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第23回独立行政法人評価制度委員会 議事録

日時

令和元年10月23日(水)15時15分から17時まで

場所

中央合同庁舎2号館7階 省議室

出席者

(委員)野路國夫委員長、樫谷隆夫委員長代理、天野玲子委員、梶川融委員、
    金岡克己委員、栗原美津枝委員、高橋伸子委員、中村豊明委員、浜野京委員、 河合晃一専門委員
(事務局等)高市総務大臣、長屋総務審議官、三宅行政管理局長、吉開官房総括審議官、辻管理官他

議事

1. 令和元年度に中(長)期目標期間が終了する法人に係る見込評価及び業務・組織の見直し等に係る検討状況について
2.  「平成31年度から新たに就任した法人の長との意見交換」及び「中間的なフォローアップ」について(報告)
3. 「独立行政法人シンポジウム〜社会的課題の解決に向けた独立行政法人への期待〜」の結果について(報告)
4. 法人と地域・企業等との連携や支援の事例


配布資料
議事次第PDF
資料1PDF
資料2PDF
資料3PDF
資料4PDF
 

議事録

【野路委員長】 ただいまから第23回独立行政法人評価制度委員会を開会いたします。
はじめに、本日、先月の内閣改造で新たに就任されました高市総務大臣に、公務が御多忙の中お越しいただいておりますので、御挨拶をいただきたいと思います。
【高市総務大臣】 野路委員長をはじめ、委員の先生方には大変御多用の中、熱心な御審議を賜り、誠にありがとうございます。先月、再び総務省に戻ってまいりました高市早苗でございます。
まずは、先日来、台風15号、17号、19号と、被害が相次いで発生しまして、多くの方がお亡くなりになりました。心より御冥福をお祈りしますとともに、被害に遭われた方々に御見舞いを申し上げます。
このように、最近は自然災害も相次いでおりますし、また少子化、人口減少といった大きな課題もございます。しかしながら、IoTとかAI、そしてまた5Gが整備されていくことによって、例えば災害情報をできるだけ速く多くの方々にお届けする、また過疎地などで無人の自動車が障害を持っておられる方や御高齢の方の足になっていくといったこと、それからまた、これからでしたら、テレワークと合わせながら仕事をしていくということで、日本中どこに住んでいても安全に暮らせる、また安心して必要なサービスを受けられる、こういう時代も目前だと思っております。行政にしても、企業にしても、生産性が上がっていくということになっていくのだろうと思うのですけれども、ただ一方で、海外の送信元から日本に向けたサイバー攻撃も随分増えております。一昨年1年間で1日平均3億9千万回でございましたが、昨年は1日平均5億2千万回でございました。国内でも、河川の水位計の情報がサイバー攻撃によって変わってしまうなど、様々なことが起きておりますので、これから独立行政法人が持つ専門的な知見・技術というものが、どこに住んでいても安全に暮らせる、安心して生きていけるということにとって、本当に大事な役割を担っていくのだろうなと私は考えております。
ぜひとも、各省の大臣が明確なミッションを示すということ、これは何より重要なことなのですが、それぞれの独立行政法人のリーダーがしっかりと、トップとしてリーダーシップを持って戦略的に運営をしていくということも求められると思います。
先生方におかれましては、今年度末に目標期間が終わる法人についての評価や新しい目標について御議論をいただくということで、大変御苦労をおかけいたしますが、今は本当に大事な転換点であり、そしてたくさんの社会的な課題がある時期ですので、どうか忌憚のない御意見を仰っていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
【野路委員長】 ありがとうございました。高市大臣はここで公務のために御退場されます。
(高市総務大臣、退室)
【野路委員長】 本日は、7月に新たに就任された長屋総務審議官にも御出席いただいておりますので、ここで一言御挨拶をお願いします。
【長屋総務審議官】 長屋でございます。よろしくお願いいたします。
【野路委員長】 ありがとうございました。
それでは、議題1について、まず事務局から経緯について御説明をお願いします。
【辻管理官】 それでは、議題1、令和元年度に中(長)期目標期間が終了する法人に係る見込評価及び業務・組織の見直し等に係る検討状況につきまして、まずこれまでの経緯等を御説明させていただきます。
今年度の見直し対象法人は、日本医療研究開発機構(AMED)、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、経済産業研究所(RIETI)、工業所有権情報・研修館(INPIT)、産業技術総合研究所(産総研)の5法人ですが、評価部会のユニットごとに主務省や法人の理事長等と意見交換を行うなど、各ユニットの議論の状況につきまして、前回8月2日の委員会において、樫谷評価部会長及び栗原委員より御報告をいただいたところであります。その後、8月2日の時点で理事長等との意見交換が未実施であった産総研、GPIFについて、理事長等と意見交換を実施したほか、GPIFにつきましては、経営委員会の委員長とも意見交換を行いました。また、法人を立体的に把握し、実態を踏まえた調査審議を行うため、昨年度に引き続き、一部の法人については、法人から実際に支援を受けている者など、いわゆるステークホルダーとの意見交換を実施したところであります。
一方、8月末には、各主務大臣が行った見直し対象法人の見込評価と、それを踏まえた業務及び組織の全般にわたる検討の結果並びにそれに基づき講ずる措置の内容について、委員会に通知され、昨年度と同様、見込評価については、評定の根拠、理由、改善策が明確に示されているかといった視点、また業務・組織の見直しについては、評価の結果や社会経済情勢等の変化との関係が明確に示され、それらを的確に反映したものとなっているか等の視点に沿って確認を行ってまいりました。こうした業務・組織見直し等の確認結果、またこれまで実施してきた主務省、法人等との意見交換の結果等を踏まえて、評価部会の委員間で御議論いただき、見直し対象法人の次期目標の策定に向けて、論点等を整理していただいたところであります。以上でございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。それでは、これらの経緯を踏まえた調査審議の状況について、樫谷評価部会長から御報告をお願いします。
【樫谷委員】 私から2点報告がございます。
まず1点目でございますけれども、見込評価及び業務・組織の見直しについてであります。先ほど事務局からも御説明がありましたとおり、見込評価につきましては、評定の根拠、理由、改善策は明確に示されているかどうか、業務・組織の見直しにつきましては、評価結果や社会経済情勢等の変化との関係が明確に示され、的確に反映したものとなっているかといった視点から確認を行いました。それから、確認の結果、一部の法人の見込評価におきまして、未達成の目標に係る要因分析や具体的な改善策につきまして、適切に記載されていないと思われる事例がありました。本事例につきましては、引き続き精査の上、対応を検討し、次回の委員会で報告させていただきたいと思います。
2点目でございますが、見直し対象法人の次期目標策定に向けた調査審議の状況についてであります。今年度は、改定指針の趣旨を踏まえまして、地方支援、他機関との協働、専門人材の確保・育成などの観点を中心に、調査審議を進めてまいりました。
現時点の検討状況について、資料1のとおり取りまとめておりますので、内容につきましては事務局から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【辻管理官】 それでは、資料1について御説明いたします。先ほど経緯等について御説明したとおり、各主務省から提出された見込評価、業務・組織見直しの確認結果や、これまで実施してきた主務省、法人等との意見交換の結果等を踏まえて、評価部会の委員間で御議論をいただき、見直し対象5法人の次期目標の策定に向けて論点等について整理をいただいたものであります。それぞれ法人ごとになっておりますので、この前段階となる背景等も若干補足させていただきながら説明させていただければと存じます。
まずAMEDでございますけれども、同法人は、文部科学省・厚生労働省・経済産業省の医療分野に係る研究開発を集約し、基礎から実用化までの研究開発を一貫して推進するため、平成27年4月に設立されましたが、先ほど申し上げた3省に内閣府を加えた4つの主務省、更にその上に政府の健康・医療戦略推進本部が置かれ、各府省の補助金等により運営されています。そういう中で、組織としてのPDCAサイクルやガバナンスが機能しているかとか、医療分野に係る研究開発を集約したことの効果が出ているのか、といったことが議論となってまいりました。
こうした中で、第1期中長期目標期間においては、理事長のリーダーシップにより相当の成果を上げてこられたということが伺われましたが、こうした第1期の業務運営を踏まえ、ノウハウの蓄積と継承について、人材育成を進めることと併せて目標に盛り込んではどうかというのが1点目の論点でございます。
それから2点目の論点でございますが、成果の把握と情報発信でございます。実用化等につながった成果の要因分析や活用実績の把握、国内外からより関心を得つつ、より多くの研究機関から協力を得るための手法の検討、積極的な研究成果の発信について、目標に盛り込んではどうかということでございます。
3点目の論点ですが、AMEDの現行の中長期目標は、医療研究に共通する支援業務に係る機構に求められる機能を発揮するための体制の構築等に関する目標と、それから個別のプロジェクト管理に関する目標の、主に2本立てになっているわけでございますけれども、前者については、目標を達成するために必要な達成項目や達成時期等について、具体的な記述がなされておりません。こうした中で、次期目標期間においては、現在9つに分かれているプロジェクトを大括りに再構築するということを検討されていると伺っておりますけれども、その内容も踏まえつつ、AMEDの機能発揮に必要な体制構築に係る業務について、「独立行政法人の目標の策定に関する指針」に基づいて、量的・質的な観点や達成時期について、目標に盛り込んではどうかということでございます。
AMEDについては以上でございます。
次に、GPIFでございます。同法人は、厚生年金や国民年金の積立金の管理運用を行う法人であり、ガバナンス改革を目的とした法改正に伴い、平成29年10月に経営委員会が設置され、組織体制が変更されましたが、これによって法人内のガバナンスがどのように変わったのかといったことが議論となってまいりました。
まず1点目の論点ですけれども、こうしたガバナンス改革後、法人においては、経営委員会を中心に内部規程の点検・整備や、経営委員会・監査委員会・執行部の役割分担や相互の連携の在り方等について、判断事例を積み重ねてきたと伺いましたが、次の目標期間においては、こうした判断事例を先例集として取りまとめるなど、ガバナンス改革の趣旨に沿った組織体制の確立・定着に向けた取組について、目標に盛り込んではどうかということでございます。
2点目の論点は、世界経済の不透明さが増す中で、リスク管理体制の強化がますます重要となっており、運用管理に係る専門人材を戦略的に確保・育成し、経営委員会・執行部を支える体制として整備するなど、リスク管理体制の強化に向けた取組について、目標に盛り込んではどうかということでございます。
3点目は、国民の貴重な財産である年金積立金の運用を行うGPIFの説明責任の在り方についてでございます。GPIFは、超長期の運用機関でございますので、現在、四半期ごとに運用状況が公表されていますが、超長期の運用機関としての運用実績について国民の関心に応じて戦略的に広報を行うことや、年金制度全体の中でGPIFに求められる役割について一般国民にも分かりやすく説明を行うことなど、法人が果たすべき説明責任の在り方について、目標に具体的に示してはどうかということでございます。
なお、GPIFについては、10月18日付で役員の制裁処分の実施についてプレスリリースが行われ、理事長に対し、疑念を招きかねない行為があったなどとして、減給6カ月の処分を行うことを経営委員会として議決した旨が公表されたところであります。本事案については、事務局において引き続き事実関係の確認等を行ってまいりたいと存じます。
GPIFについては以上でございます。
次に、RIETIでございます。同法人は、経済産業政策のシンクタンクとして、経済産業省の政策立案に貢献するなどの役割を担っていますが、主たるミッションや想定される支援対象等が分かりにくく、具体的な成果等の評価が難しいといった議論がありました。
こうした中で、1点目の論点でございますけれども、多様化・複雑化する政策課題の解決に向けて、経済学のみならず、工学などの文理融合の研究体制を整備し、他の政策分野にまたがる学際的な研究を推進することや、得られた研究成果を生かして、他の国立研究開発法人などの研究成果の社会実装に貢献していくことを、目標において明確化してはどうかということでございます。
2点目の論点は、今年3月の独立行政法人の目標の策定に関する指針の改定の趣旨等も踏まえ、学際的な研究や国際化の推進に向けて、他の研究機関等との差別化を明確にした上で、国内外の研究機関との連携・協働を更に本格化していくことについて、目標に盛り込んではどうかということでございます。
3点目の論点は、1つ目の論点と関連いたしますけれども、文理融合・学際研究を進めるとともに、多様性に対応していくため、他の分野・領域や外国人、女性の研究者も含め、多様な人材の確保及び組織整備を計画的に進めていくことについて、目標に盛り込んではどうかということでございます。
RIETIについては以上でございます。
次に、INPITでございますけれども、同法人は、工業所有権に関する情報の収集、整理及び提供を行うととともに、特許庁の職員その他の工業所有権に関する業務に従事する者に対する研修を行うことなどにより、工業所有権の保護及び利用の促進を図ることを目的としておりますけれども、我が国において知財戦略の推進が極めて重要という問題意識の中で、政府の知財戦略におけるINPITの役割などについて議論があったところであります。
こうした中で、1点目の論点でございますけれども、知的財産に係る政策課題全体における法人の位置付けや強みを明確化しつつ、中小企業等の知財活用による「稼ぐ力」の向上に向けて、法人に求められる役割を目標において明確化してはどうかということでございます。
2点目の論点は、知的財産の重要性について、企業経営者のみならず、国民一般に対する周知・広報を行うということで、これまで法人が培ってきた強みをいかして、法人の役割を明確化し、着実に進めていくことについて、目標に盛り込んではどうか。例えば、学生・生徒に対する知財学習支援など、若年層向けの取組の充実について、目標に盛り込んではどうかということでございます。
3点目の論点は、現状INPITの職員はプロパーが1割程度という中で、適切に人材確保・育成方針を策定するとともに、プロパー職員のキャリアパスを明確にし、計画的に育成していくことについて、目標に盛り込んではどうかということでございます。
4点目の論点は、INPITが各都道府県に設置する知財総合支援窓口のほか、海外展開知財支援窓口など、法人の中で各種の支援・相談窓口を4つほど置いていると伺っておりますけれども、これらの各窓口の連携を強化し、ユーザーのニーズにワンストップで対応していくという見直しの方向が示されている中で、こうしたワンストップサービス化を進めるに当たっては、より効果的な支援が行えるよう、INPITの役割を明確化した上で、他府省・他法人や地方公共団体などの関係機関等との有機的な連携・協働体制を構築していくことについて、目標に盛り込んではどうかということでございます。
INPITについては以上でございます。
最後は、産総研でございます。同法人は、世界最高水準の研究成果の創出を目指すいわゆる特定国立研究開発法人の3法人のうちの一つでございますけれども、一方で中小ベンチャー企業の支援も行うなど、多岐にわたる業務を行っております。
こうした中で、1点目の論点でございますけれども、特定国立研究開発法人としての世界最高水準の研究成果の創出と、地域のニーズを踏まえた技術支援の両立を図るため、組織体制や予算配分の見直しの検討も含め、限られたリソースを理事長のリーダーシップにより、弾力的かつ効果的に配分することについて、目標に盛り込んではどうかということでございます。
2点目の論点は、限られたリソースを効率的に活用して、地域のニーズを踏まえた技術支援等を推進していくための取組として、技術コンサルティングの強化や、産総研の持つ技術シーズを企業のニーズ等とつなぐ橋渡しのフロント業務を担っておりますイノベーションコーディネータ(IC)というものが産総研に置かれておりますけれども、このICについて、確保・育成を進め、さらに、地方公共団体が設置する公設試験研究機関等に配置するICを通じて関係機関と一層の連携・協働を図ることについて、目標に盛り込んではどうかということでございます。
それから3点目の論点でございますけれども、産総研の研究者について、適性を見極め、研究の実施に限らない各種エキスパート職への登用を含めたキャリアパスの見直しを進めるといった方向が業務見直しの中で示されておりますけれども、効果的・効率的な組織・人事マネジメントに向けて、研究職だけではなく、事務職も含めた法人全体の人材確保・育成の方針を策定し、職員のキャリアパスの見直しなどについて、目標に盛り込んではどうかということでございます。
説明は以上でございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。
中村委員はGPIFの経営委員会の委員、私は産総研の経営戦略会議の委員を務めておりますので、申し合わせに従い、それぞれの法人についての意見を述べることを差し控えたいと思います。それでは、御意見をお願いいたします。
【天野委員】 それぞれの法人について、資料1に記載されていること以外で気が付いたところを申し上げます。
まずAMEDについてなのですけれども、こちらは、最近設立された法人ということで、国の様々な研究開発成果の実用化研究の管理を行う法人として、非常に重要な役目を担っていると思います。特に医療分野に関して、AMEDが活躍することは、日本としての医療分野のビジネスモデルをどのように確立するのか、また日本の素晴らしい基礎的なシーズをどのように日本の中で役に立てていくかを決める上でも、非常に重要だと思います。また理事長はとても優秀な方で、リーダーシップもよく発揮されているのですが、やはりまだ基盤的な研究開発のほうに少し意識が向いているような気がします。ただ開発した技術成果の報告会なども科学技術振興機構(JST)との共催で行っているとのことですので、このような方向性でよく検討していただいて、より重要な役目を果たしていただきたいと思います。
RIETIについてですが、こちらも非常に素晴らしい研究成果をお持ちです。世界トップクラスの研究成果、論文などもたくさんお持ちなのですが、現時点では主務省への政策提言の役割に力点が置かれ過ぎているように感じます。AMEDやJSTもそうですが、今、日本にとって非常に重要なのは、ノーベル賞を取るような基礎的な研究成果を、いかに日本のためのビジネスモデルに育てていくかということですので、ぜひJSTやAMED等とも一緒になって、国立研究開発法人等に様々なアドバイスをしていただけるような形になっていくと、非常に素晴らしいのではないかと感じました。
INPITについてですが、私もかつて知財に携わっていたため、お話を聞いてINPITのシニアの方、定年退職してから来られているコーディネータの方々は、非常にポテンシャルの高い方々を集められているということがよく分かりました。なので、今のところ地方の中小企業の特許取得に力点を置いて支援されているようなのですが、せっかく優秀な方々を集めていらっしゃいますので、もう一歩踏み込んで、様々な地方産業の特殊な成果や大きな成果について、海外でそうした成果の特許取得をするだけでなく、事業展開の段階まで踏み込んでお手伝いできるような道ができれば、素晴らしいものになるのではないかと思っています。また、私も知財部にいたとき、INPITの色々な世界中の知財関係のデータベースに非常に助けられましたので、こちらもより充実したものにしていただけると良いのではないかと思っています。
産総研についてですが、実は私は総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の評価専門調査会の専門委員と国立研究開発法人担当部会の専門委員もやっているのですが、先週、CSTIのほうで特定国立研究開発法人としての産総研の評価が議論されましたが、主務省が産業界から資金をいかに集めてくるかというところに少し力点を置き過ぎな評価をされているようでしたので、CSTIの中でも、ちょっとそれは問題があるのではないかという話がかなり出ています。産総研はやはり、産業界の資金を集めるだけではなく、世界最高水準の研究成果の創出や、地域のニーズを踏まえた上での技術支援ということにもかなり力を入れて取り組まれているようですので、このような部分についてもより特定国立研究開発法人としての目標設定をしていただいて、成果を主張していただけると良いのではないかと思います。
【野路委員長】 高橋委員。
【高橋委員】 GPIFについて少し申し上げたいと思います。
経営委員会の方ともお会いしてまいりまして、執行部との間にある種の緊張感を持ちつつも信頼関係を築くことが大切で、その点について現在取り組まれていると思ったのですけれども、先週、不祥事という形で、なかなか内部通報が中で共有されずに、外部通報のような形を経て公表に至って報道されたのは、非常に残念なことでございました。
見込評価、見直しでも、一丁目一番地として国民から一層信頼される組織体制の確立ということが言及されているのですが、この点が理事長の行動によって非常に揺らいでしまったと思います。ですので、組織の中で内部通報に関しての規定も整備されていたとは思うのですけれども、理事長のところに通報が届いているにも関わらず内部通報として取り扱われない点や、理事長がそれを経営委員会と共有しなければガバナンスの体制としてはおかしいのにそこがされなかったことが大きな問題でございました。スキャンダルめいたことの真偽というのはもう少し見守らないといけないと思うのですけれども、少なくとも、昨年の時点で理事長に対してそのような通報があったにもかかわらず、顧問弁護士と相談したに留まったということは、ガバナンス上大きな欠陥だったのではないかと私は思いますので、それについては今後の見込評価、見直しのところで更に議論していく必要があると思います。
【野路委員長】 栗原委員。
【栗原委員】 ユニット活動の中で法人の長とのヒアリング及びステークホルダーへのヒアリングに参加させていただきました。AMEDとGPIFについて、資料1に書いてある視点での目標設定を行うことについては、異論はございません。その上で、少し感じたことを発言させていただきたいと思います。
AMEDもGPIFも、例えばAMEDは2015年に新たに組織として新設され、GPIFは2016年に新しいガバナンス体制ができたということで、両法人とも組織の在り方がリニューアルしてスタートしたところだと理解しておりまして、今回、その実績を積み上げてきた期間ではなかったかと思います。ですから、その実績を踏まえつつ、今の形が完成形ではなく、その途上にあり、より良い業務運営体制を目指していくことを、是非、次の中(長)期計画で盛り込んでいただけたらという期待を持っております。
AMEDについては、ステークホルダーの方々にもヒアリングをしたのですが、その際、例えば何を研究開発のテーマにするか、どのようにメリハリを付けるのかといった目標設定に関して、AMEDは研究開発を直接管理しているからこそ、現場の感覚とか、課題というのを掴んでいらっしゃるのではないかと思います。それをぜひ主務省との次期中長期目標の設定においてフィードバックしていただいて、目標の中に反映していただくよう主務省と意見交換して頂きたいと思いました。
それから、GPIFについては、経営委員会について、その果たす役割についても改善してゆくことを目指しているかと思いますが、経営委員会の委員長等から、枠組みなどを構築してきたこの2年から、よりリスク管理や、パフォーマンス検証などの点にもう一段踏み込んでいくことが求められているという意識が聞かれましたので、そういった点を経営委員会でも議論するような、より良いガバナンスの体制を是非期待したいと思います。
【野路委員長】 浜野委員。
【浜野委員】 私は、RIETIと産総研に伺いまして、それぞれの法人の方針が民間の同様な機関とどのように差別化をされているのかというところを、改めてもう少しはっきりと目標のところに書き込んでいただきたいと思いました。
それぞれの法人の業務範囲が非常に広くなってきておりまして、連携したり協働したりということが増えてくると思うのですけれども、それが、本来目的とする成果にどのように表れているのかというところが、もう少し一般の国民の方に分かりやすくお示しいただけると良いのではないかと思いました。
それとINPITについてですが、「稼ぐ力」をつけるということを資料1に記載していただいているのですが、非常に重要な分野だと思います。ただ、知財の活用や特許・デザインの管理の重要性が様々な業界の方にまだまだ広く認知されていないのではないかと思いますので、ここに書かれておりますように、情報提供とか活用の仕方をもう少し工夫していただきたいと思います。
さらに言えば、眠っている特許や知財をどのように整理して活用していけるのかに関して、成果があるようでしたら、そのような成果もお示しいただければ良いと思いました。
それぞれの法人で業務が大変煩雑化して業務量が多くなっているようですが、それを支える管理業務というのも、縁の下の力持ちと言えますけれど、大変になっていると思います。そういったところでも、効率化やITの活用といったドラスティックな変化がないと、法人の皆様の業務がスピーディーに実施されないのではないかと思いますので、そういった事務分野の人材育成やITの活用も進めていただければと思いました。
【野路委員長】 金岡委員。
【金岡委員】 私はこの2年間で、計18の法人をお伺いしたのですけれども、やはり独立行政法人改革という流れの中で、各主務省のもと、かなり法人数を減らしてこられたところではないかと思います。したがって、異なるミッションの法人を一つにされた、例えば今回の見直し法人で言いましても、産総研は、特定国立研究開発法人として世界最高水準を目指すというミッションと同時に、地域の産業育成やインキュベーションの機能も持っていらっしゃるということで、お伺いして意見交換いたしますと、やはりマネジメントは難しいというお話があったことは事実でございます。そういう意味で言いますと、行政の効率性を保つために法人の数を減らしてきた。これは正しい方向かと思いますが、ある程度時間も経過しましたので、再度中期的な見方でもって、一つの法人の中に複数ミッションを持っているやり方が本当に良いのか考える必要があるかと思います。各法人の中で議論していただき、もちろん主務省との御相談の上でということでございますが、そのような検討を行う必要があるのではないかと感じた法人が幾つかあったというのが、私の感想でございます。
【野路委員長】 梶川委員。
【梶川委員】 私自身は評価部会の委員ではございませんので、この個々の法人にお伺いしたわけではございません。そのため、少し一般論的な話になるのかもしれませんが、この委員会から資料1に挙げている点について目標に盛り込むよう要請するということですが、当然、この目標に関しましては、基本的には主務省のほうに要請し、法人が主務省から提示されたものを計画に盛り込んでいって、より具体化するという話になると思います。
この段階で、本日このように議論がなされましたように、今現在もある意味では非常に多様な業務を法人が行っている中で、新たな目標というのが、場合によってはただ現在の業務を明確化しようということもあるのですけれども、具体的なアクションプランにまで落とし込む点まで考慮すると、目標の見直しをした上で、法人による業務が実施可能となるように資源を投入することが必要になる場合もあるのではないかと思うのです。
こちらからはあくまで要請なのですけれども、要請をする以上、実施可能な資源が本当に確保できるのかというところまで少し目配りをしていただいて、かつ主務省もそのような意識になっていただいて、予算取り等をしていただきたいと思います。
全ての場合で増えるというわけではないかもしれませんけれども、どのように資源を配分するかというようなところまでお互いに共有した意識を持たないと、目標の要請が単なる要請で終わってしまい、ちょうど中間の立場の法人がかなり苦労されるだけという話になります。これでは法人全体のパフォーマンス向上という意味でも少しもったいないと思いますので、委員会でこれだけ評価部会の委員を中心に建設的な御意見が出たところで、なるべくこれが成果につながるように、主務省と法人と委員会で目標に関して視点を共有し、法人への資源投入に関しても検討していただければと思います。
【野路委員長】 中村委員。
【中村委員】 私も総論的な話になりますけれども、独立行政法人評価用の財務会計基準について色々と議論していると、やはり法人が民間企業とは違うというところからどうも議論をスタートせざるを得ないと感じています。そして、それは会計基準だけではなくて、人材もそうではないかという気がします。今日の御報告でも、プロパー職員が非常に少ない法人もありますし、上層部が省庁からの出向者中心で運営されているとなると、発想は省庁の壁は越えられないということになりますし、民間の人材の力を使って業務を活性化させるということが、もともと法人が創設された目的であったと思うのですけれども、それがうまく機能するようにしたいと考えています。したがって、そのような目標を今回入れるということもありましたので、是非とも各法人の人材の構成についても十分に見たほうがいいのではないかと思います。出向者中心の運営ですと、理事長を民間から採用しても、職員が民間の事業活動の経験を随分積んだ人でないため、実際に理事長の意見を理解して行動することになるはずの職員が、理事長の言っていることがよく理解できないとか、この程度で十分だと判断してしまうという事態が生じる可能性もあるので、その点については、目標を策定する際に御議論されると良いのではないかと思いました。
【野路委員長】 樫谷委員。
【樫谷委員】 今回、評価部会の先生方に各法人を回っていただきまして、法人の理事長と相当議論していただいたと思っています。時間を超過するようなことが多かったとは思いますが、事務局のほうで良く対応していただいて、良く議論をまとめていただいたので、評価部会長としてはこの場を借りまして部会の先生方、委員会の先生方及び事務局の方に感謝したいと思います。
【野路委員長】 今日の評価部会の意見の中で、どこの独立行政法人もそうですけれども、先ほど中村委員が言われたように、人材育成の話、キャリアパスの話がたくさん出ております。私も色々な大学を訪れたり、様々な所で話を伺っているのですけれども、民間の立場から言うと、人事が淀むと活性化は生まれないと感じています。同じ人がずっと同じ業務を行い、10年経ったら、職員の平均年齢も10歳上がるような組織だと活性化できるはずがありません。幾ら職員が一生懸命やっていても、新しい血が入らないと、活性化はなかなかできないと思います。独立行政法人の場合は非常に難しいのかもしれませんが、いわゆる民間企業との交流とか、職員のキャリアパスの確立を、職員個人の目標と法人の目標とを一致させながら進めることで、法人の職員に元気になってもらい、特に若い職員が年上の職員を見て、「あのようになりたい」と思えるようになると良いと思います。そこがやはり重要な点で、これは評価部会の話ではないのですが、評価部会としての指摘も出しておりますので、特に主務省との関係が大きいとは思いますが、主務省と独立行政法人がよく相談をして、どのようなキャリアパスにして、どのような形で人材育成をしていけば、この組織が活性化して、そしてその事業の目標が達成できるのかということを少し議論していただけると、このような評価部会の意見がきちんとした形で成果に繋がるのでないかとの思いを強くいたしました。
それでは、この議題についてはここで終了とさせていただきます。この議題については次回の委員会に向けても引き続き調査・審議を続けていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは続きまして、議題2について樫谷部会長から御報告をお願いしたいと思います。
【樫谷委員】 今年度、委員会の新たな取組としまして、平成31年度から新たに就任した法人の長との意見交換及び中間的なフォローアップを実施いたしました。7月から10月にかけまして、6つの法人を訪問いたしまして、理事長や幹事と意見交換を行ったものでございます。
各意見交換のポイントにつきまして、ユニットごとに、金岡委員、高橋委員からそれぞれ御報告をお願いしたいと思います。
まず金岡委員からお願いします。
【金岡委員】 それでは、私から、第1ユニットで行った中小企業基盤整備機構(中小機構)、奄美群島振興開発基金及び国際観光振興機構(JNTO)との意見交換の概要を御紹介します。
まず、中小機構の新任理事長との意見交換についてでございます。本法人は、中小企業等の事業活動活性化のための基盤を整備することを目的として、中小企業等の事業活動に必要な助言、研修、資金の貸し付け、出資、助成、債務保証、共済制度の運営などの業務を行っています。
また、本年4月に就任した豊永理事長は、中小企業庁長官を経て、経済産業省を退職後、今年度から本機構の理事長に就任されています。
本年7月に実施した意見交換において、豊永理事長から、まず就任して気付いた点として、複数の法人が統合して中小機構が設立されたという経緯などもあり、機構内の部門間の横の連携が弱いこと、また、毎年業務が増えていく中で、目の前の仕事をこなしていくことに精一杯で、周りの支援機関、例えば地域の商工会議所や商工会、金融機関などと協働するという意識が十分ではなかったことなど、機構内外の連携・協働体制の整備・充実が課題であるとの認識が示されました。これらの課題解決に向けて、具体的には、例えば部門間の連携強化に向け、7月に機構内に若手職員を中心とした業務連携企画委員会を立ち上げて、改善策の検討を始めていること、また関係機関との連携・協働については、連携のターゲットとなる機関ごとに担当の役員を配置するとともに、事業引き継ぎ、事業再生、よろず支援等の全国組織と機構内部組織との連携強化を図るため、創業・ベンチャー支援部、事業承継・再生支援部を設置したといった理事長の課題認識と課題への取組状況をお伺いしました。そのほか、法人が有する大量の情報・データの有効活用や、主に小規模事業者に対する支援メニューの広報強化の必要性などについて、意見交換を行いました。
次に、奄美群島振興開発基金の新任理事長との意見交換について御紹介いたします。
本法人は、厳しい地理的・自然的条件等の特殊事情を抱えた奄美群島において、県の振興開発計画に基づき、中小零細業者に対し、一般の金融機関を補完する形で、保証・融資などの支援を実施しております。
本年4月に理事長が交代し、長く鹿児島県庁で地方行政に携わり、農政部長等の要職を務められた本田理事長が新しく就任されました。前理事長は金融業界の御出身でいらっしゃったことから、奄美市の事業者等を対象にした経営サポートや簿記勉強会等に熱心に取り組まれておりましたが、そのような取組がスムーズに引き継がれ、新任理事長のもとでも、しっかりと継続される体制が整っていると伺い、安心いたしました。
また、新理事長は、これまでの行政経験で得られた様々な分野とのパイプをいかして、農業分野などに関する新たな試みを検討し始めていると伺いました。このほか、新理事長とは、金融面での支援のほか、地域経済に関するシンクタンクとしての機能や事業活動へのサポート、関係者間の連携に当たってのコーディネート等、奄美群島の振興のために幅広い役割を果たすことが必要といった意見交換をいたしました。
理事長の交代は、様々な分野で豊富な経験を積んできた理事長から、法人が組織としてその経験や知識を吸収できる機会でもあります。そのチャンスを存分にいかしていただければと思います。
実際に奄美諸島にもお伺いしましたが、地方を取り巻く環境の厳しさや、公的機関と民間との関係など、同法人の難しさを改めて認識いたしました。委員会としても、一助となれるよう応援したいと考えております。
最後に、JNTOとの意見交換について御紹介いたします。
JNTOは、訪日外国人旅行者の誘致活動を行う政府観光局として、東京オリンピックが開催された1964年に設立され、50年間にわたって国際観光振興を担ってきた法人であります。現在は、平成30年4月から始まった第4期中期目標のもと、2020年までに訪日観光客4千万人、訪日外国人旅行消費額8兆円、さらに2030年までにはそれぞれ6千万人、15兆円を目指すとした政府目標の実現のために、21の海外事務所を通じた訪日プロモーションのほか、地方公共団体への支援等を実施していらっしゃいます。
平成30年4月からスタートしている第4期中期目標の策定に当たっては、平成29年度の委員会の審議において、国別・顧客層別のより戦略的な訪日プロモーションの実施、訪日外国人旅行者の誘致に取り組む地方公共団体等への支援の強化、また、政府目標に対して法人がどのように寄与するのかを検証できる指標についての検討の必要性について申し述べたところでございます。
新しい中期目標のもとで業務を開始してから1年余りが経過しておりますが、旅行消費額の多い欧・米・豪からの訪日観光客を増やすため、魅力的なコンテンツを発掘して、SNS等の様々なツールを駆使した発信に努めていること、地方へ訪日外国人旅行者を誘客するために、JNTO職員が地方に直接出向き地方公共団体の取組へのフィードバックをする等、地方公共団体やインバウンドに取り組む関連企業等との更なる連携・支援に努めていること等が確認できました。
また、喫緊の課題である災害時における訪日観光客への情報発信の整備や、オーバーツーリズムの問題等についても意見交換をしてまいりました。JNTOに対しては、中期目標で掲げられている業務ごとの数値目標が政府目標の実現にどれだけ寄与しているのかを引き続き検討していただくとともに、特定の地域に集中している旅行者の全国各地への来訪、旅行ニーズの多様化への対応等、観光先進国の実現に向けて、戦略的に業務を進めていただきたい旨をお願いしてきたところでございます。
以上で御報告を終わります。
【樫谷委員】 ありがとうございました。次は高橋委員よろしくお願いします。
【高橋委員】 私からは、第2ユニットで行いました日本学生支援機構(JASSO)、医薬品医療機器総合機構(PMDA)及び日本スポーツ振興センター(JSC)との意見交換の概要を紹介いたします。
最初に、JASSOの吉岡新理事長との意見交換の概要です。同氏は、立教大学の総長等を歴任され、同大学の名誉教授を経て、本年4月に理事長に就任されました。意見交換は8月に実施しましたので、ご就任から4か月強の時期でしたが、率直なお話を伺うことができました。
JASSOは、国の様々な学生支援事業を総合的に実施する中核機関として創設され、奨学金事業、留学生支援事業、学生生活支援事業などを行っています。
理事長からは、本機構は、奨学金事業が主たる業務の組織だと思っていたが、広く学生生活全般を支える組織であると認識したというお話、そして機構の業務は学生の人生に影響する大変重要なものであり、その認識を組織内で共有することが大切であり、それが職員のモチベーション向上にも寄与すると思うので、執行部と現場が接触する機会を増やし、理念を共有していこうと考えておられること、また、前理事長が取り組んでいた活動を継承しつつ、日本私立大学連盟、日本私立大学連合会等、各種大学の連合組織に参加しているなど、大学教員出身である自身の立場をいかして、大学や学生側の意見を吸い上げ、法人として大学や関係機関との連携をとっていきたいといった課題認識と取組、抱負などをお伺いしました。
そのほか、奨学生や留学生のネットワーク化に関する課題や、奨学金制度の意義の普及促進などについて意見交換を行いました。留学生のネットワーク化については、東南アジアを中心に国ごとに日本に留学した人の会があるものの、最近の留学生がそれら既存のネットワークに参加できていない状況があり、それを打破すべく、まずは留学中の学生をネットワーク化し、帰国後に現地のネットワークと接続できるような支援を試みているとのことでしたので、深掘りをしてほしいといったお話をいたしました。
奨学金については、2.7人に1人が奨学金制度を利用しているところですが、奨学金制度を利用した人へのアンケート調査の手法の検討及び卒業後の状況把握の必要性、奨学金を返還できていない事例に係る分析、学生に対する金融リテラシー教育の必要性などについて、議論いたしました。
次に、PMDAの藤原新理事長との意見交換について御紹介いたします。同理事長は、国立がん研究センターで中央病院副院長等の要職を務められた後、本年4月に理事長に就任されました。
本法人は、1点目に医薬品による健康被害救済業務、2点目に医薬品医療機器等の品質・有効性・安全性に関する承認審査業務、3点目として、市販後における安全性に関する情報の収集、分析、提供を行う安全対策業務の計3業務を主に行っています。平成16年度当初から、審査及び安全対策における体制強化のため、組織拡大による整備を進め、現在は欧米の規制当局と並ぶ機関として認識され、アジア諸国への貢献も積極的に進めているそうです。
意見交換においては、新理事長としての着任後のリーダーシップの発揮について、御自身で取りまとめたスローガン、「Patient First」、「Access First」、「Safety First」、「Asia First」の4つの「F」を掲げて、講演活動や業界紙などでもメッセージを発信し、900名を超える職員へ思いを浸透させていること、新医薬品や新医療機器の開発において、海外と国内における申請時期の差、すなわち開発ラグがあること、また定量的で科学的な評価による医薬品の安全対策に役立てるために、協力医療機関が保有する電子カルテ等を匿名化して構築したデータベース(MID−NET)の活用及び技術の進展に伴う高度人材の確保・連携などについて、それぞれ重要な課題と認識されていました。
まず開発ラグについては、市場が海外へ移る中、法人の実施する治験・開発相談の活用や、早期承認制度の活用など、諸外国に無いような制度を開発企業へ発信し、サポートしていくこと、次にMID−NETについては、今後の活用に向け再構築していくことが必要であり、利便性の改善に向けた新しいソフトウェアの導入を検討し、利用率の向上による収支見通しの改善を図っていくこと、続いてITなど、高度人材の確保については、大学のデータサイエンス学部と連携し、若い技術者を確保するなどの取組を進めていること、そして、国民や患者への周知についての取組について、新たにワーキンググループをつくって検討するとともに、学会にも業務紹介のための場を設定するなどの取組を進めていることなどを伺いました。
理事長は、前任の国立がん研究センターや本法人の前身である国立医薬品食品衛生研究所での経験やネットワークをいかし、主務省とも精力的に意思疎通を取っておられることが分かりました。
最後に、JSCとの意見交換について御紹介します。本法人は、我が国のスポーツ界における中核的な存在として、スポーツ施設の運営、国際競技力向上のための研究・支援、スポーツ振興のための助成、スポーツ・インテグリティ(スポーツにおける誠実性・健全性・高潔性)の保護・強化、学校生活における災害共済給付業務などを行う組織です。
現在は、平成30年4月からスタートした第4期中期目標のもとで各種業務を行っているところです。第4期中期目標の策定に当たっては、平成29年度の委員会の審議において、様々なリスクに対する管理体制の充実、東京オリンピック・パラリンピック終了後の施設運営管理の在り方を検討する必要性といった点を委員会として申し述べました。新たな中期目標のもとで業務を開始してから1年余りが経過したことから、現行目標策定時における委員会の観点も含め、目標達成に向けた現在の取組状況がどうなっているのか、理事長を始めとする法人役員の方々と意見交換をいたしました。
その中で、本番を間近に控える東京オリンピック・パラリンピックに向けて、ハード面・ソフト面のセキュリティ対策を進めていること、東京オリンピック・パラリンピック終了後の施設運営管理の在り方についても、採算確保の観点を踏まえて検討していること等の法人の現在の取組を確認しました。それらの取組について一層の努力をお願いするとともに、そのほかスポーツくじの売り上げ減少に係る原因分析の必要性や、高齢者の健康寿命を延ばす観点から、スポーツ人口の裾野を広げる活動に積極的に取り組む余地などについて意見交換を行いました。
以上、御報告を申し上げました。
【樫谷委員】 金岡委員、高橋委員、ありがとうございました。御報告は以上でございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。ただいまの報告について、補足や御意見があれば、どなたからでも結構ですので、御発言いただけますでしょうか。 天野委員。
【天野委員】 特定の法人についての意見ではないのですが、特に新任の理事長との意見交換というのはやはり非常に有益ではないかと思いました。
確かに、法人は全部で87ありますので、中(長)期目標期間の最後で拝見させていただくだけでも大変なのですが、最後にだけ理事長とお話をして、「そのようなお考えでしたか」という意見が出るのはとても残念なことです。やはり、新しい中(長)期計画が決まって、新しく理事長に就任された際に、その中で自分の意見をどう出していけばいいのかというのでちょっと迷われる理事長もいらっしゃるようですので、一種の応援をしてあげるのも良いのではないかと感じました。
あとは、理事長によって、それぞれがとても素晴らしい理事長なのですが、視点というのは異なるように感じました。そうすると、理事長が代わることで、JNTOなども、それまでも非常に良い運営がされていたのですけれども、理事長の視点が変わることで、更にある意味、地方公共団体に非常に近い、実務に近い部分にまで手が届くようになった状態も見受けられましたし、先ほど委員長も活性化ということをお話しされていましたけれども、非常に活性化されていて良いと感じました。
【野路委員長】 新任の理事長が、前理事長とは違う視点で色々と物事を見るということで、非常に良いと思います。民間企業はどのようにやっているかということを、少し私の経験からお話ししますと、まず1点目として、トップが新任の時こそ活性化したり大きく変革するチャンスであると思います。2点目として、そのような変革の際に気を付けないといけないのは、民間企業で言うと、開発部門や生産部門など各部門がそれぞれ自部門のミッションとして守るべきものは何なのかということ、これだけは譲れない、これだけは守らないといけないということだけは明確にしておかないと、理事長が代わるたびに、民間企業で言うと、本部長が代わるたびに、そこで働いている社員達が右往左往してしまうということが往々にして生じてしまうと言えます。これは評価部会の話ではないですし、主務省のほうでまとめるべき話だと私は思いますけれども、各法人が、これだけは今後ともしっかり守っておくべきということについてだけは決めておいたほうが良いと思います。その枠の中で、色々な異なる視点で物事を考えて、前理事長がやったことの課題とか、あるいは踏襲すべきものとかを考えていただきたいと思います。そのようにすれば、多分独立行政法人で働いている人から見て、経営はぶれていないと感じられると思います。ぶれない経営というのは、民間企業の場合は大体そのようになされています。だから、社長が代わって、あるいは本部長が代わって、「私はぶれない経営をします」と仰る人は多いのですが、決して容易ではなく、その際に何をもってぶれないというかとするかが大事な点のため、参考として私の経験をお話しました。
今後とも、このような理事長とのインタビューあるいはディスカッションを踏まえて、色々な形で意見交換をするということを続けていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
それでは議題3について、事務局から報告をお願いします。
【辻管理官】 それでは、議題3として、独立行政法人シンポジウムを9月18日に開催した件につきまして、御報告をさせていただきます。
現在、委員会では、他の法人の参考となるような法人の取組の好事例を把握し発信していく取組を積極的に行っておりますけれども、こうした取組の一環としまして、先月9月18日に独立行政法人シンポジウムをここ総務省の地下2階の講堂で開催いたしました。資料3として、当日シンポジウムで配布いたしました資料を付けておりますけれども、今回は「社会的課題の解決に向けた独立行政法人への期待」というものを副題といたしまして、委員会からは野路委員長、樫谷評価部会長、それから、本日は御欠席ですが、原田評価部会長代理に御出席をいただきました。会場には、独立行政法人の役職員の方が大半でございますけれども、全体で200人を超える方々にお越しいただきました。
当日のプログラムでございますけれども、冒頭、委員長のほうから御挨拶をいただいた後、樫谷評価部会長から「委員会の最近の取組」ということをテーマとして基調講演を行っていただき、本年3月に改定しました「独立行政法人の目標の策定に関する指針」及び「独立行政法人の評価に関する指針」の改定の趣旨やポイント、また昨年9月に設定しました「独立行政法人の事業報告に関するガイドライン等」のポイントなどについて説明をしていただき、来場いただいた方に周知を図っていただきました。
続きまして、パネルディスカッションでは、「地域や社会の課題解決に貢献する独立行政法人」と題しまして、今回は、官民連携によるイノベーションの創出というものを主たるテーマに、情報通信研究機構の徳田理事長、防災科学技術研究所雪氷防災研究センター長の上石氏、日本貿易振興機構のイノベーション・知的財産部長の川俣氏、というお三方に御登壇いただきまして、それぞれの法人の取組を御紹介いただいた後、野路委員長、それから今回パネルディスカッションのモデレーター役を務めていただいた原田委員とともにディスカッションをしていただきました。
今回、各法人から紹介いただいた取組に関する資料については、総務省のホームページに掲載させていただいておりますので、御関心のある方は御覧いただければ幸いでございます。
また、今回のシンポジウム結果の概要については、今後、総務省の広報紙等にて紹介させていただくことを予定しております。
今回のシンポジウムの終了後、参加いただいた皆様にアンケートをとらせていただきましたが、大半の方は、次回、またシンポジウムが開催されれば是非参加したいと御回答いただいておりまして、こうしたアンケートの結果なども踏まえつつ、次回以降の開催の在り方について検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。
それでは議題4に移りたいと思います。事務局から報告をお願いします。
【辻管理官】 議題4は、法人と地域・企業等との連携や支援の事例でございます。当委員会では、法人の取組の好事例を把握し紹介する活動を積極的にこれまで進めてきておりますけれども、本日は、議題にもありますとおり、法人と地域・企業等との連携・支援の取組の好事例ということで、3法人の取組を紹介いたします。
これまでも、法人が研究成果の社会実装を目指し外部機関と連携して共同研究や実証実験を進めてきた事例につきましては幾つか紹介いたしましたが、本日は、実証実験等の段階から更に一歩進みまして、商用化まで進んだ事例を取り上げさせていただきます。
1件目は、国立循環器病研究センターの事例でございます。国立循環器病研究センターは、心臓などを中心とした循環器病の研究と最先端の治療を行っている法人でございます。生まれた子供の100人に1人が発症すると言われております先天性心疾患の手術は毎年全国で9,000件程度行われているそうでございますけれども、この手術は、新生児や乳児の小さい心臓を対象とするため、技術的に大変難しい手術とのことでございます。そのような中で、手術前に綿密なシミュレーション等を行いたいという要望がございましたが、従来は平面モニターの画像で確認する方法しかなかったので、画像と実物の立体構造の間に大きなギャップが生じており、この問題を解決したいという課題がございました。
こうした中で、循環器病研究センターは、もともと患者のCT検査の3次元画像情報というものを持っているわけでございますけれども、これを基に、外部企業が持っている3Dプリンティング、それから、真空注型といいまして、真空の中で型取りをすることで、気泡ができずに精密な型を取れるといった技術だそうですけれども、これらをハイブリッドさせた新しい技術を持っている企業と組んで、そういう技術を活用することで、患者の心臓に近い感触と精密な構造を再現したレプリカというものを開発しまして、これにより、実際の手術の際に執刀する外科医が事前に綿密な手術シミュレーションを行うことができるようになったといった事例でございます。
国立循環器病センターと、今申し上げた3Dプリンティングと真空注型をハイブリッドさせた新技術を持っている株式会社クロスエフェクトという企業が大阪商工会議所の仲介で連携し、2009年から試作を開始して、2013年には旧モデルを開発して発売しました。さらに、別の2社の技術支援を得ることで、より作成時間とかコストを縮減した新モデルを開発しまして、それを2019年に発売したという状況でございます。こうした取組は、まさに野路委員長がいつも仰っている「脱自前主義」にも通ずる取組であると考えております。
具体的な成果としましては、従来の旧モデルですと、製作に7日、価格は20万円から40万円ぐらいかかっていたところ、新モデルでは製作期間が2日に圧縮され、コストも半減したということで、今年5月にはこの新技術を使った教育用モデルの発売が開始されたというものでございます。
また、医療機器としての認定ということで、6年にわたって厚生労働省及び医薬品医療機器総合機構に働きかけをしてきまして、2018年にはこの新しく開発したものが立体臓器模型として医療機器に追加されまして、その株式会社クロスエフェクトの製品が一般医療機器として届け出されて、医療機器として発売されております。更に上位の医療機器の認定を目指し、薬事法(昭和30年法律第140号)上の4段階ある認定の更に上位の医療機器の認定を目指して臨床治験を開始するなどの取組を行っているほか、国立循環器病研究センターでオープンイノベーションセンターというものを設置しておりまして、そこを拠点に、更に共同研究を深化させているといった状況でございます。
1つ目の事例は以上でございます。
次に2つ目でございますけれども、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の事例でございます。JAMSTECは、海洋に関する研究を総合的に行っている法人でございますが、海洋の調査研究を進める上で、探査船とか観測機器といったものを高度化していく必要がありまして、その中で、水中での安定した無線通信の実現が課題となっていました。
これまでの海洋調査では、例えば海中を航行するロボットとか海底に設置した機器との通信といったものを行うために音響通信が用いられてきましたけれども、音響通信の通信速度は毎秒10キロビット、すなわち1メガバイトのファイルの転送に約13分かかるという状況でありましたので、動画などの大量なデータの送受信やLAN通信のようなことは不可能であるという状況でございました。
そこで、JAMSTECは、レーザーダイオード、いわゆる半導体レーザーと言われるものを用いた高性能センサーの製造技術を持っている株式会社島津製作所と組みまして、両者が中心となって様々な機関が連携して、光を使った水中無線通信装置を開発いたしました。これによりまして、通信距離120メートルで毎秒20メガビット、すなわち約240メガバイトのデータを約2分で転送できるということになったということでございます。また、通信距離が100メートルでありますと、LAN通信ができる。そういう水中光Wi-Fiを確立することに成功したとのことでございます。
この技術をもとに、株式会社島津製作所は、海底油田探査に使う無人潜水機などのメーカー向けの製品を販売しており、更に今年10月、今月下旬でございますけれども、一般ユーザー向けの製品も販売する予定と伺っております。
関係機関との連携のイメージとしましては、JAMSTECと株式会社島津製作所が中心になり、情報システム関係の会社であるエス・エー・エス株式会社が船上コントロール装置や通信アルゴリズムなどのソフトウェア開発の支援を行いました。それから、可視光無線通信協会や、様々な大学、海洋関係の調査研究を行っている高校、大学とは所有している実験船等を使わせていただくといった形での連携や、さらに、資金協力という形で防衛装備庁との連携をしながら、研究を進めて、実用化に至ったというものでございます。
具体的な成果としまして、先ほど申し上げましたように、水中光無線通信装置というものを開発しまして、通信速度が圧倒的に速くなったということ、またその技術をもとに商用化が実現されたということでございまして、今後も、今LAN通信が100メートルということでございましたけれども、今後は、今現在10メートルの距離で毎秒100メガバイトのデータ送信ができるというところまで来ているものを、2020年春までに100メートルで同じ容量が送受信できるようなところまで開発しようということを含めて、更なる研究開発に取り組まれているところと伺っております。
JAMSTECの関係については以上でございます。
それから最後に、3つ目の事例でございます。ここは、先ほど見直し対象法人ということで議論させていただきました産総研の事例でございます。産総研は、企業等への技術支援、橋渡し機能の強化ということを目標に掲げて、積極的に企業への技術支援に取り組んでいるところでございますけれども、本事案は、北海道の釧路にある食品加工機械メーカーを産総研が技術支援して、画期的な製品を生み出し、今商用化まで進んでいるという事例でございます。
開発された製品は、魚の鮮度保持のためのものでございますが、魚の鮮度保持というのは、魚の販売価格に直結しますので、今回対象となっている株式会社ニッコーという北海道釧路の機械メーカーでは、以前から鮮度保持のための氷を港から積んで行く必要が無くなるように、船の上に積める船上搭載型の製氷機を開発したいと考えておりまして、中小企業庁の革新的な物づくりを支援する事業である「サポイン事業」を活用して、平成22年度から船上搭載型のスラリーアイス製氷機の開発を開始したということでございます。このスラリーアイスは、別名シルクアイスと言われる、シャーベット状の氷ですが、通常の氷と比較して鮮度保持効果が非常に高い氷とのことでございます。平成22年度から船上搭載型のスラリーアイス製氷機の開発を進めていくに当たりまして、先ほども紹介させていただきましたが、産総研のイノベーション・コーディネータが株式会社ニッコーと産総研、それから北海道の公設試験研究所(公設試)をつなぎまして、産総研は、製氷を制御する技術の支援を行い、公設試は、スラリーアイスの鮮度保持効果の実証を支援するという形で支援をしまして、平成24年に電気式のスラリーアイス製氷機を開発、製品化に成功したということでございます。
さらに、小型漁船が多い我が国では、電気式の製氷機ですと、発電機を一緒に載せる必要があるため小型漁船にはなかなか積みづらいという事情がございましたが、小型漁船には漁労器機で使用する油圧装置を搭載しているものが多いという点に着目し、電気式ではなく油圧で動く油圧式の製氷機を平成30年に開発して、製品化に成功したということでございまして、これによって小型漁船にも積めるようなものが開発できたということでございます。
これらの機械が製品化された後、国内を中心に全国、また東南アジアにも導入し、投下資本の回収も順調に進んでいるとのことでございます。
今後は陸上設置型のものなども含めて、更に性能を向上させていって、新たなユーザー開拓に努めて、市場拡大を図っていくといったことを検討されているということでございます。
産総研のイノベーション・コオデイネータが株式会社ニッコー、産総研、函館地域産業振興財団(公設試)の3者をつないで、製品の開発に成功したという事例でございます。これによって魚の鮮度保持効果を高めるということができまして、魚の市場価格が上がるといった効果や、船の上に製氷機を載せることで、これまでは港から氷を積み込んでいたときに比べて、氷の積み込みの労力が削減された、そしてコストも3分の1になった、というような効果が上がっているということでございます。
以上、3つの事例について紹介させていただきました。
【野路委員長】 ありがとうございました。ただいまの説明に対しまして、御質問、御意見等ございませんか。高橋委員。
【高橋委員】 お伺いした3つの事例や、出席したシンポジウムで伺った情報通信研究機構、防災科学技術研究所、日本貿易振興機構の事例についても、どちらもやはり、法人が地域や企業と連携していくということによって、その効果が非常に大きくなってくるということを理解することができました。色々な法人にお伺いした際に、「私達は広報が弱いです」という声を聞くことが多いです。広報の専門家がおられないので、自分たちが幾ら良いことをやっていても、発信力がないので、連携や支援に及ばない例というのが随分あるのではないかと思っています。ですから、こういう好事例のノウハウがもう少し具体的に各法人に伝わるような手段というものを考えていったら良いのではないかと、今のお話を伺っていて思いました。それぞれ、一つ一つの例は素晴らしいのですが、多分パターン化したものがあって、商工会議所がつないでくださった例もあれば、ICがつないでくださった例もあるし、あるいは個人的なつながりによる例もあるとは思うのですが、そういう類型みたいなものが出てきて、「私たちではこれが使える」というような気付きが法人にあるような発信があると良いのではないかと感じました。
【野路委員長】 天野委員。
【天野委員】 お伺いしたいのですが、この好事例というのは、次のシンポジウムか何かで発表される例になるのでしょうか、というのは説明会の際に、色々な法人の方から「褒めてもらえるというのは一体どのような形なのですか」という質問を受けたことがあるのですが、この委員会の中だけでこのように「良いですね」と評価するだけだと少し物足りないので、何かもう少し、そのシンポジウムだけではなくても、ホームページに掲載して、それはホームページに掲載しているということをアナウンスするとか、せっかく高く評価してあげるのであれば、そのことをもう少しPRしたほうが良いのではないかという気がします。
【野路委員長】 中村委員。
【中村委員】 今の話に関して、企業では、他の組織と連携したり、技術を組み合わせたりということを色々な事業部門が行うわけですけれども、各事業部門だけとか個人だけにその知見が蓄積されるということでは活用されないので、連携や技術の組み合わせを活用するためにナレッジベースを作ります。それに法人の職員がアクセスできるというような形を作ると、色々活用した事例について、これを使ってみようという形になると思いますので、そういうナレッジベースを考えられると良いのではないかと思います。
【野路委員長】 今の情報発信ですけれども、ナレッジベースやインターネットで公開するということは是非やってほしいと思いますけれども、それでもなかなか進まないということが結構多いのではないかと思います。アメリカのスタンフォード大学では、スタンフォード大学の知財を各企業に発信していくために、企業の御用聞きを行う人が70人くらいいますし、ネットでも発信を行うなど、色々なことをやっています。それでもうまくいかないと、私が6年前ぐらいに行ったときに伺ったのですが、結局、こちらも発信しているのだから、発信を聞いてこない人が悪い、聞いてこない人が問題だという姿勢だけでは、なかなか成功しないのではないかと思います。だから、独立行政法人の方に是非言いたいのは、積極的に、例えば自治体に行くとか、企業に行くなど、自分の足で発信に行っていただきたいということです。
実は、この前、シンポジウムが終わった後に、介護関係の独立行政法人の方が、私の所へ来て、「是非コマツの人事担当役員を紹介してほしい」と具体的に話に来て、それで私は担当の取締役人事役員を紹介しました。その方が先日コマツに来られ、話を聞いて、色々と決めていったのですが、結局、色々なものを決める際には、法人の方も相手の所に積極的に足を運ぶということを是非やってほしいと思います。大変かもしれないけれども、それが社会実装とか社会の課題の解決に一つずつつながって行くと思います。
二点目としては、先ほど申し上げた、人材育成の色々なキャリアパスあるいは人事交流、人材交流につながる点を指摘したいと思います。企業の人を何も知らなくて、企業のことが分かるはずがないと思います。企業が法人のことを知らなくては、幾ら議論しても、やっぱり同じベースに立てないと思います。顔と顔を合わせて話をするということが一番大事だということを私はもう実感しているのですが、情報発信のやり方と、法人がどうやってそれを色々な企業や自治体、農業法人などに伝えていくかということを考える際に、是非一つ一つの相手に対して個別に伝えて欲しいと思います。そうすれば、口コミでどんどん広がっていくのだろうと思います。非常に大事なポイントなので、一方通行の発信だけではなくて、御用聞きみたいな形もぜひ取り入れていただきたいと思います。今こそ法人が活躍する時代が来たと思います。これだけ人手不足ですから、企業も、農業法人も、皆さんが全部困っていると思います。ぜひそういう形で活躍していただけるとありがたいと思います。
最後に事務局から次回の日程について説明をお願いしたいと思います。
【辻管理官】 次回の事務局の前に、今の情報発信につきまして、委員会等で紹介させていただいた事例については、総務省のホームページで積極的に公表しようということで整理させていただいているのですが、いずれにしても、もっと事例をたくさん集めて、事例集的なものができればもっと良いと思いますので、そういったことも含めてちょっと検討していきたいと思っております。
【野路委員長】 その件についてですが、例えば産総研などは、結構、一般の中小企業の人にとっては敷居が高いとのことです。産総研の理事長には話したのですけれども、産総研自身へ行ってみると、敷居は決して高くないです。だけれども、最初から先入観があります。その壁をぶち破らないといけません。そこが非常に難しいところなのです。「良いことに取り組まれているな。自分のところにもこんなニーズがあるのだから、ぜひ取り組んで欲しい」と思っている人も結構多いと思います。だけれども、一歩足が出ない。これはもう、なかなか難しいのですが、独立行政法人のほうからも是非歩み寄るという形で、今のように事例をどんどん出していただいて、どちらからも歩み寄れるという形を是非お願いしたいと思います。
【辻管理官】 承知いたしました。
次回委員会でございますけれども、11月21日木曜日10時からなります。場所については別途御連絡をさせていただきます。
【野路委員長】 ありがとうございました。
これにて第23回独立行政法人評価制度委員会を閉会いたします。本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。


 

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