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第25回独立行政法人評価制度委員会 評価部会 議事録

日時

平成31年1月28日(月)15時00分から16時15分まで

場所

中央合同庁舎第2号館8階 総務省第1特別会議室

出席者

(委員)樫谷隆夫部会長、原田久部会長代理、天野玲子委員、金岡克己委員、
栗原美津枝委員、高橋伸子委員

(事務局等)吉開官房審議官、辻管理官他

議事

平成31年度から中(長)期目標期間が始まる法人の新たな目標案について
(状況報告を踏まえた調査審議)
 
配布資料:

議事録

【樫谷部会長】 ただ今から第25回独立行政法人評価制度委員会評価部会を開会いたします。
はじめに、事務局において人事異動があったということですので、自己紹介をお願いいたします。
【辻管理官】 1月1日付で独立行政法人評価制度総括担当の管理官を拝命いたしました辻と申します。よろしくお願いいたします。
【樫谷部会長】 それでは、平成31年度から次の目標期間が始まる法人の新たな目標案につきまして、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
【辻管理官】 それでは、平成31年度から次の目標期間が始まる13法人について、各府省から提出していただいている現時点での目標案の御説明をさせていただきます。
本日の会議資料のうち、この新目標案については各府省から提出された途中段階のものですので、「委員限り」として配付させていただいています。当該資料は、非公開の取扱いとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
個別法人の説明に入る前に、まずは、これまでの委員会において、目標策定に当たり留意すべきとした事項について、確認をさせていただきたいと存じます。なお、委員の皆様の確認の便宜に資するよう、各府省の新目標案について、委員会から示した留意事項に対応する記述と考えられる部分に、事務局で印をつけさせていただいておりますので、御参考にしていただければと存じます。
まず、昨年11月29日の委員会の意見におきまして、目標策定の際、法人の使命を明確化するとともに、法人の現状・直面する課題、取り巻く環境の変化の的確な把握・分析が重要であることから、目標の冒頭に、法人の使命、それから法人の専門性・人材面の強み・弱みを含む「法人の現状」や「直面する課題」の分析、さらに法人内部のリソースの分析や配分を含む「法人の取り巻く環境の変化」の分析、これらの記載を求めることとしています。これに対応する記述については資料にマーカーで網掛けをさせていただいています。
続いて、平成29年12月4日及び平成30年11月29日の委員会決定において、各法人に共通する留意事項として示された内容としましては、五点ございます。一点目が、地域の地方公共団体、非営利法人、民間企業等を支援する役割を積極的に担うこと。二点目としまして、ICTなどの社会が求める専門人材を戦略的に育成するなど、法人自身の強み・リソースを更に伸ばす取組を推進すること。三点目としまして、ベンチャー企業等を含む外部の活力をいかすことや、府省の枠を超えて他の団体との協働体制を確立・強化すること。四点目としまして、結果のみでなく過程における工夫や努力を重視すること、いわゆるプロセスマネジメントを重視するということです。五点目ですが、法人の長のトップマネジメント、すなわち役職員へのミッションの浸透や業務改善への取組、主務大臣への提言等についての取組を促すこと。
これら五点に対応する記述については、資料に赤色の下線を付けさせていただいております。
それから、昨年11月の委員会で示しました、法人ごとの個別の留意事項については、各法人の説明の際に内容を御紹介させていただきますが、これに対応する記述については、四角の囲み線を付けさせていただいております。
それでは、個別法人ごとの説明をさせていただきますが、本日は時間も限られていますので、法人ごとの個別の留意事項に対応する記載内容を中心に、ポイントを絞って御説明させていただきます。
まず、文部科学省関係の4法人でございます。一つ目が日本学生支援機構です。日本学生支援機構は奨学金の貸与・支給や留学生の支援など、大学等の学生支援を総合的に担う機関でございまして、2020年からの給付型奨学金の大幅拡充など、高等教育無償化施策への対応や、優秀な外国人留学生の戦略的な受入れの推進などが課題として挙げられております。
この法人に対し、委員会から示しました個別の留意事項ですが、二点ございます。一点目が給付型奨学金の拡充を控え、奨学金の給付・貸与の効果の把握・検証のための方策や、元奨学生とのつながりの維持・構築方策の検討を行うこと。二点目ですが、元留学生とのつながりの維持・構築方策の検討や関係機関と連携して留学生支援に取り組むこと。これら二点について目標に盛り込むことを指摘しております。
これらに対応する内容については、資料の5ページ、「奨学金事業」の共通事項の一番最後に、「奨学金の給付及び貸与の効果の把握・検証のための具体的方策」並びに「給付や返還が終了した元奨学生とのつながりを維持・構築するための方策」について、国と連携して検討を行う旨、記載をされております。
また、6ページの(1)「外国人留学生に対する支援」のところに、「関係機関との一層の連携の下、留学前から卒業後のフォローアップまで一貫した外国人留学生支援を実施する」こと、それから、次の7ページの(6)に、「外国人留学生の卒業後の就職支援や帰国後のフォローアップの取組の強化」、「支援を受けた留学経験者とのつながりを維持するためのネットワークの整備」といった内容が盛り込まれております。
続きまして、海洋研究開発機構(JAMSTEC)です。海洋研究開発機構は、海洋に関する基盤的研究等を担う研究開発法人であり、近年は、海洋分野おけるSociety5.0の実現、「海洋状況把握(MDA)」体制の確立などの総合的な海洋の安全保障の取組や「北極政策」の推進、海洋や海洋資源の管理・保全及び持続可能な利用などが課題として挙げられております。
この法人に対しまして、委員会からは二点指摘をしております。一点目が大学、独法、地方自治体、民間企業等の関係機関と連携・協働しながら、オールジャパンで海洋調査、研究開発、人材育成等の取組を推進すること。二点目が、法人が保有する膨大なデータの統合・解析機能を強化し、社会実装につながる有用な情報として発信することや、研究開発の成果・知的財産を適切に管理すること。これらについて目標に盛り込むことを指摘しています。
これらに対応する内容については、16ページの1の「海洋科学技術に関する基盤的研究開発の推進」のところに、冒頭に述べられているような、法人を巡るさまざまな課題を踏まえまして、重点的に取り組むべき研究開発課題として、(1)の「地球環境の状況把握と変動予測のための研究開発」以下、(1)から(5)の研究テーマが示されているところです。
これらのテーマごとの研究開発の項目に、委員会が示しました留意事項を踏まえ、他の機関との連携や情報発信について記載をされているところです。
それから、19ページの2には、海洋研究開発機構が「海洋科学技術における中核機関」として取り組むべき中身が書かれております。(1)では、関係機関との連携・協働関係を今まで以上に推進していくことや、研究開発成果や知的財産を戦略的に活用・管理していくこと、成果を経済・社会のニーズに即して分かりやすく情報提供すること、さらには関係機関との連携による人材育成について盛り込まれています。
次の(2)には、研究活動を通じて得られた海洋科学技術に関する情報等の適切な整理・保管や国民への情報提供といった中身が記載されているところです。
次に、国立高等専門学校機構です。国立高等専門学校機構は、職業に必要な実践的な教育を行う全国で51の国立高等専門学校の管理運営を担っており、近年は、15歳人口の減少、Society5.0時代の社会・経済構造の変化、技術の高度化、ニーズの変化への対応や、海外における高専制度の導入ニーズへの対応などが課題として挙げられているところです。
この法人に対しまして、委員会からは三点、個別の留意事項を指摘しています。一点目が、地域の各団体と連携・協働して、地域課題の解決を行うなどの実践的教育を通じて、地域の産業、ひいては我が国全体の産業を支える人材を育成する役割を引き続き担うこと。二点目が、社会のニーズを踏まえ、各高専の強み・特色を伸ばすための適材適所の教員配置など、理事長や法人本部のマネジメントの強化を図ること。三点目が、外国への高専の導入に関する支援について、相互交流により我が国の高専のグローバル化にも寄与することから、関係機関と連携しながら、組織的・戦略的に推進すること。これら三点について目標に盛り込むことを指摘しております。
これらに対応する内容については、まず31ページの「教育に関する目標」の(4)のところですが、「産業界等との連携体制の強化を進め、地域や産業界等が直面する課題の解決を目指した実践的な教育に取り組む」ことや、「技術科学大学などとの有機的連携を深めるなど、外部機関との連携により教育の高度化を推進する」ことについて記載されております。
それから、33ページの3.3の「国際交流に関する目標」には、「各国の日本国大使館やJICA等の関係機関と組織的・戦略的に連携し、高専制度の海外における導入支援と高専の国際化を一体的に推進」する旨が記載されております。
次の34ページの下のところから35ページにかけましては、理事長のリーダーシップによる教職員の配置など、マネジメント機能の強化について記載されています。
次に、大学改革支援・学位授与機構です。大学改革支援・学位授与機構は、大学の評価や施設整備支援、学位の授与など、高等教育にかかる社会的要請の高い課題に取り組んでいる法人でございまして、近年はSociety5.0実現に向けた人材の育成やグローバル化の進展で、学生の国境を越えた流動性が高まる中で、学習履歴・学位等の国際通用性を確保すること、さらには長寿社会における「学び直し」への対応などが、課題として挙げられているところです。
この法人に対し、委員会から指摘をしました留意事項が三点ございます。一点目が、評価を受ける側の大学等が、自ら変革する組織となるような評価のあり方について、文部科学省と連携しながら検討すること。二点目が、大学等の教育研究の状況等の情報発信について、活用状況を把握し、より活用が促進されるような運用改善方策。三点目が、将来的な大学進学者数の見通し等を踏まえた、大学における戦略的な経営判断を支援する取組の強化。これらについて目標に盛り込むことを指摘しています。
これらに対応する内容については、まず41ページの1の「大学等の評価」について、総論部分に、「大学等における内部質保証の確立を支援する」こと、あるいは「文科省と連携しながら効果的・効率的な評価システムを開発・実施する」ことが記載をされています。
44ページからの「質保証連携」の「大学連携・活動支援」として、45ページの(2)に「国立大学法人の大学マネジメント機能等の運営基盤の強化推進を支援するため、大学等と協働して、必要な情報の収集、整理、分析を行い、また広く大学等にその成果の提供を行う」こと、次に(3)には大学における教育情報の活用支援等を促進するため、「日本私立学校振興・共済事業団と連携し、大学ポートレートを運用する」こと、(4)には他の評価機関と連携し、社会や大学等を意識した情報発信等に取り組むことなどが盛り込まれています。
次に、厚生労働省関係の4法人です。まず一つ目が労働者健康安全機構です。当該法人は、「労災病院」の運営や、労災に係る研修や相談等の支援を行う「産業保健総合支援センター」などの施設の運営、「労働安全衛生研究所」を中心とした労災にかかる調査・研究などを担っており、近年は少子高齢化やこれに伴う就業者数の減少が見込まれる中で、治療と仕事の両立など働き方改革の推進が課題として挙げられています。
この法人に対しましては、委員会から二点、個別の留意事項を示しております。一点目が、働き方改革の実現に向けた両立支援について、専門性や人材面での強みをいかし、地域の産業保健総合支援センターを中心に、企業ニーズに適合したアドバイスの実施、産業医・保健師の研修、両立支援コーディネーターの養成など、総合的な取組を行うこと。二点目が、医療サービスの質の向上、経営改善に向け、理事長のリーダーシップの発揮ができるマネジメント体制の構築について目標に盛り込むことを指摘しております。
これらに対応する内容については、58ページの5「事業場における産業保健活動への積極的な支援と充実したサービスの提供」のところに、産業保健総合支援センターを中心に、働き方改革の実現に向けた両立支援に関して、具体的な施策が盛り込まれており、「産業医の資質向上のための研修の実施」や「活動の支援」、「事業場における産業保健活動の支援」、「産業保健総合支援センター及び地域窓口における専門的相談の実施」や、「センター事業の利用促進」などについて記載されております。
さらに62ページから63ページ、6「治療と仕事の両立支援の推進」のところには、「企業等に対する支援」や、「両立支援コーディネーターの養成等の人材育成支援」が盛り込まれています。
さらに、66ページの「機動的かつ効率的な業務運営」のところには、理事長の指導力の発揮について、次の67ページには労災病院の経営改善や医療サービスの質の向上などについて記載されております。
続いて国立病院機構です。国立病院機構は、全国141の病院を運営しており、医療の提供、研究、技術者の研修等を行っております。近年は、超高齢化社会を迎える中、地域包括ケアシステムづくりの推進、各都道府県における地域医療構想への対応、在宅医療ニーズの増加への対応などが課題として挙げられております。
この法人に対しましては、委員会から三点、個別の留意事項を示しております。一点目が、セーフティネット分野の医療について、法人の持つ専門性・人材面での強みをいかし、我が国の中心的な役割を担うとともに、在宅支援を含む医療・福祉の充実・強化を図ること。二点目が、人材育成等を含め、国や地域との連携を強化し、国の災害医療体制の維持・強化に貢献すること。三点目が、法人が有する資源、ネットワークを最大限活用し、国の医療政策に貢献すること、そのために、本部機能の見直し、人事や運営の効率化、経営改善の取組に向け、理事長がリーダーシップを発揮できるマネジメント体制を構築すること。これらについて目標に盛り込むことを指摘しております。
これらに対応する内容については、74ページ、(3)「国の医療政策への貢献」のところに、「災害等の発生時など国の危機管理に際して求められる医療について、機構の資源やネットワークの活用と地域との連携強化により、現場で貢献できる人材の育成等を含め、中核的な役割を果たす機関としての機能を拡充・強化すること」や、「セーフティネット分野の医療について、引き続き、中心的な役割を果たすこと」、さらには「在宅支援を含めた医療・福祉サービスの充実を図ること」などについて記載されております。
78ページ、79ページには、法人全体として経営の健全性が保たれるよう、「本部機能の見直しなど理事長がよりリーダーシップを発揮できるマネジメント体制の構築」や、「適正な人員の配置」「調達の効率化」などについて記載されています。
次に、医薬品医療機器総合機構です。医薬品医療機器総合機構は、医薬品等による健康被害の救済や、医薬品・医療機器等の品質、有効性、安全に関する審査等を行っており、近年は、AI技術やゲノム情報等の活用によるイノベーションの急速な進展や、グローバル化による企業間の国際競争の激化などの環境変化の中で、有効かつ安全で、革新的な医薬品等について、必要とする患者に、より早く提供すること及び安全対策の充実強化などが課題として挙げられております。
この法人に対しまして、委員会からは三点、個別の留意事項を示しております。一点目が、医薬品等の審査の迅速処理にあたり、安全対策の一層の質の向上に取り組むこと。二点目が、医療情報データベース(MID-NET)とクリニカル・イノベーション・ネットワークを連携させ、治験・安全対策等に活用するにあたり、関係機関との連携や個人情報の適正な取扱いを確保すること。三点目が、適切な法人運営が可能となるようなガバナンス体制を構築すること。これら三点について目標に盛り込むことを指摘しております。
これらに対応する内容については、まず83ページ、2「審査業務」のところに「医薬品・医療機器等の審査の迅速化・効率化を図り、世界最速レベルの審査期間を堅持するとともに、審査の質の向上等を図る」として、(1)では医薬品の審査、85ページの(2)は医療機器等の審査業務として、それぞれ(ア)から(オ)までの具体的な対応策が盛り込まれています。
88ページの3「安全対策業務」のところに、副作用・不具合情報の収集・整理や評価の実施、医療関係者や患者等への安全性情報の提供などが盛り込まれておりまして、(4)の「業務の質の向上」のところのエには、MID-NETと、日本医療研究開発機構を中心に整備が進められているクリニカル・イノベーション・ネットワークをはじめとした他のデータベース等とのデータ連携について検討を進め、利用可能なデータの規模拡充を図ることや、個人情報の適切な取扱いの確保について記載されております。
それから、91ページ以降には、理事長が意思決定を迅速かつ的確に行えるよう、ガバナンス体制を構築することや人材育成などが記載されております。
次に、地域医療機能推進機構です。地域医療機能推進機構は、旧社会保険病院など57の病院や、それに併設される老人保健施設、訪問看護ステーションなどを運営し、医療やリハビリテーションなど地域医療や介護を提供しており、近年は高齢化の進展に伴う医療や介護のニーズの変化に対応し、地域包括ケアシステムの要として、予防・医療・介護をシームレスに提供していくことが課題として挙げられております。
この法人に対しまして、委員会からは一点、留意事項を示しておりまして、各施設の人的・物的資源を活用し、役割や強みを発揮することで、地域包括ケアシステムの構築に貢献することについて、目標に盛り込むことを指摘しています。
これに対応する内容については、100ページの1「診療事業」のところに、「地域のニーズの把握に努め、地域の実情に応じ、地域の他の医療機関等との連携を図ることにより、取組が十分でない分野を積極的に補完するなど、都道府県で策定された地域医療構想に一層貢献すること」、「地域包括ケアの要として予防・介護とシームレスな医療の提供体制の充実・強化に取り組むこと」が記載されています。また、(4)では、病院と老健施設を一体的に運営している機構の特色をいかし、地域における効果的なリハビリテーションの実施について記載されております。
それから、102ページには、介護事業について記載がございます。地域包括ケアの要として、介護予防から医療・ケアまでシームレスに提供する体制の充実・強化に取り組むこととし、特に、病院と隣接し、病院と一体的に運営されているという当該機構の老健施設の特色をいかした事業などを実施することが記載をされています。
次に、経済産業省関係の2法人です。まず、日本貿易振興機構です。日本貿易振興機構は、貿易の振興に関する事業の総合的・効率的な実施と、アジア地域等の経済等に係る基礎的かつ総合的な調査研究等により、貿易の拡大や経済協力を促進することを目的としており、具体的には国内への投資の推進、海外市場開拓支援、中小企業等の海外展開支援などを行っております。近年は、人口減少の中で海外の需要を獲得する必要があることや、デジタル経済の拡大に伴い、スタートアップを振興し、イノベーションの創出に貢献することが課題として挙げられております。
この法人に対しましては、委員会から三点、個別の留意事項を示しております。一点目が、第4次産業革命等に対応するため、質を一層重視した対日投資を促進し、イノベーションに貢献する具体的な取組。二点目が、人手不足が深刻化する中、各地域の強みと誘致する外国企業の技術・ノウハウ等の結びつきを強め、新たな需要を創出するため、地域経済の活性化に貢献する具体的な取組。三点目が、地方の中小企業等における海外展開を担える人材不足をカバーする高度外国人材の確保・定着支援を通じた海外展開に貢献することができる具体的な取組。これらについて目標に盛り込むことを指摘しています。
これに関連する記述ですが、113ページの(1)に「質の高い対日直接投資の促進」とございまして、この中で第4次産業革命によるイノベーションの進展や国内における人手不足、地域における社会課題の増加などを踏まえ、「イノベーションや地域経済活性化に資する対日投資」に重点化するということとし、具体的には、「高い付加価値を創出する可能性があり、著しい新規性を有する技術や手法を用いた事業」など、(1)から(4)の案件に重点的に取り組むということとしております。
それから、その下の「日本企業等と海外企業の協業・連携」のところには、「優れた技術を持つ外国企業と日本企業・大学・研究機関をマッチングし、技術提携や共同研究開発などを促進することにより、国内のイノベーション創出や地域経済活性化に貢献すること」などが記載されています。
また、120ページの「グローバル人材の活躍・育成」のところには、「中小企業等の海外展開で重要な戦力になる留学生などの高度外国人材の獲得・定着支援を行う」こととし、具体的には、関係機関と連携して、機構が一元的な情報提供プラットフォームを構築するとともに、高度外国人材を受け入れる企業に対し、伴走型支援を提供することなどが記載されています。
次に、中小企業基盤整備機構です。中小企業基盤整備機構は、中小企業・小規模事業者政策全般にわたる総合的な支援・実施機関でございまして、「創業・新事業展開の促進」「経営基盤の強化」「経営環境の変化への対応の円滑化」という三つの枠組で業務を実施しております。近年、中小企業等は、経営者の高齢化・労働人口減少による人手不足・国内市場の縮小という三つの構造変化に直面しており、事業承継・事業引継ぎや、生産性の向上、そのための「Society5.0」の実現や「Connected Industries」への変革の推進などが課題として挙げられています。
この法人に対しましては、委員会から三点、個別留意事項を指摘しております。まず一点目が、第4次産業革命、人口減少、グローバル成長市場の取り込み等の政策課題に対し、イノベーションや地域経済の競争力強化・活性化の観点から法人の強みをいかして、中小企業等を支援する具体的な取組。二点目が、高齢化が進む中小企業等の事業承継や事業再生について、各地域の支援機関等が成果を上げられるよう、課題やニーズを把握・検証した上で、優良事例の共有や専門家派遣等の総合的・複合的な支援の実施。三点目が全国の中小事業者等381万者に対し、法人の認知度を高め、支援策を利活用してもらうため、周知・啓発の強化や、効果の把握・検証を行うこと。これらについて目標に盛り込むことを指摘しております。
これらに対応する内容については、まず138ページです。「事業承継・事業引き継ぎ」への支援につきまして、都道府県ごとに設置されている「事業引継ぎ支援センター」が、事業者を支援する上での課題や支援ニーズを把握し、ニーズを踏まえつつ、「支援ノウハウの提供」や、「支援機関等の能力向上のための助言・研修等」、さらには「事業引き継ぎ支援データベースの活用の促進」など、これらの施策をより総合的に支援することが記載をされているところです。
また140ページ、2「生産性向上」のところでは、「Society5.0」の実現や「Connected Industries」への変革の推進など、中小企業等の生産性を高める取組を進め、イノベーションや地域経済の競争力強化・活性化に資する観点から、例えば「ITツールの導入支援」や、「専門家による相談・助言、ハンズオン支援」、「経営の基盤となる人材の育成」、「支援機関等の能力強化・向上支援」などに取り組むことが記載されております。
それから、143ページの3「新事業展開の促進・創業支援」のところですが、成長著しい海外市場等を獲得し、「Society5.0」の実現や「Connected Industries」への変革などを図っていくため、「販路開拓を支援するWebマッチングサイトによるビジネスマッチング」や、これと連動した「展示会・商談会の実施」、「eコマース活用支援」、「成長が見込まれる中小事業者の新事業展開支援」などを行うことが記載されております。
また、146ページの(2)「中小企業・小規模事業者の事業再生等への支援」としまして、中小事業者が、適切な事業再生等の支援を受け、その活力の再生が促進されるよう、事業再生の支援体制を強化することなどが記載をされています。
それから、148ページの(2)には、機構の認知度向上のため「SNSや動画配信などのウェブメディアやローカルテレビなどのマスメディアといったさまざまなツールや機会を通じて周知啓発を強化し、適切にその効果を把握・検証し、改善することにより、支援施策の普及展開を図る」ことが記載をされています。
国交省関係の2法人です。まず、都市再生機構です。都市再生機構は、市街地の整備改善、賃貸住宅の供給の支援、賃貸住宅の管理等に関する業務を行っており、近年は、高齢化の進行や、東京一極集中、災害の頻発・激甚化への懸念の増大などへの対応が課題として挙げられております。
この法人に対しまして、委員会から三点、留意事項を示しております。一点目が、大都市における国際競争力強化のための都市再生、地方の人口減少・高齢化に対応するコンパクトシティの実現、安全・安心なまちづくりについて、法人の有する専門性・ノウハウをいかした地域の取組を積極的に支援すること。二点目が、賃貸住宅の活用・再生について地方自治体等と連携して、社会構造の変化やライフスタイルの変化への対応など、魅力あるまちづくりを積極的に推進・支援すること。三点目が、東日本大震災からの復旧・復興事業について、地域の取組をきめ細かく支援すること。これらについて目標に盛り込むことを指摘しております。
これらに対応する内容については、154ページの1「政策的意義の高い都市再生等の推進」の(1)「都市政策上の課題解決に資する都市再生の推進」のところに、(1)から(3)として、「大都市における国際競争力強化のための都市再生の取組」「コンパクトシティの実現」「防災性向上による安全・安心なまちづくり」について、積極的な支援を行うことが記載されています。
また、157ページの(2)には、東日本大震災の復旧・復興支援で蓄積したノウハウや専門性をいかし、大規模災害発生時の復旧・復興支援のための取組が盛り込まれています。
さらに160ページは、UR賃貸に係る目標です。(1)に、高齢化やライフスタイルの多様化等に対応した住環境の整備、(2)は、地域の魅力を高める活力あるまちづくり、あるいは持続可能なまちづくりの支援について、自治体等と連携して取り組むことが盛り込まれています。
それから、164ページの3には、東日本大震災からの復興支援について、引き続き機構の最優先事項として取り組むことが記載されています。
次に、奄美群島振興開発基金です。当該法人は、奄美群島と本土との格差克服のため、振興開発計画に基づく事業に必要な資金を供給することなどにより、一般金融機関が行う金融を補完し、また奨励することを目的としております。奄美群島をめぐる近年の状況としましては、インバウンドの増加により、民間の経済活動が活発化している一方、宿泊施設の不足などの課題が指摘されております。
この法人については、委員会から個別に指摘した事項はございません。
最後に環境省関係の1法人です。環境再生保全機構です。環境再生保全機構は、公害、石綿健康被害、廃棄物処理等、社会問題化した環境に係る諸課題への対応等、民間団体が行う環境保全に関する活動支援や環境政策に関する研究・技術開発等を担っております。近年は、AIなどの技術進歩も相まって、社会システム、経済、価値観が変化しつつある一方、人口減少社会に直面し、さらには自然災害の激甚化・頻発化、気候変動の影響の拡大懸念、そして国際的には、持続可能な開発目標(SDGs)の採択など、さまざまな環境変化に対応していく必要があるということが記載されております。
この法人に対しまして、委員会から一点、留意事項を示しております。環境研究総合推進費業務につきまして、研究成果の社会実装を推進するために環境省が示す方向性に沿って、研究課題の公募、審査・採択を行うこと。また、研究成果を社会実装につなげる視点をもって、評価や進捗管理に工夫して取り組むこと。これらを目標に盛り込むことを指摘しています。
これに対応する内容については、193ページの7「環境の保全に関する研究及び技術開発等の業務」のところで、「環境研究総合推進費業務」について、機構としまして「研究成果の社会実装を推進する視点をもって、公募、審査・評価、配分業務及び研究管理を行う」ことや、他の国立研究開発法人等の知見や環境省による追跡評価の結果を踏まえて機構の業務見直しを行うなど、プロセスマネジメントを取り入れて、「研究成果の社会実装を推進する上で必要な研究管理の土台づくりを進める」ことが記載されているところです。
13法人の新目標案の説明については以上です。
【樫谷部会長】 では、目標案につきまして、御意見等がございましたら、御発言いただけますでしょうか。天野委員。
【天野委員】 今、個別の留意事項を中心にお話いただいたかと思います。今のお話以外の、各法人が共通して留意すべき事項というのが赤線ということで、特には強調して説明していただけませんでしたが、これについてもしっかりチェックしていただいたと理解してよろしいでしょうか。
【辻管理官】 共通的な指摘事項について、記述としてまだ不十分なところはあるかもしれませんが、事務局でも内容はチェックさせていただいております。
【天野委員】 一点気になるのは、新しい中(長)期目標が次の新しい法人の長に渡されますが、指摘事項の具体的内容というのは、どちらかというと個別の留意事項にしっかり書かれていると思います。そうすると次の新しい法人の長がこれを受け取ったときに、中(長)期目標案だけを見ると、具体的にはどのようなことを意味しているのかというのが、分かりにくい場合もあるような気がします。各主務省へのお願いですが、新しい中(長)期目標を新しい法人の長に対して御説明されるときには、委員会からの具体の指摘事項もあわせて、主務省と法人の長とで、意識を統一させていただきたいと思います。
【辻管理官】 承知いたしました。その点については、各主務省にお伝えいたします。
【樫谷部会長】 我々委員も、中(長)期目標を見直すときに、さまざまな法人にお邪魔し、法人の長とも議論しておりますが、その法人の長はおやめになる場合が多いです。新しい法人の長との考え方の引き継ぎが非常に大事であると思いますので、そのような意味では、ぜひ、今、天野委員がおっしゃったことを各府省及び各法人にお願いできればと思います。事務局から各府省に伝えるようにお願いします。
【辻管理官】 かしこまりました。その点は、各主務省にお考えをお伝えしたいと思います。
【樫谷部会長】 金岡委員。
【金岡委員】 大変厚い資料でしたけれども、この200ページ、目を通させていただきました。
その結果、大小取りまぜて申し上げます。まず一つには、大変大きな拠点をお持ちの法人が幾つかありますが、委員会の中でもよく議論に出てまいりましたITの利活用に関する記載が、全般としてほとんどございません。十分なITネットワーク、ITシステムが構築されていて、その結果マネジメント上も問題ないということなのか、あるいは自律分散的に各拠点で行っているから問題ないということなのか、特に、多くの拠点を有する法人におけるITの考え方というものが、一読したところ、記載があまりなかったように思います。
それから、13法人拝見させていただいて、目標の年限は、ほとんどが五年で目標を定めておりますが、一つの法人が四年にされていて、また、七年という非常に長い目標期間を設定されている法人が一つございました。これは主務省と十分お話しになった上で七年と設定されているのでしょうか。主務省からの指示なのか分かりませんが、ほとんどの法人が五年の目標にされている中で、七年というのはかなり長期にわたります。このあたりの御説明がなかったように思います。
また、細かいことを申し上げますと、厚生労働省で大きな病院ネットワークをお持ちの団体が三つある中で、厚生労働省が進めている「地域包括ケア」というキーワードについて、一読したところ記載がなかった法人が一つあったように思います。
さらに、幾つかの法人では、目標の設定と難易度の記述のみであって、どのようにその目標を達成されていくのかが、第三者からは分かりにくいのではないかと思います。「このような業務を行っており、その中でこのような目標を設定し、それを確実に行うのがこの法人の務めです」といった書き方がありますが、その中身が詳しく分からない第三者から見ますと、どのようにその目標が達成できるのかが、読んだだけでは浮かび上がってこないような記述の法人もあったように思います。
また、セミナー等を開き、そのアンケート結果がある程度高いことを目標にされている法人が幾つかあったように思います。セミナーと言っても、一般的に、無料セミナーなのか有料セミナーなのかによって、アンケートをとってもその結果が変わってくるかと思います。無料の啓発セミナーなのかあるいは有料のセミナーなのかについても、残念ながら一切記載がございませんので、そのような中で目標を安易に立てていらっしゃるようですと、第三者からは良く見えないのではないかと思いました。
以上、資料を読んでみて幾つか申し上げました。特に、ITの利活用の視点について、ほとんど記述がないというのが実態でございます。また、一般管理費を減らすという目標を立てていらっしゃいますが、どのようにやられるのか、これについてもハウ(How)の部分が見えないところが幾つかあったように思います。次回欠席させていただく用事がありますので、申し上げました。
【辻管理官】 御指摘ありがとうございます。全体的な話としてITも含めてハウの部分が見えにくいということですが、主務大臣が各法人に示す目標と、その中で各法人が計画を立てて実行する部分との切り分けについて、主務大臣がどこまで具体的に示すのがいいのか、ある程度法人の裁量の幅を出したほうがいい部分もあるかと思います。その切り分けの問題の中で、現状はこのようになっております。
それから、目標期間について、制度上、国立研究開発法人については、長い目標期間を設定できるということになっていますので、その結果七年という形になっているということです。
【樫谷部会長】 他にも、アンケート等、さまざまな御指摘がありました。アンケートについて、確かに、有料の場合には費用対効果に合わないのではないかというところも、御指摘のようにあると思います。無料か有料かについては、各法人で考えることだと思いますが、そのようなこともぜひ御留意いただいた上で、各法人には中期計画をつくっていただきたいと思います。今の制度では、中期計画について我々委員会は直接意見を言う立場ではありませんが、それでも中期目標と一体なので、ぜひHowというところも含めて、しっかり書いていただくと良いと思います。国民から見て、コピーペーストをした結果、目標と計画が同じになったという例も以前ありましたので、金岡委員がおっしゃったように、どのようにして達成するのかということも含めて書いていただくように、特にお願いをするなり連絡をしていただきたいと思います。
【辻管理官】 承知いたしました。
【樫谷部会長】 栗原委員。
【栗原委員】 全体として、個々の各法人に対し、目標に織り込んではどうかという形で指摘させていただいたことについては、よく取り入れていただいている印象であります。
二点目に、先ほど金岡委員から御指摘ありましたけれども、こうして全部の法人がそろうと、書きぶりについての違いが鮮明に出ている印象であります。計画については、どこまで詳細に書くかは必ずしも決まりがある訳ではないかもしれませんが、記載されている目標や変化の認識から、計画がにじみ出るような法人もあれば、具体的にどのように行っていくのか抽象的過ぎて分からない法人もあります。目標を計画に具体策に落とし込む段階で、表面的なことに終わらないように、是非主務省と法人で具体化していただきたいと思います。
それから、細かいことですが、一つは良いと思ったところと、もう一つは逆にそれがうまく出ていないと思うところがあります。各法人の連携についてなのですが、まず、経済産業省の日本貿易振興機構と中小企業基盤整備機構です。中小企業の海外進出の支援について、日本貿易振興機構の機能と中小企業基盤整備機構の機能が連携するのが一番有効なのではないかと思いましたところ、両者において連携が具体的に書き込んであるので、これはおそらく経済産業省も含めて両法人が連携意識を明確にした結果の書きぶりだと思いました。
一方で、厚生労働省関係の三つの病院と医薬品医療機器総合機構について、ここもデータ等で連携できると思いますけれども、その書きぶりについて、非常に詳しく書いてある法人もあれば、他の機関と連携しますということのみしか書いていないということがあります。また、例えば国立病院機構の場合は、共同購入の推進をどことやっていますと書かれていますけれども、共同する他の法人では書かれていないということがあります。目標に書いていただくような重要な事柄については、関係する両法人、それから厚生労働省でも意識を合わせて、明示していただき、組織の中に浸透させるのが良いのではないかと思いました。
【辻管理官】 今御指摘のありました、同じ主務大臣の中での関係法人間で書きぶりが違うことについては、改めて精査をさせていただきたいと思います。
【樫谷部会長】 天野委員。
【天野委員】 去年も同じことを申し上げました。理事長に連携についていろいろなお話を差し上げると、理事長によっては、他の機関と連携できることについて、「そうだったのですか」とおっしゃることが多くあります。やはり、委員会の意図がしっかり伝わるかどうかというのは、各主務省の義務だと思います。私は委員となって今年で二年目ですが、理事長が連携について萎縮してしまい、本来なされるべき連携がなされないことは、非常にもったいないことですので、目標を立てるときに、積極的に連携を推進してほしいという委員会の意図がしっかり伝わるようにしてくださいというお話を昨年差し上げました。今年も心配ですので、再度強調させていただきたいと思います。
先ほど栗原委員がおっしゃったように、同じ省庁の中の法人の連携は自然に法人に伝わると思うのですが、委員会が共通的な指摘事項として指摘した中に、府省を越えて連携していただくということで、非常に良い成果を出している例があります。府省を越えた連携を積極的に進めてくださいということは、我々委員がヒアリングに行ったときに理事長には申し上げておりますが、理事長によっては、他の主務省と連携して良いのだろうかとお考えになるようです。例えば、中小企業基盤整備機構と国立高等専門学校機構です。地域の産業発展のために非常に良い成果を出していますので、主務省と相談しながら、主務省の枠を越えて、連携を進めていただきたいと強く思います。ぜひよろしくお願いします。単に「他の法人と連携」のように書いてしまうと、理事長としては少し遠慮するところがあるかもしれませんので、なるべく具体的に記載していただきますようにお願いします。
【樫谷部会長】 原田委員。
【原田委員】 まず全般的な感想なのですが、13法人から今回お出しいただいた中期目標、あるいは中長期目標を、一つの読み物として読んでいくと、なぜこのような目標を書いているのかということが、より分かりやすくなったのではないかという気がします。
また、我々委員会の今回の役割の一つは、個別の指摘事項が反映されているのかということをチェックすることであると思いますが、その点につきましては、先ほど栗原委員がおっしゃったように、我々委員会の意向をよく汲んでいただいた記載になっており、その点は問題がない気がいたします。
他方で、例えば人材面でいうとこのような強みがあるということが、既にその主務省や法人にとっては所与のものになっているのかもしれませんが、十分に冒頭の部分に書き切れていない法人もあるのではないかと思います。このようなところが足りないということであれば、おそらくその旨が記載されているべきです。
今年度は、各主務省に目標として書いてほしいことのフレームを、指針改定を通じて、新たに作り始める年でもあります。どの法人についても、一番最初の法人の位置付けや役割というものが、後ろの記述に効いてくるような書きぶりになっていくとより良いのではないかと思います。これからの期待を含めてのコメントです。
【樫谷部会長】 高橋委員。
【高橋委員】 私も、全体としては、委員会からの指摘事項は取り上げていただいていると思いますが、このように拝見しますと幾つかの気づきがございます。特に、私が担当していなかったユニットに関しては、少し申し上げたいこともあります。今回、国民に対してパブリックコメントを実施するという話も聞いていますので、私自身が国民目線で見た場合の気づきを、少し細かい点ですが、お話しさせていただきたいと思います。
大きく二つあります。一つは、社会を取り巻く環境変化への対応ということで、それぞれの法人が記述されていますが、その中でも特に少子高齢化や病気の治療と仕事の両立支援について書かれた厚生労働省関係のところは、少し視野が狭いのではないかと感じました。それはなぜかというと、高齢者対策については十分に書いてある一方で、若い人に向けた対策、不妊症の治療、仕事の両立などに関しては、記載が見当たりませんでした。働き方が変わっている中で、女性の社会進出を後押しする視点や不妊問題への対策は、非常に重要であると思っています。労災病院の中には、調べてみますと、愛媛県の病院のように、そのような点を看板に掲げて積極的に取り組んでいる病院もあるようですが、全体的にはそうではありません。労災病院も災害だけではなく、子どもが増えるような対策、あるいは女性の就業を可能とするような対策に関しても、もっと踏み込んで記述するべきではないかと感じました。
また、国立小児病院というものがかつてはあり、そこで勉強しながら、子どもたちが元気になっていくような手だてがありました。現在は廃止されていますが、国立研究開発法人の国立成育医療研究センターと国立病院機構において、つながりがあります。一方で、そのつながりがどうなっているのかという記載がないように思います。国立病院には不妊治療に係る対策についての連携も期待するところでありますし、小さい子どもの治療や勉学の推進ということでもっとやるべきことがあるのではないかと、今回拝見して気づきました。
このような点については、具体的に進めていく中で、目標に入れていただくと良いのではないかと思います。地域に関する記述にスポットが当たり過ぎていて、地域の中での子どもたちの支援といった視点が欠けていると感じました。
もう一つは連携についてですが、これも例えば医療について申し上げますと、あまり具体的な書きぶりがされていないと思います。教育について、海洋研究開発機構を見ますと、例えば防災科学技術研究所や東京大学の大気海洋研究所とのつながりというように、具体例も挙げながらどのような連携をしていくかが書いてあります。一方で、他の法人については、お題目のように、大学や他の機関との連携、地域との連携と書けれているだけで、具体性がないものがあります。少なくとも目標を立てるときには、下調査をしていただいて、具体的な連携先を例示していただきたいと思います。一般的な書きぶりにとどまっていると、実施の段階で連携先を探す必要があり、時間がかかってしまうのではないかと思いました。
地域医療に関して、都市再生機構ですが、例えば日野市の例を見に行きました。医療機関や地域包括ケアについて、自治体と密に連携しており、高齢者住宅へのリニューアルなども行っているようでした。具体的に、例えば労働者健康安全機構や国立病院機構との連携が今後どうなっていくのか、両者とも目標の中ではその道筋が見えませんので、今後そのような点についても深めていけると良いと思いました。
【辻管理官】 ありがとうございます。労災病院について、仕事と治療の両立支援、不妊症などが対象になっているのかというところで、愛媛県が行っているということでございました。我々が聞いている中でも、産業保健総合支援センターは、不妊治療と両立支援という形で支援を行われていると承知をしております。具体的に目標に書けるのかについての確認は必要だと思っております。
また、連携についてもう少し具体的に書けないのかという点については、引き続き確認していただきたいと思います。
最後に、パブリックコメントの話がございました。それについては、今回の目標案をパブリックコメントするのではなく、今後3月に改定について答申をお願いしようと思っている指針の関係についてパブリックコメントをさせていただく予定です。
【樫谷部会長】 確かに、高齢者対策に関する記述は十分にある一方、少子化対策に関する記述は少ないと思います。
目標で記載することもそうですが、計画を我々委員会がレビューできるのかは分かりませんが、よく見ていただいて、最終的には中期目標を達成しているのかどうか、やはりこの計画を達成しているかどうかは一つのベースだと思います。あまり抽象的な書き方ですと、計画の達成というよりも目標の達成がされているかどうかよく分からないところがあるので、連携といっても後出しジャンケンのようにならないようにしていただきたいと思います。弾力的に法人運営をすることを考えなければならない点もあるかもしれませんが、最低限ここまでは連携してほしいということは、もう少し書き込んでいただいても良いのではないかという気がいたしました。
それでは、最後に、本日の議論を踏まえまして、私から一言述べたいと思います。
辻管理官からの最初の報告にございましたように、我々委員会は常々、目標策定に当たっては、まず、法人の使命を明確化し、次に、法人の現状を的確に把握し、直面する課題は何かという分析を行うとともに、法人や法人が担う政策を取り巻く環境はどのように変化し、その変化にどのように対応していくのかを分析・検討した上で、まず地域を積極的に支援する役割を法人が担うこと、それから、専門人材を戦略的に育成するなど、法人自身の強み・リソースをさらに伸ばす取組を推進すること、法人自身に足りないものについては、ベンチャー企業等を含む外部の活力をいかすことや、府省の枠を超えて他団体との協働体制を確立・強化することなどの視点に御留意いただきたいと申し上げてきました。
今回の各法人の目標案につきまして、今までの御指摘にありましたが、こうした視点に留意して記述いただいていると思いますけれども、一部、物足りないところも見受けられました。特に、各法人の目標の冒頭に記載されている「政策体系における法人の位置付け及び役割」につきましては、法人の使命が必ずしも明確に記述されていないもの、あるいは法人が有するリソースや、それを踏まえた法人自身の強み・弱みに関する分析がほとんどあるいは全くなされていないものも見受けられました。また、こうした分析を踏まえまして、専門的な人材を戦略的に育成する取組につきましても、具体的な記述に欠けるものが見られました。
法人内外の分析を行った上で目標を定めることは、民間におきましては、SWOT分析などに代表されるように、ごく当たり前に行われております。今申し上げた点も含めまして、各委員から御指摘、御意見いただきました事項につきまして、限られた時間の中ではありますけれども、各府省あるいは独立行政法人におきましては、引き続き御検討いただきますようにお願いいたします。
事務局におきましては、このことを各府省あるいは法人にもよろしくお伝えいただきたいと思います。
次に、次回について事務局から御説明をお願いしたいと思います。
【辻管理官】 次回でございますけれども、委員会を2月15日金曜日の15時に開催いたします。場所等については追って御連絡をさせていただきます。
なお、一昨年12月4日の委員会決定においても、「各法人において組織運営を活性化し、法人の職員が元気を出して業務を行っていくための取組の事例の把握及び紹介に引き続き取り組んでいくこととする」と盛り込んでおりますが、それを踏まえて、現在、事務局において把握活動を継続しております。次回2月の委員会では、新目標案について御議論いただくとともに、農業・食品産業技術総合研究機構から「農業・食品安全におけるSociety5.0の実現に向けた農研機構の改革」と題して、事例の報告をいただく方向で調整をさせていただいております。
【樫谷部会長】 ありがとうございました。それぞれの事例を御発表いただいて、それをホームページ等で見られるようになっています。住宅金融支援機構でマネゼンという言葉がありましたけども、他の法人が行っている事例も踏まえた上で、しっかりそれぞれの法人で検討していただいて、真似をするのも一つの方法です。真似をするのも恥ずかしいということではなく、そのようなことも積極的に御検討いただけたら良いと思っております。
それでは、以上をもちまして第25回独立行政法人評価制度委員会評価部会を閉会したいと思います。本日は皆様、お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございました。
 

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