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第27回独立行政法人評価制度委員会 議事録

日時

令和2年10月23日(金)14時から15時30分まで

場所

中央合同庁舎第2号館8階第1特別会議室

出席者

(委員)野路國夫委員長、樫谷隆夫委員長代理、天野玲子委員、梶川融委員、
   金岡克己委員、栗原美津枝委員、高橋伸子委員、野ア邦夫委員、浜野京委員、
   原田久委員、河合晃一専門委員
(事務局等)熊田総務副大臣、横田行政管理局長、阪本官房総括審議官、山本管理官他

議事

1 令和元年度における独立行政法人の業務の実績に係る評価等の点検について
2 令和2年度に中(長)期目標期間が終了する法人に係る調査審議の状況について

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議事録

【野路委員長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第27回独立行政法人評価制度委員会を開会いたします。
本日の会議は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、密を避ける観点から、傍聴者には、会議の模様をオンラインで視聴していただくこととしております。
初めに、議題に入る前に、9月の組閣で新たに就任されました熊田総務副大臣に、公務が御多忙の中お越しいただいておりますので、御挨拶を頂戴したいと思います。熊田総務副大臣、よろしくお願いします。
【熊田総務副大臣】 それでは、皆様、改めまして、こんにちは。副大臣を拝命いたしました、熊田裕通でございます。
野路委員長をはじめ、委員の先生方におかれましては、日頃より精力的に御審議をいただいておりますことを、心から感謝申し上げたいと思います。
今、我が国では官民一丸となって、新型コロナウイルス感染症への対応を進めているところでございますが、行政におけるデジタル化の遅れや、縦割り行政が重大な課題となってきております。
国の政策実施機能を担う独立行政法人においても、「新たな日常」の下で、引き続きその役割を果たしていけるよう、デジタル技術の利活用を含め、様々な工夫をしていただきたいと考えております。
また、Society5.0の実現といったオールジャパンで取り組むべき社会課題の解決に向けて、法人においても、それぞれの専門性をいかして、関係機関・団体との連携・協働体制を確立していただきたいと考えております。
委員の皆様には、今後とも、社会的な課題解決に向けて、法人の能力が最大限発揮できるように、引き続き、活発な御審議をお願い申し上げたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【野路委員長】 熊田総務副大臣、ありがとうございました。ここで熊田総務副大臣は公務のため御退席されます。
【熊田総務副大臣】 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
(熊田総務副大臣、退室)
【野路委員長】 続いて、委員の改選について御報告します。
6月末で中村委員が退任し、7月1日付けで、新たに野ア委員が独立行政法人評価制度委員会委員に任命されました。同日付けで、私から野ア委員に対して、会計基準等部会所属の指名を行いましたので、御報告します。
それでは、野ア委員、一言御挨拶をお願いします。
【野ア委員】 住友化学で常勤監査役を務めております、野アでございます。
今、御紹介ございましたように、7月から委員会、今回、初めての出席でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
実は私、昨年までは、住友化学のいわばCFO的な立場で、経理・財務でありますとか、広報・IRといったところを担当しておりまして、現在も企業会計に関しましては、金融庁の審議会ですとか、あるいは、経団連の委員会等でお世話になっております。ただ、この委員会の独立行政法人ということになりますと、勝手も違いますし、視点も違うと考えております。
ただ、私のこれまでの経験から言いますと、企業会計、企業経営というところがベースになりますので、それをベースとしながらも、もう少し広い視野で、こういった問題に取り組んでいきたいと思いますし、少しでも委員会に貢献をさせていただければと思っております。皆様、御指導のほど、どうかよろしくお願いいたします。
【野路委員長】 野ア委員、ありがとうございました。
なお、中村委員が務めていた会計基準等部会長には、同じく同日付けで梶川委員を指名しましたので、併せて御報告いたします。
また、この7月に、事務局において幹部交代がありましたので、一言御挨拶をお願いいたします。
【横田行政管理局長】 行政管理局長を拝命いたしました、横田でございます。
この7月の異動ということでございましたけれども、今年度はもともと、26と対象法人が非常に多い中、更には新型コロナウイルス感染症という状況で大変、皆様方にも御面倒をおかけしながらやってきたと聞いております。いろいろとまた、この後もお知恵を拝借しながら、よりいい形で進めていけたらと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
【阪本総括審議官】 政策立案総括審議官の阪本でございます。
実は、15年ぐらい前になりますでしょうか、政策評価・独立行政法人評価委員会と言っていた頃、一番最初の頃の独立行政法人の評価・見直しを担当させていただいておりまして、そこからかなり時間がたちましたが、また、こちらの担当をさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
【山本管理官】 7月の下旬に着任いたしました、管理官の山本でございます。これからよろしくお願いいたします。
また、7月の幹部異動の際に、退官しました前行政管理局長の三宅から、委員長をはじめ、委員の皆様方に大変お世話になりました、感謝を申し上げますという言葉を預かっておりますので、この場をお借りして御紹介申し上げます。よろしくお願いいたします。
【野路委員長】 ありがとうございました。
それでは、審議に早速入りたいと思います。議題1について事務局から御説明をお願いいたします。
【山本管理官】 御説明申し上げます。
毎年の取組でございますが、今年度も各主務大臣の下で年度評価が行われ、新型コロナウイルス感染症の影響により、例年より後ろ倒しになっているものの、随時公表されているところでございます。これらの評価結果につきましては、独立行政法人通則法におきまして、委員会は、「評価の実施に関する重要事項を調査審議し、評価の実施が著しく適正を欠くと認めるときは、主務大臣に意見を述べること。」とされていることに基づきまして、委員会で点検を行っているところでございます。
今年の点検につきましては、作業を進めていくに当たりまして、心得ておく事項としまして、7月16日に開催されました評価部会におきまして、部会としての今後の点検の観点ということで、考え方をお示しいただいているところでございます。
また、本年度、前年度末に主務省令で定める期間が終了いたしました、6つの行政執行法人につきましても、業務運営の効率化に関する事項の評価の実施状況に関する評価という、いわゆる効率化評価が行われまして、評価の結果が委員会に通知されているところでございます。委員会は、独立行政法人通則法におきまして、主務大臣から通知を受けた効率化評価の結果について、「必要があると認めるときは、主務大臣に意見を述べなければならない。」とされていることに基づきまして、点検を行うこととされております。
以上でございます。
【野路委員長】 それでは、本件について、樫谷評価部会長から御発言があるということなので、お願いいたします。
【樫谷委員】 今年度の点検の観点につきまして、部会としての考え方を申し上げます。
まず、4月の委員会で示されましたとおり、今年度も例年同様、評価部会を中心に年度評価等の結果について点検を行うこととしております。
例年申し上げておりますとおり、委員会としては、評価が実際に法人の業務運営やマネジメントに十分に活用され、法人の業務の改善につなげられていることが重要であると考えております。
したがって、評価の点検に当たっては、評価の結果自体に重きを置くのではなく、評定を付すに至った判断の根拠、理由等が合理的かつ明確に説明され、主務大臣において、評価結果によって判明した法人の業務運営上の課題や法人を取り巻く社会経済情勢の変化などを踏まえました業務及び組織の見直し等の対応が行われることが重要であり、こうした観点から点検を行うことが必要であると考えております。
すなわち、主務大臣が評定を付すに当たっては、なぜその評定に至ったのかの根拠が適切に説明されていることが必要であり、具体的には、評定はBが標準ですので、A以上の評定を付す場合には、(1)所期の目標を上回る成果が得られていると認められること、又は、(2)難易度を高く設定した目標の水準を満たしていることにつきまして、具体的な根拠を示して、明瞭に説明することが求められます。
また、C以下の評定を付す場合には、評価書において、改善に向けた取組方針又は具体的な改善方策が記載され、明らかにされていることが必要であると同時に、前年度にC以下の評定を付して改善方策を記載した目標については、その後の具体的な改善方策の実施状況も含め、実際に改善が図られたのかどうかを、評価書の点検を通じて確認することが必要であると考えております。
今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、主務省からの評価書等の提出が例年よりも後ろ倒しになっておりますが、点検項目を可能な限り簡素化するなど、これまで以上に効率的な点検の実施に努めつつ、必要な点検をしっかりと行っていきたいと考えております。
以上が7月の部会で確認した考え方であります。
加えまして、昨年のことになりますが、産総研及びGPIFに関しては、昨年11月の委員会において、それぞれ民間資金獲得額に係る目標の未達成ないし法人の理事長に対する制裁処分事案について、評価において適切に対応するよう求めているところですので、それぞれの評価書の点検を通じて、対応状況の確認が必要であると考えております。
また、先ほど事務局からも説明がありました、いわゆる効率化評価についても、年度評価等と同様、評定の根拠や改善策が適切に記載されているかどうかという視点に立って確認することが必要であると考えております。
最後に、今般の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、私から、来年度の評価に関しまして、一言申し上げたいと思います。
今出ているのは昨年度の令和元年度、3月までの実績に係る評価書ですが、これを見ておりますと、令和元年度中においても、新型コロナウイルス感染症が各法人の業務運営に影響を与えていることが見受けられます。令和2年度は、更に多くの法人の業務運営に、広範な影響が生じていると考えられますので、来年度実施する令和2年度の実績評価に当たりましては、感染症が業務運営に与えた影響が適切に評価に反映されるよう、今回の点検の結果も踏まえまして、あらかじめ委員会として何らかの考え方を示す必要があるのではないかと考えております。
以上でございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明のとおり、点検を進めるということで、委員の皆様、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
ありがとうございました。それでは、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた評価の在り方については、本日の樫谷評価部会長の御発言も踏まえ、次回の委員会に向けて、引き続き調査審議を進めていきたいと思います。
また、年度評価等の点検は、樫谷部会長の御説明のとおり進めていくこととします。点検の結果は、点検が終了次第、委員会の場で報告するようお願いします。事務局においても、これを踏まえ、点検に向けた作業をお願いします。
【山本管理官】 かしこまりました。委員の皆様方におかれましては、先般、評価書をお送りさせていただいているかと思いますが、御覧いただきまして、お気付きのことがございましたら、事務局まで御連絡いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【野路委員長】 ありがとうございました。
それでは、続いて、議題2について、樫谷評価部会長から御説明をお願いいたします。
【樫谷委員】 評価部会では、今年度の見直し対象26法人につきまして、2つのユニットに分かれて、主務省並びに各法人の長及び監事と意見交換を行いました。今年度は、法人の運営に対する新型コロナウイルス感染症の影響や、その対応状況のほか、平成31年3月の改定指針の趣旨を踏まえ、他機関との連携・協働、専門人材の確保・育成などの観点を中心に調査審議を進めてまいりました。
これまでの各ユニットにおける議論の状況につきましては、お手元の資料のとおり取りまとめましたので、内容につきましては、事務局から御説明をお願いします。
【山本管理官】 御説明いたします。
お手元にございます「主務省ヒアリング及び法人理事長等ヒアリングにおける論点」という資料に沿って御説明させていただきたいと思います。
26法人と数が多いため、少しコンパクトに御報告させていただけたらと思いますので、御承知おきいただければと思います。
まず、総務省所管の情報通信研究機構でございます。1ポツと2ポツをまとめて御紹介させていただきますと、研究者が研究に専念できる環境を整備しつつ、戦略的な研究開発を進めるため、また、2ポツにございますように、社会のニーズを的確に把握し、どのタイミングまでに成果を出すかという時間軸の管理を行うための人材という観点からも、研究事務の補助者やリサーチ・アドミニストレーターなどのいわゆる研究支援人材について、今後、どのような方針で確保・育成していくのか明確にしてはどうかという御指摘でございます。
続きまして、財務省所管の、酒類総合研究所でございます。1ポツから3ポツあたりをまとめて御紹介させていただきますと、輸出促進や日本食文化の発信といった酒類行政に対する社会のニーズの高まりを踏まえて、酒類産業への技術的支援として、法人が実施している酒類製造業者等に対する講習や、実用化を前提にした技術開発的な業務が今後重要になっていく、といった可能性にも留意しつつ、法人の使命や政策体系上の位置づけを、いま一度検討したらどうかという御指摘でございます。
続きまして、ここからは文部科学省の所管法人、8法人でございまして、まず、4つの研修関係の業務を中心に行っている法人でございます。国立特別支援教育総合研究所など、4つの法人をまとめて御紹介させていただきますと、1ポツを御覧いただきたいのですが、新型コロナウイルス感染症の影響が出ておりまして、コロナ禍で、人が集まって開催する集合研修が難しくなっているという状況を踏まえまして、オンライン研修にも取り組み始めている法人もありますが、オンライン研修の実施による結果を分析して、更に有益なオンライン研修を構築するとともに、集合研修や体験型研修等の在り方について見直して、新型コロナウイルス感染症を含めた環境変化に対応した研修体系を構築してはどうかという御指摘でございます。
また、4ポツ目、各法人の研修施設について、さらなる有効活用の検討の促進に取り組むとともに、研修の在り方の見直しに並行して、他の機関の施設の利用も視野に入れつつ、法人ごとの保有の必要性の視点も含めて、いま一度検討してはどうかという御指摘でございます。
少し飛ばさせていただきまして、大学入試センターを紹介させていただきます。1ポツ目でございますが、今後、志願者が減少する見通しであることを踏まえて、今後の受験料等の収入等を見据えた財政基盤の改善について、手遅れにならないよう、早め早めに検討する必要があるのではないかという御指摘でございます。
続きまして、文部科学省の博物館・美術館などの3法人をまとめさせていただいておりますが、1ポツ目を御覧いただきたいと思います。こちらの3法人も人に来ていただくことを前提にしておりますので、コロナ禍における来館者数の減少等を踏まえまして、新たな中期目標期間を迎えるに当たっては、法人の目的を達成するためにも、入館者数にこだわらない目標設定について、改めて検討したらどうかという御指摘でございます。
2ポツ目を御覧いただきたいのですが、施設に非常に大勢の来館者を迎えることが困難な状況下におきまして、情報発信が非常に重要だということで、情報発信の強化に向けて、新たなタイアップの模索や魅力的なデジタルコンテンツによる集客促進等、イノベーティブにいろいろ工夫して取り組んではどうかという御指摘でございます。
また、3ポツ目を御覧いただきたいのですが、こちらは法人施設に関する論点でございます。収蔵施設等の狭隘や老朽化につきましては、自前での施設整備にこだわることなく、計画的に対応する必要があるのではないかという御指摘でございます。
続きまして、厚生労働省所管の6法人をまとめさせていただいております。国立がん研究センター等ですが、1ポツ目を御覧いただきますと、本年4月に発足いたしました6NCの横断的な研究推進組織については、研究開発成果の最大化の観点から定期的に活動状況の評価を行って、適切にPDCAサイクルを回していけるよう、その具体的な取組内容や評価軸等を、6NC共通的に目標を盛り込んではどうか。その際、6NC全体の組織の在り方に関する検討に向けてロードマップを作成して進めることが重要ではないかという御指摘でございます。
続きまして、農林水産省所管の5法人です。
1つ目としまして、家畜改良センターの1ポツを御覧いただきたいと思います。家畜に関する政策における国の全体目標と、現状を整理した上で、法人に求める具体的な成果について明確化してはどうかという御指摘でございます。
2ポツ目を御覧いただきたいのですが、これは人材確保の関係で、畜産農家の高齢化を踏まえて、生産性向上のため、家畜に関するデータの利用促進、あるいは飼養管理技術の高度化のため人材確保を進めてはどうかという御指摘です。
3ポツ目、こちらは知的財産の関係ですが、知的財産の特許取得及び標準化に向けた方策を検討してはどうかという御指摘でございます。
続きまして、農業・食品産業技術総合研究機構でございます。1ポツ目を御覧いただきたいと思います。農業の担い手が減少する中、スマート農業の推進や食料自給率目標への貢献をするために、研究成果を更なる社会実装へつなげるための方策を検討するとともに、国際標準を活用して、戦略的に研究成果の普及を進めてはどうかという御指摘でございます。
2ポツ目ですが、民間企業からの外部資金獲得を更に推進するための方策について検討してはどうかという御指摘でございます。
国際農林水産業研究センターですが、1ポツ目を御覧いただきたいと思います。役割分担の明確化についてですが、他の農林水産業に関する国立研究開発法人との役割分担を明確化するとともに、気候変動に関する情報を有する国立研究開発法人などと連携を進め、効果的な研究を推進してはどうかという御指摘でございます。
2ポツ目でございますが、こちらは広報活動に関してでございまして、開発途上地域における研究成果の活用状況に加えて、法人の活動が我が国のプレゼンス向上につながっていることについて、更に広報活動を推進してはどうかという御指摘でございます。
続きまして、森林研究・整備機構でございます。1ポツ目を御覧いただきたいと思いますが、我が国の人工林が本格的な利用期を迎えている中で、林業全体の課題と、課題解決に向けて法人が取り組むべき業務の方向性について明確化してはどうかという御指摘でございます。
続いて2ポツ目でございますが、国土の3分の2を占める森林の公益的機能や資源の活用について広報活動を推進して、幅広い世代の関心を醸成することによって人材の確保、育成につなげたらどうかという御指摘でございます。
3ポツ目、社会実装に関してですが、研究成果の社会実装の促進のため、研究成果の活用方策について産業界などへ広報を進めるとともに、標準化への取組を推進してはどうかという御指摘でございます。
次が、水産研究・教育機構でございます。1ポツ目を御覧いただきたいと思いますが、水産資源のモニタリングに必要なデータの収集について、民間の船舶なども活用して幅広い収集活動を行うとともに、収集から分析までのIT化を推進してはどうかという御指摘でございます。
2ポツ目でございますが、社会実装に関してですが、養殖業等に関する研究成果の社会実装に向けて、他の国立研究開発法人等との連携を図る分野を整理して、効果的な研究開発を行う方策を検討してはどうかという指摘でございます。
続きまして、国土交通省所管の4法人でございます。
まず、海技教育機構でございますが、1ポツ目を御覧いただきたいのですが、人口減少、高齢化が進む中、船員の安定的、効果的な確保、育成に向けて、国の検討会の議論や業界のニーズを反映した海技教育の見直し等を検討してはどうかという御指摘でございます。
2ポツ目を御覧いただきたいのですが、研修を行う法人ということもございますので、訓練中の事故、あるいは、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえ、事故防止や、安全かつ継続的な教育の実施のため、教育内容の改善、手法の見直しを進めてはどうかという御指摘でございます。
次に、航空大学校でございます。1ポツ目を御覧いただきたいと思います。これは人材確保の関係でございますけれども、将来の操縦士不足に対応した操縦士の養成・確保を安定的に実施するために、質の高い教育に必要な教員の人材確保・育成や、学生の訓練の改善に向けた取組を推進する必要があるのではないかという御指摘でございます。
続いて、自動車技術総合機構でございます。1ポツ目を御覧いただきたいと思いますが、自動車の新技術に係る保安基準が増えているということで、業務量が増加していることを踏まえまして、全国93か所の事務所等で行う自動車検査や型式認証審査の効率化、設備の整備を進めるとともに、技術的に機微な情報を扱うことになりますので、情報セキュリティを強化したらどうかという御指摘でございます。
次に2ポツ目、人材育成の御指摘ですが、審査に当たる職員の技術向上を図るためにも、外部人材の確保を含め、人材育成に向けて計画的な取組を進めることを検討してはどうかという御指摘でございます。
次に、住宅金融支援機構を御覧いただきたいと思います。1ポツ目ですが、連携に関する論点です。リフォームの推進等を通じた安全で質の高い住宅への更新、市場の活性化、地方創生に向けた地方移住者向けの住宅の支援、あるいは災害対策といった様々な課題の解決に向けまして、法人が持つ専門性をいかして地方公共団体、あるいは民間金融機関、事業者等との連携を進めてはどうかという御指摘でございます。
2ポツ目を御覧いただきたいと思いますが、災害時等にも住宅支援を行う法人の性質を踏まえまして、災害時、あるいは新型コロナウイルス感染症の中であっても業務の継続性の確保、あるいは業務の効率化を図るために、手続のデジタル化を検討してはどうかという御指摘でございます。
最後に、環境省所管の国立環境研究所を御覧いただきたいと思います。1ポツ目でございますが、法人が非常に幅広い業務を行っていることから、主務省において、環境政策において法人が果たすべき役割をいま一度整理した上で、法人が優先的に取り組んでいく課題、期待される成果を明確にすることが必要ではないかという御指摘でございます。
2ポツ目、リソースについてですが、法人が有する実績やポテンシャルを分かりやすく効果的に発信することによって、必要なリソースの確保につなげていくことが重要ではないかという御指摘でございます。
最後のポツを御覧いただきたいと思いますが、環境問題に関わる様々な分野に精通した高度専門人材との連携・協働や、IT人材の確保・育成について、戦略的に進めてはどうかという御指摘でございます。
簡単ながら、御紹介をさせていただきました。以上でございます。
【樫谷委員】 ありがとうございました。
現在、各主務省から各法人の見込評価及び業務・組織の見直しの内容が随時通知されてきているところでありますが、見込評価につきましては、評定の根拠・理由、改善策が明確に示されているか、業務・組織の見直しにつきましては、評価結果や社会経済情勢等の変化、特に新型コロナウイルス感染症により生じた業務運営上の課題が明確に示され、それらを的確に反映したものになっているかといった観点から確認を進めていくとともに、ただいま御説明いただきました論点も踏まえつつ、引き続き、次期目標の策定に向けて、調査審議を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
【野路委員長】 ありがとうございました。それでは、どなたからでも結構ですので、御発言いただけますでしょうか。
なお、国立環境研究所の監事を務めていらっしゃる天野委員におかれましては、申合せにより、当該法人に関する意見を控えさせていただくこととされておりますので、よろしくお願いいたします。
【天野委員】 各府省に共通すると思いますが、本来、独立行政法人については、各主務省において、国全体の政策方針に基づいて、主務省自らやるべきことのストーリーをきちんと作った上で、そのストーリーの中で、どの部分を実務部隊である法人に行っていただくかという観点を、しっかりと持っていただく必要があると思います。
特に農林水産省関係の法人を見せていただきましたが、農林水産省関係というのは、日本の国にとって非常に大事な分野です。そして、非常に幅が広いです。関係する法人も多いのですが、先ほど申し上げた主務省としてのストーリーというものがどこまで明確になっているのかという点は、見せていただく立場としては今ひとつ分かりづらかったです。
各法人に、役割を明確にしてください、ですとか、他の法人との間で役割を整理してくださいなどと申し上げましたが、これは法人というよりは、主務省に対して申し上げるべきことではないかということも感じております。なぜなら、各法人は、それぞれ本当に一生懸命取り組んでおられ、良い成果をたくさん出していただいているのですが、与えられた枠の中での一生懸命さなので、全体として見ると、法人同士の間で抜けてしまっているところがありますし、重なっているところもあるからです。
これは日本の国としては、ポテンシャルを有効活用するという点で、とてももったいないことですし、主務省には、これから次の中(長)期計画を立てる上で、是非その点を意識していただきたいと思いました。その中の共通した課題としては、日本は高齢化・人口減少という問題がありますし、データを活用して、日本として国際社会にビジネスツールをどう作っていくのかという話がありますので、特に農林水産省関係の法人についてはそれをお願いしたいと思います。研究開発成果の社会実装に関しましても、非常に大きな影響があるかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
それから、国土交通省関係の人材育成を行う法人について、これは海技教育機構も航空大学校もそうなのですが、現在の新型コロナウイルス感染症の影響で世の中がどう動いていくのかということを、主務省である国土交通省にしっかり見ていただいて、次の中期計画に反映させていただければと感じています。
【野路委員長】 原田委員。
【原田委員】 1点だけ申し上げたいと思います。
今回は、NC6法人を含めて、いくつもの法人においてヒアリングをさせていただきました。非常に熱心な議論ができまして、本年度の見直し対象法人に係る目標策定に当たって留意いただきたい事項についても、こういう方向性を示したらいいのではないかというところでかなりの示唆をいただいたところです。
私がお邪魔した文部科学省の法人においては、新型コロナウイルス感染症でかなり来館者数が激減して、もう少しで目標が達成できたのにと大変残念がっていました。私からは、当該法人に対しては、コロナ禍を、法人として何を達成することが求められているのか改めて考える「チャンス」にしてほしいと伝えました。しばらくは新型コロナウイルス感染症を前提に法人の運営を考えないといけないとすれば、ウィズコロナの環境下でどのような目標を立てるのがいいのか、是非主務省といろいろな議論をしてほしいとお願いしたところです。
是非主務省において、そうしたウィズコロナの環境下でどういう目標を立てたら良いのか、従来のように、入館者数であるとか、研修の受講者であるとか、あるいは患者さんの数、そうしたところだけではない目標の策定ということもあってしかるべきではないか、といったことを考えていただきたいと思います。その際には、是非先ほどの副大臣のお話もありましたように、デジタル技術をしっかり利活用することを含めて考えていただきたい、というのが私からのお願いです。
【野路委員長】 栗原委員。
【栗原委員】 資料に書かれているとおりではありますが、私が主に拝見させていただいた文部科学省と厚生労働省の法人についてコメント致します。いくつかの法人がまとめて書いてありますが、それぞれの法人が、それぞれのミッションを持って活動をしておりまして、例えば、教育・研修を行う法人についても、教職員への研修、女性への教育、青少年の教育、あるいは特別支援教育の領域でそれぞれ違う役割を果たしています。しかしながら、社会のニーズが変化しているのに合わせて、政策も変更を求められているという点は共通の現状ではないかと思います。そこを主務省も感じていて、今後、ビジョンを持って、政策の在り方が見直されていくと思いますので、それに合わせて各法人の在り方もよく見直していただく時期なのではないかと思います。
それから、事務局から説明していただきましたが、法人施設について、それぞれの法人が研修目的で施設を保有しています。研修機能は非常に重要なのですが、施設をどう自己保有して運営していくかについては、関係する法人で更に連携・協働して在り方を見直しても良いのではないかと思います。是非、そういう場を作っていただき、検討していただきたいと思います。
【野路委員長】 金岡委員。
【金岡委員】 私は国土交通省の法人を中心に伺いました。今ほど皆様からお話がありました、特に新型コロナウイルス感染症の関係で一言申し上げたいと思います。各法人にお邪魔したのは6月、7月、8月でございまして、まさに新型コロナウイルス感染症の真っ盛りの時期だったわけですが、実際には、その影響というのはこれから徐々に、更に拡大していくかと思いますので、これから新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて様々な取組をどうしていくかということを、次期目標に反映していただく必要があるのではないかと思っています。
例えば、私の詳しいIT分野で言いますと、今、印鑑がやり玉に上がっています。判子をなくそうという話ですが、これは私の立場で言いますと、IT基盤が十分に整っていて、どこでも電子申請ができる状況であれば印鑑をなくすことに意味があるのですが、今の業務プロセスはそのままで、印鑑だけ押さなくて良いこととされても、さほど世の中の効率性は上がらないと思っています。
例えば、私事で恐縮ですが、私は10月1日から地元のある小さな医薬品メーカーの代表取締役を兼務することになったのですが、その際、医師の診断書を4通出せということなりました。どういう診断書かと言いますと、麻薬常習者でないことを示すものですが、4通とも少しずつフォーマットは違うものの、結局お医者さんに、この人は麻薬常習者ではないと2か所にチェックしてもらえば、それでいいだけなのですが、これも明らかに印鑑の問題ではないのです。
むしろ業務プロセスとして、全てとは言いませんが、どこか1つに正本があって、あとはそこを参照するという形にすれば、データのインテグリティも保たれて良いのではないかと思うのですが、現実には各府省・各部局単位で全ての情報をクローズして、そこで全て見て判断できるようにしていると、あらゆる書類が減らず、プロセスも簡素化できないということになります。今、ちょうど印鑑の問題や、デジタル庁を作る、作らないという話にもなっておりますが、まずはもう少し業務を本質的に見直して、必要な書類そのものを減らしていくようにするということで、実務を担う独立行政法人の皆様にも考えていただかないと、新型コロナウイルス感染症の影響が更に世の中に広がり、社会経済情勢が悪くなっていく中にあって、独立行政法人の在り方に批判が高まってくる可能性があるのではないかと危惧している次第です。
【野路委員長】 樫谷委員。
【樫谷委員】 金岡委員の御発言にも若干関係するのですが、今の政権でもデジタル庁を作っていこうということで、これからいろいろ検討されると思いますが、デジタル技術の利活用というのは非常に重要でありますが、デジタル化そのものを目的とするべきではないわけです。業務プロセス全体の適正化・効率化、いわゆるBPRを意識することはもちろんですが、もっと重要なのは、デジタル化によって組織やビジネスモデルを変更し、新たな価値を創造すること、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)を意識することが重要であると思っています。それから、情報セキュリティの問題についても十分留意すべきだと考えています。
それから、コロナ禍によって、いろいろな改革が進んでいくかと思います。独立行政法人においても、様々な工夫や改革を積極的に推し進める必要があるのではないかと考えていますが、それに当たっては、働いている役職員のモチベーションや使命感を向上させることが最も重要だと思います。どんな組織をつくっても、役職員のモチベーションや使命感が向上しないと、結局絵に描いた餅になってしまいますので、法人の組織風土(カルチャー)や役職員の意識改革といった点まで踏み込んだ取組を進めていただきたいと考えています。
野路委員長からいつもおっしゃっていただいていることですが、どうすれば役職員のモチベーション・意識をもっと積極的に改革しようという前向きな姿勢を持って進められるのかということを、各法人においても、主務省とも相談しつつ、進めていただきたいと思っております。
【野路委員長】 浜野委員。
【浜野委員】 私は農林水産省関係の法人をいくつか視察させていただきましたが、資料に書かれているように、アウトカム目標の期間や達成方法を明確にしてほしい、成果をいつまでに達成するかということをもっと明確にしてほしいということがまとめられているのですが、それと併せて、日本の宝である知財をどう守って、それを今後、お金に変える工夫をしていくかという点について、民間ではできない先導的な役割を一層法人に期待したいと思います。
それから、文部科学省の博物館や美術館については、国民が自宅にいる時間がこれだけ長くなっていますので、新型コロナウイルス感染症をいいきっかけにして、デジタル技術を活用してもっと発信をして、自宅にいる主婦の方や学生さんやお子さんも行かなくても楽しめる、そういう発信の方法を積極的にやっていただきたいと思います。実際に行くのが一番いいわけですが、そうでなくても、そこでお持ちの宝というものを、どうキュレーションして見せていくかというところが腕の見せどころではないかと思いますので、そういった民間のお手本になるような具体的な事例がありましたら、是非委員会でも御披瀝いただいて、ほかの法人もそれを模範として、もっと自分たちの活動をよく知っていただく広報につなげていただきたいと思います。
それと、私が関心を持って取り組んできているお酒の輸出というのも、新型コロナウイルス感染症でインバウンド客が来なかったり、生産者の高齢化が進んだりと、非常に大きな問題を持っていまして、あるいは、酒米を事前に買わなくてはなりませんので、酒米が余ってしまうとか、そういった喫緊の課題に対して、主務省と連携しながら、法人が従前から目的としてきた業務と併せて、どのように臨機応変にこなしていくかといったことが、これだけいろいろ環境が変わってきますと求められます。6〜7月にお尋ねしてからいろいろな変化があると思いますので、各法人においても、主務省と連携しながら、クイックな対応をお見せいただきたいと思いました。
【野路委員長】 高橋委員。
【高橋委員】 私は第2ユニット担当で、16法人中13法人に、実際に現地を訪ねさせていただきました。2法人とはオンラインでヒアリングをさせていただきました。
3点ほど申し上げたいのですが、まず1つは、全体としてコロナ禍への対応、それが意見交換において共通した大きなテーマでありました。先ほど樫谷委員から、感染症が業務運営に与えた影響をいかに適切に評価するかというお話がありまして、まさにそのとおりなのですが、私は新型コロナウイルス感染症のマイナスの影響を最小限に食い止めるために何をしたのか、また、今後まだ続いていくウィズコロナの状況に、DX推進をはじめ、いかに前向きにイノベーティブな対応を始めているかと。ここのところを今期の評価のところでも、しっかり見ていく必要があるのではないかと思っております。
2点目は、先ほど栗原委員から文部科学省の研修施設のお話が出ましたが、文部科学省に限らない話だと思いますが、法人が保有する施設の問題をどうするかということが気になっております。特に、研修施設に関しては有効活用ということが必要だと資料に記載されていますが、今後、オンライン研修と対面研修の双方を上手にやっていくハイブリッド型というのをどこの法人も目指しているかと思いますが、オンラインにせよ対面にせよ、現在、法人が所有する施設をどうしていくのかということが重要だと思っています。
コロナ禍の前から、5年前の見直しのときもそうでしたが、既に老朽化していたり時代のニーズに合わなくなったりしていて、本当は必要ない施設がたくさんあるかもしれません。今回のヒアリングの中でも、私が宝の持ち腐れにならないように有効活用してくださいと申し上げたら、理事長から、そこまでの規模の施設を保有する必要はなくなっているとはっきり言われたこともありました。こうした施設をどうしていくかということが非常に悩ましいと思うのですが、そんなことを考えておりましたら、先週、NHKで国土交通省所管の海技教育機構の施設についての報道があって、びっくりいたしました。会計検査院が、機構の保有する「乗船事務室」が、3年にわたって本来の目的で使われていない状況であったということで、簿価で4億5,000万円に相当する土地と建物を国に返還するよう求めた、という報道でした。会計検査院は会計検査院の立場でそういう判断をされたのだと思いますが、委員会としても主務省としても、本来の目的に使われていない施設をうまく転用していくのか、あるいは、もう返したほうがいいのか、どうするのかということを考えなければいけない施設が数多くあるのかもしれません。実際に現地をお訪ねして、意見交換して感じたところでございます。これが2点目です。
3点目は、先ほど医療関係に関して、DX推進の話も出ておりますけども、多くの医療機関が電子カルテとかデータを医療機関ごとに分担しているという状況の中で、NCの方から電子カルテが4種類あることの問題を指摘されました。今後、画像診断とか遠隔治療がいろいろ進んでいく中で、電子カルテが今のような状況であることは非常に問題だと思いますので、そこはNCで解消策を検討していただきたい問題であると同時に、情報通信研究機構などとも連携し、効率的・効果的に医療面でのDXを推進していくことができないかと感じました。
【梶川委員】 評価部会の委員の皆様におかれては、ここまで御議論いただきありがとうございました。コロナ禍における法人の取組を適切に調査審議いただいていると思います。
新型コロナウイルス感染症はもちろん大変なことで、想定外のことも多々ありましたが、私自身としては、全般に言って、この感染症の影響は、先ほどのお話で、不要になっているのではないかと思われた法人施設が本当に必要ないのだということがはっきりしたというように、もともとあった課題を、いっそう難しく、かつ本当に取り組まないといけない課題として浮き彫りにしたという環境変化なのではないかと捉えています。そういう意味では、デジタル化というのがひとつ標榜されていますが、改革の機運が出ているところで、独立行政法人についても、本年度は26法人の見直しということですが、新型コロナウイルス感染症の影響について、少し視野を広げて横串で見ていく部分があってもいいのではないかと思います。
その中では、もちろん各法人が担う公的なサービスの業務そのものの問題もありますが、一番問題になっているのは、まさにDXということで、これは先生方からお話があったように、単にITを利用するというだけでなく、業務全体の見直しというテーマでございますので、この部分を各法人において進めていただくに当たっては、各法人に共通の基盤のようなものを考えていってもいいところが多々あるのではないかと思います。
昔から独立行政法人改革の議論の中でシェアードビジネスのような議論があり、私も若干思い入れがあるので、そちらに引きつけて発言してしまうのかもしれないのですが、デジタル化を推進するに当たっては、ITを利用するのに併せ、データ基盤など、いろいろな点を共通化することが最も業務効率を上げていくことになると思いますので、そうした取組も少し後押しできるような評価も考えてみていただいてもいいかと思います。
先ほど話題に上った文部科学省の研修系の法人なども、昔からどうあるべきか議論されていたと思いますし、せっかくこれからオンラインでの研修に取り組むに当たっては、まさに独法でオンライン教育の効果測定などを行っていただけないだろうかと思います。先だって、アメリカの大学で、相当ハードも充実させた上で、横向いて寝ていることができないようなオンライン教育ができるようにしたという話を聞きました。これは多分相当お金がかかっているのだろうと思いますが、そういうハード面の設備投資も、他の部分を効率化することによって、DXの発想で取り組んでいるのだと思います。そうした取組も含めて、少し横串的に視野を広げて見ていただければと思います。
あと、もう一つ、民間企業も浮足立ってIT人材の確保に取り組んでいます。資料の国立環境研究所のところに、高度IT人材の確保・育成について戦略的に進めていってはどうかと書かれていますが、民間企業も、高度IT人材の確保・育成ができるものなら絶対やりたいと思っています。どこへ行ってどうやって探したら高度なIT人材が見つかるのかというのは、おそらく、今、日本中の企業が考えていることなので、この辺りについても、各法人共通の課題になっているのではないかと思います。
長くなりまして、申し訳ございません。
【野路委員長】 天野委員。
【天野委員】 先ほどの梶川委員の御発言に関連し、事業報告書についてですが、今年度から、プラットフォーム化を目指していたと思います。具体的には、非財務情報と財務情報の結びつき等について事業報告書を通して全体像を分かるようにするということであり、独立行政法人評価制度委員会にて2年前頃から説明会の開催等を通し周知を行ってきました。
今年度、新型コロナウイルス感染症という事態はありましたけれども、各独立行政法人において事業報告書がどのように作成されているかは確認が必要だと思います。
なぜ先ほどの梶川委員の後で話をさせていただくかといいますと、事業報告書のプラットフォーム化に関しては、ただ単にプラットフォーム化を目指すというものではなく、この時期に、独立行政法人評価制度委員会から、標準となる記載パターン等を示しておかないと、各法人において記載方法が個々となってしまう可能性があると考えるためです。
そうなった場合、法人が一度作成した事業報告書について、標準化すべきということは、とても難しいため、各法人がプラットフォーム化した事業報告書を初めて作成するこの時期に、記載ぶりを評価すると同時に、来年度以降、ある程度標準となる記載パターン等を示し、標準化の流れを作っていくことが必要と考えます。これは、先ほど御発言のあったような独法全体の仕組みの共通化というものにも結びついていくと考えます。また、法人によって事業報告書の作成に対する取組状況にもばらつきがあると思いますので、対応を考える必要があると思います。
【河合専門委員】 私からは、次期目標を御検討いただくに当たり、目標の重みづけに関連して申し上げたいと思います。先ほどからの議論でも出ているとおり、新型コロナウイルス感染症対策等の新たに対応しなければいけないことが山積しているかと思います。
その中でも、従来業務と新たに発生した業務というところで、これまでの目標の重みづけを見ておりますと、従来業務の方が重要度、優先度のいずれも高いという傾向がみられます。これは本来業務がいかに重要かということを表していると思います。ただ、新たに発生した業務の中でも、どの業務を重要度が高いものとして考えるのかという点において、各法人の戦略、役割の変化といったところを明確にしていただくことによって、より法人の役割及び貢献度といったものが、評価を行う際にも明確化されると思います。そのため、従来業務と新たに発生した業務を、大前提として二分しても良いと思いますが、その上で項目別に重みづけをされると、より明確化していくのではないかと考えました。
【野路委員長】 樫谷委員。
【樫谷委員】 先ほど山本管理官から御説明いただいた資料の中で、業務の連携について記載しておりますけれども、連携という部分についてもう少し詳しく申しますと、法人理事長等ヒアリング等の際には、どの法人も連携していますと、おっしゃるのですが、連携には、研究者個人の方のネットワークでの連携と組織間での連携の2種類があると思います。こちらについては、2種類とも推進していく必要があると考えておりまして、そのことを意識した上で連携という言葉を使っていただきたいと思っております。
それから、もう一点、浜野委員のおっしゃったことに関係するのですが、博物館、美術館について、デジタル技術を活用しては如何かということなのですが、そのとおりだと思います。民間企業でも、実店舗からECサイトでの販売にどんどんシフトしている状況です。博物館、美術館においても、デジタル技術を活用した作品鑑賞ページ等を開設することによって利用者が芸術作品をじっくり鑑賞することができる等のメリットがあると考えております。もちろん施設を訪れて直接芸術作品を鑑賞することも素晴らしい点があるのでバランスを考えながらデジタル技術を活用した取組を進めていただきたいと考えております。
【野路委員長】 原田委員。
【原田委員】 先ほどの国立環境研究所についての御説明及び河合専門委員からの御発言を踏まえての意見です。独立行政法人制度下になり、法人によっては、目標策定が4回目、5回目となっているところもあると思います。また、独立行政法人通則法が改正されてから、目標の変更が頻繁に行われるようになっており、法人によっては、目標変更により新たに目標が追加されているところもございます。
その中で、リソースが変わらないとすると、今まで以上に目標の重みづけ、優先度をしっかり考えていく必要があるのではないかと思っています。その際には、単年度ではなく、法人の目標期間全体を通しての優先度を、主務省で考えていただきたいと思います。
もしも今回の見直し対象法人について、次期目標策定のタイミングで何か新しい業務を追加するときには、中(長)期的なスパンで見たときに、既存の業務との重みづけをどうするかということも、主務省には考えてほしいと思っています。
【野路委員長】 高橋委員。
【高橋委員】 先ほど自分の担当の美術館、文化財機構、科学博物館に対して意見を申し上げなかったので、一言付け加えさせいただきたいと思います。
デジタル技術を活用した新しい試みというのは、もう既に始まっているところですが、各法人によって、取組のスピード感にはすごく差があるといえます。また、先ほど梶川委員からもお話がありましたように、IT人材をどう確保するのという問題が大きな壁になっています。これは美術館等に限ったことではないのですが、民間会社と比較すると、給与の面で競争力が全く無いため、優れた人材を採用しようと言われてもできないというお話になってしまうので、そこをどう乗り越えてくかということを、例えば、美術館、文化財機構、科学博物館であれば、3法人が共同で人材の確保方策を考えることが必要かもしれませんし、情報通信研究機構のようなIT人材を多く抱える法人とどう協働していくのかということが非常に重要となると思っています。
ですので、情報通信研究機構担当の河合専門委員からもし何か御意見があれば、お伺いしたいと思っています。
【野路委員長】 先に金岡委員、どうぞ。
【金岡委員】 IT人材は今、あらゆるところで逼迫しているということでして、更に基幹的な話をしますと、文部科学省が進めていらっしゃったギガスクール構想、これは4年間で小中学校に1人1台の端末を配備するということだったのですけれども、コロナ禍で、取組が急加速しまして、既に全国ほとんど1,700を超える自治体において予算化されました。来年3月には、7割から8割の調達が終わり、各小中学校に1人1台の環境が整備される予定であり、その後、高校にも配備するという話になっております。しかし、ただ、端末を配っても駄目でネットワーク化されていないといけない。そういうことも含めて考えますと、小中学校の学校現場でもICTが分かる人材を、喫緊の課題として確保していく必要がある、先ほど、委員の皆様からもお話がありましたとおり、IT人材をほかのところから確保しようとしても大変難しい状況が、これからも出てくると思います。
したがって、何でも標準化・共通化すればいいというわけではもちろんありませんが、複数の委員の方々がおっしゃったとおり、独法全体の仕組みについて、なるべく共通化できるところは共通化して、基盤をつくり上げていく必要があると考えます。組織のICT化をどう進めていくのか、ICT人材をどう確保・育成していくかということについては、法人だけにとどまらず、前述のとおり、日本全体において、喫緊の課題になっていくのだろうと思います。
【野路委員長】 河合専門委員。
【河合専門委員】 御指名をいただきましたので、発言をさせていただきます。
特に、私から情報通信研究機構に関してという話ではないのですけれども、喫緊の課題として、IT人材の確保やICT化への対応は非常に重要だと考えております。しかし、全体の業務のうちの一部分、特に各法人で重要だと思っている業務のみを拙速にICT化するというよりも、業務全体と結びつけながら、ICT化を推進していただいたほうがよいと考えております。
例えば、私の専門から言いますと、人事労務管理に関しても、コロナ禍をきっかけにICT化が進めば、非常に良いと考えておりますので、特定業務だけに対応したシステムだけを作ってしまって、他の業務ではICT化が進まないとならないよう、業務全体と結びつけながら、各法人でICT化を推進していただければと思います。
【野路委員長】 よろしいでしょうか。
たくさんの御意見をいただき、ありがとうございます。私なりにまとめさせていただきました。
各委員共通で御発言があったのは、次期中(長)期目標期間に向けて、新型コロナウイルス感染症等で様々な課題が浮き彫りになったということだと思います。今日聞いたお話のポイントを3つほどに整理すると、1つは、次期中(長)期目標に向けて、各法人の課題をもう一度見直す必要があるということです。主務省と法人が連携して分野ごとの、特に社会的な課題を明確にすることが必要であると考えます。それで、複数の委員から御意見がありましたが、新たな業務を追加する際には、追加するだけでなく、並行して既存の業務の見直しを行い、やめるものはやめるという勇気をもって、必要性の低い業務はやめることが必要であると考えます。もちろん、河合専門委員がおっしゃったように、目標ごとに重みづけを行うことも大事だと思います。
2点目は、法人の基幹業務そのものがどうあるべきか考える必要があるということです。委員からも、事業報告書のプラットフォーム化、法人のシステムの共通化、役職員のモチベーション向上や法人経営の在り方、良い取組を水平展開するための広報活動といったお話がありましたが、新型コロナウイルス感染症で法人の基幹業務そのものの課題等がどう浮き彫りになったか、改善・改革のポイントは何かということを、法人ごとに整理したほうがいいと考えます。加えて、樫谷委員がおっしゃったように、業務プロセスの見直し、ICTの活用方策の検討、施設の老朽化等にも取り組んでいく必要があります。これらは全て法人の仕事をどう効率化するかということにも通じることであると考えます。
3つ目は、これは一番難しいことですが、DXによって新たな価値を創造するということです。これは法人単独の仕事の価値を創造することではありません。なぜなら法人単体が幾らよくなっても世の中全体はよくならないためです。例えば、農業であれば、法人の中の仕事ではなく、農業従事者の仕事にDXによって新たな価値が生まれないといけないということです。ですので、DXによる新たな価値創造とは何かを考える必要があります。これは全ての法人が必ず取り組まないといけないというものではなく、必要性が高い法人だけが時には他法人等と連携して取り組む必要性があることです。
また、先ほど樫谷委員から話がありましたように、拙速にデジタル化、脱判子等が目的化してしまっている部分があると思います。ですので、DXによる新たな価値創造とは何かをよく整理した上で、マネジメントをどうするかというのを考えたほうがいいと思います。
私がコマツでCIOをやっているとき、2000年問題があり、コマツは統合基幹業務システム(以下「ERP」)を入れました。現在も、大手でERPを入れている会社は非常に少なく、ほとんどの民間企業や自治体でも自前でシステムを構築しています。そのシステムの整備のため、ERPを使う場合と比較して、10倍以上のプログラマー等の方々が、その整備に携わっていることが大きな課題だと、私は個人的に思っています。
なお、私は、コマツの全世界の20拠点全ての生産管理、開発、営業、補給センター、経理で、ERPを12、3年程かけて導入しましたが、システムの導入に必要な業務の見直しに当たって、スクラップはするけどビルドはしないというようなことは現場の抵抗も大きく、とても大変でした。けれども、結果的に言いますと、売上高が現在2兆5,000億円ぐらいですが、1兆円程度であったときと比較しても固定費は横ばいです。
独法の基幹業務のシステムをどうするかという点については、これだけシステムが複雑化する中で、自前で構築したシステムにいつまでも頼っていては対応できないと思います。そのため、思い切って、法人のシステムをどこかのERPに切り替える必要があると考えます。ERPを導入して、システムに業務を合わせる、私は背広に体を合わせると言っていましたが、これが1つの大きなポイントだと私は思っています。
一方で、ERPを導入する際の注意点は、そうは言ってもEPRというのは完全ではないということです。ERPの長所は、例えば生産で言いますと、仕事の内容、仕掛り、工数等が全て、経理の台帳に記録されてつながる点ですが、必ずしも万能ではないので、ERPをどの部分にどう使えるのかを考えて、法人の特徴的な業務、強みとなる部分については、ERPとは別に構築するなどの対応が必要と考えます。そのため、法人として、何が特徴的な業務で、強みとなる部分であるかを明確化することが必要です。
2つ目はDXですが、コマツでは、国土交通省と協力してi-Construction(アイ・コンストラクション)に取り組んでいます。土木建設現場では、今後5年ぐらいで120〜130万人、人材が不足すると予測されていて、国土交通省も非常に危機感を持っています。この課題を解決するには、生産性向上しかないのです。そこで、我々は建設機械を売る会社ですが、土木建設現場の生産性向上というテーマを掲げて、まだ道半ばですが、生産性の2倍から3倍の向上を目指して、IoTプラットフォーム、IoTクラウドを作って取り組んでいます。
DXには3つの層があって、1つ目は、真ん中にあるIoTプラットフォームというものですが、いわゆるデジタルのデータがどんどんそこに入っていき、データだけを蓄えているところのプラットフォームのことです。
2つ目は、その下位のところで、そのプラットフォームにデータを入れるIoTの計測技術、つまりデータをどうやって見える化するのか、いう層があります。今はデジタル化がどんどん進んでおり、例えば、土地の測量、地形の測量を行う際にも、ドローンで上空から写真を撮影し、三角法とビデオの画像半導体を使って、大体10ヘクタールの土地ぐらいだったら、30分程度で測量ができるようになっています。
こういうデジタル技術を活用しない限り、スピードは上がりませんが、日本はこの分野に昔はすごく強かったのですが、今はドイツなどの各国に追いかけられています。計測技術のIoTについては、強みを持つ会社もたくさんあるのですが、弱い分野もあるため、どのように見える化していくかということが課題です。
そして、3つ目にソリューションです。アプリケーションプログラムを作って、ソリューションビジネスをやることです。日本の課題をチェックしてみると、一番の問題は、みんなソリューションから入るということです。それぞれがそれぞれの顧客の問題を解決しようとして色々取り組むのですが、ソリューションから入ってしまった結果、問題が生じた例として、私が経験した土木建設現場での事例ですが、土地造成のスピードを上げるために、コマツは建設機械のところだけのスピードを上げるための取組を講じてきましたが、結局それに間に合うようにトラックが土を持ってこない等の色々な問題が発生しました。
したがって、重要なのは、1つの企業で、1つの分野だけで、DXはできないということです。IoTプラットフォームを作って、そこにデータを入れて、あとは、IoTの計測技術をみんなが開発してくれる、そして、そのデータを使って、色々な人たちがアプリケーションを作ってくれる、という具合に、色々な分野の人たちが集まって、そこに新たなビジネスが生まれる、これがエコシステムです。エコシステムを作らない限り、大きな課題は解決できません。
それで、私もあちこちで講演しながらPRしているのですが、なかなか理解されないことが、基幹業務システムの在り方の話とDXの話というのを分けるということです。DXについては、全ての法人が取り組む必要はなく、規模が大きな一部の法人、あるいは、複数の法人が集まらないとできないかもしれない。先ほどのオンライン教育などもそうでしょうが、それぞれ法人が単独でオンライン教育システムを作ることには、一生懸命頑張っても、限界があると思います。オンライン教育のシステム開発に取り組むのであれば、投資をしっかりして、そして、どこかで集約してシステム開発をやらないといけないわけです。それぞれの法人でいいものを作ったから、他の法人にも水平展開しますと言ったレベルでは競争には勝てないと思います。
皆さんの意見を聞きながら、私が好きな分野なので少しお話しさせていただきました。是非参考にしていただき、引き続き、皆さんには審議調査を進めていってほしいと思います。
それでは、最後に事務局から次回の日程について、御説明をお願いいたします。
【山本管理官】 御説明申し上げます。
次回の委員会につきましては、12月4日金曜日の15時からを予定しております。場所につきましては、また、追って御連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【野路委員長】 ありがとうございました。
以上をもちまして、第27回独立行政法人評価制度委員会を閉会いたします。
本日は皆様、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございました。
(以上)

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