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第44回独立行政法人評価制度評価部会 議事録

日時

令和3年7月8日(木)15:30〜16:30

場所

ウェブ会議にて開催

出席者

(委 員)原田久評価部会長、高橋伸子評価部会長代理、天野玲子委員、金岡克己委員、島本幸治委員、浜野京委員、南雲岳彦臨時委員、河合晃一専門委員、清水剛専門委員、横田響子専門委員
(審議協力者)樫谷隆夫 樫谷公認会計士事務所所長
(事務局等)阪本官房総括審議官、方管理官他

議事

  1. 中(長)期目標の変更について(諮問案件)
  2. 「独立行政法人制度改正フォローアップ調査」の結果について(速報値)
  3. 役員の業績勘案率の点検結果について【非公開】

配布資料
資料1-1PDF
資料1-2PDF
資料1-3PDF
資料2PDF
各府省から通知のあった業績勘案率PDF

議事概要

【原田部会長】 ただいまから第44回独立行政法人評価制度委員会評価部会を開催いたします。
議題1の中(長)期目標の変更について、審議をお願いしたいと存じます。では、事務局から御説明よろしくお願いいたします。
【鳥海管理官】 私から、まず産業技術総合研究所(産総研)の目標変更案につきまして、御説明をいたします。今般の主な変更点は、産業競争力強化法等の改正に伴う産総研の機能強化など4点でございます。
まず1点目は、イノベーションを支える基盤の強化です。具体的には、先月、産業競争力強化法等が改正されまして、産総研が保有しています研究開発施設等を、新商品・新サービスの開発等の新たな事業活動を行う者の利用に供する業務が追加されたことに伴う変更でございます。
この業務追加は、産総研がオープンイノベーションの拠点として、半導体等の先端技術分野に係る国内外からの高度人材や投資を呼び込み、そこでの活動を通じて新たな事業の開拓、事業再編による新たな事業の開始等が行われることで、我が国の産業競争力の強化が図られることを狙いとするものでございます。
2点目は、出資業務における対象事業者の追加です。具体的には、科学技術イノベーション活性化法等の改正によりまして、法人発ベンチャーのほか、法人の研究開発成果であるライセンス管理や民間との共同研究等のコーディネートを行う成果活用支援法人に対する出資が可能となったことに伴う変更でございます。
3点目は、新型コロナウイルス感染症への対応です。具体的には、政府の要請等を踏まえまして、コロナ対策につながる研究開発等を迅速、機動的に実施するため、目標に所要の追記を行うものでございます。
4点目は、オープンイノベーション拠点の整備です。具体的には、昨年度の第3次補正予算によりまして、産総研の地域センターに、マテリアル分野に関わる分析装置等を設置しまして、拠点を整備するということに伴う変更です。
この業務追加は、拠点に設置をしました設備等を活用することによりまして、中小ベンチャー企業をはじめとする民間事業者のマテリアル製品の社会実装を支援することによりまして、イノベーションを促進し、日本のマテリアル産業の国際競争力を強化することを狙いとするものでございます。
続きまして、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の目標変更案について御説明をいたします。
この事業は、昨年度の第3次補正予算によりまして、「グリーンイノベーション基金事業」の関係で、NEDOに基金が設置をされたということで、本年2月にその目標変更を行ったところでございますけれども、その後、主務省におきまして、この基金事業に関わる基本方針が策定をされ、NEDOの役割等が明確化さたことに伴いまして、今般の変更では、この基金事業に係る評価軸及び評価指標を設定するものでございます。
具体的には、NEDOの主な役割としまして、基金の管理運用のほか連携先・支援先の紹介といった実施者に対する事業推進支援、また、プロジェクトのモニタリング結果の公表、国内外への戦略的広報・イベント開催といった事業のマネジメントに係る内容が中心でありますことに加えまして、現行の目標期間が来年度末で終了するため、この目標期間中は、基金事業の立ち上げに特化したような業務が中心となりますことを踏まえまして、今般の目標変更におきましては、この基金事業に関わる技術開発マネジメントや広報活動に係る取組状況を評価軸として設定するとともに、産業構造審議会の下に設置されます分野別ワーキンググループが、NEDOの貢献度を評価した評点を評価指標として設定するものでございます。
以上が、NEDOの目標変更案の概要でございます。
続きまして、中小企業基盤整備機構(中小機構)の目標変更案について御説明をいたします。
今般の主な変更点は、新たに中小企業等事業再構築支援促進事業を実施することによるものでございます。具体的には、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上げの回復が期待しづらいという中で、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、中小企業の事業再構築を支援することによりまして、日本経済の構造転換を促すというために、昨年度の第3次補正予算によりまして、中小機構にこの事業に係る予算として、事業再構築補助金が措置されたところでございます。
この事業は、コロナの影響で売上げが減少した中小企業や中堅企業等を対象としていますけれども、事業再構築に取り組む事業計画を、法律に基づいて主務大臣が認定した支援機関と策定することが、申請の要件となっている点が特色でございます。
今年度から新たに本事業を実施することに伴いまして、この中期目標に事業再構築支援の細目を追加するとともに、指標3−5を設定することとしております。 以上が中小機構の目標変更案の概要でございます。
私からの説明は以上でございます。
【原田部会長】 ありがとうございました。経済産業省所管の3法人についての目標変更でございます。御意見・御質問がございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言をいただけますでしょうか。
それでは、私から1点だけ、この3法人に関連した発言をさせてください。法人が専門性や人材などの強みを生かして、困難な社会問題の解決に向けて、チャレンジングな事業に積極的に取り組んでいくことは、非常に重要なことだと認識しております。
他方で、大半の法人には公費が投じられているわけでありまして、この点を踏まえれば、事業の実施が適切であったかどうかを分析・評価するとともに、国民に対する説明責任を果たしていく必要があるかと存じます。
昨年末の話でありますが、会計検査院からも繰越欠損金について指摘があったところでございます。主務大臣及び法人におかれましては、引き続き意欲的な取組を進めていただく一方、ガバナンスや国民への説明にもしっかり努めていただきたいというのが私のお願いでございます。
以上です。島本委員、どうぞ。
【島本委員】 3つ目の中小機構についてですが、コロナの状況も含めて、これからDXが加速していくと、例えば産業構造にも不可逆な流れがあると思うので、単なる延命だけではなくて、再構築が大事だと思うのですが、申請要件のうち「再構築」の部分について特にどのような配慮をしているか教えていただければと思います。
【原田部会長】 鳥海管理官、いかがでございましょう。
【鳥海管理官】 ありがとうございます。御指摘のとおり、事業再構築が、まさに今回の要件の事業でございまして、この右に事例も書いていますが、一つは業態転換という形で、今までの業態を、例えば居酒屋を弁当の宅配事業に転換するという話や、紳士服の販売業をネットのレンタル事業に業態転換という話など、事業の再構築に取り組むところを、申請の要件でポストコロナ・ウィズコロナに対応できる事業という形で仕組んでいるところでございます。
【島本委員】 ありがとうございます。
【原田部会長】 それでは、1点目の案件でございますが、「意見なし」ということで、御異議ございませんでしょうか。金岡委員、いかがでございましょうか。
【金岡委員】 過去のヒアリング等で法人にお伺いしますと、目標が増えていく一方、その人員は増えないということで苦労されている法人が多いと感じております。今回の目標変更も追加は良いのですが、お金が増えるとしても、人は急に増えないので、目標そのものを増やしていくのではなくて、スクラップアンドビルドしていくよう主務省に支援していただかないと、法人が業務の追加を受け止められなくなる、または業務の質が下がる等の恐れがあるのではないかということを、過去のヒアリング、理事長の皆様へのヒアリングを通じて感じた次第です。
今回も実質追加ですので、法人は業務を続けていけるのか疑問というのは個人的な意見として、委員会として指摘する必要があるのではという気がしております。あくまで個人的な意見でございます。
【原田部会長】 ありがとうございます。私も全く同意見でございまして、最近の傾向として、補正予算が措置されて、目標が法人に下りてくるという状況が続いているようでございます。当委員会はやはり関心を持っていくべきで、独法制度運用のポイントの一つと考えております。
【金岡委員】 ありがとうございました。
【原田部会長】 それでは、改めて皆さんに伺いましたとおり、「意見なし」という形で整理をさせていただきます。事後の処理につきましては、私に御一任をお願いいたします。
それでは、議題の2番目に参ります。制度改正フォローアップ調査の結果(速報値)について、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
【小野企画官】 制度改正フォローアップですが、平成26年の独立行政法人通則法改正後、6、7年たったということで、目標がワンサイクル経過した法人が大半というタイミングを捉えまして、制度改正の前後による変化を主務省及び法人に質問をさせていただいたというものでございます。この内容を踏まえて、制度運用の改善や、将来的な制度改正に向けた知見等の蓄積につなげていくことを目的としております。
まず、調査の概要を御説明差し上げます。調査時期ですが、今年の2月から3月にかけて、主務省にメールで、書面のフォローアップ調査を行ったところでございます。調査対象は87法人、主務省は114でございますが、1つの法人で複数の主務省を持っているところがございますので、主務省のほうが多くなっているというところでございます。それから調査事項ですが、IからVまでありまして、大きく分けますとIからIIIの部分が制度改正に伴うフォローアップ、アンケート調査の部分でございます。IV、Vにつきましては、内部統制の実態や監事監査の実態について、我々があまり承知しておりませんでしたので、フォローアップに併せて実態を把握したというところでございます。
続きまして、Iの1の(1)評価業務の業務量の変化です。まず、制度改正に伴って業務量がどう変わったのかという質問については、「変わらない」という意見が多数で、主務省で4割、法人で6割という状況でございました。
次に、(2)主務大臣の責任の下での一貫したPDCAサイクルの変化でございます。「強化された」という意見が主務省・法人ともに約6割、「弱くなった」という回答はなかったところでございまして、主務省の中には、プロセス全体を一貫して見渡すことが可能となったという意見もあったところでございます。
(3)評価結果の活用状況でございます。この評価ですが、令和2年度の年度評価と見込評価の活用状況について質問したものでございます。見込評価を実施した26法人、29主務省については、全てで主務大臣評価結果を「新目標の策定」に反映という回答だったのですが、「組織・業務見直し」に反映したのは31%、また法人において、「次期以降の計画の策定」に反映したのは54%、「業務手法の見直し」に反映したのは37%という状況も見られましたが、主務省で、「国の政策評価」、「政策の企画立案」に反映したのは1割程度となっていて、低いところもあったところです。
この点については、年度評価のみでしかもB以上と、標準以上という項目も多かったようで、見直さざるを得ない、または見直さなければならないといった項目が少なかったという話を主務省及び法人からも聞こえてきてはいますが、使いづらい箇所の有無について確認していきたいと考えているところでございます。
それから、2の法人類型の新設の関係でございます。制度改正に伴って、法人類型が3つできましたが、法人類型の新設による目標達成への寄与度については役立っているという意見が主務省・法人ともに過半数、大体5割という状況でございました。
法人類型別で見ますと、国立研究開発法人で「役立っている」という意見が主務省で6割、法人で85%と高くなっておりました。
(2)でございます。中期目標管理法人・行政執行法人とされたことによる影響についてですが、予算獲得等へのプラスの影響については、「どちらともいえない」という回答が多数で、「予算資金の獲得」、「主要業務」や「評価関連業務」といった点を確認したところ、「どちらともいえない」という回答が多かったという結果です。
行政執行法人については、「役立っていない」という回答が「調達・契約」及び「自己収入の確保」で比較的高い割合を示しているところがありまして、法人からは、例えば運営費交付金債務の翌年度の繰越しができないので、大型機器の購入、更新というのは困難という意見をいただいているところです。
ただ、この点につきましては、制度上、複数年契約も実施できることになっておりますので、どういう点が実務上難しいのかといった点を確認して、他の法人でうまく運用しているところがあれば、その情報を提供することが必要と考えているところでございます。
(3)の国立研究開発法人とされたことによる影響につきましては、「役に立っている」という回答が、「研究開発」で74%、「評価関連業務」で48%と高い傾向が見られました。
それから3、目標策定指針・評価指針の策定のところでございます。定量的な目標を原則お願いしていますが、定性的な目標とならざるを得ない事務についての有無を確認させていただいたところ、中期目標管理法人の主務省のうち56%、国立研究開発法人の主務省のうち49%で「ある」という回答がございました。
それから(4)ですが、中期目標管理法人と行政執行法人については、項目別評定において実績120%以上を「A」以上とする基準がありますが、主務省・法人ともに大半が「適当である」という回答をいただいているところでございます。
(5)です。国立研究開発法人については、「顕著な成果の創出」等が認められる場合に、「A」以上とするという基準を設けているところですが、この点についても主務省・法人ともに大多数が「適当である」という回答がございました。
(6)「B」より上の評定(SやA)が得られないものの有無でございます。この部分について、「ある」という回答したのは主務省で47%、5割弱、法人で58%、6割ということで、法人は主務省以上に「ある」と考えているという状況でした。
それから、主たる主務省、つまり当該法人の最も多くの業務を所管している87主務省と87法人を紐付けて比較してみたところ、「B」より上の評定(SやA)が得られないかという質問に対して、主務省では「ない」と考えている一方、法人では「ある」と考えているところが22%、逆に主務省では「ある」と考えている一方、法人は「ない」と考えているところが14%ありまして、意識のずれが見られたところでございます。主務省及び法人間のコミュニケーションを積極的に取っていただく必要があるのではないかと考えているところでございます。
それから、4としまして、独立行政法人評価制度委員会の取組や制度改正全般について、アンケートを取った部分でございます。(1)委員会の主務省ヒアリング等によるPDCAへの影響について、主務省はどの項目についても「変わらない」という回答が多数でございました。法人は、「主務省ヒアリング」、「理事長などマネジメント層へのヒアリング」、「年度評価等点検」について、委員会活動において行ったということで、主務省のPDCAサイクルが「強化された」という回答が5割強という結果がありました。
(2)独立行政法人評価制度委員会における専門分野の考慮状況でございます。民間経営ノウハウ等の専門分野への考慮状況については、「考慮されている」が主務省で5割、法人で6割強という状況でありました。
それから、(3)制度改正によるコミュニケーションへの影響でございます。コミュニケーションの「量」が増加したのは、主務省の5割、法人の59%、「質」が向上したのは、主務省の51%、法人の59%という状況で半数が多くなっていたところでございます。
II 国民に対する説明責任です。財務データの活用については、法人において目標と実績の差の要因分析の事例が「ある」という回答をいただいているのが主務省で71%、法人で82%。それから、事務事業のまとまりごとの財務情報等を活用したアウトプット単位当たりのインプット把握事例が「ある」と回答しているのが主務省の48%、法人の51%という状況で、活用しているという回答が高かったと感じているところでございます。
ただ、法人の中には自己評価は決算確定前に行うため、財務データを活用できないということを回答しているところもありましたので、そういった法人には他法人の活用例等をお伝えすることや、なぜ活用できてないのかという点を確認したいと思っているところでございます。
それから、広報の関係についても法人に質問をしております。どういうツールを利用しているのか確認したものですが、「WEBページ」や「twitter」、「YouTube」、「Facebook」を活用しているという回答がありました。
それから、広報に当たって外部専門家の知見についても、52法人(60%)が活用しているというところでした。
それから、III 法人の内部ガバナンス強化に関する事項です。1の(1)内部統制システムの整備による内部ガバナンスの強化については、制度改正に伴って内部統制システムの整備の規程や監事機能の強化の規程が盛り込まれたため、そういった点について確認したものでございます。
「必要な情報の伝達」・「監査」、「違法行為の防止」・「不正防止」、「リスク管理」については、目標達成について9割以上で役立っているという回答があったところです。
それから、監事機能の強化に伴う措置の実効性の確保について、「監事向け研修・啓発」を行っているという回答が9割の法人、「監事補佐体制」は84%、「監査費用の確保」は77%で確保されているという回答がありました。「主務大臣との意見交換」については、Vの監事の実態調査に関係する点でありますが、36法人(41%)という状況になっているというところでした。
この「主務大臣との意見交換」で、全く確保されていない16法人の理由を確認したところがあります。多くは主務大臣との意見交換と聞いてしまったため、事務方と意見交換していますと回答したところが多かったところですが、中には主務省ヒアリングの際、役員意見とともに監事意見を求められているが、監事監査報告の概要説明にとどまっており、実質的な双方向の意見交換はしていないため、全く確保されてないとしたという意見もありました。
それから、「監査費用の確保」であまり確保されてないという回答が6法人、7%ほどあるようでしたが、どういう状況かについて書面で調査しても経緯が分からず、法人に追加でヒアリング等をしてみないと分からないという状況でございます。
これまで制度改正のフォローアップのアンケートの部分で、「IV 内部統制実態調査」以降につきましては、その実態についてご回答いただいたところでございます。
まず法人の運営方針について、法人運営に関するビジョン等を含めた方針を策定しているのは当然で、役職員への周知も大体行われているところでしたが、一番大事な浸透状況の確認まで行われている法人は28%でございました。
それから、内部統制組織でございます。この部分について、このIVとVの調査項目については、独立行政法人通則法の改正に伴いまして、行政管理局長が内部統制システムの整備及び監事監査の実施状況について、通知を各府省に発出しております。主に本通知記載の方針の策定や体制の整備が実際どうなっているのかを確認する内容となっております。その上で2の内部統制に戻りますが、内部統制委員会については、代替している法人はありましたが、87法人全てで設置されておりました。リスク管理委員会も87法人全てで設置となっておりました。
それから規程の整備でございます。法令違反事案、防災業務計画、事業継続計画等の策定状況で、法令違反発生時の対応マニュアルを策定しているのは63法人(72%)。防災業務計画を策定しているのは85法人(98%)。事業継続計画も86%ということで多くの法人で策定されていますが、未策定法人も見受けられ、行政管理局長通知で求めておりませんが、今回のコロナ関係で感染症対策マニュアルを策定している法人は92%でありました。感染症対策マニュアルを除く3つの計画につきましては、行政管理局長通知で策定をお願いしているものであります。他の名称で策定され、内容が定まっていれば問題ないので、未策定と回答している法人に確認したいと思っております。
そのほか、例えば研究不正の防止ですが、国立研究開発法人27法人に確認したところ、(1)不正の防止の管理規程においては全ての法人で策定されていると。倫理教育についても全ての法人で実施されているという状況でございました。
それから、共同研究における情報の管理については、共同研究を実施している全25法人で共同研究契約を締結しているという回答でありました。
情報漏洩・ハッキング対策では、情報漏洩・ハッキング対策を含む情報システムの運用全般に関する規程については、87法人全てで策定されておりました。
V 監事監査の実態調査でございます。
1の(1)の監事の属性です。監事におきましては、複数名の設置が求められている点については、監事3名が7法人、2名が80法人というところで問題ございませんでした。内訳については、一番多いのは常勤1名、非常勤が1名という体制で、41法人(47%)でした。非常勤のみという法人もあり、非常勤2名が30法人という状況でございました。それから、独立行政法人通則法において公募による選任が望ましいと規定しておりますが、公募による選任を受けた監事については、21名(12%)でございます。
それから、監事を補佐する体制も重要で、監事室を「設置している」法人を確認したところ、32法人(37%)でござました。
それから、監事監査におきまして、監事室ではなく、その他の部局との連携も図られていることがありますので、内部監査部門の設置状況も確認しました。それについては、79法人(91%)で設置されているという状況でございます。監事監査における内部監査部門との連携の状況については、日常的な意見交換の頻度を確認しましたところ、週1回程度が20法人(25%)、月1回程度が39%で、中には監事監査要綱に連携を記載して、日常的な意見交換を実施しているという積極的な法人もあることが分かりました。
それから、費用の確保でございます。これは監査に要する費用を予め確保しているのかという主旨の質問で、確保していると回答があったのが72法人(83%)でございます。
それから、2、監査実施に関する状況の、(1)理事会への出席については、全ての法人で監事が出席されているとのことでございました。
それから、会計監査人との連携でございますが、法定監査のある法人は83%、任意で監査を受けているという法人が6%ということで、9割が会計監査人の監査を受けているという状況が分かりました。連携の内容については、会計監査人からの監査報告の報告聴取は全ての法人で実施されておりました。また、三様監査(監事、会計監査人、内部監査部門)を実施している法人も3つありました。
「3 監査報告に関する状況」は、監査報告書の作成・提出については全ての法人が主務大臣、法人の長宛てに行っており、公表も行われていたとのことでございました。
それから、主務省との意見交換について、主務省と意見交換したのは36法人(41%)となっており、少し低い割合という状況が分かったところでございます。
これを踏まえまして、追加確認をしたいと思っているところでございまして、法人等のヒアリング、もしくは質問形式の照会等を行っていきたいと考えております。
委員の先生には、本フォローアップを行うに当たり、どういった点に注目するのが適切かについて、御指導いただければと思います。
【原田部会長】 ありがとうございました。独法制度ができて20年ですが、独法制度の運用について初めての本格的な調査でございます。例えば、主務省・主務大臣中心のPDCA、法人類型や制度改正を狙った調査ということで、大変興味深い内容でございました。この場を借りて、アンケートにご回答いただきました主務省及び法人の皆様方にお礼を申し上げます。
ただいまの事務局の説明につきまして、御意見・御質問ございましたら、御発言いただけますでしょうか。浜野委員、いかがでございましょう。
【浜野委員】 御説明ありがとうございました。概ね予想していた結果と思うのですが、例えば、先ほどから少し話題になっている評価がAやC、複数年にわたって評価がCといった法人についても本アンケートで、例えば主務省・主務大臣との意見交換がない等、際立った傾向が出ているのでしょうか。そういった傾向があれば、改善の糸口になると思いますので、そのあたりについて教えていただきたいです。
【原田部会長】 企画官、どうでしょうか。
【小野企画官】 そこまで細かい点については、まだ確認が行き届いておりませんので、今後そういった点含めて検討していきたいと思っております。
【浜野委員】 ぜひよろしくお願いします。
【原田部会長】 では、天野委員、いかがでしょう。
【天野委員】 本アンケートを始める時にも申し上げたと思いますが、現在の独法制度となった際に一番重要視されたのは、理事長のマネジメント能力だったはずです。その影響で、事業報告書についても理事長がどのようなマネジメント方針で法人を運営していくのかをきちんと書いていただくようになっていると思います。
ですので、内部統制の項目に、理事長のマネジメント方針がどの程度行き渡っているのかについて記載していただきたいと思います。
中(長)期計画は、前の理事長の在任中に、前の期間の取組の評価に基づいて策定されますが、新しい理事長は、一応、大方の方向性については、前理事長が策定された中長期計画に従うけれども、社会的情勢等を加味しながら、自身のマネジメント方針で運営していくという成り立ちになっていたはずです。
なので、新しい理事長は、前の理事長が策定した中(長)期計画に基づいて法人を運営しないと考えていることも多いのですが、本来ならば、まだ新しい理事長が着任していない今の段階で、次期の中長(期)計画の目標値を具体的に設定できるはずがありません。そうしたことも考えると、やはり事業報告書の内部統制のところに、今の理事長がどういう方針でマネジメントしているのかを書いて欲しいと思います。
独立行政法人評価制度委員会の理事長ヒアリングは中(長)期目標期間の最終年度に実施していますが、理事長の中には、理事長のマネジメント能力をより発揮しても良いことを認識されていない方が何人かいらっしゃって、目標期間の最後にこうした考え方をお伝えすることには、若干懸念があるということは、以前から言われてきたと思います。
委員会が目標期間の最終年度に理事長とお話するというのは、色々な事情があってこのような形になったのだろうとは思いますが、新しい理事長は中長期計画に100%縛られるわけではなく、自身のマネジメント方針に従って成果を出していっていただきたいというメッセージはもう一度きちんとPRするべきではないかと思いますし、また理事長のマネジメント方針が内部統制の中でどの程度反映されているのかについて、実態を調べることが必要ではないかと思います。
私、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)で、国立研究開発法人の評価指針をつくったメンバーの1人として、2016年度はCSTIと国立研究開発法人とのパイプ役を果たしていましたが、その当時と比べるとやはり理事長のマネジメントや成果の社会実装という意識が薄れているような気がします。今の制度が始まって、事業報告書を作ることとした時の元の立ち位置に、委員会も含めて立ち返る必要があると感じました。
【小野企画官】 ありがとうございます。本フォローアップを通じて、当委員会でこれまで言ってきたことが法人及び主務省に伝わっていない点も見受けられますので、何らかの方法で、元の考え方も含めて伝えていくことも大事なのではないかと感じているところでございます。
【天野委員】 よろしくお願いします。
【原田部会長】 では続きまして、河合委員、いかがでしょう。
【河合専門委員】 まず、事務局の皆様には大変丁寧に速報の結果をおまとめいただきまして、御礼申し上げます。
先ほど浜野先生からも御発言があったように、特定の評価結果を受けている法人が、どのような特徴を持っているかを調べる点でも、貴重な回答結果になっていると思います。
例えば、全体の評価結果が厳しいものになりがちな法人があることに加え、Bより上の評定が得られない指標があると回答している法人が、中期目標管理法人及び国立研究開発法人においても存在していますので、どういった特徴を持った法人が目標設定の立て方として厳しいと感じていらっしゃるのかについて、より詳しく確認することができるのではないかと考えております。今後、事務局の方と御相談させていただきながら、私のほうでも調査結果について勉強させていただきたいと思っております。
なお、回答結果の中に無回答が幾つかありますが、これは法人内の前任担当者が異動等でいなくなってしまって分からないということで、無回答を選ばれていることが一部確認されております。選択肢の意味の解釈は注意すべき点ではありますが、法人及び主務省には大変丁寧に御回答いただいたと思っております。
【小野企画官】 ありがとうございます。河合先生、また御指導いただければと思っております。
【原田部会長】 続きまして、南雲委員、いかがでしょう。
【南雲臨時委員】 制度を導入するとアンケートをまず取って、ソフトランディングできていたのかを確認することがよくあると思います。今回のアンケートはそうした位置付けのものだと思いますが、そういう意味で言えば、大過なく一定の導入ができたと確認できたことは、プラスだったという印象を受けています。
その上で、先ほどから類型という言葉が出ていますが、やはりビジネスモデルによってSやAといった評定の重さの意味が違ってきます。芽が出るモデルと、失点だけを気にすべきモデルがあるため、そこはこれからよく確認したほうが良いと思います。
今回、制度の着陸度合を見るところから次のステップがついて回るものですが、つまり制度を深化させるために何をしたら良いかという点です。加えて、各法人のベストプラクティスの抽出と学習コミュニティーづくりがとても大切です。うまくやっている法人は何をやっているからうまくやっているのかという要点を全法人で共有するという、学習する組織に変えていく段階にぜひ入っていっていただけると、とても良いと思います。そうすると、定点観測が必要になってきますので、2年に1回等のタイミングに調査を行うことで、制度が深化しているか、または法人の学習が進んでいるかを把握していく段階に進んでいただければと思います。
もう一点、内部統制に関して、やはりコーポレートガバナンス・コードやCOSOのインターナルコントロールフレームワークに照らし合わせてどうかという判断をしないと、どこを歩いているのか分からず、良いか悪いか分からないと思うので、いわゆる世の中にあるフレームワークに照らし合わせてどうかという判断をするほうが良いと思います。
【原田部会長】 委員がおっしゃるとおり、私も同感いたします。当委員会は、これまで先進事例として、法人で興味深い取組事例を紹介してまいりましたが、我々があずかり知らぬと言うといけませんが、気づかなかった法人のいいところを抽出して、さらに深掘り、ヒアリングをしていき、委員会にお招きして意見を聞くことはあり得ると思っております。
他の点はいかがでしょうか、小野企画官。
【小野企画官】 御意見ありがとうございました。本フォローアップの内容ですが、最終的に、2月頃に、調査結果として最終的な報告をまとめさせていただきたいと思っております。その中で法人・主務省に取り組んでもらいたい話や、法人の良い話や良い状況が分かれば、併せて周知することも考えていきます。また、定点観測についても検討してみたいと思っております。内部統制につきましては、非常に重要な点を御意見いただいたと思っております。コーポレートガバナンス・コードCOSOの分類等について、勉強していきたいと思っております。
【方管理官】 内部統制の件につきまして、若干補足させていただきますが、内部統制を独法制度でつくる時に、御指摘のCOSOのフレームワーク等を参照して、統制環境、リスクの評価対応や統制活動等の点を独法版に解釈し直してつくったという経緯がございました。その当時、私も作成に関わったものなのですが、後ほど資料を送付させていただきます。
【原田部会長】 ありがとうございました。それでは清水委員、いかがでございましょう。
【清水専門委員】 正直、私は4月から参画しておりまして、経緯や中身自体が分かってないところもありますが、先日、水資源機構の話を伺った時に、本回答があると、先方がどう思っているかという対話の糸口になってすごく有用と思いました。目標や課題というと、なかなか本音を聞きづらい形式にもなっているので、会話の糸口にもなるように、ぜひ今後の法人訪問の際に対象法人の回答を見せていただきたいと思っております。
【原田部会長】 私も全く同感でございまして、法人ヒアリング、これから本格的にスタートいたしますが、実際に回答いただいている内容について改めて確認をし、ディスカッションする時間があってもいいかと思っております。
では、横田委員、どうぞ。
【横田専門委員】 ありがとうございます。フォローアップ調査から概ね制度改正が機能していることが読み取れ、さらなる改善に向け活用できる調査となっていることを大いに評価したいと思います。また、法人ごとの評価の活用状況が数値で見える化された点は、意義深いと思います。
その上で、本調査の活かし方、報告書をとりまとめるにあたり、今後への注文が2点あります。一点目は、国立研究開発法人が特に評価に役立っているという回答があり、法人のタイプに基づきさらなる分析があると良いと思います。
また二点目は、本結果は、是非各法人にも活かし内部で改善検討する一材料としていただき、グラフ化するなど内部説明に有効活用できるものとなればなおよいと感じました。例えば、活用方法として予算獲得や人事・雇用などに活かす法人がある点は注目すべきで、また監事補佐体制が遅れをとっている法人は直ちに整え、費用計上する動きにもつながるのではないかと存じます。
最後に、事務局の説明を伺うと、既に調査結果を基に法人へのフォローアップとして、良い事例を共有する等底上げのための活用を検討いただいているようですので、そうした検討にも期待したく、是非、重点的にフォローアップすべき項目と法人を洗い出しサポートをしていただきたいと存じます。
【原田部会長】 ありがとうございます。
まだ本日の調査は速報版でございますので、本日の議論を踏まえまして、また、これからスタートする法人ヒアリングの機会も生かしまして、議論を進めてまいりたいと存じます。例えば、目標及び評価の指針や、毎年度委員会で決定する法人及び主務省向けのメッセージに反映することもあっても良いと思っております。引き続き調査を進めていただいて、論点整理をよろしくお願いいたします。
それでは、本日、最後の議題でございます。役員の業績勘案率の点検評価について、本議題につきましては、会議及び資料は非公開といたします。
(傍聴者退出)
それでは、事務局から御説明よろしくお願いいたします。
【小野企画官】 業績勘案率について説明いたします。
本日は、医薬品医療機器総合機構の理事1名について御審議いただきたいと思っております。
当該理事は令和元年度中に退職した方ですが、本年3月になって、法人側の手続漏れにより業績勘案率の決定及び退職金の支給がなされていないことが判明したことから、今回、厚生労働省において業績勘案率が決定され、委員会に通知されたものです。
業績勘案率の値自体は資料を御覧のとおり、総務大臣が定めた算定ルールどおりの計算となっております。
一方、法人においては再発防止のため、本事案を監事等にも報告・相談して対応策を議論し、業務フローチャートが整備されていなかったことや、関係部局間の連携が不十分であったことの反省に立ち、概算払いを可能とする役員退職手当規程の改正、業務フローチャートの作成と関係者への共有、それから、部局間の意思疎通の明確化といった取組を進めることとしております。なお、先般公表された令和2年度業務実績に係る自己評価書においても、本事案について言及されておりました。事務局においても、改めて各主務省に対して注意喚起を図ってまいりたいと思っております。
【原田部会長】 ただいまの事務局の説明につきまして、御意見・御質問はございますか。支給漏れということでございます。
本件につきまして、天野委員、どうぞ。
【天野委員】 なぜ報告が漏れてしまったのですか。
【小野企画官】 単純な完全なケアレスミスと承知しています。発生原因は業務フローが未整備だったことや、関連部局間の連携が不十分だったことが挙げられています。令和2年3月に退職された理事の方から、令和3年3月に連絡があって発覚したということですので、完全なミスということかと思っております。
【天野委員】 分かりました。
【原田部会長】 主務省においてきちんと管理・監督するべきことなのだと思いますが、まず、しっかりマニュアルを整備してもらい、それを正しく運用しているかどうかチェックしていくことが非常に大事かなと思っております。
【天野委員】 自己申告していただいて良かったです。
【原田部会長】 言わないでずっとこのままだと恐ろしいことになります。
では、本件について特段の意見なしということで整理をさせていただきたいと思います。御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【原田部会長】 それでは、「意見なし」ということで整理をさせていただきまして、事後の処理については、私のほうに一任をお願いいたします。
最後に事務局から説明をお願いいたします。
【方管理官】 事務局、方でございます。8月中に諮問される目標案件がある見込みであります。持ち回りでの御審議をお願いしたい旨、ここでお伝えします。
【原田部会長】 それでは、以上をもちまして、第44回独立行政法人評価制度委員会評価部会を閉会いたします。本日は長時間にわたりまして御審議くださいまして、ありがとうございました。
(以上)

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