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第39回独立行政法人評価制度委員会 評価部会 議事録

日時

令和2年10月23日(金)15時35分から15時55分まで

場所

中央合同庁舎第2号館8階第1特別会議室

出席者

(委員)樫谷隆夫評価部会長、原田久部会長代理、天野玲子委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、
   高橋伸子委員、浜野京委員、河合晃一専門委員
(事務局)阪本官房総括審議官、山本管理官他

議事

中(長)期目標の変更について(諮問案件)

議事次第PDF
資料1PDF
資料2PDF

議事録

【樫谷部会長】 それでは、ただいまから第39回独立行政法人評価制度委員会評価部会を開会いたします。
本日の会議は、委員会に引き続きまして、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、密を避ける観点から、傍聴者には会議の模様をオンラインで視聴していただくこととしております。
本日は中(長)期目標の変更につきまして、審議を行いたいと思います。事務局から御説明をお願いします。
【志田管理官】 それでは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)及び独立行政法人日本芸術文化振興会(芸文振)、2件の目標変更案件について御説明申し上げます。
まず、JAXAの中長期目標の変更案につきまして、御説明申し上げます。
JAXAは、宇宙科学に関する学術研究及び宇宙航空に関する基礎基盤的な研究開発並びに人工衛星等の開発、打上げ、追跡及び運用等の業務を総合的に行うことにより、大学等における学術研究の発展、宇宙科学技術及び航空科学技術の水準の向上並びに宇宙開発及び利用の促進を図ることを目的とする法人でございます。
このたびの中長期目標の変更についてでございますが、JAXAの中長期目標は、宇宙分野の研究開発及び利用に関して、宇宙基本計画に基づかなければならないこととされております。本年6月に、宇宙基本計画の変更が閣議決定されたことを受けまして、目標変更を実施するものでございます。
宇宙基本計画は、20年間を見据えた10年間の計画を記載するというコンセプトで策定されておりまして、前回の変更は平成27年1月でございますが、そこから5年が経過し、宇宙をめぐる環境も大きく変容しつつあるため、このたび、変更が行われたものでございます。新しい宇宙基本計画におきましては、我が国の宇宙機器産業が宇宙先進国の多くに遅れをとりつつある中、自立した宇宙利用大国を目指すとしており、改めて我が国で培ってきた宇宙技術の基盤の維持と強化を打ち出しているものでございますが、今回改正いたします中長期目標の政策体系におきましても、新基本計画に合わせて、新たに各研究項目の礎として、産業、科学技術基盤をはじめとする我が国の宇宙活動を支える総合的基盤の強化と項目を立て、取組を推進していくこととしております。
中長期目標の具体的な記載につきましては、新基本計画に合わせた修正となっておりますが、その中において、目標策定指針に沿って、JAXAの役割や民間事業者等との協働等について明記するとともに、新型コロナウイルス感染症を踏まえ、JAXAにおいても感染症対応における技術提供などを実施していくという取組についても記載したものになっております。このほか、人材確保・育成につきまして、人材活用等に関する指針に基づく旨を記載するものになっております。
以上が、JAXAの中長期目標の変更に関する御説明でございます。
続きまして、芸文振の中期目標の変更について御説明申し上げます。
芸文振は、芸術家や芸術団体が行う芸術の創造、または普及を図るための活動等に対する助成や、我が国古来の伝統的な芸能の公開及び現代の舞台技術の公演、伝承者の養成、実演家等の研修、調査研究等を行い、その保存、振興、普及を図り、芸術や文化の向上に寄与することを目的とする法人でございます。
このたびの中期目標の変更についてでございますが、大きく2点ございます。
1点目は、新型コロナ禍における文化芸術活動に係る補助金の交付業務についてでございます。本年6月に成立いたしました、令和2年度第2次補正予算におきまして、文化芸術活動を行う団体、個人事業者に対して、新型コロナ禍における文化芸術活動の継続に向けた取組等に必要な経費を支援するための補助といたしまして、活動継続・技能向上等支援事業費補助金に係る予算が措置されたところでございます。芸文振におきましては、当該補助金の交付業務を担うことになりまして、これを受けて、新たに文化芸術活動に対する緊急支援と題し、同業務を中期目標に位置づけるものでございます。
2点目であります。芸文振で保有する国立劇場の関係であります。国立劇場に関する中期目標につきましては、現在は改修等を計画的に行うこととなっているところでございますが、本年3月に国立劇場の再整備に係る整備計画策定に向けた基本方針が、また、7月には国立劇場の再整備に係る整備計画が策定されまして、建替えによるものと方針が変更されたことを受けまして、中期目標につきましても、当該方針等に沿って建替えをするという内容に変更するものであります。
なお、建替えに当たっては、伝統芸能の伝承と創造、文化観光拠点としての機能強化等を担い、また、整備等においてはPFI事業を前提とし、民間事業者からの提案やノウハウに基づく要素を取り入れることとされておりますので、当該要素に合わせて規定されております。このほか、人材確保・育成方針に関する記述が追加されております。
以上が、JAXAと芸文振の目標変更内容でございます。
事務局といたしましては、本変更内容につきまして、目標策定指針に照らして確認を行った上で、特段問題のない目標変更と考えております。
以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【樫谷部会長】 ありがとうございました。
ただいまの事務局の御説明につきまして、御質問、御意見がございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言いただけたらと思います。天野委員。
【天野委員】 先ほどの委員会でも話題になりましたが、JAXAは大幅に目標が変わると思いますが、これは目標が変わるだけで、それに伴って予算が増えることはないのでしょうか。
【山本管理官】 私のほうから補足でよろしいでしょうか。
今回の目標変更を踏まえまして、もちろん追加される業務に対応するために予算の増を要求すると聞いていますが、今は要求中ということだそうでございます。
【天野委員】 ということは、新しい中長期計画の中で、来年度取り組む事項の中に今回説明いただいた内容が入っていて、それを考慮した予算立てになっていくということなのですね。分かりました。ありがとうございます。
【樫谷部会長】 金岡委員。
【金岡委員】 先ほどの委員会の議論を聞いておりまして一つ感じたことですが、国立劇場の建て直しの計画について、先ほどの委員会でも各委員からお話がございましたが、新型コロナウイルス感染症の影響などもあって、従来の建物が役に立たない、あるいは、全く要らなくなってしまった法人もあるとのことでした。国立劇場に関しては、こういうモニュメンタルなものは必ず必要だと思いますが、ただ、具体的にどういうものを作るかというのは、コロナの状況を踏まえ、これからたくさんの人を収容できる従来型のものを作るのか、あるいは、収容人数を絞ってデジタル技術を使って外に情報発信していくようなスタイルにするのか、その点を見極めた上で進めていかないと、作ったはよいが、3席に1人ぐらいしか入れないなど、現実にはあまり活用されないようなものになりかねないおそれを少し感じました。
したがって、タイムスケジュールをどのように考えられるか、新型コロナ対応で、特にスポーツ、文化、芸術といった分野において様々な対応が求められる中、その点を見極めた上で、新しい劇場のスタイルとしてIT技術を大胆に取り入れるのかどうかも含めて検討された方が良いのではないかと感じた次第です。
【山本管理官】 よろしいでしょうか。
【樫谷部会長】 どうぞ。
【山本管理官】 補足させていただきますが、まさにそういった御指摘がごもっともと思いまして、事務的にも、そういった新型コロナウイルス感染症の対応もどう考えているのかというところを確認したところ、例えば、バーチャルリアリティを活用した発信とか、新型コロナウイルス感染症も意識した形でどういうことができるかということも考えて作っていくとは聞いております。
【金岡委員】 ありがとうございます。
【樫谷部会長】 栗原委員。
【栗原委員】 JAXAの目標の変更に関してです。
先ほど、天野委員からもお話がありましたが、変更案を拝見しますと、目標の3分の1ぐらいは変更されているので、項目が多少追加されたというよりは内容が相当変わったということだと思います。今後、この新たな目標を達成するために人材も予算も付いてこないと実現できないのではないかと思いますので、目標変更と併せて、そうした実現に向けての施策が必要ではないかと思います。
それから、2つ目に、これだけ目標の見直しがなされるとすると、先日の部会の際に原田委員から目標の見直しのタイミングというお話がありましたが、例えば、JAXAの中長期目標の策定時期と、宇宙基本計画の大幅な見直しは、呼応して実施したほうが良いのではないかと思います。すぐにタイミングを合わせるのは現実的ではないかもしれませんが、今後も5年ごとに見直していくのか、いつ大幅な見直しが必要なのかを見据えて時期を合わせていくことも考えたほうがいいのではないかと思います。
【樫谷部会長】 天野委員。
【天野委員】 それはすごく感じていまして、私は日本原子力研究開発機構の監事をしていますが、来年度、エネルギー基本計画の見直しが予定されています。しかし、中長期目標は来年度が最後の1年です。ですので、中長期目標を最後の1年だけエネルギー基本計画の見直しに合わせて変えるのかということが、今議論になっています。先ほどの委員会でも申し上げましたが、国立環境研究所においても、気候変動適応法が中長期目標期間の途中で制定されたのですが、政策全体の中で法人がどういう役割を担って成果に結び付けていくのかが生煮えの状態で業務が追加されてしまったため、苦労しているような状態もあります。
ですので、国立研究開発法人は特に影響を受けることだと思いますが、来年度から科学技術基本計画も第6次計画に変わるかと思います。科学技術基本計画は国全体の経営方針のようなものだと思いますが、それぞれの主務省が部署ごとに担当している宇宙開発とか環境といった政策の体系と、法人の中長期計画との整合性を、実務的にどうしようかという話が現場で起こっていますので、急に変えるのは難しいかもしれませんが、是非一度お考えいただければと思います。
【樫谷部会長】 原田委員。
【原田委員】 私は先ほどの委員会でも発言いたしましたが、もともと目標の変更が、独立行政法人通則法ができた段階で、どのような場合に行われると考えられてきたかというのを調べたことがありまして、「特段の理由がある場合に限って」ということで、一応これまで運用されてきているということでした。もちろん毎回事務局から説明をいただいて、目標を変更する理由は当然あるのですが、これだけ目標が大きく変更されると、これまで変更前の目標でやってきたことは一体何だったのかとか、その後、目標変更から目標期間終了までの短い間に追加された目標を達成できるのかとか、中長期目標の期間設定をどう考えたらいいのかというのは、やはり考えたほうが良いのではないかというのが、今回の案件とは別にして思います。
これだけ目標変更が頻繁に行われる理由については、私たちも考え直さないといけないことがあるのかもしれませんが、目標策定指針ではあまり細かいことまで書けと言われているわけではないと思いますが、目標にありとあらゆることを記載し過ぎていることに原因があるのではないかと、個人的には思っています。目標が計画化していて、計画は細計画(細分化された計画)になっているのではないかと思います。だからこそ、上位の政府決定が変わるとまた目標を変えないといけないということになるので、もう少し主務省が目標に書く内容をもう少し抽象的にしていかないと、目標変更が頻繁に行われるということになるのではないかと心配しています。
【樫谷部会長】 天野委員。
【天野委員】 今の原田委員の意見について、監事の立場としては、ある程度は目標に具体的に書いていただかないと、研究開発成果の社会実装を進めるのがなかなか難しくなってしまいます。国立研究開発法人は国全体として、研究開発成果の社会実装・政策反映が強く求められているのですが、目標があまり抽象的だと、今度は研究員の方たちが自分の好きなように研究を進めてしまうところがありますので、ある程度はきちんと道筋が見えている方がいいとは思います。
【原田委員】 私も今、天野委員がおっしゃったことを否定するつもりは全くございませんが、その辺りのあんばいとして、適切なソリューションが必要なのではないかと思います。
【樫谷部会長】 おっしゃるとおり、今回の宇宙開発というと、宇宙をどう支配するかというような話になって、それが地球上の覇権争いにつながるところもある分野ですし、世の中が大きく変化するため、常に同じ目標を維持するわけにはいかず、ある程度見直していかないといけないので、弾力的な対応が求められます。一方、一度定めた方向性をしっかり維持していく必要もあり、そのこととのバランスをどう考えるかということだと思います。目標の記載の仕方について、マネジメントの観点からは具体的かつ明確に定める必要がある一方、細かく定めすぎるとコロコロ変更することになってしまうこととの関係を整理していく必要があるかと思います。もっと思い切って、中(長)期目標を変えていっていいんだという理屈にするのか、もう少し目標は抽象的にして、あまり変えなくて良いようにするんだとするのか、そこは事務局でも検討いただいて、また、各委員からも御意見をいただければよいかと思います。
【山本管理官】 ありがとうございます。先生方の御指摘はごもっともでして、事務局としても、どういう場合に目標を変更するのかというのはなかなか悩ましいと思っています。
一方で、天野委員がおっしゃったように、あまり目標が抽象的ですと評価もしにくいという問題もございますし、また一方で、何でもかんでも目標を変更すればいいというわけでもないかと思います。ただ、一定程度の軌道修正も当然あってしかるべきだと思いますので、そういう中で、どういうあんばいがいいのか、これは一つの中長期的な課題として、事務局としても受け止めさせていただいて、検討させていただきたいと思います。
【樫谷部会長】 ありがとうございました。そのほかに何かございますか。よろしいでしょうか。
それでは、本件につきましては、案のとおりとさせていただくことで異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【樫谷部会長】 ありがとうございました。
それでは、本件につきましては意見なしとさせていただきたいと思います。事後の処理につきましては、部会長の私に御一任いただくということにさせていただきたいと思います。
最後に、事務局から次回の日程等について、御説明お願いいたします。
【山本管理官】 今後の部会の予定については、また別途御連絡差し上げます。
【樫谷部会長】 それでは、以上をもちまして、第39回独立行政法人評価制度委員会評価部会を閉会いたします。
本日は、皆様お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございました。
(以上)

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