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第56回独立行政法人評価制度委員会評価部会 議事録

日時

令和5年2月16日(木)15:20〜16:00

場所

中央合同庁舎2号館8階 第1特別会議室(ウェブ会議併用)

出席者

(委員)原田久評価部会長、高橋伸子評価部会長代理、天野玲子委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、島本幸治委員、浜野京委員、南雲岳彦臨時委員、河合晃一専門委員、清水剛専門委員、横田響子専門委員
(審議協力者)樫谷隆夫 樫谷公認会計士事務所所長
(事務局)武藤大臣官房政策立案総括審議官、方管理官ほか

議事

  • 中(長)期目標の変更について(諮問案件)

配布資料

議事録

【原田評価部会長】  では、第56回独立行政法人評価制度委員会評価部会を開会いたします。
 委員会に引き続きまして、傍聴者には会議の模様をオンラインで中継をいたしております。
 本日の議題でございますけれども、各省から諮問がございました中(長)期目標の変更についてであります。全部で9法人ございますので、前半と後半に分けて議論を行いたいと存じます。
 まずは前半でございますけれども、内閣府と文部科学省の6法人について、事務局から御説明よろしくお願いいたします。
【越尾管理官】  内閣府担当管理官の越尾でございます。私からは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の中長期目標の変更につきまして御説明させていただきます。
 本件は、昨年12月に成立しました令和4年度第2次補正予算で関係予算が措置されたこと、また、一部の既存事業が拡充されたことを受け、3つの事業に関する目標変更について御審議をお願いするものです。
 まず1点目は、先端国際共同研究の推進についてです。我が国の研究力の強化に向けては、国際共同研究や国際頭脳循環の促進が重要ですが、近年の地政学的変化を受け、欧米等から、我が国に対する国際共同研究の相手国としての期待が高まっております。
 一方、国際共同研究に関する既存の支援の枠組みでは、支援額の少なさや会計制度の制約により支給に時間を要することから、欧米等からは“too little, too late”との評価が定着してしまっており、大規模な研究に対応できない、国際的トップ研究者のサークルからの日本人の脱落、若手人材の育成機会の損失といった問題が生じております。また、国際共著論文数が諸外国と比べて相対的に低下し、研究者の交流が停滞している傾向にあります。
 こうした状況を踏まえ、昨年10月に閣議決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」において、健康・医療分野に関する国際共同研究の強化を推進することとされ、同12月に成立した令和4年度第2次補正予算において先端国際共同研究推進プログラムが措置されました。このプログラムでは、高い科学技術水準を有する欧米等を対象として、国が設定する先端分野における研究開発成果創出を目的とする大型国際共同研究につきまして、参加する各国の研究者が自国のファンディングエージェンシーから十分な研究資金を得ることを条件とし、このうち日本人の研究者に対して資金支援をすることとされております。また、欧米等から指摘されていた会計制度に関する制約を乗り越えるため、複数年度にわたって戦略的かつ機動的な支援が行えるよう、AMEDに基金を設置することとされております。
 これらを踏まえ、中長期目標中に先端国際共同研究の推進に関する目標を設けることとしております。
 2点目は、革新的医療技術研究開発推進事業(産学官共同型)についてです。昨年10月の総合経済対策におきまして、スタートアップ企業の成長のための資金供給の強化と事業展開、出口戦略の多様化やオープンイノベーションの推進が掲げられ、令和4年度第2次補正予算では、従来の産学官連携の研究開発のスキームにスタートアップ企業の参画を確保するスキームを追加し、スタートアップ企業の高い技術力を生かした産学官連携の研究開発を支援・活性化することとされました。これを踏まえ、中長期目標において所要の変更を行うものです。
 最後の3点目は、創薬ベンチャーエコシステム強化事業についてです。既存事業では、補助対象領域が感染症に限定されておりましたが、創薬分野全般が資金調達困難な状況であることを踏まえ、令和4年度第2次補正予算において、補助対象領域を創薬分野全般に拡充し、創薬ベンチャーエコシステムを真に強化することを目指すこととされております。これを踏まえ、中長期目標において所要の変更を行うものです。
 私からの説明は以上です。
【平沢管理官】  続きまして、文部科学省担当管理官、平沢から御説明させていただきます。文部科学省関係では5法人の目標変更について説明させていただきます。
 まず1つ目、国立美術館です。文化庁文化審議会の部会において、国立美術館の機能強化のさらなる推進等が示されたことなどを踏まえ、目標変更を行うものです。
 具体的には、国立美術館の対象領域を映画、漫画といったメディア芸術など文化芸術領域全般に拡大することなどから、国立アートリサーチセンターや国立映画アーカイブの機能強化等の内容について目標に追加するものになります。国立アートリサーチセンターにおいては、メディア芸術データベースの運営やメディア芸術の国際発信等、国立映画アーカイブにおいては、非フィルム資料のアーカイブ化やロケーションデータベースの運営等の業務が追加されることになります。これらのほか、既に他の法人も共通的に目標変更を行ってきておりますが、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に基づく変更を行うものです。
 次に、科学技術振興機構(JST)についてです。昨年10月に閣議決定された経済対策において、大学等でのスタートアップ創出に向けた支援策の強化、GXに関する基盤研究等の推進、国際共同研究の強化などが示され、関連する予算が令和4年度第2次補正予算で措置されたことに伴い、目標及び評価軸等を追加するものになります。複数年度にわたって支援するため、それぞれ新たに基金を設置することになります。
 具体的には、1つ目は国際展開する大学等発スタートアップの創出について、海外での事業展開の可能性検証等を視野に入れた研究開発等を推進するものです。
 2つ目がGXについて、我が国の将来の産業成長と2050年カーボンニュートラルを達成する上で重要な技術領域において、分野や組織を横断した連携体制を構築し、革新的GX技術創出に向けた研究開発を推進するものです。
 3つ目、国際共同研究については、国が設定する分野・領域及び高い科学技術水準を有する諸外国を対象として、国際的に優れた研究成果創出に向けた国際共同研究を推進するものです。
 4つ目は、経済安全保障重要技術育成プログラムについてです。これは、既に項目としては現行目標に記載がありますが、「研究開発ビジョン(第一次)」が決定されるなど、制度設計が進んだことから、関連する評価軸等を更新するものになります。
 また、大学ファンド関係では、令和6年度以降の助成開始に向け、助成業務の適正な実施を図るとともに、助成の実施に必要な機能、体制を整備する必要があることから、関連する目標及び評価軸等を追記するものになります。
 次に、3法人目、日本学術振興会(JSPS)です。昨年10月の経済対策において、地域の中核大学や特定の研究分野に強みを持つ大学の強化に取り組むこととされ、関連する予算が令和4年度第2次補正予算において措置されたことに伴い、目標及び指標を追加するものになります。
 具体的には、強みや特色ある研究力を核とした経営戦略の下、大学間での連携も図りつつ、研究活動の国際展開や社会実装の加速等の実現に必要な環境構築の取組を支援するものです。複数年度にわたって支援するため、新たに基金を設置することになります。
 4法人目、宇宙航空研究開発機構(JAXA)です。令和3年3月に「第6期科学技術・イノベーション基本計画」が閣議決定されたこと等に伴い、文部科学省は、従来の「研究開発計画」を廃止し、新たに「研究開発プラン」を策定しました。現行の目標では、従前の「研究開発計画」の項目に合わせて取組を整理しておりましたが、新しい「研究開発プラン」の策定に伴い、その項目に対応するように目標変更を行うものです。また、これらと併せて、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に基づく目標変更を行うものです。
 最後に、大学改革支援・学位授与機構(NIAD)です。昨年12月に、大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律が成立し、機構の目的として、「中長期的な人材の育成の観点から特に支援が必要と認められる分野における教育研究活動の展開を促進し、もって我が国社会の発展に寄与すること」を加えるとともに、機構の業務に当該分野の学部等の設置等に必要な資金に充てるための助成金を交付することが位置づけられました。
 また、令和4年度第2次補正予算において関連する予算が措置されたことに伴い、目標及び指標を追加するものになります。具体的には、学部再編等によるデジタル・グリーン等の特定成長分野への転換等の支援や、高度情報専門人材の確保に向けた機能強化支援を行うものです。複数年度にわたって支援するため、新たに基金を設置することになります。
 以上でございます。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。ただいまの事務局の説明につきまして、御質問、御意見ございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言をいただきたいと思います。
 なお、JSTのスタートアップ・エコシステム形成支援委員会委員をお務めの横田専門委員におかれましては、申合せにより、当該法人に関する意見を控えていただくこととされております。よろしくお願いいたします。
 6法人中4法人が令和4年度第2次補正予算により設置された基金に関連した目標の変更ということです。国立美術館は、文化審議会の方針を受けての変更、そして、JAXAについては、上位計画が新たに策定されたことに伴う対応と承知しております。いかがでございましょうか。天野委員、どうぞ。
【天野委員】  ありがとうございます。独法全体を見渡したときに、JSPSは、基盤研究を担い、そしてJSTとAMEDが実用化研究等を担うという位置づけだったと認識しています。
 その上で、AMEDについては、医学・薬学分野に特化して技術管理を担うことになっていたと思っています。AMEDは、当初、法人内での研究体制も構築しておられましたかと思いますが、徐々に本来の姿に戻ってきていると思います。
 JSTとAMEDは、日本の実用化研究を担っているということで、それぞれ大きな基金をお持ちですが、最近見ていると、事業の対象範囲がJSTとAMEDとでかぶってきているような印象があります。さらに、JSPSのテリトリーも少しずつかぶってきているような印象があります。今回の中(長)期目標変更に異議はありませんが、それぞれの対象範囲を整理した上で、お互いに連携し、進めていただきたいと感じています。よろしくお願いします。
 また、JAXAについては、委員会からは、かねてより、開発成果を日本の産業界のためにもっと役立ててほしいというコメントを申し上げていたかと思います。ロケットを飛ばして宇宙研究をなさることも非常に重要ですけれども、衛星関係など、日本の産業界が宇宙空間を有効活用できるようにするなど、産業の発展に寄与しなければならないと思いますので、今後も研究開発成果の最大化に努めていただきたいと思っています。
 さらに、NIADについては、海外から高専の評価が高まってきているということもありますので、この辺りをしっかりと取り組んでいただけるとよろしいのではないかと感じています。
【原田評価部会長】  ありがとうございます。事務局、何かコメントございますか。
【越尾管理官】  天野委員、御指摘ありがとうございました。AMEDとJSTの分担あるいは連携という点については、大まかに申し上げますと、AMEDが健康・医療分野関係、JSTがそれ以外の分野関係を担うということになっております。その中でどういう分担・連携をしていくかという点につきまして、AMEDとJSTとの間での相談や連絡調整を予定しており、また、事業実施に当たって、主務省である内閣府・文科省及びAMED・JSTの4者での検討・議論を既に開始していると伺っております。本事業の実施に当たって継続的にしっかり連携していただくことが必要だと考えておりますので、主務省にもしっかり伝えたいと思います。
【天野委員】  私は少し実務的に関与している部分があり申し上げていますが、発表会などは、数年前から一緒に実施されていると認識しています。ただ、AMEDとJSTとの役割分担について、どの程度、会議などの場で調整なさっているかということに関しては疑問がありますので、しっかりと主務省から働きかけていただきたいと思っています。
 よろしくお願いします。
【越尾管理官】  承知いたしました。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。高橋委員、どうぞ。
【高橋評価部会長代理】  私は、国立美術館の中期目標変更に関連してお伺いしたいと思います。以前、見直し対象法人としての調査審議の際に、国立美術館を担当していましたが、そのときには、中期目標においてアート・コミュニケーションセンター(仮称)を設置することが位置づけられていました。仮称ということでしたので、これがいつどういう名前で正式に設置されるのかと追いかけていたのですが、国立美術館のホームページでも全然出てきませんでした。今回の目標変更の中にある、この国立アートリサーチセンターというのは、もしかしたらアート・コミュニケーションセンターの発展形なのかなと思いながら伺っていましたが、この国立アートリサーチセンターがどういうものなのか、その辺りの経緯を教えていただきたいと思います。私も美術に関心があるものですから、いろいろと拝見しておりましたところ、2月23日に開かれる文化庁アートプラットフォームのシンポジウムで、国立アートリサーチセンター(仮称)の設置準備室の方が出席者としていらっしゃるなどしていました。私自身がまず、それらの関係性、経緯などについて分からないので、そこを教えていただきたいです。
 また、今回の中期目標の変更内容を拝見しますと、新しい指標に、アウトプット指標が非常に多く、アウトカムについて指標を置かなくて大丈夫だろうかと思うところがありました。その点に関して教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【原田評価部会長】  事務局、いかがでしょうか。
【平沢管理官】  国立美術館につきまして、2件、御質問をいただきました。これまではアート・コミュケーションセンター(仮称)という名称で説明されてきました。今回、この3月に設置予定ということで、アート・コミュニケーションセンター(仮称)が、国立アートリサーチセンターとして正式に設立されると聞いております。
 具体的な経緯は承知していないので、経緯についてはまた情報提供させていただければと思います。いずれにしましても、独立行政法人国立美術館として、アート振興の主体や、日本のナショナルセンターとして取り組んでいくための体制が必ずしも十分ではなかったため、国立アートリサーチセンターを設置し、しっかり取り組んでいきたいということを聞いております。
 2つ目、アウトプット指標が多いのではないかとの御指摘について、国立アートリサーチセンターに関して今申し上げたことと関連しますが、独立行政法人国立美術館として、しっかり機能を強化して、今後情報発信や国際的な展開等に取り組んでいかなければならないところですが、これから取組を進めていく面が多いため、現時点ではアウトプット的な指標が多いのではないかと思っております。ただ、アウトカム的な目標というのもあるわけですので、そこに対して各指標がどのようにつながり、貢献できているのかといった点は、今後説明を充実していかなければならないのではないかと思っております。その点は主務省に対してもよくお伝えしたいと考えております。
【原田評価部会長】  よろしいですか。
【高橋評価部会長代理】  ありがとうございました。やはりアート・コミュニケーションセンター(仮称)が国立アートリサーチセンターになったということですね。名称としては固まったと理解いたしました。
今回、アートプラットフォームのシンポジウムの内容を見たときに分かったことは、国立アートリサーチセンターには、民間美術館の経験者が参入しているということです。そういう民間美術館の経験者と国立美術館が共同して進めていくということは非常に意義が大きいと思っています。ただ、その辺りは中期目標などでは具体的な記載が読み取れませんでした。民間との連携も含めて取組を進めていくということについても精査していただけると、国立美術館の今後の発展により役立つのではないかと思いました。
【平沢管理官】  ありがとうございます。独法と民間との連携により、相乗効果を発揮していくことも大きな課題であると思いますし、この法人も認識していると思っておりますが、今後しっかり発展的に取組がなされるように、事務局としても主務省と話をしていきたいと思います。よろしくお願いします。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。では、金岡委員、どうぞ。
【金岡委員】  ありがとうございます。先ほど原田評価部会長から、新たに予算がついて基金を設けたケースが多いという説明がございました。個人的な意見ですが、今回の変更内容を単独で見ますと、例えば創薬ベンチャーエコシステム強化事業には3,000億円など、それぞれに大きな予算がついているようです。ただ、あえて申し上げると、例えば創薬分野については、アメリカや中国など、もっと大きい予算を持っている国と競合することになるので、基金事業の執行の仕方が大変重要だと思います。
 私の勝手な考えを申し上げますと、当初は、複数のプロジェクトの立ち上げに力をいれるとしても、競合相手が強大であることを踏まえ、1年ごとぐらいに、その中からどんどん絞り込んで、より世界と戦えるようなところに資金を集中的に投下していくというような考え方が必要ではないでしょうか。数多くのプロジェクトに満遍なくお金を使っていくような形ですと、世界と戦うようなベンチャーなり、新たな技術開発ができるのかについて、少し不安に思います。あえて申し上げました。
【原田評価部会長】  ありがとうございます。我々委員会といたしましては、補正予算で基金がつくられて、その基金の設置に伴う目標変更案でよろしいかという、比較的ミクロな観点で議論しているわけです。大元の配分については、恐らく別の審議会等で議論されているところだろうと思いますけれども、ぜひ今後の議論の参考のためにも、個々の基金と全体的な戦略との関連性について、いろいろな形で資料の中に盛り込んでいただけると、今後金岡委員の御質問に答えることができるのではないかと思います。事務局においては、ぜひ、よろしくお願いいたします。金岡委員、こういう整理でよろしいでしょうか。
【金岡委員】  ありがとうございました。
【原田評価部会長】  ありがとうございます。では、続いて、厚生労働省、国土交通省、環境省の3法人について、事務局から御説明をお願いいたします。
【辻管理官】  厚生労働省担当管理官の辻でございます。国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN)の中長期目標の変更につきまして、御説明させていただきます。これは、昨年5月に成立した経済安全保障推進法と、昨年12月に成立した令和4年度第2次補正予算を受けて目標変更について御審議をお願いするものです。先日の1月26日の評価部会の際にも新エネルギー・産業技術総合開発機構やエネルギー・金属鉱物資源機構において同趣旨の目標変更が行われていますけれども、改めて御説明させていただきたいと思います。
 まず、昨年5月に経済安全保障推進法が成立しまして、この法律で特定重要物資、国民の生存に必要不可欠又は国民生活・経済活動が依拠している重要な物資で安定供給確保を図ることが特に必要な物資と定義づけられていますけれども、それを指定して、安定供給確保に取り組む事業者を支援するということが定められております。その法律の施行令におきまして、抗菌性物質製剤、有名なものでペニシリンが該当するようですが、それが特定重要物資の1つとして指定されまして、本年の1月に、厚生労働大臣が、その抗菌性物質製剤の安定供給確保を支援する法人としてNIBIOHNを指定したという流れになっております。また、財政的な裏づけとしましては、昨年6月のいわゆる骨太方針において、基金の枠組みを含めて支援措置を確保するとされまして、昨年12月の令和4年度第2次補正予算において、NIBIOHNに基金を新規に設置して、その予算として553億円が措置されています。
 こういったことを踏まえまして、NIBIOHNに、安定供給確保支援業務に要する費用に充てるための基金を設置して、厚生労働省と緊密に連携しながら、抗菌性物質製剤の安定供給確保に取り組む事業者に対して早期の支援を行うことを中長期目標に盛り込むための変更を行うものでございます。
 説明は以上でございます。
【若林管理官】  続きまして、独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)の目標変更について御説明申し上げます。国土交通省担当管理官の若林と申します。
 今回の目標変更ですけれども、昨年の通常国会で成立した国土交通省提出の法律に関するものということでございます。
NASVAは、交通事故による重度後遺障害者等の被害者支援や事故防止に関する事業を実施しておりますけれども、これらの事業を実施するための財源には、これまで特別会計で措置されている有限の積立金が充当されてきました。他方、近年積立金の取崩しが相次いでいまして、運用益も減少している中で、その事業の継続的な実施が困難になってきていました。このため、被害者支援等を持続的、恒久的に実施する仕組みに転換するべく法律改正が行われたということでございます。内容は、賦課金の使途の拡大と徴収額の充実です。
具体的には、無保険者による損害を補償するために、年間1台当たり16円徴収されていた現行の賦課金について、使途の拡大を図って、令和5年4月1日以降は被害者支援や事故防止の事業にも活用できるようにするということです。また、名称も「自動車事故対策事業賦課金」となります。
 2つ目ですが、徴収額の充実ということで、賦課金として年間1台当たり平均125円を徴収するということです。
 3つ目ですが、現在、自動車事故対策の関連予算は年間約150億円ですけれども、徴収額の充実により、令和5年度予算から年間200億円まで拡充されます。拡充された予算の中で、NASVAは、新たな業務として、これまで機構の業務の対象外となっていた重度脊髄障害者に対する治療・リハビリ環境の整備、また、自動車事故被害者に寄り添って相談対応を実施している被害者・遺族団体の活動を費用面で支援するという活動を行うこととされました。
今回の目標変更は、こうしたNASVAの新たな業務に対応するというものでございます。以上です。
【五百旗頭管理官】  環境省担当管理官の五百旗頭でございます。独立行政法人環境再生保全機構(ERCA)の中期目標の変更について御説明をいたします。
 これは、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が司令塔となって推進する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の1つに、「サーキュラーエコノミーシステムの構築」が掲げられ、その研究推進法人に環境再生保全機構が決定したことを踏まえたものです。SIPの具体的な推進体制は、科学技術イノベーション創造推進費に関する基本方針において定められておりまして、SIPの各課題の戦略及び研究開発計画や各課題の年度予算は、総合科学技術・イノベーション会議の下に置かれるガバニングボードが策定し、ガバニングボードの承認を経て、内閣総理大臣が任命したプログラムディレクターが中心となって進めることとされております。
 その上で、プログラム実施に当たって、内閣府及び関係省庁は、予算執行上のマネジメント業務を課題ごとに1つの研究推進法人を活用することとしておりまして、研究推進法人は、戦略及び計画に沿って、研究開発責任者の公募、契約締結、資金の管理、研究開発テーマの進捗管理、研究推進法人が有する知見、ネットワーク等を生かした研究開発テーマの実施支援等のマネジメントを行うこととされております。
 環境再生保全機構は、これまでサーキュラーエコノミーシステムの構築のフィージビリティスタディを担ってきましたところ、この課題が第3期SIPの研究課題に決定したことに伴いまして、予算執行上のマネジメント業務を担うこととなる研究推進法人に決定いたしました。
 具体的な追加業務は、SIP運営指針等に定められておりますとおり、研究開発の責任者の公募や契約締結、資金の管理、研究開発テーマの進捗管理などとなっております。これらのSIPの研究課題の推進に必要な業務の遂行を、中期目標中、「第3 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」の「7 環境の保全に関する研究及び技術開発等の業務」に追加し、当該業務に係る評価指標及び関連した指標を追記いたしております。
 御説明は以上でございます。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。厚生労働省、国土交通省、環境省の3法人についての御説明でした。また、引き続き御質問、御意見がございましたら頂戴したいと存じます。
 なお、NASVAのタスクフォースの委員を務めていらっしゃる樫谷審議協力者におかれましては、申合せにより当該法人に関する意見を控えていただくこととされております。よろしくお願いいたします。
 天野委員、どうぞ。
【天野委員】  NASVAに関して、被害者支援に係る対応が非常に進んでいると思います。中期目標を変更して、さらに充実した取組をなさるということですので、ぜひとも国土交通省所管の範囲だけではなくて、例えばスポーツ事故の関係など、日本全体にこの成果をしっかりと展開していただくなど、成果の最大化を図っていただきたいと思います。
 2点目、ERCAについてですが、SIPは日本で初めて本格的に始まった実用化研究です。2014年から始まって、5年ごとなので次が第3期ですが、やっと環境省が参加していただいて非常に喜ばしいことだと思います。ただし、ERCAは、この採用されたテーマに関する実用化研究の管理については、初めてで不得手だと思いますので、これまでのSIP1期、2期で研究推進法人に指定された実績のあるJST、NEDO、AMEDなどから、研究推進法人として何をすべきかを共有していただき、成果をしっかりと社会実装して国のために役に立てられるよう取り組んでいただきたいと思います。実用化研究として5年間というのは限られていますので、かなり難しい管理が要求されます。ERCAにはよく伝えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
【原田評価部会長】  いずれも法人間の御指摘でしたけれども、まずはNASVAについていかがでしょうか。
【若林管理官】  どうもありがとうございます。NASVAですけれども、今、遷延性意識障害被害者に対する療護施設として、全国11か所310床を運用しております。その中の事例としても、完全な植物状態にあった方が2年間の療養を通じて自力摂食が可能になったケースなどがございます。このようなケースについて、基本的に2つのルートで他の分野への社会還元に取り組んでいます。1つは学会での発表ということで、日本意識障害学会あるいは日本脳神経外科学会などの場で成果の発表をしているということです。もう1つですけれども、遷延性意識障害の被害者の方々が短期的に介護のために入院するときに受け入れる「短期入院協力病院」が指定されていますが、この療護施設では看護師や医療ソーシャルワーカーの方々に対して、自動車交通事故以外で同様の状態になっている方の介護の仕方についての研修を実施していると聞いております。天野委員のおっしゃったスポーツ障害についても、その範囲に入っているのではないかと思います。
 以上です。
【天野委員】  法人同士の連携も求められていると思いますので、ぜひ日本スポーツ振興センターと直接連携していただくことをお願いしてもいいのではないかと思っています。
【若林管理官】  主務省にも伝えてみたいと思います。
【原田評価部会長】  ERCAについて、いかがでしょうか。
【五百旗頭管理官】  ERCAについて御意見を賜りまして、ありがとうございます。この法人につきましては、これまでも少し異なる分野ではございますけれども、環境研究総合推進費のマネジメント業務を担った実績があります。
 また、これに加えまして、このたび新しく実用化研究の管理という非常に大きなプロジェクトの管理業務を担うということでございますので、天野委員御指摘のとおり、先行するノウハウを持っているJST、NEDOなどから、そのノウハウなどをお伺いしつつ、よりよいマネジメントができるような努力をしっかりやっていくべきと考えておりますので、御指摘につきましては、環境省にもしっかり伝えてまいりたいと思います。ありがとうございます。
【天野委員】  SIPは年度ごとに評価されるので、かなり大変だと思います。ゆっくり取り組んでいる余裕はないはずなので、ぜひよろしくお願いします。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。ほかの委員の方、いかがでしょうか。
 目標変更そのものについて、御意見はなかったと承知しておりますので、以上の法人については、「意見なし」と整理をさせていただきます。
 事後処理については、事務局に一任いたします。
 なお、先ほど天野委員から御指摘のございましたAMEDとJSTとの役割分担や、高橋委員がおっしゃった国立美術館にアウトプット指標が多いことについては、引き続き委員会としても関心を持って見ていきたいと思いますし、事務局においても、その点を留意していただければと思っております。ありがとうございました。
 それでは、最後に、事務局から報告事項あればよろしくお願いいたします。
【方管理官】  次回につきましては、別途御連絡いたします。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。それでは、以上をもちまして、第56回独立行政法人評価制度委員会評価部会を閉会いたします。
 本日は、皆様、お忙しい中御出席賜り、ありがとうございました。
 
(以上)

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