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第36回独立行政法人評価制度委員会・第49回評価部会合同会議 議事録

日時

令和4年4月8日(金)14:00〜15:30

場所

中央合同庁舎2号館8階 第1特別会議室(ウェブ会議併用)

出席者

(委 員)澤田道驤マ員長、梶川融委員長代理兼会計基準等部会長、原田久評価部会長、高橋伸子評価部会長代理、天野玲子委員、栗原美津枝委員、島本幸治委員、浜野京委員、南雲岳彦臨時委員、河合晃一専門委員、清水剛専門委員、横田響子専門委員
(審議協力者)樫谷隆夫 樫谷公認会計士事務所所長
(事務局等)白岩行政管理局長、阪本官房総括審議官、方管理官他

議事

1「独立行政法人評価制度の運用に関する基本的考え方」等について
2 本年度の調査審議の進め方について
3 令和2事業年度の事業報告書について

配付資料

議事録

【澤田委員長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第36回独立行政法人評価制度委員会及び第49回評価部会の合同会議を開会いたします。
 本日の会議は、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため、密を避ける観点から、傍聴者の方々には会議の模様をオンラインで視聴していただくことになっております。今日は、ハイブリッドとはいえリアルでのご参加が多い状況ですので、活発な意見交換ができるのではないかなと思います。
 今日は3つ議題があります。1番目は、『「独立行政法人評価制度の運用に関する基本的考え方」等について』、2番目が、「本年度の調査審議の進め方について」、3番目が、「令和2事業年度の事業報告書について」でございます。
 それでは、まず議題の1、「独立行政法人評価制度の運用に関する基本的考え方」等について、審議を行いたいと思います。
 本件につきましては、前回、2月の委員会で、評価部会での検討状況を報告いただきまして、それに基づいて議論を行いました。その議論を踏まえ、事務局で成文化等の作業を進めていただいたところであります。本日は、本件につきまして、委員会として決定をしたいと思います。
 また、「独立行政法人評価制度の運用に関する基本的考え方」の案におきましては、前回、審議したとおり、独立行政法人の業務管理及び内部管理の共通的な方向性を示す基本的な文書を委員会として発信するということが盛り込まれております。この文書の案につきましても、併せて審議を行いたいと思います。
 これらの内容につきまして、まず事務局から説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
【方管理官】  それでは、「独立行政法人評価制度の運用に関する基本的考え方」について、御説明いたします。
 本文書につきましては、昨年7月の委員会で問題提起をしていただいて以来、半年以上かけて、委員会、評価部会の先生方に大変活発に御議論いただき、誠にありがとうございました。先ほど委員長からも御紹介がありましたとおり、前回、2月の委員会で御議論いただいた結果を踏まえて、最終的に成文化した案が資料1−2の本文の案でございます。本日は、その概要資料であります資料1−1に基づき、改めて全体を通して御説明申し上げたいと思います。
 最初に1ページ目のスライドでございますが、これは今回、委員会が、この「基本的考え方」という文書を取りまとめた、そもそもの狙いや期待される効果について、国民一般向けに発信する資料として作成しております。
 まず、狙いといたしまして、委員会による調査審議の基本的視座、独法の業務運営や主務大臣によるガバナンスの在り方、また、委員会の今後の取組の方向性といったものを明らかにすることによって、法人、主務大臣によるPDCAサイクルを促進し、法人の政策実施機能の最大化を目指すこととしております。
 次に、委員会の基本的視座として、(1)から(3)までの3つ、また、それぞれに対応した期待される効果として、その下に3つ整理しております。
 まず、(1)としまして、府省・法人横断的に求められる対応を促進することによって、主務省や法人といった行政組織を超えた連携が促され、また、社会全体、政府全体の大きな環境変化に適切に対応できるようになるといった効果が期待されます。
 次に、(2)としまして、主務大臣と法人のコミュニケーション、特に法人の使命やビジョンといった将来像に基づくコミュニケーションを促進することによって、法人が上意下達ではない自らのビジョン、将来像を持った経営を行っていくことが期待されます。
 最後に(3)として、各法人の業務運営の改善、具体的には組織風土や統制環境等の改善、業務プロセス改革といったことを、各委員の皆様の知見を取り入れながら促進することによって、法人が外部からの信頼を確保しつつ、高いパフォーマンスを発揮することができるとしております。
 そして、こうしたことを通じまして、独立行政法人が社会からの信頼を基盤に、将来にわたって国民全体に貢献する機関として、サービスや研究開発成果を向上させていくことを目指すとしております。
 次、2ページ目以降のスライドになりますが、これは各主務省・法人に向けて、本文のエッセンスとなる要素を抽出して整理したものになります。
 まず、2ページ目の委員会の調査審議の在り方ですが、基本姿勢として、評価の点検といった受動的役割にとどまらず、目標の見直しに深く関わっていくということ、その際には、主務大臣、法人と緊密にコミュニケーションを取りながら、独法全体としての活性化に積極的な役割を果たしていくということを明らかにしております。
 次に、基本的視座の(1)として、各委員の多様な専門性を発揮していただきつつ、様々な社会環境の変化を捉え、府省・法人横断的に求められる対応を促進・支援していくということ、また、そのことを通じて中期目標管理法人、行政執行法人であれば、その提供するサービスについて、国立研究開発法人であれば、その研究開発成果について、国民全体への裨益を最大化させていくということを掲げております。
 また、基本的視座の(2)として、使命、ミッション、ビジョンといった将来像や法人を取り巻く環境変化等に関する主務大臣と法人のコミュニケーションを促進していくということ、それによって主務大臣と法人が連携してPDCAサイクルを回す独法制度の特徴を十分に生かした効果的なPDCAサイクルを実現していくということを掲げております。
 最後に、基本的視座の(3)として、個々の法人内における組織風土や統制環境等の現状について把握し、法人の長や役員によるマネジメント・内部統制の改善を促すことで、法人横断的なレベルアップを図るということを掲げております。
 以上、3つの基本的視座に基づく今後の取組の方向性として、1つ目、独立行政法人の業務管理及び内部管理の共通的な方向性を示す基本的な文書を策定すること。こちらは後ほど御説明します資料1−3として、本年度から早速取り組みたいと考えております。2つ目、また、ヒアリングの機会等を通じて、法人の将来像についての認識を共有していくこと。3つ目、各評価の機能分担を踏まえて、評価の点検を重点化し、特に見込評価の点検を強化すること。4つ目、目標と実績の比較可能性の確保、同種の業務を行う他機関との比較といった技術的側面から、目標管理、評価の手法を向上させていくこと等を掲げております。
 次に、3ページ目のスライドでございます。こちらは、今、御説明した委員会による調査審議の在り方を導き出すに当たって前提とした独法の業務運営の在り方、主務大臣によるガバナンスの在り方として委員会が期待することを整理したものになります。
 重要なキーワードとしては、独法のマネジメント、内部統制の在り方について、5年や6年といった計画期間を超えた法人自身の将来像、すなわちビジョンを確立すること。次に、固定的な計画管理を行うのではなく、環境変化に機動的かつ柔軟に対応すること。3つ目、外部からの信頼確保のため、業務経費の縮減だけでなく、全体的なパフォーマンスを向上させていくことや役職員の多様性を含めた良好な組織風土を醸成すること等を掲げております。
 また、目標管理を中心とした主務大臣によるガバナンスの在り方については、1つ目、法人のビジョンの基となる政策実施機関としての使命や政策体系上のミッションを適切に法人に示すこと。2つ目、社会経済や政策の動向、法人の将来像、成果の社会・経済・政策的価値に関する認識等について、様々な場面で継続的に法人とコミュニケーションを行うこと等を掲げております。
 以上、この基本的考え方は、これまでの委員の皆様による調査審議の蓄積、御意見や御指摘の背景にある考え方を、少し新しい要素も入れながら、改めて目に見える形で整理したものと承知しております。
 本日、委員会決定いただきましたあかつきには、各主務省・法人に周知していくとともに、これを出発点として、冒頭申し上げた独法の政策実施機能の最大化のため、委員会の調査審議の様々な面を工夫していきたいと考えております。
 それで、その第1弾ということになりますけれども、続いて資料1−3、「独立行政法人の業務管理及び内部管理について」の案について説明します。
 先ほど説明申し上げたとおり、「基本的考え方」においては、独立行政法人の業務管理及び内部管理の共通的な方向性を示す基本的な文書を示すこととしております。業務管理及び内部管理の共通的な方向性については、昨年度の見直し対象法人の見込評価の結果等を踏まえ、昨年11月、「独立行政法人の中(長)期目標の策定について」を取りまとめいただき、その中で、全ての法人に該当し得る共通的な留意事項としてお示しいただきました。そこで、この文書においては、当該共通的な留意事項で示された内容を文言上の所要の修正を加えた上で業務管理及び内部管理の共通的な方向性として改めて位置づけました。今後の調査審議の観点として活用していくこととしてはどうかと考えております。
 なお、この文書は今後の今年度の調査審議を通じて、新たに追加していくべき観点等が見いだされた場合には、毎年度、最初の委員会等の場において随時改定を行っていくことを想定しております。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、どなたからでも結構ですので、御発言いただけますでしょうか。天野委員、どうぞ。
【天野委員】  前回の議論や何かでいろいろ発言させていただきましたが、しっかりと組み込んでいただきまして、非常によくできていると思います。これからこの制度をしっかりと生かすためにも、これを実行に移していただければと思います。
 1点だけ、今回はこれでよろしいと思うのですが、全体を見渡してみて、監事の役目についてあまり触れられてないなと思いました。私は実際に、監事を幾つかやっておりますが、コロナ前までは、結構、監事の勉強会で内部統制の勉強等、いろいろやっていたのですが、最近では、コロナの影響もありまして、少し存在感が薄まったような気がするのです。やはり内部統制、内部管理をしっかりやっていくという意味では、主務大臣から任命された、監事は、強い立場を持っているのです。今後、その点も含めて改善していっていただけるといいかなと感じています。よろしくお願いします。
【澤田委員長】  ありがとうございました。その辺り、いかがでしょう。
【方管理官】  監事の件につきまして、前回の委員会でたくさんの委員から御意見いただきました。
 今回、本文のほうには、11ページになりますけれども、図表を追加しております。監事やガバナンスというお話をしましても、なかなか主務省あるいは法人の方で担当した経験のない方等は、あまりよく分からないおそれがあります。こういう図を示すことにより、監事は、いわゆる法人内のガバナンスをしっかりしていく上では大事なポジションであるということを改めてここでお示しをしたということでございます。文書のほうにも、その点のことを書いておりますので、御覧いただければと思います。
【天野委員】  了解しました。ありがとうございます。
【澤田委員長】  よろしいでしょうか。
 樫谷審議協力者、お願いいたします。
【樫谷審議協力者】  独立行政法人制度が平成13年に創設されて以来、制度上法人は、主務省の指示どおりに業務を行い、その中で成果の最大化を目指すんだというようなイメージで捉えがちだが、それは違うんだというようなことを申し上げていたことを、本当によくまとめていただきました。この文書により独立行政法人評価制度委員会の本気度が各独法や主務省に伝わったんではないかと思いますので、大変ありがたいと思っております。
 法人の将来像を議論して、どう反映するかとか、非常に重要なことが書いてございますので、ぜひ、これを各府省や法人に正しく伝わるような仕組みをつくっていただきたいなと考えております。
【澤田委員長】  ありがとうございます。
 高橋部会長代理、どうぞ。
【高橋部会長代理】  御指名ありがとうございます。
 先ほどの監事の件は私も同様に感じておりましたけれども、今回、方管理官から御説明がありました独立行政法人におけるガバナンス構造の図、そこに的確に違法不当行為の報告や、主務大臣との意見交換等について、細かく書いてありまして、これはぜひ読んでいただく形に持っていってほしいと思っています。と申しますのも、法人の中には、自身の法人のガバナンスを図示している組織があったんですが、監事のところが浮いていて、きちんと書かれていなかったりしました。この図を見ながら、やはり直さなければいけないと思うのではないでしょうか。
 もう一点、この図を見て感じましたのが、法人の長に関して、主務大臣から任命、解任と記載されている点ですね。間違いではないんですけれども、法人の長の選任に関しては、公募等いろいろな形が取られていて、天下り組織ではないということも含め、一般の方に分かっていただくことは非常に重要ではないかなと思いました。もし、この表の中に公募とか工夫できる部分があれば、していただけるとよいと感じました。
 続いて資料1−3の「独立行政法人の業務管理及び内部管理について」の案でございますけれども、2ページの「3.強みを活かして弱みを補い合う関係機関との有機的な連携」は、委員会で非常に議論が活発になされたところです。例えば、3.(1)では、法人における的確な知財管理ということで、天野委員がいつも御指摘くださった点が入ってはいるんですけれども、2番目の関係機関の連携のところになりますと、「組織同士でデータを共有して、異なった観点からの分析を行う」等ということで、新たな価値実現に資する連携がなされるようにすることだけ書いてあります。それぞれの法人がきちんと知財管理していれば大丈夫なのでしょうけれども、適正な知財保護にきちんと留意しつつ、という一文が入っていたらよかったと感じます。
 それと、関係機関との連携で、「民間部門を含めた新しい分野の機関との連携を推進する」と書いてありますけれども、実際には、例えば、国立研究開発法人などの外部委託に関しての記述がどこかにないかなと思ったんですけど、見つかりませんでした。ここのところは監事がしっかり見ていれば大丈夫だと思うんですけれども、少し気になったので、意見として申し上げておきます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 そうですね。先ほどの任命、解任のところに、やはり天下り的なイメージはもうないことが明確に分かるような表現が少しでもあれば、違うと思いました。
 あと、関係機関との連携、この辺りも含めて、事務局のほうから何かコメントございますか。
【方管理官】  図については、とりあえずこの形でお示ししたいと思っていて、その次の話だと思っております。当然ながら、今、委員会で御意見いただきましたので、御認識いただけると思っており、今後も引き続き委員会の考え方を示していただきたいという点が1つと、また、連携につきましては御指摘のとおりでございます。いろいろなところの連携が必要だというのは、いろいろな面で書き切れなかった部分ございますけれども、その辺りは、今年度の調査審議の際に、法人あるいは主務省に伝えていただければと考えています。
【澤田委員長】  ありがとうございます。
 それでは、横田専門委員、どうぞ。
【横田専門委員】  資料のおまとめ、ありがとうございました。私、昨年から委員会に参加をしており、一巡して、ようやく様子が分かってきたところです。こうしてまとめてくださっているのは、一般国民への情報発信も含めて、ぜひ継続して御共有いただければと思います。特に主務省の職員は異動もあるので、「基本的考え方」を今回限りとせず、継続的にご利用いただきたいと思っています。
 共通の留意事項を今年は先んじて御提示くださるということで、これから見直しを控える法人にとっては親切かなと思いますので、非常にありがたいなと思っております。
 最後に、目標の位置づけが法人の中でも何段階かあると理解をしております。というのは、先日、昨年度の見直し対象法人の理事とお話をする機会があり、新たに設定していただいた目標について会話をした際、「何だろう」という顔をされた後、「あ、エフォート目標ですね」とおっしゃられました。そのこと自体が悪いわけではなくて、まずは目標に入ったこと自体が大事ですがさらに、我々としては目標内の個々の記載が、参考の努力目標であるかなど、どのような位置づけかを併せて確認をしていく必要があると感じた次第です。
【澤田委員長】  ありがとうございます。おっしゃるとおりですね。
 方管理官、いかがですか。
【方管理官】  主務省から目標を示されるわけでございます。その解釈は、恐らくいろいろあって、おっしゃるようにエフォート目標と位置づけられているものもあります。目標を与えるときに、いわゆる困難度を示したりする手法がありまして、それは最初からかなり難しい目標になっているわけで、もちろん達成できれば十分すばらしいことだと思っています。
 制度としては、そういう目標を達成した場合には、1段階評定を上げることもできるようになっておりますので、今回の見直し対象法人の目標を調査審議されるときには、そういった観点をおっしゃっていただくとありがたいと思っております。
【澤田委員長】  そうですね。積み上げながらやっていく目標もあるし、バックキャストしながら、少しジャンプするような目標もあるし、努力目標に関しては、何かきっかけがつかめるだけでも大きな成果になりますので、その辺りを認識して調査審議を進めていくことが非常に重要かなと思います。ありがとうございます。
 清水専門委員、どうぞ。
【清水専門委員】  「業務・内部管理方針」についておまとめいただき、ありがとうございます。今日、たまたま午前中、業務の自動化展というもののセミナーで発表したりもしていて、終わった後、500人ぐらいの会社の担当者の若い人が来て、「うちの会社は、給料袋、まだ紙で配っているんです。社長がコロナ禍でも、まだ紙が良いと言って変えないため、アウトソースしました。やっと業者にアウトソースして、自分たちは手が離れたんですけど、これでいいんですか。」というお話をいただいたので、「そういうアウトソースして、じゃあ、業者は結局、手でやるんですか、根本解決になっていないですよね。」という話をしました。社長は知らない方ですけれども、やはりどういうふうに見直すんだというのを、そういう細かい話も含め、具体的にやり取りしたほうがいいと思いました。せっかく「業務・内部管理方針」という形でまとめていただいたので、法人のトップの方と、そういう細かいことも確認していくのがいいんではないかなと思って、この場でも改めて、紙に書くだけではなくて、コミュニケーションを取っていこうと思いました。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 浜野委員、どうぞ。
【浜野委員】  私たちのこれまでの意見を非常によくおまとめいただいていて、エッセンスも分かりやすく、ありがとうございます。ぜひ、私たちも一生懸命これを踏まえて、独立行政法人評価制度委員会の委員として今後の調査審議を実施したいと思っています。
 「基本的考え方」の期待される効果に、民間等の優れた知見の導入がありますが、やはり将来にわたって国民全体に貢献する機関ということで、内外の環境の変化が非常に著しい中、日本の官民挙げての知見だけでは足りない部分もありますので、例えば、国際的に同様の機関とか、そういったところの知見がもっともっと各法人にも生かされるべきではないかなと思います。主務省はじめ、その法人の方々におかれましても、多方面から、国内だけに限らず、海外からもそういった知見をどんどん導入していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【澤田委員長】  ありがとうございます。非常に重要なポイントだと思いますね。
 この件に関しまして、事務局から何かありますか。
【方管理官】  御指摘ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思っておりますし、今年度、ヒアリング等を実施するときにも、そのような観点で御質問いただければ大変ありがたいなと思っております。
【澤田委員長】  何でもかんでもこの知見を導入すればいいというものではないので、自分たちの方向性に向いて、視点が違うとか、その組合せによって、すごくレベルが上がるとか、良い組合せで連携ができたときには、評価できたらいいと思うんですね。ですから、どういう連携を自分たちが常に意識しているかということをしっかりと認知させるベースになろうかと思いますので、非常に重要なことかなと思います。ありがとうございます。
 栗原委員、お願いします。
【栗原委員】  ありがとうございます。幾つかの観点で非常に意義があると思います。1つは、今回考え方を示したことは各法人及びその主務省において意義があるとともに、私たちの独立行政法人評価制度委員会の各委員にとっても意味があると思います。我々のPDCAと今後の在り方について、ここ数年変わってきていると感じていることが改めて明確になったと思います。従って、私たちも委員会として役割を発揮することが必要で、そのためには、多角的な視点で、その法人がどう活躍しているのかを見ていく必要があると思います。環境の変化が激しい中で、その法人が果たしている役割を、より広い視野で見て、場合によっては、いろいろな外からの声を取り入れながらコミュニケーションしていくということが必要ではないかと思いますので、その点をより意識していきたいと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございます。そうですね。私たちのほうも気を引き締めて役割を果たさなければいけません。今日、ある意味、1つのベースがこういう形でつくられましたので、その視点に沿ってやりやすくなっていると思います。
 それでは、河合専門委員、どうぞ。
【河合専門委員】  今回の文書をおまとめいただきまして、私も本当にありがたいと感じております。 特に、業務管理及び内部管理の共通的な方向性を示す基本的な文書を策定・発信することで、これらの点を継続的に見ていくことは重要と感じております。私どもも独立行政法人評価制度委員会として、この内容をよりブラッシュアップしていく想いで、今後、調査審議をする必要性があると思っているところです。
 また、組織管理にからめて、ほぼ毎年論点として出てくる各法人の人材確保の課題については、研究職のような専門人材をどうやって確保し育成するのかだけではなく、事務系スタッフの方もこれからどうやって積極的に確保・育成していくのかといった点が重要になってくるのではないかと感じております。
 先日、人事院による国家公務員のリクルートに関しての学生アンケート調査の結果が公表されておりましたが、その中で、職業として国家公務員を選ばなかった理由として挙げられていたものに、試験勉強にかけるコストが大きいので選択しなかったという回答が多くありました。このことを踏まえますと、独立行政法人は、採用プロセスに国家公務員試験の受験がありませんので、そういった学生を引きつける魅力的な組織になりえるのではないかと感じております。私自身の見ている範囲でも、国家公務員試験は受けないけれども、パブリックセクターの仕事に非常に関心があるという学生が多くいますので、そういった学生を引きつけるチャンスかもしれません。事務系スタッフをどういうふうに確保していくのかといった点でも、今後、何かしら委員会として、良いアイデアあるいは方向性のようなものをお出しすることができればよいのではないかと感じているところです。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 今、民間企業ではパーパス経営といって、ガバナンスをしっかりと捉えながら、自分たちの向かっていく方向、夢を語りながら、こんなことをやりたいんだと表明する組織が増えています。いろいろな法人を見ていても、民間企業でいうパーパスが独法それぞれにあると思うんですね。そういうことも学生に伝われば、独法で自分の力を発揮したいという方もたくさん出てくると思いますね。ありがとうございます。
 原田部会長、御意見いかがでしょうか。
【原田部会長】  それでは、1点だけ申し上げます。
この文章を今から加筆してほしいということでは、もちろんないのでありますけれども、これまでの独法制度を振り返りつつ、このペーパーを眺めたときの、各府省あるいは法人の受け止め方についてコメントしたいと思います。
 独法制度の歴史というのは、最初の10年少しぐらいは統廃合の歴史であって、かつては3桁の独法が存在しました。その後通則法が改正されて、この独立行政法人評価制度委員会も立ち上がって、調査審議を進めてきたのですが、ちょうど制度の移行期あたりの各府省や独法の受け止め方を思い出すと、4年から7年に1回、台風が襲来すると、これをどうやって乗り切るのかというような感じで、主務省あるいは法人にお邪魔した時に、そういうスタンスが垣間見えることが多かったのでありますが、徐々に、この委員会は本気でそういうことをやろうとしているわけではないと受け止めてくださるような状況になり、そして、今ではだんだん、この制度そのもののPDCAをどうやって回すのか、我々がPDCAをうまく回すという役割に注力しているのだということがようやく分かってくださるようになってきたかなと思います。
 最長7年の中長期目標の期間を設定する法人もあり、ようやく全ての法人のPDCAサイクルが一回りした段階だと、私は承知しております。そういう意味では、制度改正後に目標を2回策定したという法人もありますけれども、独法全体としては2巡目の中期目標、中長期目標の策定になりますので、改めて我々の公式的な見解はこれなのだということを前提に、今後の主務省ヒアリングや法人ヒアリングに臨んでいきたいと思っているところでございます。
【澤田委員長】  原田部会長、ありがとうございました。
 あとは、リモートで入られている南雲委員、よろしいでしょうか。
【南雲臨時委員】  ありがとうございます。じゃあ、一言だけ申し上げます。
【澤田委員長】  はい。お願いします。
【南雲臨時委員】  今まで議論してきたことについては、きれいにまとめていただいているので、もう実行あるのみと、そういうことかと思います。なので、この資料についても完成度が上がっているということで、あとは今後の我々の活用がどのくらいうまくいくかということが問われると。むしろ自分たちのほうに指を差すという気持ちが大切かなと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 大体よろしいでしょうか。
 それでは、お諮りしたいと思います。本件につきまして、資料1―2及び資料1−3の案のとおり、委員会として決定することにつきまして、御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【澤田委員長】  ありがとうございました。それでは、そのように決定いたしました。
 それで、本日決定いたしました「基本的考え方」及び「業務・内部管理方針」につきましては、これまでの調査審議におきまして委員会が個々に発信してきたものを体系的に整理したものであります。そうした重要なメッセージをこうして一体的なものとして取りまとめて打ち出すことができるようになったことにつきまして、改めて委員の皆さまに感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 委員会としては、今年度におきましても、この2つの文書に盛り込みました考え方に基づいて、積極的に調査審議を進めていくことになります。
 具体的には、各法人がそれぞれの成果を最大化して、我が国のために貢献していただけるよう、きちんと目標管理ができているかという、言わば守りの観点だけではなくて、やはり社会の変化に応じた対応ができているのか、府省・法人横断的な視点から見て、さらに推進すべき取組がないか等、いわゆる攻めの観点からも、しっかりと調査審議を進めてまいりたいと思います。
 評価部会におきまして、これからヒアリング等を行う見直し対象法人や、その主務省はさることながら、その他の法人・主務省におきましても、今回の文書を折に触れて参照していただき、当委員会の指摘の背後にある考え方を御理解いただくとともに、これらの文書を活用しつつ、法人の将来像、あるべき姿や課題につきまして、相互のコミュニケーションを深めていただければ幸いでございます。
 それから、これは法人のトップと主務省だけが認識すれば良いというものではありませんので、やはり法人の中で働くそれぞれのメンバーもしっかりと認識することが非常に重要かと思います。きちんと伝えていただくとともに、それをベースにしながら大きく社会の役に立つ仕事をやるんだと、わくわく感を持って仕事ができるようなことをきちんと伝えていくというのも大切だと思います。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 本日の議論の内容につきましては、事務局を通じて、各府省に十分にお伝えいただきたいと思います。
 それでは、時間も参っておりますので、議題2「本年度の調査審議の進め方について」に進みたいと思います。事務局から、本年度見直し対象法人の概要と併せまして、説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【方管理官】  まず、見直し対象法人等に係る調査審議でございますが、最初に、本年度はこれまでどおり目標策定指針・評価指針の趣旨を踏まえた上で、先ほど決定いただきました「基本的考え方」及び「業務・内部管理方針」にも御留意いただき、調査審議を行っていただくことになると考えております。
 スケジュールは、これから8月ぐらいまでにかけて、主務省・法人等との意見交換を行っていただきまして、その結果も踏まえて、秋にかけて見込評価・見直しを御審議いただき、必要があれば12月の委員会で見込評価・見直しに意見を述べていただくとともに、次期目標の策定に当たっての留意事項を取りまとめていただきたいと思います。年明けに、主務省から、当該留意事項及び「業務・内部管理方針」を踏まえた次期目標案が提出されると思いますので、2月の委員会で目標案を御審議いただくという形になろうかと考えております。
 本年度は見直し対象法人が多いため、主務省との意見交換等は例年よりも少し前倒しに行っていただくことになろうかと思っております。
 なお、例年、昨年度でありますと11月22日の委員会でございますが、年末にお取りまとめいただく「留意事項」につきましては、昨年度までは個別の法人に係る留意事項に加えて、見直し対象法人以外も含めた各法人に共通的な留意事項をお示ししていただいてきたところですけれども、本年度は先ほど決定いただきました「業務・内部管理方針」が年度当初から示されておりますので、共通的な観点の留意事項を示すことはいたしませんが、一方、今年度の調査審議において、「業務・内部管理方針」に盛り込むべき新たな観点が見いだされた場合には、年明け以降に「業務・内部管理方針」の改定について審議を行っていただくことになると考えております。
 また、年度評価等についても、見直し対象法人に係る議論と並行しまして、評価部会を中心に、「基本的考え方」に示した視点に立って、点検を行っていただくことになると考えております。
 これらの取組については、評価部会を中心に進めた上で委員会に報告いたしまして、委員会で必要な意見等の取りまとめを行うという形を想定しております。
 このほか、法人の取組事例については、今年度も随時、委員会又は評価部会において紹介する場を設けることになろうかと考えております。
 今年度からは、「基本的考え方」と「業務・内部管理方針」を主務省・法人とよく共有の上、各種取組を進めてまいりたいと考えております。特に、主務省・法人との意見交換は、2つの文書に示されました委員会の基本的な考え方を主務省・法人によく理解いただいた上で、活発かつ質の高い議論を進めることが可能になるのではないかと考えております。
 2点目でございます。独立行政法人制度改正フォローアップ調査を踏まえた取組になります。
 前回の2月の委員会で取りまとめいただきました調査の報告書では、「A以上の評定を取得することが困難な事務・事業の評価」、また、「財務データを活用した評価」といった課題を御指摘いただいたところです。
 「基本的考え方」では、委員会として、「目標設定・評価手法の技術的向上」に取り組んでいくこととしていただいておりますところ、本年度は、今申し述べた課題について事務局において調査を行い、令和4年度中に委員会又は評価部会に結果又は経過を報告したいと考えております。そして、その結果を踏まえて、評価部会を中心に御検討を進めていただく形になろうかと思います。
 3点目でございます。独立行政法人会計基準の改訂でございます。
 最後に、まず独立行政法人会計基準につきましては、企業会計の動向を踏まえた改訂について、その必要性も含め、検討を行っていただくことになろうかと考えております。
 また「独立行政法人の事業報告に関するガイドライン」を参照して作成された事業報告書が、利用者にとってより有用な情報を提供するものとなるよう、その運用状況等について調査を行っていただくことになろうかと考えております。
 続きまして、見直し対象法人の概要に進んでいきたいと思います。
 本年度の見直し対象法人につきまして、特徴を簡単に御紹介したいと思います。資料2−2の概要一覧を御覧いただきたいと思います。
 まずNo.1、北方領土問題対策協会は、北方領土問題に関する情報発信や、元島民の援護等を行う法人でございます。
 続いてNo.2、国民生活センターは、消費者問題や暮らしの問題に関する情報提供、あるいは紛争解決に係る事業を行う法人です。国セン等と呼んでおります。
 No.3から5までは、文部科学省所管の国立研究開発法人です。それぞれ名称のとおり、物質・材料科学技術、防災科学技術、量子科学技術に係る研究開発を行っています。それぞれNIMS、防災科研、QST等と呼んでおります。
 No.6の日本学術振興会は、科学研究費の助成事業等を実施する法人です。No.7の日本スポーツ振興センターは、国立競技場等のスポーツ施設の運営やスポーツの振興、またスポーツくじの運営等を行っています。No.8の日本芸術文化振興会は、文化芸術活動に対する援助や伝統芸能の公開等を行っています。それぞれ、学振とかスポ振、あるいは芸文振等と呼んでおります。
 続きまして、厚生労働省所管の4法人です。まずNo.9、勤労者退職金共済機構は、各種退職金共済事業の運営等を行っております。次に、No.10、高齢・障害・求職者雇用支援機構は、高障求とかJEEDとも申しますが、高齢者や障害者の雇用推進、労働者の職業能力開発に取り組む法人です。No.11の福祉医療機構は、社会福祉施設や病院等への資金の貸付が主な業務です。No.12の国立重度知的障害者総合施設のぞみの園は、重度知的障害者の自立支援のための施設を運営しております。
 続いて、農林水産省所管の3法人です。No.13の農畜産業振興機構(alic)は、前回の委員会で取組事例を御紹介いたしましたように、農畜産物の生産者の経営安定対策等に取り組む法人でございます。No.14は、名前のとおり農業者年金制度の運用を行う法人、No.15の農林漁業信用基金は、農林漁業融資の円滑な実施のため、信用基金協会が行う債務保証についての保険等の事業を実施する法人であります。
 続きまして、経済産業省所管の4法人です。まず、No.16の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、エネルギー等に関する技術開発への資金供給・マネジメントを実施する法人です。No.17の日本貿易振興機構(ジェトロ)は、対日直接投資やスタートアップの海外展開を通じたイノベーション創出支援、農林水産物・食品の輸出促進、我が国企業の海外展開支援等を行っています。No.18の情報処理推進機構(IPA)は、情報セキュリティーの強化やIT人材の育成等に係る事業を実施しています。No.19の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、資源・エネルギーの開発支援や備蓄に係る事業を実施しております。
 次に、国土交通省所管の4法人です。まずNo.20、海上・港湾・航空技術研究所は、通称うみそら研等と呼ばれている法人でございますが、船舶、港湾、電子航法等についての研究開発を行っています。次のNo.21、鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、整備新幹線等の鉄道建設によるインフラ整備や、鉄道インフラシステムの海外展開等を行う法人です。No.22の国際観光振興機構(JNTO)は、外国人観光旅客の来訪促進に向けたプロモーション等を行っている法人であります。No.23の空港周辺整備機構は、福岡空港の周辺地域における騒音対策等を実施している法人でございます。
 最後に、No.24、日本私立学校振興・共済事業団(私学事業団)は、独法の仕組みを一部準用している、いわゆる準用法人です。具体的には、この法人は、私立学校の教職員への共済の業務と、私立学校に対する助成の業務を実施しておりますけれども、このうち助成業務だけが独法の目標管理の仕組みを準用しており、委員会の審議も助成業務だけが対象となります。
 以上、法人の概要を駆け足で説明させていただきました。過去の見直し時等における主な論点を資料に記載していますので、こちらも参考に御意見等をいただければ幸いです。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 ただいま事務局から説明があったとおり、本年度は見直し対象法人の数が倍になります。これにプラスして、昨年度行った独立行政法人制度改正フォローアップ調査を踏まえた調査審議にも引き続き取り組む必要がございます。つきましては、昨年度に引き続き、独立行政法人評価制度委員会運営規則第5条の規定に基づき、樫谷隆夫先生に御出席をお願いしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、原田評価部会長から、評価部会の進め方について、御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【原田部会長】  まず、評価部会の体制でございますけれども、例年どおりユニットごとに活動してまいりたいと存じます。
 先ほど事務局から説明ございましたけれども、本年度は見直し対象法人が24と大変多くございます。そのため、ユニットを3つ設けまして、それぞれのユニットに「主査」を置き、その各ユニットの調査審議は、そのユニットごとの「主査」を中心に進めてまいりたいと存じます。
 また、先ほども委員長からお話がございましたけれども、評価部会におきましても、ユニットで行う調査審議を含めて、引き続き樫谷先生にぜひとも御協力を賜りたい、御出席をお願いしてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 評価部会といたしましては、先ほど委員会決定をいたしました2つのペーパーを踏まえまして、法人の使命や現状、業務管理・内部管理に係る取組の状況等を丁寧に聴取して調査審議を進めてまいりたいと思います。
 今年度は、この2つの委員会決定のペーパーを私どもも持参し、先方も見ながら、一体何を議論しているのかということが分かるような形で議論してまいりたいと思います。
 恐らく、このペーパーのこの部分は一体何を意図しているんでしょうかというような注釈が必要になる場面も出てくるかと思いますので、事務局も、そのつもりで準備をしてくださればと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございます。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等があれば、どなたからでも結構ですから、御発言いただけますでしょうか。天野委員、どうぞ。
【天野委員】  実は、この会議が始まる前に、お話しさせていただいたのですが、理事長ヒアリングの時に、委員会としての名刺を持っていったほうがいいのではないかというようなお話もありました。これまでは、現在在籍している民間企業の名刺を持って挨拶の時に渡していたのですけど、この辺はどうしたらいいでしょうか。
【澤田委員長】  いかがでしょうか。
【方管理官】  少し難しい問題だと思っています。今、就いていらっしゃる民間企業の役職の御名刺をお渡しになる先生もいれば、独自に個人の名刺を出ししている先生もいらっしゃると承知しております。この場でというよりは、後ほど、どうするかということを含めて、御相談させていただきたいと思います。
【天野委員】  分かりました。
【澤田委員長】  確かにそうですよね。皆さん、恐らく分かっていると思うんですけど、きちんとそういう形を取るのも悪くないのかなと思います。また、この話を実現するかは別にしても、どういう方向で進めるか事務局で少し考えていただければと思います。よろしくお願いします。
 樫谷審議協力者、どうぞ。
【樫谷審議協力者】  令和4年度評価部会ユニット体制について、以前はユニットに所属していない人も、興味のあるところには出席できる形になっていたんですけど、今回はどうなんでしょうか。予算の関係とか、いろいろ考慮すべき点はあると思っています。
【方管理官】  可能な限り対応させていただきたいと思っておりますので、前もって御連絡いただきたいと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 そのほか、御意見等はございますか。
 高橋部会長代理、どうぞ。
【高橋部会長代理】  先ほどの名刺の話の蒸し返しで恐縮ですけれども、今、民間では名刺交換をやめていたり、電磁的な形で名刺交換をしていたり、いろいろ仕組みが変わってきているので、そこも含めて考えていただけると非常にありがたいと思います。
 それと、我々がチームとしてやっていく上で、委員同士は、それぞれ顔と名前は把握していますが、コロナ禍で、事務局の方々とは交流の場が少なくなってしまって、メール等でやり取りをしていますが、お顔と名前が一致しないという状況でございます。今日の評価部会が終わった後でも結構ですし、その辺りも工夫していただけると、今後、ヒアリング等を進めていくときに非常に助かると思います。よろしくお願いします。
【澤田委員長】  事務局、いかがですか。
【方管理官】  ごもっともでございます。よく検討させてください。
【澤田委員長】  ありがとうございます。
 そのほか、御意見等ございますか。南雲委員、よろしいでしょうか。
【南雲臨時委員】  ありがとうございます。もう議論が出ていましたけど、名刺の件は、私も実は以前申し上げたんですね。複数の肩書があったりとかすることもありますし、自分自身の所属先と利益関係が直接なかったとしても、イメージがあったりするものですから、そこは別途御検討いただければ大変助かります。どうぞよろしくお願いします。
【澤田委員長】  ありがとうございました。大体よろしいでしょうか。
 それでは、本年度の調査審議は、本日議論したとおり、先ほど決定いたしました「基本的な考え方」、そして、「業務・内部管理方針」、この2つの方向性に沿って、きちんと進めてまいりたいと考えております。
 主務省におかれましては、見込評価・見直しの実施や目標策定に当たりまして、この「基本的考え方」や「業務管理・内部管理方針」の内容に十分御留意いただきますよう、よろしくお願いします。
 議題2は、これで終了したいと思います。
 議題の3番目、「令和2事業年度の事業報告書について」に進んでまいりたいと思います。これに関しては、梶川会計基準等部会長より御報告をお願いしたいと思います。
【梶川委員長代理】  それでは、議題3の「令和2事業年度の事業報告について」、御説明をいたします。こちらの資料は、独立行政法人の令和2事業年度の事業報告書について、参考となる事例を紹介するものです。
 「独立行政法人の事業報告に関するガイドライン」等に基づき、令和元事業年度より、独立行政法人の事業報告書は非財務情報や将来情報等を盛り込んだ、新しい様式で作成されており、昨年4月の当委員会において、令和元事業年度の事業報告書について、参考事例を御紹介いたしました。
 令和2事業年度は、「ガイドライン」適用2年目であり、「ガイドライン」に示された考え方は一定程度浸透しているものと考えておりますが、事業報告書の利用者である「国民その他利害関係者」により有用な情報を提供する観点から、令和3事業年度の事業報告にも生かしてもらう目的で、前回同様、参考となる事例を記載しております。なお、こちらの資料は前回同様、会計基準等部会での議論を経て、当委員会へ報告を行うという位置づけでございます。
 本資料の構成ですが、右上にある紫色の番号の1から2ページが「ガイドライン」についてのおさらい、3から44ページが事例紹介、45ページ以降が独立行政法人等に対して行った、事業報告書に対する取組状況に関するアンケート結果となります。
 例えば、21ページから31ページには令和元事業年度と令和2事業年度を比較して、内容がより充実した法人の事例を紹介しています。また、32ページから33ページには、昨年4月の当委員会において御意見をいただいた事業報告書のアクセスについて、法人のトップページにリンクを置く等工夫されている事例を紹介しております。
 事業報告書の目的としては、法人の長のリーダーシップに基づく独立行政法人の業務運営の状況の全体像を簡潔に説明することや、独立行政法人の持続的な業務運営や業務改善等の判断に役立てることにあります。独立行政法人は、このような考え方を踏まえ、事業報告書の利用者である「国民その他の利害関係者」にとって、より有用な情報を提供するよう、引き続きアカウンタビリティーを戦略的に果たしていく必要があります。
 資料3の御説明は以上でございます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの梶川部会長の御報告につきまして、御質問、御意見等ございましたら、よろしくお願いします。
 天野委員、どうぞ。
【天野委員】  まとめていただきまして、非常に分かりやすいと思います。
 正直言いまして、事業報告書の初年度は、実務側でいろいろな話を聞いていると、「どういうことになるか分からない」、あるいは「プラットフォームといっても、どこまで実現するか分からない」、というようなお話が法人内であって、100点を目指すのはやめて、とりあえず60点ぐらい目指そうという動きだったと思います。でも、やはり2年目になって、かなり浸透してきて、非常に良い傾向に進んできていると思います。
 ただ、少し気になるところが2点ばかりあります。法人は、今まで単年度毎の事業報告書に加えて、中(長)期目標期間が終わった後に業務実績報告書を作っていたと思います。現在、年度毎の事業報告書を作るということで、実質、中長期終了時の業務実績報告書はもう作らないと、事業報告書の中に中長期的な成果を盛り込めばいいだろうという動きがあります。やはりこれは、事業報告書の位置づけが明確になり、どんどんその価値も向上してきたということの表れの一つだと思いますので、事業報告書と業務実績報告書の整理が必要だろうと思っています。
 多分、この辺りをきちんと発信されたことはないと思うのですが、私が幾つか関与しているところでは、法人内でそういう混乱があるという気がしています。
 2番目に財務情報と非財務情報を結びつけるということがあるのですが、どの法人も、特に国立研究開発法人は、セグメントごとに自前の会計システムを持っているところが多いのです。大きな国立研究開発法人になればなるほど、その傾向は強いです。国立研究開発法人全体で会計システムを作り、1つの非財務情報に結びつく財務情報を整理して、結びつけられるような状況になっているかというと、これは非常に難しいです。今が過渡期だと思いますが、非常にお金も時間もかかる話なので、国全体としてもデジタル庁の動きもありますが、きちんといつまでに取り組んでほしいという目安をお出しになるほうが、実務側としては取り組みやすいのではないかなという気がします。
【澤田委員長】  ありがとうございました。以上2点、いかがでしょうか。
【方管理官】  各法人でセグメントごとに会計システムを組まれているという現状は、当方も承知しておるところですけれども、先生がおっしゃるのは、要するに、規模の大きなところになればなるほどセグメントだけで閉じていて、全体像が見えなくなるようなことがあるのではないかというお話だと思います。その辺りの現状をまだつかんでいるわけではないので、よく調べた上で対応させていただきたいと考えています。
【天野委員】  そうですね。この事業報告書はより良くなっていくと思いますので、その辺りが片手落ちにならないように、ぜひよろしくお願いします。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
【天野委員】  業務実績報告書の件はどうしましょう。
【方管理官】  法人が期間実績評価を実施するときに、当然ながら自己評価を行うわけですけど、その自己評価の前提として、業務実績が書いてあると思っています。要するに、期間実績評価の中の業務実績に自己評価をして、さらに主務大臣が評価をするという、そんなような立てつけになっているはずでございます。
【天野委員】  そうですね。主務省によって違うと思うのですが、真面目なところほど、中(長)期目標期間が終わった後に、一生懸命、業務実績報告書を作ろうとしているところもあるのですね。やはり、お金と時間がとてももったいないような気もしますので、ぜひ、その辺の整理をよろしくお願いします。
【澤田委員長】  ありがとうございます。この事業報告書の中に、うまく中長期のイメージを入れながら、ある意味、自分たちがどこまで来たのかというのを、うまく盛り込まれれば、単年度の報告書の性格を持つだけではなくなると思いますね。
【天野委員】  そのとおりだと思います。うまくこの事業報告書を活用していただく方向に導いていただければいいなと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 高橋部会長代理、どうぞ。
【高橋部会長代理】  事業報告書は活用されて意味があると思いますけど、今回、アンケート調査で、その活用に関して、良い回答をいただいていると思いました。事業報告書を作ることで、それぞれの法人がいろいろな気づきがあって、業務改善等に生かしていくという方向性が読み取れました。
 ただ、この発行部数や配布方法が、それぞれの法人でどうなっているのかが気になります。事務方のほうで、もし調べられるのであれば、調べていただきたいと思います。
 法人によっては、広報、その他機構のPRに資するものとして、配布先の拡大を検討しているというんですけれども、それこそお金も時間もかかることなので、ただ拡大すればいいというものではありません。実際にどういうターゲットに対して、どのような配布方法を取っているのか等、もちろん事業報告書そのものの狙いはあるわけですけれども、職員が読むことが非常に大事だという回答は、企業の統合報告書に対しても頻繁に言われていることです。
 それと、事業報告書を採用活動に利用している事例があるということですけれど、全く民間と同じような方向性になっているなと思います。先ほどの名刺の話ではないですけど、どこまで紙で配布するかについても課題の一つだと思います。
 ホームページのトップページから事業報告書の情報開示にうまく飛べるようにして、さらに詳しい内容はURLでリンクを張るとか、紙ベースのものでもQRコードを活用して、そんなに厚くならないようにするとか、いろいろな工夫ができると思うんですね。もう3年目に入るということで、我々あるいは事務局で、この事業報告書そのものの評価をやってみたらいいのではないかなと思います。
 民間では、そういう工夫も含めて、統合報告書のコンクールみたいなものをいくつかの団体でやっていまして、どこでどのような賞を取ったということで競い合っていることもあります。分厚くて立派なものを作ることだけが良いわけではないという考え方に基づいて、そういう工夫が生まれるようなことを、我々委員会としても、何か仕掛けができたらなと思いました。
【澤田委員長】  すばらしいご指摘だと思います。私、民間企業のトップとして、少し耳の痛いところがありましたけれども、方管理官はいかがでしょうか。
【方管理官】  おっしゃるとおり、作っただけでは終わりではなくて、今回のアンケート調査においては、例えば、採用活動に使っているという回答もございましたし、また、事業で関わりのある又は今後関わるような地方公共団体、民間企業の資金調達に関連する投資家、あるいは金融機関が主催するセミナーでお配りしているという事例もあるように聞いております。
 おっしゃるとおり、紙での配布をどこまでやるのかという点は、詳細まで調査しているわけではないので、今後、引き続き調査してきたいと思います。
 あと、公表の手法については、昨年に比べれば格段に良くなったのではないかと思っていますが、それでも、ホームページの奥の階層まで入らないと出てこないというところがありますので、そこは引き続き、今回の事例も参照していただきながら、改善していただきたいと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございます。デジタルが基本だと思うんですけれども、冊子にして、しっかりと読み込むという意味からいきますと、デジタルと紙冊子のバランスが非常に難しいと思うんですね。全体をつかむにはデジタルでいいんですけど、私が所属する会社は、メンバーにしっかり読んでもらうことを目的に、ある程度の部数を冊子にして製本しています。だからデータから印刷するよりも、かえって安くなったりするんですね。ですから、コストのことも考えながら、その対象をしっかり認識しながらやっていくというのが大切かなと思います。
 原田部会長、どうぞ。
【原田部会長】  1つが事務局に質問でありまして、あと幾つかが主務省や各法人に対するお願いになります。
 1点目ですけれども、「ガイドライン」ができて2年目ということで、各法人でいろいろな取組を積極的になさっているなというのが分かるわけですけれども、ここで取り上げられた、うまくできている、よく頑張っているというところは、一体、87法人の中で、どういう法人なんだろうかと思いました。例えば、国立研究開発法人が多いのか、規模が大きい法人が多いのか、運営費交付金を100%もらっているところかどうかで違うのか等、どのような特色があるのかをお尋ねしてみたいです。そうではない法人も恐らくあると思いますけれども、そのばらつきはどこから来ているんだろうかということが疑問であります。
 あと2つほどございまして、研究者としての立場から、この事業報告書を各法人のウェブサイトで見るときにも感じることですけれども、恐らく「ガイドライン」ができて2年目になって変わっているのかもしれませんけれども、法人によって、この事業報告書をその法人内でどう位置づけるのかというのが、いま一つ統一感がないような気がしていて、それは多分、ウェブサイトの置き場所にかなり違いが表れているように思われます。
 私どもが特定の法人の事業活動を見たいということもありますけれども、横並びで法人の事業活動を見たいというときに、なかなか検索しづらいというところもあります。トップページに置いてくださるというのはありがたいんですけど、法人によっては非常に分かりづらいところにあったりするので、これ何とかならないのかなと昔から思うところです。
 2つ目でありますけれども、昔の事業報告書は消さないでいただきたいと思います。法人によっては、中長期目標期間、あるいは中期目標の期間が終わるとすべての資料を消してしまうようなところもあるんですね。それはやはり時系列的にたどれなくなってしまうので、もちろん、サーバの関係や、いろいろな事情があるのかもしれませんけれども、事業報告書による説明機能をずっと維持してほしいなと思います。
 以上2点は、各法人・主務省に対するお願いでございます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 事務局、いかがでしょうか。
【方管理官】  良い事業報告書を出している法人が、どういうカテゴリーに偏っているかについては、残念ながら今回の調査では追い切れていないというのが正直なところで、今後の課題としたいと思います。
 あと、e−Govで、法人の全体の情報公開のページに飛べるような形にはなっているんですけれども、それから先が難しいということが現状であるようでございます。事業報告書は財務諸表に添付する書類の一部という立て付けになっているので、基本的には、その場所に置いているはずですが、その辺りも確認した上で、またできることがあればやっていきたいと思います。
【澤田委員長】  原田部会長、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 では、南雲委員から手が挙がっているようなので、南雲委員から先によろしくお願いします。
【南雲臨時委員】  ありがとうございました。今回の事例紹介を見ると、いろいろな好事例が確かに散りばめられていて、時節柄求められているようなESGとかSDGsという言葉、DXという言葉も散見されるわけですけれども、これがバランスよく、どの法人にも入っているのかということに関しては、読み取れないということもあります。
 とりわけ今ESGなどの枠組みで環境や社会が入ってくるんですけれども、それ以上に重要なのは、インパクトがどのぐらい出ているのかというところが問われているんですね。その場合、放っておくとインパクトよりも活動の内容が書かれてしまう傾向があるので、その点をどういうふうに導いていくのかということについては今後の課題なんではないかと思います。
 そこに関連して、まさに非財務KPIの使い方を確認したいということですけれども、これ、私、専門領域なので、20年間ぐらいずっといろいろなところを指導しているんですけれども、なかなかノウハウが獲得しにくい領域なんですね。これはやはり指導するようなメカニズムをつくらないと、場当たり的な非財務KPIになってしまい、書くべきものではなくて、書かれやすいものが書かれるという傾向に流れるんではないかという懸念を感じます。
 民間企業の場合は、四半期ごとのアーニングコールや、インベスターの期待をビートできるかというところでテンションがあって、改善が図られていくんですけれども、独法はなかなかそれがなされにくい体質だと思うので、そういうテンションをどうするのか、客観的なチェックをどう入れるのかということについても今後の課題かなと認識しました。
【澤田委員長】  ありがとうございます。ただいまの件に対しては、事務局、どうでしょう。
【方管理官】  直接、事業報告書にということではないのですけれども、先ほど御決定いただきました「基本的考え方」で、今後、目標設定とか評価手法の技術的向上ということをやっていきたいと思っておりまして、その中で、業務間のKPIの質とか量のバランスみたいな話、あるいはデータを活用した指標の定量化については、今後の課題として認識しておりますので、その辺りと総合的に判断して、事業報告書にどのような形で落としていけるのかということを考えていければと思っています。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 南雲臨時委員、よろしいでしょうか。
【南雲臨時委員】  御認識をされてらっしゃるということで、それ以上申し上げることはあまりありませんけれども、やはりインパクトというところについての強調はしていただければと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございます。
 それでは、栗原委員、お願いします。
【栗原委員】  ありがとうございます。改めて拝見して、事業報告書の内容が充実してきていると思います。
 そうなると、事業報告書は財務諸表の添付書類という位置づけに収まらなくなってきている気がして、企業でも事業報告書はありますが、それとは別に統合報告書があり、独法の事業報告書の中身を見ますと、統合報告書に近い発展の仕方をしていると思います。
 そうであるならば、誰のために、何のために作っているかという位置づけを改めて考えて事業報告書の在り方や充実のさせ方を検討してもよいのではないかと思います。
 また、我々委員会も、この事業報告書を見てから、法人及び主務省と対話をしていくべきではないかと思いましたので、時期の問題はありますけれども、評価や対話をしていく上で、充実した材料が事業報告書には入っていると思います。
 それから、もう一つは、この事業報告書が、いろいろな観点で価値を見える化させていくことで、充実してきますと、それぞれの法人が、年度評価や中(長)期目標期間の評価のためのKPIを立て、その評価を実施していく軸と、もう一方で、この事業報告書でいろいろな非財務情報を見せていくという軸が出てきます。それぞれ異なる評価軸で法人の中で管理されていることは、ダブルスタンダードになってしまいあまり良くないかもしれません。目標や評価の仕方はなるべく整合している方が良いと思うので、それについて、委員会側か、あるいは各法人で、事業報告書で示している各種の数値と、年度評価や見込評価のKPIの数字が整合していくような形で、運営していただきたいと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございます。いかがでしょうか。
【方管理官】  1点目の統合報告書の関係でございます。民間は、特にIR情報として統合報告書を出すことが多いのではないかと思っています。いわゆる中長期的な企業の価値創造ストーリーをつくるために、関連するような非財務情報を開示しているということで、独法が今取り組んでいる事業報告書と近い形になっているのではないかなと考えております。
 御存じのように、統合報告書にひな形は存在しないので、そういう点では、我々の事業報告書のほうは、「ガイドライン」もありますし、策定にあたっての考え方も書かれているので、より良い取組になっているんではないかと少し自負しています。
 一方、例えば、年度評価や期間実績評価のKPIと、事業報告書で出てくる財務情報を連携する話は、なかなか難しい分野でもあるのですけれども、基本的に、独法の事業報告書は、一応、いろいろな書類のプラットフォームとして機能していることになっておりまして、したがって、財務諸表や業務実績評価書を参照したい場合には、そちらに飛べるように工夫することは可能でございますので、今後、また調査をしていくということになろうかと思います。
【澤田委員長】  企業の統合報告書というのは、以前は、事業やその財務情報に主眼が置かれており、非財務のESGあるいは、サステナビリティーは、補助的な位置づけであったという感覚です。今になっては、それを経営の真ん中に据えて考えなければいけなくなりました。
 ですから、ある事業においても、その事業をやっていく中で、これまで周りにあった非財務項目が内部に入ってくる、これは恐らく冒頭のほうで議論があった共通項の部分だと思うんですね。だから、そこをしっかり意識しないと時代から遅れてしまうということにもなります。事業報告書という言葉がこれで良いのかどうかということも含めて、考えていかないといけませんが、着実に進んでいることも事実ですので、それは評価していただきたいと思います。
 原田部会長からも御指摘があったように、単年で事業報告書がHP上から消えると経営が見えなくなってしますので、自分たちがどう変化していったのかという経緯もうまく盛り込みながら、どんどん改訂していく方向に進めばいいと思います。
 栗原委員、いかがですか。
【栗原委員】  事業報告書はとても価値のある情報で、法人が事業報告書で発信している価値と、もう一方で、全く違う評価基準で管理されていることで、法人全体が目指す方向や説明したい事が不揃いにならないようになると良いと思います。
【澤田委員長】  おっしゃるとおりですね。
 梶川委員長代理、どうぞ。
【梶川委員長代理】  事業報告書の「ガイドライン」の作成当初からの議論でございますけれども、そもそも非財務情報と財務情報を統合的に開示することは、組織の行動の成果が市場換算しにくいパブリックサービスで特に大きな意味があり、具体的にはどうやってコストと統合して表現していくかということが課題になっています。今、話題になっている企業の統合報告書でも、現在の金額に換算し得ないけれども、無形の財産価値があるものをどういうふうに表現していくかと同じで、独法はパブリックなサービスを提供しているわけですから、まさに成果情報そのものが定性的なものであって、非財務情報が非常に重要になるということだと思うんですよね。ですから、ぜひ、営利企業よりも、リーディングセクターとしての自負を持って、独法及び独立行政法人評価委員会とで作成していっていただければと考えています。その中では、やはり各法人の持つ自分の組織価値に対するストーリーがすごく重要で、そのストーリーは、政策体系全体の中で、法人がどういう位置づけを持っているかという話につながってくると思います。
 ですから、「独立行政法人の財務報告に関する基本的な指針」にもあるとおり、政策体系の中の位置づけを含むような形で事業報告書を記載いただくと、すごく国民にとって理解がしやすくなるんではないかなと少し僣越ながら、感じたところでございます。
【澤田委員長】  ありがとうございます。おっしゃるとおりですね。
 事務局、いかがでしょうか。
【方管理官】  独法で統合報告書を作成している例が住宅金融支援機構でありますけれども、その中で、いわゆる価値創造ストーリーみたいなものを書いております。
 これ、実は昨年度までは統合報告書という形ではなくて、ディスクロージャー誌としてやっていたものを変更したということになっておりますので、したがって、住宅金融支援機構は統合報告書もあり、もちろん事業報告書も作っているといった状況と承知しています。
【天野委員】  すいません。それに関連して、少しよろしいですか。
【澤田委員長】  天野委員、どうぞ。
【天野委員】  政策との結びつきということに関しては、国立研究開発法人の成果について国の一番の方針が示されているのは科学技術・イノベーション基本法だと思うのですね。第6期科学技術・イノベーション基本計画では今後行うべき10ぐらいの施策が提示されていますけれども、独法の国立研究開発法人は、日本の中でも最先端の研究組織が主たるものであるため、それぞれの施策に国立研究開発法人として、どのぐらいの経費を使って、どういう成果を出したかというのを、いずれ言えるような形で、この事業報告書が使われるようになると非常に良いと思い、今のお話に少し絡めて、意見を言わせていただきました。
【澤田委員長】  そうですね。ありがとうございます。
 島本委員、本件に関して何かございますか。
【島本委員】  改めて、この事業報告書を拝見すると、本当に充実しているなと思って、感心して見ています。委員長のコメントとも重なるんですけど、民間企業においてもプライオリティが、もう株主から社員、社会と、ステークホルダーがどんどん広がってきている中で、この手の対外発信物を使って、しっかりアピールしていくということが今まで以上に大事になっているんだと思うんですね。特に、それが従業員のモチベーションにもフィードバックされるので、この中身の有り様は大事だと思います。
 そのコンテンツの中では、財務データ以上に非財務データというか、いわゆる社会的課題への貢献、SDGsといったテーマが大事になってきているので、私はこれだけ独立行政法人の数が多いので、なるべく横串が入ったほうが良いと思っているんです。
 ただ、横串入れようということをせずとも、これからいろいろな基準が、民間で煮詰まっていっているので、それに即した形で評価できるようになると、事業報告書がより見やすくもなると思いますし、働いている方も、自分たちがこういうふうに世の中に役に立っているんだと分かるようになるので、便利な方向になっていくのかなと思って期待しています。ですから、ぜひ、そういう新しい基準を、どんどん各独立行政法人が取り入れて、見やすくしていくといいんだろうなと考えています。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 いろいろな角度から御意見出ましたけれども、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 各法人におかれましては、今日、紹介のあった法人事例や、本日、たくさんの先生方から、いろいろな角度からの御意見を参考に、令和3事業年度の事業報告書の作成を進めていただければと思います。
 事業内容もバージョンアップしていきますけれども、意味があって行っているわけなので、それが将来に向かって、どうつながっていくか、また、これがずっとつながれば、1つの物語になるというか、夢になるわけですね。ぜひとも、法人の各メンバーが、そういうことも理解しながらやっていくことが、また大きな成果につながってくると思います。今日、皆さんからいただいた議論というのは本当に有益だったと思います。ありがとうございます。
 それでは、最後に事務局から、次回の日程等の説明をお願いしたいと思います。
【方管理官】  次回は7月1日金曜日13時30分より委員会を開催いたします。会場につきましては、別途御連絡申し上げます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。7月1日は、また皆さんとお会いできることを楽しみにしております。
 それでは、以上をもちまして、第36回独立行政法人評価制度委員会及び第49回評価部会の合同会議を閉会といたします。本日は、皆さん、お忙しい中、御出席いただきまして、本当にありがとうございました。これで終わりたいと思います。
(以上)

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