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第40回独立行政法人評価制度委員会 評価部会 議事録

日時

令和3年1月26日(火)14時から15時40分まで

場所

ウェブ会議にて開催

出席者

(委員)樫谷隆夫評価部会長、原田久部会長代理、天野玲子委員、栗原美津枝委員、高橋伸子委員、浜野京委員、河合晃一専門委員
(事務局)阪本官房総括審議官、山本管理官他

議事

1 中長期目標の変更について(諮問案件)
2 令和3年度から中(長)期目標期間が始まる法人の新たな目標案について(状況報告を踏まえた審議)
3 役員の業績勘案率の点検結果について【非公開】

配布資料
議事次第PDF
資料1-1PDF 資料1-2PDF 資料1-3PDF 資料1-4PDF 資料1-5PDF 資料1-6PDF
参考資料PDF
各府省から通知のあった業績勘案率PDF

議事録

【樫谷部会長】 それでは、ただいまから第40回独立行政法人評価制度委員会評価部会を開会いたします。
本日の会議は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オンラインで開催しております。
それでは、まず議題1の中長期目標の変更について審議を行います。事務局から説明をお願いします。
【志田管理官】 それでは、文部科学省所管の6つの独立行政法人に係る中長期目標の変更について御説明申し上げます。大きく3点であります。まず、1点目ですが、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(以下「科技・イノベ活性化法」という。)の改正に関する中長期目標の変更についてです。対象となる法人は、いずれも国立研究開発法人で、物質・材料研究機構(NIMS)、防災科学技術研究所(防災科研)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、海洋研究開発機構(JAMSTEC)及び日本原子力研究開発機構(JAEA)の5つでございます。
昨年6月に科技・イノベ活性化法が改正されまして、本年4月1日施行となっていますが、当該改正により、出資等の業務を行うことができる法人が、従来の22法人から27法人へと拡大されました。そのうち、文部科学省所管の法人として、防災科研、JAXA、JAMSTEC及びJAEAの4つが追加されたことに伴い、出資業務の内容を中長期目標に追加するものでございます。また、NIMSについては、既に出資可能な法人として科技・イノベ活性化法に位置付けられ、中長期目標にも当該業務内容が記載されておりますが、出資可能な対象事業者が同法の改正により追加されることに伴い、目標の記載を変更するものです。なお、出資可能な対象事業者としましては、防災科研、JAMSTEC及びJAEAの3法人については成果活用事業者、JAXAについては成果活用事業者に加えて成果活用事業者を支援するベンチャーキャピタル等及び成果活用等支援法人とされており、NIMSについては、従来から出資可能だった成果活用事業者に加え、成果活用等支援法人にも出資できることとされたところです。
このほか、人材確保・育成に関する方針に係る記述を追加するものです。
続きまして、2点目でございますが、NIMSの中長期目標の変更でございます。NIMSにつきましては、先ほど科技・イノベ活性化法の改正に伴う出資業務の追加について御説明申し上げましたが、このほかに二つ、目標の変更がございます。
まず一つは、マテリアルデータの中核拠点の構築についてです。現在、内閣府において、本年4月1日から運用が予定されているマテリアル戦略が検討されておりますが、当該戦略に、日本全国のマテリアルデータを集約するためのデータ中核拠点を構築することが盛り込まれる見込みでして、当該拠点の構築に係る業務をNIMSに追加するものであります。マテリアル戦略は現在検討中でございますが、昨年の6月に「マテリアル革新力強化のための政府戦略に向けて」(マテリアル革新力強化のための戦略策定に向けた準備会合)としてその方向性等が取りまとめられ、マテリアル研究開発のため、我が国全体のプラットフォームを整備するとされており、その役割をNIMSが担うこととされております。もう一つは、科学技術・イノベーション基本法の改正や次期科学技術・イノベーション基本計画の検討状況を踏まえ、研究開発法人の責務やスマートラボ化等につきまして記載するものです。
最後に3点目ですが、国立研究開発法人理化学研究所(理研)の中長期目標の変更です。内容は主に二つございます。一つ目は、量子コンピュータ研究領域の設定です。量子技術イノベーション戦略等に基づき、量子技術イノベーションの創出に向け、「量子技術イノベーション拠点」の形成に向けた整備が進められているところです。その中で、理研について、研究領域の一つとして量子コンピュータ研究領域を設定し、超伝導量子コンピュータ研究拠点を整備して取組を進めるとともに、他の量子技術関連の研究開発を推進する国内外の大学、研究機関、企業等と協力し、研究開発の共有や普及等を促進するため、国際ハブ機能を担うこととされたところです。
もう一つは、情報統合本部の新設です。オープンサイエンスやデータ駆動型研究等に対応するため、既存の情報システム本部を改組し、研究データ基盤の構築、情報科学研究の推進、情報科学の知見を用いた組織・分野横断的な取組を推進するものです。これらの取組は、本年度より準備が進められ、4月以降の本格稼働が予定されていることから、その取組を中長期目標の業務内容に具体的に位置付けるものでございます。このほか、人材確保・育成に関する方針に係る記述を追加するものです。
以上が今回の目標変更の内容でございます。事務局としては、本変更内容について、目標策定指針に照らして確認を行った上で、特段問題のない目標変更と考えております。
【樫谷部会長】 ありがとうございました。
ただいまの事務局の説明について、御質問、御意見があれば、どなたからでも御発言いただければと思います。なお、私は理研の戦略会議委員を務めており、天野委員におかれては防災科研の参与及びJAEAの監事を務めていらっしゃいますが、申合せにより、それぞれ該当する法人については、意見を控えることとされておりますので、よろしくお願いいたします。それでは、何か御意見ございますでしょうか。
【樫谷部会長】 よろしいでしょうか。それでは、本件につきましては、意見なしとさせていただきたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【樫谷部会長】 それでは、本件につきましては、意見なしと整理させていただきます。事後の処理につきましては、部会長の私に御一任いただくことにさせていただきます。
それでは次に、議題2でございます。令和3年度から中(長)期目標期間の始まる法人の新たな目標につきまして、現時点の案が主務省から出てまいりましたので、事務局から説明をお願いします。
【山本管理官】 御説明します。まず、昨年の12月4日に決定いただきました、次期中(長)期目標策定に向けての留意事項(以下「委員会決定」という。)を、おさらいとして御覧いただきたいと思います。この留意事項は、各主務省・法人共通で留意いただきたい共通の留意事項と個別の留意事項の、2段構成になっておりました。
委員会決定の「2 今後の中(長)期目標の策定に当たって」においては、今般、行政として新型コロナウイルス感染症への対応を進める中で、デジタル化・オンライン化の遅れ、リモート化の必要性、専門人材の不足といった課題が浮き彫りになったことを御指摘いただいた上で、このような状況を踏まえ、主務大臣は、法人の在るべき姿と現状から法人の目指すべき目標を導き出すに当たっては、単に従来の目標の延長線上で考えるのではなく、以下の点に特に留意しつつ、目標・指標の立て方や重み付けを含めた全ての事項について改めて精査をしていただきたい、ということで、何点か共通の留意事項をお示しいただいておりました。それから、個別の法人に対しては、別紙として、それぞれ留意事項をお示しいただいておりました。今回、これを踏まえて、まず共通留意事項からそれぞれ対応の状況を御説明していきたいと思います。
まず、一つ目の共通留意事項として、新型コロナウイルス感染症の影響を含む法人を取り巻く環境の変化、直面する課題、法人の「強み」及び「弱み」についての把握・分析を十分に行い、そうした環境にあってどのような目標を策定するべきか、改めて主務大臣は法人の長としっかり議論して検討いただきたい、また、法人は浮き彫りになった取組の遅れや課題を克服できるよう、いま申し上げた議論・検討を踏まえて、法人における業務手法等の見直しを促すような目標としていただきたい、その際、業務プロセス全体の最適化・効率化を意識することはもちろん、デジタル・トランスフォーメーション(DX)や情報セキュリティの観点にも留意していただきたい、といった御指摘でございました。この御指摘に対応する記載が、各法人の目標案にかなりの数盛り込まれてきましたので、今回は一例を御紹介させていただきます。
まず、国立女性教育会館の目標案には、「新型コロナウイルス感染症の拡大は、男女に関わらず社会的・経済的に大きな影響をもたらしている。配偶者からの暴力や性暴力の増加・深刻化への懸念、また、雇用・所得への影響は特に女性に対して強く表れており、ポストコロナを見据え、男女共同参画社会の実現に向けて強力に取り組むことが必要である。一方で、この影響を負の側面のみならず変革の好機としても捉え、社会や人々の生活様式の変容を踏まえた、研修や調査研究事業等を行うことが必要である。」「今後は、オンライン研修と集合研修それぞれの利点を生かした、新たな研修体系を構築することが必要である。」という形で盛り込まれております。
また、国立科学博物館の目標案では、次の目標期間は、不確実性とリスクがある中で、人々の「新しい生活様式」に対応した博物館経営を推進していく必要があると記載されております。
さらに、航空大学校の目標案では、感染症の拡大により、対面授業や課程間の学生の移動が中断し、授業が停滞したことを考慮し、継続的な教育の実施体制を確保するため、学科教育及び操縦教育におけるICTの活用、書類の電子化等を推進すると掲げられております。
また、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の目標案では、「基幹業務システムの活用、業務の見直し等によるデジタルトランスフォーメーションを推進し、徹底した業務の効率化を図る」と記載されております。
最後に、住宅金融支援機構の目標案ですが、こちらも、「機構、委託機関等の業務運営の簡素化及び効率化に資するIT基盤の整備を引き続き図るとともに、国民・事業者の負担の軽減・利便性の向上等を目指した取組として、デジタル化を計画的に推進する」と記載されております。
二つめの共通留意事項は、先ほど御説明した政策実施機能の最大化や業務手法の見直しを進めていくため、法人の使命等を組織内の各階層に浸透させることや役職員のモチベーション・使命感を向上させるよう、法人の組織風土や役職員の意識まで踏み込んだ取組を促すような目標にしていただきたいという御指摘でした。
こちらについて、まず情報通信研究機構(NICT)の目標案ですが、NICT内部で資源獲得に対する競争的な環境を醸成し、研究開発成果に対する客観的な評価に基づいて適切な資源配分を行うとの記載が盛り込まれております。
また、国立環境研究所の目標案では、従前から行っていた幹部クラスで構成する会議に加えて、階層的な所内会議を定期的に開催して、中長期的視点を含めた組織運営の在り方や課題の対応策について検討する旨が書き込まれてきております。
さらに、水産研究・教育機構の目標案では、人事評価システムに関して、「研究開発職員の評価は、研究開発業績のみならず、研究開発成果の行政施策・推進の検討・判断への貢献、技術移転活動への貢献及び漁業者への研究開発成果等の周知・紹介による信頼性確保への貢献等を十分に勘案したものとする」といった記載が盛り込まれております。
三つ目の共通留意事項は、いわゆるソフトの連携でして、様々な関係機関との間でデータを共有し、活用するなど一丸となってイノベーションを推進するため、各府省、他法人や地方公共団体、民間部門等との連携・協働を一層強化していただきたいという御指摘でした。これについて、NICTの例ですが、「Beyond5Gの実現に向け、新たな技術の進展が想定されることを踏まえ、ネットワークキャリア、ベンダ、研究機関、ユーザーの力を結集する研究開発・技術実証・社会実装のいわゆるオープンイノベーション拠点として、運用、利用を通じて実証環境が循環進化するようなテストベッドを構築する」と記載されております。
次に、国立高度専門医療研究センター(NC)6法人の例です。こちらもNCを始めとする他の研究機関及び医療機関間のデータシェアリングに取り組む旨を盛り込んできております。次に国立科学博物館の例ですが、自前で所有している標本・資料のみならず、全国の科学系博物館で所有している標本・資料について、その所在情報を関係機関等と連携して的確に把握して情報を集約する、オープンサイエンスの推進に向け、それらの標本・資料情報の活用を促す観点から積極的に発信する旨の記載が盛り込まれております。
四つ目の共通留意事項は業務実施に必要な施設に関することでして、「自前主義」を脱し、各府省、他法人や地方公共団体、民間部門等と連携して、あるいはそれらの施設を利用して業務を実施する可能性も視野に入れつつ、効率的な施設の在り方について計画的に検討していただきたいという、いわゆるハード面の連携についての御指摘でした。これに対する記述として、まず教職員支援機構の例では、「機構の保有する研修施設について、貸出対象の拡充を行い、施設の有効利用促進に取り組む。また、研修事業の在り方を検討し、その確立を図った上で、教職員の受講環境の整備の観点から、他法人や関係機関等の施設を利用して研修を実施する可能性も視野に入れつつ、不断の見直しを行う」と記載されております。その他の研修関係の法人においても、同様のことが記載されております。
次に国立美術館の例ですが、「収蔵作品及び資料全体を適切に保存管理し、確実に後世へ継承するため、外部倉庫の活用、地方自治体や関係機関との協議、既存の収蔵庫等保管施設の改修等を進め、保管環境の一層の改善を図る」と記載されております。また、水産研究・教育機構においても、「都道府県や民間企業等との連携による研修施設等の共同利用を推進する」と記載されています。
最後の共通留意事項として、デジタル技術を利活用できる専門人材を含め、各法人が社会課題の解決に向けた役割を果たしていくための専門人材の確保・育成に戦略的に取り組んでいただきたいという御指摘がございました。これに対応するものとして、まずはNICTの例ですが、Beyond5Gの知財や標準化活動を強力に推進し、NICT内の技術シーズと標準化、あるいは知財に関する知識・ノウハウを結集するために外部の専門家の雇用を含む人材の確保に取り組んでいくと書いてきております。次に住宅金融支援機構の例ですが、専門的な金融技術や金融業務に係る能力を有する人材のほか、民間金融機関とのネットワーク基盤のIT技術、あるいは住宅の質向上に資する技術を有する人材を確保・育成するための「人材の確保・育成に関する方針」を策定する旨を記載してございます。
最後に国立環境研究所の例ですが、クロスアポイントメント制度や年俸制の積極的な活用やリサーチ・アドミニストレーター(RA)も含めた優れた人材の確保に努める旨を記載してございます。
以上、早足でしたが、共通留意事項に対応する目標案の御説明でした。続いて、各法人個別の留意事項に対応する目標案についても御説明させていただきます。まずはNICTについて、一つ御指摘をいただいておりました。研究事務の補助者やリサーチ・アドミニストレーターといった研究支援人材や、知財の活用に係る専門人材の確保・育成について具体的方策を定めて取り組むべきことを目標に盛り込んではどうかという御指摘でした。これについては、先ほど御紹介したように、Beyond5Gの知財・標準化について、NICT内の技術シーズと標準化や知財に関する知識・ノウハウを結集するため、外部専門家の雇用を含む人材確保等に取り組む旨が書いてございます。また、民間等での事業経験のある研究支援人材を確保する旨の記載もございます。
次に財務省所管の酒類総合研究所(酒類総研)です。酒類総研について、「適正課税及び適正表示の確保といった業務にとどまらず、社会のニーズが高い業務に法人が積極的に取り組めるよう、目標の重み付けを行ってはどうか」という御指摘が一つございました。これに対しては、日本産酒類の競争力強化等と、もう一つ、酒類製造の技術基盤の強化、この二つの業務に対して新たに重要度を付しております。また、この政策体系図そのものも見直しまして、これら二つの業務を含む酒類業の振興のための取組を第一の柱として立てた形になってきております。これが酒類総研です。
次が文部科学省関係でございます。文科省関係は、大学入試センターと、研修系の4法人(国立特別支援教育総合研究所、国立青少年教育振興機構、国立女性教育会館及び教職員支援機構)並びに国立科学博物館、国立美術系及び国立文化財機構の3法人と、それぞれ固まりがございますので、固まりごとに御説明します。
まずは大学入試センターから御説明させていただきます。大学入試センターの個別留意事項は三つございました。一つ目は財政基盤の改善、二つ目は試験の実施により蓄積した統計データやノウハウといった資産を有効活用する方策を盛り込んではどうかという点、そして三つ目は試験問題が漏えいしてはいけませんので法人のガバナンスの強化、この三つの御指摘でした。このうち、試験実施に係るノウハウ等の資産の有効活用について、目標案では、「今後加速することが見込まれる教育データの利活用の動向も見据えつつ、個人情報保護に十分留意した上で、大学入学者選抜方法の改善、ひいては高校及び大学の教育改善が促されるよう、共通テスト等の試験情報活用に関する調査研究を実施し、その仕組みを構築する」と記載されております。ほか二つの御指摘についても、資料のとおり、対応した目標案が記載されております。
次に、研修系の4法人について御説明させていただきます。個別留意事項は、研修系の4法人共通で御指摘いただいております。1つ目は、新型コロナウイルス感染症の影響もありましたので、集合・宿泊型研修や体験型研修の在り方について見直し、研修体系を再構築することについて目標を盛り込んではどうか、その際に主務省はビジョンを示すことが肝要ではないか、また、研修の実施に当たっても、より効率的・効果的に実施するために4法人が連携することについて検討してはどうか、というような御指摘でした。二つ目は、単なる満足度を図るアンケート調査にとどまることなく、より現場の声を吸い上げられるような有意義な調査などを踏まえて研修内容を見直すことを求めることについて目標に盛り込んではどうかという御指摘でした。それから三つ目が、主務省と各法人が連携して情報発信を強化してはどうかという御指摘でした。
これらの御指摘のうち、例えば一つ目の御指摘について、国立特別支援教育総合研究所の目標案の中では、集合・宿泊型研修等とオンライン研修のベストミックスの在り方について検討を早急に進め、フィールドを有する実践研究と架橋した研修という研究所の強みを生かした研修体系を構築する、また、国立特別支援教育総合研究所、国立青少年教育振興機構、国立女性教育会館、教職員支援機構の4法人は、研修のより効率的・効果的な実施に資するため、その連携について検討すると記載されております。その他の御指摘に対応する目標案についても、資料のとおり記載されております。
次に教職員支援機構を御覧ください。まずは研修系の4法人に共通する、研修体系の再構築の御指摘の箇所を御覧ください。この御指摘については、「教職員の職階・年齢別にシームレスに提供するものに再編する」、「教職員のICT活用能力の向上を図るとともに、適切な知識・技術の伝達を中心とする座学的研修はオンライン研修への移行を進める一方、集合・宿泊型の研修は教師自身が自ら課題を見つけ解決方法を考える内容を中心に据えて実施する」として、集合・宿泊型研修とオンライン研修のいわばベストミックスを指向するハイブリッド型の研修の在り方を検討・確立していくと記載されております。また、研修の実施についても、研修系の4法人は研修のより効率的・効果的な実施に資するための連携について検討するとの記載がございます。
次に研修の内容の見直しについて、「アンケートに調査に留まることなく…」としている箇所について、「調査研究の成果や関係機関との連携を通じて、教職員研修の高度化及び体系化を図る」、「研修効果の最大化を図る観点から研修と調査研究を連携・往還させながら、集合・宿泊型研修の要素を組み込んだ最適な組合せを3年間(令和5年度まで)で検討し、確立する」と記載されております。本法人に係るその他の目標案と、残る研修系の2法人のいずれの目標案でも、指摘されたことに対応する記載がなされていると考えています。
次に博物館・美術館系の3法人(国立科学博物館、国立美術系及び国立文化財機構)について御説明させていただきます。こちらもこの3法人共通の指摘をいただいておりました。一つ目としては、「更なるICT化への対応を含めた収蔵品等の保管・利活用、魅力的なデジタルコンテンツの開発等にイノベーティブに取り組むことについて、目標に盛り込んではどうか」ということです。国立科学博物館では、これについて、「本中期目標期間は,不確実性とリスクがある中で,人々の『新しい生活様式』に対応した博物館経営を推進していく必要がある」、「ICTを活用した収蔵庫の公開や標本・資料等のデジタルアーカイブ化による情報提供を行う」、「外国人を含む多様な入館者へのサービス向上という視点から,ICT等を活用し分かりやすい展示解説のコンテンツを充実させる」、「弾力的に開館日・開館時間を設定し,安全で快適な観覧環境を提供する」と書いています。
国立科学博物館については、文部科学本省から文化庁に所管替えになったことに係るもう一つの個別留意事項がありまして、「文化振興の貢献に係る具体的内容を盛り込んではどうか」という御指摘ですが、これについても、「国立科学博物館が文化庁の所管になったことを踏まえ,基盤研究とプロジェクト型の総合研究に加え,自然科学と人文科学を融合させた新たな研究の可能性を探る」との目標案が盛り込まれております。
次に、国立美術館は飛ばさせていただき、国立文化財機構を御覧ください。博物館・美術館系の3法人共通の留意事項である、更なるICT化への対応を含めた収蔵品云々というところですが、これに対応する目標案として、「『新しい生活様式』に対応した博物館の在り方を確立していくことが必要」との認識の下、「文化財活用センターは,文化財が持つ新たな魅力や価値を引き出し,文化財を通した豊かな体験と学びを提供することで,文化財の次世代への確実な継承のみならず,地方創生,観光振興につながる新たな活用のあり方を目指す。文化財に親しむためのコンテンツの開発とモデル事業の推進,国立博物館収蔵品貸与促進事業の促進,文化財機構の文化財のデジタル資源化の推進と国内外への情報発信及び文化財の保存等に関する相談・助言・支援を行う」と具体的に記載されております。
ここまでが文部科学省関係でございます。続きまして、厚生労働省のNC6法人です。NC6法人共通の留意事項としては、昨年の4月に発足した「国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部」(JH)について、その具体的な取組内容、評価軸をNC6法人共通的に目標に盛り込むなど、研究開発成果の最大化の観点から定期的に活動状況の評価を行って、PDCAサイクルを回していけるようにしてはどうかという御指摘でした。これについて、JHの具体的な研究分野として、「ゲノム医療、大規模医療情報の活用、コホート研究基盤の活用、健康寿命延伸のための疾患横断的予防指針提言、実装科学推進のための基盤の構築等」に取り組むとされ、ほかにも、人材育成について、特に研究支援人材を育成するための体制の構築、また、NCの研究成果の発信やメディアセミナーの開催といった広報、知財の創出・管理の強化、企業との連携強化、こういった分野にも共通で取り組む旨の記載がございます。
さらに、これらの取組について「定期的に活動状況の評価を行う」として、評価軸や指標を設定してきております。ただし、御留意いただきたいのは、この項目を一つの事業のまとまりとして制度上の評定を付すような固まりとはせずに、その下の小項目として、参考的に評定を付すことによってPDCAを回していくことについてまずはトライしてみるというような方針で検討されているという点です。
続きまして、農林水産省関係の法人について御説明させていただきます。家畜改良センターの個別留意事項について、一つ目としては、国の全体目標と現状を整理した上で法人に求める具体的な成果について明確化したらどうかというもの。ほかには、家畜に関するデータの利用促進や飼養管理技術の高度化を推進するための人材確保を進めることについて目標に盛り込んではどうかというような御指摘でした。一つ目の御指摘については、まず家畜改良増殖目標及び鶏の改良増殖目標では、消費者から求められる品質とそれに応じた価格の両面で、これまで以上に「強み」のある畜産物を安定的に供給することができるよう、より効率的な畜産物生産を進めるための「家畜づくり」にデータを生かすことが求められていると記載されております。これを踏まえ、「改良速度の加速化や遺伝的多様性に配慮した種畜生産等の民間では取り組み難い事業を担い、農家への種畜・種きん供給を行う都道府県や民間事業体に候補種雄牛や育種素材等として供給」、「我が国における全国的な改良を推進するため、国産遺伝資源や希少系統を活用した種畜・育種素材等の生産や、遺伝的能力評価の実施、多様な遺伝資源の確保・活用に取り組む」と掲載されております。その他の留意事項に対応する目標案についても資料のとおり記載されてきております。
次に農研機構を御覧ください。農研機構については二つの個別留意事項を御指摘いただいておりました。一つ目としては、社会実装につながるようにということで、新たな国際標準化を目指す分野と既存の国際標準を活用する分野、これを整理して戦略的に研究成果の普及を進めることについて目標に盛り込んではどうかということ。もう一つが、外部資金の獲得を更に推進することについて目標に盛り込んではどうかということでした。一つ目の留意事項については、「農研機構が開発した検査・測定法等の技術を国際標準化する取組と同時に、海外が先行する国際標準に我が国の実情を反映させ社会実装を加速する取組を戦略的に行う」と盛り込まれております。もう一つの留意事項についても、資料のとおり記載されております。
次に国際農林水産業研究センター(JIRCAS)を御覧ください。この法人についても個別留意事項が二つございました。一つ目が他の農林水産業に関する研究開発法人との役割分担について、目標において明確化したらどうかということ、もう一つが、自らの役割に基づく研究成果の広報活動を更に推進することについて目標に盛り込んではどうかということでした。一つ目の役割分担に係る御指摘について、開発途上地域における農林水産業研究に関する中核的な役割をこの法人が担うと記載されております。また、他の法人との協力関係を強化し、今申し上げた役割などを果たせるよう、「各法人が有する技術シーズや研究資源の相互活用を図り、役割分担を明確にした上で研究開発等を推進する」と記載されております。もう一つの留意事項に対応する目標案については、資料のとおりです。
次に森林研究・整備機構(森林機構)です。森林機構については、個別留意事項が三つございました。一つ目が、林業全体が直面している課題と、その解決に向けて法人が取り組むべき具体的な業務の方向性について、目標において明確化してはどうかということ。二つ目が、広報活動を推進し、若い世代の関心を醸成することで、人材の確保、育成につなげていってはどうかということ。最後に、社会実装を促進するため、研究成果の活用方策を産業界へ広報するとともに、標準化への取組を推進してはどうかという三つでした。
御指摘の一つ目については、「再生可能な資源である木質資源と森林空間を持続的に利用しながら、安全・安心で豊かな循環型社会を実現するため、また、森林資源の循環利用を通じ、我が国の人工林の若返りを図り、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献するため、以下の4つの戦略課題を設定」という形で、資料に記載のアからエの戦略課題を設定しており、これで業務の方向性を示すという形になっております。その他二つの留意事項についても、資料のとおり記載されております。
次に水産研究・教育機構(水産機構)を御覧ください。水産機構の御指摘事項は一つでした。水産資源のモニタリングに必要なデータの収集、分析に関して、法人が所有する調査船による調査に加えて、民間の船舶等を活用した幅広い収集活動を行ってはどうかということと、ICT化の推進により、収集から分析までを効率的に行うことについて目標に盛り込んではどうかという御指摘でした。これについて、「第4 業務運営の効率化に関する事項」の中で、「漁業から得られるデータや民間用船等による調査の充実等を踏まえ、水産機構における調査体制の検討を進め」と盛り込まれております。また、ICT等を活用した効率的・効果的なデータ収集、分析を進めるということで、御指摘いただいた要素が盛り込まれております。
続いて国土交通省関係、まずは海技教育機構です。海技教育機構については一つ御指摘いただいておりました。国の検討会の議論や業界のニーズを反映した海技教育の見直しと、練習船や学校施設の効果的な運用に向けた取組を目標に盛り込んではどうかという御指摘でした。海技教育については、人口減少社会の中でも船員の安定的・効果的な確保・育成が求められるという認識の下、「『船員養成の改革に関する検討会』の結果や業界のニーズを反映した海技教育の見直し及び練習船や学校施設運用の効率化に向けた取組を進める」という形で、以下、内航船と外航船、それぞれ分けて共通の見直し内容を書き込んできているところです。また、施設についても、「帆船を汽船に更新することも含め、船隊規模について検討する」と盛り込まれております。
次に航空大学校を御覧ください。航空大学校については御指摘が二つございました。一つ目が、質の高い教育に必要な教官の人材確保・育成や学生の訓練内容の向上に向けた取組の促進について目標に盛り込んではどうかということ。もう一つが安全管理体制の強化に向けた取組を進めることについて目標に盛り込んではどうかという御指摘でした。一つ目の教育の質の向上の関係の御指摘については、「航空会社と業務運営等に関して定期的に意見交換や情報交換を行い、エアラインパイロットに要求される知識・技能等を的確に把握し、教育内容、教育体制の充実を図る」、「教育技法及び評価法に関する調査・研究、国内の諸施設の実態調査並びに国際基準の調査・研究等を実施し、その成果を教育・訓練に反映させる」などと記載されてきているところです。もう一つの留意事項についても資料のとおり記載されているところです。
次に自動車技術総合機構ですが、こちらは一つ御指摘がございました。新しい自動車技術が出てきておりますので、保安基準が増えることによって業務量が増加することを踏まえ、自動車検査や型式認証審査の効率化及び検査設備の整備を進めることとともに、技術的に機微な技術情報を扱うようになるため、情報セキュリティの確保に向けた取組を進めることについて目標に盛り込んではどうかという御指摘でした。
こちらについては、例えば「型式認証における基準適合性審査等」の箇所に、「自動運行装置に係る基準適合性審査並びに自動車メーカーにおける自動運転車等のプログラムの適切な管理及び確実な書換えのための業務管理システム等に関する技術的審査をはじめ、自動車が市場に投入される前に実施する型式認証における基準適合審査等の的確で効率的な実施に向けた取組を推進する」と記載されております。情報セキュリティの関係については、「業務運営の効率化に関する事項」を御覧いただければと思いますが、「情報システム基盤の整備及びセキュリティ対策等を進める」などの記載が盛り込まれております。
次に住宅金融支援機構を御覧ください。御指摘が三つございました。一つ目が法人の専門性を生かして地方公共団体、民間金融機関、事業者等との連携によって地域の課題の解決に向けた取組を進めることについて目標に盛り込んではどうかということ。二つ目が端的に申し上げると手続のデジタル化に関すること、最後に我が国の事業者が海外の住宅市場に参入しやすいよう、相手国に対するコンサルティング業務に引き続き取り組んではどうかという御指摘でした。一つ目の御指摘については、「住宅融資保険等事業」において、「地域における政策課題の解決に向けた取組について、地方公共団体とより連携を深めるとともに、他府省、政府関係機関、地域金融機関、住生活産業を担う民間事業者、地域住民の団体、NPO等との連携及び協力を強化する」と書いてございます。その他二つの留意事項についても、資料のとおり記載されているところです。
最後に環境省の国立環境研究所です。こちらについては三つ御指摘を示していただいておりました。一つ目が、環境問題の解決に向けて幅広い研究を行っておりますので、法人が果たすべき役割について今一度整理した上で、優先的に取り組むべき課題、期待される成果を目標に明示すべきではないかということ。二つ目が、法人が有する実績、ポテンシャルをより分かりやすく効果的に発信することによって必要なリソースの確保につなげていってはどうかということ。三つ目が、研究支援人材の確保・育成を戦略的に進めていくことについて目標に盛り込んではどうかという御指摘でした。一つ目の御指摘事項については、環境研究に関する業務と気候変動の適応に関する業務、これらについて重要度を「高」と設定することによって集中的に取り組む旨記載されております。特に環境研究に関する業務については、我が国の環境政策の意思決定の科学的根拠をなすものであるということで重要度「高」と設定しているところです。その他の留意事項に対応した目標案についても、資料のとおり記載されているところです。
駆け足になりましたけれども、以上でございます。
【樫谷部会長】 ありがとうございました。昨年、部会の委員の先生方に熱心に御議論いただき、12月の委員会で個別留意事項と共通留意事項としてまとめたものに対する法人の中(長)期目標案について今御説明いただいたところですが、どなたからでも御意見がございましたら、御発言いただけたらと思います。
なお、国立環境研究所の監事をお務めになっている天野委員におかれては、国立環境研究所についての意見を差し控えていただくこととされておりますので、よろしくお願い申し上げます。それでは、いかがでしょうか。天野委員。
【天野委員】 よろしくお願いします。全体を見させていただいて、今の段階で感じていることを幾つか述べさせていただきたいと思います。まず、現在は第5期科学技術基本計画が動いていますし、来年度から第6期科学技術・イノベーション基本計画が動き始めます。共通して非常に大きな比重を持って取り上げられているキーワードとして、「人材育成」というワードが挙がっています。法人の中でも国立研究開発法人に共通するキーワードとして「研究開発成果の最大化」というものがあると思いますが、「人材育成」にも非常に大きな期待があり、「人材育成」というワードは、今のお話を聞いていてもあちこちの目標に散らばっていると思います。一方で、人材育成には3段階あって、まずは法人の中での人材育成、このコロナ禍の中で特に専門人材の育成というのは期待されていると思います。そしてそれ以上に国として科学技術基本計画等の中で期待されているのは、国内の人材育成、更にはグローバルな人材育成です。今回はコロナ禍ということでIT系の専門人材の育成に焦点が当たり過ぎてしまっているかなという気はしていますが、色々な分野での国内の人材育成、特に研究開発法人もそうだと思いますし、普通の法人でも色々な研修システムをお使いになって、国内での人材育成においてはかなり期待されているかと思いますので、その辺りにもう少し光を当ててもいいような気がしました。少し長くなりましたが、これが一つ目です。
二つ目ですが、厚生労働省関係でNC6法人が取り上げられています。今、新型コロナウイルス感染症のことで理研の富岳を使ってかなり色々な成果がアピールされていると思いますが、富岳は製薬など色々な分野で幅広いビッグデータを使うというようなことを期待されて動かされているものなので、是非ともNC6法人については、NC間で連携をとるだけでなく、富岳のようなものとの連携も進めていただきたいというのが二つ目です。
三つ目、農林水産省関係について、現地でもIT化のことを大分言わせていただいたのですが、日本の農林水産業ではノウハウをいろいろお持ちだと思うので、是非IT化を強力に進めることによってノウハウの見える化をしていただき、更にそれを日本のために役に立てていただくということを考えていただきたいなと思っています。
最後に森林研究・整備機構についてです。防災の観点から言いますと、災害復興や災害対策において非常に大きな問題になっている一つに流木があります。森林研究・整備機構に行ったとき、林野庁関係の非常に狭い範囲に視野が狭まっているのではないかと感じました。是非この中長期目標の中でも、林野庁だけではなく、例えば防災分野ですとか、土木の分野など、国土交通省関係をはじめ、他の分野などとも幅広に連携して、視野を広く持って日本全体のことを考えていっていただけるような目標にしていただけるといいなと感じました。
以上、4点言わせていただきました。よろしくお願いします。
【樫谷部会長】 天野委員、ありがとうございました。4点につきまして事務局から何かございますか。
【山本管理官】 人材育成の関係、ごもっともでして、各法人も主務省も意識していただいていると思います。例えば、共通の留意事項のNICTの例ですが、「産官学連携による共同研究等を通じた専門人材の強化」や、「連携大学院協定等によるNICTの職員の大学院・大学での研究・教育活動への従事」、「国内外の研究者や学生の受入れ等を推進」するということで、各法人濃淡はあれどもこういったことを書いてきていただいていると思います。また、先生の御指摘については、各主務省、法人にもお伝えしていきたいと思います。
また、富岳の連携やICTを使っての見える化、あるいは森林研究・整備機構における他機関との連携についても御指摘はごもっともと思いますので、問題意識など主務省、あるいは法人に伝えていきたいと思います。
なお、森林研究・整備機構における防災の関係については、森林研究・整備機構の目標の中に山地災害や森林気象害の予測、防止及び被害軽減のための技術の高度化を図るといったことも記載されておりますので、主務省も問題意識は持っているかと思っております。
事務局からは、以上です。
【樫谷部会長】 天野委員、どうですか。よろしいでしょうか。
【天野委員】 いくら目標に書き込んでいただいても、やっていただけないと問題なので、しっかりと問題意識を伝えていただいて、実行していただけるといいなと考えています。よろしくお願いします。
【樫谷部会長】 確かにそうですね。計画にちゃんと落としていただいて実行していく、それが一番大事だと思います。天野委員の御指摘のとおりだと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、ほかにいらっしゃいますか。原田委員。
【原田委員】 私からいくつかコメントをさせてください。一つは全般的なコメントですが、今回、たくさんの法人に関して次期の中期又は中長期目標策定に当たっていくつかの留意事項を我々としてお示しし、御意見をいただいたわけですが、目標期間が2期、3期、4期と増えていきますと、どうしても目標そのもののボリュームがかなり大きくなってしまうということがあるかと思います。また、先ほどの議論にもありましたけれども、目標期間中に新たな目標の変更案が出てくるということも考えられます。そういう意味では目標というのは、どうしてもどちらかというと増えていく方向にもシフトしていくのかなと思います。そういった中でも、今回、環境省の国立環境研究所については、法人が優先的に取り組むべき課題及び期待する成果を目標に明示するべきという意見に対し、対応してくださったわけですけれども、他の法人においてもこうした対応というのが今後も必要になるのかなと考えます。
もう一つは、組織の在り方について、前回も議論いたしましたNCの6法人に関連してですが、「疾患横断領域における連携推進」の項目において、6法人共通の目標を掲げ、評価軸等を設定するという取組は、大変画期的な取組であろうと思います。もちろん、実際の事業の実施方法及び評価の方法、更には会計処理の方法といった細かなところまで新たなチャレンジが続くことになりますが、私といたしましては、このような、法人に共通する業務について、連携してPDCAを回していくことを目指す積極的な取組を注視してまいりたいと思います。
以上でございます。
【樫谷部会長】 ありがとうございました。
事務局から、原田委員から御指摘の2点について何かございますか。
【山本管理官】 先生の問題意識について、主務省の方で、一定の評価ができるような目標を検討していただいておりますが、今後評価をしっかりと実施していくことや、それをまた次の取組等にどうつなげていくかが重要であるということだと思います。そのような問題意識につきましては、主務省に伝えていきたいと思います。
【樫谷部会長】 ありがとうございました。
原田委員、よろしいでしょうか。確かに御指摘のとおり、法人への要求が多くなることに伴い、目標も増えてしまいますので、スクラップ・アンド・ビルドの実施も検討していく必要があると思います。予算や人員の確保などの難しい部分もあるかと思いますが、原田委員はどうお考えでしょうか。
【原田委員】 やはり業務ごとにメリハリをつけていくことが重要であると考えます。もちろん主務省におかれましては、目標の追加に見合ったリソースを確保していただく努力というのは当然でありますけれども、いつも予算や人員を確保できるわけではないということを考えると、やはり業務ごとに重要度を付し、次の目標期間に何を重点的に行っていくのかということを示していくということが差し当たっての対応なのかなと思いました。
【樫谷部会長】 ありがとうございます。御指摘のように、法人には業務ごとに重要度を付し、メリハリをつけて業務を行っていただくということが共通の取組として重要ということですよね。
栗原委員。よろしくお願いします。
【栗原委員】 共通留意事項部分への主な対応状況に基づいて発言させていただきたいと思います。共通留意事項及び法人ごとの個別留意事項について、各法人が次期目標案の中に盛り込んでいただいたことを、前向きに評価しております。ただ、その中で少し物足りないと思うことが、共通留意事項への対応において、2点ありますので、申し上げたいと思います。
一つ目は、最初にございます新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、今後の業務の在り方をデジタル技術等も使いながら積極的に見直していってほしいという点に対しての法人の目標案の記載ぶりについてです。ピックアップしていただいたものを拝見しますと、例えば、研修系の法人を見てみると、研修方法をオンラインとリアルをうまく組み合わせながら活用していくというような、業務の実施方法等にオンラインを取り入れるということが記載されていますが、デジタル技術の活用及びDXを意識するということは、そういった業務の実施方法への導入ということだけに限らず、留意事項として記載しておりますように、新たな価値を創造するということにつなげる絶好の機会だと思っています。
そこで、例えば国立女性会館が記載していただいているような、これまで参加できなかった人たちを新たに参加層として取り込めるようeラーニングやオンライン研修等による教育・学習支援を行うことや、博物館系の法人の場合には新しい作品鑑賞のサービス等を提供するというような取組については、その好事例であり、新たな価値を作るという観点から良い機会と捉えて考えていただきたいと思います。その他にも、例えば、各組織間の連携も、よりこういったデジタル化が進むことによって活発化させることが出来ると思います。共同でプログラムを利活用することや、業務基盤の共通化などの取組もできると思いますので、デジタル化と各機関間の連携を前向きに捉えて、新しい価値の創造につなげていくことをお願いしたいと思います。
それから、二つ目は、施設の在り方について計画的に検討するという点です。こちらについては、施設の在り方だけではなく、研修系の法人での連携の仕方というところにも関わってきます。各法人では連携を検討、あるいは共同利用の可能性を検討という、検討するという記載ぶりにとどまっていて、連携する、あるいは共同利用の機会を増やすというような、そこまで踏み込んだ記載ぶりではありませんでした。施設の共同利用など、施設の在り方を検討することについては、法人を改廃すべきということに言及しようとしているのはなく、むしろ、時代に即し、法人がより機能を発揮するために、どういう施設の在り方がいいのか、今の施設保有が負担になっていないか、業務により付加価値を出していくための施設とはという観点から、この点を見直していただきたいと思います。
検討から施策の実施へと着実に進めていただきたいと思いますが、そのためには、各法人単独ではできないので、是非主務省において、主務省と法人とが共同で検討する場を作っていただいて、より良い連携の仕方、あるいは施設の在り方というのを考えていっていただきたいと思います。
【樫谷部会長】 ありがとうございました。
ただいまの栗原委員からの御発言について、事務局から何かございましたらお願いします。
【山本管理官】 法人がより付加価値を創出していく必要があるということは、まさに御指摘のとおりかと思います。コロナ禍において、今までのやり方が通用しないため、デジタル技術を活用して業務の実施方法等を工夫するといっても、単に実施方法を変えるだけではなくて、新たな価値を創造するDXを意識するというように留意事項でも御指摘いただいておりますので、是非法人にもそれは意識して業務を行っていただきたいと思います。また、栗原委員がおっしゃっている施設の在り方につきましても、法人それぞれが個々で検討するだけではなかなか取組は進みませんので、是非我々としましても、主務省において、主務省、法人が共同で検討する場を設けて、検討を進めていくということは求めていきたいと思いますし、その進捗状況についても事務局としてもフォローしていきたいと思います。
【樫谷部会長】 ありがとうございました。高橋委員。
【高橋委員】 私どものお示しした留意事項を、十分に考慮した上で、次期目標案への対応をされているということは非常によく分かりました。ただ、一つ心配なのは、いろいろ記載していただいてはいるのですけれども、やはり目標の実効性を上げるためにも、評価や効果検証につながるような道筋を立てて次期目標を策定していただきたいなと思っております。
といいますのは、私は、美術館、博物館系の3法人を主に担当したのですが、デジタルコンテンツの開発等にイノベーティブに取り組んではどうかという留意事項への対応について、実施予定である取組や既に実施している取組を色々と記載されていますが、実際にその取り組んだ結果をどう評価していくかが重要であると考えます。美術館系の法人だけではなく研修系の法人などにおいても、今まで来館者数や利用者数等の数値を評価していく面があったと思うのですけれども、デジタルコンテンツ等に関わる取組になってきますと、また評価の尺度が非常に違ってくるのではないかということを感じております。
そのため、既存のサービスの向上に係る取組ですとか、新しい生活様式に沿った事業展開というのは分かるのですが、そうした取組を実施したことで、どういうふうに実効性が上がるのか、国民からどのように評価されているのかということを見ていく必要があるということを目標策定の段階から十分に意識して、プロセスの見える化を図っていただきたいと思っております。
それから、デジタルコンテンツについては、収益性の確保が難しいという面もあると思います。ICT人材の育成を含め、ものすごくお金がかかりますが、開発したコンテンツ等を収益に結びつけていくということが非常に難しいのではないかと思っています。例えば国立美術館では、クラウドファンディングを活用して資金獲得をしたいということが記載されています。また、国立文化財機構では、引き続き展覧事業のサービスの向上に努めて安定的な自己収入の確保を図るということを記載してありますが、来月諮問される目標案では、もう少し踏み込んで記載していただけるのだろうと思っています。
少し話が横にずれますが、国立文化財機構に関しては、先日、私が利用している銀行から、東京国立博物館の展示作品のバーチャル画像・映像が閲覧できる案内が送られてきたということがありました。また、銀行を一定以上の利用している会員に関しては、無料で利用できる範囲や博物館内のレストランの割引があるということ等も併せて案内されておりました。おそらくそういった取組は当該銀行が国立文化財機構の賛助会員であることを端緒として始まった取組であると思いますが、実際に見てみると学芸員さんの解説を含め、内容が非常に充実しており、新型コロナウイルス感染症がある程度収まったら、是非博物館に直接行ってみたいなと思うような内容でした。
そういったコンテンツがどういう過程で作られたものなのかはよく存じませんけれども、現在、企業においてもSDGsに係る取組を考えているところも多くありますので、法人においてもそういう工夫したコンテンツの開発等を行い、企業と上手くコラボしていくと自己収入の確保や法人が実施している取組に対しての国民の認知度の向上につながっていくと思います。細かい部分のお話になりましたが、目標の実効性を上げていくことを念頭においた目標設定をしていただきたいと思います。
それからもう1点、ICT人材の育成についての話ですが、確保するということは色々な法人で記載しているのですが、その確保の方法の部分で、先ほど天野委員からは法人に求められる3段階の人材育成というお話がありましたけれども、私もまた少し別の観点から申し上げますと、法人はそれぞれ独自の知見や専門分野を持っていらっしゃるわけなので、その中にいる人にICTの知識をつけていく方が良いのか、あるいは、外部からICTの知識がある人材を登用して、その人たちに法人の専門分野に係る知識をつけていただくほうが良いのかという点について十分に検討していただいて、どちらか絞らなければならないということではないと思いますが、将来的にどうしていくのかということも含めて人材の確保、育成の計画を立てていただく必要があるのではないかと感じました。
【樫谷部会長】 ありがとうございました。
今の高橋委員のご発言につきまして、事務局から何かございますか。
【山本管理官】 今回、デジタル化をやっていく中でどのようにその評価を行うのか、プロセスを見える化していくのかということについては、法人もなかなか試行錯誤されている部分ではないかと思います。例えば先ほど高橋委員が言及されておりました美術館系の法人ですと、今まで来館者数で評価の指標が立っておりましたけれども、そちらを参考指標に変更して、企画展の開催数とか、あるいは来館者の満足度を指標として、目標の達成度合いを測る形にしております。
ただ、一方で、それらの指標でどこまで実際の効果が測定できるのかどうかという点については、今後も色々と工夫していく必要が確かにあるのではないかと考えます。事務局としても良い答えを持っているわけではないのですけれども、今後も考えていく必要があると思います。
また、例えば今まで施設に来訪していただき、お金を払って観覧していたコンテンツをデジタル化し無料で見ることができますとしてしまいますと、高橋委員がおっしゃるように収益が上がらなくなってしまいます。そのため、デジタル技術を活用した場合にどう収益を上げるのかということについては、やはり色々と工夫をしていただく必要があるのかなと思います。
さらに、ICT人材の育成につきましては、高橋委員御指摘のとおりでございまして、特に法人だけではなく、世の中全体としてICT人材をどう確保するかということが課題であり獲得競争がされている中で、どのように育成・確保していくのかというのは、よく考えて、取組を講じていく必要があるのではないかと思います。以上でございます。
【樫谷部会長】 ありがとうございます。浜野委員。
【浜野委員】 それぞれの留意事項に対して御対応いただいた点については非常に感謝しています。その上で、先ほど栗原委員がおっしゃったように、このコロナ禍後にどのような新たな価値を創造していくかということが、法人が喫緊の課題として考えなければならないところではないかと思います。そういった意味では、全体的に非常に無難な感じには収まっているのですけれども、より各法人の理事長がリーダーシップを発揮していただいて、新たな価値を創造するような事業、成果を創出することを目指してチャレンジするような余裕も欲しいなと思いました。全ての事業に力を入れるというわけにはいかないと思いますので、理事長等が少し余裕を持って、新たな価値を創造できるような連携・活動ができるように、実施する事業の中でも重要度をつけていただきたいと思います。
そういった意味では、現在、新型コロナウイルス感染症により、海外との交流が非常に狭まっていますが、逆に中国のようなところでは、様々なネットワークを駆使して国内外の情報を取り入れ、発信するような取組を積極的にやっているわけです。日本もやっていると思うのですけれども、今以上にやはり海外の関係の情報収集・発信に各法人にも取り込んでいただきたいと思います。デジタル技術等を活用すれば、色々な取組ができると思いますので、工夫を重ねていただき、法人の活動をより発信していただきたいと思います。更に言いますと、テレワークによる在宅勤務も増えていると思いますので、働く役職員の方々が、法人のミッションは何であるかというような根本的なところを見失わないように是非理事長には、法人内部に向けてもそうしたところを発信していただき、法人職員の活動がよりパワーアップできるようにより一層の工夫をお願いしたいと思います。以上です。
【樫谷部会長】 ありがとうございました。
今の浜野委員のご発言につきまして、事務局から何かございますか。
【山本管理官】 浜野委員の御指摘はごもっともで、目標に記載して終わりではなく、具体的にどのような取組を講じていくのかということが重要であると思います。また、昨年の12月の委員会の際にも、そういった取組については積極的に評価をしていただきたいという趣旨のコメントを委員会からも出させていただいておりますので、それらを踏まえて、法人においては、失敗を恐れずに是非色々なことにチャレンジしていただきたいと思います。
【浜野委員】 よろしくお願いします。
【樫谷部会長】 ありがとうございました。
いずれにしても、法人だけでできることにも限界があると思いますが、今、委員の皆様方から御指摘をいただいたように、新しい価値を創造するということになりますと、大きな目標として取り上げないといけないと思いますので、その点は主務省と法人とでしっかりと議論していただきたいと思っております。
ほかにご発言はございませんでしょうか。全体を通して、主務省におかれましては、昨年12月に委員会が示した留意事項に沿って、おおむね対応いただいていると思います。特に今年は新型コロナウイルス感染症への対応で浮き彫りになったデジタル化・オンライン化の遅れに対応し、新しい日常の下でも法人がその役割を確実に果たすとともに、より高みを目指していきたいということをお願いしておりましたが、新型コロナウイルス感染症が法人に与えた影響を踏まえて、デジタル技術を活用した業務手法等の見直しを行うことについて、多くの法人において取組の端緒となる記載を盛り込んでいただいているところであります。是非これらの取組について、法人において中期計画等で具体化し、皆様方からも御指摘がありましたように、計画に沿って着実に取組が進むよう、主務省におかれましても、法人の取組を積極的に評価していただきたいと思っております。
各委員から御意見、御指摘があった事項につきましては、限られた時間の中ではありますが、各府省において引き続き御検討いただきたいと思います。事務局におきましては、本日の議論の内容を各府省によく伝えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【山本管理官】 ありがとうございます。各委員からいただいた御意見については、ある意味では、失敗を恐れず、色々検討していっていただきたいという趣旨の激励と思いますので、その点について、よく各府省に伝えていきたいと思います。
【樫谷部会長】 貴重な御意見をたくさんいただきましたので、よろしくお願いしたいと思います。
次に議題3でございますが、役員の業績勘案率の点検結果について、審議を行いたいと思います。本議題につきましては、資料に個人情報が入っておりますので、会議及び資料は非公開としたいと思います。傍聴者への中継は、ここまでとさせていただきたいと思います。
(傍聴者退室)
【樫谷部会長】 では、事務局から説明をお願いいたします。
【方企画官】 企画官の方でございます。それでは、業績勘案率について説明します。業績勘案率は、主務大臣が0.0から2.0の範囲内で法人の業績評価に応じて決定するもので、総務大臣決定である業績勘案率の算定ルールに基づき、算定することになっております。既に御存じのものかと思いますので、ここは省略させていただきます。本日は資料にございますように42法人、75件について御審議いただきますが、私からはこのうち加算要因や減算要因がある案件について説明します。他の案件につきましては、算定ルールどおりの計算となっていますので、省略します。
それでは、国際協力機構の理事についてでございます。機構において長く調査研究や研修事業に携わった経験やアフリカの経済開発に関する貢献に対しイニシアティブを発揮した先導的な業績があり、法人に対する特段の貢献が認められるとして0.1加算するものでございます。特に功績の大きかった3点について、例えば、JICA開発大学院連携の創設及び発展に大きく貢献したとありますが、これについて事務局から外務省に詳細を聞き取りましたところによりますと、その経験、人脈を生かして最も重要な課題であった協力大学との調整を主導し、結果として国内の19大学からの協力を取りつけ、同連携創設に大きく貢献したこと、また、年度計画で求められていた事業創設にとどまらず、これまでアフリカの産業人材育成に係る民間企業等の連携に携わってきた経験を活かし、開発途上国のリーダーとなる留学生と我が国の財界、企業関係者とのネットワーク構築の機会を提供し、本事業の意義を高めた点を特段の貢献であるとしているということです。
それでは、次でございます。先ほどの加算案件以外の9件は全て減算をする案件でございます。まず宇宙航空研究開発機構でございます。宇宙航空研究開発機構では、X線天文衛星「ひとみ」の運用異常事象が発生しまして、衛星が機能回復することが期待できない状態となりました。その運用異常対策本部の調査では、i)衛星の初期運用段階のリスクを過小評価し、システムとしての安全性を欠く結果を招いたこと、ii)運用計画書、手順書・マニュアル、要員の訓練等の運用の準備に対する重要性を過小評価して計画書や手順書の整備や運用訓練が不十分だったこと等が報告されたことを受け、関係者である理事長、副理事長及び担当理事に厳重注意処分が行われた点に鑑み、0.1減算するものでございます。
さらに、宇宙航空研究開発機構では元理事がコンサルティング業者から飲食接待等を受け、収賄容疑で逮捕、起訴され、令和元年12月に単純収賄で有罪判決を受けた事件につきまして、当該理事の任命責任を問われた理事長について、0.1減算となっており、理事長につきましては、計0.2の減算となっております。
次に海洋研究開発機構でございますが、CO2センサー搭載型漂流ブイの製作契約で、監督及び完了検査が適正でなかったため、仕様を満たさないなどのブイが納入されていたにもかかわらず、契約金額全額を支払っていた事案が会計検査院の決算検査報告において不当事項として指摘され、法人の信用失墜が生じたこと、また、会計検査院の決算検査報告が令和2年11月であったため、在職期間に係る業務実績評価に反映されていないことなども考慮しまして、理事長の業績勘案率を0.1減算するものとなっています。
次に年金積立金管理運用独立行政法人でございます。当法人では、監査委員会の調査及び経営委員会の審議・議決の結果、理事長が疑念を招きかねない行為を重ねた上、内部通報扱いを速やかにせず、迅速な対応を怠ったと判断されまして、令和元年10月に減給処分が行われています。こちらを勘案しまして0.1減算するものとなっております。
次に水産研究・教育機構でありますが、不適正な経理事案や水産大学校のサーバーに保存されていた個人情報等がインターネット上で閲覧可能な状態となっていたという情報セキュリティに関する不適切事案、研究論文の図の一部を改ざんする研究不正が発生しておりました。これらの事案の発生を踏まえ、理事としての指導的役割が不十分であったと判断し、0.1減算するものでございます。
最後に産業技術総合研究機構の事案でございます。産業技術総合研究機構の主たる情報システムでありますクラウドサービスを利用するメールシステムと独自に構築する内部システムの双方に順次不正なアクセスが行われ、i)職員のログインIDの窃取、ii)パスワード試行攻撃によるパスワード探知、iii)職員のログインID、パスワードを用いた内部システムへの不正侵入等の一連の不正行為が行われたことも明らかになり、業務遅延を招く等、業務運営に大きな影響を与えたため、理事長、副理事長及び担当理事の業績勘案率を0.1減算するものでございます。
以上、算定ルール等に照らしまして意見なしの案とさせていただいております。なお、今回の説明は以上でございますが、鉄道建設・運輸施設整備支援機構におきまして、北陸新幹線整備事業について、工期の遅延と事業費の大幅な増嵩が見込まれることが明らかになったことから、国土交通省において外部有識者から成る「北陸新幹線の工程、事業費管理に関する検証委員会」を設置し、今般の工期遅延、事業費増に至った事実関係の検証を行いました。その結果、令和元年度の時点において既に、法人における工程管理、事業費管理の体制やルール、あるいは関係者との情報共有の在り方に重大な課題が存在していることが明らかとなったため、整備新幹線事業の工程管理及び事業費管理の項目について、抜本的な改善を求める必要があると認められる状況に至ったとして、昨年、令和2年の12月22日に国土交通大臣において、令和元年度評価の見直しを行い、その結果を踏まえ、理事長に対して業務改善命令が発出されております。以上のとおり令和元年度評価が見直されたことから、2月に開催する委員会において改めて令和元年度評価を御審議いただいた後、評価部会において業績勘案率を審議する予定となっております。
以上でございます。
【樫谷部会長】 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、何か御意見、御質問ございましたら御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。今回、理事長として対応が難しい事案もございました。宇宙航空研究開発機構は元理事による収賄事案だったのですが、では、理事長はどういうことをすれば良かったのかというような点もありますが、結果任命責任ということで減算となったということであります。あとは外務省の国際協力機構も年度評価だけでは評価できない貢献があるということで、加算となっているということだそうでございます。御発言はよろしいでしょうか。
それでは、先日の委員会でも御議論いただきましたように、新型コロナウイルス感染症への対応を通じて明らかになった課題を克服し、「新たな日常」においてその役割を果たしていくためにも、理事長をはじめとする法人役員によるトップマネジメントの取組が大変重要であると考えております。各法人の役員には積極的に改革に取り組んでいただきたいと思いますし、主務大臣におきましても、その取組を積極的に評価していただければと思います。
一方、法人の公的な性質を踏まえれば、役員の業績の退職金への反映の度合いにつきましては、主務大臣において適切に説明責任を果たしていただく必要があります。特に法人の業務実績評価の評定による算定結果に加えて、法人の役員に対する特段の貢献が認められることを理由として、業績勘案率の加算を行う場合には、今、事務局から説明がありましたように、加算の理由とするその役員の特段の貢献につきまして、評価による算定では十分反映できていないといえる要素は何なのか、具体的かつ明快に説明していただきたいと思います。こちらについては加算してはいけないと言っているわけではなく、明快に説明していただきたいということでございます。主務大臣におかれましては、委員会への算定根拠の通知に当たりましては、そうした点も意識していただくよう、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、本件につきましては特段の意見なしということで整理させていただきたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【樫谷部会長】 ありがとうございます。それでは、本件につきましては、意見なしと整理させていただきたいと思います。事後の処理につきましては、部会長の私に御一任いただくこととさせていただきます。
それから、最後になりますが、次回について事務局から御説明をお願いいたします。
【山本管理官】 次回の委員会につきましては、2月18日の木曜日、14時から開催を予定してございます。目標変更の諮問案件もまた複数見込まれますので、同日15時頃から併せて評価部会も開催させていただきたいと思っております。開催場所等につきましては、また追って御連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【樫谷部会長】 これはウェブ会議になるかどうか、まだ決まっていないわけですね。
【山本管理官】 基本、ウェブ会議形式とさせていただきたいと思ってはおりますが、また状況を踏まえながら御相談させていただきたいと思います。
【樫谷部会長】 はい。ありがとうございました。
それでは、お忙しいところ大変ありがとうございました。以上をもちまして、第40回独立行政法人評価委員会評価部会を閉会したいと思います。お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございました。
(以上)

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