名といいますと、1人数百万のコストがかかるということから見たら、年間、相当のコスト削減になるんではないかと考えております。
 これは2つの例でございますけれども、そのほか、たくさんの例がございまして、ある地方公共団体におきましては、県内の広域水道事業団からの基本水量の増加に伴う基本料金の増加の割合を下げるという働きをいたしました。結果的に5.7%、12億円の減になったとか、いろんな効果が上がってございます。
 このように、包括外部監査の効果が発現するには、外部監査人が指摘した事項を地方公共団体におきまして真剣に取り上げていただきまして対処していただくことが必要であると、こう考えております。また、外部監査人も住民に対してわかりやすい報告書を作成するとか、一定の前提ではありますが、効果、つまり、我々の提言に対して、どのような効果があるのかということを予測して説明することも必要かというふうに考えております。
 5ページをごらんいただきたいと思います。日本公認会計士協会では、一昨年、包括外部監査を実施している地方公共団体を対象にアンケート調査を実施いたしました。その中で、包括外部監査の結果報告書を公表後、どのように活用されているか、記述による回答をお願いしましたところ、指摘・意見の内容を業務改善に役立てている、事務事業の見直しの契機とする、監査委員監査の参考とするといった前向きな取扱いをしているという回答が多く寄せられました。おおむね高い評価をしていただきまして、各団体で業務改善等に向けて有効に活用されておると考えております。今後も必要だとの御認識をいただいておるものと思います。
 先日、私はある新聞記者とお話しいたしましたけれども、彼も比較的高い評価をしていただいたということでございます。
 外部監査につきましては、費用がかかるではないかというような御懸念があると思います。先ほど御紹介させていただきました事例のように、費用を上回る効果が上がるような監査をするということを私どもは努めております。少なくとも払っていただいた報酬、コストでございますけれども、コストの数倍以上の効果が上がるというようなものを取り上げて提言をするのだということを考えております。
 ただ、これは私の個人的な体験で、パブリックセクターのものではございませんが、今までの御意見の中でも、コストがかかるという御意見がございましたが、私は企業再生をよくやっておりまして、その中でコンサルティングをやっている。そうすると、確かにコンサルティングのコストはかかるのですけれども、それはプラスアルファではなくて、実はマイナスなのです。といいますのは、監査のコストなりコンサルティングのコストを吸収して更にプラスを出すということが必要なので、やらないことによるマイナスの方が大きいんではないかなというふうに私どもは考えております。ただ、監査をやれば済むということではなくて、監査意見を真剣に取り上げていただいて対応していただくということが極めて大事なのかなと、こういうように思っております。
 それから、6ページと7ページでございます。テーマの選定について記載しております。監査対象の選定につきましては、包括外部監査人のイニシアチブにゆだねていただいておりますが、包括外部監査人としては、資料の収集、分析、関係者のヒアリングなどの予備調査を実施した上で、当該地方公共団体の財政において重要性のあるもの、改善を要すると思われるもの、緊急性があると思われるものを選定しております。
 特定の事件について、専門的な観点から、より深度のある監査を実施し、監査委員による監査の補完的役割を果たしておると思います。
 テーマにつきましては、制度が導入されて10年が経過しており、時代背景も異なってきておりますので、フォローアップもかねて、過去のテーマを改めて取り上げることも必要であるというふうに考えております。
 それから、8ページと9ページでございます。この委員会におきまして一定の監査について監査委員の役割を包括外部監査人が行うこと、具体的には財務書類の監査を包括外部監査人に行わせることを議論されているものと存じます。
 監査委員に当該地方公共団体の業務に精通している議員などが就任する場合には、財務に関する部分について公認会計士が一部受託することも考えられます。決算報告書が予算の区分に従って決算の状況が正しく表示されているかどうかだけをチェックするような仕組みであれば可能であります。
 しかしながら、その場合は、民間の企業の監査のように財務諸表全体の信頼性を付与するものではなくて、例えば、先ほど申し上げましたように、決算報告書が予算の規模に従って決算の状況が正しく表示されているかどうかというような監査になると思います。
 財務諸表監査には、権威ある会計基準、一般に公正妥当と認められる会計基準とか、あるいは監査基準、複式簿記が必要でありますので、現在の地方公共団体の財務諸表監査を行うとすれば、これらの整備が必要と、こういうふうに考えております。
 この委員会で、一定規模以上の団体に包括外部監査を義務づけることを議論されていると伺っております。その点に関しましては、10ページと11ページに記載しております。結論から申し上げますと、基本的にはすべての地方公共団体で外部監査を導入すべきと考えております。しかし、小規模の地方公共団体の義務づけは、人材の確保とか財政負担という観点から難しいとお考えの向きであると思いますが、小規模の団体といえども、専門性を持った第三者からの意見を聞くことには意味がありますし、監査委員事務局も必ずしも監査の専門性がある人がいるとも言えません。また、牽制効果も期待できます。このような理由で外部監査を導入する意義はあると考えております。
 それから、12ページでございます。専門性についてでございますが、まず、私ども日本公認会計士協会の取組みについて御説明したいと思います。私どもの公会計委員会におきまして、地方公共団体監査専門部会を設置し、包括外部監査の事例等について、14ページに掲げました研究報告を公表しております。そのほか、毎年、包括外部監査に就任した会員を対象に意見交換の場を設けるとともに、包括外部監査結果報告書をまとめたCD−ROMを配布したり、定期的に研修会を開催したりしております。
 13ページをごらんください。13ページは、大手の監査法人では、公会計専門の部門を設けており、その部門に所属している公認会計士が包括外部監査人や補助者を務めて経験を積んでおります。包括外部監査についての専門性を持った人材の養成は進んでおります。また、地方公共団体の監査委員事務局の監査の専門性を高める努力も必要であると考えております。
 最後に、公認会計士の取組み姿勢について申し上げます。15ページをごらんいただきたいと思います。公認会計士法第1条では、公認会計士の使命として、「公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする」と定められております。
 公認会計士の特徴は、独立した第三者という立場から監査を行っているということでありまして、監査費用を受け取っているから遠慮するというようなことはございません。公的な分野の業務に使命感をもって取り組んでおるところでございます。
 地方公共団体の財政は大変厳しいものがありますので、私ども公認会計士は、会計監査のプロフェッションとして、地方公共団体の財政運営に役立つように、今後とも業務に邁進していく所存であります。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○林小委員長 どうもありがとうございました。それでは、短時間の御説明でございましたけれども、地方制度調査会の委員から、先ほど御説明をいただきました皆様に対して質疑応答を行いたいと思います。時間は30分程度ということでお願いをしたいと思います。それでは、質問等ございます方は挙手していただけますでしょうか。どうぞ。

○小林委員 小林です。先ほどのお話の中には余りなかった話で恐縮なんですけれども、監査委員をされている、あるいは協議会の方々に伺いたいんですが、住民公表について、特に監査委員として工夫されているようなことがあったら、まず最初に伺いたいんです。例えば、最近ですと、ネット上に監査報告を出すというのが1つの手段だと思うんですが、そのほかに、こういうことを住民に知らせる工夫をしているというのがあったら、是非知りたいところなんですが、よろしくお願いします。

○林小委員長 いかがでしょうか。どなたからでも結構です。

○東京都代表監査委員 監査結果につきましては、すべて公表を、年2回やっております。それは議会を通じて、あるいはマスコミを通じてということでございます。勿論、情報公開があれば、それに対応できるということになっております。それから、ネットは、うちの監査結果は当然ホームページで公開しているところでございます。それから、監査のあらましというような資料をつくっています。

○林小委員長 小林委員、よろしいですか。

○小林委員 はい。

○林小委員長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○武田委員 武田と申します。全国町村監査委員の中澤様に御質問させていただきたいんですけれども、非常に熱の込もった御報告で、興味深く聞かせていただいたのですが、1点、最後の方でおっしゃいました、事務局の共同設置は考えられないかという論点に関する御説明についてですが、まず、足元の各自治体に事務局を設置するのが先だというふうにおっしゃいました。確かにそれも1つの考え方かと思うのですけれども、それぞれの小規模な自治体で、人材や財源が限られている中で、まず、それらを共同しようとか、例えば、ピアレビューのような形で、複数の自治体が共同でもってレビューをし合うとかというような形のやり方も考えられるんではないかなと思うんですけれども、その辺の御意見を伺いたいと思います。

○林小委員長 よろしくお願いいたします。

○山梨県市川三郷町代表監査委員 基本的には私どもの町村では、まず監査体制の整備というようなことが大前提で、これへの取組みを強めているわけですが、そういう中で、事務局の設置に関しまして、まず自分たちの監査の事務局をしっかり立ち上げないといけないんではないか。そういう中で、先に共同でというような話になってくると、これがなかなか全体的には、多分、うまく走っていかないんではないかというふうに危惧する部分もあります。そういうことで、私どもの方では、個々の事務局体制をできるだけ整備してやっていくというふうなところに重点を置いているために、まだ共同設置というところまでは進んでおりません。

○林小委員長 先ほど事務局の設置を義務づけるということも必要なのではないかという御発言があったかに思うんですが、その場合に、果たしてそれが今の状態から考えてできるのか、そういう場合に共同設置という道があるのではないかという質問だと思うんですが、いかがでしょうか。

○山梨県市川三郷町代表監査委員 方法としてはそういう方法もあるわけですが、例えば、ちょっと意味は違うかもしれませんが、外部監査等では共同でやっていったらどうかというようなことも意見としては出てくるわけです。共同で事務局をというのは、それぞれの町村にまで、多分、しっくりきていないのではないかというふうに私どもは考えます。それは何かというようなところまではまだ深めてはおりませんけれども、多分、それぞれの市町村がいきなり共同設置で事務局をというような部分では、その運営というか、そういうところでいろいろ危惧があるのではないかというふうに思っております。

○林小委員長 武田委員。

○武田委員 同様の質問を中小都市のレベルではどのようにお考えかということを高橋様にお伺いしたいんですけれども、どうでしょうか。都市といってもいろんな規模がありますから、中小都市でも、とりわけ小都市のようなところの場合には、共同設置ということも考えてもいいのかなというケースもあるんではないかと思います。

○大阪市代表監査委員 今回は比較的人口規模の大きい都市にアンケートを投げましたので、小都市の意見は余り拾い上げていなかったために、ここで責任ある発言ができるかどうか。ただ、容易に推定できることは、人口規模の小さい都市では、共同設置というのも1つの有力な考え方ではないかというふうには思います。

○林小委員長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。金子委員、どうぞ。

○金子委員 金子でございます。すべての監査委員会、協議会の代表の方にお聞きしたいんですけれども、監査結果について複数の監査委員の間でいろいろ意見調整をされるときに、こういう場合には非常に意見がまとまりにくいとか、こういう場合には議選の方と識見の方で意見が分かれる、そういう典型的なケースというのがあるのであれば、教えていただきたいと思います。

○東京都代表監査委員 具体的なケースで申し上げにくいところはあるんですが、一般的には、定例監査といいますか、財務監査では、そういうことはほとんどございません。若干の意見の違いがあったとしても、合意は完全にできる。財務監査で合意がなされない監査というのはちょっとおかしい。多数決でやるのもおかしいという考えを持っていますし、そういうことで意見が違うということは過去には1回もございません。
 それから、もう一つは、住民監査請求については、しょっちゅうということはありませんが、議案によってはかなり議論がある。委員審議だけではなくて、控室に戻って激論を交わして、最終的には、やはりこうなのかということで合意しています。今まで合意がなかったという事例はございません。
 多少あるのは、例で言うと、ちょっと言いにくいんですが、若干政治性が絡んだようなものとか、環境の問題とか、こういう問題に関する住民監査請求については、激論があるということでございます。ただし、最終的には、よく議論を交わして、全部合意は得ている。ただ、私どもは、あえて申し上げますが、住民監査請求については、合意がなかったために監査ができなかったというものは、これは非常にまずいと思っております。ですから、これは最終的には例外的に多数決を認めてもらった方が実態的ではないかなと、そういう考えは持っております。

○林小委員長 金子委員、よろしいですか。そこからどういうことを今後の議論の中に組み込んでいけばいいのかということなんですけれども、その当たり、もう少しお聞かせいただけるとありがたいです。

○金子委員 監査の類型ごとに手続を違うように定めるというようなことも考えられるのかなという感じがしています。監査といっても、いろいろバラエティーに富んでおり、いろいろ利害関係も違ってくるので、選択の幅を広げるというような形で制度設計をやれればいいのかなという感じがしているものですから、お話をお伺いしました。

○林小委員長 いかがでしょうか。どうぞ。

○小幡委員 小幡でございますが、お話を伺っていて、大きなところと、小さな町村とで大分事情が違うのかなというふうに思いました。まず、事務局の点ですが、町村の場合は事務局すらないというか、部屋もないというようなお話がございました。更に言うと、報酬は最低で日額3,100円ですか、こういう状態で出向いていって、総務部門とかの職員がちょっと出て助けるというイメージなのかもしれませんが、確かに権限があっても十分な監査が制度として保証できないんではないかというようなお話はよく理解いたしました。そういう意味で私も、何らかの形での事務局は当然義務づけるべきなのではないかなというふうに思っています。
 それが大都市に行きますと、大都市、あるいは都市で、事務局が独立性とかの観点から十分機能しているか、事務局があるところにおいて、監査委員の事務局体制がどうかということを更にお伺いしたいなと思いました。
 それから、今の町村のお話を聞いていて、日額3,100円で責任をかぶせられたら冗談ではないというのは非常によく理解したんです。ほぼボランティアのような感じでございますので、これはやはり、こういう体制でやっていては、監査の充実にほど遠い現実だなというふうに思いました。
 高橋さんの方から、権限がないのに責任があるというのはおかしいではないかというふうな発言があったような気がしたのですが、法律上、結構権限はあるような気がしているのですけれども、その趣旨はどういう趣旨なのか。例えば、事務局が現実に機能しないとか、もしそういうことがあれば併せてお伺いしたいのです。

○林小委員長 よろしくお願いいたします。

○大阪市代表監査委員 幾つかの点をお聞きになりましたが、最後の点に関しましては、先ほど明確に、責任と権限というのは等しい関係でなければいけないということを申し上げました。例えば、具体的な例で申し上げますと、監査委員の職務権限に関しましては、地方自治法199条がございまして、必要があると認めるときは関係人の出頭を求める云々というのがございます。しかし、これは、慣行的な解釈の面なんでしょうけれども、強制力なしというふうに言われているんです。強制力がないと言われているわけです。
 例えば、外部委託の業者といろいろ取引があって、不適正な資金に結びついた、そういうものが出てきた、取引関係先の出頭を求めて調べたいというときに、強制力がないというふうにされているわけです。ところが、予算の執行に関する長の調査権というのは、議会の100条委員会同様、強制力がございまして、明らかに監査権限と違うわけです。そうすると、権限の範囲というのが一体どういうところに求められて決められておるかということと責任というのは連動するんではないかというふうに思うわけでございます。1つの例でございます。
 それから、事務局が構成されているところで、独立性や、あるいは専門性というのが維持されるか云々という質問があったように思いますけれども、これに関しましては、現在は基本的には、監査委員事務局の大多数が執行機関である長のところから異動してきたり、あるいは執行機関に転出するという形で異動しているわけでございます。そうしますと、監査委員そのものは執行機関からそれほど影響、あるいは圧力を感じたことはないということがあったとして、事務局、実際の監査の実査部隊が異動する関係から、ここまで厳しくやると、今後、転出したときにちょっと影響するのではないかといったようなことは少し考えられるんではないか。
 そこで、我々としましては、要所に外部から専門性のある職員を任期付でもいいから、例えば、公認会計士とか、弁護士とか、比較的若手の能力のある人を配置しまして、そういう人たちが任期付で参りますと、基本的には全く遠慮会釈なく監査に当たるでしょうから、これはしっかりとした監査ができるんではないか、中立性が保てるんではないかというふうに考えるわけです。ただ、比較的財政力のある都市でないと、そういうことが可能になるかどうか、そういうことも十分背景としてはございますので、それを義務づけるということは非常に難しいでしょうけれども、そういったような形の独立性の強化、あるいは中立性の強化というのは図っていけるんではないかというふうに我々は考えるわけです。
 それと、具体的に名前を挙げますけれども、私は横浜市の代表監査委員と絶えずコンタクトを取って、今回もここへ出てまいります前に横浜市さんの意見を聞きました。横浜市さんは非常にユニークな考え方を導入されておりまして、監査の実査に当たる監査事務局の職員を監査委員と監査官に分けるということを考えておられるようです。監査官というのは横浜市独自の制度ですけれども、一定の資格を試験によって持たせて、非常に強力なものにする。しかも、監査官というのは、異動があったときにも、他局にまいりましても、名刺にちゃんと監査官という形を入れていただく。監査委員、あるいは監査事務局を中心としたガバナンスの強化というだけではなくて、それを全局にばらまいていくんだというような感覚です。これは非常に注目に値するアイデアではないかと我々は考えております。そういう意味で御紹介させていただきました。
 以上です。

○林小委員長 どうぞ。

○西尾委員 東京都の監査委員の方と大阪市の監査委員の方に伺いたいんですけれども、監査が実効性を上げるためには情報が寄せられることが好ましいわけです。いわゆる内部の職員からの内部通報でなくても、あるいは外部の市民からの、監査請求ではなくて、どこどこのセクションに違法、不当な支出があるのではないかとか、違法、不当ではなかったとしても、大きな無駄遣いをしているのではないかとか、もっと効率的なお金の使い方があるんではないかというようなことが、よく事情を知っている内部の人から寄せられて、監査委員はそこを調べてみたらどうですかというようなことが、内部であれ、外部であれ、そういう情報が寄せられると、手がかりがあります。監査に入っていく対象が選べるわけですけれども、そういう通報に基づく監査というのが全監査の中でどのくらいあるでしょうか。東京都の場合、大阪市の場合ということでいいんですが、教えてください。

○東京都代表監査委員 昨年の実績で言えば、ゼロでございます。内部からの通報があって、どこかおかしいという、不正なことをしているという、そういうのはゼロでした。逆に言いますと、私ども監査委員及び事務局職員は、現在、東京都の行政機関が組織的に不正をやっているという心証形成はしておりません。それは、97年、98年当時の非常な問題があったときに、執行の方法とかチェックの方法を相当変えて、意識も相当に変わっているというふうに思っております。
 ただ、少し付言をいたしますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、少ないところは2日間で2名か3名で監査をしている。行政の人間でありますから、そこの情報を事前に取って監査の仕方を詰めていくので、初日からしっかりとした監査ができているので、ある程度の成果が上がっている、それはそのとおりなんですが、2日間でやる監査は、内部の書類がちゃんと整備されていたら、不正を意識的にやったのをちゃんと解明できるかといったら、解明する責任は私どもにありますが、実際としてはそれは難しい。そういう場合は監査はすべると思います。そういうことはあり得るというのは、過去の事例を見ても、それはそのとおりだと思います。情報があったときは、時間もかけて、体制も入れてぐっと行くから、それはやれると思いますが、一般的にはすべることがあると、そういう認識でおります。
 もう一つ申し上げたいんですが、そういうことを踏まえて、私どもは、内部統制というのを定例監査のチェック項目に今、入れているんです。要するにガバナンスというか、内部の意識をしっかりしてくださいということを監査のときのチェック項目に入れている。それから、去年の暮れに検討して今年の1月からやっているんですが、内部統制に関するトップインタビューというのを、特に識見の監査委員が手分けをしてやっています。組織のトップ、局長とか理事長ですけれども、2時間ぐらい、内部統制の仕組みについて質疑をして、内部で不正が起きないようにしっかりやってください、それと監査と相まってやっていかないと監査の質は向上しませんよということです。これは議会で発表しましたから、全局長は知っているんですが、そういうことで、実際の監査と、トップに内部統制の意識をしっかり持ってもらうということで、しっかり担保していこうというふうにやっております。具体的な情報はありません。

○西尾委員 大阪市さんはどうでしょうか。

○大阪市代表監査委員 内部通報、あるいは外部通報というのがございまして、それを契機に自動的に監査するということは基本的にはございません。ただ、中身を全く見ないというわけではありませんで、疑惑が非常に深いということが大いに判断できるような場合は、随時監査という形で取り上げます。ですから、自動的に取り上げることはありませんが、随時監査で比較的早期に取り上げるという可能性はあります。
 もう一つだけ申し上げたいんですが、大阪市では既に内部通報制度というか、公益通報制度をやっておりまして、それに基づいて内部監察制度を立ち上げておりまして、この4月以降は内部監察部隊は市長直属という形になりますので、彼らの調査と監査との間の関係をどういう形で切り分けていくかということは今後の大きな課題だというふうに考えております。

○西尾委員 感想なんですけれども、国の会計検査院が会計検査をしているとき、やはり相当な通報が入ってくるんです。だから、検査に行くときに、ここを調べなければという当てがあるんです。それで検査院の検査というのは効果を上げているところがあるわけですし、最近は公正取引委員会が談合疑惑を調べるのも、やはり通報です。ここ一連の事件が起こっている表示偽装などという食品関係の問題も全部通報です。そして表へ出てきて調べられているんです。自治体の監査がうまく動くようにするには、通報が来るように仕組まなければいけないんではないか。それが最も大事なことなんではないか。幾ら監査委員と監査事務局が頑張っても、それは調べ切れないです。そういう仕組みをどうやったらつくれるのかということについて、何かアイデアがあったら教えてください。

○大阪市代表監査委員 通報に関しましては、大阪市は年間数百件ございます。極めて信憑性の高いものから、さまざまございまして、実際には十分手が回っていないのではないか、むしろそちらの強化をこれから図っていかなければいけないというような段階だと思います。

○西尾委員 重ねて聞きますけれども、全国の自治体の監査委員の側から職員、市民に、何か自分たちに知らせることがあったら、どんどん情報をよこしてくださいという呼びかけをしたことはないんですか。

○東京都代表監査委員 それはございませんね。

○大阪市代表監査委員 監査の側からそういう形で直接働きかけたことはございませんが、いろいろと情報が寄せられていることは事実でございます。

○林小委員長 ほかに。どうぞ。

○西尾委員 もう一問だけいいですか。全く別の話です。町村の監査委員の方に伺いたいんですけれども、先ほどの御説明で、町村といえども、今、監査委員は2人になっているけれども、最低3人にしてほしい、それから事務局を必置というふうに決めてほしいというお話がございました。お気持ちはものすごくよくわかるんですけれども、日本の市町村、基礎自治体の中には、350万の人口を超えている横浜市から、200人ちょっとしかいない村まであるわけです。例えば、一番人口が少ないのは東京都青ヶ島村だと思いますけれども、200人ちょっとの人口なんです。ここの青ヶ島村に監査委員3人を置けということは合理的でしょうか。一般的な話としては気持ちはわかるんですけれども、全国の町村に漏れなくきちんと3人置きなさいなどということが合理的だろうかということに、私は非常に疑問を持ちます。

○林小委員長 一般的にということでお伺いした上で、では、どうするかということについて、また委員間で議論をさせていただければと思っております。
 ほかに、まだ御発言、御質問いただいていない委員の方。齋藤先生、どうぞ。

○齋藤委員 齋藤でございます。公認会計士協会の樫谷さんと松本さんに2つ質問させていただきたいんですが、1つは、監査委員、あるいは監査事務局との役割分担ということで、外部監査の方はより外部性を高めて外から入るということなんですが、現状として、監査委員、事務局との間での連携といいますか、情報共有というのはどうなのか。例えば、この問題については、前回こうやったからこうだよとか、あるいは、ここがちょっと監査委員による監査では足りないから、こちらをというようなことがあるのかどうか。それから、今後の方向として、外部監査というのは外部的なものであるから、監査委員なり監査事務局と連携するんではなくて、全く外から入って、原課原局に書類を要求して、そこでやるという方向をお考えなのかという、現状と方向性について、これが1点です。
 もう一つは、細かいことで、もしデータがあれば、またいずれお出しいただければありがたいと思うんですが、議題で包括外部監査が上がっているので、それについての資料を出していただいたんですが、個別外部監査は、件数は少ないんですが、これもやはり公認会計士の方が入っていらっしゃる場合もあると思うんですが、会計士協会として、何か個別外部監査について集めたり、提言をされたり、そういうことは何かなさっておられるのか。2点目はちょっと細かいことですが、その2つです。

○林小委員長 よろしくお願いいたします。

○日本公認会計士協会 最初の点について、私の方から申し上げたいと思います。監査委員、あるいは監査委員事務局との連携というのは非常に重要でございまして、相当密接に連携しているというふうに考えております。私ども、監査のためのガイドラインというのをつくっておりまして、相当分厚いものをつくっておりまして、いろいろな事例集もありますけれども、重複しても余り意味がないということもありますし、テーマの選定についても、監査委員、あるいは監査委員事務局と相当詳細に連携をしながらやっているというのが実態でございます。

○日本公認会計士協会 2点目の個別外部監査について御説明させていただきます。お手元の資料の14ページに、研究報告第14号として「地方公共団体個別外部監査の事例」ということで研究報告を出しております。個別外部監査のパターン別にいろんな事例を集めた研究報告を出して、一般の方並びに会員の方に参考になる資料としてございます。ただ、今、個別外部監査人に何名公認会計士が就任しているかというのは、そこまでは手元に資料がないので、ちょっとわからないんですけれども、これについても、かなりの部分について、公認会計士が監査をさせていただいているというふうに思っております。

○林小委員長 予定の時間がそろそろ来るのですが、どうぞ。

○大山委員 この中で監査委員の議会選出ということが話題になっていますので、その点ちょっと伺いたいんですけれども、町村の方からは、要望ということで、監査委員は議会において選任するよう改めることと出ておりますけれども、先ほど伺っていると、市の方ではむしろ消極的なところが多いということだったんですが、それぞれ、もうちょっと、どうして消極的なのか、あるいはどうして議会選出を要望されるのかという辺りをお聞かせ願えれば参考になると思いますので、よろしくお願いいたします。

○林小委員長 よろしくお願いいたします。

○大阪市代表監査委員 それでは、私の方から。1つは、要するに現行のままで全く問題点が認識されないという現状の下で、あえて議会が選出するという形になりますと、例えば、ある都市は、国の行政、議会の立法、司法という三権分立の形に一応なぞらえて、監査機能を司法的な立場でとらえたい。そうしたときに、議会が監査委員を決めるということになると、その間のバランスが崩れるんではないかという考え方をお持ちのところがあるわけです。司法ととらえられるかどうかは少し問題があろうかとは思いますけれども、そういう形のとらえ方が1つございます。現状、最高裁判所の判事に関しましては、行政が候補者を立てて、それを議会が承認するという形になっておりますので、そういう意味では、現行の監査委員の選び方と基本的には変わりないんではないかというふうな認識をされているようです。そんな形でございます。
 それから、より積極的な問題点としましては、人口規模の大きい都市では、議会が会派に分かれている。会派に分かれていて委員を選ぶというのは、選挙管理委員会のようなものなんですけれども、会派からそれぞれ委員を立ててやりますと、収拾がつくのかなというような意見であるとか、議会が候補者を見つけることが果たしてできるかどうか、適格な候補を見つけることができるかどうかということも含めて、いろいろ問題点が提起されているという状況でございます。

○山梨県市川三郷町代表監査委員 町村の協議会の方では、例えば、小さいところですと、大変監査が手ぬるいというふうなことがあって、その監査委員が長から任命されるんだというふうなことの中で、町村にあっても、より監査制度の独立性を高めて、監査の在り方をしっかりしてやっていこうというふうなことの中でずっとこのことをお願いをしてきているところでございます。

○林小委員長 それでは、江藤委員、西野委員でとりあえず質疑応答は終わらせていただきたいと思います。どうぞ。

○江藤委員 まず、三栖会長に1点だけなんですが、監査委員5人でやられていてということが町村と比べて大分違うなと思いました。会長のお話は、合議制の議論が強調されていました。監査委員というと、私たちは独任制というんですか、基本的に1人でもできるんだよということを習っているんですが、独任制で動こうとされたり、実際やられていたかどうかの話をお聞きしたいんです。そのときに、独任制との関係で、事務局としても、その体制ができ上がっているかどうかということを1点教えてください。といいますのは、先ほど都市監査委員会長からありましたけれども、議会が選出すると会派からそれぞれ委員を立てることになり合議はなかなか難しいかもしれないと。勿論、会長は否定的だったと思うんですけれども、そういうときに独任制のことをある程度発揮していかなければいけないんではないかという文脈でお聞きしたいと思います。
 それから、町村の中澤会長には、先ほど西尾委員から気持ちはわかるという話なんですが、監査委員を3人にする議論はともかく、事務局体制についてです。共同設置については消極的でした。事務局体制ということについては必置にしないと、事務局はできないよということなんでしょうね。その辺りのことなんですが、仮に必置制で事務局を置いた後に、今後共同で何とかするという議論については問題ないでしょうかということの確認をさせていただきたいと思います。

○東京都代表監査委員 監査委員が独任制であることについては承知をしております。それはそれなりに事情があって、そうやってきたんだろうと思いますが、現在、行政の広範さといいますか、多様な知識を持っていないと、指摘していいのかどうかというのを判断するのが現実の問題として非常に難しいと思います。1人の監査委員の判断で、1人の監査委員が指摘して、それで間違いないか、ということでございます。監査の指摘事項については、だれが見ても間違いないという指摘をしなかったら、間違った指摘をしたら大変なことになる。そういうことを考えますと、少なくとも財務監査に関しては、合議制の監査でないとあり得ないと、私どもはそう思っております。多数決とか1人制というのは、受ける行政側は、その指摘に対して実効性をちゃんと担保できるかという、問題によっては微妙な反論があるわけです。全員の合議で、それは間違っていますよとやったものと、1人でやったのとでは、かなり意味合いが違うと思います。現在の仕組みの中では、1人制というのは、私はそぐわないのではないかというふうに思っております。

○林小委員長 では、中澤さん、お願いいたします。

○山梨県市川三郷町代表監査委員 先ほど申しましたような事務局の必置というふうなことで、実行されてくるというふうな段階でしますと、ある程度実績が、事務局の運営がうまくいってくれば、それはそれでいいと思いますが、今、先生おっしゃられましたように、事務局の設置を是非お願いしたいという中で、後段で、その次の段階で共同設置というふうなことが必要であれば、それはまた検討されていくというふうに思います。

○林小委員長 それでは、西野委員、どうぞ。

○西野委員 まず、最後にお話しくださいました樫谷さんにお伺い致します。包括的な外部監査の場合に、政策評価まで含めていらっしゃるのかどうか。または言い方を変えれば、住民評価、その政策の有効性というようなところまで評価していらっしゃるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
 それから、東京都と大阪市の方にお伺いしたいことですが、外部監査でいろいろなサジェスチョンがまいりますと、樫谷さんは、それを活かしている、それぞれフィードバックされたところで参考にするとか、改革の契機にするとおっしゃっておられましたが、外部評価の受け手側では、実際にどの程度それを改善に反映していらっしゃるのか、いらっしゃらないのか。あるいはどの程度の認識で受けとめていらっしゃるのかということについても伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

○林小委員長 それでは、まず最初の質問から、政策評価まで行っているのかということについて、お答えいただけますでしょうか。

○日本公認会計士協会 政策評価については、意見は言っておりません。あくまでも業績評価といいましょうか、業績についての評価でございます。
 それから、有効性の観点といいましょうか、住民評価というんでしょうか、それについては、言っておりません。あくまでも合理性、経済性、効率性というところまでは言っておりますけれども、有効性については言えない仕組みになっているというように考えております。したがって、言っておりません。

○林小委員長 西野委員、よろしいですか。

○西野委員 外部監査に関しましては、私は政策の有効性まで網羅するべきだと考えていますので、それがどの程度行われているかを伺いたかったのです。ありがとうございました。それから、後の質問に対してもよろしくお願いいたします。

○東京都代表監査委員 今の質問の受けとめ方は、要するに、包括外部監査の監査結果を、監査委員監査でどのように活かしているかというふうに理解してよろしいですか。これは、実を言いますと、第1回目の3年間ぐらいの監査は、外部監査が非常にドラスティックな指摘の仕方というか、監査の仕方であったわけです。当時、私は就任しておりませんが、監査結果を全部精査いたしましたけれども、従来の監査委員監査では発想が浮かばないような指摘の仕方が、やはり専門家の深い監査、1年かけてやるということがあるんだと思いますが、非常に深い監査がある。
 1例を挙げますと、例えば、公益法人に建物や土地代を減免をして貸している、そこが非常に利益を上げて、国に税金をたくさん納めている。これに対して、こんなに利益を上げているのなら、もっと家賃とか、土地代をしっかり時価どおり取りなさい、2,000万から3,000万取れるでしょう、東京都の収入になるでしょうということです。私どもの監査は、従来は、減免の基準に合って減免をしているかという視点での監査だった。こういう監査というのははっとする監査でした。
 それから、地下鉄の監査では、トンネルの減価償却を60年で、相当な金額でやっているわけです。そのとおりやるのは会計処理としては正しいわけでございますが、そうすると、赤字になるわけです。赤字になっているから、値上がりにつながるようなことがあるわけです。そういうことに対して、要するに、地下鉄のトンネルは60年間で埋まるんですか、60年間でまた新しいトンネルを掘るんですか、それは会計の処理の仕方はいいけれども、キャッシュベースで考えてもよいのではないですかと、こういう発想の違う指摘をするわけです。
 あるいは土地の有効利用など、非常に新鮮な指摘がたくさんあった。そういう手法に対しては、監査委員監査は十分勉強しており、現在の監査の内容は、包括外部監査のやり方を十分取り入れていますので、余り変わらないと、我々はそう思っております。

○林小委員長 では、高橋さん、お願いします。

○大阪市代表監査委員 大阪市でも、基本的に包括外部監査と監査委員監査の中身が極端に異なる、極端な指摘の違いがあるというようなことは、現状ではそれほど、そういう違いを認識しておりません。ただ、切り口が少し斬新というか、これは注目に値するなというのが幾つかございまして、そういうようなものについては大いに検討する、各局に検討をゆだねるといったような形で、包括外部監査の効果をできるだけ取り入れるような形にはしております。ですから、現状、包括外部監査は非常に役割を果たしているというふうに考えております。

○林小委員長 ありがとうございました。それでは、まだ御質問おありかと思いますけれども、この辺りで質疑応答を終わりたいと思います。本日御説明いただきました皆様には、お忙しいところ御出席をいただきまして、本当にありがとうございました。

(ヒアリング者5名退室)

○林小委員長 それでは、前回に引き続きまして委員間の意見交換を行いたいと思います。
 まず、前回御発言をいただきましたものを踏まえて、事務局から監査制度について御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○行政課長 それでは、資料3に沿って説明させていただきたいと思います。前回出させていただきました論点につきまして、前回御議論いただいたことなどを踏まえて修正をした箇所が下線を引いてある部分でございます。
 まず、1ページでございます。監査委員制度についての選任方法でございます。現在、監査委員は、議会の同意を得た上で長が選任ということでございますが、まず、公選についての方法につきましては、委員の皆様方からも、論点の3番目の○でございますが、公選による方法については、監査委員に対する住民の関心、あるいは理解度などの現状にかんがみると困難ではないかというふうな議論であったかと思います。
 その上で、対応策の検討でございます。監査委員の独立性を強化するためには、現行の長の選任による方法は見直して、議会の選挙によって選出するという方法にすることが適当ではないかという意見が委員の皆様方の大勢であったというふうに理解をいたしております。そして、議会の選挙による場合には、候補者の選考方法は議員の推薦ということ以外に公募を行うということができるなど、選択の余地を設けるようにすべきではないか。これは、できるだけ幅広い選考方法を認めるべきではないかという御議論があったわけでございまして、そういう意味で記述をさせていただいております。
 あと、議会選挙によることを基本とした上で、現行の長の選任による方法というものも選択できるようにしたらどうかという御意見もあったかと思いますけれども、現行の長の選任による方法というものを選択することを可能とするということにつきましては、監査委員の独立性を強化をしていくという観点からしますと、現在の方法をそのまま残して、選択できるということになりますと、それは今回の監査の充実・強化という観点からは適当ではないのではないかということでございます。
 次のページをお開きいただきたいと思います。委員の構成についてでございます。対応策の検討の1点目は、特に修正はしておりません。
 2点目でございます。議選委員の廃止の関係でございます。これにつきましても、委員の皆様方の御意見では、議会選挙によって選出をするということになりますと、今回の監査委員は長からも議会からも独立した形での位置づけになるということから、議選委員というのは廃止することが適当ではないかということでございます。
 次がOB制限の関係でございます。これにつきましては、前回、議会で選出するということで、適任者を選べばいいという観点から、OB制限を撤廃するということもあり得る、しかし、それについての判断を迷っているというような委員の御意見が複数あったかと思いますけれども、現行ベースで監査の強化を図っていくという意味で、現状のOB制限というものは廃止をせずに維持をすべきではないかという形で、ここでは整理をさせていただいております。
 次は3ページでございます。監査委員の権限・責任等についてでございます。このページは現行制度と課題についてでございます。次のページをお開きいただきたいと思います。4ページが対応策の検討でございます。
 まず、監査結果の報告等に対する措置状況について、何らの措置を講じなかった場合においても、その旨を監査委員へ理由を添えて通知するということにつきましては、今日もヒアリングでそういった御意見も出ておったかと思いますけれども、これについては皆さん御異論がなかったということで、監査委員へ理由を添えて通知することとすべきではないかと、前回は通知することについてどう考えるかといった表現だったかと思いますが、通知することとすべきではないかというふうに修正いたしております。
 次に、監査結果の報告や、これに添えて提出できる意見の決定について、合議を要しないこととすることが適当ではないか。これにつきましても、前回のこの場での意見では、現在、原則合議という制度になっているわけですけれども、できるだけいろいろな意見が出やすくするということが必要だという意味から、合議を要しないことにすることが適当だという御意見だったと承知しております。
 また、委員から、この監査結果の報告以外の監査委員の合議事項、いろいろあるわけでございますけれども、それについても、意思決定の方法は多数決とすることが可能というふうにすることが適当ではないかという御意見があったかと思います。
 4点目でございます。監査委員の監査について、特別な責任を新たに設けることについて検討してはどうかという御意見が前回ございました。これについては、いろいろ検討させていただきました。監査委員自身が、例えば、故意に監査で見逃したとか、そういった場合にはどのような責任があるのか。前回も若干御説明させていただきましたけれども、罷免という方法、そして、不法行為による監査委員の責任というものは現在でもございます。それに対して、地方公共団体に損害を与えるということになりますので、長が監査委員に対して損害賠償請求をすることができるということでございます。
 そしてまた、前回御説明させていただきましたように、住民監査請求の対象に監査行為自身はなっておりませんけれども、監査委員が不法行為をしたことに対して、長がきちんと請求をしないということをとらえて住民監査請求をすることはできる。これは判決等で確定しているわけでございますけれども、監査委員について、現在でもそういった責任というものは制度上あるということで、これについて、特別な新たな責任を設けるということは難しいのではないかということで整理をさせていただいております。
 次に、5ページをお開きいただきたいと思います。事務局体制についてでございます。今日のヒアリングにおきましても、事務局体制については、現行制度の下でも強化を図っていくということが重要だという御意見が複数あったかと思います。対応策の検討につきましては、前回御議論いただいた中では、運用上のそういった意味での強化を図っていくべきだという内容でございますけれども、特段の修正はなかったかと承知しております。
 次に、6ページをお開きいただきたいと思います。外部監査制度についてでございます。まず、包括外部監査の監査方法についてでございます。包括外部監査は、包括外部監査人のイニシアチブによって監査を行うという制度でございます。現在の制度に加えまして、決算の財務書類の監査を義務づけたらどうかということについて、項目として挙げておりました。その際も説明させていただきましたが、費用の面、あるいはその他の面等、十分検証する必要があるという説明をさせていただいたところでございます。この決算の財務書類の監査の義務づけということにつきましては、費用の増加、あるいは資格者が、財務書類の監査ということになりますと公認会計士に限定されるといった等の課題があることから、引き続き検討すべきではないかというふうに考えております。
 次に、7ページをお開きいただきたいと思います。包括外部監査の義務づけの対象団体等についてでございます。まず、対応策の検討の1点目でございますが、義務づけ対象団体の拡大、現在、中核市までとなっているものを特例市まで拡大するということについては、監査委員制度の見直し、今回、議会選出、あるいは合議制の見直しといった大幅な見直しを仮に行うということを踏まえますと、監査委員制度の見直しを先行して、その状況を踏まえて引き続き検討することとすべきではないかという御意見だったということでございます。
 次に、小規模団体における外部監査の導入を促進すべきではないか、あるいは外部監査の専門性をもっと向上させるべきではないかという御意見がございました。
 2点目でございますが、小規模団体における外部監査の導入を促進するために、人材確保、専門的な人材をプールしておいて、外部監査の相手方として供給していく、そういった支援をする方策について検討すべきではないか。
 3点目でございますけれども、本日もその点についての質疑があったかと思いますけれども、専門性を向上させるための外部監査人に対する情報提供を図るなどの方策について検討すべきではないかということを記述をさせていただいております。
 次に、資料4です。この資料は、地方公共団体の監査と行政評価の関係について整理をした表をつくってほしいという御要望がございましたので、作成したものでございます。
 行政評価につきましては、左側でございますけれども、事前評価と事後評価がございます。監査は事後のチェックでございますので、監査委員、外部監査人については、事後のところ、下の部分に記述をいたしております。監査委員、財務監査等々ございますけれども、財務事務、経営管理の適法性・効率性の確保を図る観点から監査をしていくということでございますし、外部監査人につきましても、こういった財務事務、適法性・効率性、こういう観点から、包括外部監査、個別外部監査、それぞれの制度が運用されるということになります。したがいまして、そこで指摘されたことが、また長部局の中でそれを反映させていくという形になろうかと思います。
 それから、今日、内部統制の話が出ておりましたので、この表には書いておりませんけれども、内部統制と監査との関係について若干補足説明させていただきたいと思います。
 企業におきましても内部統制は大変重要であるという位置づけがされておりまして、監査との関係につきましては、企業におきましても、監査役が適正であるということをきちんと保証するという形になるわけですけれども、それと内部統制の関係についてでございます。
 企業におきましても、隅から隅まで財務諸表等を見ているわけではないわけでございますけれども、それについて適正であるということが言えるということは、十分な内部統制システムがあって、それがある程度きちんと動いているという推定が働くということで、そういう仮説の上に立って抽出して監査を行っているということでございまして、そういう意味では、監査人にとって内部統制は命であるというふうに民間企業でも言われているわけでございます。先ほども御意見ありましたように、地方公共団体は内部統制がまだ十分ではないということで、こういったことについても積極的に取り組んでいかなければならないというふうに総務省としても思っているわけでございまして、内部統制のシステムがきちんと動いているかどうかということを監査がきちんと見るということは大変重要なことだというふうに認識をいたしております。
 若干時間が長くなりまして恐縮です。

○林小委員長 ありがとうございます。それでは、意見交換を行いたいと思いますけれども、今日のヒアリングの中で、独立性の問題だとか、現状でも大丈夫だというような御意見もあったやに思います。ただ、客観的に見て、いろんなところで独立性というのが損なわれているのではないかという問題意識の中で、選任の在り方ということが議論が出てきているわけでして、ただ、1つ難しいのは、自治体の規模によって随分、考え方とか、あるべき姿というのは違うということがわかりました。そういう意味では、画一的な制度というのが果たして本当にできるんだろうかというような気もするわけです。とは言いながら、ここまでは最低限考えておかなければいけない、選択肢も余り大きく広げて理想を追っても現実に動くのかどうかといったようなこともありましょうから、その辺も含めて御発言をいただいて、少し方向性を見出せればなと思っております。
 まず、選任方法から御意見をいただければと思うのですが、住民のチェックというか、そういうものも必要だということで、公選に代わるものとして、委員の選出方法は自治体が独自に考えていいのではないかというような形で、対応策の検討ということになっているかと思います。いかがでしょうか。御意見お願いをいたします。どうぞ。

○西尾委員 前回この問題を議論したとき、片山副会長は、選択の余地のある制度にしていった方がいいという趣旨のことをおっしゃって、現行制度、現在までやっている監査委員の制度も否定しなくてもいいのではないか、これも1つの選択肢であり、それよりも監査の機能を強化した議会が選出をする独立の監査委員という、そういう新しい制度と、どちらも選択できるようにしたらどうかという御意見をおっしゃったんです。今回のこのペーパーは、冒頭のところで長が任命するという方式を否定しているわけです。確かに監査の機能を強化をしていかなければならないという前提に立って考えれば、今の方式そのままでいいというのかどうかという問題はあるように思うんですけれども、私は、これからの自治制度は、国の地方自治法が画一的にこれでいけと決める制度ではなくて、自治体で極力選べる余地を残した制度の方がいいというふうに思っているので、是非とも監査委員についても選択の余地のある制度にしてもらいたいというふうに思うのです。
 例えば、2番目の○のところで、「公募を行うことができるなど選択の余地」とあるわけです。議会が選ぶに当たって、全く何も候補者がないところから選ぶのか、やりたいという人がいたら名乗り出てみてくれと言って、出てきた状況を見ながら選ぶのかという方法もあるでしょうし、議会としては、小さな議会で適任者はとても考えられない、自分たちには人選の能力がないと思うところは、首長が候補者を推薦しても構わないのではないかと私は思うんです。首長が議会の同意を得て任命するのではなくて、あくまでも議会が選出するんですけれども、2人ほどの人を選出するんであれば、この4〜5人を参考にしてお選びになったらどうでしょうかと長が出して悪いとは私は思わないです。その辺はもっと自由な、弾力的なことを幅広く考えたらどうなのかということが1点です。なるべく選択の余地のある制度にすべきではないかというふうに思うということです。
 それから、現在は、どんなに小さな町村でも監査委員は2人以上置くことが義務づけられていると思うんですけれども、先ほど質問で申しましたけれども、本当に小規模な町村で2人置かなければいけないでしょうか。私のところは監査委員を1人にするという町村があってもいいのではないかと私は思っているということです。

○林小委員長 西尾委員、公選による方法というのは選択肢の中に入れるべきですか。

○西尾委員 私は現在、入れなくてもいいと思っています。

○林小委員長 ありがとうございました。金子委員。

○金子委員 今の公選についてのお話なんですけれども、私としては、現在はできない、実行可能性がないということで見送っても、今後の検討課題にしておくべきではないかと思います。その前提としては、この論点のところに、「監査委員に対する住民の関心や理解度などの現状に鑑みると困難ではないか」ということで、逆に言うと、監査とか監査委員に対する住民の関心や理解度を高めるような仕組みというんですか、こういうものを監査の制度の中に組み込めればいいのかなという感じがしています。先ほど東京都代表監査委員の方が、住民監査請求については、いろいろ意見が委員の間で分かれることが多いというようなことをおっしゃっていました。住民監査請求でいろいろ審議をしている、最終報告を出す途中の段階で、例えば、いわゆるパブリックコメントみたいな手続を導入してみて、住民の意見を聴取するとか、タウンミーティングみたいなものを開いてみるとか、そういうような取組みをやっていくと、住民の関心や理解度も高まってくるであろうと思われるので、それを踏まえて、将来的には公選制も視野に入れて検討していくのが必要ではないかなというふうに思います。
 以上です。

○林小委員長 ありがとうございます。1つは、運用の中でそういうことをどうやってやっていくのかというところがまずあるんだろうと思うんです。それで公選制というところまでいくんだろうと思いますが、当面として、視野に入れてということを書き込むかどうかというのは非常に難しいところがあって、とりあえず委員の選出の在り方として、一方で先ほどの外部監査と監査制度との関係とか、これは恐らく自治体によって随分違うと思うんです。あるいは住民からの通報だとか、それをどのように受けとめているかということも違うでしょうし、その辺り、制度として形づくっていくのはなかなか難しいので、今後、運用の中でそういうことをいかに地方制度調査会として各自治体にメッセージを発信できるかということがまず必要なのかなという気がします。私の個人的な意見です。
 どうぞ。

○小林委員 金子先生のお話ともつながるんですけれども、制度的にというふうになると、委員長がおっしゃるように、現行では確かに難しい面があると思うんです。ですが、もうちょっと長期的に見たときに、私が先ほど東京都の監査委員の方に、住民公表について何か工夫されていることがあるのかと聞いたら、私が受けた印象は、特に何も工夫はされていないような受けとめを私はしました。住民にもっと監査の結果とか仕組みとか、そういうのを、制度として入れるのは無理にしても、そういう工夫を各自治体の監査委員の人たちがもっとアピールするような要望を地制調として出すということはあってもいいのではないのかなと思います。まず住民によく知ってもらうということをだんだんとアピールをしていく中で、将来、もし本当に公選制というのが入れられる場面が出てくるかもしれないし、あるいは出ないままかもしれないですが、ともかくそこから始めないことには何も始まらないんではないか。そういう意味で、住民公表という仕組みの工夫というのは地制調として要望を出してもいいんではないかなと私は思います。

○林小委員長 大山委員、どうぞ。

○大山委員 やはり独立性ということを考えると、私は議会選出というのが適当だと思うんです。だけれども、一方で多様なやり方を許容するという意味では、議会選出を最終的にはやるんだけれども、その候補者の出し方をもうちょっとバラエティーを持たせて、今でも議会が議決はしているわけですから、認めているわけですから、長が全部候補者を出してきて、それを議会が形の上で選挙しているというんであれば、今とほとんど変わらないでしょうし、一方、住民の中で立候補してもらって、その人を候補者として議会で選出するという方法もあり得るでしょうし、そこは各自治体がもっと自由に決めていいんだよというようなことが書ければ、それでいいんではないかなというふうに私は思います。

○林小委員長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。西尾委員もおっしゃっていただきましたように、要するに、候補者の選定は、これは首長が推薦するということもあっても構わないということで、そこは各自治体の判断にゆだねるということで、最終的には独立性を強化するためにも議会が決定するということで、そういう選任をするということで大方の合意が得られたのではないかというぐあいに判断をいたしますけれども、いかがでしょうか。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
 続きまして、委員の構成につきまして、議会が選任するという場合に、議選委員は廃止することが適当ではないかということ、これはやはり議会からの独立性ということも考えて、こういうことが必要なのではないかということと、それから、OB制限を廃止せずに現行制度を維持すべきではないかという論点でございますが、これにつきましていかがでしょうか。どうぞ。

○武田委員 先ほど質問したかったことなんですけれども、資料4の表とも絡みまして、委員に求められる専門性ということで少し確認をさせていただきながら発言したいのですが、資料4によりますと、来年度から始まります、いわゆる健全化判断比率審査、図で言いますと、真ん中の下の方にあります。要するに、自治体の財政の健全度を審査するというような機能も監査委員には求められるようになるという図示かと思います。こういうことになると、高い専門性が求められる監査制度になってきているのではないか。新年度はとりわけそうではないかという印象がありまして、従来どおりの人選で果たして本当に対応できるのかというのが私は非常に疑問に思います。従来の一般会計だけではなくて、特別会計だけではなくて、更に出資法人であるとか、場合によっては事務組合や広域連合との連結財務のチェックも必要になりましょうしということを考えますと、想定されているカバーの領域と監査委員の構成というのは若干食い違ってきてしまっていないかなというのが懸念するところです。
 そうなりますと、レジュメの方で言いますと、対応策の検討で言われている1点目の専門者の登用というところを重視した方がいいのかなと思います。しかも、自治体によって限られている、監査委員が2名で何とかというようなところであれば、そうした専門家を登用することはおよそ不可能でありましょうけれども、そうしたところにできるだけ専門性を持った人を配置できるような財政的な措置は不可欠ではないかと、ちょっと論点がずれまして恐縮ですが、そういうことです。

○林小委員長 決算審査、あるいは健全化判断比率審査というのは、内容的にどういうことを審査するのかということなんです。つまり、適正に比率が算定されているのかどうかとか、あるいはそれは前提として、専門性はそれほど必要はない、一定の基準の中で判断すればいいという話なのか、そこで恐らく変わってくるんだろうなという気もするんですけれども、専門性というのをどの程度今後重視されるのか、その辺りはいかがですか。

○行政課長 今の健全化判断比率の審査というのは、指標を見るということでございますので、それだけで専門性が非常に高くなるんだということは一概に言えないかと思いますけれども、全体的に専門性を高くしていくという要請はあると思います。平成18年の改正によりまして識見の委員を増加できることになりましたし、前回御説明しましたけれども、平成19年度現在で都道府県では、公認会計士13、税理士8、弁護士4ということで、こういった専門性を有する方々は最近かなり増えてきているという状況でございます。対応策の検討に書いているのは、そういう意味で積極的にこういった方々の登用というのは促進していく必要があると、こういう現状認識を持っているということでございます。

○林小委員長 いかがですか。よろしいですか。それでは、委員の構成につきまして、ほかに御意見ございませんでしょうか。ヒアリングでは議選委員もそれなりに意味があるのではないかといったようなことがあったと思います。どうぞ。

○幕田委員 これは監査委員そのもののことではないんですけれども、先ほど東京都の代表監査委員の方が報告された中に、事務局の人数の話があって,たしか80人とか90人というかなりの人数を抱えているということでした。私の会社を考えても、監査および考査の事務方は大体20〜30人はおります。これは常時稼働しているわけです。ですから、監査委員の方が効率よく機能を発揮するためには、事務方が効率よく動かないとだめだと思うんです。
 会社の話をさせていただきますと、日常的にチェックする仕事というか、計数的なもの、例えば、伝票類とか、常に片づけておかなくてはならないような仕事があるわけでございます。それ以外の仕事もあると思いますが、事務方で常にやっておく仕事というのが多分どこでもあるはずなので、それをなんらかの方法で制度化したおいた方が能率が上がるんではないかなということを申し上げたかったんでございます。ただ、都市の規模で、人口が何十万人以上のところはこういう組織でこうやらねばならないというような決め方の方がいいのか、それはまだわかりませんので、問題点としてだけ申し上げたいと思います。

○林小委員長 ありがとうございます。では、江藤委員。

○江藤委員 私もまだまとまらないんですけれども、現行制度だと、やはり議選がいた方が執行機関をチェックしやすいかなということを思っているんですが、議会が選任するということであれば、議会側にシフトしているかなという気もするんです。一応、執行機関からの独立性ですね。今後の監査委員のイメージなんですが、要するに専門家を登用するか、あるいは市民的な感覚を有する人を、そういう構成で執行機関をどのようにチェックできるのか。それを保証できるような制度があれば、これは外しても全然構わない。現行の制度だと、議会側の請求というのは議決です。過半数になるんでしょうか。そうすると、一回議会で選びましたよ、あとは中立性ですよということで、議会側からも中立性だから、縛りをかけるのも変なのですが、議会の側からの監査請求の権限をもうちょっと強めていかないと、従来のように議選を入れたことによるチェックの強化が弱まってしまう可能性もある。どのような制度設計をしていいかわからないんですが、その辺もちょっと留意したいなということです。

○林小委員長 議会選任ということになると、議選委員は廃止する、その上で、ではどうするかということですね。では、ここで言う対応策の検討としては、あと一工夫、二工夫要るけれども、このような形で。

○江藤委員 機能していかないのではないかなというところを留意点として一言述べさせていただきました。

○林小委員長 それでは、OB制限につきましては、廃止せず、現行制度を維持すべきということにつきまして、これはいかがでしょうか。こういう形でまとめさせていただいてよろしいでしょうか。どうぞ。

○小幡委員 それでよろしいと思うんです。西尾先生もおっしゃいましたし、片山副会長もおっしゃったように、なるべく選択の道というのは、確かにそうだろうと思うのですが、監査制度というのは、普通のほかの組織のものと比べると、やや必置といいますか、制度をきつめに義務づける必要性が高い部分だと思うんです。ですから、本来は議会に任せるわけだから、OB制限なども取り払っていいというふうな筋も勿論あり得ると思うんですが、ここはある程度の歯止めをしておいた方がよいのではないかと、そういう意見です。

○林小委員長 恐らく時代とともにその辺りの考え方も変わっていくんだろうと思うんです。ですから、当面こういう形でということで御承知いただければと思うのですけれども、これはこれでよろしいでしょうか。委員の構成につきましては、対応策の検討というところで書き込まれていることでおおむね合意をいただいたということにさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 3時10分になっておりますが、事務局、どうしましょうか。

○自治政策課長 せっかくの機会でございますので、この場は3時半まで使えることになっておりますので、委員の皆様方さえよければ後をお続けいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○林小委員長 いかがですか。3時までということで、別の御予定を立てていらっしゃる方がいらっしゃるかもしれません。もう予定が入っているという委員の方は無理に残ってくださいとは申し上げられないと思いますが、もしよろしければ、もう少し時間をいただければと思います。金子委員、残っているところでこれだけは是非ということがもしありましたら、一言おっしゃっていただければと思います。

○金子委員 私といたしましては、事務局体制が非常に重要だと思うので、先ほどのヒアリングで共同設置に否定的な話もありましたけれども、やはりこれは共同設置を促進するのを方向性として、これはこれでよろしいのではないかなというふうに思います。
 あと、包括外部監査については、これは引き続き検討ということかなと思いますし、義務づけ対象団体等についてのところでは、重要なのは対応策の検討の3点目、外部監査人に対して情報提供を図るなど、こういうことを十分に図っていかないと、なかなかうまく働いていかないので、ここは重要だと思っております。
 以上です。

○林小委員長 では、西野先生。

○西野委員 私もただ今失礼させて頂だかなければなりませんので、一言、付け加えさせて下さい。7ページのところでございますが、包括外部監査の義務づけの対象の2つ目のところでございます。小規模団体の場合については、私はむしろ外部監査が非常に重要だと思いますが、これにはコストの問題がネックになっているかと思います。このハードルをクリアーするには、例えばイギリスの地方自治体監査委員会のような形のものを、複数の自治体でつくりまして、中央政府からは独立した機関として外部監査を行う方法が考えられます。そういう形のものであれば、各自治体が個別に単独で行うより安いコストでできると思うのです。そこでは政策の有効性や住民評価などを含めた政策評価も可能になり、はじめて意味のある包括外部監査が実現すると考えます。

○林小委員長 よろしいでしょうか。もう少し続けさせていただきたいと思います。それでは、監査委員の権限・責任等につきましては、対応策が4ページのところに書かれております。先ほどのヒアリングでも、対応策の検討の1つ目の○のところは、ヒアリングの方々もこのようにすべきではないかという御発言だったと記憶しておりますけれども、これはこれでよろしいでしょうか。
 あとは、下線が引かれているところ、2つ目の○で、意見の決定について、合議制というところがちょっと悩ましい問題だと思います。これは少し議論をしないといけないのかなという気もしますが、メリット、デメリット、両方あるんだろうと思うんです。金子委員から、問題というか、テーマによって決定の在り方ということを書いていいのではないかというような御発言がありました。ただ、こういう場合はこうだということはなかなか申し上げにくいので、その辺りも、ルールづくりというのは、それこそまた選択肢があるというような形でいいのではないかというようにも思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

○齋藤委員 2番目の合議の話なんですが、先ほどのヒアリングですと、財務監査については合議で全員一致でないと、行政なり執行部に対して重みがないという、現状制度での御説明があったわけですけれども、今後、監査委員の専門性、独立性をどんどん高めていって、分担してやるということになれば、通常の監査についても単独で意見を出せる、少なくともそういう選択肢を認めておく必要がむしろあるんではないかというのが1点です。結果としては、2つ目の○は、合議を要しないことがあってしかるべきだということです。
 併せて、3つ目の○については、これはヒアリングでも、住民監査請求の場合など、意見が分かれることが審議課程であるということでしたから、それはむしろ、そういうのがあるんであれば、透明性を高める、あるいは住民に対して説明するという意味でも、多数決ということをここに書かれているように認めた上で、少数意見についても付記するという方向が妥当なのではないかと考えます。

○林小委員長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。現行制度を前提にした議論と、今後、監査制度を少し変えていくんだということになったときのありようとが違うと思うんです。そういう意味で、規模の違いだとか、温度差もあるでしょうから、そういうときには選択肢を認めながら、よりよい方向に前進をしていくと、そういう制度であればいいのではないかという気がいたしますので、この辺りも、早く結論を出したいわけではありませんが、今、齋藤委員が言われたような形で、少し選択肢を認めるということで検討を進めていければと思うのですけれども、いかがでしょうか。どうぞ。

○小幡委員 対応策の検討の4つ目の○で、「責任を新たに設けることは困難」ということになっていて、先ほどの町村の方の、ほぼボランティアのような御様子を聞けば、今の状況も踏まえれば無理というのは私もよくわかるんですが、本来はああいう形ではなくて、もう少し専門性の高い方が責任を持って監査をするというのが町村でも求められる姿であって、そうなったときに、本来は会計職員の責任のように、特別な責任を設けた方がよろしいと思っているのですが、現状が違うということで、やむを得ないのかなと思っております。
 ただ、民間会社と比較して監査委員の方の責任は真っ白となっていた前の資料がございましたけれども、確かに住民訴訟で直接的には監査委員は対象にならないんですけれども、ひどい監査がされて、結果的に非常に自治体に損害が及ぼされたという場合は、先ほど事務局から説明がございましたけれども、長が監査委員に対して請求すべきところを、もし長が怠っていたとしたら、その長が監査委員への責任追及を怠ったということについて、住民訴訟というのは可能です。そういう意味では、そこは白くないというような形で、とりあえずは理解するしかないのかなというふうに思いました。

○林小委員長 これもやはり今後の監査制度をどうするかというところの中で議論をしていかなければならない部分もあるので、今、小幡委員が言われたような形で、責任はないことはないんだということですね。

○行政課長 今、小幡委員御指摘の前に提出した資料については、そこの部分は十分書いた形にして、もう一回、資料としては提出させていただきますので、誤解のないようにさせていただきます。

○林小委員長 ほかにいかがでしょうか。御意見ございませんでしょうか。時間切れになればまた継続でやりますので、御発言をいただいた方がよろしいかと思いますが、いかがですか。よろしいですか。
 それでは、事務局体制は、今日のヒアリングでも非常に重要であるというお話でございました。ただ、これも、強化するということの余地はかなり残されているので、あとは外部登用を制度化するのかとか、そういう話になってくると、これもまた制度で画一的に決めてしまうということもなかなか難しい部分もあるのではないかという気がいたします。そういう意味で、対応策の検討というところは、これは今まで御意見をいただいたもので修正はございません。こういう方向で、やはり今後検討していくということなのではないかというような、ちょっと歯切れが悪いですけれども、そういう形で対応していくということなのかなと思います。どうぞ。

○江藤委員 今、委員長が言われたように、制度で決めてしまうのも変だよという話です。ただし、今の話は事務局があっての話だと思うんです。町村の現状ではないんです。共同設置も重要だというけれども、もともと現状ではなくて、そういうところが変な中で、条例でできるからいいだろうと言われても。今の財政危機の中で、なかなかできないんです。本来は必置制ではなくて任意にしていくというのが、私も自治制度からすると筋だろうと思うんですが、小幡委員も言われている最低限のところはしっかりと制度化するということが必要なのではないか。最低限のところをどこを取るか、これこそ議論があるところなんですが、都道府県は事務局設置必置なんだよ、市町村は任意だよ、これはどういう根拠になっているか、ちょっとわからないんです。
 それから、執行機関は膨大な力を持っていますから、それをチェックしていくためには事務局体制というのは、私は最低限に入るんではないかと思います。事務局があってからの共同設置の議論は、勿論、大賛成なんですが、ただ、まずあることから出発するんではないか。その意味でも、必置制の緩和に逆行するのかもしれないですが、つまり、それぞれの自治体でと、それはそのとおりなんですが、現状ではなかなか難しい中での必置制というのは考えてもいいし、それがないと進まないんではないでしょうか。幾ら監査委員をいじくっていっても、事務局体制がしっかりできないようなところでは動かないんではないでしょうか。

○林小委員長 ありがとうございます。先ほど中澤さんからも、町村で必置だというような話もありました。ただ、共同設置ということがその次の段階として出てきます。つまり、単独ではできないということであれば、当然共同設置せざるを得ないわけです。これはかなり大きな問題だと思いますので、ここで結論を出すのは難しいかと思います。ちょっとペンディングにさせてください。
 事務局体制、それ以外に何か御意見ございませんでしょうか。どうぞ。

○武田委員 意見というよりも、こういうことが考えられるかどうかということを調べていただきたいんです。つまり、事務局を共同化して、監査委員はそれぞれで選任するということはちょっとイメージできないのです。共同設置という場合に、事務局を共同設置にして、監査委員も共同化というのはあり得るんだろうか、制度的に可能かどうかというのを検討していただきたい。
 それと、先ほど西野先生が言い置かれていった第三者機関のようなものを共同機関として設置するという選択肢もありだろうか。共同機関的なものが、小規模な自治体に関してはピアレビューみたいな形で監査機能になっていくというのは考えられないかなというのが御検討いただきたいところです。

○林小委員長 どうぞ。

○大山委員 今、武田先生が言われたことは私もちょっと考えたので補足しますけれども、各町村で、そこの人が委員に入っているというのはやはり必要だと思うんです。だけれども、識見委員の方は兼務とか、もうちょっと柔軟な、要するに共同で委員を任命するというようなやり方ができないかなと私も思います。

○林小委員長 1つは事務局の独立性というところから出発をしているわけですけれども、やはり監査制度をきちっと強化するためには事務局体制の強化が不可欠だというところで、強化するためには、とりわけ小規模な自治体の場合に、どのようにすればいいのかということについて、今後対応を検討するということで、これはすぐに答えが出るわけではありませんので、検討をお約束するということで進めさせていただければと思います。
 それでは、事務局体制につきましてはよろしいでしょうか。検討ですから、御意見を後ほどまたいただく、あるいは事務局の方に、こういうアイデアがあるよといったようなことも含めてお知らせいただければと思っております。
 それでは、時間がなくなってまいりましたので、区切りがいいということもあるので、本日の専門小委員会はこれで終了させていただきたいと思います。今後どのような形で進めるかにつきましては、また事務局、会長、副会長とも相談をしながら御提示させていただきたいと思っております。
 それでは、事務局から今後の日程等につきまして、説明をお願いをいたします。

○自治政策課長 本日は長時間どうもありがとうございました。
 次回の日程等でございますけれども、既に御案内いたしていますとおり、4月25日金曜日の2時から、次回はここではございませんで、全国都市会館の第1会議室で実施させていただきます。
 また、委員の皆様方、誠にお忙しいと思いますので、本日の資料の中に、委員の皆様方の5月、6月の御都合を伺う資料を入れております。大変恐縮でございますけれども、来週の月曜日、3月31日までに事務局に御返送いただきますよう、よろしくお願いします。それを受けまして、また今後の日程等については調整させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

○林小委員長 どうぞ。

○行政課長 先ほど林小委員長からお話ございましたように、また御相談させていただきたいと思いますが、前回もちょっと申し上げたんですが、6団体からヒアリングということを次回できればというふうに考えております。監査の最終的な論点等についての議論もまた引き続きしていただければというふうに思っております。また御相談させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○林小委員長 それでは、これをもちまして本日の専門小委員会を閉会いたします。長時間どうもありがとうございました。



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