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第34回独立行政法人評価制度委員会評価部会 議事録

日時

令和2年1月31日(金) 14時30分から16時まで

場所

中央合同庁舎2号館8階 第1特別会議室

出席者

(委員)樫谷隆夫評価部会長、天野玲子委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、
高橋伸子委員、河合晃一専門委員
(事務局等)吉開官房総括審議官、辻管理官他

議事

令和2年度から中(長)期目標期間が始まる法人の新たな目標案について(状況報告を踏まえた審議)
配布資料:
議事次第PDF
参考資料1PDF
参考資料2PDF

議事録

【樫谷部会長】 ただ今から第34回独立行政法人評価制度委員会評価部会を開会します。それでは、令和2年度から次の目標期間が始まる5法人の新たな目標案につきまして、現時点の案が主務省から出て参りましたので、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
【辻管理官】 それでは、令和2年度から次の目標期間が始まる5法人に関して、各主務省から提出があった現時点での目標案について御説明します。
昨年11月の委員会において、これら5法人の次期中(長)期目標の策定に向けての留意事項等の取りまとめを行いましたけれども、本日お配りした目標案は、これを踏まえて、各主務府省において検討が進められてきたものになります。本日の評価部会での御審議の結果を踏まえまして、次回2月に開催予定の委員会において新目標についての意見を取りまとめる予定としております。
本日の会議資料のうち新目標案につきましては、各府省から提出された途中段階のものですので、非公開として、委員限りということで配付しておりますので、御留意をいただければと思います。
それでは、個別法人の説明に入る前に、まず11月21日の委員会決定において示した留意事項について確認させていただきます。お手元に配付しております資料の中の参考資料2として、昨年11月21日に決定した「独立行政法人の中(長)期目標の策定について」を配付しましたので、御参照いただければと思いますけれども、この中で各法人に共通的な留意事項として3点を示しております。
1点目が、目標策定に当たって使命の明確化や、現状・課題及び環境変化の分析等を行っていただきたいという点です。2点目が、法人の専門性などを生かして、地域等の支援や脱自前主義、あるいは他の機関との協働を進めていただきたいという点です。それから、3点目として人材育成や人材交流、組織の活性化に取り組んでいただきたいという点です。これら3つの観点を提示しております。
個別法人ごとの留意事項については、後ほど触れますけれども、本日、委員の皆様の確認の便宜に資するように、お手元の各府省から提出された目標案について、ただ今申し上げた委員会から示した留意事項に対応する記述については、その該当する部分に印をつけております。
また、別紙として個別法人ごとの留意事項についても抜粋して添付しておりますので、これも適宜御参照いただければと思います。
それでは、5法人の目標案について順次御説明しますが、時間も限られておりますので、法人ごとの個別の留意事項に対応する記載内容を中心にポイントを御説明します。
最初に日本医療研究開発機構(AMED)の目標案でございます。
まず、政策体系における法人の位置付け等でございますけれども、法人の使命としまして、医療分野における基礎から実用化まで一貫した研究開発の推進等のため、医療分野研究開発推進計画に基づき、大学、国立研究開発法人等の能力を活用して、研究開発及び環境整備等の業務を行うとなっております。
その中で、現状と課題としまして、まずAMED設立以降、基礎から実用化まで一貫した研究開発を推進する体制を構築し、アカデミアのシーズが実用化に至るなど優れた研究開発成果が多数創出されたとしている一方で、課題としまして、様々な疾患に展開可能なモダリティ(技術、手法等)等の開発が疾患別の統合プロジェクトにより特定の疾患に分断されていたということ、あるいは、予防、診断、治療、予後・QOLといった開発目的が必ずしも明確になっていなかった、こういう課題が挙げられております。
また、環境変化としまして、医療分野や生命科学分野で研究開発が加速化するとともに、AI等のデジタル技術、あるいはデータの利活用の分野のイノベーションが加速しており、医療分野への展開が見込まれている点や、我が国の疾病構造は生活習慣病や老化に伴う疾患といった多因子疾患が国民に大きな影響を与えるようになっており、診断や治療に加え、予防や共生の取組も重要であるといったことが記載されています。
こうした背景のもとで、次の中長期目標期間においては、AMEDは、医療分野の研究開発において中核的な役割を果たす機関として産学官の中心となり、基礎から実用化まで切れ目ない研究支援を引き続き実施していくとともに、疾患を限定しないモダリティ等の統合プロジェクトに集約、再編していくことや、AIなどデジタル技術の活用、それから予防、診断、治療、予後・QOLといった開発目的を明確にしつつ研究開発を進めることとされております。
具体的な目標の記載でございますけれども、その前に、まず昨年11月の委員会で取りまとめた個別の留意事項について確認をします。先ほど御覧いただきました資料の別紙を御参照いただきたいと思います。まず、AMEDにつきましては3点留意事項を示しておりますけれども、1点目が、第1期の業務運営を踏まえ、ノウハウの蓄積と継承についての方針の検討、人材育成の取組を目標に盛り込むのはどうかというものでございます。
2点目が、実用化等につながった成果の要因分析や成果活用実績の把握、より多くの研究機関からの協力を得るための手法の検討、積極的な研究成果の発信の実施について目標に盛込むのはどうかというものでございます。
それから、3点目が、再構築されるプロジェクトの内容を踏まえつつ、法人の機能発揮に必要な体制構築に係る業務においても、目標達成のための各プロセスを示し、また可能な範囲にて、指針に基づき量的、質的な観点や、その達成時期について目標に盛り込むのはどうかというものでございます。
それでは、具体の目標について、留意事項に対する記載を中心に御説明します。まずAMEDの目標でございますが、ここは2本立てになっておりまして、AMEDに求められる機能を発揮するための体制の構築が(1)、それから、(2)としてプロジェクトの実施に関する目標となっており、この2本立てになっておりますけれども、まず、(1)の(4)実用化へ向けた支援のところに、留意事項の2点目に対応するものでございますけれども、研究成果が実用化につながった事例の要因分析や成果活用実績の把握を行い、研究開発マネジメント手法や実用化の支援手法の改善に活用する、また、ホームページ等を活用した研究成果と企業のニーズとのマッチング支援を行うとの記載がされております。
それから、次の(5)の国際戦略の推進のところでございますが、海外の関係機関や専門人材とのネットワーキングを活用するなど適切な国際連携を図る、海外事務所も活用した国際共同研究の推進、調整や情報収集の発信等を行うといった内容が記載されております。
それから、委員会の留意事項の3点目として、目標達成の各プロセスを示し、また可能な範囲で量的、質的な観点や、その達成時期を目標に盛り込んではどうかという指摘をしておりますが、(4)の実用化へ向けた支援の項目に、実用化へ向けた支援の中で戦略的な知財管理を行うとともに、PMDAや官民の支援機関等とも連携して、インキュベーション機能や産学官連携のマッチング機能を果たす取組を実施し、第1期中長期目標期間の実績等を踏まえ、令和6年度までに研究機関の知財獲得件数100件、あるいは企業とのマッチング成立、これは協力協定の締結とか企業導出等の件数でございますけれども、290件、これを達成目標として設定し、その際には支援対象の質に十分配慮しつつ、達成を目指すということが記載されております。
それから、7ページ(2)基礎研究から実用化へ一貫してつなぐプロジェクトの実施ですけれども、これはプロジェクトの実施に関する目標でございまして、推進計画に基づき、疾患を限定しないモダリティ等の6つの統合プロジェクトに再編する、統合プロジェクトごとにプロジェクトを推進するとされております。各プロジェクトの中身が記載されておりますが、KPI(重要業績評価件数)の件数についてはまだ調整中ということで、現時点では数字が入っておりません。
13ページの(3)のところにつきまして、ここは補正予算等で措置された基金等による事業について記載をされておりますが、(2)については、昨日、国会で成立したばかりの令和元年度補正予算、この中で措置された健康・医療分野におけるムーンショット型の研究開発事業に係る目標です。これは、今年度に基金を創設するということで、2月の評価部会で現目標の変更について諮問予定となっており、同じ内容が次の目標にも盛り込まれるということです。
それから、最後に委員会の留意事項の1点目のノウハウの蓄積、継承や人材育成などに関する部分ですけれども、14ページの組織・人員体制の整備というところに、AMEDに求められる機能を果たすための適切な組織、体制の整備、あるいは関連政策や研究開発動向の変化等に応じた柔軟な組織、人員体制の整備、産学官からの優秀な人材の積極的登用等の実施という記載がなされております。
また、16ページ(5)でございますけれども、機構における業務のノウハウを継承、蓄積し、業務を効率的、効果的に進めるため、医療分野の研究開発のマネジメントを行う人材の確保・育成方針を策定し、人材確保、育成を進めるといった内容が記載されております。
続きまして、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の目標案です。
まず、政策体系における法人の位置付け等ですが、この法人の使命は、厚生労働大臣から寄託された年金積立金の管理及び運用を行うとともに、その収益を国庫に納付することにより、厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の安定に資することであるとしておりまして、現状や課題として、公的年金制度及び年金財政において年金積立金が担う役割の重要性に鑑み、平成31年3月末現在で約160兆円という巨額の年金積立金の管理及び運用を市場その他の民間活動に与える影響に留意しつつ、的確に行うことなどにより、法人としての使命を着実に果たしていくということを記載しております。また、環境変化として市場及び運用環境の複雑化、高度化ということを記載しておりまして、法人の専門性を活用しつつ、適切な運用及び組織運営に努めていくことが一層求められると記載しております。
次に、昨年11月の委員会で取りまとめた個別の留意事項を確認しますが、GPIFについては4点申し上げておりまして、まず1点目、経営委員会の判断事例を先例集として取りまとめるなど、法人においてガバナンス改革の趣旨に沿った組織体制の確立、定着に向けた取組を着実に行うことについて目標に盛り込んではどうかという内容です。
2点目が、世界経済の不透明さが増す中、運用管理に係る専門人材を戦略的に確保・育成し、経営委員会、執行部双方でリスク管理の強化に向けた取組を行うことについて目標に盛り込んではどうかという内容です。
3点目が国民の貴重な財産である年金積立金の運用を行う法人の重要な役割を踏まえ、超長期の運用機関としての運用実績や年金制度全体の中での法人に求められる役割等について、一般国民にも分かりやすく説明を行うなど、法人が国民の関心に応じて戦略的に広報を行うことについて目標に盛り込んではどうかという内容です。
それから、4点目として、昨年10月の法人理事長に対する制裁処分事案を踏まえ、目標の策定に当たって必要な対応等について検討すべきといった指摘をしております。
具体の目標につきまして、まず1のところでは、年金積立金の管理運営の基本的な方針が記載されておりまして、2として、国民から一層信頼される組織体制の確立について記載されております。委員会の留意事項の1点目に対応しまして、38ページに、意思決定や監督を担う経営委員会、監査等を担う監査委員会及び執行を担う理事長等が適切に役割分担、連携を図ることにより、自律的なPDCAサイクルを一層機能させ、国民から一層信頼される組織体制の確立に努めることと記載されております。また、経営委員会の判断事例の蓄積を活用して、法人においてガバナンス改革の趣旨に沿った組織体制の確立、定着に向けた取組を行うことといった内容の記載もされております。
それから、3の長期的な観点からの資産構成割合に基づく運用のところです。GPIFの目標の核心部分ですけれども、長期的に積立金の実質的な運用利回り1.7%を最低限のリスクで確保すること、これを目標とすることが記載されております。この1.7%という運用利回りですが、これは厚生労働省の社会保障審議会における財政検証の結果を踏まえて設定されたものです。
それから、40ページ、6のリスク管理のところですけれども、委員会の留意事項としまして、リスク管理体制の強化について指摘をしておりますけれども、これに対応しまして、フォワードルッキングなリスク分析とともに、長期のリスク分析を行うなど、運用リスク管理の高度化を図ること、あるいは、経営委員会は、各種運用リスクの管理状況について適切にモニタリングを行うことなどが記載されております。
それから、41ページ、8の情報発信、広報のところでございますけれども、委員会からも、国民への戦略的な広報が重要だということで指摘しておりますが、ここでは年金積立金の管理及び運用の方針並びに運用の状況等、長期運用機関である法人の特性に応じた運用の状況、年金積立金の役割、長期分散投資の効果等について年度の業務概況書等の公開資料をより一層分かりやすくするように工夫することなどにより、厚生労働省と連携して国民に分かりやすく説明するといった内容が記載されております。
それから、43ページ、その他業務運営に関する重要事項のところですけれども、高度で専門的な人材の確保、育成、定着等ということで、ここでは運用の高度化、多様化に伴う高度専門人材の確保、育成、定着を図る観点から、以下の取組を進める、としまして、高度で専門的な能力を必要とする業務等を明らかにし、人材の受入れに伴う環境整備を図ることにより、高度で専門的な人材の確保、人材の適時適切な配置及び定着を図ることや、研修等の実施による職員の業務遂行能力の向上、運用の高度化、多様化、運用リスク管理の高度化等に対応する人材を戦略的に確保・育成するための人材確保・育成方針の策定などについて記載されております。
最後に、44ページ、内部統制の一層の強化に向けた体制強化ですけれども、委員会の留意事項の4点目に対応しまして、内部統制上の課題を把握しつつ、国民の一層の信頼を確保するよう、運用手法の高度化や運用対象の多様化に対応したリスク管理体制や法令等の遵守の確保等、的確に実施するための内部統制体制を一層強化するという内容が記載されております。
GPIFについては以上です。
次に、経済産業研究所(RIETI)の目標案です。
まず、政策体系における法人の位置付け等ですが、法人の使命としまして、内外の経済及び産業に関する事情並びに経済産業政策に関する基礎的な調査及び研究等の成果を活用することにより、我が国の経済産業政策の立案に寄与するとともに、広く一般の経済及び産業に関する知識と理解の増進を図るとしておりまして、現状・課題として、国から独立した中立的・客観的な立場から、理論的あるいは実証的な政策研究を実施することを通じて、経済産業政策の政策形成や評価検証プロセスに幅広く貢献している一方で、今後、複雑化する社会課題に対応していくため、経済学を中心とした大学、研究機関との連携・協働のみならず、他分野の研究機関等との連携・協働を進め、分野間の垣根にまたがる研究を推進していくことが重要課題であるとしているところです。
また、環境変化としまして、近年、我が国が直面する急速な少子高齢化に伴う人口減の深刻化、エネルギー、環境問題など、様々な課題を解決するために、AI、IoT、ビッグデータなど第4次産業革命の進展によるSociety5.0の実現が求められているといったことや、多様化、複雑化する経済社会の問題解決のためには、EBPM分析が一層重要になっている、このような点が挙げられているところです。
次に、昨年11月の委員会の留意事項ですけれども、3点、指摘をしております。
1点目が、経済学、工学、法学等の分野を越えた文理融合の研究を推進するとともに、他の研究機関等における研究成果の社会実装に貢献していくことについて、目標に明確化してはどうかというものです。
2点目が、他の法人や民間の研究機関等との差別化を明確にした上で、国内外の研究機関との連携、協働を更に本格化していくことについて目標に盛り込んではどうかということです。
3点目が文理融合・学際研究を進めるとともに、多様性に対応していくために多様な人材確保及び組織整備を計画的に進めていくことについて目標に盛り込んではどうかということです。
具体の目標ですが、RIETIの目標は、(1)調査・研究・政策提言・資料統計業務、(2)成果普及・国際化業務、この2本柱になっておりまして、(1)の調査・研究等につきまして、委員会の留意事項の1点目に対応しまして、文理融合を含め、複数分野の研究が経済学を含む社会科学に結びつくように、他分野の専門家等と協力・連携するという内容が記載されております。
留意事項の2点目に対応しまして、ヴィジティングフェローやヴィジティングスカラーといった客員研究員等制度の活用による海外研究者や海外の大学・研究機関や国際機関との連携を拡充するといった記載がされております。
それから、49ページの(2)の成果普及・国際化業務のところに、海外の大学・研究機関や国際研究機関との連携を強化し、共同研究の推進を図るとともに、国際ネットワークを拡充し、さらに、海外の要人をシンポジウムに招聘する等、国際交流を促進する、といった内容が記載されております。
それから、委員会の留意事項の3点目、人材確保や組織整備の関係ですけれども、組織体制の充実の項目に、多様な人材を確保するとともに、内外の動向に対してより柔軟な研究体制を整備し、研究力の底上げを図るという内容が記載されているほか、その下の(3)人材確保計画の策定、人事管理の適正化の項目には、若年層のキャリアパスの明確化を含めた必要となる適正な人材確保・育成方針を策定し、人事評価に基づく適正な人員配置を行い、職場活性化を図るという内容が記載されております。
次に、工業所有権情報・研修館(INPIT)の目標案です。
まず、政策体系における法人の位置付け等ですけれども、法人の使命として、産業財産権、いわゆる工業所有権ですけれども、産業財産権に関する情報の収集、整理及び提供を行うとともに、特許庁の職員その他の産業財産権に関する業務に従事する者に対する研修を行うこと等により、産業財産権の保護及び利用の促進を図ることとしておりまして、現状・課題としては、産業財産権情報を提供する基礎インフラの整備と充実、中堅・中小・ベンチャー企業等に対する知的財産の権利取得、戦略的活用支援、それから初心者から専門家に至る幅広い知的財産関連人材の育成など、知財に関する総合的な支援実施機関としての役割を担い、多くのノウハウの蓄積やネットワーク構築等に貢献しているとして現状分析する一方で、今後は、中小企業等の知財の重要性に関する認識を高めつつ、総合的な支援を充実し、企業の稼ぐ力を高めることが重要課題であると記載しております。
また、環境変化としまして、近年のデジタル革命によるオープンイノベーション化の進展に伴い、中小・ベンチャー企業が優れた技術を生かして飛躍するチャンスが拡大しており、そのような中で、イノベーションを支える基盤である知的財産制度は、中小企業等が知財権を取得し、しっかり行使できるように諸外国の動向も踏まえ、制度の充実に一層努めることが求められているという内容や、また、企業が顧客のニーズを利用者視点で見極め、技術力を高めるのみならず、製品やサービスのブランドを構築して自社の「稼ぐ力」を高めることが重要となっている、このような内容が記載されております。
こうした背景の下で、INPITは次の中期目標期間において、1点目として産業財産権情報の提供、2点目として知的財産の権利取得、戦略的活用支援、3点目として知的財産関連人材の育成、この3つを事業の柱として業務を実施していくと記載しており、特に中小企業等が知財を戦略的に活用し、事業成長を達成できるように総合的な支援を実施していくという内容が記載されております。
個別の留意事項ですが、INPITについては4点、委員会から申し上げておりまして、1点目が、知財に係る政策課題全体における法人の位置付け及び強みを明確化しつつ、中小企業等の知財の活用による「稼ぐ力」の向上に向けて、今後、法人に求められる役割を目標において明確化してはどうかということです。
2点目が、国民一般に対する知財の重要性の周知・広報において、法人が果たすべき役割を明確化し、着実に取組を進めることについて、例えば、若年層に知財に対する興味、関心を持たせる取組の充実について目標に盛り込んではどうかということです。
それから、3点目が、法人の組織、人事マネジメントにおいて、適切に人材確保・育成方針を策定するとともに、プロパー職員のキャリアパスを明確にし、計画的に育成していくということを目標に盛り込んではどうかということです。
4点目が、各都道府県に設置する知財総合支援窓口等の支援(相談)窓口のワンストップサービス化を進めるに当たり、他府省、他法人や地方公共団体の関係機関等との有機的な連携、協働体制を構築していくといったことを目標に盛り込んではどうかということでして、これらの4点を指摘しているところです。
こうした中で、委員会の留意事項1点目の法人に求められる役割の明確化等に対応しまして、47都道府県に知財総合支援窓口を設置し、中堅・中小・ベンチャー企業等の支援ニーズに迅速に対応できるよう、地域の相談支援体制を構築するとともに、財産権情報の提供、初心者から専門家に至る幅広い知的財産関連人材の育成など、知財に関する総合的な支援実施機関としての役割を担ってきたほか、今後は、中小企業等が知財を戦略的に活用し、事業成長を達成できるよう、知財の権利化や利活用のための効果的な戦略の構築を支援することにより、企業の稼ぐ力を高めることを目指すといった内容が記載されております。
それから、具体的な目標の記載につきましては、先ほど申し上げました産業財産権情報の提供と知財の権利取得、戦略的活用支援、それから知的財産関連人材の育成、この3本柱に沿った項目立てになっております。その中で、知的財産の権利取得・戦略的活用の支援の(1)知財総合支援窓口によるワンストップ支援のところですけれども、委員会の留意事項の4点目に対応するものとして、INPITの各相談窓口による相談支援については、支援事例の共有や勉強会の実施等を通じた窓口間の相互理解、連携の強化等により、各窓口の一体的運用を進めつつ、弁護士、弁理士、デザイン専門家などを派遣できる体制を引き続き整備する。また、よろず支援拠点、これは中小企業庁が実施している事業ですけれども、よろず支援拠点、商工会・商工会議所等の他の中小企業支援機関や地域金融機関等との連携を強化するとともに、知財及び標準化に関する総合的な支援に資するため、日本規格協会(JSA)との連携を強化するといった内容が記載されております。
それから、67ページですが、若年層に知財への興味、関心を持ってもらう取組として、高校生や高等専門学校等の学生などに対して、知財の創造のみならず、知財の保護、活用を含めた総合的な知財マインドの醸成を図るべく、知財学習支援の内容の見直しを図るといった内容が記載されております。
それから、72ページですが、INPITの認知度向上を含めた広報の強化ということで、INPITの知財に関する総合的な支援機関としての知名度、認知度を高めるため、これまでの支援の成功事例について全国の知財総合支援窓口、各経済産業局、地方自治体、地域金融機関等を通じて一層積極的な広報を行うとともに、中小企業等の経営層向けに知財を活用するポイントや関連するリスクをまとめ、商工会・商工会議所等を通じて活用を促すなど、中小企業等の経営層へのアプローチを強化するといったことが記載されております。
それから、69ページ、人材育成の関係ですが、今後のINPITの業務、組織体制等も見据え、プロパー職員の計画的な採用を行う、また、プロパー職員の業務ノウハウの円滑な継承やモチベーション向上のため、採用後のキャリアパスを明確化した人材育成方針等を策定し、計画的な人事配置や研修を行うといったことが記載されております。
最後に、産業技術総合研究所(産総研)の目標案です。
まず、政策体系における法人の位置付け等ですけれども、法人の使命として、産業技術の向上及びその成果の普及を図ることで、経済及び産業の発展等に資することを目的とするとともに、特定国立研究開発法人として世界最高水準の研究開発の成果を創出する。主に、その普及及び活用の促進を図ることで、国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与することが強く期待されているという内容が記載されております。次に環境変化として、近年、我が国は、エネルギー・環境制約、少子高齢化、防災など様々な社会課題に直面していること、また、世界においては、IoT、ビッグデータ、人工知能、AI等の技術開発や社会実装を通じて、社会のあらゆる場面にデジタル化が波及していく、そういう大きな変革が起こりつつある中で、産業技術・イノベーション政策を進める上で、社会課題の解決に向けた取組とビジネスモデルの刷新等による経済成長に向けた取組をバランスよく進めていくことが求められているということ。そして、政府戦略等において多くの研究領域をカバーしている産総研が、その多様性を総合的に生かして社会課題の複雑性や非常に早い時代変化に対して機動的で課題融合的な研究開発を進めていくことが求められているという内容が記載されております。
昨年11月に産総研の見込評価について委員会として意見を取りまとめておりまして、今期の目標の中で民間資金獲得額を3倍以上にするという目標について未達成の要因分析等が評価書に明確に記載されていなかった点を委員会として指摘しました。これに対応して、76ページでございますが、第4期中長期目標期間においては、民間資金獲得額を3倍以上とするという極めて挑戦的な目標を達成するため、産総研は、理事長によるトップマネジメントの下、その橋渡しの機能を抜本的に強化すべく、新たに様々な取組を行い、組織全体では約100億円超の民間資金を獲得する成果を上げており、エネルギー分野や生命工学分野においては、企業の研究開発投資が消極化するという環境変化等の影響により、3倍の目標達成には至らなかったものの、組織全体で取り組んできたこの橋渡し機能は、引き続き産総研が担うべき重要な役割であるとし、一方で、極めて挑戦的な目標を設定したことは、産総研に目標達成に特化した組織運営、具体的には、研究領域単位での縦割りの民間資金獲得に特化した取組を強く促すこととなり、内部的には組織横断的な連携、融合の推進による研究活動、外部との関係では、国や社会の様々な要請にバランスよく対応するという、国立研究開発法人に求められる役割等に十分に取り組むことが難しい状況が生じたと分析をしており、次期中長期目標期間においては、引き続き産総研が担うべき橋渡しを拡充させるとともに、産総研の7つの研究領域という多様性を総合的に生かし、世界に先駆けた社会課題の解決に向けて、国や社会の様々な要請にバランスよく対応することが重要であると記載されたところです。
なお、民間資金の獲得については引き続き取り組むということでございますけれども、次期の目標においては、獲得額自体を目標とするということはせずに、獲得額はモニタリング指標として設定するとのことです。
産総研について11月の委員会で指摘した個別留意事項ですけれども、3点指摘しておりまして、1点目が、特定国立研究開発法人としての世界最高水準の研究成果の創出と地域のニ−ズを踏まえた技術支援の両立を図るため、法人の長のリーダーシップの下、弾力的かつ効果的にリソースを配分することについて目標に盛り込んではどうかということです。
2点目が、限られたリソースを効率的に活用し、地域のニーズを踏まえた技術支援等を推進するため、公設試験研究機関等に配置するイノベーションコーディネータ(IC)を通じた関係機関との一層の連携・協働などを進めることについて目標に盛り込んではどうかということです。
3点目が、研究職だけではなく、事務職も含めた法人全体の人材確保・育成の方針を策定し、職員のキャリアパスの見直し等について目標に盛り込んではどうかということです。
産総研の目標は、4本柱になっておりまして、1点目が産総研の総合力を生かした社会課題の解決、2点目が経済成長・産業競争力の強化に向けた橋渡しの拡充、3点目がイノベーション・エコシステムを支える基盤整備、4点目が研究開発成果を最大化する中核的・先駆的な研究所運営、このような4本立てになっているところです。
まず2番目の経済成長・産業競争力の強化に向けた橋渡しの拡充のところです。
(2)ですけれども、冠ラボ、これは企業の名前を冠した研究所ですけれども、冠ラボやオープンイノベーションラボ、こういったものをハブにして積極的に産学官連携やオープンイノベーションを推進する、こういった取組を進めていくということとしております。
(3)は委員会の留意事項の2点目に対応するところですけれども、地域の中堅・中小企業のニーズを把握し、経済産業局や公設試及び大学等との密な連携を行うことにより、地域における経済活動の活発化に向けたイノベーションの推進に取り組む、また、産総研の技術シーズと企業ニーズ等を把握し、マーケティング活動を行うICについては、マニュアルを整備し、顕著な成果を上げたICにはインセンティブの付与等を行うとともに、関係機関との一層の連携・協働に取り組み、更なる活動の充実を行うとの記載がされております。
それから(5)のマーケティング力の強化の項目でも、ICの活動の充実といった内容が記載されています。
また、研究開発成果を最大化する中核的・先駆的な研究所運営の項目は委員会の留意事項の1点目に関連するところですけれども、4の(1)に特定法人としての役割として、理事長のリーダーシップの下で取組を推進するということで4点書かれておりまして、次の82ページ、1の(1)研究推進体制について、特定国立研究開発法人として世界最高水準の研究成果を創出することが求められているといったことを踏まえ、第5期の重要課題である社会課題の解決に資する研究開発を既存の研究領域等にとらわれることなく、組織横断的に連携・融合して推進していくための組織体制の構築を機動的に行うということや、裁量と権限に伴う責任を明確化した上で、基礎と応用のベストミックスになるように、交付金や人材のリソース配分や他の国立研究開発法人、大学等との連携を行うという内容が記載されております。
それから、組織関係として85ページの5のところに、地域センターを含めた産総研の各拠点の最適な配置や運営について、長期的な視点で第5期中長期期間中に検討を行うといったような記載がされております。
84ページには、委員会の留意事項の3点目、人材の確保・育成に関連して、若手や女性、外国人研究者あるいは学界、産業界からの人材等、多様で優秀な人材を積極的に確保するとともに、特に若手研究者が中長期的な成果を志向した研究に取り組めるよう、採用や人事評価等においては、短期的、定量的な評価に限定せず、挑戦的な研究テーマの構想力や産総研内外との連携構築能力なども勘案していくといったことや、他方で、研究成果の見える化を図り、研究者の適正を見極め、研究実施に限らない各種エキスパート職への登用も含めたキャリアパスの見直しを進めるとともに、事務職も登用先を広げ、研究企画、イノベーションコーディネータ(IC)などにも積極的に登用し、研究、産学連携のプロデュース及びマネジメントを行える人材を育てるといったことなどが記載されております。
5法人についての説明は以上です。
【樫谷部会長】 ありがとうございました。それでは、現時点の目標案につきまして御意見等がございましたら、御発言いただけますでしょうか。天野委員。
【天野委員】 現状で出てきたものについては相当色々な意見を取り入れていただいて、良くまとまりつつあるのではないかと感じます。
個別の法人について若干申し上げますと、まずAMEDについては、以前見込評価を審議した際には、研究の管理を行う法人としての意識が弱いように感じましたが、今回の目標にはしっかりとそのような視点も入れていただき、ムーンショットというキーワードも入れていただきました。最近、研究の管理を行う法人としてAMEDが取り上げられることがマスコミ等でも散見されるようになってきましたので、次の中長期目標期間では活躍していただけるのではないかと感じています。
RIETIについては、経済産業省の下で政策提言するだけではなく、広く国として色々な新しいイノベーション、特に次の第6期科学技術基本計画の話も動き始めているようですが、このような状況の中で大いに活躍していただけるのではないかと感じていますし、そうしていただきたいと思っています。
INPITについては、人材として産業界から広く優秀な方を集めてこられているということはよく分かりましたので、是非ともその力を知財を創るだけではなく、中小企業の「稼ぐ力」のビジネスモデルを作るということに関しても、法人だけではなく、中小企業を助ける組織と連携して進めていただきたいと思います。また、INPITの知財データのプラットフォームの維持管理にも期待しております。
産総研については、今期の中長期目標期間における特定国立研究開発法人としてのスタートに関しては、少し遅れたように感じますが、経済産業省が今回の見込評価と新目標案の作成を通して特定国立研究開発法人としての在り方を非常に理解していただいて、次の中長期目標の中に盛り込んでいただけたのではないかと感じておりますので、こちらも特定国立研究開発法人として理化学研究所に続いて是非とも活躍していただきたいと感じております。
【樫谷部会長】 金岡委員。
【金岡委員】 全般には委員会の意見を適切に行政管理局の皆様の御協力の下、各独立行政法人の目標に反映していただいて大変ありがたいと思っております。
個人的な意見として、最後の産総研について少し私の感じたところを申し上げますと、社会課題の解決、それに資するイノベーションを生み出すということで、大変大きな目標を掲げていただいていること自体は素晴らしいことですし、大変ありがたいことであると思っています。
一方、社会的課題の解決といいますと、単に技術要素だけではなくて、様々な社会制度ですとか、政治、経済面においても、大きな制約があるのは皆様御承知のとおりです。
直近の例で言いますと、新型コロナウイルスの肺炎で武漢から戻ってきた邦人への対応で法的な側面、個人の権利と公的な全体の公益性とのところで問題になっております。
そういうことも含めて考えますと、大変大きなミッションを掲げていただいて大変ありがたいのですが、一方、制度面をそのままにして技術面だけでイノベーションを達成しようとしますと、相当に大きなブレークスルー的な開発がないと個人的には難しいのではないかとも思います。その面で言いますと、大変大きなリソースを持っていらっしゃいますけれども、研究領域が広過ぎるのではないかという気がしています。
一方、技術開発されたものを社会課題の解決に向けて、制度面、その他に働きかけるとすると、今度はより主務省である経済産業省的な物の考え方ですとか、他との連携が非常に重要になってくると思いますので、そういう意味で言いますと、大変大きな目標を掲げていただいてありがたいのですが、実質的にこれを進めていくのは結構困難な事柄ではないかと感じた次第です。
【樫谷部会長】 高橋委員。
【高橋委員】 全体的に主務省と法人の長とのやりとり、また我々とのやりとり、それから総務省とのやりとり、かなり丁寧にそうしたやりとりを重ねた結果、非常に良い目標案になりつつあるなと私も感じております。
特に、先ほど天野委員からも御意見がありましたけど、AMEDに関してはものすごく良くなったという印象を持っております。産学官の中心とか切れ目ない支援、モダリティも入れ、横断的な取組を通じて、研究成果の実用化というところで企業とのマッチング機能まで踏み込んでもらったということは非常に良かったと思います。
それから、実用化支援については、数値目標がまだ一部出てないところがありますけど、多く取り入れられていた点も非常に好感が持てました。
BCP(事業継続計画)のための人材の確保に関しても、目標に盛り込まれており、AMEDの目標案については、全体として、きれいに分かりやすくまとまったという印象です。
それと比較すると、産総研もかなり良くなったと思いますが、もう少しICの部分や、成果とか連携・協働に関して、もうちょっと数値目標、KPIがあると良いのではないかという印象は持ちました。
それから、GPIFに関しては、今までも色々御意見は申し上げてきましたが、特に44ページの内部統制の一層の強化に向けた体制強化、それから監査委員会の機能強化等によるガバナンス強化、この部分は非常に注目される部分だと思いますので、丁寧に拝読いたしました。
ただ、運用手法の高度化とか運用対象の多様化に対応したリスクというところでは非常に対応に安心が持てるものの、週刊誌等でも取り上げられましたハラスメント系に関する部分については、どのように考えていくべきかが非常に難しいと思いました。
4の監査委員会の機能強化等によるガバナンスのところに、監査委員は、役員が不正な行為を行ったと認める場合には、その旨を理事長、経営委員会及び厚生労働大臣に報告する義務等を負っていると記載されています。まさにそのとおりで、発覚してからはしっかりと対応していただいたと思うのですけれども、昨年の事案を見ますと、主務省が先に把握していたのではないかと報道等を見ると感じられるところもありまして、相互のコミュニケーションというのが大事だと思いますので、監査委員にしっかりと情報が入るような仕組みというのも、内部的にはしっかり構築していただきたいと感じました。
それから、RIETIに関しましても、社会実装に貢献することに関しても目標に明確化していただきまして、研究のための研究だけではなくて、それが他の機関ともうまく連携していく、そしてマッチングが図られていくということに関しては期待するところでありますので、更に検討していただきたいと思います。
INPITに関しては、「稼ぐ力」の向上ということで、色々記載していただきましたが、事前の意見でも申し上げましたけれど、直接法人が実施するというより、色々な機関を活用していくということも理由にあるのだとは思いますが、目指すという表現が非常に多いという印象があります。これに関しても、中小企業を相手にする法人でございますので、しっかり分かりやすい目標設定ということをしていただきたいと思いました。
【樫谷部会長】 栗原委員。
【栗原委員】 前回の委員会でお示しした各法人ごとの留意事項については、非常にそれぞれを細かく、今回の見直し対象法人の目標の案を作る上で反映をしていただいて、検討いただいて盛り込まれているとまず全体として感じました。関係者の方に御礼申し上げます。ありがとうございます。
その上で若干コメントさせていただきますと、まずAMEDについては、これからの事業内容というのがかなり第2期の中長期目標期間で刷新されるように感じまして、それについては期待をしており、これを本当に実現しようとしますと、最終的に今拝見している法人の組織図もがらりと変わることになるのではないかと思いますので、是非、これを実現するための組織体制を次の段階として実現のために考えていただくということを期待しております。
それから、GPIFについては、社会で求められるものというのが当然ありまして、それについては、応えようということで目標が記載されていると思いますし、フォワードルッキングなリスク管理ですとか、そのようなことについても十分御認識の上で記載されている目標だと思います。
GPIFについては、そういう意味で何が必要かというと、より透明性の高い経営委員会を含めたガバナンスだと思いますので、引き続き、ガバナンスの向上とリスク管理というところの制度的な器づくりではなく、器の中に何を入れるかという中身についての一層の高度化を期待したいと思います。
それから、INPITについてですけれども、私は今回の目標を拝見して、非常に人材育成などについて細かくブレークダウンして記載されておりまして、次の目標として大変共有しやすいものになっていると思いますので、ぜひ実現を期待しております。
それから、産総研についてですが、今回の目標については良いのですけれども、前回の委員会で指摘させていただいた、評価について一部振り返りが足りなかったのではないかということに対して、今回、その分析をして目標に反映していただきましたが、資料の中ではエネルギー分野ですとか生命工学分野において、企業の研究開発投資が消極化するという環境変化の影響で目標達成に至らなかったと記載しているのですが、企業のR&D(研究開発)がこの分野で消極化したという認識が適当かにつきまして、これは次期目標には必ずしも反映されないかもしれませんが、こちらに記載する以上は、それが原因だったのかどうかということは、検証を十分にしていただきたいと思います。
少なくとも、この分野というのは、近年、足元で投資が消極化しているという感覚はないので、もし記載するのであれば検証が必要かと思います。目標自体については異論ございません。
【樫谷部会長】 河合委員。
【河合専門委員】 私も他の委員の方々と同じ意見でありまして、共通であれ、個別であれ、留意事項に関して非常に丁寧に踏まえた目標を作成いただいたと考えております。
個別の法人に関しましては、各委員から御指摘もございましたので、全体的なことで1点のみ申し上げたいと思いますが、今回の共通の留意事項にも入っております関係機関との協働体制の確立や強化というテーマに関しまして、こういった他機関連携のような考え方というのは、どの政府機関に関しても今トレンド的なものになっているかと思いますが、中央省庁の出先機関と地方公共団体の連携といったことも事例として色々と報告は受けておりますけれども、独立行政法人としての強みの1つとしてこのような連携というところに、他の政府主体とは違うやりやすさですとか、あるいは可能性というものが非常にあるかと思います。今後、連携していく中で色々な課題はあるかと思いますが、私個人としては非常にこの分野に期待をしたいと思っておりますので、ぜひ次の中(長)期目標期間の中で、連携強化に関しまして良い事例が現れることに強く期待をしたいと思っております。
【樫谷部会長】 各委員の御発言もありましたが、しっかりと見直していただいて、その点は素晴らしいと思うのですが、例えば5年間の中期目標ができ上がり、そこで安心するのではなく、社会の変化の速度も速くなっておりますので、常に実態をよく見ながら、検証しながら、効果も見ながら、見直しをしてもらわないと目標が5年間十分に機能しないという法人も出てくるかもしれません。5年先というのではなくて、1年先、2年先でも社会が大きく変化するということもありうるので、目標の策定に安堵して5年間運営するというのではなくて、常に見直しをしていただきたいと思います。
それから、産総研についてですが、民間資金獲得額3倍という非常に挑戦的な目標を策定していただきました。今回は様々な理由があり未達とはなりましたが、萎縮することなく、例えば次は5倍を目指す、というような意欲的な姿勢を見せていただきたいと思っています。無理な目標が策定されて運営に支障が生じるべきではないということも理解しておりますが、考え方の全面的な見直しなどを通して極めて困難な目標の達成にチャレンジされることを他の法人も含めて期待しております。
INPITについては、INPITだけで全てを実施することは難しいとは思いますが、技術の展開までを見据えて業務に取り組んでいただきたいと思います。世の中が急速に変化しておりますので、そのことを念頭において、必要であれば中期目標も、あるいは中期計画も変えていただくということを是非お願いしたいと思っております。
【辻管理官】 委員の皆様からコメントいただいたことについて幾つか御説明しますと、まず、産総研のIC、地域支援の取組について数値目標が設定できないかという話がありましたが、この点につきましては、産総研が国立研究開発法人ですので、量より質を重視するということで数値目標を設定しておりませんが、次の目標期間からの地域イノベーション推進の取組状況、これについては資料の93ページに評価軸がありまして、評価指標として地域イノベーション推進の取組状況というものを置くことにしておりまして、数値目標という形ではありませんが、このようなものを置いてしっかり評価をしていくという形で対応していきたいということを聞いております。
それから、INPITについて「目指す」という書きぶりが幾つかあった点につきまして、おそらく主務省が取組に対して腰が引けているとか、そのようなことではないと思いますが、委員の御指摘も踏まえて、もう少し前向きに書けるところがないのかについては調整をさせていただきたいと思います。
それから、産総研の今回の民間資金獲得額に関する分析についてですが、エネルギー環境分野における民間企業の投資消極化という論点に関しまして、事務局が主務省から聞いた話によりますと、産総研における民間資金獲得額の主要分野は太陽光発電に係る研究でしたが、太陽電池モジュールの国内出荷について、中国勢との価格競争等が激しく生産に落ち込みがあった結果、国内のR&Dのニーズが落ち込み、投資が消極化した、そのような事情とのことです。
GPIFについては、厚労省からも現在、法人において対応中と聞いておりますけれども、事務局でも経営委員会でどのような議論がなされているのかということで議事録等を確認したところ、11月18日の経営委員会の議事概要において、制裁規定とか内部通報規定について改めて見直すということを検討するという議論がなされたようです。
【樫谷部会長】 RIETIについて補足しますと、もう少し地域に関する研究をしていただきたいと感じました。国全体の活性化には地域の活性化が不可欠ですので、地域の実態を良く調査した上での地域の活性化への寄与に期待をしております。
高橋委員。
【高橋委員】 産総研に関する先ほどの栗原委員の御意見につきまして、私もその点は同様に感じておりまして、個別の太陽光発電研究に係る状況を受けて研究開発投資が全体的に消極化したという書きぶりをするのはいかがなものかなと思っています。全体的な話を書くべき場所でございますので、以前申し上げましたように、民間企業であれば、社会状況の変化への対応に関して、このような書きぶりというのは弁解と捉えられてできないわけですけれども、企業のエネルギー分野の研究開発投資が消極化しているかといえば、私も資源エネルギー産業の社外役員を務めておりますけれども、全然消極化しておらず、オープンイノベーションも官に頼らないで、もっと違う形で様々な工夫をしてやっているので、逆に言えば、産総研が民間のニーズや動向について、よりきめ細やかに見ていくべきであって、漠然とした全体的な社会の流れや経済の流れの影響でできませんでしたという考え方に通じるようなこの記載というのは、やはり再度検討していただきたいなと思います。研究開発投資は消極化しているわけではなくて、方向性がかなり変わっているなと感じます。
【樫谷部会長】 高橋委員の御指摘のとおりで、基本的には民間も研究開発投資したいと考えていると思います。ただ、どこに投資すべきか良く分からないというのもあると思いますし、役に立つ存在と認識されていないのかもしれません。役に立つと判断されないと資金は集まりません。ある研究開発法人の委員を務めておりますが、民間は役に立つと判断すれば出します。本当は役に立つとは思いますが、説得力が十分では無いため、投資全体が消極的だと判断される状況になっているのかもしれません。是非どうすれば役に立つと判断してもらえるかという観点からアプローチしてもらえればと思います。
【辻管理官】 今の点につきまして、ここに記載されているのは、100億円超というのは達成し、民間資金獲得額は増加したけれども、3倍までには至らなかった理由を分析されているので、全体として3倍に達するまでの投資熱がなかったと、そういう趣旨だと理解しておりますけれども、詳細については確認をさせていただきたいと思っております。
【栗原委員】 3倍に至らなかった理由を分析して目標に反映しようとする、その努力は評価したいと思うのですが、先ほど事務局より説明のあった理由が、未達の主な理由なのであれば、その趣旨が分かる書きぶりにしていただいたほうが良いと思います。エネルギー分野の研究開発が消極化するという非常に大きな社会の流れに言及する記載をされますと、少し誤解を生む可能性があるのではないかと思います。
また、先ほどの太陽光発電のパネルなのか発電設備の受注なのかは分かりませんが、商業上の出荷の落ち込みがもし背景にあるのであれば、逆に言いますと、産総研の高度な研究開発というのは、多分、そのような短期的な景気の変化を超えて行うものだと思いますので、あまりそういったものに左右されないレベルでの研究開発を目指していただきたいと思います。詳細がよく分からないので、このコメントは適切ではないかもしれませんが、今の社会の需給バランスに左右されるようなR&Dだと少し物足りないと思います。
【樫谷部会長】 私としては、世界最高水準の研究の実施を目指す機関だと思いますので、100億、200億円の資金獲得で満足してほしくないと思います。達成の難しさは重々承知していますが、世界最高水準のことをやっているというプライドを持っていただいて、更に進めていただきたいと思います。
【天野委員】 少し反論させていただきますと、世界最高水準を目指すというのは、基盤的な研究開発ではそうあるべきだと思いますし、それがイノベーションに結びついたりするものだと思います。一方、私も研究のマネジメントに携わっていましたが、産総研で取り組んでいるように社会に実装するということにおいては、研究者側の「もっと高性能な製品を開発したい」という意見を「そこまで必要ない」と制限していくことも仕事の1つでした。
社会実装に際して、市場やコスト、マーケティングとのバランスというのは非常に重要で、今回、太陽光パネルの話に関しては、中国が非常に大きな市場を持っており、産総研が完全にマーケティングで失敗したという事情があり、決して技術の品質についての話ではないということであって、それを目標に盛り込むことは非常に難しいと私自身は思います。
今、最高水準の研究を行っているからこそ、自信を持って積極的にチャレンジしてほしいという意見は、産総研にとっては、現状では少し合わない部分があるかもしれません。
【樫谷部会長】 研究開発については全く素人としての意見とはなりますが、意気込みの重要性を理解していただければと思います。できない理由は多くあるとは思いますが、どうやったらできるのかということを考えた上で、高く設定した目標を達成するべきだと思います。もちろん、できない場合もありますので、その際にはしっかりと分析をしていただく必要はあります。産総研に対する期待というのはものすごく大きいわけですので、大きな国民の期待に応えるようなことをやっていただきたいと思います。
【金岡委員】 委員の皆様の中でもバックグラウンドが異なるので、御意見が色々ありますけれども、世界最高水準といった際に何を意識するのか。世界最高水準の基礎研究なのか、世界最高水準の実用化研究なのかを区別しないといけないと思います。一般的に言うと、世界最高水準という単語からは、基礎研究を連想しますが、天野委員の御発言もありましたが、実際、今まで産総研が取り組まれてきたのは、おそらく実用化研究だろうと思います。
産総研の担っているミッションというものについて、自己認識と一般の方の認識の間で、世界最高水準という枕詞がつくとかなり乖離が生じていると思いますので、そこもミッションの中でより明示的に示していただく必要があるのではないかと思います。研究開発におけるニーズとシーズの追求のバランスも含めて、その点は誤解を招くような書きぶりになっているところもあるのではないかと、今の議論の中でそのように感じました。
【樫谷部会長】 天野委員、金岡委員の御指摘の通りだと思いますので、実態を踏まえた上でしっかり目標を策定し、達成していただきたいと思います。
いくつか御意見もありましたため、御意見等があった事項につきましては、各府省、事務局も含めて、引き続き御検討をお願いしたいと思います。事務局においては、本日の議論の内容を各府省にお伝えいただきたいと思います。
最後に、次回について事務局から説明をお願いします。
【辻管理官】 次回の委員会につきましては、2月19日水曜日の15時から委員会を開催し、同日14時から併せて評価部会を開催する予定となっております。場所等の詳細については別途御連絡させていただきます。
【樫谷部会長】 ありがとうございました。これにて第34回独立行政法人評価制度委員会評価部会を閉会いたします。本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。

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