会議資料・開催案内等



29次地方制度調査会第9回専門小委員会 次第



平成20年4月25日(金)14時00分〜16時00分
全国都市会館  第1会議室(3階)


1   開会


2   議題


  1) 監査に関する意見聴取、質疑応答

家元 丈夫   全国都道府県議会議長会 会長
京都府議会議長

川口 浩   全国市議会議長会
地方分権改革・道州制調査特別委員会 委員長
福岡市議会議長

原 伸一   全国町村議会議長会 会長
福岡県田川郡赤村議会議長

  2) 委員間のフリーディスカッション


3   閉会


配付資料(PDF)
 
資料1   (全国都道府県議会議長会提出資料)
資料2 (全国町村議会議長会提出資料)
資料3 監査機能の充実・強化を図るための具体的な方策に係る論点(修正)
資料4 監査制度について(追加提出資料)
資料5 地方公共団体と株式会社における監査機関の比較(再提出)





○林小委員長 それでは、時間がまいりましたので、第9回専門小委員会を始めさせていただきたいと思います。
 本日は、監査に関する意見聴取を45分、質疑応答を30分程度、そして最後に委員間のフリーディスカッションといった組み立てで進めたいと思っております。
 本日、監査に関する意見聴取に3名の方にご出席をいただいております。ご紹介をさせていただきたいと思います。
 全国都道府県議会議長会の会長でいらっしゃいます家元丈夫様。
 全国市議会議長会、地方分権改革・道州制調査特別委員会 委員長の川口浩様よろしくお願いいたします。
 全国町村議会議長会の会長でいらっしゃいます原伸一様よろしくお願いいたします。
 それでは、皆様からそれぞれ15分を目安にご説明をいただきたいと思います。
 それでは、家元様よろしくお願いをいたします。

○全国都道府県議会議長会 ご紹介をいただきました全国都道府県議会議長会会長の京都府議会議長の家元丈夫でございます。よろしくお願いします。
 委員の皆様におかれましては、監査機能の充実・強化について、精力的にご検討いただいておりますことに深く敬意を表したいと思います。
 本日は、監査委員制度について発言の機会を与えていただき誠にありがとうございます。
 今回の発言に当たりまして、全国議長会は、各都道府県議長に意向調査を行いました。そこで、まずその結果の概要について説明をさせていただきます。ただし、今回の各議長のご意見は、議長個人のものであり、議会を代表しての意見でないことをまずお断りをしておきたいと思います。
 監査委員制度の在り方につきましては、各議会やあるいは全国議長会の中では議論を行っていないということから回答を留保している県も多くて、あくまでも現時点での考え方としてご検討の参考にしていただければありがたいと思います。
 今回の意向調査は、現在本小委員会で監査委員制度について議論されている論点に沿って実施をいたしました。資料をごらんいただき、説明をさせていただきます。
 まず監査委員の選任方法についてであります。資料1ページの監査委員を、議会の選挙とすることにつきましては、回答保留も多くなっておりますが、賛否を明らかにしている中では、反対の意見が若干上回っております。議会の選挙とすることに反対の理由としては、現行制度で特に問題がないとする意見が多く、また選挙となると会派間の調整が必要になり、むしろ長において広く適格者を人選するほうが望ましいのではないかという意見もございます。
 逆に議会の選挙とすることに賛成の理由といたしましては、監査委員の独立性の確保と民意の反映が挙げられています。また、執行機関を監視する立場である議会が監査委員を選挙とすることが本来のあるべき姿であるという意見もございました。
 なお、資料2ページの議会の選挙とする場合、候補者の公募を行うことができるなど選択の余地を設けるようにすることにつきましては賛成とする者が多くなっておりますが、その理由としては、選挙の仕組みの選択肢の1つとして設けられるものであれば差し支えないというものであります。
 逆に反対する理由としては、議会の選挙とするならば、議会の責任において適任者を選任すべきであるというものであります。
 次に資料3ページの監査委員の選任を議会の選挙によるか、または現行の議会の同意を得た上で、長の選任によるか、選択できる制度とすることにつきましては、地方分権の精神にかんがみ、選択制とすべきであるとして、賛成する意見と、監査委員制度は、自治制度の中でも基本的な制度なので、法律で一律にすべきであるとして反対する意見が拮抗しております。また、回答保留も多くございました。
 次に委員の構成についてでありますが、資料4ページの議会による選挙制度とした場合の議選委員の廃止の問題ですが、廃止には反対であるという意見が大勢を占めています。理由としては、執行機関の監視は議会の重要な機能であることから、議員が監査委員になることは、行政の実情を把握し、議会の機能を発揮する上でなお有用であること、議員が監査委員に参加していることが、監査の公正と機能の充実に寄与していることなどが挙げられています。
 それに対して、議選委員を廃止してもよいという意見も少数あり、その理由として、議会は監査委員とは別途の立場で監視機能を発揮すべきであることなどが挙げられております。また、回答保留もたくさんございました。
 なお、資料5ページの議会による選挙制度と改め、議選委員を残した場合でも、議選委員の人数は制限すべきという意見が多く出されております。
 資料には書いてございませんが、その他の論点についても意向調査をしておりますので、若干紹介いたしますと、議会による選挙制度とした場合の職員OBの就任制限につきましては、現行程度の制限は必要であるという意見が6割を占め、また監査委員の意思決定方法につきましては、合議制を前提としながらも、場合によっては多数決や少数意見の併記も必要であるという意見が多く出されております。
 また、監査機能の充実・強化のための方策について意見を聞きましたところ、事務局体制の強化を指摘する者が多く、事務局の人事面での独立性の確保、専門知識を有する者の期限付任用などの意見が出されております。
 最後に、議会としての監視機能の強化につきましては、現行では議会が決算を認定しない場合でも、決算の効力に影響はありませんが、今後、議会が認定しない場合の長の説明責任について検討する必要があるとの意見が出されています。
 以上が意向調査の概要であります。
 意向調査のこれらの結果を踏まえまして、監査委員制度をめぐるさまざまな論点の中で、2点に絞って、私個人の考えを述べさせていただきたいと思います。
 1点目が、監査委員を議会の選挙に変更することの是非、2点目が議選委員の枠を廃止することの是非についてであります。
 まず議会の選挙に改めることにつきましては、監査委員の独立性の強化という観点からは評価できる点があると思います。
 ただ、次のような点について検討する必要があります。選挙管理委員の選挙についての実態を申し上げますと、多くの県が投票ではなく指名推選で委員を選任しております。これは事前に会派間の調整を行っている結果と推測されますけれども、監査委員も選挙で選任されることとなれば、事前に会派間の調整が行われる可能性は大きいと考えます。
 選挙管理委員の職務権限は選挙に関する事務に限定されており、委員も政党への所属を前提とした制度となっているのに対しまして、監査委員の職務権限は、当該地方公共団体の広範な事務を対象とすることから、常に公正不偏の態度を保持することが法律により要求されています。
 議会の選挙という仕組みへの移行によりまして、監査委員の独立性は向上し、議会の権限も強化されることとなりますが、一方、現在の議会の体制で広く適任者に関する情報が得られるかどうかということに加えて、会派間の調整など人選に政治的な要素が加わることはある程度避けられないと考えます。このことと監査委員の公正不偏性の要求とのバランスをどのように考えるのか、その点がまだ十分に明らかにされてはいないと考えます。
 今回の意向調査においても、議会による選挙制度の移行に反対の意見が多く出されましたのは、監査委員の選任に議会が選挙するという仕組みは理念的にはわかるとしても、実際上選出のイメージがはっきりしないことも賛成に踏み切れない理由の1つとしてあるのではないかとも考えられます。こうした点について十分ご検討をいただきたいと考えます。
 次に議会による選挙制度への移行に伴う議選委員の廃止についてであります。二元代表制において、議会の最も重要な役割の一つは、住民の負託を受け行政全般をチェック・監視することであります。そもそも議選委員の枠を設けているのは、多様な住民意思を代表して行政全般をチェック・監視する役割を有する議会の構成員が監査委員となることによって、監査委員の監査機能を強化することにあるのです。選挙という洗礼を受けた議員は、県民の、あるいは府民の意見を幅広く反映しながら、当該団体の行政全般にわたって幅広い見地から監査を行うことができ、監査委員として強い意見を述べることができます。その結果、監査結果の実効性を高めることができます。事実十分にその役割を果たしていると考えます。議員は専門家という立場よりも、住民との接触など日頃の議員活動及び議案等の審議を通じて得た当該団体の事務全般に対する幅広い知識を持って監査を行うという存在意義を有しております。今後、財政健全化法の施行や会計制度の見直し等に伴い、監査事務はより専門性が高まることとなりますが、監査委員の仕事は、いわゆる財務監査だけではなく行政監査も含まれるのであり、むしろそのような状況の中でこそ住民の意識と乖離しないためにも議選委員の存在意義は高まると考えます。
 今後、地方分権時代となり、自己決定、自己責任が重視されるようになりますと、議会で意思決定をした政策が、当初の意図どおりの成果を上げているかどうか、議会としての行政評価や政策評価など監視機能の向上が益々求められることとなります。議員は議会の中で執行機関とのやりとりや議員同士の議論の中で行ってきた行政監視活動や政策立案活動を監査委員としての活動に活かすことができ、逆に議員が監査委員に加わり、個々の行政活動を実地に監査することにより、多くの知見を得ることができ、そうした経験を議会における諸活動に活かすことによって、より議会の機能を高めることができるという相乗効果が期待できると考えます。
 私は仮に監査委員の選任方法が変わったとしても、こうした議選委員の必要性や有用性については変わるものではないと思います。委員の皆様方には、住民代表である議員の監査委員就任への道を閉ざすことが本当に監査機能の充実・強化につながるものなのか、ひとつご検討を賜りたいと考えます。
 なお、議選委員の短期交代の弊害が指摘されることがありますが、この点については、各議会において改善すべき点があると考えます。ただし、多くの議員が監査の実務に触れることによって、議会の監視機能の向上等に資する面もあると考えます。
 以上、2点について、すなわち一つには、議会による選挙制度の導入については、選挙という仕組みと公正不偏な人選という要求とのバランスについて十分検討する必要があるのではないかということ、二つには、議会による選挙制度の導入に伴い、議選委員の枠をなくすことに対しては、ぜひ慎重な対応をお願いしたいということを申し上げました。
 いずれにしましても、監査機能の充実・強化と議会の監視機能の充実・強化は相互に関連しております。本会としては、既に第28次地方制度調査会に対し、一つ、議会の監視権の明確化、二つ、公社等に対する監視機能の強化、三つ、決算不認定の場合の首長の対応措置を義務づけること等々といった議会の監視機能強化策を要望してまいりました。
 この件につきましては、いずれ改めて発言の機会があろうと思いますが、専門小委員会におかれましては、監査委員制度と議会制度の両方について、十分目配りをいただき、全体としてのバランスがとれ、かつ実効性のあるチェックシステムを構築していただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 以上で、私の発言を終わります。ありがとうございました。

○林小委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、川口様よろしくお願いいたします。

○全国市議会議長会 全国市議会議長会の地方分権改革道州制調査特別委員会の委員長を務めさせていただいております福岡市議会議長の川口でございます。
 本日はこのような発言の機会をいただきまして誠にありがとうございます。私ども全国市議会議長会では、第2期地方分権改革の推進に向けて議論を深めるために各所管別の委員会の委員長のほか、人口規模別に選出した委員からなります本特別委員会を設置しているところであります。本日ご質問のありました監査制度の在り方につきましても、本委員会で議論したところであり、その議論を踏まえ、以下意見を述べさせていただきますが、全国市議会議長会として、意見集約あるいは機関決定するにはいまだ至っておりませんことをあらかじめお断りさせていただきます。
 まず、第29次の地方制度調査会では、チェック機能の充実として監査機能の充実・強化と議会制度の在り方について審議されると承知しております。地方分権の進展に伴い、自治体の果たすべき役割は益々大きく重要なものとなってきております。一方で、その役割を果たしていくためには住民に信頼される自治体であることが不可欠であります。
 先般の夕張市の財政破綻をはじめ各地の談合不祥事などを背景といたしまして、各自治体の内部統制の在り方について不信の目が向けられました。私ども議会は、執行機関に対する監視機関としてその役割を十分に果たしてきたのか、まさに反省すべき点も多々あるのではないかと自省・自戒しているところであります。
 今回、地方制度調査会で監査制度の在り方についてご審議されることは、まさに時宜を得たものと考えており、また、これから議会制度の在り方についてもご審議いただくことは誠にありがたく、議会機能の向上に向けて適切なご提言をいただくよう期待いたしております。
 それでは、まず第1点目の監査委員の選任方法であります。
 現在の議会の同意を得て、長が選任する方法から、議会の選挙により選出する方法としてはどうかということで議論が進められていると承知しております。ご案内のとおり、監査委員の監査の対象はそのほとんどが長の所管に属するものであります。いわば監査を受ける者が監査を行う者を選任する形となっております。長から選任されたからといって、監査委員が長に遠慮する、あるいは長寄りになるということがないと思いますが、そのような疑念を持たれること自体適当ではないと考えます。
 住民代表として執行部に対する監視機能を担う議会が監査委員を選挙することにより、選出する方法とすることは監査委員の独立性を強化、担保する方策として誠に適当であると賛意を表するものであります。なお、その際、候補者の選考については、各議会がそれぞれの自治体の実態に即して適宜・適切に行うべきものであり、例えば公募や長の選択の余地を残すなどの条件は付さないほうがよいのではないかと考えます。
 次に、第2点目の委員の構成として議選委員の廃止についてであります。
 この点に関し、私ども特別委員会では、昨年の秋、全市に対しまして意向調査を行いました。昨年秋の調査でありますから、現行の長が選任する方法を前提としての調査であります。その結果によりますと、回答のあった777市のうち議選委員が「必要である」が394市(50.7%)、「必要でない」が87市(11.2%)、「どちらともいえない」が274市(35.3%)となっており「議選委員が必要である」という意見が多数でありました。
 「議選委員が必要である」とする市からは、例えば識見委員の専門性に加え、住民代表である議員が市民の目線から監査を行うものであり必要である。議選委員は市民の要望を踏まえ、予算・決算の審査等を通じた自治体の行政全般にわたる幅広い知識、経験から監査を行うものであり必要である。議会による実地検査権が付与されていない中で議選委員が必要である。長に対する独立性を担保するために議選委員が必要である。長が選任する委員と長部局との人事交流による職員での事務局という中で、独立性を確保し、監視機能を強化する上では議選委員が必要であるなどの意見が寄せられております。
 今回の専門小委員会では、議選委員について監査委員を議会選挙により選任する場合、議選委員は廃止することが適当ではないかとされていることも承知しております。議会で選挙するからということで、論理必然的に議選委員は廃止ということにはならないと考えますが、議員とはいっても当該自治体の内部にあるものである以上、これも排除し監査委員の専門性、独立性を強化するという見地から、議選委員を廃止するという考えであれば、それも1つの方策としてあり得るとは考えます。しかしながら制度改革を行うに当たっては、単に理念によるのみならず、その実際について十分把握しておく必要があると考えます。
 監査委員による監査は広範多岐にわたっており、その執行に当たっては膨大な作業を要します。そのため監査委員を補助し、その事務処理に当たる監査委員事務局職員の献身的な活躍なくして監査は成り立たないといっても過言ではありません。しかしながら現在監査委員事務局職員はそのほとんどが長部局との人事交流によるものであります。すなわち、つい先日まで長部局で勤務し、監査を受ける立場にあった者が、きょうは監査を行う側にある。きょう監査を行う側である者が、あすは監査を受けるほうになるということであります。
 このように、長の人事権の範囲内にある者が監査委員事務局職員として、厳正、中立な立場で長部局に対し厳しく監査していかなければならないわけでありますが、毅然として事務処理を行うその大きなよりどころとなっているのが議選委員の存在ではないかと考えております。議会を背景とし、議会から選ばれてきた議選委員が後ろ盾になっているのであります。したがいまして、議選委員を廃止するのであれば、このような監査の実態にかんがみて事務局体制の確立が不可欠ではないかと考えるものであります。そのような事務局体制の強化、確立なくして、単に議選委員を廃止するのであれば、かえって監査が形骸化し監査の実効性が損なわれるのではないかと危惧いたします。
 なお、議選の監査委員については、現行制度のように議選委員の選任を義務づける、あるいは専門小委員会でのご議論のように、議選委員そのものを禁止するという考え方のほかに、議選委員の存置そのものを議会に委ねるという考え方もあるのではないかと考えます。また、もし仮に議選委員を禁止するのであれば、議会が議会として監視機能を十分に果たせるよう、例えば実地検査権を付与するなど議会の監視機能向上のための方策をぜひご検討いただきたいと存じます。
 次に監査結果の報告等に対する措置状況について、何らの措置を講じなかった場合においても、その旨を監査委員へ理由を添えて通知すべきではないかとの考えについては、まさにそのとおりであると賛意を表します。また、監査について、委員の合議を要しないとすることについてでありますが、監査委員それぞれの多様な意見、指摘がそのまま公になるものであり、監査対象の実態がよりよく示されるということでまさに望ましいものであり賛意を表するものであります。
 次に外部監査についてでありますが、監査委員による監査が、いわば広く、浅くであるのに対し、外部監査は狭く、深くであり、両方相まって監査の実があるものと考えております。しかしながら外部監査については多額の費用を要することから、その費用対効果をどう考えるかなかなか難しいものがあります。私どもといたしましては、その費用対効果をどう考えるか、あるいは外部監査を行う者をどう確保するかなど外部監査制度の拡充・強化について、その方向性を見出し得ていないところであります。
 以上でありますが、最後に監査の強化は、単に法律家や会計士等の専門家を登用することのみでなし遂げられるものではなく、個々の事務処理の背景にある政策判断や行政運営の妥当性を住民の目線に立って監視する議会の機能強化と相まって実現するものであると考えております。
 今後の審議に当たられては、監査の強化と併せ、議会の在り方については、議会の権限行使の方法や組織及び運営について、それぞれの議会の自主性、自律性に委ね、議会自らの判断により、その権能を行使できるようさらなる抜本的な制度改正を図っていただくようお願い申し上げ、私の意見といたします。ありがとうございました。

○林小委員長 どうもありがとうございます。
 それでは、原様よろしくお願いいたします。

○全国町村議会議長会 原であります。どうぞよろしくお願いをいたします。
 このたび、当専門小委員会において意見を述べる機会をいただき感謝を申し上げる次第であります。
 先ほど来、都道府県議会及び市議会からの発言がありましたのでなるべく重ならないようにしたいと存じます。また、町村における監査の実情等につきましては、去る3月26日のヒアリングの際に、中澤参考人からの発言もあったようでありますから、それらを踏まえて、特に議会との関連でいくつかの意見を申し上げてみたいと思います。ただ、当調査会の審議における論点については、すべて会としての機関意思決定をしているわけではなく、会の中で意見聴取をしました内容を参考に意見を申し上げますので、その点、お含みおきいただきたいと存じます。
 1点目に監査委員の選任につきましては、かねてより、お手元の配付資料のとおり、監査委員の独立性を確保するため、監査委員は議会において選任できるよう改めることとの制度改正を要望してきておりますので、当調査会におかれましても、そのような方向になることを期待するものであります。
 また、これに関連して、候補者の選考方法については、公募などの選択肢を例示することに対し賛否両意見がありまして、確かに公選や公募の方法は、監査委員の選ばれ方としては、監査を受ける側からの独立性という観点からイメージとしてはわかりやすいと思いますが、一方、実際は本当に監査委員としてふさわしい人が確保できるのか、あるいは町村の実情では果たして手を挙げてくれる人がいるかどうかという懸念があることも事実であります。また、選考方法はそれぞれの地域の実情に応じて議会の自主性に任せるべきとの意見もあります。
 2点目に委員の構成についてでありますが、ご案内のように、議員選出の監査委員は、明治以降、我が国の自治体監査において、議会が執行機関を監査してきたという歴史的沿革に由来するもので、地方自治法の施行以降、議選の監査委員は町村における監査をしっかり支えてきたところであります。確かに議選の監査委員については、名誉職的なイメージやその専門性で否定的な評価もあることも承知しておりますが、議員の中にはまさに人格、識見とも監査委員にふさわしい人材はたくさんいるわけでありまして、住民の代表として幅広い見地から行政全般を監査する面において、また、監査の実効性を担保する上でも外せないといった意見もあります。一方、議会も監査を受ける立場になるわけでありまして、議選の監査委員をやめることによって監査の独立性が強化されるのではないかといった意見もあります。いずれにしても、町村で監査委員にふさわしい人であれば、議員であれ、OB職員であれ選任すればいいわけで、町村の判断に委ねる方法もあるかと存じます。
 3点目に監査事務局については、私どもはまず事務局は置けるようにと要望してきましたが、平成9年の法改正でようやく市と同じように置くことができることになりました。それまでは町村においては、長い間、地方自治法に基づいた監査事務局は置けないとされてきました。法改正後、この10年余りで町村の監査事務局設置は約3割です。つまり7割は事務局はないということになります。監査委員が少なくともこの程度の監査と思っても、事務局はない、専任職員もいない状況では大きな限界があるのが現状かと思います。このため、私どもはあえて都道府県と同じように、法律による義務づけを要請しているところであります。
 4点目に外部監査につきましては、現在の外部監査制度は平成9年からであります。自治体において、この外部監査が内部監査と相まって監査の実効性を担保している形になっているものと考えられます。町村では外部監査を行った例は数少ないですが、外部監査をいざ行おうとなるとどこに依頼してよいか、依頼してもコストが著しくかかるのではないか、今のような事務体制でやれるのかといった問題が多々あります。ご案内のように、外部監査制度の導入につきましては、私ども地方6団体が平成6年9月、内閣及び国会に提出した地方分権の推進に関する意見書において提言し、その中で地方公共団体は共同して外部監査の実施機関として連合監査機構を設置し、この機構は地方議会、住民から請求があった場合に外部監査を実施し公表するとしていますが、私はこの提言は今日においても十分検討に値するものと考えておりますので、当調査会におきましても前向きに検討されるよう希望するものであります。
 終わりに、監査制度の在り方につきましては、このほかにもさまざまな論点、議論すべき事項はあると思いますが、とりわけ町村におきましては、監査委員が監査を実施するための体制整備が何よりも先決、かつ不可欠であると存じます。本来ですと、それはそれぞれの自治体が自らの判断で行うことが何よりも分権時代にふさわしいことは十分承知しているつもりであります。しかしながら、自治体として必須のものであれば、ぜひとも法令にその根拠を置き、しかるべく財政措置が必要かと存じます。
 以上をもって、私の発言を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○林小委員長 どうもありがとうございました。今、お三方から貴重なご意見をいただきました。
 それでは、地方制度調査会の委員より、ご説明をいただいた皆様に対して質疑応答を30分弱行いたいと思います。それでは、質問のある方、お願いをいたします。いかがでしょうか。武田委員。

○武田委員 武田でございます。2点、1点は県議長会様のほうにご質問させていただきます。監査委員の議会選出の場合と議選委員の場合について、どういう違いかといいましょうか、その辺の質問になるのですが、監査委員を議会選出にした場合に会派間の調整がどうしても前提となってしまって、かなり政治的な色彩が濃くなるというふうにおっしゃったわけですけれども、現在の議選委員の選出方法についてはそうした問題は生じていないのでしょうか。

○全国都道府県議会議長会 現在は大変うまくいっていると思います。それで、おっしゃっているような、非常に政治色の強いような色彩は出ておりません。事前に会派間との意見調整というものは若干行っていますけれども、無事選出された後におきましては、結果的にはうまくいっているということです。

○武田委員 もう一点は、町村議長会さんのほうにお尋ねしたいのですけれども、3点目の最後のほうに言われました監査事務局の共同設置についてでしょうか、連合監査機構を設置してということを非常に肯定的に主張されたのですけれども、これは例えば監査事務局を必置にして財政措置を強化することというふうに主張としてありますけれども、例えば監査事務局を共同設置するというようなことも含めてのご意見と考えてよろしいのでしょうか。
 前回のこの会議のときに、町村の監査委員協議会会長の方は、基本的には、各町村のところに監査事務局が置かれるべきで、共同で置くということは今のところ検討されていないというふうにおっしゃっていたのですけれども、議長会のほうとしては、特にそれについて抵抗はないとお考えでしょうか。

○全国町村議会議長会 議長会としても、固まった意見ではないのですけれども、連合の組織をつくっていただきまして、その中での外部監査を依頼したらどうか等々の意見も固まりつつあるということです。

○林小委員長 いかがでしょうか。私、武田委員の最初の質問で、議選委員の場合はうまくいって、そして議会が選挙するときに少し問題があるのではないかという、そこがどうしてなのだろうなというのをちょっとお伺いしたいところなんですが、いかがでしょうか。

○全国都道府県議会議長会 私は現在の議選委員を選任していただいているということでうまくいっていると現実を見て言っております。なぜ議選委員は廃止したほうがいいのだということなのか、むしろ私たちの現在の実際の監査委員制度を踏まえて思っているわけです、私自身は。だから、どういいますか、選挙制度にすべきだということについては一つの意見としては聞くべきだろうと思います。しかし現実の問題として、実際私らがやっております現在の議選を含めた監査委員制度でうまくいっているといいますか、きちんとやれていますので、それがなぜ否定されるのかなという思いのほうが、かつて監査委員を私自身もさせていただいた経験上もそう思います。

○林小委員長 ありがとうございます。

○西野委員 ただいま武田委員のご質問なさったことに関連して、原様に伺いしたいと思います。原様のご説明の中の外部監査に関してのことでございます。連合監査機構のようなものを考えていらっしゃるということでございますが、これは都道府県、指定都市や中核都市などは法令上決められており、それ以外の市町村に関しては、条例で決めるわけですけど、先ほどのご意見の意味は条例で決めたところだけを対象にお考えでしょうか。それとももっと広い対象も網羅するとのお考えでしょうか、お伺いしたいと思います。

○全国町村議会議長会 都道府県には外部監査が包括監査の形で義務づけられています。しかし、同じく社会的責任を有している他の自治体がなぜ都道府県と異なる取扱いになっているのかよく理解はできませんが、民間においても上場企業であれば規模の大小にかかわらず外部監査は義務づけられております。確かに今のような外部監査の仕方では、費用の面からして、到底町村がやれるようなものではありません。財政規模に応じて、2年、3年に一度にするとか、項目を簡素化、重点化するとか、全国を網羅する共同の監査法人を設置するとかすれば町村においても可能ではないかということで今議論が進められておるところであります。

○西野委員 ありがとうございました。実は私も小規模な自治体の外部監査も非常に重要だと考えておりまして、同じようなことを考えております。つまり外部監査は本来、コストの面や人材の面で非常に難しいとされてきましたが、その重要性を鑑みると複数の自治体の外部監査を共同で行うような何らかのシステムを創れないか、と考えておりましたので、先ほどのご意見には賛成でございます。ありがとうございました。

○林小委員長 ありがとうございます。いかがでしょうか。どうぞ。

○金子委員 金子でございます。家元議長にお伺いしたいのですけれども、出された資料の1ページ目のところなのですが、「監査委員は、議会において選挙することについて」の反対21名の主な理由の中に、「会派間の調整が必要となり」というところで、政治的色合いが濃くなってしまうというので反対だみたいなご趣旨だったのですけれども、長部局をきちんと監査するためには、長部局に対抗した、それこそ政治的色合いこそが私は必要ではないのかなというような感じがいたしておるのですけれども、そのあたりは、なぜこういうご意見になったのか、そのあたりの背景とか事情を教えていただければと思います。

○全国都道府県議会議長会 済みませんが、金子先生、もう一度お聞かせいただけますか、申し訳ございません。

○金子委員 主に監査委員は長の部局がお金をきちんと執行しているかとか、きちんとお仕事しているかということを監査するわけですよね。

○全国都道府県議会議長会 はい、そうですね。

○金子委員 それというのは、ある意味、議会の機能の1つでもあるわけですよね。それなので、住民の代表者たる議会が住民の立場で監視するというのとともに、監査委員も長に任命されるのではなくて、長とは独立な形で監査をしたほうがよりうまくいくのではないかという議論なのですけれども、その中で、議会で選挙すると会派間の調整が必要となって、先ほどのお話だったら、監査委員に政治的色合いがあるとまずいみたいなお話だったので、そのあたりはどうなのか。それこそ長という政治的権威に対抗した監査委員も、長に任命されたのでなくて、私は議会で選挙されたのだという、政治的な背景というのですか、あったほうがより独立性があって、きちんとした監査ができるのではないかと思っているのですけど、そのあたりなぜかなと思いまして。

○全国都道府県議会議長会 それは先生のご意見だと思います。でも私は、いわゆる地域に、住民に一番密着をし、その地方で行われておりますいろんな行政について一番熟知をしているといいますか、私たち自身がその中に入っているという、そういう現在の議員というものは、当然監査委員に入っていろんな意見を具申する、あるいは監査をする、いろんなことをチェックするということは極めて大事なことでございまして、単なる計数の処理とか、いろんな事務の監査するという以外に、私たち議員としての、議選の議員の果たすべき役割はちゃんとあると思います。

○金子委員 議選監査委員の話をしているのではなくて、監査委員を議会において選挙するについて、「会派間の調整が必要となり」というようなお話が反対理由に掲げられているので、これは公募とか、適当なOBの方でもいいですけれども、議員でない方を監査委員として、議会で選挙するときに、なぜ反対の理由にこれがなるのかなとちょっと不思議に思ったものですから。

○全国都道府県議会議長会 最初にお断りしたように、これは全議として集約したものでなければ、それぞれの意見をそのままで挙げてきましたので、いろんな意見がございますが、私といたしましては、議会で監査委員を選出するということについては、先ほどからお話がありますように、会派間の調整とかいろいろあります。人選についてもいろいろ問題があると思います。現在、私のところでやっております長が候補者を出していくということについて、より広い立場から、この人が適任であるという人であって、それを議会が承認すれば、現在そうしているわけですが、それで私はいいと思いますし、現在もそれでいっていると思います。

○金子委員 川口議長はどういうふうに考えられますでしょうか。

○全国市議会議長会 ご指名でございますので。私はまず監査委員、税理士の方とか、数字を見る方に明るい方も必要と思いますが、一方施策の整合性なり、市民へのニーズなり、市の戦略なり考えたときに、全体の流れを見れるということが逆に大事なことじゃなかろうか。それが日常行政に携わってなくて、監査をしろと言われたときに、そこら辺がどうしても目が届かないことになってしまう。そういった意味では行政におる者、行政の方もですが、議会も要るのではなかろうか。そういった意味では数字を見るという仕事よりも、実際予算で成立したものと市民ニーズなりとが的確にマッチしているかというような観点とかを、これを1年であろうが2年であろうが、かなりの部分果たせると思っています。数字を見る方は、4年しっかりどう変わっていったのかを見てもらえる。
 そういった意味では議会で選んでいたときは、これがいろいろな会派も含めて、2年で、じゃ違う会派の別の観点からも見ようよということでうまく回っていた。だからそういった必要性はあまり感じなかったのではないかなと。これが選挙でやると、大きな会派が、いや次の監査もうちなんだということでは偏りが出る可能性があると。現状がそういう形では、結果的にはうまくいっていたので、そういうことまでやって、逆にそういう面ではマイナスも出ちゃうよということではなかろうか。ただ、独立性なりという観点では、議会が最終的には選ぶというのが適当ではないかということで、市議会のほうは意見が多かったと。

○林小委員長 ほかの委員の方、いかがでしょうか。どうぞ。

○眞柄委員 どうもありがとうございます。眞柄でございます。お三方ともに公募制度を新しく導入することに関して、そういった選択の余地があってもよろしいけれども、それを条件づけるべきではないというような立場を多分とられていたと思うのですけれども、公募を積極的に推進したいというような意見はございましたでしょうか。この辺のところを教えていただければと思いますけれども。

○全国都道府県議会議長会 私のほうでは、そのことについて積極的に導入しようという、今そういう考え方はございません。

○全国市議会議長会 公募については、他の公募している案件とかはございますが、どうしても専門性が必要で人数も限られておりますので、ある程度のそこは見れる方でないと、いたずらな公募ということは形骸化を招くことにもつながりかねないことから、公募をしてほしいということはございませんでした。それも含めてやはり議会に任せるべきではないかという結論でございます。

○全国町村議会議長会 町村議会のほうも、積極的に公募ということではなく、そのことをも含めて議会で選任するということでの意見が強うございます。

○林小委員長 眞柄委員よろしいですか。

○眞柄委員 はい。

○林小委員長 それでは、ほかの委員の方、どうぞ。

○片山副会長 家元議長さんに1つ伺いたいのですが、先ほど、これは監査委員の問題に直接関係ないのですけれども、非常に興味深いこと言われました。決算を議会が承認しなかった場合に、もっとちゃんと長の説明責任というか、長の責任を問う仕掛けがあってもいいのではないかということを言われたのですが、非常にこれは興味深いのですけれども、1つは、議長さんのところでもいいですし、ほかのところでも、例えば決算を承認しなかったという事例が最近ありますかということと、もう一つは、例えば承認しなかった場合にどんな責任をとらせたらいいとお考えか、何かいいアイディアでもあったら聞かせてください。
 それから、あと、川口議長さんと、原議長さんに伺いたいのですが、お二方とも事務局の体制をしっかりしなければいけないということを言われたと思うのですね。私もそうだと思うんですよ。いくら監査委員を任命したって、事務局がいなかったらやれることは本当に限りがありますから、市のほうはある程度事務局があるところが多いと思いますけれども、町村はかなりないですよね。これをどうするかというときに、一律に事務局を必置にしておきなさいという方法もありますけれども、今の仕組みの中でも各自治体で決めれば事務局は置けるわけですね。それを、例えば議会のほうでイニシアティブをとって、職員を置こうということもやろうと思えばできると思うんですよ。職員の定数条例なんて議会が決めるわけですから、長があまり乗り気でなくても議会のほうがイニシアティブをとって実現しようと思ったらある程度のことはできるのですね。しかも町村の場合に、それを一部事務組合で広域的にやろうということも、これも最終的には条例で決めるわけですから、やろうと思えばできるのですけれども、そういうお考えはないですか。というか、それをやろうとしたとき何か現実の問題としてできない事情があるのであれば、それを聞かせていただければと思います。

○林小委員長 どうぞ。

○全国都道府県議会議長会 私のところの府議会におきまして、まだ決算が承認をされなかったという事例は1件もございませんで、実際にそういう事実に直面したことはございません。ただ、承認されないという、仮にそういうことがあったとすれば、それはよほどの何か事情がある、よほどの何か予算の執行について問題点があったということになろうかと思いますので、そういう事例が仮にあるとすれば、より一層そういうことが何であったかという原因の究明とか、いろんな経過の説明について、何らかの形でさらに深めていく必要があるのではないかというように思っております。ただ、具体的にはまだございませんので、議会と理事者側という姿勢、議会が理事者側を監視する、監査するという姿勢を堅持するためにも、それぐらいの強い姿勢が必要ではないかという思いはございます。

○林小委員長 ありがとうございます。それでは川口議長お願いします。

○全国市議会議長会 市の中にも七百何十市ありまして、大半は実は小さい市なんですね。その中で、監査事務局に人を置くということは、ほかの部局の人員を減らさざるを得ない。今、国の中でどうしても地方に来るお金が減る中で、よりどころとして義務がない状況では置きづらいという意見もございます。ほかの仕事もたくさんあるのだという中で、認知を受けづらい。監査委員の平均の費用とかも聞かれればあるのですが、高くはないんですね、議選とかは。しかしながら、事務局を置きますとかなりの負担にはなるのかなと。そういう意味で、これに限っては設置義務をしないと非常に厳しい。設置義務のある中で、ある面ではそういった非常勤的な形での人材の活用を図るとかを考えなければならないのではないかなと思っております。

○全国町村議会議長会 原です。町村の場合は全国で1,022の町村のうち事務局が設置されている率は31.8%、福岡県で44.7%ですから、全国でも7割の町村に設置されていません。だから共同設置の以前に、それぞれの町・村で事務局は当然設置されるべきではないかと。しかしながら予算を要求すべきということでございましても、ご承知のように、この間、5兆1,000億も地方交付税が削減されております。だから地方交付税で最低事務局を設置するものをも交付税上の財政措置ですることによって3割が5割になり5割が6割になる、こういう形になってくるのではないかなということであります。私は、赤村ですけど、赤村は設置をいたしておりますけれども、設置をされていない町村が7割ある現実を見たときに、地方分権と言いつつ、国の財政措置をも、交付税の措置も必要ではないかなと、このように思うところです。

○林小委員長 片山さんいかがですか。

○片山副会長 ちょっと気のついたことを申し上げると、交付税措置があれば置くというのは情けない気がするんですね。同様に、国が義務づけしなければ置かないというのもちょっと寂しい感じがするんです。地方分権の時代と言いつつもと、さっき言われましたが、地方分権の時代ですから、本当に必要なことは自主的にやられるという姿勢が必要なのではないかなと思います。これは感想です。財政が大変だというのはもちろん理解はしているつもりですが。
 もう一つは、交付税で措置してくれたらと言われますけど、交付税で措置しても交付税の総額はそれだからといって増えませんから、中を小分けにするだけなんですね、結局は。そういう現状をかんがみれば、交付税措置があってもなくても一緒だということになってしまうんですね、本当は。

○全国市議会議長会 つけ加えで、ただ、地方からしますと、夕張もちょっとかわいそうで、炭鉱が閉山になった後、失業者が出て生活保護4分の1出さなければならない、市営住宅は要る、失業での仕事は要る。その中で国からのはどんどん減らされる、手切れ金で終わらされる。やむを得ない選択で追い込まれていた面もあるのではないか。それに起債の了承も、道にしろ自治省にしてもしてあるんじゃなかったのか。本当は言いたいこともあるのではなかろうか。その中で地方が困っているのは、国の制度なりいろんなものが減らされる中、仕事が増えちゃって、将来どうなるのか読めないんですね。
 この減らされる時代に、そこを増やせというのが地方の視点からはないと思うんですよ。安定した財源を、国から出すのか、出さないのか、分権で金をくれるのか、自分たちでやれというのか、家庭だったら将来の生活設計、いつまでこの会社で頑張っていくらくれるんだと。間違いなく約束するんだという中で、監査をやっていかなければならないという自立意識は芽生えるのですが、今は国に振り回されて、減らされている中で、やりたくてもできないのです。みんな監査置きたいと言うんですよ、やりたいと。置けないのは何故かというと、交付税総額が減り、配分も何分の1減るという今の流れの中では、地方財源をきちんと担保したうえで義務づけるということでないと厳しいのではないかという思いでございますので、少し要求を言わせていただきました。

○片山副会長 私は実は義務づけることはないんじゃないかという論者なんですよ。むしろ必要なところはご自分で置かれたらどうですかということをさっき申し上げたんですね。そうしたら、お金がないからとか、減らされているからということで、それは実情はわかるんですが、実はだからこそ監査委員の事務局を強化しなければいけないと私なんかは余計に思うんですよ。というのは、国に振り回されて、余計なものをつくったり、むだなことをしてきたりした。その結果、今日財政がこうなっているということであれば、そういうことにならないように自主的に監査をする。国に振り回される部分がないかどうかをチェックするという意味で、自主的な監査能力を持たなければいけないのではないかということを申し上げているわけです。

○全国町村議会議長会 私は福岡県の田川郡の赤村と、旧産炭地の田舎の代表の議長ですけれども、私の村では公立の施設が少ないです。公立の保育所もない、ないないづくし。そして類似団体に比べて職員の定数もはるかに低く抑えてみんながつめに火をともすように努力をしておるわけですね。片山先生はその道の大ベテランですから、釈迦に説法ではございませんけれども、田舎に住んでおろうが、東京都に住んでおろうが、基礎的な標準的な行政サービスを受けられる、行政運営ができる必要がある。ただ交付税の調整機能というのは今著しく低下しているわけですね。
 そういう中で、当然そういう事務局体制を整備するならば、そこらあたりの財政措置をも考えていただかないと、地方分権、地方分権といくら言われても、先立つものが具体的に移譲されない限り、地方分権は私はできないと思うわけです。
 そういう意味で、国にすべて甘えているかのようなごとくの、私の言い回しに聞こえたかもしれませんけれども、田舎が国土の保全とか水源の涵養とか、さまざまな多面的な機能を果たしているということをしっかり見ていただきたい。だから大都市、田舎のいずれかが大事ということではなく、都市は都市としての機能があり、田舎は田舎としての機能がある。両方がどう共生できるかということであります。私はきょうの議論の中では、交付税云々の話まで突っ込むべきではございませんけれども、事務局の体制を整備するなら、そこらあたりの財源措置が必要かなという思いです。
 以上です。

○林小委員長 ありがとうございます。交付税の議論は大変な議論ですので、いずれにしても、自治体の監査機能を強化するためにはどうすればいいかという話ですので、そのときに、私、経済学やっているものですから、特に費用対効果とかこういうものが出てくるんですね。ですから確かにコストかかるかもしれないけれども、それを上回るだけの何か効果が出てくればいいのではないかと思ってみたりとか、やはりそれは交付税で措置すべきではないかといった、いずれにしても監査機能をどうやって高めていけばいいかという話ですので、それを今議論を根本的なところまで戻るのはなかなか難しいものがございますので、その辺を踏まえて、ほかの委員の方、何かご質問ございませんでしょうか。どうぞ。

○小林委員 小林と申します。市会議長会の川口様にお伺いしたいのですが、先ほど議選委員の廃止のお話の中で、もし廃止をするならば、実地検査権が必要だというお話があったかと思います。それに対しての質問なのですが、現在でも議決さえあれば、実地検査権まではなくても、かなり強大な調査権とか検査権があると思うのですが、それだけではどういう意味で足りないのか、もうちょっと説明がほしいのがまず1点目。
 もう一点目として、先ほど決算審査の話がお話の中で出たかと思うんですけれども、実地検査権の話とからめて、決算審査とか予算審議の中で、きちんとチェック機能を果たしていくことも十分できるかと思いますし、決算審査、決算認定が不認定になったという場合でも、確かに法的に何ら強制権はないにしても、政治的にはすごく大きなアピールになるかと思うんですが、その点と実地検査権が必要だというお話の間を詰めるような、もう少し現場としてのお話を伺えたら非常にありがたいんですけど、よろしくお願いします。

○全国市議会議長会 答えになるかどうか自信がないのですか、今の検査がほとんど書類による検査になっています。どうしても当局が説明する中で、それを信じるというか、そうかというふうになってしまいます。例えば百条の調査権とかありますが、これに関しては個別の、これが問題だというような場合です。詳しくはないのですが、法的なことでの調査であって、これには労力かかれば、日数も費用もかかっちゃうと思いますし、膨大な施策があります。特に私ども政令市なのでありまして、むやみには使えないよねと。
 その中で議会としては、決算・予算の中で調査しますけれども、それぞれの議員が疑義があるところに質問をしたり、提案をしたりしますが、いざ、どうかと思うところに調査するときに、どうしも書類だけでは自信が持てないですね。そこで今度は監査にそれを振るというのも議員としてはどうなのか。これが議選があれば、そういう趣旨でということで、議会でも意見・質問出ているではないかという中で、どうなっているんだと、やりやすいのですが、そこがどうしても監査も独立の中で、実地検査権がないと議会が本来チェックしたり、問題の案件についても、これは整合性どうなの、支離滅裂じゃないか、市の方針からして、そういう趣旨でなかったのではないかと。当時の経緯とか、担当者も替わりますし、そういう中で議選が見るべき部分が弱くなるのであれば、もしくは廃止されるのであれば、実地検査権がなければ、これは濫用になると困ると思います。ただ、議員全員に実地検査権があると、かなり思いも違いますから煩雑になっちゃうのかなと、実務的には。そういった意味では、議選のいいところもあろうと思っております。これを独立させてやられるのであれば、先ほども意見の中で申したのですけれども、議員を禁止するではなくて、それも踏まえた中で制限をかけられてもいいのですが、そういう観点が大事ではないか。
 私どもは政令市なので、事務局もしっかりしてくれておりますので、数字の調査は私たち以上に厳しい、いろいろな物品の云々とかいうのはやってくれますが、肝心な市の施策の方針に沿っているか云々というのはやはり言えないと。なかなか判断して、どうだ、いいは事務局は言い切れない。また、外部の方も精通してない中で、その判断は私たちではないじゃないか。それが議会に実地検査権もない、議選の委員もいない中で、予算・決算でやるには少し心もとない気がしております。そういった面では、それを含めて否定せずに、委員を独立させるなら、その中で議員の現職なり、職員のOBの制限をかけた上で、それこそ地方自治の中で自分自らが考えなさいということをお願いしている。

○林小委員長 ほかに、江藤委員。

○江藤委員 2つお聞きしますが、1つは、先ほどから議論されているのですが、まだよくわからないところがあるので、家元さんに1点、あと2点目は3議長会にお聞きしたいことです。1つ目の家元さんにお聞きしたいことは、会派間調整によってはしっかりとした監査委員は選べないというイメージなのでしょうか。それが政治色はある程度出るというイメージ、先ほどのお言葉では、公平性、不偏性でしたか、そういう人はなかなか選びにくいし、選べないというイメージなのでしょうかというのが1点です。
 もう1点3議長会にお聞きしたいことは、議選を廃止したときに、基本的に、今、地制調の議論はそういう議論になってきているのですが、議選については執行機関にプレッシャーをかける意味で私はある程度意味があると思うんですが。ただ、議会が選挙によって選出するというときには、議選というのはどうかという議論も分かります。仮に議選が廃止になったときに、今いろんな議論があったと思いますけれども、議会自身のパワーアップをするという、恐らく今後議論されてくる。川口さんは議会に監査委員をつけちゃえというニュアンスもあった。それは今後検討ということなんですが・・・・・・

○全国市議会議長会 もし誤解があったらいけないので、議会が選ぶにしても、その選ばれる候補の中に議員がいてもいいのではないか。それは制限かかっていても。

○江藤委員 わかりました。仮に全体的に議選がなくなったときに、今、監査委員と議会との関係をどういうふうにするかということです。もちろん政治色が出るからつながりがあるよということも1つの見解かもしれません。いままで基本的に独立を強化するのだという見解で議論しているんですね。今、議会については、監査請求というのは議会の議決は過半数になっているのですが、もし議選を外したときに、監査請求権の過半数議決というのは、これはそのままでいいかについてどういうご意見持たれているかです。

○全国都道府県議会議長会 会派間の調整はしっかりやっておりますし、その結果、監査委員が誕生いたしましたその結果としては、同じことを申し上げますけれども、うまくいっていると思います。会派間で調整をしたその結果としては、お互いが尊重し、監査として立派に仕事をやっていただいておるし、みんなもそれを認めております。

○江藤委員 議会が選挙するというときも問題はないということでよろしいですか。

○全国都道府県議会議長会 そうです。

○江藤委員 会派間の調整が大変だから反対するという人が。

○全国都道府県議会議長会 意見としてはいろいろございますけれども、決して選挙ということについて、それはだめだということではなくて、いろんな意見をここは一応網羅させていただきましたので、聞くべき意見だと思います、私個人としては。

○江藤委員 監査委員に適した人を選べるということですね。選挙で選べるということで理解してよろしいのでしょうか。

○全国都道府県議会議長会 ただ問題は、監査委員を選挙で選ぶというイメージがはっきりしていませんので、今確たることを申し上げかねておりますけれども、1つの方法だとは思います。でも現行で、私は十分うまくいっているし、それでいいのではないかと思っています。何を先生おっしゃいました、先ほど。

○江藤委員 あと、議選を外したとき監査委員と議会との関係ですけど。

○全国都道府県議会議長会 議選の委員は、私としては置いていただきたいと思っていますので、外す話はないんですが、先ほどおっしゃいました監査請求の話、これは立派に監査請求としてやっておりますし、もしそれが議選で選ばれた監査委員個人にかかわることであったり、議員に深くかかわるような問題であれば、当然議選の委員は除斥をされますので、その監査問題についての協議については、したがって一般に誤解されやすいようなことにはなってないと思います。

○江藤委員 議会からの監査請求について、今過半数になっていますけれども、それを過半数じゃない何らかのやり方は考えられるのでしょうか。

○全国都道府県議会議長会 そういうことも考えるべきではないかと。議会で少数意見の留保とかいろんな問題がこの頃ありますね。監査委員のいろんな監査結果についても、そういう意見も尊重すべきではないかという思いの発言だと思います。

○全国市議会議長会 先ほどの中でちょっと言い間違い、誤解もあるかもしれませんので、個人の立場と組織の立場もありますので、今の議選制度の中で、結果うまくいっているところが多いと思います。独立性という観点はわかります。それはそういう形で議論されるのはいいのですが、議会で選ぶということにした場合、過半数を持つ会派の方ばかりが選ばれて固まっちゃうのではないかなという気はして後退する面もあるのではないか。ある面では今の議選制度でもうまくいっているので、これをほかの課題、事務局の確立云々の中で、議選委員を残すと独立性という面では劣るかもしれないが、課題をクリアできないのであれば、現状でいっていただきたいというのも市議会の多い意見でもあります。

○林小委員長 時間も残り少なくなってきておりますけれども、どなたか、ご質問、ご意見ございますでしょうか。斎藤委員。

○斎藤委員 事務局の強化について、都道府県議会議長会の家元さんと、市議会議長会の川口さんに手短に質問なんですが、川口さんのほうから、事務局が長の任命する職員だということで、それに対する抑えというか、バックアップという意味での議選委員が意味があると。ただ、そこを替えるのであれば、事務局の体制を考えなければならないというのでおっしゃられた、町村において事務局を共同設置する案が先ほどから出ていますが、例えば市においても共同設置なり、そういうことをすれば、長との直接の関係はある程度薄まりますよね。A市、B市、C市という3市で集まって、それで共同設置をして、それが事務局になれば長との関係が薄まる。ただ、これは理念論ですけど、それは現実にはやはり事務局というのはその市のことをよく知ってないといけないので、市から出てくるものでないとだめなんでしょうか。それとも市においても共同設置というのが考えられるのかというのが1点です。
 それから、家元議長さんに対しましては、事務局、都道府県の場合は人数的にもしっかりしておられると思いますが、いずれは長部局にもどるというのは、川口議長さんの指摘と同じだと思うんですが、そこでご意見の中で任期付の導入というのはどうかとおっしゃいましたけど、これは長が任命するにしても、そういう専門性を持った人を任期付で採用すれば、よりうまくいくというお考えがあってということでしょうか。ちょっとそこだけ補足的にお願いします。

○全国都道府県議会議長会 任期については十分検討する必要があると思います。同じ人が長期にわたって職務を執行するということよりも、やはり新しい人が替わって、監査を新しい目でするということも必要だと思います。ただ、あまりに短期になりますと、その方自身が十分熟知されない、あるいは十分活動ができないままに終わることもありますので、現在私どものほうでは2年任期でございますが、まずそれでいいと、それぐらいが適当ではないかと、個人的な見解ですが、そう思います。

○斎藤委員 私が申し上げたかったのは職員についてです。常勤の長部局から来る職員だけでなくて、例えば外から公認会計士なり何なり、そういう方を職員として呼んでくるということなんですが、それも積極評価なさいますか。

○全国都道府県議会議長会 職員についても評価をしますし、外部の有識者を呼ぶことについても評価をいたしております。

○全国市議会議長会 共同設置のことですが、小さい市では、私は実情ではわからないものですから、共同設置についても小さな自治体が組合的に共同でやられる部分は構わないと思うのですが、こうやれああやれということはちょっと難しいのかなと。そういう提案ということで、小さい市町村に選択できるような余地はあってもいいと思うんですが、私としては、そういうことは1つの選択肢と思います。基本は自分のところで、費用かけずに、また、守秘義務を守りながらやれるというのが基本かとは思いますが、事務局の中に、常勤でなくても、長年本当に職を辞してまで来てくれる方がいるだろうかと、税理士さん等の中で。そういった意味では議会事務局も一緒なのですが、議会が戦おうとしているときに手伝いをすると、あすはやられる身になってしまう。行政の中の改革委員会もそうなんですが、これはやむを得ない、自らの改革ですから。議会の場合でも監査の場合でも、雇用に置く部分の、全部とは言いませんが、独立採用の枠なりは今後特に考えていきたいところだと思っております。

○林小委員長 いかがでしょうか。いずれにしても監査を強化するということが、今の行財政の中で非常に重要な課題ではないかと。そのためには独立性ということを確保する必要があるのではないかというところから今回議論が始まっております。そのためには、独立性だけでなくて、やはり体制強化も必要だし、監査だけを強化するのではなくて、議会の監視機能も強化するということの、そういう全体の中で監査はいかにあるべきかと考えております。
 先ほど川口議長がおっしゃった、例えば議会からの独立性ということを考えるのであれば、これは議選委員を外すということも1つの考えだということで、今後、独立性という場合に、行政からの独立性ということと議会からの独立性という、そういう意味で考えていく必要があるのではないかというのが、この当委員会の1つの大きな考え方になっております。そういう中で、さはさりながら実施面でもきちんと担保しなければならないといったようなことのご意見も伺いました。
 ただ、私伺っておりますと、現状でもいけているではないかという、この都道府県議会のアンケートでは、反対21人の主な理由の18名が、現行の方式で特に問題がないという認識で、会派の調整が必要となりというのは、これはむしろどちらかというとネガティブなご意見ですね。そうすると現状で問題がないのだというご認識のような感じなのですが、先ほど川口議長は、そういう声が少しでも出てくるというのは問題だと私は伺ったのですけれども、その辺が独立性というのはもちろん担保されているところもきちんとあるのでしょうけれども、そのあたりを全国の制度として、独立性を担保するためには議会が選んだほうがいいのではないか。そして議会からの独立性を担保するためにも議選委員を外したほうがいいのではないかといったような形で今議論は進んでおりますけれども、きょうご意見をいただいたことも踏まえて、実施面も含めて考えてまいりたいと思います。
 もちろん今後の議会の在り方、先ほど市議長会のほうでは、議会が選挙するという前提でないアンケートの結果だと思いますので、その辺も議会が選挙するということになれば少し変わってくるだろうとも思いますし、今後の議会の権限の在り方といったようなことにもかかわってくるだろうと思いますので、トータルの形で議論をさせていただきたいと思っております。どうぞ、最後に。

○全国市議会議長会 独立性が優位ということで議論されているのかもしれないのですが、それだけが突出されるのは非常にどうかなという気もしております。まずは調査する相手方の大半であります行政からの独立性という意味では議会で決めるというのは1つ、それは市議会の方向性はそうなのかなと思っております。しかし、独立性を優先するあまりに実効性に欠けるものであるならば、独立性は優位な順番ではないのではないか。実効性のほうが先ではないかという思いがあります。それならば、先ほどの課題を解決する方策を示した上であれば独立性の優位論が出てくるのではないか。まず行政からの独立性という意味では議会が選任する。
 しかし、ここに議選委員云々の話になってきますと、議会からの独立性の必要性と実効性のどうなのかというところを議論、本当に事務局の体制だったり、数字だけではなくて、将来に向けての市の方向性、オンリーワンのそれぞれのやり方の方針に沿っているのかという部分のチェックのほうが大事かなと思っております。そういう意味では安易な議選の廃止というのはいかがなものか。それであるならば、それこそ地方に任せて議会で決めると。その中で市のOB委員を選んだり、予算・決算をきちんとその中で、内部の目で見てやっている中で議員を選ぶということに関して禁止すべきではなかろうと。議選委員を禁止するというのであれば、ほかのものの実効性を上げる担保が必要で、それが約束されないのであれば、それは地方に委ねるべきではないかと、最後に意見を申し上げておきます。

○林小委員長 簡潔にお願いいたします、済みません。

○全国都道府県議会議長会 全国議長会のこのアンケート、先ほどから林先生からご指摘いただいておりますが、現行でうまくいっているのではないかという言い方は消極的に聞こえるかもしれません。でも現在の私のところのほうの監査委員制度において、行政からの独立、住民の皆さん方からの権威づけといいますか、独立性というものはしっかり担保されていると思っております。

○全国町村議会議長会 町村は大きな市や県と違いまして、あそこに犬が何匹生まれたかとか、それほど小さなことまでよくわかっている中で、住民が自分らが払った税が何に使われているか、そういう関心度は随分今高くなってきておりますから、ちょっと変な使い方しておれば、情報公開とか、あるいは住民の監査請求とか、そういうことが小さな町や村でも今どんどんと頻発しております。だから監査委員を選ぶときに、全国の1,000を超える町村がどういう選び方しているかということはまだ具体的に把握しておりませんけれども、私の村では、まず全員協議会をやりまして、その中で監査委員として、どなたが適当なのかということの中での議論をいたしまして、全会一致で、この人にお願いしようということの中で、議会が選任するということであって、議員であるからということで、外すということは幅を狭くするという考え方を持っております。ただ、名誉職的とか、あるいは順番でやるとか、そういう選考の仕方ではなく、本当にこの町にとって、この村にとって、だれが監査委員としてふさわしいのか、こういう選び方で選出しております。私は監査委員になったことはありませんけど、そういうやり方をしております。

○林小委員長 ありがとうございます。まだご発言いただきたいことありますけれども、このあたりで質疑応答を終わりたいと思います。本日ご説明をいただきました皆様、本当にお忙しいところご出席賜りましてありがとうございました。
 それでは、これで質疑応答を終わりたいと思います。

(ヒアリング者3名退室)

○林小委員長 それでは、前回に引き続きまして意見交換を行いたいと思います。ただ、前回は事務局のところから残そうということで、それまではお諮りをして大体合意が得られたと思っております。ただ、今のご意見を伺っていると、議会が選挙することに関してはそれほど反対はなかっただろうというように思うのですが、議選委員を廃止するということに関してはかなり抵抗があったように感じております。前回は議選委員を外すということでお諮りをして、それが合意が得られたと私は理解をしておりますけれども、ちょっとご意見を聞かせていただけますでしょうか。そういう形で、きょうは予定では「事務局体制」からご意見をいただこうというように思っておったわけでありますが、前回までのところで、これでいってはどうかということをもう一度ご確認をさせていただければと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○片山副会長 私は今伺っていて、やっぱり一律ではないということを認識しておかなければいけないと思うのですね。都道府県と市と町村ともいろんな多様な意見がありますし、同じ市議会とか町村議会、都道府県議会の中でも多様性があるんですね。そういうのをまんべんなく網羅して満足度の高い制度を1つで仕組もうと思ったらやっぱり無理があると思うんですね。だからできるだけ柔軟性、選択の余地がある仕組みにしておいてあげたほうがいいと思うんですね。
 例えば議員選出の監査委員をやめるべきなのかどうなのかという問題ですが、やめたらいいと思っている自治体もあると思いますが、今伺うと、いたほうがいいという、それなりになるほどなという理屈もありましたよね。とすればそこはあまり1つの方式にするのでなくて、ある程度選択の余地を残しておいたほうがいいのかなと思いました。これは何事にも通底する物の見方だろうと思います。

○林小委員会 どうぞ、大山委員から。

○大山委員 私は議選委員をやっぱり廃止したほうがいいのではないかなと思っているんです。それは議会が選挙するということになった場合に、自分の仲間が中に入る。それを含めて選挙するというのもちょっとどうかなというあたりと、それから、今伺っていて、議選を出して、それで終わりみたいな感じがちょっとあるような気がしたんですよ。議会というのはもっと全体として行政監視をこれから強化していくわけだから、前回のときに、江藤委員からもちょっとお話があって、もし議選廃止するのだったら、もう少し議会とどうやって連携するか考えたほうがいいと、まさにそのとおりだと思うのですけれども、例えば議会の中に決算委員会でもいいですけれども、あるいは行政監視委員会というものをつくって、そこと常に監査委員と何かやりとりがあるとか、監査委員のそれこそ回答が行政側から不十分だった場合はそこで議論するとか何かそういう仕掛けをつくることによってもっと議会全体が行政監視にかかわっていくという、もうちょっと前向きに議選廃止をとらえることができないかなと私は思います。

○金子委員 私も大山先生の意見に全く賛成です。今、議長さんたちのお話を聞くと、監査・監視機能の強化ということですから、監査委員と議会による監視は並列に考えていく。議会による実地調査権がないからというようなお話がありました。また、現行は議選委員が実行していることが、実行できなくなるというようなお話がありましたけれども、そのあたりは議会の在り方、議会の監視機能の在り方について、今後議論していく中で入れ込んでいく、配慮していくということで、私も議選委員の廃止というのはそのままでいいと思っております。

○林小委員長 いかがでしょうか。選択肢をつくるというのも1つなんですけれども、議会の監視機能強化というところが一方であって、私、ご意見を伺っていると、議会が選挙するとこんなことになってしまうのではないかといったような懸念を表明された方がいらして、それはそうならないようにしていただかないと困るなというように思うんですね。ですから、それもよくわかるのですけれども、議会の監視機能の強化ということを今後考えていかなければならない課題ですから、最低限ここまではということが制度としてあっていいのかなというようにも思って、前回のところで恐らく合意が得られたのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。
 私、この委員会というのは満場一致でないといけないのか、その辺もよくわからないのですけど、いかがでしょうか。副会長おっしゃっていることもよくわかります。やはりこれからの時代は選択肢をつけたほうがいいということにもなるので、ただ、そうなってくると議選委員を外せないところが非常に多くなって、そして、この委員会で目的としているところといいますか、そういうことがきちんと担保できるのかという問題が、私もちょっと懸念するものですから、私も分権論者なのですけれども、その辺は外したほうがいいのではないかというようには個人的には思っておりますが、片山副会長いかがでしょうか。

○片山副会長 地方分権というのはできるだけ選択肢を広くすることなんですよ。議選を外すということは、それは自治体を制約することなんですね。それは皆さん善意なんですよ。議選を外したほうがきっと議会の監視機能が強化されてよくなるだろうと、理想論ですけど、そうなると思いますか。どの議会も全部監視機能が強化されると思いますか。そうなるとは私にはとても思えないんですね。よくなるところもあるとは思いますけれども。
 さっき京都府の議長さんが、今の制度でうまくいっているという認識を示されて、あれがすべての議会に共通だとは私にはとても思えませんけれども、中には今の仕組みでうまくいっているところもあるんですよ、それなりに。議会から選出された人がしっかりやっているところもあるんです、実は私の知っているところでもあるんです。よほどそれは学識経験者とか役所のOBから選出された委員よりも、議員さんのほうがしっかり監査しているというところも現実にあるんですね。もし一律に議員はだめだよという話にしてしまったら、実は今あるいい芽もつんでしまうんですよ。むしろ多様性の中で、うまくいかないところも出るかもしれませんが、うまくいくところも出てくる。そういう多様性の中でいい芽が出ていたら、それを伸ばしてあげるような、さらに制度改革をやっていくとか、うまくいってないところはいいところを学んでいくとか、そういうのが地方自治だと思うんですね。だから、できるだけ国のほうで、かくあるべしと言って一律に律しないほうが、私はいいと思いますね。
 もし、議会選挙にして、議選を許容したら議員さんが仲間うちでお手盛りの選挙ばかりやるということはあるかもしれませんよ。もしそれが本当にずっと蔓延したら、それはそのとき、また考えたらいいと思うんですよ。これではだめだなというのは。それから1,800ある中で、そういうお手盛りのところがぽろぽろ出たら、それはそれもしようがないですよ。落ちるところへ落ちたほうがいいんですよ。地方自治というのは自業自得でぼやぼやしたら落ちるんです。落ちるところを許容しないと地方分権はできないんですね。落ちないように落ちないようにといつまでもハラハラ、ハラハラしていると、それはいい芽をもつんでしまうということになる。私のような分権原理主義者はそういうふうに思うんです。一律にしようということはすなわち中央集権なんですよ。

○林小委員長 私もよくわかります、その気持ちは。それは責任なんだし、そうなって、結局はだめになれば、それはその自治体の責任だということもよくわかります。ただ、今後、議会が選挙するのだったらという思いがやっぱりあるので、そのあたりは議選を外したほうがいいのではないかというようには思いますが、ちょっとこのあたり、私もどのように判断すればいいのかというのは非常に悩ましいところですね。武田さんお願いします。

○武田委員 私も非常に悩ましいなと思います。片山先生のおっしゃることもそのとおりだと思いますし、ただ、審議会としてどういうものを打ち出すことが求められているのかといいますか、全くすべて自由にしてよろしいというのを審議会の結論とするのも1つの考え方と思うんですけれども、今のお話を聞いている中で、議会の監視機能というものを、恐らく現場の議員さんたちは誤解をしている面も多々あるなと。先ほど金子委員でしたか、言われましたように、議選委員を出すことで議会の監視機能がそれで果たされたとしているという面もなきにしもあらずであると。本来の議会の監視機能というのは、議会全体として、要するに議会の存在する自体がチェック機能を果たすべきもので、委員の選出とは別問題であるというのは、現場では十分理解されていないという面も、確かに今のお話の中から感じられたんですね。
 それも現場の解釈だから、それでよしとするというのは、私は委員会の結論としては弱いのかなと。ですからこうあるべきだという強制力を持たすわけではなくて、本来あるべき姿というものはこういうものだという理想論はある程度委員会としては示した上で、その上で、結論的にはこうするべきだというような特定の制度を結論に持っていくのではなくて、片山先生が言われるような多様な選択肢を認めつつも、しかし本来はこういうものだという原則を示していくという、そういう出し方というのはできないものかと思うんですが、いかがでしょうか。

○片山副会長 今回の監査委員の見直しの問題というのは今の監査委員の多くがあまり機能してないという認識で出発していると思うんですね。ですけど、今、1,800ほどの自治体の中にはうまくいっているところもあるんですよ。もちろん理想ではないけれども、平均よりもかなりうまくいっているところもあります。具体的に言うと、私がいた鳥取県の県の監査委員はかなりうまくいっているんですよ。それはそれなりに努力もしましたけれども、議選の人もかなり優秀ですよ、モチベーションも高い。だけど、そういうのはあまり多くなくて例外で、大体があまり機能も発揮してない。そこで何とかしなければいけないということでしょう。
 そこで制度をいじくろうとするときに、何ゆえに今うまくいっているところをつぶしてしまわなければいけないのかと私なんか思うんですね。甚だ迷惑ですよ。ご近所がみんな悪いからといって、何であんたも悪いと言われなければいけないのか。いいところはそのまま存置できるようにしてあげるのが地方自治です。しかし今のワンパターンの監査委員の制度でうまくいってないところが大半なのであれば、今の制度を何か見直しをしなければいけない。武田先生が言われたように、よりいいモデルを提示してあげる。こうすれば、もっとうまくいくのではないですかということを提示してあげる、これは必要だと思うんです。だけど、現行制度でうまくいっているところのその仕組みをつぶしてしまうことは何もないんですよ。だから、新しいよりいいと思われる制度と併存させて、どっちがいいですかということを競わせるというのが、これが本当の地方分権だと思います。
 私なんかは、今の仕組みを何でつぶさなければいけないのかと思いますよ。だけど、周りを見たら、やっぱりこれはだめだなと思うから、何か改良しなければいけないなと思いますけど、ぜひ今のいい制度はつぶさないようにしてあげてほしいですね。

○名和田委員 やや専門外なものでずっと勉強させていただいておりましたけれども、私も専門外であるがゆえに非常に決断に悩んでいて、結論的には武田委員がおっしゃったあたりが私の念頭にもずっとございました。そういう方向で考えてみると、川口議長でしたでしょうか、言われたことは非常に重たくて、議会選出にした場合に議選委員を認めることは論理的に背理であるとまでは言えないと思うんですね。だったら、なぜそれは適当でないというふうに、もしこの小委員会が結論出すとすれば、なぜそうなのかということについて、小委員会として説明を求められると思うのですよ。その論理は何なのかというと、委員長がずっと強調されたように、独立性を高めると。今までの監査制度がいろいろと問題があったということであれば独立性を高めるという方向で改革をするのだということを地方制度調査会のメッセージとして出していこうということだと思うんですね。
 それに対して川口議長は、いや、独立性を高めるという方向で監査制度の機能を高めるということは確かに理念としては結構であるけれども、実態として本当にそれでいくのかという問題提起もさらになさっていて、これに対しても我々は一定の説明をしなければならないと思うんですね。
 結論的には、武田委員がおっしゃったように、おっしゃったことを誤解しているかもわかりませんが、私、片山先生がおっしゃったように、選択肢を認めるというやり方でもいいのかなとずっと思って、心の中でわだかまっていたのですけれども、ただ、それだけを地方制度調査会の答申として書いた場合に、監査制度を有効に機能させるために独立性を高めるのだというメッセージが曖昧になりはしないか。だからそこの書き方ですよね。非常にせこい話のようだけれども、書き方をどうするかと。議選委員を廃止するかどうかを各自治体の判断に委ねるというような制度設計を提言するにしても、議選委員を置くということが、独立性を低めて、ひいては機能不全に陥らせるような結果を持つことが懸念されるというようなメッセージも同時に伝えるべきではなかろうか、そんなようなことを考えております。

○小林委員 もうちょっと原理原則的なお話でもいいですか。私も基本的には分権を進めるべきだという立場ではあるのですが、小幡先生が以前からお話されているように、監視機能というのはある程度きちんと仕組みとして統一的に導入されるべきだというふうなお話をされていたかと思うんですが、それをもうちょっと経済学的に考えたときに、住民と例えば首長部局なり議会との間に完全に情報の非対称性がなくなったかというとそうではないと思うんです。そういったときにどうしてもいくつか選択肢を用意する、もしくは自治体独自の仕組みが導入できるというふうな形にしてしまうと、情報の非対称性を利用して、自分たちに都合のいい監視の仕組みというのを選択してしまうということもそういう余地がどうしても出てきてしまうと思うんですよ。
 片や片山先生がおっしゃったように、分権なんだから落ちるべきものは落ちたらいいというお話もあったのですが、確かにその地域だけが落ちていくのだったらば落ちていくといった考え方もあると思うのですが、その地域が落ちちゃったら、ほかの地域にも何らかの負の外部性、迷惑がかかってしまう、もしくは国民全体で後始末をしなければいけないということも考えると、単純に落ちていっちゃったらそのまま自己責任だからというふうな話も難しいと思うんですよ。
 そうなったときに、地制調という、こういう中立的な立場の人がある程度監視機能として十分、今その中で独立性というお話が出ていると思うんですけれども、監視機能として十分機能しそうなものを全国的に導入するというふうな意義は、今言ったようなお話から考えると十分あると思うので、私は委員長がおっしゃるような形で議選委員を廃止するというふうなことで基本的に構わないというふうな認識でおります。

○西野委員 私は監査の大胆な改革を考えております。監査には中立性が求められますから、外部的な視点が極めて重要なわけです。現行制度では私たちは全ての自治体に内部監査を求め、大規模自治体にはその他に外部監査を求めています。なぜダブル・チェックが必要かを考えるとき、やはり内部監査のみでは全体的な視点からのチェックが不十分であり問題を十分に把握できないなどの懸念が背景にあるためと考えられます。そうであるならば、外部監査制度を充実して、包括的監査等のほか、内部監査で行うような主要な問題について監査し、内部からと外部からのダブル・チェックの体制を確立して、両者を付き合わせるようなシステムを創れないかと考えております。特に小規模自治体で懸念されるコスト面の問題は前述の「共同外部監査システム」でクリアできるのではないでしょうか。         
 そうすると、もし内部監査と外部監査の間に大きなギャップがあったようなときにはやはり問題になってくるわけですから、内部監査の客観性を高めるインセンティブが作用することになると考えますが、いかがでしょうか。

○林小委員長 いろいろご意見いただきました。私の理解が誤っているのかもしれませんけれども、監査委員のチェックと議会のチェックは違うのではないかというように思ったりするんですね。つまり議会というのが、住民の意向に沿った行政が行われているのか、予算配分が行われているのかという話であって、監査委員というのはどちらかというと、議会からも独立し、そして行政からも独立し、それを客観的に中立的な立場で行政監査も含めてやるということが私は監査委員の一番の使命なのではないかと考えています。これはちょっと間違っているかもしれませんけれども、そうすると今後、議会からも、例えば公募制といったような話が出てくるときには、当然どちらからも独立した形で委員が選ばれ、そして監査をするという話になっていくのではないかと思ったりしているものですから、そこが内部監査と外部監査の関係はもちろんそういうぐあいに補完するとかといったようなことがあろうと思いますけれども、私は議会との関係でいくと、独立したほうがいいのではないかと思っているものですから、議会が選挙するということであれば議選委員は外していくほうがいいのではないか。
 その場合に、今のいいところというのは本当につぶれてしまうのだろうか、つぶれないようなやり方というのはないのだろうかというようなこともちょっと思ったりするものですから、私は専門外なものですから、少し間違った考え方の中で交通整理をしているのかもしれませんけれども、そのあたりいかがでしょうか。

○江藤委員 私自身がよくまとまってないのですが、片山副会長言われるように、自由に選択するというのは基本的に大賛成なのですが、ただ、監査委員のイメージについてです。議選を入れるかどうかの議論ですが、そもそも監査委員について委員長は中立性という言い方をされていますね。議会による選挙によって、中立で、恐らく専門職の方々がなるんですね、今の話だと。公認会計士だとか税理士とかのイメージですか。言わんとするのは、そういう中立性ということであると、そういうところで監査機能を充実させるというのは事務局の充実や独立性、あるいは何らかのものがある程度ないと、資料出せといってもなかなか出てこないのではないかなという危惧があります。
 先ほどから出ている政治色が強いというんですか、もちろん専門家なんでしょうけれども、政党会派が推薦する監査委員と議会とがかなり近い部分ということであれば、資料等を出さないということであれば、それこそ会派が文句言うだろうとに思っているんですけれども、今の監査委員のイメージというのはどちらなんですか。本当に中立で、会派とは関係なく自律的だというように委員長はイメージされているのでしょうか。

○林小委員長 私はそうあるべきだと思います。

○江藤委員 べきですね。

○林小委員長 はい。その場合に同然事務局体制の問題だとかですね。

○江藤委員 今までの議選を入れていく意味というのは、財務監査だけでなく行政監査も含めて監査をやる役割の中で、住民の目線ということと、プレッシャーをかけるという意味があったと。

○林小委員長 ですね。

○江藤委員 そうですね。そうすると独立させて、本当に機能するかどうかのときに、今の話だと議選入れないとなかなかパワーアップしない。

○林小委員長 ですから恐らく議会のそういう監視機能といいますか、そのあたりとの関係だと思うんですよ。つまり今のままの議会で果たしてそれが十分に機能するかということになってくると、やはり議会の強化ということが非常に重要だと。その上で監査はどうあるべきなのかということを考えていくべきなのではないかということなんです。

○江藤委員 もう一度お聞きしますけど、中立性を保証するような議会の選挙というのはどういうふうにするのでしょうかという根本的なところを教えていただけますか。

○林小委員長 恐らく今でも、先ほど原さんのところでは、要するに全会一致でふさわしい人を選んでいるとおっしゃったわけですね。そういうのが本来のあるべき姿なので、お話を聞いていると、議会で選ぶと会派にとらわれたり、あるいは多数決で決まっちゃうんじゃないかといったようなことを言われるわけですね。これではやっぱり困るんですよ。これはいくら議会強化しようと、議会の監視機能を強化しようと言っているときに、議会でやればこうなんですよというような話が出てくると、これは、じゃ何なんだという話に私はちょっと思ってしまったりするものですから、議会とはこうあるべきなんじゃないかということの中でやるべきではないかと思いますけど。

○片山副会長 議会というのは優れて政治的な産物ですから、そんなに理念型で中立性が担保されるのがいいんだというわけにはいかないんですよ。いろんな人がいろんな選び方をするわけです。

○林小委員長 議会はそうだと思います。

○片山副会長 ですからそんなに1つの理想的な姿を議会に求めるのは、木に縁って魚を求めるがごとしですよ。また、それがいいとは私は思いませんし、やっぱりいろんな人が出てきて右往左往する中で議会というのは構成されるんですよ。だから、それを前提にして制度を考えてあげなきゃいけないんです。だから原さんみたいなところの議会もあるんでしょうが、全会一致、それが本当にいいのかどうかというのも疑問はあります。本当はいろんな考え方が違うわけだから、全会一致になること自体、本当は不自然かもしれないんですよね。それから会派ごとにいろいろ異論が出る、これは当たり前なんですね。そういうことを前提にしなければいけない。
 それを前提にして、議会のほうに母体を移しますかということを議論してきたわけです。議会に移すんだけど、中立で理想的でないといけないというのだったら移さないほうがいいです。移すのであれば、もみくちゃになるということが前提でないといけないんですよ。
 それでさっき委員長が、監査委員というのはどういう存在だろうかという疑問を出されましたけど、これは設計の仕方いかんによると思うんですよ。今は首長が選ぶ、だからかなり内部監査に近いですよね。これだとしかし首長が任命するのだから、首長との間に距離感が出なくて、きちんとした監査できないので首長からの独立性を強化しましょうというのがこのたびの流れですよね。
 そこで、じゃどこに母体を置きますかというときに、金子先生みたいに公選でいいのではないかという意見もあって、これも1つの有力な意見だけれども、何となく議会がいいのではないかということに一応落ちついたから、今度は議会が権力をつくる母体になるんですね。そうしたらもう議会に任せてあげたらいいと思うんですよ。議会がどうするかというのは、その議会に。その議会が、例えば議選はやめようと決めればそれでもいいし、いや議選も半分ぐらいいてもいいのではないかというならそれでもいいし、場合によっては、全部議選というようなところもひょっとしたら出るかもしれないけど、今度はその議会が品質を問われるわけです、権力をつくる母体の品質が。それから議選で出た人は監査委員としての見識とか能力とか責任を問われるわけです。彼らに任せておけばいいですよ、そういう説明責任果たすのは。いちいちそれを議員が入ったらだめだとか、何とかって机上で決めるのは私はよくないと思います。
 それから、落ちるところへ落ちたらいい、だけど、他に迷惑がかかるのではと言われましたが、迷惑がかからないようにする、どこかが落ちてもほかが困るようなことにならない仕組みを作るのが地方分権なんですよ。今までもたれ合って、どこかが落ちたらみんなで助け合わなければいけないなんて護送船団でやるからそういう発想が出てくるので、切っちゃって、落ちたら落ちなさい、自分ではい上がりなさいというのが分権なんですよ。それから、今より悪くなる制度にしようとしているんじゃないんですよ。今の仕組みも改良して残すということは、今より落ちやすくする仕組みをつくろうとしているのではないです。少なくとも今よりはよくなるということなので、そこは今の制度を基本的に選択肢として残したからといって今以上に悪くなることはないということだと思いますけれども。

○大山委員 私、きょうすぐ失礼しなければいけないのと、次回欠席なもので、今言われた中立性の話ですけど、議会で選任すると中立になるという保証はもちろんなくて、せいぜい首長選出よりはましだという程度の話でしかないと私も思います。現に国会でも、議長、副議長を決めるときはもちろん会派で根回しをして、副議長には野党がついているわけですよ。だからその程度のものでしかないと思うんですね。
 その後の話なんですけれども、議選はいけないと書くのはやっぱり抵抗があるということだったら、逆に監査委員と議会との連携の方法にはこういうのがあるよというようなことを提示するというのも一案だと思うんです。だから国会なんかも会計検査院との連携というのを改正法で入れたのですけれども、そういうような、一緒に共同作業をするとか、監査委員からの指摘に対して行政が何も反論しないときは議会の議題にするとか、そういうようなことを書いて、それだったら議選要らないのではないかとなるところはやめたらいいし、それでもどうしても今うまくいっているから議選がいいというのだったらそれでもいいかもしれないので、もうちょっとこういう議会との共同の仕方があるんじゃないですかというようなことは何か言えるのではないかなという気がしております。

○政所委員 小規模の自治体とのつき合いが長いものですから、先ほど一番気になったのが、議選を禁止することによって幅が狭くなるという言葉で、私が具体的につき合っているところで、議員を残したら、除いたときにどういう人が選ばれるかという顔を思い出してみますとほとんどいないんですね、高齢化している。人口も7,000万とか減っていく時代の中で、先ほど片山先生がおっしゃったように、選択肢の幅が狭くなっていくことによってどんどん選ばれる人が逆に決まってしまっていくようなことも実はあるのかなというような気がしますので、やはりコンパクトな自治体の中で人がいない、お金もないと、いくつも揃っている条件の中で選ぶときに、結果的に議員さんになる場合もあるので、でも、ただ気になるのは、こういう動きの中で、この時期にメッセージとしても全国的に一律に打ち出していく、廃止するという強いメッセージも一方では重要かなと思いまして、どっちという結論ではないのですが、結果的に選択、議選ということで、議員が選択された場合のもう一つの条件みたいなものが何か方法としてあるのかということをちょっと感じました。

(大山委員退室)
 それと結果的にそういう小さな自治体が連合的な事務局から派遣される。地域をあまりよくわからない監査委員が一時的に監査するのも、これも悩ましきことかなと思いますので、自由度があるということは大事なのですが、それがある程度透明性のあるきちんとした納得いく方法は、どういうふうな形にしたらいいのかということはちょっと気になりました。

○林小委員長 きょうは本来は事務局体制から議論したいと思っておったのですけれども、議選委員をどうするかということで、私も基本的に選択肢が多いほうがいいと思っているんですよ。ただ、現状を何か変えなければいけないという思いが非常に強いものですから、現状が変わらないんじゃないかという選択肢の、これも私、分権の中ではそういう考えはやめたほうがいいのかもしれませんけれども、少しでもよくなるような形に持っていくためにはどうすればいいのかというようなことを考えたときに、監査制度というのを、先ほど大山委員が言われたように、議会との連携をどうやればいいのかといったようなことも少し議論をしていかなければならないかもしれませんし、あるいは実効面でどうなんだといったような懸念もありますから、そのあたりも含めて地方制度調査会としてメッセージを出していくというところの、じゃどういう落としどころがいいのかということについて、もう少しまた具体的にご意見を伺いながらメッセージ性の高いものにしていきたいと思っておりますので、これは引き続き議論の対象ということにもなるかと思いますけれども、次回から事務局体制の強化というところも非常に重要だし、外部監査と内部監査の関係ということも非常に大きな課題でございますので、引き続き次回は事務局体制について議論をさせていただいて、そしてその中で議選委員はどうするべきかということの議論をもう一度確認をさせていただきたいと思っております。
 司会の不手際でこのような形になってしまいましたけれども、活発な議論が出るということが非常に重要なことだと思いますので今後ともよろしくお願いをいたします。
 それでは、事務局のほうに今後の予定等についてご説明をいただきたいと思います。

○自治政策課長 次回の日程でございますが、委員の皆様には資料の中に案内を入れさせていただいておりますが、5月につきましては、5月27日(火曜日)の午前10時から三田共用会議所の第4特別会議室で行います。6月につきましては、6月27日(金曜日)午後1時から、中央合同庁舎第7号館、これは新しい金融庁の入っているビルでございますが、ここの共有会議室1において行います。お忙しいところ大変恐縮ではございますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○林小委員長 6月27日、合同庁舎に入るときはチェックありますよね。これはどうすればよろしいですか。

○自治政策課長 その辺も併せて、西館、東館と分かれておりますので、ご案内の際に混乱のないようにさせていただきたいと思います。

○林小委員長 よろしくお願いいたします。
 それでは、これをもちまして、本日の専門小委員会を閉会いたします。長時間どうもありがとうございました。



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