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第55回独立行政法人評価制度委員会評価部会 議事録

日時

令和5年1月26日(木)14:00〜16:00

場所

中央合同庁舎第2号館8階 第1特別会議室(ウェブ会議併用)

出席者

(委員)原田久評価部会長、高橋伸子評価部会長代理、天野玲子委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、島本幸治委員、浜野京委員、南雲岳彦臨時委員、河合晃一専門委員、清水剛専門委員、横田響子専門委員
(審議協力者)樫谷隆夫 樫谷公認会計士事務所所長
(事務局)武藤大臣官房政策立案総括審議官、方管理官ほか

議事

  1. 令和5年度から中(長)期目標期間が始まる法人の新たな目標案について(状況報告を踏まえた審議)
  2. 中(長)期目標の変更について(諮問案件)
  3. 役員の業績勘案率の点検結果について【非公開】

配布資料

議事録

【原田評価部会長】  それでは、第55回独立行政法人評価制度委員会評価部会を開催いたします。
 本日の会議は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、密を避ける観点から、傍聴者には会議の模様をオンラインで中継しております。また、議題3につきましては、資料に個人情報が含まれることから、会議及び資料は非公開とさせていただきます。議事概要及び議事録は例年同様、公表とさせていただきます。
 それでは、本日の議題1つ目、令和5年度から中(長)期目標期間が始まる法人の新たな目標案について、現時点の案が各主務省から出てまいりましたので、審議を行いたいと存じます。なお、本議題の資料はあくまで現時点の案ということでございますので、資料は非公開といたします。
 それでは、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
【方管理官】  事務局より説明申し上げます。
 本年度の見直し対象法人について、昨年12月の委員会において、次期目標の策定等に向けて法人ごとに留意いただきたい事項を、参考資料のとおり御決定いただいたところでございます。
 現在、各府省においては、これを踏まえて、次期目標案を御検討いただいているところでありますが、現時点の検討が、12月の委員会決定の留意事項を踏まえたものであるかなど、事務局にて確認をさせていただきました。
 確認の結果は、席上に配付した資料におまとめしておりますが、事務局としては、委員会が決定した留意事項に対応する形で検討が進められているものと考えております。個々の法人についての対応状況の説明につきましては、資料の配付をもって代えさせていただきます。
 本日の評価部会では、来月16日に予定している委員会での審議に向けて、現時点の次期目標案について、事前に御審議いただきたく思います。本日いただいた御意見については、主務省にもしっかり伝えてまいりたいと存じます。
 説明は以上になります。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。
 それでは、現時点の目標案について御意見等がございましたら、どなたからでも結構ですので、御意見をいただきたいと存じます。なお、防災科学技術研究所の参与を務めていらっしゃる天野委員及び国民生活センターの情報提供委員会委員をお務めでいらっしゃる高橋委員におかれましては、申合せにより、当該法人に関する意見をお控えくださいますよう、よろしくお願いいたします。
 いかがでしょうか。天野委員、どうぞ。
【天野委員】  新目標案を拝見したところ、おおむね、12月の委員会決定を踏まえて検討されているように思います。1点気になったのが、国際観光振興機構(JNTO)の主務省へのヒアリングの際、主務省の発言から第三者的な印象を受けたため少し心配に思っていました。JNTOの新目標案には、もう少し主務省との連携に取り組む旨を記載していただいてもよかったのではないかと思います。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。事務局からいかがでしょうか。
【方管理官】  ただいまの御意見につきまして、主務省によく伝えてまいりたいと考えています。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。横田専門委員、どうぞ。
【横田専門委員】  私も12月の委員会決定の留意事項をおおむね御反映いただいていると思っております。ありがとうございます。1点、感想と情報提供という形で発言をさせていただきたいと思います。
 私はスタートアップ支援への関心が非常に強いのですが、今、政府においてスタートアップ支援に非常に強力な風が吹いていており、機運が改めて高まっているという状況の中、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や日本貿易振興機構(JETRO)の新目標案を拝見して、その辺りをしっかり記載をいただいているのは非常に心強いと思っておりました。特に、JETROにおいては、海外展開を目指す日本のスタートアップの支援を強化するべく、海外現地アクセラレーターを活用することなどに取り組むことを、目標案に記載していただいていると認識しています。
1点だけ気になったのが、先日、科学技術振興機構(JST)を通じて各大学のスタートアップ支援に係る取組を伺いましたが、広島のプラットフォームで、広島大学としてもスタートアップ支援をしっかりと促進していきたいので、人を常駐させるぐらいの勢いで海外に拠点を築きたいとおっしゃっていました。一方で、広島大学の方が現地の方とお話をする際、海外の視点からすると、広島だけではなくてオールジャパンとコミュニケーションをしっかり取っていきたいと言われることが多いようです。この点については、JETROの役割は非常に大きいのではないかと思っています。
各大学のスタートアップ支援に当たっては、JSTを通じて関係機関との連携を深めていくということだと思いますが、政府のスタートアップ関連予算が様々な形で振り分けられているので、JETROには、JSTや大学との緊密なコミュニケーションを取っていただきたいと改めて感じました。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。事務局、いかがでしょうか。
【方管理官】  JETROの新目標案においては、様々な取組がなされることが記載をされておりますが、横田専門委員の御意見について、主務省に対して伝えていきたいと思います。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。JETROは、従来は、主に経済産業省や農林水産省関係の業務について、海外拠点で活動なさっていますが、今後、ほかの府省においても、政府の方針として海外進出を促進する必要がある場合には協力を求められる場面が出てきそうな気がいたします。
 それでは、清水専門委員からどうぞ。
【清水専門委員】  こちら、大変よくまとめていただいてありがとうございました。
 私としては、やはり独法においても情報発信をしっかりするべきだという思いが強くあって、昨年、法人ヒアリング等でお伺いした際、それぞれで質問をさせていただいておりました。
新目標案を拝見すると、そうした議論を踏まえていただいているところが多くあり、皆様努力されているように感じました。また、法人ごとにレベル感のばらつきが大きいことを改めて感じました。もちろん、まだ情報発信に慣れていない法人は、まずは情報発信していこうというところからで全然構いません。他方で、私が昨年お伺いした法人の中では、北方領土問題対策協会(北対協)はかなり高いレベルで取り組んでおられましたが、新目標案を見ても、指標としてSNSごとのフォロワー数を何%上げるなど、具体的な数字を設定されておられ、やはり長らく情報発信に取り組んできた法人は目標も具体的なものになるのだなと、改めて思いました。
 まだまだこれからという法人がいきなり具体的な指標設定にまで至らないのは当然ですが、着実に取り組んできた法人は、このようにしっかりと定量的な指標を設定していることを改めて確認できましたので、ほかの法人においても、徐々にレベルアップし、よりよい情報発信になっていくように、フォローしていきたいと思いました。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。事務局からいかがでしょうか。
【方管理官】  例えば、今、清水専門委員から御紹介いただいた北対協であれば、TwitterやYouTubeなどで様々なコンテンツを出しています。
 一方、今年度の見直し対象法人の中には、広報がやっと緒に就いた法人もございましたので、そうした先進的な取組を紹介することも含めて、事務局としても支援していきたいと考えています。
【清水専門委員】  ぜひともよろしくお願いします。
【原田評価部会長】  皆様御案内のとおり、北対協は最も規模の小さい法人の1つであります。清水専門委員とともに法人に伺って意見交換した際も、いろいろな取組をなさっているけれども、それにとどまらずもっとやってくださいよ、という話をいたしました。今回、新目標案にかなり書き込んでくださっているのは、その際の議論を反映してくださったものなのかなと受け止めております。北対協さんには、人数の問題ではないのだというところを示していただければいいなと思いました。
 では、続きまして、浜野委員、いかがでしょうか。
【浜野委員】  新目標案にいろいろと盛り込んでいただいてありがとうございます。特に、今ほど、清水専門委員からも、原田評価部会長からもお話がありましたけれども、北対協は私も担当させていただきましたが、いろいろな御意見を申し上げたところ、よく書き込んでいただいていると思います。ほかの法人においても理事長がガバナンスを効かせるといったことは取り組んでおられると思いますが、北対協に関しては、目標案の中にも、理事長から職員に対して法人のビジョンを明確に発信してほしいということや、ステークホルダーである国民に対して、主務省が実施した調査結果なども踏まえて、北方領土問題の関心と理解を広げるといったことなど的確に書き込まれているなと感心しました。
 一方で、コロナ禍で日本の様々な機関において海外との交流が滞ったと思いますが、これを、ぜひ再び活性化していただきたいなと思いますし、活性化しなければならないという思いを皆さんがお持ちだと思います。主たるミッションとして海外との関わりを有するJETROやJNTOといった法人だけではなく、それ以外の法人においても、そういう段階に来ています。主務省と連携の上、省庁の垣根を越えた海外展開・国際交流とか、対日投資やインバウンドの促進とか、日本のプレゼンスを向上させるための発信とか、様々な交流が必要かと思います。その点は大小に関わらず、各法人にお願いしたいと思います。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。もう一度、そういう観点から、事務局で新目標案を見ていただきたいと思います。
 では、続きまして、高橋委員、いかがでしょうか。
【高橋評価部会長代理】  担当した文部科学省所管法人の新目標案に関して、意見を申し上げたいと思います。全体的には、それぞれの法人で、書けることを頑張って書いてくださったという印象で、非常に好感を持って受け止めております。
 1点だけ、国立研究開発法人に関しては、研究開発成果の創出や社会実装について、しっかりと記載がございますが、防災科学技術研究所(防災科研)について、気になった点があったので申し上げたいと思います。
今回、12月の委員会決定を踏まえて記載いただいた箇所において、オールジャパンでの社会課題解決に向けて、という表現がございます。もちろんオールジャパンで取り組むことは大切ですが、防災は、まさに世界的、地球規模的なテーマなので、国際的な連携に関する姿勢を盛り込んでいただけるとよりよかったのではないかと思います。
 現時点の案をさらっと拝見したところ、社会的価値の創出に関する項目に、グローバルやワールドワイドといった文言が全く無いように思います。実際にはもっと広く深いことに取り組んでいらっしゃっているし、さらに取り組んでいこうと思っていらっしゃるのだと思いますが、ここの記載を拝見する限り、あくまで我が国のための防災科学技術というところにとどまっているかのように見えてしまうところが少し残念でございました。ですので、職員の方のモチベーションの向上や法人の国際的評価の向上に向けて、もっと広く貢献できるような方向に少し書きぶりを工夫していただけるとありがたいなと思いました。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。防災科研の目標案についてややドメスティックになっているのではないかという御指摘かと思いますが、事務局からいかがでしょうか。
【平沢管理官】  担当の管理官をしております、平沢と申します。
 防災科研の現時点の中長期目標案に、研究開発の国際展開という項目がございまして、そこで国際的な防災力・レジリエンスの向上のため、研究開発の国際展開に係る取組を実施するとしています。具体的な取組として、関係機関と連携して、共同研究や防災科学技術の海外展開、また、研究者の国際交流等を推進するという記載がございます。先ほど高橋委員から御指摘のあったことについては、主務省としても、しっかり取り組んでいきたいと伺っておりますので、御理解いただければ幸いです。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。高橋委員、よろしゅうございますか。
【高橋評価部会長代理】  御説明の点は理解しております。今説明いただいた箇所ももちろん拝見いたしましたが、国際連携等に取り組む姿勢をもう少し前面に載せるなど分かるように出されたほうがよいのではないかという印象を受けたものですから、意見として申し上げました。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。それでは、栗原委員、いかがでしょうか。
【栗原委員】  私は、ヒアリング等の過程では、内閣府、厚生労働省、農林水産省関係の法人と主にコミュケーションをさせていただきました。
 その法人だけではありませんが、新目標案を拝見させていただきまして、12月の委員会決定の留意事項をよく反映していただいていると思いましたので、評価させていただきます。
私からは、この新目標案に基づいた、今後の業務運営についてコメントをさせていただきたいと思います。まず、この新目標案に基づいて業務を運営するのは、これから始まる新体制の下でということになるので、場合によっては理事長が交代することもあろうかと思います。ついては、新しい経営陣の方々、特に新理事長には、組織に与えられた目標を自分の言葉で組織内に語っていただき、それに基づいて、人材育成、人材高度化、モチベーションの維持等を図っていただくことを期待いたします。
2点目に、厚生労働省所管法人や農林水産省所管法人を拝見して、思ったことを申し上げます。全般的にですが、今は、日本の産業構造、従業員の働き方やスキリングの仕方が大きく様変わりしている最中にあります。そうした中で、それぞれの法人の施策が今のままで良いのか絶えず自問自答していただきたいと思いますし、かつ、主務省においては、政策の在り方を常に見ていく必要があります。このように、全体の方向性の中で、今取り組んでいる業務の有効性について今後も検証し続けていただきたいと思います。
 それから3点目です。先ほど申し上げたように法人を取り巻く環境が変化する中で、各法人にはイノベーションを推進することが求められていると思います。これは経済産業省関係の法人でも、あるいは国土交通省関係の法人でも同じだと思いますが、ぜひイノベーションを創出するための組織体制の構築や人材の育成に取り組んでいただくことを期待いたします。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。新目標案を策定する主務省、そして、それに基づいて計画を作り、実施していく各法人への次期目標期間に向けてのメッセージと承りました。しっかり議事録に残して、法人や主務省に読んでいただきたいと存じます。
 では、金岡委員、いかがでしょうか。
【金岡委員】  私は、経済産業省、国土交通省を中心とする9つの法人のヒアリングに参加させていただきました。
 そこを中心に見させていただきましたが、12月の委員会でも少しお話ししましたけども、事務局に大変頑張っていただいて、留意事項に関して、各委員からこうした指摘が出てきた背景説明を詳細に書いていただいた結果、相当程度、留意事項を次期目標案に反映していただけたのではないかと思っております。
 例えば、私が担当させていただいた中では、鉄道建設・運輸施設整備支援機構については、鉄道建設という名前のとおり、新幹線を整備することにフォーカスされていた印象でしたが、ヒアリングの中では委員からの指摘として、既存施設の長寿命化、保全改修に取り組むことや、地域交通が抱える設備の老朽化や利用者不足といった課題にもぜひ注力していただきたいと申し上げたところ、それらも踏まえて新目標案に反映していただいたと受け止めております。
 また、空港周辺整備機構においては、ヒアリングの場で、運営会社への承継の際には、デジタルデータで引継ぎをお願いしたいこと、また、貴重なものであることから、これまで実施してきた騒音対策に係るノウハウや教訓等を記録として残していただきたいといった指摘があり、それを踏まえて新目標案に書き加えていただいたことをありがたく思っております。
 一方、新目標案への反映状況には若干濃淡がございまして、JNTOにおいては、原田評価部会長も、私も申し上げましたが、現下のコロナ禍の情勢において、単にプロモーションだけを考えていていいのだろうかという問題についての指摘があったところです。JNTOの新目標案にこれと関係する記載が見られはしますが、ほかの法人が、これまでになかった取組を新しい視点をもって取り入れていこうとされていることから比べますと、JNTOはややトーンが弱いのではないかと感じました。
 繰り返しになりますけれども、総じて、背景を詳しく書いていただいた事務局の皆様のおかげもありまして、留意事項の反映の程度は相当に高いものになったのではないかと思っております。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。12月の委員会決定の留意事項を、各主務省にお示しするに当たって、言わば、その心はというところを伝える背景事情の記載がかなり功を奏しているというのが、全般的な金岡委員の御意見だったかと存じます。
 他方で、私もJNTOにお伺いしましたけれども、現下の情勢において大変期待の大きい法人でもありますので、もう一度、事務局を通じてその辺りの趣旨を再度、主務省に伝えていただければと存じます。
 横田委員、どうぞ。
【横田専門委員】  念のため、空港周辺整備機構について申し上げます。
 運営会社の民間法人への引継ぎに関しては、デジタル化したものを引き継いでと記載があるため、いろいろな情報をデジタル化してまとめられるのであろうと思っていますが、一方で、後世のためにノウハウを記録に残すことに関しては、デジタル化に関する記載が無いように見えます。紙の資料が共にある分にはいいと思いますが、こちらもデジタル化について追記を検討していただいたほうがいいのではないかと思いました。
【原田評価部会長】  その点、事務局において、確認をよろしくお願いいたします。
 それでは、島本委員からどうぞ。
【島本委員】  まずは、おおむね議論された内容が反映されているという印象がありますので、本当に事務局の方を含め、ありがとうございました。
 個別では、実は高橋委員の発言と重なってしまいますが、担当している中で、特に防災科研は非常に印象に残っていまして、ジャパンオリジナルのテクノロジーとして非常に優位性がある取組をされているので、もう少し海外への発信やアピールのところは強調されてもいいのではないかという印象を持ちました。それ以外で私が担当させていただいたところはおおむね丁寧に反映されていて、ありがたく思っています。
 また、私の担当以外の法人も含めて、全体的な感想になりますが、例えば、社会的に注目されているトピックスのうち、デジタルトランスフォーメーション、イノベーションの推進、環境問題への対応については、随分配慮されていると思いますが、それらと比べると、職員の方に対する配慮に関する記載が少し全体的に足りないかなと思います。我々民間企業でも、職員の引き留め、あるいはモチベーションの維持が大きな課題になっています。特に昨今の円安で海外との賃金格差はかなり深刻になっていまして、もちろん、しっかり収益を出して、賃金を上げられればいいのですが、なかなか容易ではありません。その分、職場環境のフレキシビリティーの確保や、若手あるいは女性を含めていろいろな方が積極的に楽しく働ける職場づくりへの対応が課題になっています。このため、これまでにも何度か申し上げていますが、全体的に、LGBTやダイバーシティー&インクルージョンに対する配慮に関する記載がもう少しあってもいいのではないかという印象を持ちました。よろしくお願いします。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。とりわけ職員の引き留め・モチベーション維持の点については、共通の留意事項にも関わるのではないかと思います。その辺りで、我々としてもきちっとその辺りが書ききれていたかということを、また来年度に向けて点検をしていただければと思います。いかがでしょうか。
【方管理官】  御指摘の点、ごもっともでございまして、今、人材の流出が非常に激しい時代になっていると承知しております。この点について、法人の中で、いろいろな取組をしている例がございまして、近いうちに委員会の場で発表していきたいと思いますし、それらの取組が横展開できるようにしていきたいと思っています。
 なお、今、原田評価部会長がおっしゃられたように、今後、いわゆる共通留意事項、業務・内部管理方針に付け加えていくことも検討していければと思っています。
【原田評価部会長】  恐らくそちらのほうがインパクト大きいかと存じます。87法人全体に今の島本委員の意見を伝える機会にもなるかと思いました。よろしゅうございますか。
【島本委員】  ありがとうございます。
【原田評価部会長】  では、樫谷審議協力者、どうぞ。
【樫谷審議協力者】  法人ヒアリングのときにも、主務省ヒアリングのときにも、各委員の皆さんも真剣に意見交換を行い、それがこの目標案によく反映されていて、非常に充実したものになっていると思っております。
 他方で、制度改正以前は、目標に加えて計画も細かく確認したように思いますが、今の制度ではそうなっていないですよね。目標はどうしても抽象的になるので、目標を達成したかどうかは、計画を達成したかどうかに関わってきます。手元の資料では、目標と計画と関係が見えないと思いますが、法人が作成する計画も見る必要があるのではないかと感じました。制度を見直さないと事前に計画案を確認することができないのか、それとも直さなくてもできるのか、その辺りも御検討いただけたらと思います。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。あくまで私の認識ですけれども、独立行政法人通則法が改正された後、各主務省が示す目標はかなり詳細になったと承知しています。以前はもっと、ざっくりとしたものだったろうと記憶しています。
 他方で、それに応じて計画がさらにまた詳細になっているというところもあります。また、主務省や法人ごとで、目標と計画の記載の程度が結構ばらついているように思います。
我々委員会としては、目標案を見て意見を申し上げるという役割を有していますが、実際に目標が指示された後に、どのように計画として具体化され、各年度の業務が実施されているのかについては、何らかの形で点検をしていく、少なくとも気にかけていく必要があるかと思いますけれども、事務局、いかがでしょうか。
【方管理官】  原田評価部会長から御指摘のとおり、目標案について、委員会として意見を述べることができることになっております。新目標はおおむね2月末までに指示されると承知しておりますが、それ以降に、計画が作成されることになっています。したがって、委員会として、目標案とそれに基づく計画案を同時に並べて見ていくという仕組みにはなっていません。そうは申しましても、樫谷審議協力者のおっしゃることもよく理解できますし、目標と計画の記載の程度の差も当然見ていく必要のある部分かと思いますので、何らかの工夫ができるようであれば、考えていきたいと思います。
【樫谷審議協力者】  制度改正以前は、計画も見て、意見を言っていなかったでしょうか。あのときタイミングはどうだったのでしょうか。今も、新目標とそれに基づく計画は恐らく並行して作成していると思いますので、見せていただくことができなくもないと思います。
申し上げているのは、目標案をチェックすることと、計画も含め法人の業務運営の過程を細かくチェックすることのどちらがいいのかという話です。今の仕組みだと、目標案の確認に焦点が当たっていて、目標策定に関して委員会として議論ができることはよかったと思います。一方で、よく考えたら、計画についてももう少しよく見ないと、実際に法人がどのように取り組んでいるのかよく分からない中で、結果的に計画の達成状況で評価せざるを得ない状態になっていると思います。委員会としては、法的な制限があって、計画の作成に関与できない中で、そうした権限なしに、どこまでできるのかなという感想を持ったということであります。
【方管理官】  私の記憶では、制度改正以前は、事実上計画も出していただいていたのかもしれませんけれども、先ほども原田評価部会長がおっしゃいましたように、目標が結構大くくりで、計画と合わせてみないと全体が分からないということがあったのだろうと思っています。
 今の制度では、目標案に対しては委員会が意見を申し上げることができるようになっていますが、計画につきましては、主務大臣の認可という形になっていますので、そこをどこまで早めに確認できるのかということも含めて、検討が必要かと考えています。
【原田評価部会長】  私のぼんやりした記憶ですけれども、制度改正以前は、一旦目標を作ると、3年ないし5年の間、目標を頻繁に変更するということはあまりやってこなかったように思います。したがって、年度単位で環境の変化に対応するためには、当然ながら計画で対応するという形になっていたのだと思います。現行制度では、目標を必要に応じて変更するということで、目標はある程度、可変的になってきたということかと思います。従来の計画のファンクションを目標が吸い上げたという意味では、いい面もあると思いますが、目標と計画両者のバランスをどうするのということについては、今のところ、しっかり点検したことはないですし、委員会の権限が及ぶのかというところもあるのかと思いますが、気にはしていかないといけないところかと思っております。
 天野委員、いかがでしょうか。
【天野委員】 制度設計とは異なりますが関連して申し上げます。新しい目標が策定された後、次の目標期間においては、理事長が代わって、新しい方のもとで取り組んでいただくことが多いと思います。12月の委員会決定では、留意事項の背景事情について、事務局において丁寧に書き込んでいただいて、それらに基づいて主務省において新目標案への反映についてお考えいただいていると思いますが、主務省においては、こうした背景事情も含めて、ぜひ新しい理事長に伝えていただきたいと思います。
というのも、新しく出来上がった中(長)期目標だけぽんと新しい理事長にお渡しされても、やはりあまり目標の記載の背景事情をお分かりにならなくて、目標期間が終了する年度に法人ヒアリングでお話に伺った際に、目標の中のこの記載はそういう意味だったのですかといった話を伺うこともあったりします。このようなことが無いよう、主務省と新しい理事長との間で、十分な意思疎通を図っていただくことが非常に重要だと思います。
 それに関しては、主務省の担当の方も2年ほどで異動されてしまうことも悩ましいです。主務省の担当も代わってしまうと、今回、新目標の策定に当たってこれだけいろいろ議論された内容がきちんと新しい理事長に伝わっているのかという点が、計画の内容以前に心配だなと思います。
いずれにせよ、理事長が交代される場合には、新目標の策定に至るまでの議論の内容について、主務省からしっかりと情報共有をお願いしたいと思います。
【原田評価部会長】  ありがとうございます。天野委員の御意見は、新しい理事長に対して、出来上がった目標であるとか、それを踏まえた計画だけぽんと渡して、あとはよろしくというのではなくて、この1年、我々委員会と主務省や法人とで議論を重ね、委員会として留意事項を申し上げて、そしてそれを踏まえて新目標案ができたというプロセスの情報をしっかりと主務省から理事長に情報提供してほしいということかなと思います。
 ややもすると、ぽんと渡すだけになってしまってはいないかというところを含めて、その点をしっかり主務省のほうにお願いしていただければと思います。いかがでしょう、事務局。
【方管理官】  極めて重要な御指摘と考えています。そのようにいたしたいと思っております。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。この点なかなか難しい問題だと思います。新しい理事長が着任して、すぐにそうしたことを伝えられてもまだ飲み込めないということも多いと思いますが、折に触れてどういうプロセスで目標が策定されてきたのかということもしっかり主務省から伝えてもらうということをお願いしたいと存じます。
【天野委員】  よろしくお願いします。
【原田評価部会長】  ありがとうございます。河合委員、どうぞ。
【河合専門委員】  既にほかの委員の皆様からもコメント等出ております、法人の情報発信、広報戦略に関して私からもコメントを申し上げたいと思います。
 私は文部科学省所管の法人を今回担当させていただきましたので、実際に訪問をさせていただいた法人を中心に、今回の目標案を拝見いたしました。多くの法人が留意事項で述べていた情報発信、広報戦略に関して、目標案に反映いただいておりまして、心より感謝申し上げたいと思います。
 ほかの委員もおっしゃっておられましたが、情報発信、広報戦略、プロモーションに関しては、恐らく法人ごとに事情等が異なると考えられます。既に積極的に情報発信をしている法人におかれましては、さらに上のステージ、あるいは、これまで対象にしていなかった範囲まで情報発信をしていくということを想定していると思われます。
 法人ヒアリングでもお話が出ましたけれども、例えば日本学術振興会(JSPS)におかれましては、ステークホルダーである大学関係者は恐らくほぼ全員、法人の存在をよく知っているものの、広く国民がその存在を知っているかというとそうではありません。恐らくJSPSのプロモーションの今後のターゲットは、幅広い一般国民ということになってくるのではないかと思います。
 釈迦に説法かと思いますが、その辺りも含めて、誰を対象に、どのような方法で、どういったレベルの情報発信を行うのかといったことを、今後、さらに具体化していただき、そういったことを踏まえた情報発信をしていただければ幸いです。
 これまでの行政機関の安定的な運営に際しては、そもそもの本来業務を行うことがレーゾンデートルになっていたかと思いますが、今後はステークホルダーを含め、広く国民に情報発信をして独立行政法人に対する社会的なレピュテーションを獲得していくことが重要になってくるのではないかと思います。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。大変重要な御指摘かと存じます。独法の事業については、知っている方とそうでない方のギャップが非常に大きい法人がかなりあると思います。JAXAみたいに非常にメジャーな活動をなさっているところもありますけれども、そうでない法人もかなりあるということです。認知度のギャップをどう縮めていくのかというのは、独法全体に通じる課題なのかなと思っています。要するに、事業のターゲット自体は非常に狭いけれども、その効果は間接的には国民各層に広がっているのだというところも含めて、広報戦略をしっかりやってもらうということは大事なことではないかと感じました。
 この辺りについても共通の留意事項としてお示しすることで、そういう認識を87法人に全体を持ってもらうということは非常に大事なことかなと思います。今年度も法人に対してしっかり伝えていただきたいと思いますけれども、来年度以降の課題としても受け止めたいと存じます。ありがとうございました。
 では、ひととおり、皆様方から御意見を伺ったところでございます。いただいた御意見につきましては、限られた時間の中ではありますけれども、各府省において引き続き御検討をいただきたいと思います。
 事務局におかれましては、今日の議論を各府省にしっかり伝えていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議題の2番目、中(長)期目標の変更について審議を行いたいと存じます。事務局から御説明よろしくお願いいたします。
【越尾管理官】  総務省担当管理官の越尾でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の中長期目標の変更につきまして、御説明をさせていただきます。
 本件は昨年12月、先の臨時国会で成立したNICT法及び電波法の法律改正と、第2次補正予算で関係予算が措置されたことを受け、本令和4年度中に、NICTに基金を造成するための目標変更について御審議をお願いするものです。
 それでは資料を御覧ください。まず、変更の背景としまして、我が国の情報通信システムとして、令和2年から5Gのサービスが開始されておりますけれども、同年6月に総務省が発表した、Beyond 5G推進戦略において、Beyond 5G、つまり5Gの次に当たります、6Gの機能の中核となる先進的な要素技術の研究開発を強力に推進する必要があるとされています。
 これに基づきまして、NICTでは令和3年の2月以降、法律に基づき設置された時限的な基金である革新的情報通信技術研究開発推進基金により、Beyond 5Gに関する研究開発を2年間、令和5年3月までに限って推進してきたところでございます。
 今般、時限的な基金が期限を迎える一方で、情報通信技術の国際的な研究開発競争は激化する一方でございます。主要各国がBeyond 5Gの研究開発への投資拡大を表明しており、情報通信分野における国際競争力の強化や経済安全保障の観点から中長期的な国の財政支援の必要性が一層高まっております。また、昨年6月に総務省の情報通信審議会が取りまとめました、「Beyond 5Gに向けた情報通信技術戦略の在り方 −強靱で活力ある2030年代の社会を目指して−」(中間答申)におきまして、中長期的な視点から、継続的な取組を可能とする必要があることから、研究開発予算の多年度化を可能とする枠組みを創設することが望ましいとされております。
 こうした状況を受けまして、昨年の臨時国会で成立しました、NICT法及び電波法の一部を改正する法律により、現在の時限的な基金に替え、NICTに法律上の設置期限の定めのない恒久的な基金を設置するための枠組みが整えられるとともに、令和4年度の第2次補正予算において、662億円が財政的に措置されたところです。
 従来の基金では、いわばファーストステージとして、Beyond 5Gの要素技術の早期の確立を主な支援対象としてきたところですけれども、新たに設置する基金では、セカンドステージともいうべき、主として社会実装や海外展開を目指した戦略的なBeyond 5Gの研究開発を支援していくということになっております。
 これらを踏まえまして、現行の中長期目標について、新たに設置する情報通信研究開発基金による公募型研究開発プログラムに関する記載を設けるとともに、新たに設置する基金により実現を目指すこととしている社会実装・海外展開の文言をBeyond 5Gの推進の項目に明記するほか、所要の変更を行うこととしております。
 以上、事務局といたしましては、本目標変更案の内容について、目標策定指針に照らして確認を行いましたが、特段問題がないと考えております。
 私からの説明は以上でございます。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。では、続いて、経済産業省の2法人についても説明をお願いいたします。
【五百旗頭管理官】  経済産業省の担当をしております、管理官の五百旗頭でございます。よろしくお願いいたします。
 2法人ございますが、両法人について共通している部分がございますので、併せて御説明をさせていただきます。
 まず、最初に、NEDOの中長期目標の変更につきまして、御説明をさせていただきます。
 昨年10月28日に、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策について」が閣議決定されました。この総合経済対策において、科学技術・イノベーション分野の研究開発投資を活性化させることによって、成長分野における大胆な投資を促進し、社会的な投資効果を最大化していくことやスタートアップの起業の加速が掲げられました。また、経済安全保障分野ではサプライチェーンの強靱化に向けて基金の設置、活用も行いながら、半導体や蓄電池等の重要物資の生産、供給、代替物資の開発等に対する各種支援策を実施するとされました。
 これを受けた財政的な裏づけとして、令和4年度第2次補正予算が昨年12月に成立し、複数年にわたり、支援を継続的に実施できるように、3つの基金事業の予算が措置されたところであります。
 本件は、これら3つの基金事業について、NEDOに新たに基金を設置し、早期の事業執行を行うべく、現行の中長期目標の変更を行うものであります。
今般、業務追加する3つの基金事業についてですが、1つ目の基金事業は、ディープテックスタートアップ支援事業です。この事業は革新的な技術を有し、リスクの高い中長期的な社会課題の解決に資するディープテック分野のスタートアップ企業が行う実用化研究開発、量産化実証などを支援するものです。
 2つ目の基金事業は、バイオものづくり革命推進事業です。この事業は、バイオものづくりの原料、製品の多様化に向けた、プラットフォーム事業者と素材や化学等メーカーなどの異分野事業者との連携等を促進することを通じた共同開発や、日本の強みを生かした生産技術をさらに高度化するためのバイオ生産実証等への支援を通じて、バイオものづくりの速やかな社会実装を促進するものです。
 3つ目の基金事業は、特定重要物資の安定供給確保支援業務です。この事業は、昨年5月に成立しました経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律に基づき、国民の生存に必要不可欠、もしくは、広く国民生活・経済活動が依拠している物質及びその原材料等について、政令において、特定重要物資として指定し、それらの物資の安定供給の確保を図ることを目的としております。
 NEDOにおいては、指定された11の特定重要物資のうち、永久磁石、工作機械及び産業用ロボット、航空機の部品、半導体素子及び集積回路、蓄電池及びクラウドプログラムの6つの物資の安定供給確保支援業務を担うこととされております。この業務の取組方針の作成や事業者が作成し、申請する計画の認定については、物資を所管する省庁において行うこととしており、認定された事業者への基金による支援の実施をNEDOが行うこととされております。
 支援の対象は、各物資の特性に応じた生産基盤の整備、供給源の多様化、備蓄、生産技術の導入・開発・改良、代替物資の開発等の特定重要物資の安定供給の確保を図るための取組です。
 最後に、その他の変更として、昨年度、NEDOに設置された基金事業である経済安全保障重要技術育成プログラム事業について、この基金業務を追加する中長期目標の変更の際、運営方針等を踏まえ、令和4年度において評価軸等を定めることとしておりましたので、今般の3つの基金業務の追加に合わせて変更を行うものです。
 以上が、NEDOの中長期目標の変更についての御説明です。
 続いて、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の中期目標の変更について御説明いたします。
 先ほど御説明をさせていただきましたNEDOと同様に、令和4年第2次補正予算において、複数年にわたり支援を継続的に実施することが可能となる基金事業として、JOGMECにおいても、特定重要物資の安定供給確保支援業務を実施する予算が措置されたところであり、早期の事業執行を行うべく、現行の中期目標の変更を行うものでございます。
 JOGMECは政令において指定された11の特定重要物資のうち、可燃性天然ガス及び金属鉱産物の2つの物資の安定供給確保支援業務を担うこととされております。事業スキーム等はNEDOと同様でございます。
 経済産業省所管のNEDO及びJOGMECの中(長)期目標の変更についての御説明は以上でございます。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。いずれの3法人とも、主に補正予算関連で基金を設置することに伴う目標変更案ということでございます。
 事務局の説明につきまして、御意見、御質問ございましたらどなたからでも結構ですので、御発言をいただけますでしょうか。いかがでしょうか。天野委員、どうぞ。
【天野委員】  NEDOとJOGMECの中(長)期目標の変更がこの時期に行われることについて、一国民目線で考えると、今、日本が真に急いで取り組むべきことに対して、迅速に手を打って、進めていただいているという印象があります。一方で、NEDOについては、スタートアップ支援に関する取組について、類似の施策を実施する他の法人としっかり連携して進めていただきたいと思います。
 JOGMECに関しては、ヒアリングの際に質問すると、安全保障関係業務ですからとお答えになったことがありました。そうだからといって全てが許されるものでもないと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 これは私の感想ですが、この辺りについて、御担当はどう思われますか。
【原田評価部会長】  いかがでしょうか。
【五百旗頭管理官】  貴重な御意見をありがとうございます。中(長)期目標期間が終わりにさしかかるこの時期においての現目標の変更ということについての御意見であったと思います。
 この点につきましては、まさに変更すべき理由が、補正予算で措置されたことに伴う基金の設置ということでございますので、その執行を担うために変更が不可欠であるという特段の事情があったものでございます。
 そうは申しましても、委員御指摘のとおり、中(長)期目標期間の終了が目前に迫っている時期の目標変更であるという性質から、過渡期という形になろうかと思いますが、これまで委員から各種いただいておりました御指摘事項等も踏まえて、それと整合的な形で、きちんと目標変更を行うことは非常に重要でございます。
 したがいまして、御意見は主務省にもお伝えをいたしますが、私どもとしましても、そのような観点から、しっかりと適切な形で目標の変更、そして次期目標への反映がなされるように、しっかり見てサポートしていきたいと考えております。
【天野委員】  よろしくお願いします。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。ほかの委員の方々いかがでしょうか。河合専門委員、どうぞ。
【河合専門委員】  御説明ありがとうございました。今回の変更案に関して、異論があるわけではありませんが、少し気になった点について意見を申し上げます。NICTの評価軸に係る変更案に関し、「社会実装・海外展開の促進等、研究開発成果の最大化に向けた取組状況」という評価指標に対するモニタリング指標として「NICTが主催した会合等の開催件数やその出席者数」が設定されていますが、アウトカムからかなり離れているアウトプット指標だという感想を抱きました。
 こういった指標を設定いただくことに反対するわけではありませんが、例えば、主催した会合の出席者に対するアンケートの結果や、あるいは、出席していない人も含めて、この公募型研究開発プログラムがどの程度認知されているのかを把握できるようなモニタリング指標を御設定いただいたほうがより適切なのではないのかと思い、コメント申し上げます。以上です。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。本来はアウトカム指標としてより社会実装に関連した指標を設定すべきであるところ、補正予算で設置された基金への対応として年度末に向けて作業しているなか、差し当たり、今回については、こういう指標にせざるを得ないという可能性もありますが、その辺りも含めていかがでしょうか。
【越尾管理官】  河合専門委員、また、原田評価部会長、ありがとうございます。
 実は私も河合専門委員と同様の問題意識から、主務省にも確認をいたしました。今回の基金の目的は、成果の社会実装あるいは国際標準化を図ることです。聞くところでは、今の日本の技術はいわゆる光通信技術に強みがあり、それに関する国際標準を獲得したいということでした。そうした目的を踏まえれば、まさにおっしゃるとおり、日本の技術に対する理解度や強みだと考えている技術の認知度をアンケートなどで確認するべきであり、私からもそのように指摘をしたところでございます。原田評価部会長のおっしゃるとおり、基金を設置して最初の段階として、アウトカムから遠いアウトプット指標を一旦設定していると理解しております。主務省からは、今後進めていく中で、評価軸や指標をアップデートしていく考えを持っているように聞いておりますし、そのように慫慂してまいりたいと考えております。
【河合専門委員】  よく分かりました。ありがとうございます。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。補正予算で基金の設置が決まり、短い時間の中で目標案や評価軸に落とし込んでいくには、見通せていないところもあることから、このような指標の設定になるのかと思います。
また、中(長)期目標の変更に対する調査審議については、翌年度から中(長)期目標期間が始まる法人の目標策定に対する調査審議に比して、議論できる時間的な余裕がない中で、委員会としての点検にも限界があると普段から感じているところでございます。この点について、委員会全体として問題意識を持っておくべきかと思いました。
 では、高橋委員、どうぞ。
【高橋評価部会長代理】  私もNICTに関してでございます。
 評価指標・モニタリング指標に関しては、私も先ほどのやりとりと同様の考えを持っております。
また、公共調達の妥当性等をチェックしている仕事にも従事している立場から申し上げますと、今回、補正予算により、期限の定めのない基金が設置されるということで、気になる点が幾つかございます。
 目標の変更内容そのものはよいのですが、「効率的かつ効果的に研究開発の支援・実施を行う」との目標に関して、本基金に基づき公募型で委託や助成を行うことになると思いますが、「効率的」に調達しようとすると、往々にして、大企業中心になったり、この分野に従来から取り組んでいる企業が契約を取り続けていくことになりがちです。
 一方で、Beyond 5Gのような先進的な分野は、ベンチャー企業、力のある中小企業や開発者が活躍できる世界でないといけないと思いますので、NICTがその辺り、どこまできちんと取り組むのか、「効率的」なだけではなくて、まさに「効果的」に進めるために、コストがかかっても丁寧に取り組んでいただけるかどうかということに対して、今後、注視していきたいと思っています。
 こうした点を評価指標やモニタリング指標に取り入れるのはなかなか難しいと思うので、先ほども議論がありましたように、今後、特に期限の定めがないとは言っても、マイルストーンを設定してやっていくと思います。そういう中で、技術革新が行われるような仕組みであることを期待しており、今後の展開を見ていきたいと思っております。
 次に、NICTの読み方についてです。私が情報通信審議会委員を務めていた際には、この法人のことをみんな「ニクト」と呼んでいましたが、議論を経て、今ではもう「ニクト」とは呼ばなくなりました。NICTのホームページでも、名称の略称は「エヌアイシーティー」とカタカナで案内されています。委員会としてもそこは統一してやっていきたいと思いますので、一言申し上げました。よろしくお願いします。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。2点目につきましては、以前、NICTでお話を伺いまして、改めて委員間で、事務局を含めて認識を共有したいと存じます。
 1点目については、評価軸は現段階のものであり、今後どんどん発展していく分野でもあるので、複数年度にわたって見ていくということが必要なのかなと思います。今は基金を設置したという段階にあり、これから実際に基金に基づく事業が実施されていく中で、それに応じて委員会としても考えていく必要があるのかなと思います。ありがとうございました。
 事務局からどうぞ。
【越尾管理官】  名称の件は大変失礼いたしました。エヌアイシーティーでございます。御指摘ありがとうございます。
 前者の御指摘に関しましては、大変大事だと思っています。確かに、これまでの期間の定めのある基金での実績を見ますと、いわゆる大手のITベンダーが受託している例もございます。他方で、大学の研究者を中心とした組織が受託している例も見受けられるところでございます。
 Beyond 5Gに関する技術は必ずしもこれまでの延長線ではなくて、新しくパラダイムシフトした技術という部分がかなりあるようにも聞いております。そういう意味では、総務省やNICTは今後日本の逆転の可能性もあると考えているようです。したがって、ベンチャー企業などの知恵、技術も生かしながら、しっかりと世界標準の獲得に向けて取り組んでいくということだと思います。また、今回の662億円も、まず、まさに補正予算で、急いで造成をした部分ということのようですので、今後の進展によっては積み増しの可能性も含めて、対応していくとも聞いておりまして、この点補足させていただきます。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。浜野委員、どうぞ。
【浜野委員】  NEDOとJOGMECについて、意見を申し述べさせていただきます。
 今回、複数年度の基金が設立されたというのは大変好ましいことだと思います。というのは、バイオなど単年度で決着がつくような事業ではないものを、単年度予算で運営していくことには本当に無理があります。特に年度末から年度当初にかけては、単年度予算だと全くワークしなくなりますので、こういうふうに柔軟に、複数年度にわたって支援するための基金を設置していただいたということは、本当に必要なことだと思いますし、高く評価したいと思います。
 ただ、一方で、何年も取り組んでいくという中で、年度ごとの目標設定をしながら、きちんとPDCAを回して進めていただく必要があると思いますので、その点はお願いしたいところです。
NEDOとJOGMEC以外にも、為替レートの変動により、海外で事業を展開しているJETROやJNTOなどの法人は、単年度予算で運営していくことが難しくなってきていると思いますので、今回基金が設置された法人以外にも、柔軟な運営が必要な法人があるのではないかなと感じております。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。私の意見もございますけれども、今の浜野委員の意見を踏まえて、少し補足して申し上げたいと存じます。先ほど浜野委員がおっしゃったように、基金は複数年度にわたって使用されることが予定されています。行政執行法人以外の独法は、4年から7年までの目標期間の中で事業を実施しているため、基金の設置を望ましいという観点もあり得るかと存じます。そういう意味では、制度設計として運営費交付金に基づき行うこととしてきた独法の業務運営のスタイルが変わってきた側面もあるのかと思っています。
 他方で、基金というのは、当然ながら使途が限定されるため、運営費交付金と違って、法人内部でのマネジメントの自由はないということになりますし、基金をたくさん抱えると、法人の中に幾つもの縦割り的な部署をつくることにもなり、ガバナンスの観点から問題がないわけではないと認識しております。基金が、毎年度、補正予算で次々に設置されている状況について、委員会としても引き続き関心を持って見ていく必要があるかなと思います。ぜひその点、事務局におかれましては、御注意いただければと思います。
 浜野委員、このようなまとめでよろしいでしょうか。
【浜野委員】  結構です。本来は運営費交付金も柔軟に対応していただければいいなと思いますが、基金については、原田先生のおっしゃるとおりだと思います。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。大体皆様方から御意見をいただきましたけれども、目標変更案そのものについては、御意見がなかったと承知しております。3件ございましたけれども、いずれも意見なしということで整理をしたいと存じます。事後の処理につきましては、事務局に一任したいと存じます。ありがとうございました。
 以上が、議題の2番目でございました。
 議題の3番目でございます。役員の業績勘案率の点検結果について審議を行いたいと存じます。こちらの議題につきましては、資料に個人情報が含まれますので、会議及び資料は非公開といたします。傍聴者への中継はここまでとさせていただきます。
 それでは、事務局から御説明よろしくお願いいたします。
【方管理官】  説明いたします。業績勘案率は、主務大臣が0.0から2.0の範囲内で、法人の業績評価(年度評価または期間実績評価)に応じて決定するもので、総務大臣決定の「業績勘案率の算定ルール」に基づき算定することとされております。
 本日は、19法人35件について御審議いただきますが、このうち、特段の事情があり、加算または減算している4件について御説明いたします。その他の案件につきましては、在任期間中の年度評価や期間実績評価の評定の結果に基づいた機械的な算定となっていますので、省略をさせていただきます。
 それでは、1件目、物質・材料研究機構の理事長についてです。まず、研究開発成果の最大化に関する貢献といたしまして、マテリアル分野における研究DXの実現に向け、スマートラボラトリ化やデータ駆動型研究推進のためのプラットフォーム構築を、国内の他機関を先行して開始し、これらの取組が国の統合イノベーション戦略推進会議決定であります、「マテリアル革新力強化戦略」に取り入れられるなど、国の戦略に大きく影響を与えたことが挙げられております。
 また、マネジメントに関する貢献といたしまして、1つ目が、第4期中長期目標期間を通じて、いずれも40歳未満の7人の若手研究者が、グループリーダーとして登用されるなど、政府戦略でも重視されている優秀な若手研究者の安定と自立の確保に貢献し、また、2つ目としまして、戦略的提案力強化プログラムを立ち上げ、法人全体として、第3期中長期目標期間との比較で、競争的資金獲得額の約16%増加を達成したということも挙げられております。これら、いずれも理事長の強いリーダーシップによる取組ということでございますことを理由に、0.1の加算とするものです。
 2件目、JSTの理事長についてです。こちらも0.1の加算とされています。
 まず、大学ファンドの創設に関する貢献といたしまして、骨太の方針による大学ファンドの検討開始から創設決定までの5か月弱という極めて短い期間に、理事長自ら関係者との調整を図り、トップマネジメントにより必要な体制を整備することを意思決定し、従来にない新しい手法による政策の実現に貢献したこと、また、資金運用本部、運用リスク管理部等を新設し、各部門に専門人材を新たに採用、配置するなど、運用開始に向けて資金運用体制を構築したことが挙げられております。
 また、2つ目としまして、経済安全保障に関する貢献として、機構が「経済安全保障重要技術育成プログラム」を担うことを短期間で決定できたこと、博士課程に進学する学生数の落ち込みが大きな政策的課題となっている中で、博士課程の学生あるいは若手研究者支援に関する貢献として、次世代研究者挑戦的研究プログラム及び大学フェローシップ創設事業の実施を意思決定したこと、さらに若手研究者の育成において、最長10年間の安定した研究資金と、研究に専念できる環境の確保を一体的に支援する「創発的研究支援事業」の実施を意思決定したことが挙げられております。
 これらいずれも理事長としてのイニシアティブを発揮した取組として、0.1の加算とされております。
 3件目、日本原子力研究開発機構(JAEA)の理事長についてです。高速増殖炉「もんじゅ」につきましては、平成25年に原子力規制委員会から保安措置命令が出された後も、当該命令に適切に対応できず、その後、原子力規制委員会から文部科学省に対して、「もんじゅ」の運営主体に関する勧告がなされた中、平成28年に「もんじゅ」の廃止を決定する政府方針がなされております。
 この廃止の決定について、当該機構にも一定の責任があると考えられるため、その当時に在職していた理事長の勘案率につきまして、0.1の減算をするということです。なお、本件の関係では、この理事長の就任以前の体制下で退職した理事長と副理事長につきまして、「もんじゅ」の関係で0.2の減算となっております。
 以上が減算の要因でございますが、一方、着任以降、法人の安全管理に関して、「もんじゅ」におきましては、着任前に保安措置命令が出されるなど、安全管理に関する課題があったことを踏まえて、安全・核セキュリティ統括部を中心とした安全管理体制を構築したことや、機構内の全ての原子力施設について、原子力安全に係る品質保証活動等を行うよう体制変更するなど、法人の安全文化の醸成や安全管理のための体制構築を主導し、法人の安全管理に係る体制及び意識を大きく改善させておられ、中長期目標期間の後半には、保安規定違反や規制検査指摘の件数、法令報告案件を全て0件に抑えるなどの成果を上げたということでございます。
 また、マネジメントの関係でございますが、民間企業的視点を導入し、MVSやBSCの導入による業務の明確化、KPIによる進捗管理による業務の見える化を図り、マネジメント体制の改革に着手したことや、当該機構の将来ビジョンを策定して、法人の目的や行動原理を職員に浸透させるなど、マネジメント体制の高度化につなげたことが挙げられております。
 こちらについては、理事長の強いリーダーシップによる取組ということで0.1の加算とするものです。先ほどの0.1の減算と0.1の加算によりまして、結果、加減算なしとされています。
 最後、4件目、海技教育機構(JMETS)の理事でございます。この理事は、内部統制を担務とする理事でございます。令和2年に、唐津海上技術学校の教員が大麻取締法違反で逮捕された件において、事件を起こした教員は、以前から服務規律違反など様々な問題行為がありまして、校長などから再三注意、指導が行われていたものの、そのような情報を学校から本部及び本部内で共有するための報告方法や統一された記録様式等が明確化されておりませんでした。
 内部統制としては、連絡体制あるいは情報の伝達は非常に重要な要素でございますので、そういう連絡体制が確立されていなかったことを重く捉え、評定に基づく機械的な算定だけでは考慮すべき事情が十分に反映できていないことから、0.1の減算とするものでございます。
 なお、本件の関係では、過去においても同法人の理事等について、0.1の減算となっております。
 以上、算定ルール等に照らしました結果、意見なしの案となっております。
 御説明は以上でございます。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。特段の事情があり加算または減算している方を中心に御説明をいただきました。事務局の説明につきまして、御意見、御質問ございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言ください。いかがでございましょうか。どうぞ。
【樫谷審議協力者】  まず、JAEAについて、説明が少し矛盾しているように思います。「もんじゅ」に関して着任してすぐには改善できなかったことについて、原子力規制委員会から勧告がなされたので、それを受けて0.1の減算としている一方で、着任当初から安全を最優先とした業務運営を方針に掲げ、安全管理体制を構築した、などと説明がありました。
 これは、着任したときから何も取り組んでいなかったのではなくて、ちゃんと取り組もうとしていたけれども、やはり時間がかかったということだと思います。着任前からの宿題については、解決するのに時間を要するものと、そうでないものとあると思いますが、0.1減算されるほどのものは他に前例がありましたでしょうか。加算・減算の基準について、どういう場合に、0.1とするのか0.2とするのかも含めて、議論しておく必要があるのではないかという問題意識を持っております。
 次に、最後に説明のあったJMETSですけれども、説明を伺った範囲内では、機構の構造的な問題が顕在化し、大麻取締法違反事案につながっていったのではないかと感じております。構造的な問題に対していろいろな対処をしたと思いますが、これで0.1の減算でいいのかどうなのかについては疑問を持っています。本件は内部統制が全くできていないということと同じです。報告の体制が確立されていなかったから報告されなかったのではなくて、確立されようとされていまいと、やらなければいけないことをやっていなかったということだと思います。この意味で、本件が0.1の減算で本当にいいのかという問題意識があります。本件を0.1の減算でよいとすると、類似のものは今後とも0.1になってしまうため、どういう場合に減算して、その減算の程度が0.1なのか、0.2なのか、ということを、過去の例もよく調べていただいた上で、今後こうしようという案をつくっていただくのがよいのではないでしょうか。そのほうが不公平でなくて、正しい減算、加算ができるのではないかと思い、そういう発言をした次第です。
 以上です。
【原田評価部会長】  事務局からいかがでしょうか。
【方管理官】  まず、前者のJAEAに関する御指摘について説明いたします。減算の幅は、これまでも恐らく最大で0.2ぐらいだと思っています。先ほどの高速増殖炉「もんじゅ」の廃止に関して、前の理事長や副理事長について、0.2の減算があったと申し上げましたが、原子力という、エネルギー政策における極めて重い課題に対応できなかったという点や再三にわたりトラブルや点検漏れがあった点が積み重なって、0.2の減算となったと私は承知しております。
 今回の理事長の場合、平成27年の4月に着任されていますが、「もんじゅ」の廃止措置に至る議論は、着任以前の平成25年から続いているものでした。残念ながら、着任以前に全てが済んでいたわけではなく、着任後、平成28年に「もんじゅ」の廃止が決定されました。
 「業績勘案率の算定ルール」では、「考慮すべき事実」として、例えば、組織的な法令・内部規程違反、組織体質に起因する法人全体の内部統制の欠如あるいは役職員の不祥事などの場合の減算、また、業績の著しい悪化や、法人の解散等の結果を招いた場合の、支給可否そのものについて判断することが定められていますが、おっしゃるとおり、不祥事の程度に応じた減算の程度について、基準があるものではございません。
 業績勘案率は算定ルールに基づいて主務大臣が決定することとされており、主務大臣において適切に判断されたものとなっています。したがって、これまでの例も見ながら、減算の程度について、改めて整理してみるべきものかと思っております。
 また、JMETSに関しては、今申し上げた「考慮すべき事実」にあるように、恐らく組織体質に起因する法人全体の内部統制の欠如に該当しうるものであり、非常に重い案件だと思います。過去の例では、減算の幅としては0.2が最も大きいものですので、この案件についても、0.1減算あるいは0.2減算のいずれかとすることになろうかと思いますが、主務省から、0.1減算と通知が来ているところです。
【樫谷審議協力者】  私も減らすことが目的ではありません。できれば特段の貢献が認められる場合の加算について議論したいのですが、そうはいっても、やはり減算する場合もなきにしもあらずですので、これは問題だという案件について、その減算の幅はどの程度がよいのか、よく見る必要があるのではないでしょうか。ガイドラインを出すことも含め、改めて議論する必要があると思います。ガイドラインがあれば、それに従って主務省に御判断いただけるのではないかと思います。
また、JAEAについては、0.1減算というハンディキャップを抱えて始まり、頑張って0.1加算を得て、それと相殺してなんとか加減算なし、という案件だと認識していますが、このように着任以前から引き継ぐ案件がある場合にどう判断すればいいのかといった点も御議論いただけるといいのかなと思いました。
 以上、これは感想ですが、よろしくお願いします。
【原田評価部会長】  JAEAの案件は難しいですね。理事長への着任以降に廃止決定したものの、着任する段階から、「もんじゅ」の廃止の可能性が見えていた場合について、減算なしでいいのかとか、減算なしとするからにはこの理事長に責任が無いとしたのか、といった議論になると非常に難しいと思います。
 一方で、着任した段階で、既に0.1減算の可能性が高い状況から始まっているわけですので、少しかわいそうに思います。しっかりしたマネジメントができる人を連れてくる必要があるときに、これが広まってしまうことは、法人にとっても、主務省にとってもよくないことではないかとも思います。
【樫谷審議協力者】  減算を不名誉なものと考えたときに、0.1減算から始まることに納得感が得られなかったときに困るため、申し上げた次第です。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。金岡委員、どうぞ。
【金岡委員】  今の樫谷審議協力者のお話を聞いていて、ふと思ったのですけれども、主務省の傘下に複数の独法がある場合、民間の事業会社とのアナロジーでいえば、主務省傘下全体を1つの組織と考えて、そこに複数の事業本部がぶら下がっていると捉えることができると思います。こう考えたときに、仮にどこかに問題があってパフォーマンスが悪かったとき、例えばその組織に割り当てられる全体のボーナスの額が下がるなどの組織の責任の取り方と、また、事業本部の長としての責任の取り方の、2つの観点が併存しているのではないかと思います。
 今回議論しているのは退職される方の業績勘案率、すなわち組織の長個人に対する責任なり評価ということですが、一般の事業会社とのアナロジーでいうと、主務省傘下の1つの独法のパフォーマンスが悪かったときに、その組織に所属する職員全体のボーナスが下がるといった、組織としての責任に関する仕組みはあるのでしょうか。また、そういうことも考えていく必要があるのかどうかについて、気になりました。
 この審議の内容について特に意見があるわけではありませんけれども、法人全体の責任と、組織の長個人の責任は、独法の場合はどういうふうに考えていけばいいのかなという点について、ふと疑問に感じたので発言させていただきました。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。これは大変難しい問題ですけれども、事務局からコメントございますか。
【方管理官】  大変難しい問題であることから十分な説明にならないかもしれませんが、申し上げますと、おっしゃるとおり、組織の問題に起因する減算と、個人の責任に起因する減算は、両方あり得ます。
 例えば、組織的な法令違反が行われていたようなケースであれば、それは組織全体で責任を取るという意味で、関係する役員が退職される場合には、当然、責任を負っていただくということになります。一方で、ある特定の役員だけに個人的な問題があった場合においては、当然ながら、その責任はその方に負っていただくということになろうかと思います。
 ただ、金岡委員から御指摘のあったように、それが組織全体の給与等に響いていくかどうかというと、それは別の論点になると思っております。今回、御審議いただいているのは、あくまでも主務大臣の決定した法人の役員の退職金に問題がないかということです。今のところ、組織的な問題があったからといって、それが必ず組織全体の給与や賞与に反映されるような仕組みが整備されているものではありません。
【金岡委員】  ありがとうございました。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。南雲臨時委員、どうぞ。
【南雲臨時委員】  今の金岡委員のおっしゃったことは非常に重要な点だと思います。
 私も民間企業のアナロジーということで申し上げますけれども、組織評価と役員評価というのは、それぞれの評価体系がないといけないと思います。また、そのそれぞれが矛盾してもいけません。例えば会社の社長の評価は、会社の評価と全く一緒かというと、そうではありません。社内の人事配置の決定に関しては、特に自身の後任育成の観点から、社長の責任として重たいとされますが、それ以外のところは会社のパフォーマンスイコール社長のパフォーマンスという形になっていて、そこで整合性が取られています。
 民間企業では、通常は社員のボーナスの枠が会社のパフォーマンスに左右されており、会社のパフォーマンスがよければ社員のボーナスが増えるし、そうでなければ少し減るということになっています。一方で、役員クラスになると、退職金も含めて報酬にストックオプションなどのロングタームインセンティブが入っていたり、その他にもいろいろなベネフィットが付随していたりします。それらを総体として、どう評価に基づいて報酬を変えていくのかというデザインが必要になってきますが、このように全体のマネジメントや内部統制の仕組みとして、グリップを利かせる建て付けになっています。
独法の場合は、そこまでのことができないにせよ、組織としての法人の評価と、法人の長を含む役員の評価について、一般の職員との報酬体系の違いがあるのであるならばそこも踏まえたようなデザインに進化させていかないと、金岡委員がおっしゃったような論点がまたどこかで指摘されるのではないかと思った次第です。
 以上です。
【原田評価部会長】  御意見ありがとうございます。度々、南雲臨時委員から御指摘いただいている点であり、いわゆる業績と報酬の連動といった議論につながっていくことになろうかと思います。残念ながら、今のところそこまで進化したものにはなっていません。
 ただ、事実関係を申し上げますと、おっしゃったように、役員の給与体系と職員の給与体系は、若干異なる規定に基づいています。そういった点を踏まえ、私の本業の研究での話になりますが、どういう工夫ができるのかということをよく勉強してみたいと思っております。
【南雲臨時委員】  ありがとうございます。
【原田評価部会長】  樫谷審議協力者、どうぞ。
【樫谷審議協力者】  今の御指摘に関連して、事務局からの説明の中で、JAEAについて「「もんじゅ」廃止の決定について、当該機構にも一定の責任があると考えられるため」とありました。これは組織の問題についての話ですよね。したがって、理事長が組織の長として全体的な意味で責任を取ったという理解でよろしいでしょうか。
【方管理官】  そのとおりでございます。
【樫谷審議協力者】  それでこの理事長に御納得いただけるということですよね。理事長個人として特段の貢献が認められてなんとか0.1加算で元に戻るが、本件に関しては組織の長としての責任として、0.1減算から始まると考えていいわけですね。
【方管理官】  なかなかこうした事例は珍しいケースだと思いますが、結果的にそのような形になったということでございます。
【樫谷審議協力者】  組織としての責任を取るのは、理事長だけなのでしょうか。
【方管理官】  JAEAに「もんじゅ」担当の理事がいらっしゃるのであれば、その理事にも責任があるものとされるのではないかと思います。
【樫谷審議協力者】  そういうことですね。そうすると、JMETSに話を戻すと、こちらも組織としての問題なので、理事長が退職されるときは、同じく組織としての問題を組織の長として取ることになり、減算となることになりますね。そして、内部統制担当の理事は、組織としてではなくて、個人としての責任だから0.1減算だけだということでしょうか。組織としての責任による部分はないのでしょうか。
【方管理官】  こちらについては、内部統制担当の理事についての業績勘案率ですので、減算をするということかと思っています。
【樫谷審議協力者】  では、理事は担当に基づいて個人としての責任を取る、組織の長は組織としての責任を取る、ということでしょうかね。
【方管理官】  今後の業績勘案率の審議の中で、理事長や、仮に全体を統括する理事などがいらっしゃる場合には、組織全体としてのマネジメントの責任が問われる可能性はあります。
【原田評価部会長】  栗原委員、どうぞ。
【栗原委員】  先ほど組織としての責任に関する議論の中で、着任前から引き継ぐ案件の性質によっては、アサインされるとそもそも0.1減算から始まるのか、といったお話もありましたが、私としては、在任期間中に起こったことについて責任を問われているということだと思いますので、今回のJAEA理事長の「もんじゅ」の件も、この方の在任期間中に起こった事の責任を取っていると理解いたしましたが、この理解でよろしいでしょうか。
 それから、2点目に、組織の責任なのか個人の責任なのかということですけれども、担当の方も含め、その組織として誰が責任を取るかということで、それが担当の理事であったり、理事長であるということなのではないかと思いますが、この理解でよろしいでしょうか。
本当に個人の責任ということですと、この件ではないですけれども、過去に、自身の不正等により退任された方がいましたが、これこそ自分の業務と関係なく、個人の責任ということだったかなと思いました。それに対して、組織としての責任を誰が取るかというのは、別の議論としてあったように思いますが、いかがでしょうか。
【方管理官】  先ほどの説明は不確実でしたので訂正いたします。
栗原委員のおっしゃるとおり、JAEAの場合、在任中に減算すべき事情が生じたという意味で0.1の減算になっていると思います。着任されたときはまっさらであって、在任期間中に「もんじゅ」の廃止決定があったという客観的事実によって、0.1の減算になっていると御理解いただければと思います。
 JMETSの話の場合ですと、先ほども樫谷審議協力者からの御質問の中にもありましたように、全体として内部統制を構築する責任は理事長にありますので、これができていなかったことについて、最終的な責任負うのは理事長の責任という観点から理事長の個人的責任とも言えますし、組織としての責任であるという言い方もできると思います。
 ただし、審議対象の理事については、やはり担当が内部統制ですので、少なくともこの理事の業績として見たときに、当然減算になるという整理でよろしいのではないかと思っております。
【原田評価部会長】  よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 「もんじゅ」の例は、実際に廃止が決まるタイミングが、いろいろな課題が出てきてから時間が経ってしまったという意味で、頻繁に生じるケースではないと思いますが、同様の場合にどう判断するのかと問われたら、難しい問題をはらんでいることは確かと思います。
 制度改正以前、政策評価・独立行政法人評価委員会においては、業績勘案率について、時間を取って、各分科会内の小さなユニットでディスカッションしてきた記憶があり、20年ぐらい議論してきていることになります。ルールは総務大臣が決めるのだけれども、それに基づいて主務大臣が判断した結果について、委員会がどう関与するかという議論もあります。政策評価・独立行政法人評価委員会時代の業績勘案率に関する議論をある程度整理して、今日に至っています。
 したがって、これまでの制度の運用からすると、考慮すべき事実の程度に応じてどの程度の加減算とするのかを主務大臣がどう判断するかということと、委員会としてそれに対してどのように関与するかということは分けて論じる必要があるのかなと思っています。
 一方で、本日委員の皆様からたくさん御意見を賜りましたところ、もちろん課題がないわけではないということで、次年度以降の宿題ということで、一度事務局で整理をお願いしたいと存じます。
 本件そのものについては、意見なしという形で整理をさせてください。事後の処理につきましては、事務局に一任いたします。
何らかの形で、先生方の御意見を聞く機会がまたあろうかと存じます。事務局においては、引き続き、整理をよろしくお願いいたします。とりわけ政策評価・独立行政法人評価委員会時代からの様々な課題を踏まえて今日に至っているというところをどう踏まえるかというところも、しっかりたどってみてほしいと思っています。よろしくお願いいたします。
【方管理官】  承知いたしました。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。
 以上が本日の3つの議題でございました。
 では、最後でございますけれども、次回につきまして、事務局から説明よろしくお願いいたします。
【方管理官】  次回の委員会は、2月16日木曜日14時から、目標変更の諮問案件が複数見込まれるため、委員会終了後に合わせて部会も開催する予定でございます。場所等の詳細は追って連絡いたします。
 以上です。
【原田評価部会長】  それでは、以上をもちまして、第55回独立行政法人評価制度委員会評価部会を閉会いたします。
 本日は皆様、本当にお忙しい中御出席くださいまして、ありがとうございました。
 
(以上)
 
 

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