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第40回独立行政法人評価制度委員会 議事録

日時

令和5年2月16日(木)14:00〜15:20

場所

中央合同庁舎2号館8階 第1特別会議室(ウェブ会議併用)

出席者

(委員)澤田道驤マ員長、梶川融委員長代理、天野玲子委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、島本幸治委員、高橋伸子委員、浜野京委員、原田久委員(評価部会長)、野ア邦夫委員、南雲岳彦臨時委員、河合晃一専門委員、清水剛専門委員、横田響子専門委員
(審議協力者)樫谷隆夫 樫谷公認会計士事務所所長
(事務局)稲山行政管理局長、方管理官ほか

議事

  1. 令和5年度から中(長)期目標期間が始まる法人の新たな目標案について(諮問案件)
  2. 法人の取組事例

配布資料

議事録

【澤田委員長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第40回独立行政法人評価制度委員会を開会したいと思います。
 本日の会議は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、密を避ける観点から、傍聴される方には会議の模様をオンラインで中継させていただいております。
 本日は、議題が2つございます。1つ目は令和5年度から中(長)期目標期間が始まる法人の新たな目標案について、2つ目が法人の取組事例でございます。
 早速始めたいと思います。まず、議題1「令和5年度から中(長)期目標期間が始まる法人の新たな目標案について」でございますが、本年度の対象24法人に係る目標案につきまして、各省から諮問がございましたので、審議を行いたいと思います。
 それでは、これまでの評価部会における審議の状況につきまして、評価部会長から御報告をお願いいたします。よろしくお願いします。
【原田評価部会長】  承知いたしました。1月26日に評価部会を開催いたしまして、これまで委員会で指摘をしてまいりました視点に立ちまして、その時点における目標案を点検いたしました。目標案の概要及び評価部会の審議の状況について、事務局から報告をよろしくお願いいたします。
【方管理官】  それでは、事務局より御説明いたします。
 本年度の見直し対象であります24法人につきましては、昨年12月の委員会において、次期目標の策定等に向けて法人ごとに留意いただきたい事項を御決定いただいたところでございます。
 年明け1月26日に開催された評価部会におきましては、各主務大臣が作成した法人の新たな目標案の記載が、12月の委員会で御決定いただきました留意事項に対応しているかどうかを中心に御議論いただき、御議論いただいた内容につきましては、事務局から主務省にお伝えをさせていただきました。
 その結果、資料1−1に、留意事項と目標案の対応状況を整理してございますが、それぞれの法人の特性や現状を踏まえて、留意事項の趣旨を丁寧に、目標案の中に盛り込んでいただいたと考えております。資料1−2には、24法人の各目標案全文をまとめさせていただきました。個々の法人の説明につきましては、資料の配付をもって代えさせていただければと思います。
 御審議のほどよろしくお願いいたします。
【原田評価部会長】  私から、この点検の結果についてお話をしたいと存じます。
 ただいまの事務局からの説明のとおり、評価部会におきまして目標案を点検いたしました結果、これまで委員会でお示しをした留意事項につきましては、各所におおむね対応していただいているところでございます。
 したがいまして、当部会といたしましては、目標案につきましては「意見なし」とする旨の結論に至りましたので、御報告申し上げます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの御報告につきまして御意見等ございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言いただけますでしょうか。なお、毎度のお願いとなりますけれども、防災科学技術研究所の参与を務めていらっしゃる天野委員、及び国民生活センターの情報提供委員会委員を務めていらっしゃる高橋委員におかれましては、申合せにより、当該法人に関する意見を控えていただくということとしておりますので、その旨よろしくお願いいたしたいと思います。それを踏まえて、皆さんから御意見等お願いしたいと思います。
 天野委員、どうぞ。
【天野委員】  今まで法人ヒアリングや主務省ヒアリングを通していろいろと意見を申し上げまして、各法人に関係する御担当の方々には非常に努力していただいたと思います。申し上げた点は、新目標案をしっかり読むと盛り込まれているなと思われますが、これをしっかり成果に結びつけていただきたいと思っています。
 また、これまでに何度か発言していますけれども、中(長)期目標期間が終わると理事長が交代になることが多く、さらに、残念ながら、場合によっては主務省の御担当の方が異動になることもあります。これだけ御苦労してつくられた中(長)期目標を新しい理事長に単にお渡しするだけではなくて、策定までに議論した経緯を含めて、お渡ししていただければと思います。よろしくお願いします。
【澤田委員長】  ありがとうございます。新体制となっても、新目標案策定までの議論を踏まえてしっかりと継続して取り組んでいただきたいという御指摘ですけれども、事務局からいかがでしょうか。
【方管理官】  誠に重要な指摘であると考えております。昨年4月に決定いただきました「独立行政法人評価制度の運用に関する基本的考え方」においては、主務大臣が明確化する法人の使命、ミッションは一度共有されて納得を確保すればよいというものではなくて、主務大臣による目標策定や評価の機会、役員の交代や人事異動等による関係者の入れ替わりの機会に両者で再度確認をすることはもちろん、様々な場面で、この使命及びミッションと法人が明確化するビジョンを、両者の意思疎通のためのツールとして活用し、緊密なコミュニケーションを確保する必要があるとされております。
 今回の見直し対象法人における新たな目標につきましても、新中(長)期目標期間開始後、主務省の職員や法人の役職員の交代あるいは人事異動がある場合には、法人の使命、ミッションのみならず、昨年4月に決定いただいた「独立行政法人の業務管理及び内部管理について」、あるいは委員会による主務省ヒアリングや法人ヒアリングにおける議論の内容、また、昨年12月の委員会決定における留意事項やその背景事情などにつきまして、新目標の策定に当たって出された様々な議論やその背景について引継ぎが行われるように、効果的な取組を行っていきたいと考えております。
【澤田委員長】  よろしいでしょうか。
【天野委員】  よろしくお願いします。
【澤田委員長】  法人の使命、ミッションや目標について、随時共有する場を設けていただくのがいいと思います。毎日行うというわけにはいきませんけれども、都度、そういう機会を設けていただければ非常にいい取組になるのではないかと思います。ありがとうございます。
 そのほか御意見等ございますでしょうか。原田評価部会長、どうぞ。
【原田評価部会長】  先ほど申し上げたように、先月の評価部会の中でも議論があったところですけれども、今回の24法人の目標案全体(資料1−2)で507ページに及んでいます。法人数が多いためかもしれませんけれども、目標の長文化という傾向は、このデータからもうかがえるところであります。
 独立行政法人通則法改正以前は、今よりも目標がかなり短かったように思います。制度改正後は、委員会からも留意事項としていろいろな観点で申し上げてきたところですけれども、他方で、目標案が長大化し、恐らく計画はそれを超えたページ数となっていることから、結構な分量になっているものと思います。委員会は、目標案について点検をして意見を述べるという役割を有していますが、目標と計画との関係が一体どうなっているのかということも、どこかのタイミングで点検する必要があるのではないかと思っています。計画案について細部にわたり指摘するということではなくて、両者の関係がどうなっているのかを認識しておくことが必要ではないかと思ったところです。
【澤田委員長】  ありがとうございます。事務局からいかがでしょうか。
【方管理官】  中(長)期目標のページ数が非常に多いことは、事務局としても認識しております。制度改正以前には、簡潔な目標を補完するものとして計画がつくられていたという側面もあろうかと思います。制度改正以降は、総務大臣が定める目標策定指針に従って、主務大臣が目標を策定しているものと認識しておりますが、ただいまの御意見も踏まえて、目標と計画との関係についても、十分注目していきたいと考えています。
【澤田委員長】  ありがとうございます。原田部会長、よろしいですか。
 私も、本日の委員会に参加するに当たって、この膨大な資料を拝見いたしました。よく練られた目標案だと思いますが、実際の業務の遂行に当たっては、メリハリ付けが必要な場合があろうかと思います。今年はこの業務に注力する、来年はこの業務に注力するなど、メリハリをわかりやすくしていただけると、もう少しポイントを捉えて見ることができると思います。また、業務に従事する職員の方々にとっても、目標にメリハリ付けがされていることで、まずここに注力しようと考えて取り組むことができるかと思います。また、横串の視点としてDXの推進が盛り込まれているなら、どういう形でDXを推進していくことが自分たちの目標に適合しているのかとか、そういうことがもう少しわかりやすくなっていればよかったかなと思います。その辺りについても、今後留意しながら進めていただければと思います。
 高橋委員、どうぞ。
【高橋委員】  私も、目標案については了解しており、委員会と主務省・法人とで随分議論を重ねてできたものですので、内容に異存はありません。ただ、今澤田委員長がおっしゃいましたように、やはりメリハリという点では気になることがあります。今後、計画を立てるに当たって、メリハリをつけてロードマップをつくり、PDCAをきちんと回していかれることを期待しております。
 また、法人の長は、再任される方もいらっしゃるかもしれませんけれども、令和5年度から新しく就任される方もいらっしゃると思いますので、主務省にはその方たちへの情報伝達・コミュニケーションをしっかり取っていただきたいと思います。他方で、法人の長の交代について、委員会からはなかなか見えないため、どういった方が就任されるのか気になり、ホームページ等でどんな情報公開をされているのかを見てみました。全てを確認することはできませんでしたけれども、例えば総務省所管の法人について申し上げると、令和5年4月1日から4年間の長の募集について、募集期間が昨年の11月18日から12月15日までとしていて、「受付終了」と記載されていました。また、選考委員会の属性については、例えば私が見たものでは、大学教授4名とエコノミスト1名とありましたが、委員会としては、中(長)期目標に基づいて独法を運営いただくに当たって、ガバナンスや経営に対する考え方をしっかり持った方に務めていただきたいと思っているところ、選考委員会の属性を見て、心配にもなりました。
 我々委員会の属性は、経営経験の方などダイバーシティが確保されていると思いますけれども、選考委員会については、教授の方の専門性も様々だとは思いますが、適切な属性となっているのかどうかが見えないという点が、実際調べてみて、やや不安に思ったことでございます。
 法人の長に関しては公募されることが多いと思うので、今後は選考委員会の属性に関する情報公開もしっかりしていただけると、より安心できると思います。なかなか難しいことだとは思いますが、選考委員会に関しては、何らかのコミュニケーションがあるといいなと思っております。
 以上でございます。
【澤田委員長】  ありがとうございます。事務局からいかがでしょうか。
【方管理官】  まず1点目について、限られた資源を最大限活用するための資源配分の重点化については、昨年4月に御決定いただきました「独立行政法人の業務管理・内部管理について」にも位置づけられており、重点分野や法人に強みのある分野にその資源を重点配分することなど、メリハリ付けにも留意するよう、委員会として申し上げているところです。
 2点目につきましては、この場ですぐにお答えすることはいたしかねますが、御意見としては承知いたしました。
【澤田委員長】  ありがとうございます。そのほか御意見等ございますでしょうか。
 オンラインで参加の委員の先生方もいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、各法人の目標につきまして、当委員会として「意見なし」とさせていただくことで御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【澤田委員長】  ありがとうございます。それでは、本件につきましては「意見なし」とし、その旨、各主務大臣に答申をいたします。答申の手続につきましては、事務局に一任させていただきたいと思います。
 それでは、議題2「法人の取組事例」につきまして、事務局から説明をお願いしたいと思います。谷口研究官、よろしくお願いします。
【谷口研究官】  それでは、独立行政法人の取組事例について、今回は、働きやすい職場環境であることを認定の取得で見える化することで人材確保やPRにも生かしている事例と、官民連携により社会課題に対応するための技術開発に取り組んでいる事例について御紹介いたします。
 独立行政法人には、多様性が新たな価値創造につながることを踏まえ、ダイバーシティの推進が求められているところでございます。ダイバーシティを推進するに当たっては、性別、国籍、年齢など、様々な多様性を踏まえる必要がございますが、今回は、女性活躍推進などを中心に、ダイバーシティを推進する中で働きやすい職場環境の整備を行い、「くるみん」や「えるぼし」の認定を取得することで、人材確保やPRに生かしている3つの法人の事例を御紹介いたします。
 厚生労働省では、企業の女性活躍、子育て支援、仕事と介護の両立を推進するため、取組の進んでいる企業を「くるみん」「えるぼし」などで認定する制度を設けてございます。本ページでは、それらの制度概要について掲載しておりますが、時間の都合上説明は割愛させていただきます。
 次のページにまいりまして、まず、日本貿易振興機構(JETRO)の取組でございます。JETROでは、もともと女性職員の割合が高く、女性に活躍してもらうことが組織運営上不可欠であったというような背景もございまして、ソフト及びハード面の両面から女性活躍推進に向けて取り組んでまいりました。
 まず、ソフト面では、育児・介護休業法の改正に伴い、説明会の開催やハンドブックの作成により職員に制度周知を行ったり、管理職の声かけにより男性でも育休を取得しやすい雰囲気を醸成するなどの取組を行っています。また、総合職の中に転勤の制限がある「エリア総合職」の職種を設け、転勤が困難な事情のある職員からの申請でエリア総合職につけているとのことでございます。さらに、ハード面では、テレワークの定着や執務環境の改善のため、オフィスの改装やフリーアドレス化を実施しているということでございます。
 一方で、課題といたしましては、世代によって職員の男女構成に凹凸があることから、管理職に登用できる女性職員が限られてしまっているということ。また、特に女性職員の場合ですと、出産・育児といったライフイベントによる影響が大きく、職務経験として海外派遣させることが困難になっている状況がございます。
 そこで、JETROでは、国内外の拠点で所長を担う人材を計画的に育成する研修を実施したり、出産・育児が原因で職員の職務経験が偏らないよう、入構後早い段階で、社内公募制により海外経験を積ませるようにしております。
 このような取組の結果、JETROでは、令和3年に「えるぼし」及び「くるみん」を取得し、同年10月には、独法で初めて「プラチナえるぼし」を取得しております。こうした認定マークを名刺などに印刷することで組織のPRにつなげたり、また、特に新卒採用において学生へのアピールポイントになっているということでございます。
 続きまして、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の取組でございます。JOGMECでは、令和元年度にダイバーシティ推進室の設置、令和2年度には、理事長のリーダーシップの下、「ダイバーシティ宣言」の策定を行うなど、トップダウンでダイバーシティ推進を図るための基盤整備を行い、積極的な女性の採用・登用、柔軟な勤務形態の導入や休暇制度の充実を図っています。
 一方、取組を進めるに当たっての課題といたしましては、トップダウンで取り組んできたダイバーシティの推進が、総論賛成各論反対となりがちであったということで、職員から理解を得るために、個々の職員の声を拾うツールが必要であったということです。
 そこで、JOGMECでは、ダイバーシティ推進室の職員を法人内各部の併任とすることで、現場の声を拾いやすくしたり、職員の相談窓口として、総合窓口のほか、4つの個別窓口やオピニオン・ボックスを設置したり、研修の後のアンケートで取組に対する意見を収集したり、双方向のコミュニケーションの場としてダイバーシティトークを開催するなど、個々の職員の声を拾う様々な工夫をしております。
 このような取組の結果、令和3年には「えるぼし」及び「くるみん」を中期目標管理法人で初めてダブル取得いたしております。また、中途採用においてJOGMECを転職先として選ぶ人が増加しているということでございました。
 以上は、中期目標管理法人の事例でございました。
 続いて、国立研究開発法人である産業技術総合研究所(産総研)の取組でございます。産総研では、イノベーションを生むためには多様な属性を持つ人材が最大限能力を発揮し活躍できる組織が必要との考えから、ダイバーシティ推進委員会の下、関係部署の連携によりダイバーシティを推進しています。
 その主な取組として、まず、働き方の多様化のため、柔軟な勤務形態や休暇制度を整備し、特に、介護休暇では取得しやすいよう取得単位を柔軟にしております。介護に関する取組にも注力しておりまして、仕事と介護の両立支援に関するセミナーを開催したり、所内ウェブサイトにポータルサイトを設置し、制度の周知を行うことで、介護に対する理解を深める取組を行っております。
 また、博士型任期付研究員の廃止や、研究補助員雇用支援制度により、安心して研究に専念できる環境を整備するとともに、女子学生と産総研女性研究職員との懇談会やラボ見学ツアーの実施などにより、積極的な広報活動を展開するなどして女性研究職員の採用拡大を図っております。
 また、他の研究教育機関との連携も行っておりまして、全国20の研究教育機関が参加するダイバーシティ推進のネットワーク、DSOの運営に幹事機関として携わり、相互に事例などの情報を共有しながら、制度改善にも活用しているとのことでございます。
 一方、取組を進める上の課題といたしましては、出産、育児、介護などで配慮を要する対象者が所属する職場での理解を進めていく必要があるということでございました。そのため、産総研では、所内アンケートで職員のニーズや課題を把握し、施策に反映するなど、ダイバーシティ推進委員会が中心となってPDCAを回しながら施策を推進しているとのことでございます。
 そして、産総研では、平成26年に「トモニン」及び「くるみん」を取得し、平成28年には公的研究機関として初めて「えるぼし」を取得しております。また、令和3年には、平成29年に改正された認定基準で2回目の「くるみん」も取得しております。
 こうした認定取得について、広報活動や採用公募を通じて、学生の間でも認知度が上がっておりまして、産総研が働きやすい職場であるとのイメージを共有できているとのことでございます。
 さらに、外部資金選考の際にこうした認定取得が加点評価されることに加えまして、外部資金応募手続を通じて、取組にこれまで関心のなかった職員においても、取組が改めて認知されるようになったということでございます。
 今回、「くるみん」や「えるぼし」を取得し、人材確保やPRに生かしている3つの法人の取組について御紹介いたしましたが、この法人以外にも、こうした認定を受けている法人を5ページ目に御紹介しておりますので、御参考にしていただければと思います。
 続きまして、官民連携により社会課題に対応するための技術開発に取り組んでいる土木研究所の事例について御紹介します。
 まず、開発の背景でございます。国では、道路橋の維持管理につきまして、損傷が軽微な段階で対策を行う「予防保全」へ本格転換することとした一方、多くの道路橋を抱える地方公共団体では、熟練技術者や予算の不足により、予防保全への転換がなかなか進んでいない状況となっております。予防保全に必要な措置に着手するためには、信頼できる診断が必要となります。そこで、土木研究所では、メンテナンスサイクルのうち、「診断」をシステム化することで、予防保全への転換を促進して、橋を長寿命化させることにより、維持管理にかかるコストの縮減を図ることといたしました。
 そこで、土木研究所が中心となりまして、「AIを活用した道路橋メンテナンスの効率化に関する共同研究」を実施することとし、土木研究所が中心となって財団法人、建設コンサルタント、IT企業、研究機関、地方公共団体など、25社からなる官民の共同研究体制を平成30年度に立ち上げまして、その中のプロジェクトとして、技術者の道路橋診断を支援する診断AIの開発に取り組んだところでございます。
 ここで、診断AIの概要について御紹介いたします。次のページを御覧ください。
 診断AIの仕組みといたしましては、図1にございますように、まず、これまでの実験データや損傷事例を基に、属人的な知識経験に頼っていた診断技術者の考え方を整理し、言語化することで診断AIを作成いたします。この診断AIが、点検により取得したデータと損傷メカニズムを照合することで、損傷の種類や進行度、措置方針を根拠となったデータとともに掲示するというものでございます。診断AIでは、あらかじめ定めたルールに応じて結果を出力するというエキスパートシステムを採用することで、判断過程がブラックボックスになってしまうディープラーニングとは異なりまして、診断理由まで明確に出力されるようになってございます。これにより、道路管理者の納得のいく診断結果が得られ、予防保全に必要な措置につながるようにしようということでございます。
 前のページにお戻りいただきまして、このような診断AIの開発には幅広い分野の協力が必要であるということで、このように幅広い官民連携体制をつくって開発を進めているということでございます。例えば、熟練技術者の診断プロセスや考え方を整理するため、官民の熟練技術者が参加する検討会を組織してデータを精査したりですとか、また、膨大な量の損傷メカニズムに基づく一連のデータを集めたり、システムの検証を行うためには地方公共団体の協力も不可欠でございまして、こうした検証に参加した地方公共団体の意見も参考にしながら、システムの使いやすさを向上させるというような工夫を行っております。
 今後は、社会実装に向けて、システムの様々な検証を通じて改良を重ねるとともに、やはりユーザーである地方公共団体の認知度向上といった環境づくりを進めていく必要があるとのことです。
 独立行政法人の取組事例の御紹介、以上とさせていただきます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの御報告につきまして、どなたからでも結構ですので、御発言等をお願いできればと思います。浜野委員、どうぞ。
【浜野委員】  取組事例の御紹介ありがとうございました。ダイバーシティの推進は、どの組織においても喫緊の課題になっていますが、様々に工夫しておられるなと思いました。
 JETROには私も在籍しておりましたので、その経験も踏まえてお話ししますと、ダイバーシティの推進には、理事長によるリーダーシップの発揮が、最も影響力が大きいです。ダイバーシティの推進の一つとして、本日御紹介の、男女共同参画の中での女性の活躍推進を進めておられる法人は、いずれも理事長がリーダーシップを発揮することで、改善が進んでいるということがうかがえると思います。
 資料を拝見していると、女性管理職比率が必ずしも高くない法人もあるように思います。他方で、JETROなど、女性活躍推進に取り組み、その数値を改善した法人もあります。まだこれから取組を進めていく法人においても、同じように数値を上げることができると思いますので、ますますの推進をお願いしたいと思います。
 女性の活躍推進だけではなくて、多様な属性の方が生き生きと働ける環境であることが今社会全体に求められています。これは独法にとっても非常に重要な課題だと思いますが、ぜひ独法に、範を垂れて推進していただきたいと思いました。
 以上です。
【澤田委員長】  ありがとうございました。事務局からいかがでしょうか。
【谷口研究官】  大変貴重な御意見ありがとうございます。委員御指摘のとおり、やはりこういった取組を進めるには理事長のリーダーシップが何よりも重要でございますので、ほかの法人においても、トップにこうした意識を持っていただいてしっかり進めていただくことが大事だと思います。
 また、確かに、今回御紹介した事例でも、必ずしも女性管理職の割合が絶対値として高いわけではありません。全体として独法はまだまだ女性管理職比率が低い状況です。こうした取組の効果が現れるまで時間がかかるものではございますが、先ほど委員も御指摘のとおり、理事長がリーダーシップを取って、ぜひ積極的に進めていただきたいと考えております。
【澤田委員長】  ありがとうございました。浜野委員、よろしいでしょうか。
【浜野委員】  はい。
【澤田委員長】  そのほか、どなたかからございますか。天野委員、どうぞ。
【天野委員】  ありがとうございます。こういう取組を紹介するのは非常にいいことだと思います。ただ、いろいろ違和感を持つところもあるので、少し意見を申し上げます。
 私は、JETROに関してはあまり詳しくないので、浜野委員に意見を言っていただいて非常によかったと思います。
産総研などの研究開発機関において女性活躍を推進するに当たって、このように他の法人の事例を紹介する以外に非常に効果があると思っているのは、公共のプロジェクト等において女性活躍推進を加点評価する取組です。私は、いろいろな公共のプロジェクトの選定委員を務めていますが、その評価項目に、女性比率という項目が入っていて、その重みが増してきているようにも思います。資金の獲得に直結するため、その効果は、研究開発機関や大学では非常に大きいのではないかと思います。
 したがって、こういう取組事例の紹介に当たっては、特に研究開発機関については、外部資金の獲得の観点からも女性活躍推進が必要とされているといった点についても併せて御紹介いただくと、よりよいものになるのではないかと思います。
 また、2番目のJOGMECについては、法人ヒアリングで伺った際の感想としては、本当にこの比率で女性職員がいるのかなと思います。あそこが取得したというところが少し意外でしたが、この認定を取得したということをアピールすることで満足してしまわないように、ぜひダイバーシティの推進による成果の創出に結びつけていただきたいと思います。
 さらに、土木研究所の事例については、地方公共団体は技術を有する職員も予算も不足しており、本当に大変で、AIやエキスパートシステムなどと言えばお尻が引けてしまうと思います。また、地方公共団体の管理しているインフラ、特に道路橋やトンネルは、このようなAIやエキスパートシステムを使わなくても、一目見ただけで、これは危険だろうというものが山のようにあります。インフラの維持管理に関して、私は土木学会のインフラ健康診断に関する小委員会の委員を長年務めていますが、やはりインフラの健康状態がいいのは、鉄道や電力など、国策民営のものです。一方で、国が直接運営しているインフラは、かなり状態悪いものが多いです。したがって、本日紹介いただいた取組の範囲にとどまることのないようにしていただきたく、この事例についても、官民連携で、土木研究所を中心になって進めているのだからいいよねなどと満足することの無いように、現実の状況も踏まえてしっかりと取り組んでいただけるよう、特に主務省に対して、よくお伝えいただきたいと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございます。同感なところも多くありますが、事務局からいかがですか。
【谷口研究官】  ありがとうございます。まず、公共のプロジェクトの選定委員をされている御経験からの御意見ということで、確かにそういったプロジェクトで女性比率などを考慮するものは、かなり増えてきていると思います。資料にもございますけれども、競争的資金選考の際にも、そうした取組を求められることが当然になってございますし、国の取組といたしましても、公共調達をするとき、国や独法はワーク・ライフ・バランスを推進している応募者を加点評価しなければならないという取組も進んでおりますので、ワーク・ライフ・バランス等の推進に関する取組が今後組織としてますます必要になってくるのではないかと思っております。
 また、認定の取得が自己目的化してはいけないとの御指摘はおっしゃるとおりでございまして、そこに至る過程が大事ですし、それから、もちろん取組の結果が重要です。
 今回お話を伺った3つの法人ですが、いずれも組織運営上の必要、それから社会の要請上、ダイバーシティを推進してきて、その結果の一つとしての認定取得ということでした。まずはやはり虚心坦懐にダイバーシティを推進していくことが必要であるということですし、また、その結果についても注視していかなければならないと考えております。
 それから最後に、土木研究所の事例に関して、現実の状況に即した対応が必要であるとの御指摘について、おっしゃるとおりでございますので、そちらも併せて主務省にお伝えしたいと思います。
【天野委員】  少しだけ余分なことを言わせていただくと、官民連携といって、こういうシステムを開発するのもいいですが、予算や技術者に関して、どうしても国や地方公共団体で偏ったところがありますので、特にインフラに関しては、ぜひその辺りを改善するような取組もしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【澤田委員長】  貴重な御意見ありがとうございます。続いて、横田専門委員からどうぞ。
【横田専門委員】  ありがとうございます。まず、好事例の御共有ありがとうございました。土木研究所の事例に関して、AIの活用に際しては、データの収集が非常に重要であって、データがなくては始まらないというところはありますので、こういった官民連携のプラットフォームができているということ、また、土木研究所がハブになっているということは評価したいと思います。天野委員のおっしゃるとおり、実際に活用されて、受益者、サービス提供者である地方公共団体に貢献ができる形になっていただければと思います。
 ダイバーシティの推進に関しては、日本は企業も含めて制度が充実しているというのが特徴で、あとはそれを活用して実際に結果としてダイバーシティが実現されるかというところが重要だと認識しております。
 その上で2点お願いがございます。今まさにコロナ禍において、テレワークの活用や転勤に関する運用は、女性の働き方にかなり影響が大きいところです。法人の特徴によって活用の仕方は異なると思いますが、可能であればこの観点で重点的に好事例を拾っていき、ノウハウを横展開していくことを考えていきたいと思いました。
 また、2点目ですが、独法も女性活躍推進法において、どのようにダイバーシティを推進していくかの行動計画の策定が義務づけられています。えるぼし取得独法の一覧化も一つの見せ方ですけれども、制度の充実・活用の結果どうなっているのかとの観点から、独法全体的に女性管理職比率の推移やその中でのえるぼし認定の有無などを一覧化して定期的に確認をしていく必要があるのではないかと思いました。
【澤田委員長】  ありがとうございました。事務局からいかがでしょうか。
【谷口研究官】  ありがとうございます。1点目の働き方に関する事例の横展開について、横田委員のおっしゃるとおり、テレワークしようと思ってもできないような業務を担う法人もあると思います。そういった法人がどのような工夫をしているのかについても、また今後調べていくのもいいかなと思います。
 それから2点目、例えば独法の女性管理職比率を一覧化してはどうかとの御指摘がございました。内閣府男女共同参画局のサイトでは、女性の活躍状況の「見える化」ということで、独立行政法人等の女性管理職比率、女性役員比率や女性採用者の割合などについて、毎年状況を調べて公表していますので、御参考にしていただければと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございます。横田専門委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 次は金岡委員、お願いいたします。
【金岡委員】  ありがとうございます。土木研究所の事例について一言申し上げます。社会インフラの維持は大変重要なことですので、こういう社会課題への対応を進めていただいている大変いい事例だと思います。
 その上であえて申し上げますと、この資料を見ますと、共同研究体制を立ち上げられたのは平成30年度であるにもかかわらず、まだプロトタイプのような書き方になっておりますので、時間がかかり過ぎているのではないかという点は少し気になるところでございます。恐らく土木研究所が適切なリーダーシップを発揮して進めていらっしゃるのだと思いますが、資料2の6ページ目の右に記載されている診断AI開発グループの構成事業者には、大手のITベンダーだけでも数社入っておられるように見受けられますので、どのように開発プロジェクトを進めていらっしゃるのかなと少し気になります。共同研究では有力な企業が何社も参画していると、かえって進みにくくなるケースもございます。そうした観点でも工夫はされているのだと思いますが、もう少し開発のスピードアップが必要ではないでしょうか。また、他の委員の先生方もおっしゃいましたけれども、実際に活用してみて、診断AIシステムにルールを追加するなど、よりよいものにしていくということが必要ではないかと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございました。金岡委員がおっしゃるように、サイクルを回して分かってくる課題もたくさんあろうかと思いますので、時間軸も含めて大切な御指摘かと思いました。事務局からいかがでしょうか。
【谷口研究官】  貴重な御指摘ありがとうございます。どうしてこれだけ時間がかかっているのかを詳しくお聞きしたわけではございませんが、例えば、やはり診断AIシステムの開発には、先ほど御指摘があったようにデータが大事でございますので、膨大なデータを集める必要があります。それを一つ一つ、熟練技術者だったらどう判断するかを精査していかなければいけないということで、どうしてもお時間かかってしまうのではないかと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございます。
【金岡委員】  ありがとうございました。
【澤田委員長】  次に、栗原委員、お願いします。
【栗原委員】  ありがとうございます。私も土木研究所の取組は、大変重要なことだと思いまして、取組の状況について好事例として御紹介いただいたこともよかったと思います。他方で、金岡委員がおっしゃったように、平成30年度に立ち上げてから少し時間が経つので、この取組の広がりがあれば、もう少し説明いただきたいと思います。また、社会実装に向けて官民連携で取り組むことを目標に位置づけている法人は他にもたくさんあると思いますので、横軸で拝見させていただくのもいいのではないかと思います。
 また、ダイバーシティの推進については、それぞれの法人の取組はとてもいいと思いますが、個別の数字だけではなくて、女性の活躍推進や男性の育児休業の取得促進による組織の変化について理事長はどう感じているのかとか、中長期的にどういう目標値を設定して、どういう施策に取り組もうとしているのか、という辺りが肉付けされると、よりよい事例紹介になるのではないかと思います。
 さらに、3点目ですが、人的資本に関する開示について、この3つだけではないですが、男性の育児休業取得率、管理職に占める女性の割合、男女の賃金の差異の3つについては、民間企業では、有価証券報告書等における開示が義務化されました。女性活躍の状況を評価する際には、独法においても、男女の賃金格差まで含めて、それが合理的な差なのかどうかを確認する必要があるのではないかと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございました。事務局からいかがでしょうか。
【谷口研究官】  ありがとうございます。1点目の官民連携の取組を横軸で見るという観点も重要だと思いますので、また今後考えていきたいと思います。
 2点目、ダイバーシティの推進について、この取組の結果に関する理事長の認識などについて、今回の調査ではそこまで踏み込めなかったところが力不足でした。今後、そういった観点でも調べていければと思っております。
 3点目、男女の賃金の差異など様々な情報の開示について、一般企業と同じような立場でこういった情報の開示が求められる独法もあると思いますので、きちんと法律に従って開示して、説明責任を果たしていただきたいと考えております。
【澤田委員長】  ありがとうございます。情報開示に関しては、言われてから開示するというよりも、もっと積極的に取り組んでいかないといけない時代になっていると思いますので、法人それぞれの特徴を踏まえた上で、十分な開示に取り組んでいただければと思います。
 島本委員、どうぞ。
【島本委員】  私もこのダイバーシティ推進の取組について感想を申し上げます。こうした形で問題意識を持って取り組まれているというのは大変いい事例だと思います。御説明ありがとうございました。
 ダイバーシティの推進に当たっては、もちろんリーダーシップが必要だと思います。それともう一つ、組織全体のインセンティブをどうつくっていくかということも大事で、こういう認定制度を活用したブランディングももちろん大事だと思いますけれども、数値を開示して比較対照できるようにすることも重要だと思います。
 それに加えて、そもそもダイバーシティの推進がなぜ必要なのかをしっかりと認識することが必要だと思います。例えば人材獲得、育成、組織のPRにつながりますし、また、民間企業にいて強く感じるのが、情報の伝達速度が速くなるとともにエンドユーザーそのものが広がっているため、ダイバーシティの推進を図ることがビジネスのパフォーマンスにも影響する事例がすごく増えているということです。
 さらに申し上げると、今回ダイバーシティの推進に関する取組の紹介ということで、特に女性の活躍推進がフォーカスされていますけれども、資料内にLGBTという言葉が全くないというのも、今の時代からすると違和感を覚えるので、この点についてもコメントさせていただきます。
【澤田委員長】  御意見ありがとうございました。事務局からいかがでしょうか。
【谷口研究官】  ありがとうございます。御指摘ごもっともでございます。やはりダイバーシティを何のために推進していくかが重要です。島本委員から御指摘のあったように、インセンティブをどうつくるかにも関わってくるかと思いますが、やはり組織運営上こういった取組がもはや不可欠であるということだと思います。
 また、事例について調べる中で産総研の方もおっしゃっていましたけれども、新たにイノベーションを生んでいく、価値創造をしていくためには、やはり多様性を高めていくことが不可欠であることから、取組を進めていかなければならないのだと思います。
 最後に御指摘のありましたLGBTQについても、もちろんダイバーシティ推進の対象です。今回御紹介した事例は、認定制度による見える化を切り口にしていますので、その辺りを十分に御紹介できませんでしたが、今回調べた法人でも様々な取組がなされておりまして、例えば、所内で勉強会を開いて、今後どういった取組をしていかなければならないかというのを勉強会で議論しているというようなお話を伺いました。今後、そういったところも含めて、調べていければと思っております。
【澤田委員長】  ありがとうございます。清水専門委員、どうぞ。
【清水専門委員】  ありがとうございます。ダイバーシティの推進については、皆さんからたくさん御意見がありましたし、関心も高いテーマで重要度も高いということで、ぜひ引き続き、また新たな視点で継続的に調べていただきたいと思っております。
 また、土木研究所の事例については、叱咤激励のお言葉もございましたが、進みが遅いかもしれませんけれども、恐らく早い段階から課題や困っていることを共有して、官民の共同研究体制を立ち上げ、しっかり進めていこうと取り組んでおられる点は評価されるべきではないでしょうか。成果につなげなければならないとは思いますが、進め方などいい部分があるのであれば、ほかの法人にも見習って取り組んでいただければと思いました。
【澤田委員長】  ありがとうございました。原田評価部会長、どうぞ。
【原田評価部会長】  ありがとうございます。私も関心を持ちましたのは、ダイバーシティの推進に関する事例ですが、くるみんを取得しているのは、独法の中では国立研究開発法人が非常に多いように見受けられます。資料2の5ページ目の表を見ると、27ある国立研究開発法人のうち12法人が取っているということです。他方で、中期目標管理法人は、全体の割合としては少ないということが分かります。また、職員数を見ると、認定を取得しているのは、大きめの法人が多いように見えます。
 委員会として、くるみんやえるぼしを取ってほしいということを申し上げたことはありませんが、なぜこのような差が出てくるのだろうかと気になりました。例えば法人ごとに男女の比率が違ったりしていたりして、それがこの積極的な取得につながっていたりしないだろうかといった点が、研究者としては気になるところです。ぜひ、今後引き続き、こうした認定を受けている法人、そうでない法人の違いがどこにあるのかを調べていただいて、そういう原因を発見できたら、我々委員会としても足りないところをバックアップしていくような、次の対応が取れるのではないかなと思いました。
【澤田委員長】  ありがとうございます。いい取組を共有しながら進めていくというのは非常にすばらしいことだと思います。事務局からいかがでしょうか。
【谷口研究官】  大変貴重なコメントありがとうございます。確かに、原田評価部会長御指摘のとおり、認定を取っているところと取っていないところとで、かなり偏りがあるなと感じているところでございます。
 そこは、また今後の課題として調べていければと思いますが、恐らく、例えば理事長のリーダーシップの違いなども関係しているのかなと思いますし、また、法人によって、職員の男女比率にかなりばらつきがあり、例えば病院関係の法人ですと女性職員が多いですが、今回紹介しましたJOGMECだと発射台が非常に低かったという側面もございます。どういった要因が取得に影響するのかというところを、また引き続き調べていきたいと思っております。
【澤田委員長】  ありがとうございました。樫谷審議協力者、どうぞ。
【樫谷審議協力者】  ありがとうございます。土木研究所の事例に関して、これを官民の共同研究で進めているのはすばらしいと思います。地方公共団体は人員不足・予算不足ですので、その管理する道路橋は傷んでいるわけです。
社会課題の解決に向けて、官民共同で取り組まないといけない案件がこれからもたくさんあると思います。事の大小にかかわらず、独法にできることがあるのであれば、取り組むことを検討いただくことが大事だと思います。その参考となるように、ほかの事例にも展開できるような事例の紹介の仕方について、今後検討いただければと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございます。それぞれの法人が大小関わらず取り組んでいることがたくさんあると思います。それをうまく取り上げ、それぞれの工夫を横展開していくことも、この委員会の取組として必要になってくるかもしれません。
 河合専門委員、どうぞ。
【河合専門委員】  私もダイバーシティの取組事例に関してコメントを申し上げたいと思います。
 先ほど原田部会長から、国立研究開発法人のほうがくるみんの取得率が高いという御指摘がございましたが、直感的には、研究職にもともと裁量労働制が導入されていたりするなど、国立研究開発法人のほうが比較的制度になじみやすい職が多いのではないかと思います。
 他方で、今回のJETROやJOGMECのような中期目標管理法人の事例を今後も積極的に御紹介いただければ、中期目標管理法人に関しても認定を取得する法人が増えていくことを期待できると思いますので、ぜひ今後もこういった取組を御紹介いただければと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。ほか、よろしいでしょうか。
 ダイバーシティの推進にしてもインフラの予防保全に関しても、民間企業でもいい取組がたくさんあるので、やはり民間企業との交流というのも大変参考になるのではないかなと思います。もちろん、法人それぞれの特性がありますので、そのまま適用できるかどうかは分かりませんけれども、ダイバーシティの推進については先進的な取組をされている企業もたくさんありますので意見交換をしたり、また、エンゲージメント調査をしたりなど、できることはたくさんあるのではないかなと思いました。
 また、インフラの予防保全に関しては、結構難しい課題だと思います。デジタル技術の活用により技術的にはできるようになってきていますが、予防にはなかなか十分な予算がまわせません。健康医療分野における予防も同じですが、実際何が起こるか分からない、何も起こっていないけれども起こる可能性がある、というものに対してどこまで予算を投じることができるのかは、難しいです。そこは、予防による成果次第ですが、その成果が現れるのは予防をした後の実践になってしまいます。先ほど皆さんもおっしゃっていましたけれども、時間軸を早めて、実際に使ってみてどのような課題があるかを把握するなど、早め早めの対処も必要ではないかと思って聞いておりました。
 ありがとうございました。大体よろしいでしょうか。こういう取組事例は非常に参考になりますので、今回はこの2例だけでしたけれども、もう少し厚みを持ってお話しいただけると、より法人の良さが引き立つこともあるのではないかと思います。
 また、せっかく皆さんからたくさん御意見をいただきましたので、各法人にもお伝えいただければと思います。ありがとうございました。
 最後に、事務局から報告事項があればお願いしたいと思います。
【方管理官】  次回につきましては、別途御連絡申し上げます。
 以上です。
【澤田委員長】  ありがとうございます。
 本日の議題は以上となりますけれども、本日が第4期の最後の委員会となりますので、私から一言発言させていただきたいと思います。
 今期の委員会では、昨年4月に「独立行政法人評価制度の運用に関する基本的な考え方」を決定して、本委員会のスタンスを明確にして、独立行政法人の政策実施機能の最大化に資するように調査審議を行ってまいりました。
 見直し対象法人の審議について言えば、法人数が多い中でも、各委員や主務省、法人におきまして、見直し対象法人に関するヒアリングから見込評価や新目標案の点検まで、丁寧に対応いただきました。その結果、時代のニーズに的確に対応した中(長)期目標となったと私は感じております。
 目標の策定に向けては、既に主務省と法人との間で意見交換を重ねていただいていると思いますけれども、こうしてつくられた目標につきまして、各法人のトップマネジメントの方々はもちろん、政策実施の最前線に立つ職員の方々におかれましても、目標に記載の趣旨をよく御理解いただくことを期待しております。
 見直し対象法人の審議以外にも、本日の議題にもありましたが、「法人の取組事例」の紹介によって先進的な法人の取組の横展開を進め、また、「独立行政法人制度改正フォローアップ調査」で明らかになった課題に対して、「法人及び主務省における財務データの活用事例に関する調査」や「民間企業における目標管理に関する調査」などを実施し、課題の解決に向けて積極的に取り組んでまいりました。
 こういった委員会の調査審議に積極的に取り組んでいただいた委員各位に、まずは感謝申し上げます。ありがとうございます。また、委員会の活動には、主務省や法人の皆様の御協力が不可欠であると、私も強く感じておりまして、この場をお借りしまして感謝を申し上げるとともに、引き続きの御協力をどうぞよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、以上をもちまして、第40回独立行政法人評価制度委員会を閉会させていただきます。この後、10分ほど休憩を挟みまして評価部会を開催すると聞いておりますので、以降は原田評価部会長に引き継ぎたいと思います。
 本日は、皆さん、お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございました。
 
(以上)
 

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