(委員)原田久評価部会長、浜野京評価部会長代理、天野玲子委員、金岡克己委員、栗原美津枝委員、高橋真木子委員、河合晃一専門委員、清水剛専門委員、横田響子専門委員
(事務局)北川大臣官房政策立案総括審議官、谷口管理官ほか
【原田評価部会長】 それでは、第68回独立行政法人評価制度委員会評価部会を開催いたします。本日の会議は、傍聴者の方々には会議の模様をオンラインで中継してございます。よろしくお願いいたします。
それでは、まず議題1の、「中(長)期目標の変更について」審議を行います。松隈管理官、渡邉管理官の順番に、事務局から各法人の目標変更について御説明をお願いいたします。
【松隈管理官】 それでは、まず福祉医療機構(WAM)の中期目標の変更につきまして御説明させていただきます。
機構におきましては、従来から旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた本人に対する一時金の支払等業務を実施しているところであります。今年7月に最高裁において旧優生保護法に関する違憲判決が出されたことを受けまして、従来の「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」が改正されました。旧優生保護法に関する補償金等の支払等業務が機構の業務に追加されるため、機構の中期目標の変更を行うものでございます。
追加業務の概要については、(1)従来の旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた本人に対する一時金の支給に加えまして、(2)旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた本人及び配偶者または遺族に対する補償金の支給、それから(3)旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶等を受けた本人に対する一時金の支給といった業務が新たに追加されるところでございます。
法律で(1)(2)(3)をまとめて補償金等と定義してございまして、業務の追加に伴いまして、中期目標中の業務の名称及び一時金の名称を変更するものでございます。なお、従来の一時金等支払業務は補償金等支払等業務に含まれる形で引き続き実施する予定でございます。
支払いのスキームにつきましては、請求者に対して、こども家庭庁が設置する認定審査会の審査を経まして、内閣総理大臣が認定を行い、機構は認定を受けた者に対して補助金等の支給を行うという役割を担う予定でございます。改正法の施行期日であります令和7年1月17日以降、機構の業務としてこの補償金等の支払等業務を開始する予定でございます。
私からの御説明は以上です。
【渡邉管理官】 それでは、続きまして、環境省所管の国立環境研究所(国環研)の中長期目標の変更について御説明をさせていただきます。
まず、国環研の目的でございますけれども、地球環境保全、公害の防止、自然環境の保護・整備など、良好な環境の創出を含む環境の保全に関する調査及び研究を行うことにより、環境の保全に関する科学的知見を得、環境の保全に関する知識の普及を図ることとしてございます。
今回、目標変更する内容は大きく2点ございます。
まず、1点目でございます。本年4月に施行されました法律におきまして、水道に関する水質基準の策定、その他の水道整備・管理行政であって、水質または衛生に関する事務につきまして、厚生労働省から環境省に移管することとされたところでございます。
これに伴いまして、厚生労働省の研究所でございます国立保健医療科学院が担ってございました水道整備・管理行政に関連した研究につきまして、令和7年度から国環研において実施することとするため、現行の中長期目標中に移管される業務追加を明示する変更を行うものでございます。
具体的には、水道水その他、人の飲用に供する水に関する水質の保全及び衛生上の措置に関する調査研究を実施することとなります。中長期目標の変更内容は、法律に基づく水道整備・管理行政の移管を踏まえまして、当該調査研究を推進することを追記してございます。
次に、2点目でございます。現在、国環研の福島の拠点において実施してございます放射性物質の環境動態研究につきまして、令和4年3月に復興推進会議において決定されました「福島国際研究教育機構基本構想」に基づきまして、令和7年4月から福島国際研究教育機構へ移管することとなるため、現行の中長期目標中に除外する業務を明示する変更を行うものでございます。
中長期目標の変更内容は、福島拠点におきます放射性物質の環境動態研究につきまして、「福島国際研究教育機構基本構想」に基づきまして機構に移管することを2か所に追記してございます。
なお、評価軸、評価指標は個別の研究分野ごとにそれぞれ定めるものではなく、研究課題を3つに分類し、それぞれに評価軸、指標を定める形で評価を行ってございますため、今回変更は行わないとしてございます。
以上でございます。
【原田評価部会長】 ありがとうございました。
ただいまの事務局の説明につきまして、御意見・御質問等ございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言をお願いしたく存じます。
なお、毎回私から申し上げることでございますけれども、この目標変更案に関する議論につきましては、政策内容の是非ではなくて、政策内容に照らして、目標や指標が適切に変更されているかという点を中心に御議論を賜ることができると幸いでございます。よろしくお願いいたします。いかがでございましょうか。
天野委員、どうぞ。
【天野委員】 最初の法人に関しましては、全くこれで問題ないと思います。
2つ目の国環研について、1点目の変更内容である水道水に関しては非常によかったと思います。飲料水ということになると、省庁が変わってしまいますので、水道水等のお話も含めてトータルとして一気通貫でできるようになるというのは非常に良いのではないかと感じました。
2点目の変更内容については、法律で決まりましたことなので良いと思いますが、今回これは国環研と福島ではなくて、たしか日本原子力研究開発機構(JAEA)も一緒になりますよね。質問なのですが、これは国環研の中長期目標の変更ということですが、JAEAについては、目標変更は行わないのでしょうか。
また、1つ心配なのは、私はJAEAの監事もやっていましたので、実情を具体的に申し上げますと、放射性物質を扱うのですが、福島県と国環研とJAEAで放射性物質に対する安全管理の考え方が違いました。国環研とJAEAでその辺の意見に齟齬があったりしましたので、福島県がしっかりとそれをまとめていかれるのかということは少し心配かなと思っています。
ぜひ別の体系での動きになると思いますが、委員会としてもしっかり注目できるような動きになると良いのではないかと感じています。
よろしくお願いします。
【原田評価部会長】 いかがでしょうか。
【渡邉管理官】 御質問ありがとうございます。今のところ目標変更は国環研からのみ出てきておりまして、他の法人に関してはまだお聞きをしていないというところでございます。
【天野委員】 分かりました。
【原田評価部会長】 この点ですが、この環境動態研究の移管はどうしても法令等の変更で、今年度中に記載しなければいけないというものでは必ずしもないとも思います。そういう意味では、国環研としてはこの先を見据えてこれを記載するということなのかと思いますので、やはりこうしたものをあらかじめ目標に記載しておくのかどうかというのは主務省によって違うのではないかと理解してございます。
栗原委員、どうぞ。
【栗原委員】 確認をさせていただきたいのですが、国環研の変更について、そもそも水道行政が厚生労働省から環境省に移管されることに伴って、研究事業も今回国環研に追加されるということなのですが、これまで研究開発はどこかで行われていて、どこから業務が移管されて国環研に業務が追加されるということなのでしょうか。移管元ではスクラップされるのでしょうか。
【渡邉管理官】 御指摘ありがとうございます。移管業務の関係でございますけれども、先ほど御説明したとおり、これまでは水道の関係の業務は厚生労働省の研究所でございます国立保健医療科学院が担っていたところでございます。今回移管ということになりますので、こちらの国立保健医療科学院の業務が国環研に移ってくると。逆に言えば、そちらで業務を行うことはなくなるということでございます。
【栗原委員】 独法ではないので、私たちが目にしないというだけですね。分かりました。ありがとうございます。
【原田評価部会長】 では、河合専門委員、どうぞ。
【河合専門委員】 ありがとうございます。今の栗原委員の御質問とも関係しているのですが、国立保健医療科学院の業務として水道関係の研究・研修が記載されている資料を見たことがあります。今回のこの目標変更案では、研究部分だけを追加業務として国立環境研究所に移管するということで、研修部分に関しては移管しない、追加業務はあくまで研究だけという理解でよろしいでしょうか。
【渡邉管理官】 はい、今回調査研究ということで移管されると承知をしてございます。
【河合専門委員】 分かりました。では、研修機能は追加で移管されないということですね。ありがとうございます。
【原田評価部会長】 ありがとうございました。目標変更案には含まれておりませんけれども、厚生労働省に研修の点を確認してくださればと存じます。
では、本件については、意見なしとさせていただくことで御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【原田評価部会長】 ありがとうございます。それでは、本件につきましては、意見なしと整理させていただきます。事後の処理につきましては、事務局に一任させていただきます。ありがとうございました。
それでは、議題2の「役員の業績勘案率の点検結果について」、審議を行いたいと存じます。本議題につきましては、資料に法人役員の退職金に係る個人情報が含まれてございます。そのため、会議及び資料は非公開といたします。なお、議事概要及び議事録は例年同様、公表させていただきます。傍聴者への中継につきましてはここまでとさせていただきたいと思います。それでは、事務局から説明をお願いいたします。
【谷口管理官】 御説明いたします。業績勘案率は、主務大臣が0.0から2.0の範囲内で、法人の業績評価に応じて決定するもので、総務大臣決定の「業績勘案率の算定ルール」に基づき算定することとなっております。
本日は、50法人86件について御審議いただきますが、私からは、このうち加算または減算のあった4件について御説明いたします。そのほかの案件につきましては算定ルールどおりの計算となってございますので、割愛させていただきます。
1件目は、勤労者退職金共済機構の元理事の業績勘案率を0.1加算する案件でございます。当該元理事の在任期間は平成27年10月1日から令和5年9月30日でございまして、当該元理事は、在任期間中、情報セキュリティ問題の深刻化など、機構を取り巻く環境が大きく変化したことを踏まえ、機構が取り組むべき課題に対応するための業務の見直しに貢献されました。
具体的には、まず、資産運用の見直しについて、機構に最適な基本ポートフォリオとリスク許容度の考え方について、前職の日本銀行において培った元理事個人の資産運用に係る知見を活用して、ゼロベースから見直しを行われたということ。
また、情報システムの面では、中退協システムの再構築プロジェクトにおいて、担当理事としてコンサルタントとの定例進捗会議に出席し方向性を決定したことに加えまして、プロジェクトを通じ、前職の経験に基づいた知見を生かして、IT人材育成を見据えた組織体制の強化を図られたことなどがございます。
これらの成果は、当該元理事が前職で培った知見を生かし、担当理事として強いリーダーシップを発揮して取り組んだことによるものであり、業務実績評価に表れない特段の貢献として、業績勘案率を0.1加算すると主務大臣から通知があったものでございます。
続きまして、2件目から4件目につきましては、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)の元役員の案件でございます。
まず、JRTTの元監事2名の業績勘案率を0.1減算する案件でございます。当該元監事2名の在任期間は、平成30年8月1日から令和5年7月31日でございまして、在任期間中の令和2年12月に、北陸新幹線の金沢・敦賀間の工期遅延と事業費の増嵩に関連し「業務改善命令」が出されております。業務改善命令において抜本的な改善が必要とされた工程管理・事業費管理に関し、本件事案が生起していた期間の監査報告において具体的な問題点等は指摘されておりませんでした。また、具体的な問題点等について、主務省への報告もなされておりませんでした。
この結果として、業務改善命令を受けるに至っているということ、また、当該監事には法人の業務執行を監査し、必要に応じて適時適切に意見すべき責任があったことを踏まえますと、監事としての任務懈怠があったということで、業績勘案率を0.1減算すると主務大臣から通知があったものでございます。
最後に、JRTTの元理事の業績勘案率を0.1加算する案件でございます。当該元理事の在任期間は令和3年4月1日から令和6年3月31日でございます。当該元理事は、先ほど申し上げたとおり、就任前の令和2年12月に北陸新幹線の金沢・敦賀間の工期遅延と事業費増嵩に関連した「業務改善命令」が出されたことを受けまして、機構改革総括を担当する理事として着任されまして、JR東日本の幹部、また、鉄道会館の社長として培ったマネジメント手腕を発揮して、その対応に尽力されたとのことでございます。
具体的には、組織全体の改革を行うため、元理事が当時の理事長と緊密に連携しながら策定した「鉄道・運輸機構改革プラン」に基づき、組織横断的に総合調整機能を有する部署の新設や、責任体制を明確にするためのプロジェクトマネジメント制の導入、社内公募制度の導入、人事評価制度の改善など、多岐にわたる分野で機構内のマネジメントを改善するべく、自身の知識・経験を存分に活用して改革を先導し、組織全体の改革に貢献されたとのことでございます。
また、令和4年度からは、機構改革総括担当に加え、業務改善命令発出の契機となった整備新幹線の建設も担当することとなり、事業を総合的に管理する委員会の中核として、出身企業であるJR東日本の経験も生かし、強力なマネジメントのもと、工程と事業費を同時かつ総合的に審議し、各線区における工事の進捗確認、リスク把握等の取組を進め、着実な事業の進捗に貢献されたとのことでございます。
これらの業務改善及び組織改革等の取組は、機構の信頼回復に向けた機構改革総括を担当する理事としての強いリーダーシップによるものであり、業務実績評価に表れない特段の貢献として業績勘案率を0.1加算すると主務大臣から通知があったものでございます。
以上4件を含みます全86件につきまして、算定ルールや過去の加算・減算事例等に照らし妥当であると考え、「意見なし」としてはどうかと考えてございます。
説明は以上でございます。
【原田評価部会長】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、御質問・御意見ございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言いただけますでしょうか。
金岡委員、どうぞ。
【金岡委員】 ありがとうございます。今回特徴的なのは、JRTTの監事お二人が主務省の御判断で減算になっているということではないかと思います。既に一般の事業会社においては、様々な会社法の改正、それから上場企業ですとガバナンスコードというような形で、監査役の方のお仕事の重要性というのはますます増してきているところでございます。
それから、学校法人、私立学校法が来年の4月に大幅に変わるわけですけれども、直近の私立学校法の条文というのは、令和5年5月に施行されたものは67の条文から成り立っていたのですが、今度、来年の令和7年4月に施行される私立学校法は164条で、一遍に100条近く条文が増えました。増えた部分は何かといいますと、理事、評議員、監事、そしてまた会計監査人と、私立学校、学校法人のガバナンスに関する規定が大幅に強化されたわけでございます。
そういう意味で見ますと、今、世の中全般はやはり法人の透明性確保という方向に大きくかじを切っておりますので、今回、監事のお二人もこうやって任務懈怠ということで減算されたということは非常に大きな事例ではないかと思います。
今年度の理事長ヒアリングでも常に監事の皆様に御陪席いただいておりますけれども、どちらかといいますと一般の事業会社よりはさらに一歩引いた形での御発言が多かったように思います。監事の皆様の世の中から期待される役割というのは非常に高まりを見せているということを、事務局の皆様を通じてまた御発信いただければ良いのではないかと考えております。
以上です。
【原田評価部会長】 ありがとうございました。
いかがでしょうか、谷口管理官。
【谷口管理官】 御意見ありがとうございます。御指摘のとおり、独法における監事の役割というのは非常に重要だと思っております。前回の制度改革においても監事の機能強化が図られたところでございますし、最近の情勢を鑑みても、ますます監事の果たさなければならない役割というのは重要になってきていると思っております。
監事の役割の重要性、それから、今回のようにきちんと任務を果たさないとこういったことがありますよというようなことは、当委員会と監事との意見交換など、監事とのつながりもございますので、そういった機会を捉えて、監事ともよく意見交換してまいりたいと存じます。
【金岡委員】 ありがとうございました。
【原田評価部会長】 ありがとうございました。これまでも監事の減算というのは、少しでしょうけれども、いくつかあったということでございますし、また、金岡委員がおっしゃるように、これまで以上に監事の役割が期待されているということは間違いないと思います。法人へのヒアリングでは、監事の方から、つい半年前に着任したばかりなのでよく分かりませんといったお話を伺うこともありますが、それはどうなのかということを委員の皆様は思っていらっしゃるのではないかと。他方で、監事の方々は場合によっては非常勤の方々であったり、複数掛け持ちしていらっしゃったりと、その辺りの体制をどう考えるのかというのは予算の面も含めて考えなければいけない問題ではないかという御指摘かと思いました。
ほかの方々、よろしゅうございますか。
それでは、本件につきましては、意見なしとさせていただくことで御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【原田評価部会長】 ありがとうございました。
それでは、本件については、意見なしと整理させていただきます。事後の処理につきましては、事務局に一任させていただきます。
最後に、次回の評価部会について、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
【谷口管理官】 次回につきましては、2月17日月曜日、委員会に引き続いて評価部会を開催予定でございます。会場につきましては、中央合同庁舎2号館8階第1特別会議室、それからウェブ会議も併用したハイブリッドの開催を予定しております。
以上でございます。
【原田評価部会長】 以上をもちまして、第68回独立行政法人評価制度委員会評価部会を閉会いたします。本日は皆様、お忙しい中、御出席くださいましてありがとうございました。
(以上)