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第42回独立行政法人評価制度委員会 議事録

日時

令和5年7月12日(水)10:00〜11:25

場所

中央合同庁舎2号館8階 第1特別会議室(ウェブ会議併用)

出席者

(委員)澤田道驤マ員長、原田久委員長代理兼評価部会長、長村彌角会計基準等部会長、天野玲子委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、島本幸治委員、高橋真木子委員、野ア邦夫委員、浜野京委員、河合晃一専門委員、清水剛専門委員、横田響子専門委員
(事務局)松本行政管理局長、武藤大臣官房政策立案総括審議官、谷口管理官ほか

議事

1 令和5年度に中期目標期間が終了する独立行政法人に係る調査審議の状況について
2 独立行政法人の令和4年度業務に係る評価等の点検等について
3 諸外国の事例からみた独立行政法人の目標・指標設定及びその評価の在り方に関する調査研究について

配付資料

議事録

【澤田委員長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第42回独立行政法人評価制度委員会を開会したいと思います。
 本日の会議は、傍聴者には会議の模様をオンラインで中継しております。
 なお、高橋委員におかれましては、遅れての御参加予定でございます。
 本日、議題が3つあります。1つ目は、「令和5年度に中期目標期間が終了する独立行政法人に係る調査審議の状況について」、2つ目が、「独立行政法人の令和4年度業務の実績に係る評価等の点検等について」、3つ目が、「諸外国の事例からみた独立行政法人の目標・指標設定及びその評価の在り方に関する調査研究について」でございます。
 まず、議題に入る前に、7月7日付けで事務局において幹部の交代がありましたので、一言御挨拶をお願いします。
【松本行政管理局長】  総務省の行政管理局長を拝命しました松本と申します。委員の皆様におかれましては、お忙しいところお時間をいただき、審議に御参加いただきまして、ありがとうございます。事務局を代表しまして引き続き審議のサポートをしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【澤田委員長】  どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まずは議題1の「令和5年度に中期目標期間が終了する独立行政法人に係る調査審議の状況について」、原田評価部会長から御説明をお願いします。
【原田評価部会長】  評価部会では、今年度は、見直し対象13法人について、2つのユニットに分かれて主務省との意見交換を行ってまいりました。その意見交換を踏まえて、過日、ユニット会議を開催したところでございます。
 これまでの各ユニットにおける議論の状況につきまして、事務局から御報告よろしくお願いいたします。
【川口管理官】  文部科学省担当管理官をしております川口でございます。よろしくお願いいたします。
 第1ユニットの文部科学省3法人につきまして、主務省との意見交換、ユニット会議における主な議論を御報告申し上げます。
 まず、日本学生支援機構(JASSO)についてです。
 まず1点目といたしまして、法人が担う業務量の増加、高度化・多様化により各種業務への対応に苦慮する中、今後も持続的な業務運営ができるよう、主務省と法人がコミュニケーションを図り、事務負担の軽減やデジタル技術の利活用等、業務の合理化・効率化を進めていく必要があるのではないか。
 2点目といたしまして、給付や返還が完了した元奨学生や支援を受けた留学経験者とのつながりを維持するためのネットワークの構築が引き続き重要ではないか。
 3点目といたしまして、法人の職員のモチベーション向上のため、例えば、これまで大学など外部との直接の接点が少ない職員に対応する機会を持たせるなど、職員がやりがいを感じられるような工夫が検討できないか、といった議論がございました。
 次に、国立高等専門学校機構(高専)についてです。
 まず1点目といたしまして、高専に対する注目度や期待は高まってきており、更なる飛躍のため、半導体・デジタル人材の育成など、社会からの期待に応じた高専教育の充実に取り組んでほしい。
 2点目といたしまして、51ある高専のスケールメリットを活かし、例えば人的リソースや教育プログラムの相互活用など、更なる業務運営の改善に向けた取組の検討が重要ではないか、また、このような取組が円滑に進められるよう、理事長がリーダーシップを発揮しやすいような内部統制環境の整備が重要ではないか、といった議論がございました。
 最後に、大学改革支援・学位授与機構(NIAD)についてです。
 大学等の情報が掲載されたウェブサイトである大学ポートレートなど、法人が発信する情報について、ターゲットを明確にしつつ、受け手である社会や大学・学生等を意識した情報発信となるよう取り組んでいく必要があるのではないかといった議論がございました。
 文部科学省所管3法人の御報告は以上になります。
【澤田委員長】  続いてお願いいたします。
【辻管理官】  続きまして、厚生労働省担当管理官の辻でございます。
 厚生労働省については、4法人が見直しの対象となっております。
 労働者健康安全機構(JOHAS)、国立病院機構(NHO)、医薬品医療機器総合機構(PMDA)、それから地域医療機能推進機構(JCHO)と、4つありますが、このうちPMDAを除く3つは病院でございまして、似たような部分も多いので、まとめて御説明させていただきます。いずれも法人としてそれぞれミッションが与えられている一方で、地域に多くの病院を持って地域医療体系の中に組み込まれているという特徴、また、コロナ禍で患者数が減っている一方で、財政状況は国の補?などもあり一時期好転したものの、赤字ぎりぎりといった経営的な制約が常にあるという共通の背景がございます。
 そういった中で、どのようにナショナルな本来業務をやっていくのか、それから法人の特色を出していくのかというところが極めて重要になってきており、これが職員のモチベーション向上や、人材確保、それから業績向上につながっていくのではないかといった議論がございました。
 続いて、PMDAでございますけれども、この法人は継続的に規模が拡大してきており、規模に応じたガバナンスの強化が求められております。そういった中で、デジタル技術の活用も含めて、職員1人当たりの生産性を向上させるために、生産性に着目した目標や指標を設定することを検討してはどうかといった議論や、業務のメリハリ付けが必要ではないかといった議論がございました。また、ドラッグ・ロスの問題など、法人単体の努力のみでは解決に至らない課題も出てくる中で、主務省が中心となり、法人に求める役割や方針を明確にすることが必要ではないかといった議論がございました。
 厚生労働省の担当は以上でございます。
【五百旗頭管理官】  続きまして、経済産業省を担当しております管理官の五百旗頭でございます。
 第2ユニットで御議論いただきました経済産業省所管の3法人について、主な議論を御報告申し上げます。
 まず、経済産業研究所(RIETI)についてです。
 1点目は、多様化・複雑化する政策課題の解決に向けて、主務省と法人がコミュニケーションを取りながら研究テーマを設定することや、EBPMセンターを効果的に活用することが重要ではないか。また、国内外の政策研究機関等と組織的な連携を強化することが必要ではないか。
 2点目は、法人に蓄積された政策研究等に関する貴重なデータについて、データ基盤を支える人材の確保・育成などを行い、適切な管理体制を整備し、これらのデータを効果的に活用できるようにすることが必要ではないか。
 3点目は、政策立案のPDCAサイクルにおける法人の貢献度を、客観的かつ定量的に把握できるアウトカム指標の設定について検討することが必要ではないかといった議論がございました。この点は、令和3年度の年度評価においても、アウトプットとアウトカムの関連性等の確認が十分にできなかったとの指摘があった論点でございました。
 次に、工業所有権情報・研修館(INPIT)についてです。
 1点目は、これまで培ってきた強みを活かしながら、スタートアップ支援において法人が果たすべき役割を明確にした上で、着実な支援を行うことが重要ではないか。
 2点目は、近年、経営戦略的な要素が増加している知的財産について、その活用による企業価値の向上に貢献できるように、「経営」と「知的財産」の両分野に強い人材の確保や育成が必要ではないか。
 3点目は、特許情報プラットフォームなどの支援インフラについて、蓄積した専門性の高い情報をDXなどにより効果的・効率的に活用することが必要ではないか。
 4点目は、知的財産に関する窓口支援等について、農林水産省など関係省庁等との連携協力体制を強化し、支援を推進することが必要ではないか。また、窓口業務のワンストップサービス化や効率化についても重要ではないか、といった議論がございました。
 最後に、中小企業基盤整備機構(中小機構)です。
 1点目は、高齢化が進む中小企業者等の事業継承・事業引継ぎや事業再生について、法人と地方公共団体、商工会、商工会議所などの地域における支援を担う支援機関等との連携を一層強化し、中小企業等に寄り添った支援を着実に実施することが重要ではないか。
 2点目は、近年、補正予算により補助金等の管理業務などが大幅に増加している現状を踏まえ、これまでの実績やノウハウを活かし、業務のメリハリ付けや効率化を行うことが必要ではないか。
 3点目は、中小企業支援機関等に散在する、補助金管理に伴って蓄積された各種データについて、DXなどの活用により、今後の支援に有効活用することを検討してはどうかといった議論がございました。
 経済産業省所管の3法人についての御報告は以上です。
【荒木管理官】  続きまして、国土交通省を担当する荒木と申します。国土交通省所管の2法人につきまして御報告申し上げます。
 まずは、都市再生機構(UR)でございます。
 1点目は、都市化率も踏まえて、都市再生の方向性を明確にして取組を進めていくことが重要ではないか。また、コンパクトシティの推進に当たっては、公共交通、特に二次交通とセットでまちづくりを進めていくことが重要であるため、鉄道事業者やバス事業者等との連携が必要ではないか。
 2つ目は、専門知識・ノウハウを有する人材の育成・確保に当たっては、戦略を明確にして取り組んでいく必要があるのではないか。
 3点目は、人口減少・空き家問題を踏まえ、住宅需要の減少を見据えたURの住宅ストックの整理の方向性・道筋を示すことが必要ではないかといった議論がございました。
 続きまして、奄美群島振興開発基金(奄美基金)でございます。
 1点目は、繰越欠損金の改善といった独法の効率性と民間金融機関からの支援を受けることが難しい事業者を支援するという当該法人の役割に矛盾が生じていることを踏まえ、引き続き独法という形で事業を実施させることの是非も含めて、主務省において、奄美振興の政策の中での当該法人の位置づけや、法人の置かれた状況の中で目指すべき姿、果たすべき役割を明確にする必要があるのではないか。また、地域振興目的だけでなく、地政学的観点からも、法人の在り方を考えていく必要があるのではないか。
 2点目は、繰越欠損金、リスク管理債権の問題を解決するために、外部人材の登用を含めたコンサルティング機能やガバナンスの強化が必要ではないか。
 3点目は、財務内容の改善に関する事項が連続して「C」評定となっていることを踏まえれば、法人の取組だけでは現行の目標水準の達成が困難であると考えられることから、主務省において、抜本的な改善策等を十分に検討し、当該法人を取り巻く環境や業務の特性等を考慮した上で適切な目標を設定し、法人が担う政策実施のPDCAサイクルを的確に回すことが必要ではないか。そのためには、目標設定に当たって、法人が取り組むべき目標達成に向けた具体的な取組内容を明確に示すなどの工夫が必要ではないか、といった議論がございました。
 国土交通省所管法人につきましては以上でございます。
【五百旗頭管理官】  続きまして、環境省を担当しております五百旗頭でございます。環境再生保全機構(ERCA)について御報告を申し上げます。
 1点目は、環境政策の変化に応じ、新たに研究に近い業務を担っている実情を踏まえ、法人が果たすべき役割を明確化する必要があるのではないか。また、法人の長のリーダーシップとガバナンスを強化し、多様な業務を効果的・効率的に行うことが重要ではないか。
 2点目は、戦略的イノベーション創造プログラムの研究推進法人としての業務や、熱中症対策における情報の整理・分析などの近年追加された業務に対応するための専門人材の確保・育成、プロパー職員のリスキリングなどといった人材戦略や組織の強化などが必要ではないかといった議論がございました。
 御報告は以上となります。
【原田評価部会長】  ありがとうございました。
 今後、法人へのヒアリングを実施してまいります。各法人の状況を把握するとともに、今後の主務省による目標策定に向けて、先ほど各管理官から説明がございました論点を深掘りしながら、より具体的に調査審議を進めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問・御意見などございましたら御発言いただきたいと思います。なお、JASSOの奨学金に関する不服審査会委員及びURの契約監視委員会委員を務められ、また、NIAD、高専、奄美基金の会計監査に携わられている長村委員、それから、NIADの運営委員会委員を務めていらっしゃる高橋委員におかれましては、申合せにより、当該法人に関する意見を控えていただくこととされておりますので、よろしくお願いします。
 本日、天野委員、金岡委員、高橋委員、それから河合専門委員、清水専門委員、横田専門委員がオンラインで参加されておりますが、まずこの場におられる方から御意見を伺った後に、オンラインでの御意見を伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、御意見等ございましたら、よろしくお願いしたいと思います。どなたかいらっしゃいますでしょうか。
 島本委員。
【島本委員】  担当外のユニットの論点も改めて聞きまして、各法人に個別の課題も多いですが、同時に共通する課題も多いなと改めて感じました。特に、トップリーダーのガバナンス、リーダーシップ、職員のモチベーション、デジタルトランスフォーメーションの問題です。これらの問題は、民間企業でも今、浮上してきており、時代とともにステークホルダーが広がっているため、今までの経営スタイルではなく、いろいろなことに配慮していかなければならず、また、テクノロジーをしっかり使わなければならないという問題だと思います。こうした共通の課題に対して、うまく横串の評価軸ができれば、各法人のモチベーションや方向性の決定に貢献できるのかなと感じました。
 私から以上です。
【澤田委員長】  ありがとうございました。非常に重要な御意見かと思います。
 栗原委員、お願いします。
【栗原委員】  私は、主に厚生労働省と文部科学省の法人につきまして、担当のユニットで見させていただきましたが、それ以外の法人についても、主務省へのヒアリングで可能なところについてはお聞きいたしました。今回、個々の法人に関し主な論点としてお話しいただいたことは異論ございませんで、このような観点でこれから法人へのヒアリングをしていくということで結構です。
 その上で、全体的な論点として感じたことが2点ございます。1点目は、この数年、コロナ禍で従前の本来業務からかなり業務範囲が広がり、例えば補助金管理等の多くの業務量を抱える中で、これまでやっていたミッションや業務と、コロナ禍でボリュームが増えた業務とのバランスを考える時期にあると思います。また、コロナ禍で増えた業務が徐々に縮小していく中で、本来業務に戻るのか、それともまた新しいミッションの下でやっていくのかという方向性を考え直す時期に来ていると思いました。それから、厚生労働省の所管法人の病院を持っている複数の法人を見させていただく中で、コロナ禍でむしろ業務運営上は黒字になりましたが、この後どうしていくのか、経営環境が変わっていると思います。そういう中で、改めてミッションを踏まえた重点化、あるいは業務量が変わっていくということを見据えてどうしていくか考える必要があり、そのときに、組織の改革を含めた効果的・効率的な組織運営をどうしていくのかというところをリーダーが考えていかなければいけない時期だと感じました。
 それから2点目は、DXについて、各法人が持っているデータが豊富にあり、かつ、データ連携するといろいろな付加価値が出てくることを改めて思いましたので、意識的にどうデータ連携していくのか、効率的に活用していくのかということを考えていくべきではないかと思いました。
 以上2点です。
【澤田委員長】  ありがとうございます。1点目は、やはりコロナ前後を考えたときに大きな変化がある中で、どのように安定的な収束の方向に持っていき、法人の役割を果たすのかということですよね。2点目は、DXの問題ですよね。事務局で、総合的に今の御意見に対して、こういう方向性で行くだろうなど何かコメントございますか。
【谷口管理官】  栗原委員、コメントありがとうございます。
 1点目について、御指摘のとおり、コロナ禍を経て各法人は様々な業務が増加していて、なかなか既存の業務とのバランスに苦慮しているところでございます。今回、複数の法人で御指摘をいただいておりますけれども、既存の業務と新しい業務とのバランスをどのようにしていくか、また、業務のメリハリ付け、優先順位付けをどうしていくかというのは、これから法人へのヒアリングに向け、大きな論点になろうかと思います。それから、その新しい業務を遂行するためのリソースをどう確保していくかも大きな論点になってくると思いますので、そこはぜひ委員の皆様、法人の理事長、監事の皆様と、また場合によっては主務省もおりますので、御議論いただければと思います。
 それから、DXの関係も、先ほどのお話とも関係しますが、増えていく業務に対して組織をどう効率化していくかという観点もございますので、そこも併せて取組について御確認いただければと思います。
 それから、島本委員から御指摘のありました共通の評価事項をどうするかというお話については、昨年決定された「独立行政法人の業務管理及び内部管理について」(「業務・内部管理運営方針」)がございます。その中に、全ての法人について取り組んでほしいことを定めております。DXもしかりですし、人材の確保・育成、それから関係機関との連携について、今年度の議論も踏まえ、横串にどういった観点が必要かというのをまた御議論いただきまして、必要に応じてそちらの「業務・内部管理運営方針」も充実させていければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【澤田委員長】  ありがとうございます。
 浜野委員、どうぞ。
【浜野委員】  各管理官の方々から非常によくまとめて議論の特徴を御紹介いただいて、ありがとうございます。コロナ禍で3年余り、国内がかなりシュリンクするというか、海外との交流がちょっと内向きになってきている中で、以前にもまして少子高齢化や労働力・人材の不足というのが顕在化してきたように思います。一方で、業務量の増加・多様化・高度化という課題も顕在化している。それを解決するために、デジタル化ですとかいろいろな方策が、どうやってリソースを配分していくかというようなことも含めて、それぞれ共通項として浮かび上がってきたように思います。各主務省との意見交換はそれぞれさせていただきましたが、他方で、違う主務省間でも連携をしていただいて、うまくいった経験値を他の法人にも活かせるような仕組みをぜひ取っていただきたいと思いますし、これから私どもが視察に伺う際にも、そういったものがありましたらお伺いし、他法人でもチャレンジしていただけるようにここで御報告したいなと思いました。
 この間にSDGsや持続可能な社会の実現が国際的に非常に求められるようになってきています。環境も大きく変わってきていますので、そういった点にも対応できるような業務のやり方を、どのように改善されていくのかという点も興味を持っているところでございます。各法人の皆様とそういったお話をしながら、その課題をどのように皆さんが取り組んでおられるかというところをこれから見せていただきたいと思っております。
 以上です。
【澤田委員長】  ありがとうございます。取組事例の報告の中でも、各法人が共通に取り組んでもよい項目も出てくると思います。そういうことも踏まえながら、今の浜野委員の投げかけにきちっと応えていくのも非常に重要かと思います。ありがとうございました。
 野ア委員、どうぞ。
【野ア委員】  御指名ありがとうございます。私は評価部会には属しておりませんので、一般的なお話になるかもしれませんが、先ほど最初のところで島本委員がおっしゃっておられたような法人の職員のモチベーションアップとか、法人の長のリーダーシップあるいはガバナンスというのは非常に大事だと思います。その中で特に職員のモチベーションアップという観点から見たときに、例えば給与や、厚生関係といった面で、今、世の中が非常に充実してきており、賃上げを各民間企業に国としても求めており、実際に賃上げが起こるということが、モチベーションアップにつながっていくだろうと思います。一律に上げるということも必要だけれども、ある一定の評価に基づいてメリハリをつけて上げていくということも大事だと思うのですが、そういう観点での検討というのはなされているのでしょうか。
【澤田委員長】  ありがとうございます。これは原田評価部会長の御意見をお聞きできればと思いますが、法人へのヒアリングの中でこのような議論はありましたか。
【原田評価部会長】  ありがとうございます。全ての法人で給与等について議論があったというわけではございませんけれども、一部の法人では、やはりラスパイレス指数が低い状況です。先ほど横串で評価できるようにという議論もございましたので、その点、追加的にしっかり見ていく必要があるかなと、今、野ア委員の御発言を聞きながら思ったところです。
【澤田委員長】  ありがとうございました。社会的意義というのが法人の場合は大きいですが、とはいえ、給与の問題は非常に重要なポイントであり、そこも含めて職員のモチベーションを考えていくことになろうかと思います。ヒアリングの中でも今回のご意見を踏まえながら進めていくのがよいと思います。ありがとうございます。
 長村委員、関連しているところ以外で何かコメントございますか。
【長村委員】  ありがとうございます。一般論としてですが、例えば研究開発法人であれば、研究成果の最大化ですとか、独法全体でいえば、国民の信頼を得るというようなことが目的にあると思います。個別に見ると効率化ですとか職員のモチベーション向上という視点はあるのですが、高い視座から研究成果の最大化にどのようにリーダーシップを持って取り組んでいくのかといった、法人のミッションを意識した御議論があったのかをお伺いできればと思います。
【澤田委員長】  原田評価部会長、どうでしょうか。
【原田評価部会長】  ありがとうございます。主務省との意見交換の際の議論というのは、新しく追加された業務であるとかコロナ禍における対応など、個別の視点に我々のフォーカスがどうしても当たってしまうところもございます。しかしながら、本来、その法人に主務省としてこういうことをやってほしいというようなところを再確認しながら議論していくということが必要ですし、さらに申し上げると、目標期間に収まらないような、本当にその組織として継続的に追求すべき事柄についても意識をしながら議論していかないといけないなということ自体は、反面、意識をしながら議論していたところです。研究で申しますと7年に収まらない研究というのも当然あるわけですけれども、そうしたところをやはり意識しながら、今後、法人へのヒアリングを進めていく必要があるなと思った次第です。
 以上です。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、オンラインで御参加の委員の方々からも御意見を伺いたいと思いますけれども、御発言いただけますでしょうか。天野委員、どうぞ。
【天野委員】  ありがとうございます。本来、法人の位置づけというのは、国の経営方針に従って各主務省がそれぞれの部門の方針を立て、その中で実務部隊として法人があるというような位置づけだったと思うのですが、社会状況が変わっている中で、非常に法人の位置づけと主務省の関係がある意味薄くなっているような印象があります。もう少し主務省が自分事として法人の成果について考えるということが今一度必要ではないかと感じています。再度、各主務省に委員会としてもきっちりとお伝えする必要があるのではないかなというのが1点目の感想です。
 加えて2点目ですが、奄美基金や厚生労働省の病院関係の法人にも関係すると思いますが、法人にいろいろやっていただくときに、運営費をどのように位置づけるかということは非常に考えてみる必要があると思います。例えば奄美基金ですと、スタートアップの芽を育てるといったことがあります。それから先は、さらに投資して利益を上げるということは、ある意味、民業圧迫につながるようなところもあり、難しいところもあると思いますが、法人としてどこまでやるのかということは考えていく必要があると思います。厚生労働省の病院関係の法人についても同じようなことが言えるのかなと感じておりますので、この辺についても考えながら、再度、法人へのヒアリングで確認していきたいなと感じています。よろしくお願いします。
【澤田委員長】  ありがとうございました。非常に重要なポイントかと思いますけれども、事務局のほうで何かコメントいただけますでしょうか。辻管理官、どうぞ。
【辻管理官】  厚生労働省担当として思うことですけれども、先ほど原田評価部会長もおっしゃっていたように、どうしても新しく追加された業務など、個別の観点から見がちですが、そもそものミッションは何かというところから説き起こして議論をするという場がこれまで少し足りなかったのかなと感じます。法人へのヒアリングでは、例えば、どういった財政の枠組みが必要なのかという点について、その法人のミッションから紐解いて議論するというようなアプローチで進めてみたいと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、次に横田専門委員お願いします。
【横田専門委員】  ありがとうございます。スタートアップ関連で2点、意見を申し上げたいと思います。
 皆様も御存じのとおり、今、岸田政権の下でスタートアップは非常に重要視されているところで、これに絡んだ新規事業が各法人に増えているところだと認識をしております。今回の見直し対象法人ではありませんが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を中心に16機関のスタートアップ支援の連携協定が組まれていて、その大半が独法となっております。また、NEDOを中心に支援機関の連携状況がホームページでも示されていて、非常によい流れになってきていると思っています。一方で、新規事業と既存事業のメリハリ付けを法人内でやることも大事ですが、新規事業をうまく各機関で連携・補強しながらやっていくという観点では、目標の共通化や、連携を深めていることを各法人で目標に記載していくことが重要だと感じております。昨年の12月に、NEDOに対しては目標への留意事項として、関係機関との連携を深めるための目標設定をしていただきたいとお願いしたところではありますが、今年度の評価対象となっている中にINPITもこの連携協定に属しているという状況ですので、その点は法人へのヒアリングの中で確認していきたいところだと感じております。
 担当のユニット外のところで言うと、高専に関して意見を申し上げます。高専も実はスタートアップで非常に注目を集めている機関の一つになっているかと思います。「デジタル田園都市国家構想」の中では、高専の成果が重要で、大学との連携が必要だと書かれており、スタートアップの視点でも大学との連携が非常に注目されているところです。科学技術振興機構がやっている全国8プラットフォームに分かれての大学の支援においては、一部、高専との連携を非常に強めているところもあり、地域によって表れ方が様々ですが、今後、より高専の強みを生かしながら大学との連携が非常に期待されるところでもあると理解しております。第1ユニット所属の委員方におかれては、もし余裕があれば、その点についてもぜひ議論に加えていただけたらと感じております。
 以上です。
【澤田委員長】  ありがとうございました。スタートアップとのつながりは、非常に重要なポイントかと思いますが、事務局のほうで何かコメントございますか。
 五百旗頭管理官、お願いします。
【五百旗頭管理官】  御意見ありがとうございます。私はINPITを担当しておりますけれども、まさにこれからスタートアップ支援を強化していくところでございますので、今回の法人へのヒアリングを含めて、今後、どういった役割をINPITとして果たしていくのか、この辺りをしっかり法人とも議論をしつつ、内容を整理した上で、先ほど御意見を頂きましたように、NEDOをはじめとする他の連携する法人が掲げる目標などとの整合性を取りながら、全体としていい形での協業が進む、そういった目標設定を進めていきたいと考えております。ありがとうございます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 川口管理官、どうぞ。
【川口管理官】  文部科学省担当の川口でございます。
 高専の関係で新しい視点をいただきまして、ありがとうございます。主務省との意見交換やユニット会議の中でも、地域のニーズを高専がどのように取り入れているかという視点は委員から出ておりまして、そうした地域のシーズをどうやってくみ上げるのかというところと、地域の大学との連携というところは非常に関連がありますし、委員の興味分野にも関連していると思いますので、法人へのヒアリングでもしっかり聞き取れるように、法人に問題意識を伝えて準備をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、金岡委員、よろしくお願いします。
【金岡委員】  ありがとうございます。私は第2ユニットのヒアリングに参加させていただきました。
 先ほどから各委員の方がおっしゃっているとおり、様々な環境変化、例えば生産年齢人口の減少ですとか、デジタル化の進展、またウクライナ侵攻に伴うエネルギー高・食料品高、様々な環境変化が起きている中で、各法人が前例踏襲ではなく、この環境変化に適切に対応されているかどうかというような比較的マクロな視点での議論も多くさせていただいたように思います。そういう意味でいいますと、幾つか御指摘もございましたが、単なる独法という枠組みだけではなく、主務省プラス独法、あるいはそれをさらに超える枠組みで問題解決を図らなければいけない法人もあったように感じております。その辺り、幾つかの法人について、特に主務省との意見交換における主な議論ということでかなり踏み込んだ議論について、それを適切にまとめて記述していただいて、大変ありがたく思っております。原田部会長もおっしゃいましたけれども、意見交換における主な議論を参考に各法人へのヒアリングに臨んでいきたいと思っております。
 以上でございます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。今後のヒアリングに関して、やはりもう少し踏み込んだ形できちっと方向性を出していくという決意の表れの一つかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、清水専門委員、よろしくお願いします。
【清水専門委員】  ありがとうございます。私は第1ユニットに所属しております。厚生労働省と文部科学省の所管法人の意見交換に参加させていただきました。
 厚生労働省所管法人については、先ほど辻管理官から医療関係をまとめて、どのような方針でやっていくかというのが大きな課題だというお話があったと思いますが、その点、参加者全員感じておりますし、個別の課題は当然あるにしても、この先の方向性については、それぞれの法人だけではなく、病院関係全般で打ち出せているようなところを主務省とも一緒に検討させていただきたいと感じました。
 それからもう一つは、高専について、主務省の方から「認知度が低い」というお話がありましたが、私や産業界の捉え方はもはやすごく期待が高いというところであると思います。やはりそういう周りの変化は主務省の方にも理解していただきながら、逆に早めに捉えていただき、次どのように社会に対応していくべきかという議論にならないと、なかなか政策も方向性も変わってこないと思いますので、ぜひ外部との議論も踏まえて、今どういう状況にあって、今後どう目指すのかというところを、主務省も一緒に考えていただけるといい形になるのではないかと思っております。
 以上です。
【澤田委員長】  ありがとうございます。事務局で何か御意見ございますか。
川口管理官、お願いします。
【川口管理官】  御意見ありがとうございます。高専に対しては、委員の皆さんもかなり期待度が高いという議論が非常に多くございました。認知度につきましては、誰の認知度が低いかという話があると思っておりまして、出口の部分での期待値というのは非常に文部科学省も感じているところでありますけれども、これから入ってきてくれる中学生やその親御さんといった人たちの認知度をどのように高めるかというところについては、少子化の中で課題がある部分もあると思っておりますので、その辺りも法人に聞いていけたらと思っております。
【澤田委員長】  ありがとうございます。
 原田評価部会長、どうぞ。
【原田評価部会長】  3点ほど申し上げたいと存じます。
 今回、13法人ございますけれども、評価部会では、各法人の目標変更案について個別に審議を続けてまいりました。各法人、このタイミングで、積み上がった目標の棚卸しというのでしょうか、法人によっては全く違うようなファンクションが追加されているということもございますので、やはりこの機に、一体どういう目標が追加されて、法人全体としてどういう業務をカバーしているのかということや、そうした多機能の法人についてどのようにガバナンスを利かせていくのかということをしっかり見ていく必要があるだろうと思っています。おそらく、これからも次々業務が追加されてくるということを前提にしながら議論していかなければならないなということが1つ目です。
 2つ目は、奄美基金が典型的ですけれども、法人の努力ではいかんともし難い問題を抱えている場合には、やはり主務省の判断というのが引き続き求められるということです。これは前回の目標策定のタイミングでも同じように議論したところですが、そうした点をどう考えるかということが重要だと思います。
 3つ目は、先ほどの辻管理官のお話にもございましたけれども、病院を抱えている厚生労働省所管の3法人がその典型なのですが、ローカルな視点というものを法人の目標策定に当たってどう考えるのかということです。各病院は地域の医療圏に組み込まれているという状況の中で、ローカルな目標とナショナルな目標をどう考えていくのかというのは、これまでの法人、昨年度の法人ではなかった論点だと感じています。その点を意識していく必要があるかなと思っております。
 以上でございます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 いろいろな角度から御意見が出ましたので、こうした御議論を踏まえて、評価部会においては引き続き精力的に調査審議をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは次に、議題2「独立行政法人の令和4年度業務の実績に係る評価等の点検等について」、事務局から御説明をお願いいたします。
【谷口管理官】  事務局でございます。
 例年、8月を目途に、各主務大臣による評価結果が公表されることとなっており、今年度は、見直し対象法人についての見込評価と、その評価結果等を踏まえた業務・組織の見直し、準用法人を含めた88の法人についての年度評価、前年度の見直し対象法人についての期間実績評価、昨年度末で主務省令期間が終了した行政執行法人についての効率化評価が行われます。
 このうち、見込評価及び業務・組織見直しにつきましては、中(長)期目標期間におけるPDCAサイクルの「C」に対応する部分として、次期目標に直接つながるものであることから、今年度も例年と同様、見直し対象法人に係る調査審議の中で、次期目標案の策定に向けた留意事項と一体的に御審議いただきたいと思います。
 他方、年度評価、期間実績評価及び効率化評価については、主務大臣による目標期間中の進捗管理等を目的としているものの、委員会としては、著しく適正を欠く評価と認められるもの等がないかを確認するため、例年、点検を実施しているところでございます。
 本議題においては、後者の年度評価等に関する今年度の点検方針について、御議論いただければ幸いに存じます。
 以上でございます。
【澤田委員長】  それでは、本件につきまして、原田評価部会長から発言があるということでございますので、よろしくお願いいたします。
【原田評価部会長】  承知いたしました。
 年度評価等の点検につきましては、今年度も、評価部会において「独立行政法人評価制度の運用に関する基本的考え方」(「基本的考え方」)に示した視点から点検を行い、点検結果を委員会に報告して、委員会において必要な意見等の取りまとめを行うという形を想定しております。
 「基本的考え方」の主な内容を申し上げますと、中期目標管理法人及び国立研究開発法人の年度評価につきましては、PDCAサイクルを回していく上で特に重要な局面、具体的にはPDCAの「C」から「A」にかけての局面ですけれども、そうした局面において適切な記載となっているか、とりわけC以下の評定を付した評価項目において要因分析やその評価を踏まえた改善方針等が記載されているか、複数年連続して所期の成果を下回っている取組について従前の改善策等の検証がなされているか、また、法人の内部統制に影響する事案等について適切な記載となっているか、特に、不祥事案や会計検査院からの指摘等、法人において改善を要する事案への対応が検討されているか、そうした視点から点検を実施することとしております。
 また、中期目標管理法人及び国立研究開発法人の期間実績評価の意義については、活動の成果が一般社会へ与える影響や今後求められる取組の方向性が説明される等、国民にしっかりその目標期間の成果というものを伝えていくことにありますから、国民一般にとって分かりやすい評価となっているか、さらに、見込評価で出された意見に適切に対応しているかといった視点から、点検を実施することとしております。
 また、行政執行法人の年度評価につきましては、今申し上げた中期目標管理法人や国立研究開発法人の年度評価及び期間実績評価と同様の視点から点検することとしております。
 さらに、行政執行法人の効率化評価につきましては、合理的な根拠・説明に基づき評定が付されているか、また、目標と実績との関係が明確で、必要な比較分析が行われているかといった視点から、点検を行いたいと存じます。
 以上が「基本的考え方」に示した点検の視点でございます。
 委員会といたしましては、評価が実際に法人の業務運営やマネジメントに十分に活用され、法人の業務の改善につながっていくというPDCAサイクルの促進によって政策実施機能が最大化されることが重要であると考えています。
 委員会といたしましても、効率的な点検の実施に努めつつ、必要な点検をしっかり行ってまいりたいと存じます。
 なお、これらはあくまで委員会が行う第三者機関としての点検の姿勢を示したものであり、各主務大臣におかれましては、「基本的考え方」に示した点検の視点も含めて、評価指針に則して、主務大臣としての責任を持って、適正な評価の実施及び目標期間中の進捗管理をしていただくこと、さらには、評価の機能を最大限活用できるような創意工夫に努めていただくことを期待しております。
 以上でございます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして御意見等ございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言いただけますでしょうか。
 みなさまこの方向でよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【澤田委員長】  それでは、ただいまのご説明のとおり、今年度の年度評価等の点検を進めていくこととします。点検の結果は、点検が終了次第、委員会の場で報告するようにお願い申し上げたいと思います。
 事務局におきましても、これを踏まえて、点検に向けた作業をしっかりとお願いしたいと思います。
【谷口管理官】  ありがとうございます。委員の皆様におかれましては、後日御案内いたします評価書を御覧になってお気づきの点があれば事務局まで御連絡いただくようお願いできればと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 それでは次に、議題3「諸外国の事例からみた独立行政法人の目標・指標設定及びその評価の在り方に関する調査研究について」、事務局から御説明をお願いしたいと思います。
【谷口管理官】  それでは御説明いたします。まず、本調査を実施した経緯ですが、昨年2月の委員会に御報告した「独立行政法人制度改正フォローアップ調査」がございます。この中で、現行の評価指針で定めるS・A・B・C・Dの5段階評定に関して、例えば内部管理業務のように、「A」以上の評定を取得することが困難であるとの回答が多くみられた事務・事業があったところでございます。また、これまでの委員会の御議論の中で、意欲的な目標水準の設定手法や妥当な目標水準の設定に工夫が必要であるというような御指摘もいただいているところでございます。このため、委員会といたしまして、法人が取組に応じた正当な評価が得られるよう、諸外国ではこうした問題にどう対応しているのかといった業績管理の実態を把握しまして、主務省や法人に情報を提供することを目的として、委託調査を実施したものでございます。
 具体的には、日本と類似制度を持つ英国、カナダ、ニュージーランドの3か国を対象といたしまして、これら3か国における業績管理に関する法令やガイドラインを確認した上で、具体事例として、各国の独法類似機関が作成した年間報告書などをベースに24事例を文献調査しました。そして、主務省・法人において参考になるであろう事例を整理するとともに、それらの事例から考えられる目標や指標を設定する際の工夫例を分類ごとに取りまとめてございます。
 今後についてですが、今回調査した目標については、主務省及び法人にも共有しまして、今後の評価指標の設定に当たって活用してもらいたいと思っております。また、事務局といたしましても、昨年御報告しました民間企業の事例ですとか今回の海外事例の調査結果を踏まえまして、実際の民間企業ですとか先進的な独法での指標設定の具体例を整理いたしまして、これも主務省や法人の参考にできるような形でまとめたいと思っております。
 議題3についての御説明は以上でございます。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまの報告につきまして御質問等あれば、どなたからでも結構ですので、御発言いただけますでしょうか。
 河合専門委員、よろしくお願いします。
【河合専門委員】  ありがとうございます。この調査につきましては、私のほうも伴走させていただく形で、調査の進行状況も拝見してまいりました。その点を踏まえて2点ほど申し上げたいと思います。
 まず1点目につきましては、今回、イギリス、カナダ、ニュージーランドといった国を対象に調査したのですが、概要のほうに記載しておりますけれども、例えば、意欲的な目標水準を設定しているのかどうかという点について、日本でいうと困難度という形で目標設定しているかどうかというところに該当するのですが、イギリス、カナダ、ニュージーランドでは特に制度上設けていないといった回答が得られました。つまり、必ずしもこの3か国が日本よりも厳格な業績評価をしているわけではないということであります。ただ、その上で日本にとっても非常に参考になる点が幾つかありまして、それを今回、事務局のほうで概要といった形にまとめていただいていると理解をしております。
 2点目ですが、では、今回の調査を経てどのように考えればよいのかというところであります。私としましては、新しいことを一から始めるというよりも、既存の制度を利用して、現在の評価制度の在り方をより豊かなものにしていけばよいのではないかと思っております。
 その1つ目が、この概要資料の3ページにある「フルコスト情報」というものです。このフルコストは、民間企業でいう生産性指標であります。日本でも財務省が主導して、地方支分部局などの国の役所で政策を実施している部門、それから独法が、一部の業務に関してフルコスト情報を計算して公表しているわけです。イギリスの場合には、このフルコスト情報を、例えば空港の税関ですとかそういったところで評価指標の一つにしています。日本の独法のほうでも、既にあるフルコスト情報を評価指標の一つとして活用していただくことが、有意義なのではないかと思います。と申し上げますのは、このフルコスト情報は、例えば非常に環境が厳しいものになっても、同じコストを維持したまま安定的に政策を実施しているかどうかということを測定できる指標にもなっております。その意味で、当然のようにやらなければならない業務に関しても、環境の変化に関わらず安定的に実施しているといったことを、ポジティブに評価しやすい指標になっております。
 それからもう一つは、エンゲージメント調査です。調査報告書本体の16ページに、イギリスでのエンゲージメント調査が紹介されております。イギリスの場合には、中央省庁の各役所と、エージェンシーを包括的に調査対象にしたエンゲージメント調査、それから職員の幸福度調査といったことがなされていますが、日本におきましては、一部で、各省庁あるいは法人ごとにエンゲージメント調査を実施していると理解をしております。既にエンゲージメント調査を実施されている法人は、こういった調査の結果も内部管理における指標として御活用いただきたいと思います。それから、法人の規模によっては法人自身で実施することが難しいケースもあるかと思います。そのような場合、主務省にぜひリードしていただいて、所管の法人に対する包括的なエンゲージメント調査を調査会社等に委託する形でもいいと思うのですが、主務省のほうで法人に対する包括的なエンゲージメント調査を直接設計していただいて実施するといったこともあり得るのではないかと考えております。
 日本においても、既にあるデータや調査結果を指標として活用できる余地がいろいろあるのではないかというところが、今回の調査の気づきの一つであると考えております。
【澤田委員長】  ありがとうございました。新しく何かするというよりも、従来をベースにしながら、切り口を変えて評価の在り方を見てみようという御説明、非常によく分かりました。それとやはり、今、人的資本は非常に重要視されていますので、そういう意味でもこのエンゲージメント調査は非常に重要だと思います。設問の仕方によっては随分答えは違ってきますが、それぞれに合った形でやっていくのがいいという御説明について、非常に理解できました。河合専門委員、ありがとうございました。
 それでは、天野委員、よろしくお願いします。
【天野委員】  ありがとうございます。いつも河合専門委員を中心にいろいろな調査をしていただいて、本当に結果としていいものが出てきているなと感じています。例えば統合報告書は成果のプラットフォームにつなげるというようなお話が以前ありましたし、また、デジタル庁を通して、国の「科学技術基本計画」の中のどの分野で特に国立研究開発法人が成果を上げているのかというような日本全体のトータルの評価システムにつなげていくという考え方もあったかと思いますので、ぜひこの調査の結果を並べるだけで終わらせることなく、先にどんどん進めていただいて、よりすばらしいものにつなげていただけるといいと思います。例えば、カナダではかなり定性的な評価手法が用いられているという印象を受けましたが、国によってそれぞれの評価の考え方というのは非常に違ったものもあると思いますので、やはり日本の独法制度の中にいかにいいものを組み込み、日本全体の評価手法につなげていくかということが非常に重要ではないかと感じています。よろしくお願いします。
【澤田委員長】  ありがとうございました。私も同じような意見ですけれども、事務局で何か補足することはございますか。
【谷口管理官】  天野委員、ありがとうございました。非常に貴重な意見だと思います。御指摘のトータルな評価システムについては、PDCAサイクルをいかに効率的に回していくか、そして国民に説明責任をどう果たしていくかという観点から、求められていくのだろうと思います。すぐにこういうものを全部作っていくのはなかなか難しいかもしれませんが、事務局としても知恵を絞っていきたいと思いますので、またお力添えをお願いできればと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございました。継続するということは非常に重要ですし、それをうまく活かすことがさらに重要ですので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 委員の方々で他に御意見ございますか。長村委員、お願いします。
【長村委員】  この調査結果、大変興味深く拝読しました。私も、このフルコスト情報の活用に関心を持ったところでございました。先ほど原田評価部会長からもございましたけれども、法人の機能が極めて多機能化しつつある中で、フルコスト情報をさらに単位コストに落とし込み、単位コスト同士の相関関係を法人の中で見ることは、コストの最適化を考えていく上で一つのアイデアになるのではないのかなと思いました。引き続き進めていただければと思います。よろしくお願いします。
【澤田委員長】  御意見ありがとうございました。
 栗原委員、どうぞ。
【栗原委員】  質問ですが、今回の調査は、独法の評価の在り方について参考になる、各国での工夫や視点を調べるということだったと思います。一方で、独法の成果がそれだけで発揮できるわけではなく、独法の活動以外の政策も相まって効果が出ているという部分があると思います。主務省の政策評価の中で独法が果たした効果をどのように評価をしていくのかについて、今回は調査のスコープ外だったかもしれませんが、全体の政策のEBPMの中で独法の評価をどう入れていくのかについて、もし示唆をいただけるような事例がありましたら、教えていただければと思います。どうでしょうか。
【澤田委員長】  ありがとうございます。
 まず、事務局からコメントお願いします。
【谷口管理官】  御指摘ありがとうございます。確かに、法人の存在意義というのは、ゆくゆくは社会全体にインパクトを与えていくということだと思いますので、委員御指摘の視点は大事だと思います。ただ、今回の調査は、法人単体の業績管理をどのように行っているかということでございますので、全体の政策の中でのPDCAサイクルがどうなっているかまでは及ばなかったところでございます。ただ1点関連がありそうなところで申し上げれば、アウトカムをどのように評価しているか、どのように測っているかということに関しては、先ほどのエンゲージメント調査もそうですが、サービスの受け手がどうサービスを評価しているか、どれぐらい満足しているか、そういったものをアンケートなどで聞こうというような姿勢が各国とも見られたのかなと思っております。全体の政策という範囲ではないですが、アウトカムの把握方法の一つとしてそういった事例が見られたというのはございます。
【澤田委員長】  ありがとうございます。
 河合専門委員、どうぞ。
【河合専門委員】  非常にクリティカルな御指摘、御質問、ありがとうございます。今、谷口管理官から御説明がありましたとおり、今回の調査に関しては御指摘の部分のところまで細かなことを調べられてはいませんが、イギリスやカナダ、ニュージーランドでも、本省の政策実施の中でのエージェンシーの位置づけを意識しているのは間違いないところであります。特に、全体の政策の中で、どのようにして本省側がエージェンシーをグリップするのかが重要であるということは、実務関係の文書だけではなくて、学術論文などにも書かれているところでありますので、私も、研究者として、政策実施の観点から本省とエージェンシーとの関係性の在り方がどのように議論されているのか、個人的にも調べたいと思います。また何か共有させていただけることができましたら御報告したいと思います。ありがとうございました。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 原田評価部会長、どうぞ。
【原田評価部会長】  栗原委員の御指摘は、この国全体にとって非常に重要だと思っています。私どもが関与している独法評価というのは、法人全体の評価でありまして、国としては、行政評価局で政策評価が行われ、また内閣官房の行政改革推進本部事務局では行政事業レビューが行われています。この辺りは一番横田専門委員がお詳しいと思っています。そうした他の部局で行われている評価に際して、私どもが関わっている独法評価というものを特に主務大臣側が活用していくという観点はあり得るのかなと思います。ですから、特定の政策実施を独法が概ね担っているような場合に、その独法評価の年度評価の結果を使っていくということは大いにあり得ることなのかなという気がしています。そういう意味では、評価の部局というのが2つ、3つに分かれていて、それぞれの評価を活用するところまで至っていないというのが現状です。年度評価にしても見せ方を工夫してもらうように我々としても各主務省に呼びかけて、さらにそれが活用につながっていけばいいなと私は思っております。
 以上です。
【澤田委員長】  ありがとうございます。重要なポイントかと思います。
 島本委員、どうぞ。
【島本委員】  この3か国を見ると、アングロサクソンモデルの中で行政改革に取り組んできた中でエージェンシーの役割が出てきているのかなと想像するのですが、イギリスの執行エージェントの業務内容を見ると、日本の法人の平均と比べて公的な役割が強いと感じます。日本の法人は民間企業でもできる分野を担当されているところもあるので、よりスピード感が必要なのかなと感じました。
 その関係で、やはりエンゲージメント調査は、例えば内閣府であるとか国家公務員レベルでは実施されていると思いますが、独法に横串を入れたような、全体的な調査を行ってもいいのかなと感じました。というのは、人口減少が進む中で、若い人にとって魅力的な職場づくりというのは大事だと思います。情報の伝達速度が速くなり、転職も活性化している中、円安による給料面での割り負けも考えられるため、会社の方向性であるとか、職員とトップマネジメントが同じ方向を向いているかといったチェックは民間企業でも大事になっていると思いますし、独法においてもそういった側面の重要性というのは従来以上に高くなっていると思います。そのため、エンゲージメント調査を今までやったことがあるのか、横断的に同じフォーマットでやることが可能なのかどうかについて教えていただければと思います。
【澤田委員長】  ありがとうございました。事務局で何か御回答いただけますでしょうか。
【谷口管理官】  ありがとうございます。人材確保の観点から、そういった情報を横並びで見ていくのは非常に有用であるかと思います。一方で、エンゲージメント調査を全ての法人一律にやっていくというのは、なかなか難しいところもあるかと思いますけれども、そういった人材育成の観点からエンゲージメント調査をやっている先進的な法人もあるように伺っておりますので、どういった形でやっているのか、それが人材確保にどう効果があったのかから調べてみて、そういった事例を横展開しつつ、どういった一律のやり方があるのかということを考えていければと思っております。
【澤田委員長】  ありがとうございます。何のためにやるのかという、目的意識を持たないと意味がなくなりますので、その辺り、十分考慮に入れながら進めていただいていると思います。島本委員、ありがとうございました。
 横田専門委員、何か御意見ございますか。
【横田専門委員】  1点だけコメントをさせていただきます。政策評価について、各省庁の評価疲れが出ているという課題に対して政策評価を見直そうということで、この1年半ぐらい議論がなされてきたところです。その一つとして出てきたのがまさに独法評価を政策評価の代替として主務省が活用していくこともあり得るのではないかということで、独法評価の主務省との関連性、活用度もより増してくると認識をしております。
 以上です。
【澤田委員長】  ありがとうございました。
 そのほか、御意見・御質問等ございますか。野ア委員、どうぞ。
【野ア委員】  民間企業が提供する「NPS®(ネット・プロモーター・スコア)」(※)という顧客推奨度調査の値を評価結果に利用している事例が見られましたが、当該調査は簡単に回答できるわりに有用であると思われ、こういうことがうまく機能する法人とそうでない法人があると思うので、必ずしも全法人でということではないと思いますが、利用を御検討される法人があってもいいのかなというのが1つの感想でございます。
 それからもう1点、今回の調査は、管理業務等でなかなか「A」評定が取れないような業務について、どういった形でポジティブな評価をしていけばいいのかということが、もともとの考え方にあったと思います。行政執行法人は特に多いと思いますが、事務作業といったなかなかポジティブに評価しにくいような項目、あるいは国立研究開発法人での安全衛生や保安防災といったところの評価の仕方を、引き続き御検討いただければありがたいなと思っています。
 以上でございます。
(※)NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標。
【澤田委員長】  ありがとうございました。野ア委員の最後の安全や防災は、何も起こらないということそのものがすごいことですが、結局そこを評価し切れないという面もありますので、やはりそれぞれの項目についてどういうことが非常に重要なのかという点を適切に評価し、駄目なときだけ駄目という評価にならないようにすることが非常に重要なポイントかと思います。ありがとうございます。
 あとはよろしいでしょうか。これで議題3を終了したいと思います。
 最後に、事務局からその他報告等あればお願いしたいと思います。
【谷口管理官】  次回の委員会は、10月23日(月)の15時から開催させていただきます。会場については本日と同様でございます。また、ウェブと併用したハイブリッド開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
【澤田委員長】  それでは、以上をもちまして、第42回行独立行政法人評価制度委員会を閉会したいと思います。
 続いて評価部会を開催すると聞いておりますので、以降は原田評価部会長に引き継ぎたいと思います。
 委員の先生方、本日は、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございました。
 
(以上)

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