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第39回独立行政法人評価制度委員会 議事録

日時

令和4年12月5日(月)14:00〜15:35

場所

中央合同庁舎2号館8階 第1特別会議室(ウェブ会議併用)

出席者

(委員)澤田道驤マ員長、梶川融委員長代理、天野玲子委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、島本幸治委員、高橋伸子委員、浜野京委員、原田久委員(評価部会長)、野ア邦夫委員、南雲岳彦臨時委員、河合晃一専門委員、清水剛専門委員、横田響子専門委員
(審議協力者)樫谷隆夫 樫谷公認会計士事務所所長
(事務局)稲山行政管理局長、方管理官ほか

議事

  1. 令和4年度に中(長)期目標期間が終了する法人に係る見込評価及び業務・組織の見直し並びに独立行政法人等の中(長)期目標の策定について
  2. 独立行政法人の令和3年度業務の実績に係る評価等の点検結果等について
  3. 法人及び主務省における財務データの活用事例に関する調査について
  4. 民間企業における目標管理に関する調査について

配布資料

議事録

【澤田委員長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第39回独立行政法人評価制度委員会を開会いたします。
 本日の会議は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、密を避ける観点から、傍聴者には会議の模様をオンラインで中継しております。
 今日は、5名の委員がリモート参加です。
 それでは、議題に移りたいと思います。本日は議題が4つあります。1番目は「令和4年度に中(長)期目標期間が終了する法人に係る見込評価及び業務・組織の見直し並びに独立行政法人等の中(長)期目標の策定について」。2番目が「独立行政法人の令和3年度業務の実績に係る評価等の点検結果等について」。3番目が「法人及び主務省における財務データの活用事例に関する調査について」。それから4番目が「民間企業における目標管理に関する調査について」。おおむね1時間半ほどで説明と議論を行いたいと思います。
 それでは、議題1「令和4年度に中(長)期目標期間が終了する法人に係る見込評価及び業務・組織の見直し並びに独立行政法人等の中(長)期目標の策定について」でございます。この議題1につきましては、原田評価部会長から御説明をお願いします。
【原田評価部会長】  承知いたしました。それでは、私から御説明いたします。
 10月17日の委員会での御意見等を踏まえまして、評価部会におきまして、本年度の見直し対象法人に係る検討を進めてきたところでございます。まず、本年度の見直し対象法人に関する見込評価、そして業務・組織の見直しについてでございますけれども、今年度の調査審議を踏まえまして、評価部会として、ともに「意見なし」の結論に至りました。
 他方で、これまで行ってまいりましたヒアリングや見込評価及び業務・組織の見直しの結果を踏まえまして、次期目標を策定するに当たり、各法人の主務省において御留意いただきたい点がいくつか出てまいりました。これらにつきまして、資料1のとおり整理をしておりますので、詳細につきましては、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
【方管理官】  それでは、事務局より御説明申し上げます。今年度の見直し対象法人について、次期目標の策定等に向けて留意いただきたい点を資料1のとおり整理いたしました。まず、冒頭のリード文について、昨年度までは、各見直し対象法人に共通する課題や留意事項を記載しておりましたが、今年度は、これに相当する内容を本年4月に委員会決定いただきました「独立行政法人の業務管理及び内部管理について」としてお示しいただいておりますので、次期目標案の検討に当たっては、本資料に記載の留意事項だけでなく、同方針についても御参考いただきたい旨を明記しております。
 また、既に「独立行政法人評価制度の運用に関する基本的考え方」等でお示ししていただいているところではありますが、目標の検討に当たりましては、独立行政法人に実施させる業務だけでなく、当該業務の前提となる政策そのものの方向性を含め、主務省と法人との間で十分なコミュニケーションを図ることが重要であることも、冒頭にて改めて記載しております。
 個々の法人についての説明につきましては、本年度の見直し対象法人が、準用法人も含めまして24法人にわたりますので、本資料の配付をもって代えさせていただければと考えております。
 なお、見込評価の点検に関し補足いたしますが、一部の法人の見込評価については、記載内容の適切性を確認すべき事例があり、評価部会において様々な観点から御議論をいただきました結果、先ほど部会長の御報告のとおり、「意見なし」となった旨申し添えます。主務省に対しましては、具体の議論の内容について十分説明をしたいと考えております。
 説明は以上になります。
【澤田委員長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの御報告につきまして、どなたからでも結構ですので、御発言いただきたいと思います。なお、防災科学技術研究所の参与を務めていらっしゃいます天野委員及び国民生活センターの情報提供委員会委員を務めていらっしゃいます高橋委員におかれましては、申合せにより、当該法人に関する意見を控えていただくこととされておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、どなたからでも結構ですので、御発言いただけますか。天野委員、どうぞ。
【天野委員】  ありがとうございました。よくまとめていただいて、内容に関しましては、特に意見はありません。1つだけ感想を言わせていただきます。
 リード文の最後の3行について、今年は特に、主務省ヒアリングの中で、一部の主務省において、第三者的というか、自分たちが主務省だということを忘れているのではないかと思われる発言が多く見られたような印象を持ちましたので、この3行は非常に重要だと思っています。
 ただ、文章の中に埋もれている気がしますので、「なお」の前で段落を分けるとか、「なお」以下に下線を引くとか、もう少し強調していただけるといいかと思いますが、いかがでしょうか。
【澤田委員長】  事務局からいかがですか。
【方管理官】  御指摘はごもっともでございます。この点につきましては、既に4月8日に御決定いただいた「基本的考え方」において、詳細に書いていますので、法人あるいは主務省の方々も含めて、よく読んでいただければと思っております。「基本的考え方」など委員会における決定事項については、広く周知しなければいけないと思っていますので、その点も、今後とも取り組んでまいりたいと考えております。
【天野委員】  ありがとうございます。
【澤田委員長】  そのほか御意見等ございますか。樫谷審議協力者、どうぞ。
【樫谷審議協力者】  今回、背景事情等を書いていただき、各留意事項について、より趣旨が分かりやすくなっていると思います。今後もこういう方針で取り組むことができればよいかと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございました。それでは金岡委員、どうぞ。
【金岡委員】  今ほどお二方からもお話がありましたとおり、特に事務局においては力を入れていただいて、ヒアリングにおける委員からの意見について、背景事情等の説明を詳しく記載していただきましたので、大変分かりやすい資料として御提示いただいているのではないかと思います。
 人、組織とも、どうしても現状維持あるいは現状肯定バイアスにかかりやすいところがございますので、こういう形で、第三者機関としての御指摘をまとめていただいたのは本当にすばらしいことではないかと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございました。私も詳細を拝見しましたが、うまくまとめられているのではないかと思います。高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】  私も金岡委員と同様の感想を持っております。背景事情を全体的に丁寧に書いたことにより、留意事項の趣旨を主務省並びに法人にしっかり酌み取っていただきたいという我々の思いが伝わるといいと思っております。
 また、第2ユニットの担当法人においては、イノベーションとか目新しさとか量的な成果というのも大切ですけれども、質的な向上ということを求めたところに少し特徴があるかと思っております。
例えば4ページの物質・材料研究機構については、安全性や信頼性を高めるための研究などが適切に評価されるように、とお示しすることができたことはよかったのではないかと思います。それから、9ページの日本芸術文化振興会についても、公演の質を高めるための取組などが適切に評価されるように、と盛り込んでいます。このほか海外の優れた取組を取り入れることなどにより、視野を広げていく観点を示した法人もあります。
その辺りはぜひ次の中(長)期目標に生かしてほしいと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございました。栗原委員、どうぞ。
【栗原委員】  今回の中(長)期目標の策定についての留意事項とその背景事情については、異論はございません。これまで議論したことを丁寧に書いていただいていますので、対象となる法人及び主務省に理解をいただいて、よりよいものにしていただきたいと思います。
 1点、見込評価の点検に関し補足の説明をいただいたことについて申し上げます。一部の法人に関して、その主務省から提出のあった見込評価について、いろいろと議論をさせていただきました。個別の名は申し上げませんけれども、そこは主務大臣から業務運営の抜本的な改善に関する命令を受けたところでありまして、業務改善命令を受けたこと自体や業務改善命令に基づいて途中で目標を変更したこと、それから当初予定からの乖離が生じたという事実が抜本的改善を求められることとなった法人の業務運営に起因するのではないかといった点等について、議論をさせていただき、今回については、見込評価は妥当と判断をさせていただいたところでございます。
 特に、法人全体の信用を失墜させる不祥事に該当するのかどうかという点については、その不祥事が犯罪行為等だけではなくて、例えば大きな経済的な損失を生じさせた場合等も含めてそうした不祥事に該当し得るのではないかとの議論もさせていただきました。
今回の判断については問題ないとさせていただきましたが、主務省において当該法人を評価する際には、我々と目線を合わせていただいて、今後も適正な評価に努めていただきたいと思いますので、このように委員会で議論したことについて、主務省によく伝えていただきたいと思います。
【澤田委員長】  御意見ありがとうございます。事務局からお願いします。
【方管理官】  本件につきまして、委員の皆様に様々議論いただき、大変ありがたく思っております。法人全体の信用を失墜させる不祥事に当たるのではないかとの議論もございましたが、最終的に、見込評価書の記述においても、業務運営上の課題が不足なく把握され、当該課題への今後の対応方針や方向性も検討されていることから、評価の目的であるPDCAサイクルが的確に機能していることを確認し、「意見なし」という判断をいただいたと考えております。この点も含めまして、主務省にはよく伝えたいと考えています。
【澤田委員長】  ありがとうございます。よろしいですか。では浜野委員、どうぞ。
【浜野委員】  今回、多くの法人をヒアリングさせていただきましたが、委員からは様々な意見が出ました。資料1に、「幅広く議論を行いつつ」と記述していただいておりますけれども、それをうまくまとめていただいた事務局にまず感謝申し上げます。
 法人ヒアリングでは、今、法人を取り巻く環境という変化が多岐にわたっていて、課題がかなり広範に、困難なものになっているという議論もさせていただきましたけれども、その中でも法人に共通する課題もございました。したがって、主務省・法人には、自身に係る留意事項だけでなく、全てを御覧いただき、他の法人と共通的に抱える課題を酌み取っていただきたいと思いました。
 資料1では、留意事項として、目標にこういったことを入れてはどうかという記載の仕方をしておりますけれども、自身の留意事項に限らず、他の法人にはこういう留意事項が示されているのだと、幅広い議論が出たのだというところを酌み取っていただければ幸いでございます。
【澤田委員長】  貴重な御意見ありがとうございました。いかがですか。よろしいですか。リモートで御参加の委員の方もよろしいですか。
 それでは、本年度の見直し対象法人に関する見込評価及び業務・組織の見直し並びに委員会決定につきましてお諮りしたいと思います。原田評価部会長からの御報告のとおり、当委員会としては、見込評価及び業務・組織の見直しについては、「意見なし」の結論とすることとしたいと思いますが、御異議ございませんか。
(「異議なし」の声あり)
【澤田委員長】  ありがとうございます。また、あわせて、資料1の委員会決定(案)について、委員会として決定することに御異議ございませんか。
(「異議なし」の声あり)
【澤田委員長】  ありがとうございます。それでは、そのように決定させていただきました。本日の議論の内容につきましては、事務局を通じて各府省に十分お伝えいただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、議題2に移りたいと思います。独立行政法人の令和3年度業務の実績に係る評価等の点検結果等につきまして、原田評価部会長から御説明をお願いします。
【原田評価部会長】  それでは今度は、昨年度、令和3年度の業務の実績に係る評価等についてでございます。こちらにつきましても、評価部会を中心に点検を行ってまいりました。点検の結果につきまして、資料2のとおり整理をしておりますので、詳細については事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
【方管理官】  それでは、事務局から御説明いたします。本件は、各主務大臣が実施した令和3年度の年度評価等について、4月の委員会で決定された「基本的考え方」に示された視点等により点検した結果を御報告するものとなります。点検の対象は全法人の令和3年度の年度評価、昨年度の見直し対象法人について中(長)期目標期間終了後に行われる期間実績評価、また、中長期目標期間の途中において法人の長の任期が前年度末に終了した国立研究開発法人についての中長期目標期間中間評価となりますが、これらの点検を行った結果、著しく適正を欠く評価の実施と考えられるものはございませんでした。
 しかしながら、今後の評価等の留意点としまして2点ございました。
 まず1点目ですが、今回の点検の結果、一部の法人において、複数年連続して所期の成果を下回っている項目について、従前の改善策等の検証に関する記載が、主務大臣評価の中で確認できないものが見受けられました。年度評価は、毎年のPDCAサイクルのチェック機能を果たすため、特に複数年連続でC以下の評定を付す場合には、主務大臣自らが従前の改善策等について検証した上で、次期の取組方針を明らかにするなど、法人が評価結果を踏まえて改善等の行動を的確に取ることができるようにする必要があると考えております。
 また、複数年連続して所期の成果を下回っている項目の中には、事業の性質や外的要因により、法人の取組だけでは現行の目標水準の達成が困難な場合もあると考えられることから、主務大臣において、抜本的な改善策等を十分に検討し、当該法人の使命、ミッションに照らしつつ、当該法人を取り巻く環境や業務の特性等を考慮した上で、適切な目標を設定し、法人が担う政策実施のPDCAサイクルを的確に回すことが必要であると考えております。
 留意点の2点目でございますが、今回、一部の法人の期間実績評価書について、主務大臣が独自の様式を使用しており、その結果、項目別評定において見込評価と期間実績評価の差異を比較できないものが見受けられました。評価書の様式を標準化し、統一を図ることにより、他法人の評価等との比較可能性を高めるとともに、国民への説明責任の徹底、見える化が図られることから、様式に基づき、評価書を作成することが必要であると考えております。
 なお、評価指針においては、「評価結果を予算や業務運営の改善等に適切に反映できるよう、概算要求時を目途に各評価を完了させるよう努める」ものとされております。主務大臣においては、年度評価及び見込評価は8月上旬を目途に、期間実績評価は8月中旬を目途に評価を完了させるなど、適時に評価を実施するよう改めて御留意願いたいと考えております。以上でございます。
【澤田委員長】  御説明ありがとうございました。この留意点1と2は非常に重要なことだと思います。それでは、皆さんから御意見、御質問等を伺いたいと思います。いかがですか。樫谷審議協力者、どうぞ。
【樫谷審議協力者】  省庁別あるいは法人類型別に見ると、S評定やA評定の取得に向けて法人が頑張っていらっしゃることは評価できますが、A評定以上の割合が80%を超えているものとか、中間評価の中にはそれが100%というものがあることが気になります。目標を達成すること自体はすばらしいことですけれども、目標策定の在り方に何か課題があるのではないかとの検証も必要だと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございました。評価結果と目標策定の在り方の関連について、事務局から一言お願いします。
【方管理官】  4月に決定いただきました「基本的考え方」でも、どのような観点で評価の点検を実施するかということを書いております。見込評価の場合に、例えば「A以上の評定を付した評価項目において合理的な根拠・説明がなされているか」、つまり過大な評価がなされていないか、あるいは期間実績評価の場合、「活動の成果が一般社会へ与える影響や今後求められる取組の方向性が説明される等、国民一般にとって分かりやすい評価書となっているか」などの点検の項目を設けております。今後もそのような点検の方針に基づきまして、適切に評価・点検をしてまいりたいと考えています。
【澤田委員長】  ありがとうございます。よろしいですか。天野委員、どうぞ。
【天野委員】  資料2の最後の段落にあるとおり、各評価が「PDCAサイクルを的確に機能させ」るものであることはとても大事なことだと思います。いろいろ評価は受けているけど、この結果はどう使われているのかよく分からないという意見も見られるように思いますので、各評価の目的をきちんと知らしめてほしいと思います。
 また、府省別に見ると、評価にばらつきがあるのですが、これはどのように理解したらいいのでしょうか。A評定以上の割合が10%台の府省があります。別にA評定を目指せとは言いませんが、先ほど樫谷審議協力者がおっしゃったように、目標策定の在り方にも関わるとは思いますが、B評定は、目標で与えられた内容にそれなりに取り組めばいいというような、予算を消化しさえすればいいみたいなところに通じる気がしてしまいます。改めて、適切な目標策定が必要だと思いますが、このようなばらつきについて、事務局としてはどのようにお考えですか。
【澤田委員長】  事務局からお願いします。
【方管理官】  確かにばらつきがあるという御指摘はごもっともと思っております。分析してみると、例えば国立研究開発法人の評価が、A評定以上の割合が大きいという状況など、いろんな傾向が見えてくると思います。評定あるいは指標の適切性が、こういうところに影響を与えていると思われます。
 基本的には定量的指標で評価するということになっていますが、中には定性的な指標でしか評価ができないものもあります。本日の議題3や4で御議論いただければと思いますけども、様々な指標の在り方が考えられますので、指標などを工夫することによって、ある程度よい評価を得ることも可能になるようなことができればいいと考えています。
【澤田委員長】  よろしいですか。島本委員、どうぞ。
【島本委員】  私からも質問させていただければと思います。議論をお伺いしていると、目標策定と評価の点検は、PDCAサイクルの中でも、両方大事な部分だと思います。特に委員会が横串で見ている観点は、各法人にとって参考になると思います。
 このような分類別の分析は、これそのものが主務省や法人に配付されているのでしょうか。また、配付されていないとしたら、例えばC評定は全体的には数が少ないこととか、あるいはその法人の評価の改善に向けて応援していることが、主務省や法人に対して、どの程度、どのように情報が伝わっているか、あるいはそれらの事実について主務省や法人がどういう認識でいるのかについて教えていただければと思います。
【澤田委員長】  事務局からいかがでしょうか。
【方管理官】  お答えします。せっかくこのような分析をしておりますので、当然ながら主務省には共有しております。その上で、法人のほうにも、当然ながらそういう情報は共有されるものと考えております。いずれにしましても、こういう情報が主務省あるいは法人まで含めて、よく伝わるようにしないといけないと考えています。
【澤田委員長】  よろしいですか。ちなみに私も関連して質問ですけれども、各法人のメンバーはこの評価結果を認識しているのでしょうか。また、理解されているのでしょうか。
【方管理官】  法人のメンバーというのは職員の方々という意味ですか。
【澤田委員長】  はい、各業務に従事している職員の方のことです。
【方管理官】  法人の職員の方々は、当然ながら自分の業務に取り組んだ結果、どういう評価・評定が出たかということは気にされていると思いますので、そこは確実に伝わっているものと考えております。
【澤田委員長】  それはその個人が従事している業務に関してですよね。
【方管理官】  はい。
【澤田委員長】  法人全体がどのような評価を受けているかについても、分かるようになっているのですか。
【方管理官】  法人全体の評価として総合評定を行うこととなっており、例えばB評定やA評定といった評語が付されます。それは評価書の中で明らかになっていますので、御覧いただいているものと思います。
【澤田委員長】  自分の活動と法人全体の評価がどのようにつながっているかということを確認するというのも非常に重要だと思います。分かりました。ありがとうございます。
 それでは高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】  事務局に1点質問させていただきたいと思います。この資料2の(2)について、主務大臣が独自の様式を使用した評価書が提出されたということですが、この評価書の標準化・統一化に関しては数年前から取り組んで、説明会も複数回なされたと思います。なぜこの時点でこのようなものが出てきてしまったのかの経緯を教えていただけますでしょうか。また、見込評価と期間実績評価の差異が比較できないというのは問題ですので、これが判明した時点で、改めて標準的な様式での再提出を求めることはできなかったのでしょうか。この2点について教えてください。
【澤田委員長】  事務局からお答えください。
【方管理官】  主務省に理由を確認したところ、見込評価と期間実績評価の記述に重複する部分が非常に多いため、その分量縮減の観点から並列表記をしていないということでした。また、その主務省としましては、縦書きのほうが見やすいということでした。
 今回の事例につきましては、前回の期間実績評価書も同様の様式となっておりました。申し訳ございません、前回の時点で把握しておくべきでしたが、今後そういうことがないように、主務省にはよく伝えたいと考えています。
【澤田委員長】  ありがとうございます。よろしいですか。それでは南雲委員、お願いします。
【南雲臨時委員】  結果的に評価結果にばらつきがあること自体は悪いことではないと思います。もちろん前提条件として、そのKPIの質や、各法人の事業内容によって違いが出るということはあります。ただ、最も重要なのは、各法人の目標に対して設定された指標のストレッチの度合いが同じぐらいだったのか、ということだと思います。特定の法人だけすごくストレッチしていて、そのほかのところはゆるいことによって生まれるばらつきだとすると、これは問題だということになると思います。このため、指標のストレッチ具合をどうチェックするのかという観点は、今後考えていく必要があると思います。
 それから、この分析結果を横串の観点から主務省や法人に配ること自体はよく行われることかと思いますけれども、その結果、日本の企業の場合、予定調和的な分布に収れんしていくという問題がよく起こります。つまり、設定された目標値に対して頑張っているのではなくて、期待されているところに落ちるように頑張っていくというような集団行動が生じることがあります。例えばそうした行動が生じた結果、分布はきれいになったとしても、その実績は、本来目指すべき目標値からは乖離したものになっているということが起こるので、ばらつきの受け止めについてはバランス感覚が必要だと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございます。ごもっともな意見かと思いますが、事務局からいかがでしょうか。
【方管理官】  指標のストレッチの度合いについては、御指摘のとおり、法人間で同じような目標はあまりないですが、全法人共通的な事項に関する目標で、類似の指標があったりします。その辺りの指標のストレッチの程度については、今後よく見ていきたいと思います。
 また、予定調和的な分布に収れんするのではないかということでございますが、これはそういうことはあってはいけないと考えています。独法の評価の仕組みは絶対評価となっておりますので、各評定の割合が決まっているわけではないことから、そういうことは起きないのかとは考えていますが、南雲臨時委員御指摘の点を今後よく見ながら、点検を実施していきたいと考えています。
【澤田委員長】  ありがとうございました。よろしいですか。では横田委員、お願いします。
【横田専門委員】  ありがとうございます。事務局では既に御認識かとは思いますが、内容に関してというよりも、情報共有として申し上げたいと思います。今、行政事業レビューの見直しが内閣官房のほうで進められていて、政策評価との一体化などの議論が進んでいると伺っております。
 行政事業レビューの対象が5,000あり、職員の方の評価業務の重複感を危惧する声の中で、独法に関しては独法評価の仕組みがあるので、そちらはあえてレビューシートではなくて、独法評価の仕組みを優先してやっていくのでもよいのではないか、といったことも意見として出ていると伺っております。
 何を申し上げたいかというと、よりこちらの仕組みの中で法人を評価することが重視されていく可能性もありますし、我々もその前提に立って法人を見ていく必要があるのではないかと感じた次第です。情報共有も兼ねて御報告いたします。
【澤田委員長】  ありがとうございます。では梶川委員長代理、お願いします。
【梶川委員長代理】  今回の御説明に関しては、意見は特段ございません。一般論になりますが、独法の評価に関して私も長らく見てきて思うのは、評価する側と評価される側が、どの水準まで達成していたらA評定になるかについて合意できているのかが重要だということです。事業に取り組んだ後に、評価する側が何となくこれはA評定だとかB評定だとか言っているものが多いように感じますが、法人により良い取組をしてもらいたいということであれば、事前に、この水準まで達成できればA評定になるということを、主務省側と相互理解を持てるような取組をするのがいいのではないかと思います。この段階で、その水準ではA評定にはならないという合意を得られれば、評価の時点では、そうした相互理解の下で、かなり精度が高まってくるのではないかと思います。
【澤田委員長】  これは原田評価部会長から一言いただけますか。
【原田評価部会長】  今の梶川委員長代理の意見も含めて、独立行政法人制度の研究者として少しコメントいたします。
1つ目でございますが、評価の結果、A評定やS評定が多いのは、法人類型でいうと、国立研究開発法人だということについてです。この点については、A評定が多いのか、あるいはB評定が多いのか、あるいはS評定が多いのかといった論点は、主務大臣と各法人とのPDCAサイクルを回す上で、その評価が適切に行われていればそれでよいということかと思います。基本的には我々委員会としては、見込評価のときに重点的にチェックをしていく。年度評価はどうでもいいというわけではないのですけれども、基本的には各主務大臣と法人にお任せをし、どうしても問題があればチェックをしていくというスタンスで基本的にはいいのかと考えています。したがって、評定のばらつきだけを見て、ぎりぎり詰めていく必要は無いと思っております。
 2つ目ですが、各法人の自己評価と主務大臣の評価がどの程度乖離しているかについては、法人による自己評価は少し甘め、一方で主務大臣による評価は辛めであることやそれが逆の場合もあります。このように、細かく見ていくと、主務大臣評価と、法人の評価がずれていることがありますが、それは各組織がしっかりと法人の評価をしているということのあらわれなのではないかと思っています。これは重要な情報です。梶川委員長代理がおっしゃったこととの関連で申しますと、どうして両者の評価がずれたのかについては、恐らく主務大臣と法人との間でコミュニケーションが取られて、翌年度の評価に活かされていると思っています。
 3つ目ですが、B評定だからといって主務大臣が法人に何らコメントしていないということは全くなくて、むしろ伝え過ぎと思うくらいいろんなコメントを書いています。すなわち、主務大臣としてはB評定だからスルーしていいとは全く考えていないということだと思っています。評価書では、第三者意見も含めて様々なコメントが寄せられていて、B評定の項目でも主務大臣からいろいろメッセージが伝えられているというのが実態ではないかと思います。少し主務大臣寄りの発言になってしまいましたけれども、現状としてはそういう状況にあるのではないかと思っております。
【澤田委員長】  ありがとうございました。浜野委員、どうぞ。
【浜野委員】  この評価自体はそれぞれで実施いただいていますが、昨今は情報発信や広報の強化に関してこの委員会でも重視していることを酌み取っていただいて、サービスの質の向上に係る業務についての評価ではよい評定が多くなっているということが分かります。
 一方で、業務運営の効率化に係る業務についての評価ではB評定のものが多くあって、この結果からは、業務運営の効率化ができていないということではないものの、アメージングに効率化していくといったところに課題があるのかと思いました。この点について、事務局において、何か上手に取り組んでおられる法人を把握されていましたら、他法人のためにも御紹介していただければと思いました。
【澤田委員長】  ありがとうございます。では事務局からお答えください。
【方管理官】  御指摘ありがとうございます。今日の議題3や4でも話題になるかと思います。特に議題4で、この業務効率化の項目の中にどうしてもB評定しか取れない業務が多くあると承知しておりますので、どのような指標の工夫ができるかについて、この後、御議論いただければと考えています。
【澤田委員長】  ありがとうございました。野ア委員、どうぞ。
【野ア委員】  先ほど原田部会長からのお話では、法人の自己評価と主務大臣の評価との差には絶対的な傾向はなく、どちらかがよくて、どちらかが悪いという両方のパターンが見られるとおっしゃっていたと思いますが、その差をどう埋めていくかというのが大事なところだと思います。
 例えば、官庁もそうかもしれませんが、民間企業では人事評価をするときに、自己評価と、上司からの評価、そして360度評価を実施しますが、それらのずれは当然どこかで生じます。
法人の自己評価と主務大臣の評価とのずれにどういう傾向があるのかということで、それは法人によって違うし、恐らく主務官庁によっても違うと思います。このため、全体的に見て、評価される側による自己評価のほうがいい傾向がある官庁と、その逆の官庁の、カテゴリー別にどんなギャップがあるのかを見ると、いろいろなことが見えてくるのではないかと思います。これは、PDCAサイクルを回すときに非常に参考になる情報になると思いますので、そういう観点で見る機会をつくられたらいいのではないかと思います。
【澤田委員長】  貴重な御意見をありがとうございます。時間が迫っていますが、天野委員、どうぞ。
【天野委員】  皆さんの意見はよく理解できますが、少しだけ腑に落ちないことがあります。確かに国立研究開発法人以外の法人の成果はKPI化するのは難しいと思います。その中では業務の効率化に関する項目が一番設定しやすいのではないかと思いますが、社会状況が変化する中で主務大臣と密接に業務に取り組んでおられるとすると、新規に生じる業務のために、法人では毎年人材不足と業務効率化のための予算不足が生じています。仕方のない側面もあると思いますが、次のステップとして今までとは違うことを考える時期に来ているのではないかと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございます。では金岡委員、最後にお願いします。
【金岡委員】  法人類型別の分析を見ますと、中期目標管理法人が54法人で、評価項目数が613に対して、国立研究開発法人の評価項目数が少ないように思います。中期目標管理法人は平均すると一法人あたり11くらいでしょうか。行政執行法人は恐らく、定例的なお仕事も多いということで、平均すると一法人あたり15を超える目標を立てていらっしゃるということに今、見ていて気づきました。
 規模の大きな国立研究開発法人もございますので、国立研究開発法人の一法人あたりの評価項目数が相対的にあまり多くないということについては、どのように捉えればいいのか教えていただけますと幸いです。他の法人が、評価項目数が多過ぎるのかもしれませんけども、この評価項目数の差を見て、どの程度のまとまりの項目で評価していくのかということについても、何らか考えていかなくてはいけないのかと感じました。
【澤田委員長】  ありがとうございます。では事務局からお答えください。
【方管理官】  細かい分析をした結果ではございませんので、私の感覚になってしまいますが、国立研究開発法人は研究業務を一つの固まりとして扱うものが多いように思います。それを一つの、一定の事業等のまとまりとカウントしているため、結果的に評価項目数が少なくなるのかもしれません。
 一方、中期目標管理法人は、様々な事業がありまして、一つの法人の中でそれぞれがあまり関連のない事業を行っている傾向が見られるため、結果的に評価項目数、すなわち一定の事業等のまとまりについても多くなる傾向にあるのではないかと考えております。
【澤田委員長】  ありがとうございました。皆さんよろしいでしょうか。
 事務局におかれましては、評価書において明らかにすることが適当であると考えられる点について、各府省に伝えていただくこととしたいと思いますけれども、皆さんよろしいですか。
(「異議なし」の声あり)
【澤田委員長】  ありがとうございます。それでは、事務局におきましては、主務省への伝達をお願いいたします。また、各主務大臣におかれましては、今回の点検結果も踏まえ、次年度以降の評価について、適切に実施していただきたいと思います。これで議題2を終わりたいと思います。
 次に議題3に移ります。「法人及び主務省における財務データの活用事例に関する調査について」でございます。これについては事務局から報告をお願いします。
【谷口研究官】  それでは、財務データ活用事例に関する調査結果について御報告いたします。
 まず、調査の目的でございます。「独立行政法人の評価に関する指針」では、業務の特性に応じて財務分析による評価を行うとされておりますけども、今年の2月に取りまとめました、「独立行政法人制度改正フォローアップ調査」では、これを「実施している」と回答した主務省が3割、法人が4割と少なかったところでございます。
 これを踏まえ、主務省や法人において、評価とか、評価のみならず業務執行に財務データを活用している事例について調査しました。この事例を横展開することで、財務データを活用した評価や効率的な業務執行が促進されることを目的に調査を実施いたしました。
事務局において、4法人にヒアリングを実施しまして、5つの事例についてまとめましたので御説明いたします。
 まず1つ目の事例として、ABC/ABMによる総合的なコスト構造分析により人的資源を有効に活用しております統計センターの事例でございます。ABCとは「活動基準原価計算」といいまして、活動を基準にして製品やサービスを提供するためのコストを算出することです。ABMとは「活動基準管理」といいまして、活動を基準にして業務効率を改善していく経営手法のことを申します。
 統計センターでは、まず法人が行います統計調査などの全事業を事業別に分類し、それから業務の工程でございます事務区分ごとに業務を分類いたします。そして、作業した職員はこの分類に従いまして作業時間を入力してまいります。
 次のページにまいります。それを事業別に集計しまして、そこに作業時間を基に按分配賦した総務部門の要員数と足し合わせることによって、直接部門と間接部門を合計した「活動ベースの要員数実績」を算出いたします。
次に、各事業別の「活動ベースの要員数実績」の法人全体に占める割合を法人全体の人件費に掛け合わせることによって、各事業の人件費を算出いたします。
 また、各事業にひもづけできる個別経費に、先ほどの「活動ベースの要員数実績」の法人全体に占める割合で各事業に按分配賦した共通経費を合計しまして、各事業の物件費を算出いたします。
 次のページにまいりまして、こうして算出いたしました事業ごとの物件費と人件費について、コスト構造分析・経年比較を行うことによって、適正化すべき費用の洗い出しを行っているということでございます。
 また、ABMによる活動分析では、事務区分ごとに標準時間という、あらかじめ計画した作業時間と実際の作業時間とを比較して、活動内容を分析しまして、前後の工程を含めて改善を行うことで、余剰となった人件費の適正化ですとか、他の業務への振り分けが可能になったということでございます。こうした取組によりまして、予算・人員の削減が求められる中で、法人に求められる業務を遂行しているということでございました。
 次の事例にまいります。こちらは部門別の予算実績対比表を月次で作成しまして、予算執行状況を管理しております郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構の事例でございます。この法人では物件費について、毎月、部門ごとに予算実績対比表を作成するとともに、前年同月実績を併せて記載し、部門管理者である担当理事に報告しているということでございます。これによりまして、部門管理者は、毎月、当年度予算の中での執行状況のほか、前年度実績との比較という多角的な視点で、担当部門の支出状況を分析して、部門運営の判断ができるということでございまして、一般管理費、業務経費の削減にも資することができたということでございます。
 それから次の事例にまいりまして、こちらは他法人との共同購入により経費削減を行っております労働者健康安全機構の事例でございます。この取組によってスケールメリットを生かした支出の削減が可能になったということで、他法人との高額医療機器の共同調達により、令和2年度実績として5億8,600万円の削減、労災病院グループにおけるリース調達物件の共同入札により3億1,900万円の削減を実現したほか、他法人との医薬品の共同購入も実施しております。こうした取組により経費削減を実現したほか、調達に係る契約業務を本部に集約するということによって、事務手続の軽減も図られているとのことでございます。
 次のページにまいります。次の事例は、新規事業や重点項目に配分するための特別配分枠を設定している製品評価技術基盤機構(NITE)の事例でございます。この法人では、主務大臣の評価結果を活用した予算配分と早期入札を行うことによりまして、特別配分枠と呼ばれる財源を捻出しまして、この特別配分枠を新規事業や重点項目に戦略的に配分しているということでございます。
 まず、主務大臣の評価結果を活用した予算配分ですが、具体的には、予算編成におきまして、前年度予算額から業務経費を一律15%削減します。その後、各部門の主務大臣の評価結果に応じて、例えばS評定であれば15%、A評定であれば8%、B評定であれば0%といった具合に、削減分を各部門に還元いたします。こうして還元されなかった部分を特別配分枠に組み入れております。
 次のページにまいりまして、次に早期入札でございます。通常、調達に入札を行いますと、落札額が予算額を下回りまして、予算に余りが生じます。これを落札効果と申しますが、入札を早期に行いまして、この落札効果で余った予算を特別配分額に組み入れているということでございます。これらで捻出した特別配分額をトップのマネジメントにより戦略的に配分しているということでございます。
次のページでございますが、こうした取組により、令和3年度、5.7億円の特別配分枠を捻出できたということでございます。また、評価結果を活用することで、よい評価を得るための職員の意識向上にもつながっているということですとか、理事長のトップマネジメントが働きやすくなって、適切に業務の見直しが図られるという効果もあったということでございます。
 それから最後の事例でございます。固定費と変動費を区別して、予算編成を実施しております。これもNITEの事例でございます。こちらでは、予算の編成のときに、部門ごとに支出項目の性質に基づいて、固定費と変動費に分けて編成しておりまして、各部門において費用の必要性を検討するという取組でございます。この法人では、固定費は毎年一定額が発生する経費を指しておりまして、機器保守費などが該当いたします。変動費は、年度ごとに変動する経費や単年度の経費を指しておりまして、外部調査費などが該当いたします。
 この取組によりまして、固定費と変動費を一律に削減するのではなくて、費用の性質に応じた見直しが可能になったということで、特に固定費を見直す契機になったということでございます。例えば、使用頻度の減った機器の保守費用や通信費の適正化ができたということ。予算編成の際に非常勤人件費などをあらかじめ5%を減らすことで、業務に応じた全体最適化が推進されたということ。ペーパーレスの推進に伴う複写機メンテナンス費用の見直しですとか、前年度実績を踏まえた電気代の見直しができたということでございました。
 以上、御紹介いたしました事例は、財務データを活用した取組の参考事例ということで、主務省や法人にも共有してまいりたいと考えております。説明は以上でございます。
【澤田委員長】  ありがとうございます。ただいまの説明につきまして、御意見等ございましたらどなたからでも御発言ください。河合専門委員、どうぞ。
【河合専門委員】  ありがとうございます。ただいま御紹介いただいた事例4のNITEの取組は非常にすばらしいものだと私も思っております。特に、各部門の前年度の主務大臣評価結果に基づいて、削減分を各部門へ還元するだけでなく、その後に、一律削減分のうち、各部門に最終的に還元されなかった額を「特別配分枠」としている点について、そのように思いました。
 何を申し上げたいかといいますと、通常、このように傾斜配分を続けていくと、ウィナー・テイク・オールといいますか、追加予算をもらった部門がその後も追加予算を取り続けていくという現象が生じる恐れがあります。しかしながら、NITEの事例は、そういったことを防ぐ仕組みとして工夫されていらっしゃるように思いました。
 それから、資料を拝見すると、「万一C又はD評定となった場合であっても、NITEの全体方針として当該事業のてこ入れ等のために追加的にリソースを投入する必要があるという判断となった場合には、重点的に配分することもあり得る」とされていて、十分なフォローがなされていると感じました。他法人が参考にされるに当たっての好事例かと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございます。非常に自由度の高い、また納得性のあるやり方かと私も思いました。事務局から何かコメントはありますか。
【谷口研究官】  河合専門委員、ありがとうございました。先生御指摘のとおり、毎年同じ評価ですと、じり貧になってしまう部門もあり得るということで、そこはトップマネジメントで必要なところには必要な予算をつけていくということはきちんと行われているということでございます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。野ア委員、どうぞ。
【野ア委員】  初歩的な質問で恐縮ですけど、統計センターでABC/ABM手法にきっちり取り組まれているのはすごいと思いますが、これは15分単位で、職員の方が自分の行った仕事を区分して入れるという作業をどれくらいの期間で取り組んでおられるのでしょうか。365日ずっと取り組んでいるのか、それともある一部の1か月とか2か月とか3か月とか、期間を区切って取り組んでいるのか。というのは、この作業だけでも相当大変ではないかと思いました。
 教科書的にはこのように取り組めばすばらしいものができそうな気がしますが、この作業自体が目的になっていないかというところをチェックしておかないといけないのではないかと思いまして、事務局にお伺いしたいと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございます。では事務局からお答え願います。
【谷口研究官】  ありがとうございます。入力については、作業ごとにかかった時間を入力していくということでございました。ただ、御指摘の、職員の負担感が大きいのではないかということについては、ヒアリングの際に伺った限りでは、現場から何か不満が出ていることはなかったようでございます。
 センターとして、予算や人員が限られている中で、組織としてきちんと効率化を進めていかなければいけないという問題意識が浸透しているのではないかと考えております。
【澤田委員長】  よろしいでしょうか。職員個々人において自分事化ができているのではないかと思います。ありがとうございます。それでは南雲委員、お願いします。
【南雲臨時委員】  ABC/ABMは日本の民間企業ではもう20年ぐらい前から常套手段として使われているものかと思います。どういう文脈で使われてきたかというと、組織の活動は、放っておくといろいろなところに手が伸びてしまって、なかなか閉じることができなくなり、事業規模は拡大の一途をたどることになりがちです。このため、この手法を用いることにより、コストの配賦をうまく計算することによって、あまり生産性がない事業を切り捨て、投下した資本に対して最もリターンを多く生む事業に対してフォーカスをしていくときに使われてきました。
 独法の場合、この手法を導入したときに、民間企業と同じように、あまり収益性がない、貢献性がない事業を切り捨てるという判断ができるのかどうか。この事業はやめていいという判断を自分でできない組織にこの手法を導入すると、出口に蓋をされた形になってしまいます。したがって、こうした手法を取り入れ、経営管理の高度化を進める際には、出口があるのかということも確認した上でやらないと、まさに目的がこの手法を導入することになってしまって、手段としては機能しないということになるように思いますが、その辺りはいかがでしょうか。
【澤田委員長】  事務局からお答えください。
【谷口研究官】  ありがとうございます。おっしゃるとおり、独法では、特に統計センターは行政執行法人であり、法律に規定された業務を確実に執行することが求められる組織であるため、コストに見合わないからといって業務を実施しないわけにはいかないと思います。ただ先ほど申し上げましたように、人員や予算が限られていますので、いかに効率化して、いかに人的配置を最適化していくかという中で始めていった取組と承知しております。
【澤田委員長】  よろしいですか。
【南雲臨時委員】  承知しました。程度問題ということかと思います。ありがとうございます。
【澤田委員長】  栗原委員、どうぞ。
【栗原委員】  この調査結果については非常に有用だと思います。いずれもデータの把握だけではなく、その把握したデータを、業務の見直しや業務運営上のメリハリ付け、リーダーシップの発揮、経営改善への結びつけなどに繋げている例だと思います。先ほど、他の法人とも共有されると説明がございましたが、是非他の法人及びその法人のマネジメント層に届くように共有していただきたいと思います。
 それから、先ほどのNITEの例は本当にすばらしいと思いますが、独法では予算管理上の制約があろうかと思いますので、そうした制約の中で、この仕組みの運用に当たって苦労されている点もあると思います。情報共有の際には、実際の運用における工夫についても具体的にお伝えになるといいのではないかと思います。
 一方で、そういった制約が本当に合理的なものなのかどうかについては、場合によってはこれが見直すきっかけにもなるかもしれないと思いました。中長期的な観点で申し上げますが、我々が委員会で議論する中で上がってきた意見からこうした観点でも議論することも、必要であれば、行ってもいいのではないかと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございます。事務局、いかがですか。
【谷口研究官】  ありがとうございます。1点目ですが、情報共有の際はマネジメント層に届くようにというのは、栗原委員の御指摘のとおりでございます。どういった形で届けていくかについては、例えば我々がヒアリングに行くときに資料を持っていって意見交換することなどを考えていきたいと思っております。
 それから2点目です。予算の制約はいろいろあると思います。実際にNITEがこの仕組みを運用する上でどういった支障が生じているのかなどについても、今後、事務局としても調べていって、どういったところに、制度にボトルネックがあるかというところも検討していきたいと思っています。
【澤田委員長】  ありがとうございました。それでは、清水専門委員、どうぞ。
【清水専門委員】  今話題になったマネジメント層への情報共有については、私もずっと考えていました。冊子、あるいはURL一覧をまとめる形でもいいですが、前回委員会の議題2で取り上げていただいた寄附の事例などのいい事例を整理いただいて、理事長などのマネジメント層の方とお会いする法人ヒアリングの際に、委員会の側からお渡しするのが一番いいのではないかと思っています。
 現場の担当者に提供しただけでは、業務の参考にするのが難しい情報かと思いましたので、ぜひ、来年になるか再来年になるのかは分かりませんけれども、事例が充実してきたタイミングでは、法人ヒアリングなどの場をうまく使ってマネジメント層に提供するのがいいのではないかと思いました。
【澤田委員長】  ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。せっかく調べていただいた良い事例ですので、法人に広く情報共有をすることで、これらについて御理解をいただき、自分たちも考えてみようということになれば、なお素晴らしいことだと思います。清水専門委員がおっしゃるように、いい形でこれを広げていけるように、法人のマネジメント層に理解してもらう活動をしっかりとやっていければと思います。ありがとうございます。
 大体時間になってきましたが、この件に関してはよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、今回の調査を通じて得られた知見につきましては、委員からの御意見を踏まえ、事務局を通じて各主務省、法人にお伝えいただくとともに、委員会としても、今回の知見を踏まえて、今後の調査審議に生かしていければと思っております。よろしくお願いします。
 それでは議題4、最後の議題に移りたいと思います。民間企業における目標管理に関する調査について、事務局から報告をお願いします。
【谷口研究官】  それでは、民間企業における目標管理に関する調査について御説明いたします。
 まず、本調査の経緯でございますが、「独立行政法人制度改正フォローアップ調査」では、管理業務を中心としまして、「A以上の評定を取得することが困難な事務・事業がある」との回答が法人・主務省から多く見られたところでございます。そこで、法人の取組・成果に応じた正当な評価が得られるよう、参考となる情報を主務省・法人に共有することを目的として、コンサル2社と民間企業4社からヒアリングを実施しまして、民間企業における目標管理の状況を調査いたしました。
 今般、そのヒアリング内容を、「A以上の評定を取得することが困難と回答のあった事務・事業の類型」別に整理した上で、主務省・法人において、目標や指標を設定する際の工夫例を取りまとめておりますので、御説明いたします。
 次のページでございます。まず管理業務全般、特に人事の関係でございます。法人・主務省からは、Bより上の評定が得られにくいという意見がございました。それから、管理業務には定量的な指標を設定しにくいという声もよく伺っているところでございます。これにつきまして、コンサルからは、従業員満足度を定量的指標として掲げている例ですとか、業務の質を落とさないよう、問題が起きないよう予防策を取ることについて目標設定をすることが大切であるというお話がございました。
 それから、民間企業では、エンゲージメントサーベイの得点をKPIにしている例のほか、次のページでございますが、コストダウン、効率化などの実績を評価する例がございました。これを踏まえまして、主務省・法人においても、管理業務であっても、職員満足度や離職率といった取組の効果に着目した定量的目標ですとか、業務改善やコストダウンなどに関する定量的目標を立てることも考えられます。
 それから次のページにまいりまして、管理業務の会計関係でございます。法人・主務省からは、財務や内部統制に関する業務については、A以上の評定は困難だという意見がございました。これにつきまして、コンサルのほうからは、ミスの低減に関する目標を立てることができるのではないか、ですとか、決算業務について、いかに生産性高く正確に行うか目標を設定している例もあるというお話がございました。それから、民間企業では、決算業務の短縮化・効率化を目標としている例などもございました。
 次のページでございますが、これを踏まえて、会計業務においては、ミスの件数など、正確性に関する目標に加えまして、作業時間の短縮や効率化といった生産性の向上や効率化に関する目標を設定するということも考えられます。
 次のページにまいりまして、安全管理など減点主義になりやすい業務でございます。法人・主務省からは、問題がなくて当然の業務で、A評定を得にくいという意見がございました。これにつきまして、コンサルからは、労働災害や事故をいかに未然に防ぐかといった観点で目標を掲げることも可能ではないかというお話がございました。民間企業では、災害件数の低減ですとか、問題が起きても被害を最小限に食い止めたり、予防策を講じるということを目標にしている例などもございました。
 これを踏まえまして、独法においても、事故の発生件数と結果に着目した目標だけではなくて、事故をいかに未然に防ぐかという観点から、防止対策に関する目標を定量的に設定することも考えられます。
 次のページにまいりまして、次に、法人の裁量が乏しい業務ですとか、全量達成が目標に設定されている業務でございます。法人・主務省からは、指示を正確、確実に実施するだけで、高い評価がつけにくいですとか、納付金を全て徴収しても達成度が120%以上にはならないことから、A評定をつけるのが難しいという意見がございました。
 これにつきまして、コンサルからは、時間や費用の面でいかに効率的に業務を行うかについて目標を掲げている例がありますということですとか、検査時間の減少や検査項目の適正化という工夫も目標にできるのではないかというお話がございました。次のページにまいりまして、民間企業では、工数の削減数や業績改善提案数といった定量的な目標を立てている例ですとか、利用者が利用しやすくなるような業務の処理ルールの変更件数を目標としている例などがございました。
 これを踏まえまして、これらの業務においては、実施件数や達成率といった業務の確実な実施に着目した目標だけではなくて、業務の効率化や、あるいは外部が利用しやすい環境をいかに整備するかという観点から、定量的目標を設定することも考えられます。
 次のページにまいります。続きまして、成果の発現までに時間を要する事務・事業のうち、基礎・基盤研究についてでございます。法人・主務省からは、基礎・基盤研究は高評価をつけるのが難しい、成果が認知されるまでのタイムラグが大きいといった意見がございました。これにつきまして、コンサルからは、論文発表数や被引用数を指標としたりですとか、途中経過を対外的にどれだけ示すかというような進捗に関する目標を掲げている例があるというお話がございました。それから、民間企業では、ステージゲート制を入れてKPI管理をしている例ですとか、研究に必要なプロセスの中、1年でどこまでできるかを考えて目標を立てている例などがございました。
 これを踏まえまして、独法においても、最終的な成果に至るロードマップの中で、一定の期間でどこまでできるかを考えて目標を設定し、早期に目標達成した場合ですとか、効率的に研究ができた、こういった場合に高い評価とすることが考えられます。
 次のページにまいりまして、長期にわたる取組など最終的な成果がいつ得られるか予測できない業務でございます。法人・主務省からは、事業の区切りが正否を断じる期間としては短いという意見がございました。
 これにつきまして、コンサルからは、目標未達成による職員のモチベーションが低下しないよう、あえて目標を立てないとする例がある一方で、確実に計画を進めているか、計画と進捗の整合性を見る例もあるというお話がございました。それから民間企業では、長期的な目標はさることながら、1年ごとの目標を具体的に立てなければ最終的な目標に向かっていけず、細かい目標設定がないとモチベーションアップにならないというお話がございました。
 これを踏まえまして、主務省・法人においても、最終的な成果に至るロードマップを明らかにしていただいた上で、中(長)期目標期間等において、目指すべき目標を設定するということも考えられます。
 次のページ以降でございます。フォローアップ調査でいただいた意見ではございませんが、これまで委員会の御議論の中で、目標管理上の論点として挙がった内容として、広報業務の目標の立て方、ベンチマークの設定、重要度・困難度の設定、この3つの論点について、今回ヒアリングをして工夫例をまとめておりますが、この場での御説明は時間の都合上、割愛させていただければと存じます。
 以上、御説明した内容につきましても、主務省・法人に共有してまいりたいと考えております。御説明は以上でございます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等はございますか。河合専門委員、どうぞ。
【河合専門委員】  非常に貴重な調査結果を共有していただき、ありがとうございます。エンゲージメントサーベイを今後、より奨励していくに当たり、例えば具体的な質問項目例を事務局でお取りまとめいただき、そういったものを今後発信していただくとよりよいのではないでしょうか。エンゲージメントサーベイをしたほうがよいと言うだけでなく、サーベイの質問項目や尺度に関する具体事例も紹介すれば、各法人として取り組みやすい部分があるのではないかと思います。御検討いただけると大変幸いです。
【澤田委員長】  ありがとうございました。事務局から何かございますか。
【谷口研究官】  貴重な御意見ありがとうございます。エンゲージメントサーベイについては、御承知のとおり民間ではもう長く何十年も行われているものでございまして、特にアメリカの調査会社では、すでに確定した方法論があるようです。例えば職員のエンゲージメントを測っていく基本的な12個の質問というものがあるようですが、日本の会社、それから独法に適用していくには、それを元にアレンジしていかなければならないと思います。
 現状、既に独法でも幾つか、こういった満足度調査ですとか、エンゲージメント調査を実施している例があるようですので、今後そういったところも調べていって、事例紹介していければと思っております。
【澤田委員長】  ありがとうございました。では野ア委員、どうぞ。
【野ア委員】  資料を拝見して、こういう調査をされることには意味があると思っております。その中で、資料4の6ページに、「減点主義による評価になりやすい業務」として、安全確保、業務上の事故防止等と記載がありますが、恐らく澤田委員長も同じようにお思いだと思いますが、民間企業から見たときに、これらが減点主義による評価になりやすいとか、問題がなくて当然(B評定)と考えられていることについて、強い違和感を覚えました。
 保安防災とか安全衛生は、企業経営ではトッププライオリティーです。それが独法ではこのように理解されているということに、驚きを感じたというのが正直な感想です。民間企業の場合は、事故とか安全上の問題が起こりそうな芽(ヒヤリハット)を小さなうちに潰すと非常に高く評価されます。この資料を見せていただいたときに、この点についてすごくギャップを感じました。
【澤田委員長】  ありがとうございます。私もこの点には違和感を覚えました。安全、何も起こらないということはすごいことです。それだけいろいろ努力しているということですので、様々な側面から見ると、こういう表現にはならないと思います。この表現からは少しギャップを感じましたが、もちろん主務省や法人もしっかり理解されて取り組んでおられると思いますので、今の御意見もお伝えできればと思います。ありがとうございます。
 天野委員、どうぞ。
【天野委員】  少し独法を援護すると、安全管理については、民間の場合は利益という非常に大きな指標がありますが、独法の場合は国からの管理を受けているという側面があります。このため、安全管理の対象が重要なものであればあるほど、法的な手続が莫大になります。その手続の中で、いかに粗相なくやるかということに意識が向いてしまうので、ここをどのように評価するか、あるいは独法の実務に落とし込むかという点が非常に重要だと思います。手続をこなすことで疲れ果てて、実務のほうがおろそかになるというのは、えてして起こることなので、これは注意すべきかと思います。
 今回、資料3と資料4のとおり調べていただきまして、ありがとうございました。よくできていると思います。ただ、研究開発のところで気になったことがあるので申し上げます。
 資料4の2の「(2)最終的な成果がいつ得られるか予測できない業務」について、国立研究開発法人でいうと実用化研究、研究開発成果の最大化と言うときの開発成果が発現するところです。基礎・基盤研究と実用化研究は乖離しているものではありません。ただ、基礎・基盤研究の成果は、10個のプロジェクトがあるとしたらその10個全てが実用化につながるかというと、それはあり得ません。2つか3つが実用化に至るかどうか、だと思います。この基礎・基盤研究を評価する際の指標として、論文発表数ももちろん大事ですけれども、その中のどれが本来の成果に結びついたのかという点を評価すべきではないかと思います。
 また、実用化研究については、ロードマップを明らかにすることは大切です。中長期計画に引っ張られるのではなくて、本来その研究分野ごとに成果発現までの時間に長短があると思いますので、それをベースとして、中長期計画に落とし込むということが非常に重要です。一方で、国立研究開発法人の場合は、このロードマップが2つあって、それは政治的ロードマップと技術的ロードマップです。重要な分野であればあるほど、どちらかというと、この政治的ロードマップに影響を受けます。
 国立研究開発法人については研究開発成果の最大化を目的としていることから、ぜひとも、技術者としては技術的なロードマップを堅持して、それに基づいて研究開発成果の発現に向けて取り組んでいただきたいです。年次ごとに成果が出ないと、最終成果には結びつきませんが、予測される成果は、えてして小さいものです。このため、年次ごとの結果や社会的状況を鑑みて、その都度ロードマップに修正を加えながら、中長期計画に反映していくということが非常に重要になるのだと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございました。私もずっと研究に携わっておりましたので、よく分かります。研究開発、特に基礎研究をやっているメンバーは、非常にロングタームで取り組んでいるわけですけれども、新しい発想や切り口など、いろいろなことが毎年次で出てきます。このため、それをしっかり評価することがモチベーションの向上にもつながるのではないかと思います。ありがとうございます。
 島本委員、どうぞ。
【島本委員】  調査報告ありがとうございました。非常に興味深い内容だと思います。私も感想を述べさせていただきますと、民間企業の目標設定も、近年は大きく変化していると思います。あるいは何度も申し上げていますが、資本市場も資本主義も、大きな流れでいうと、従来型の資本の論理は弱くなる一方で、ESG、SDGsや環境問題、それから働き方改革、特にダイバーシティー・アンド・インクルージョンといったテーマが相対的にグローバルアジェンダとして浮上してきています。
 各法人が評価や目標策定の在り方を模索している現状を見るに、独法であれ、民間企業であれ、似た状況に直面しているということだと思います。評価の在り方は、常に難しい課題だと思いますが、例えばピアレビューや360度評価はこれまでよく用いられていましたが、それらよりも職員全体に対するサーベイが非常に参考になると、ここ数年間実感しています。これは、地域ごとの比較にも利用できます。
 質問項目は、「働いていて楽しいですか」、「その部門の目標は共有されていますか」などシンプルなものがいいです。この手の質問は、エンジニアであれ、セールスであれ、リーガル部門であれ、相対比較しやすくなっています。横串を入れる形で、このような極力シンプルなエンゲージメントサーベイを実施してみると、恐らく面白い結果が出ると思います。
【澤田委員長】  そうですね。ありがとうございました。それでは金岡委員、お願いします。
【金岡委員】  ありがとうございます。品質管理の世界の用語で、「測定できないものは管理できない、したがって改善できない」という考え方がございます。そういう意味では、こういう調査結果を踏まえて、測定できるような工夫を各法人にお願いしたいと思います。特に基礎・基盤研究が年度評価になじまないとか、大変難しいというお話が多く出ているように感じますけれども、私の考えでは、大きな国立研究開発法人だと、恐らくお一人で研究開発を進めているケースは少なくて、むしろ複数の人が携わるビッグプロジェクトが多いのではないかと思います。
 ということは、当然その中で、ワークのブレークダウンがなされているはずだと思いますし、お一人お一人のワークについての適切なマイルストーンの設定もされているのではないかと推測します。ざっくりと、基礎・基盤研究だからいつ成果も出るか分からないとおっしゃりたい気持ちも分かりますが、実際には複数人が関与して、ワークのブレークダウンがなされ、マイルストーンの設定もあるとするならば、それを元にすることによって、ある程度、研究開発全体の進捗についての評価は可能ではないかとも思います。ぜひとも、アバウトな議論ではなくて、実態に即した評価の在り方をお考えいただきたいと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございます。そうですね、おっしゃるとおりかと思います。
 では南雲委員、お願いします。
【南雲臨時委員】  資料3ページのエンゲージメントサーベイに関して、恐らく職員満足度という言葉は既に死語になっていると思います。このサーベイをやること自体が悪いと言っているのではありません。満足度という言葉を使うと誤解を生みやすいのです。本来エンゲージメントとは、その組織が向かうべきベクトルに個人のやりがいが沿っているかどうかを表していますが、「満足度」という言葉を用いることで、給料をもっと上げろとか、時短勤務させろとか、本来の意味から離れたニュアンスになってしまうため、海外ではもう一切使われてないという理解です。
 ただ日本では、職員満足度・従業員満足度という言葉が先に入ってきてしまったので、これが一般用語的に使われていると認識しています。したがって、もし満足度という言葉で、この資料を法人と共有してしまうと、要らぬ誤解を招く可能性があるので、エンゲージメントという言葉で広げたほうが理解は正しくなるだろうと思います。
 また、先ほども話題に出ていましたけれども、エンゲージメントサーベイを実施し、他の組織や他の業界をベンチマークとすることによって、自分の組織の現在地が分かるようになります。したがって、質問項目と尺度については、社会通念一般的に使われるものを共有しないと、これを比較に用いることができなくなってしまいます。このため、社会の常識に沿った形のものを導入することがポイントになろうかと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。事務局から一言お願いします。
【谷口研究官】  ありがとうございます。南雲臨時委員御指摘のとおり、満足度よりエンゲージメントのほうがより適切な言葉だと思います。組織の生産性はエンゲージメントをどれだけ高められるかというところと相関関係があり、最近のトレンドとしてはエンゲージメントという言葉を使うべきだろうと考えておりますので、その点については資料を修正させていただきたいと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございました。大体時間になってきましたが、この件に関してはよろしいでしょうか。
 それでは、こちらの調査結果も先ほどの議題3と同様に、事務局を通じて各主務省や法人にお伝えいただくとともに、委員会としても今回の知見を今後の調査・審議に生かしていければと思っております。ありがとうございました。
 それでは、最後に事務局から報告事項があればお願いしたいと思います。
【方管理官】  それでは、報告をいたします。次回の委員会につきましては、2月16日木曜日の14時からを予定しております。会場等については、本日の委員会と同様に中央合同庁舎2号館8階の第1特別会議室、及びウェブ会議を併用しましたハイブリッド開催の予定でございます。
 また、この後引き続きまして開催予定の評価部会でございますが、本日の議題については、資料に個人情報が含まれることから、会議及び資料を非公開といたしますので、傍聴者への中継は本委員会までとさせていただきます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。それでは、以上をもちまして、第39回独立行政法人評価制度委員会を閉会とさせていただきます。以降は原田評価部会長に引き継ぎたいと思います。本日は皆さん、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございました。
(以上)

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