(委員)澤田道驤マ員長、栗原美津枝委員長代理兼評価部会長、長村彌角会計基準等部会長、金岡克己委員、河合晃一委員、佐藤綾子委員、島本幸治委員、高橋真木子委員、野ア邦夫委員、藤川裕紀子委員、大原美保専門委員、小田勇樹専門委員、清水剛専門委員、横田響子専門委員
(事務局)平池行政管理局長、中井大臣官房政策立案総括審議官、見次管理官ほか
【澤田委員長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第53回独立行政法人評価制度委員会を開会いたします。
本日の会議は、傍聴者には会議の模様をオンラインで中継しております。
本日は議題が3つございます。1つ目は「令和7年度に中(長)期目標期間が終了する独立行政法人等に係る調査審議の状況について」、2つ目が「独立行政法人の令和6年度業務の実績に係る評価等の点検等について」、3つ目が「『目標及び指標の記載例』の改正について」、でございます。
議題に入る前に、7月1日付で事務局において幹部の交代がございましたので、一言御挨拶をお願いしたいと思います。
中井大臣官房政策立案総括審議官、よろしくお願いいたします。
【中井大臣官房政策立案総括審議官】 中井でございます。独法評価のお仕事をさせていただくのは8年ぶりでございまして、前回は主に厚労省と文科省の担当の管理官として携わらせていただきましたが、それから時間もたちましたので、また勉強させていただきます。どうぞ御指導を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。
【澤田委員長】 よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
次、見次管理官、よろしくお願いします。
【見次管理官】 7月1日付で着任いたしました、見次と申します。独法の関係の仕事は初めてですが、よく勉強して御指導賜りたいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【澤田委員長】 よろしくお願いいたします。
それでは、まずは議題1の「令和7年度に中(長)期目標期間が終了する独立行政法人等に係る調査審議の状況について」、栗原評価部会長から御説明をお願いいたします。
【栗原評価部会長】 評価部会では、今年度の見直し対象法人24法人について、3つのユニットに分かれて主務省との意見交換を行い、その後、ユニット会議を開催いたしました。主務省ヒアリングでの議論等も踏まえまして、各法人の今後の論点となり得る事項について、各ユニットの主査から報告をお願いしたいと思います。
それでは、第1ユニット主査の金岡委員、お願いいたします。
【金岡委員】 金岡でございます。第1ユニットでは、文部科学省が所管する計8法人を担当しており、これらの法人について、主務省ヒアリング及びユニット会議での議論等も踏まえ、今後の論点となり得る主な事項について御報告いたします。
一つ目の法人は、国立特別支援教育総合研究所(特総研)です。法人に求められる役割は、研修参加者の行動変容につなげ、また研修参加者を通して、学校現場の教職員の意識変更、行動変容につなげることであるということを踏まえ、アウトカムを指標とするべきではないか。法人が実施する研修等のターゲットが、通常の学級の担任を含む全ての教員に広がってきていることを踏まえ、教職員支援機構とのオンライン研修プラットフォームの共有や人材確保・育成などに取り組むなど、限られたリソースの中で効率的に法人の役割を最大限に果たすための工夫が必要ではないか、などの内容がございました。
二つ目の法人は、教職員支援機構(NITS)です。1点目は研修実施に係る「指標の適切性」について、また、2点目はオンライン研修プラットフォームの共有などによる「関係機関の連携」について、一つ目の特総研と同様の論点です。
三つ目の法人は、国立科学博物館(科博)です。ここは四つ目の国立美術館、五つ目の国立文化財機構と併せ、3法人に共通する論点となり得る主な事項が3点ございますので、科博を代表例にまとめて説明させていただきます。
1点目は、「ナショナルセンターとしての取組」に関する事項です。ナショナルセンターの役割、役割に対する成果、指標の適切性について法人の認識を聞くこととしております。また、地域の施設や、文化庁所管の複数の独立行政法人においても、DX、サイエンスコミュニケーション、ファンドレイジング等の共通の機能群があるが、これらの強化・連携について、法人としてマクロな方向性をどのように考えているか。また、本法人において、これらの関係機関との共通の機能群の強化・連携について、どのような取組が考えられるか、法人に聞くこととしております。
2点目は、収蔵品が今後も増え続ける中で、現時点での収蔵率と今後の見通し及び収蔵庫の維持・整備に関して、中長期的な計画を立てて着実に実施すべきではないか。併せて、何を収集すべきかの基本的な考え方(コレクションポリシー)が必要なのではないか、という論点です。
3点目は、光熱費の増加、システムの維持管理のための固定的な経費の増加など、館の維持管理に要する経費が増大する中で、現状の経費に見合う入場料を徴収することや、需要の変動に応じて価格を調整するダイナミックプライシングの導入など、安定的な法人運営に資する自己収入の確保に向けて、どのようなものが考えられるかとしております。
六つ目の法人は大学入試センターです。受験者数の減少に対応するための取組として、試験問題の検討、作成、会場準備、試験実施、採点、発表等の試験実施の各業務について、DXを活用した効率化の余地はないか。受験申込みのオンライン化を進めるに当たり、誰に、どのような効果を見込んでいるか。また、情報セキュリティ対策は万全か。受験者数の減少という外部環境の大きな変化の中で、本法人の今後の活動を高度化するための検討は進んでいるか。また、その体制は十分か、などの論点がございました。
七つ目の法人は、国立青少年教育振興機構です。青少年人口が減少している中で、青少年教育のナショナルセンターとして、今後の体験活動の提供の在り方をどのように考えているか。体験活動の提供等を行う公私立の施設が複数ある中で、法人の強みは何か。法人の強みを改めて再認識し、アピールしていく必要があるのではないか。青少年人口が減少している中で、新たな利用者像をどのように考えているか、などの内容がございました。
八つ目の法人は、海洋研究開発機構です。希少な海洋資源の開発及び実用化に向けた取組は国として重要であり、これら前段階となる海洋鉱物資源の調査に係る研究開発を推進するべきではないか。その際、これらの役割を推進するための人材配置、国内外の関係機関との連携・役割分担などが必要ではないか、などの内容がございました。
以上、第1ユニットが担当する8法人について、御説明いたしました。私からは以上です。
【栗原評価部会長】 ありがとうございます。
次に、第2ユニット主査の河合委員、お願いいたします。
【河合委員】 第2ユニット主査の河合でございます。第2ユニットでは、総務省、財務省、文部科学省、農林水産省が所管する計8法人を担当しており、これらの法人について、主務省ヒアリング及びユニット会議での議論等も踏まえ、今後の論点となり得る主な事項について御報告いたします。
一つ目の法人は、総務省が所管する情報通信研究機構です。情報通信社会の進展に伴って業務が拡大していく中で、法人全体として適切かつ計画的に業務遂行していくため、環境変化を踏まえた業務の重みづけを行ったうえで、時々の重点業務の状況等を踏まえつつ、常勤、・有期雇用の職員体制の在り方など、職務執行の在り方を継続的に見直していくべきではないか、などの内容がございました。
二つ目の法人は、財務省が所管する酒類総合研究所です。業務の範囲が拡大している一方で、体制自体には変化がないが、体制が適切なものとなるよう、必要に応じて体制強化を行い、キャパシティに配慮しつつ、業務の重みづけを行い、注力すべき分野を特定すべきではないか、などの内容がございました。
三つ目の法人は、文部科学省が所管する国立女性教育会館(NWEC)です。この法人は、本年の通常国会において法案が成立いたしましたので、男女共同参画機構という新法人が設立されるとともに、内閣府が主務省となります。
法人の立ち上げが円滑になされ、機能が発揮できるように、内閣府、文科省、法人がよく連携して業務を進めるべきではないか。また、日本各地の男女共同参画センターや民間団体等とも新法人設立に向けた準備段階からネットワークの構築に取り組み、地域ごとの男女共同参画に係る課題の情報収集・分析を進め、円滑な連携・協力体制の構築を進めるべきではないか、などの内容がございました。
これ以降の5法人は全て農林水産省所管の法人となります。
昨年6月の食料・農業・農村基本法の改正及び本年4月の食料・農業・農村基本計画の策定や外部環境の変化を踏まえた、各法人における適切な業務の重み付け及び資源の重点配分が共通的な論点となり得る事項です。
また、社会実装につなげる取組についても、共通して法人に聞くこととしております。
それでは、個別法人の論点となり得る主な事項について御説明をいたします。
まず、四つ目の法人となる家畜改良センター(NLBC)です。担い手不足や厳しい経営状況など、畜産農家を取り巻く環境を踏まえ、家畜改良センターとしても自らの強みを生かしたスマート畜産の推進など、現場のニーズに合致した省人化、効率化のための取組をより積極的に進めていくべきではないか、などの内容がございました。
五つ目の法人は、農業・食品産業技術総合研究機構です。スマート農業研究による技術開発を推進するとともに、食料・農業・農村基本計画におけるKPIを踏まえた適切な指標を設定すべきではないか。また、KPI達成に向けた体制強化、取組について、どのような工夫が考えられるかなどの内容がございました。
六つ目の法人は、国際農林水産業研究センターです。海外を研究の主対象とする法人であるが、国内・海外ともに共同研究数が年々増加する一方、職員数が一定水準で変化しない状況において、どのように研究活動等行っているのか。また、他法人・他機関との協力強化等を含め、今後の人的リソースの配分などをどのように考えているか、などの内容がございました。
七つ目の法人は、森林研究・整備機構(森林機構)です。林業従事者の減少に対して、森林機構の果たす役割にどのようなことを期待しているか。「林業労働者の確保の促進に関する基本方針」の変更に伴い、雇用が高齢者・女性・障害者、外国人材へと拡大する中、森林機構はどのような技能指導等を行っていくのか。機械化による労働力確保について、誰が使うために機械化するのかという大きな視点が必要なのではないか、などの内容がございました。
八つ目の法人は、水産研究・教育機構となります。漁業就業者数が年々減少する中、スマート水産業研究などによる技術開発の推進に向けて、どのような取組を行っていくか。また、水産業を担う人材育成のための水産に関する学理・技術の教授、研究を推進する水産大学校においては、人材確保・育成に当たり、現在どのような取組を行っており、今後どのような展望を持っているか、などの内容がございました。
以上、第2ユニットが担当する8法人について御説明いたしました。私からは以上です。
【栗原評価部会長】 ありがとうございます。
最後に第3ユニット主査の島本委員、お願いいたします。
【島本委員】 第3ユニット主査の島本です。第3ユニットでは、国土交通省、環境省、法務省が所管する計8法人を担当しており、これらの法人について、主務省ヒアリング及びユニット会議での議論等も踏まえ、今後の論点となり得る主な事項について御報告いたします。
まず、国土交通省が所管する6法人です。
一つ目の法人は、海技教育機構です。入学者募集のための広報活動について、現行中期目標・計画では回数のみが指標として設定されているが、活動の成果(アウトカム)も追求すべきではないか、などの内容がございました。
二つ目の法人は、航空大学校です。例年、定員の108名を大きく上回る出願者を確保している一方で、資格取得(卒業)者数、就職者数は定員を下回っている現状がある。質の高い操縦士の安定的・計画的な養成をミッションとする法人として、操縦士の大量退職にどのように対応するのか、などの内容がございました。
三つ目の法人は、自動車技術総合機構です。自動運転機能等を有する車に対する検査(OBD検査)が昨年10月に運用開始されました。この検査結果は、オンラインで機構のデータベースに集約されることを踏まえれば、DXの観点や海外展開支援など、機構に資する他の用途への活用について具体的に検討すべきではないか。また、収集したデータについては、研究機関等での活用が可能な形で提供を行うべきではないかなどの内容がございました。
四つ目の法人は、空港周辺整備機構です。福岡空港の第2滑走路が令和7年3月20日に供用開始され、機構は令和11年3月末に廃止予定とされているが、福岡国際空港株式会社への承継計画の検討等について支障はないか、などの内容がございました。
五つ目の法人は、水資源機構です。今後、ダムの再生や水路の耐震対策などの高度な専門性を有する職員が求められるところ、足元では常勤職員数が減少傾向にある中で、経験者の採用や退職者の再雇用を実施しているとのことだが、特に技術系の人材の確保・育成について機構としてはどのように考えるか。また、人材について、現状、現場での不足感はないか。デジタル化への推進に当たっての人材確保も必要ではないか、などの内容がございました。
六つ目の法人は、日本高速道路保有・債務返済機構です。機構の有利子債務について、今後の金利変動や資金調達環境の変化に対応するためのシミュレーションの高度化の検討については、早急に取り組むべきではないか。高速道路会社に対する道路資産の貸付料収入は元本返済に直結するが、今後の動向も踏まえた適正な水準となっているのか、などの内容がございました。
七つ目の法人は、環境省が所管する国立環境研究所です。地球規模の環境に関する社会課題の解決に貢献することが重要であるため、国内外の大学や研究機関等との連携を更に強化していくべきではないか。法人の活動を通じ、国や地方の環境対策の推進に一層貢献していく観点から、法人の業務について、どのような優先順位付けが適当だと考えるか。その際、研究開発の成果を評価するために、どのような評価軸及び評価指標を設定することが適当だと考えるか、などの内容がございました。
八つ目の法人は、法務省が所管する日本司法支援センター(法テラス)です。法テラスは準用法人となっており、委員会は評価結果への意見及び業務・組織見直しの内容への勧告ができますが、目標そのものへの意見を述べることはできません。
社会経済情勢が変化する中で、法人の業務範囲・内容が拡充されているとともに、コロナ禍明けに伴い、情報提供業務等における援助件数も増加しているところ、法人の業務負担軽減を図る観点からも、関係機関との連携を一層推進すべきではないか、などの内容がございました。
以上、第3ユニットが担当する8法人について御説明いたしました。私からは以上です。
【栗原評価部会長】 ありがとうございます。各ユニットからの状況報告は以上となります。
私からは以上でございます。
【澤田委員長】 ありがとうございました。各ユニット主査からの論点整理、非常に重要なポイントかと思います。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等ございましたら、よろしくお願いしたいと思います。
河合委員、お願いします。
【河合委員】 ありがとうございます。多くの法人が業務拡大していく中、現状の組織体制や人員で、今後どのように法人運営をしていこうと法人の理事長が考えておられるのかについて共通的な関心を持っています。
また、主務省ヒアリングでは、DX化の対応について共通的に主務省の御認識をお尋ねしたところですが、法人ヒアリングにおいても、DXに関する現状の体制、また今後の見通しについて理事長の御認識をお伺いしたいと思っております。以上のような組織体制の面について共通的にお伺いすることを意識しながら、法人にヒアリングしたいと思います。
【澤田委員長】 ありがとうございました。
では、野ア委員、お願いします。
【野ア委員】 野アでございます。今、河合委員からもお話がありましたとおり、共通的な課題として、DXが論点としては多く出てくるのではないかと思っており、その中で、DXという言葉というのはかなり前から出てきていますが、ここ2年ほどの間で生成AIというのがDXの中でもう避けて通れないツールになってきているのではないか、DXを進めるに当たっては、生成AIを活用するということが出てくるのではないかと思います。しかし、一方で生成AIはかなり危険なところもあり、データが流出するような、使い方によっては危険なこともあると思うので、ぜひ生成AIは使ってほしいと思う一方で、セキュリティをしっかりしていただきたいなというのが要望でございます。
以上でございます。
【澤田委員長】 ありがとうございます。重要なポイントかと思います。
長村委員、どうぞ。
【長村委員】 ありがとうございます。会計基準等部会では、経営努力認定が一つの論点となっており、これからどのように活用を進めていくかという論点が委員の皆さんから出ています。今、野ア委員がおっしゃったようなDXなどを含めると、かなりの財源が必要になると思います。財源が必ずしも増えない中で、どのように優先順位を付けてDX化や人材育成を進めるかや、どの程度のDXにどの程度のお金を投じていくか、ということも含めてヒアリングをする観点として必要かなと少し思いました。
以上になります。
【澤田委員長】 ありがとうございます。
佐藤委員、よろしくお願いします。
【佐藤委員】 ありがとうございます。今回報告を伺い、複数の法人に共通したキーワードでアウトカム重視という言葉が出ました。これは非常に重要な論点だと思っており、どのような組織においても、現場では達成可能性の高いアウトプットをPDCAにおける指標とすることが多いため、このようにアウトカム重視を喚起し、そしてアウトカムとアウトプットの関係、KGIとKPIの関係などをしっかりとチェックすることは非常に重要だと感じました。
また、これまで会計基準等部会で事業報告の開発に関わってまいりまして、このようなアウトカムの開示というのは非常に国民への説明においても有用だと思いますので、ぜひ、この委員会のフィードバックを事業報告の見直しにもフィードバックして、よりよい事業報告の開発にも貢献できればと感じました。
以上でございます。
【澤田委員長】 ありがとうございます。
では、大原専門委員、よろしくお願いします。
【大原専門委員】 大原です。私は第2ユニットで活動しております。共通の課題として人材不足というのが見られますが、私が今年初めてこの活動に参加させていただいた中で、初めて知った法人の活動もあり、活動を広報で周知することの大切さをますます痛感しました。人材不足の前に、法人を知ってもらっていないと人も集まらないと思うので、共通の課題として、どのように人に伝わる広報をやるかということがあるのではないかと思います。
以上です。
【澤田委員長】 ありがとうございました。
栗原評価部会長、どうぞ。
【栗原評価部会長】 ありがとうございます。私も各ユニットのヒアリング等に一緒に参加して感じたことが幾つかございます。
1点目は、今回の論点は前回の中(長)期目標策定時の論点と共通する点が多々あると思います。それは常に論点が共通しているが、それに対する解が毎回違うという論点もありますが、前回大きな論点としたにもかかわらず、今回もそれが解決されていないように見受けられる論点もありましたので、この中(長)期目標期間中に解決されていない要因を分析し今回の論点を深掘りしていただきたいと思います。
2点目に、組織運営に関して、ほかの委員からも意見がありましたが、その一つが、人材の問題です。これは法人の活動が社会の人材を育成するという効果もありますが、法人自体の組織の中で人材問題を抱えていると思います。この人材の中には、今後必要とされる専門人材だけではなく、安定的な運営のための人材も不足している深刻な問題だと思う法人がありました。
それから、組織運営の2点目として、財政問題です。深刻な財政問題を有する法人が今回散見されました。対応については、法人負担でやることだけでなく、国負担や利用者負担でやることも考える必要があるのではないかと思う財政上の課題を持った法人もあると思いました。
最後に、今回、組織変更がNWECでございましたので、ぜひ組織変更後の業務がうまく回るように注視する必要があると思います。
【澤田委員長】 ありがとうございます。同じ論点であってもうまく進捗して全体的な成果につながっているといいですが、その点も含めてヒアリングをお願いできればと思います。
ほかに御意見等、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。各ユニット主査から補足等あればお願いします。金岡委員、お願いします。
【金岡委員】 ありがとうございます。DXをはじめ、共通する課題についてということでございますが、第1ユニットにつきましては、このユニットの中だけでも共通する話題が幾つかございます。例えば、ナショナルセンターという言葉は各法人使っていますが、そこで意味するものを確認していきたいと思います。
もう一つは、今ほど財政問題の話がありましたが、建物、施設等、老朽化してきている問題が、特に文部科学省の幾つかの法人の中で出てきております。報道等によれば、国立劇場の建替えもなかなか進捗が厳しいと聞いておりますので、このような老朽化した施設についてどのような対応を主務省と一緒に考えているのか。このような観点も幾つかの法人に共通しておりますので、確認したいと思っております。
以上でございます。
【澤田委員長】 ありがとうございます。
藤川先生、お願いいたします。
【藤川委員】 藤川です。今、金岡主査がおっしゃいましたが、ナショナルセンターという言葉に関しては、私もヒアリングをしていく中で、この言葉を使っただけでその法人がいかにも存在意義があるかのように使われているところも多く見受けられまして、その内容を明確にしてもらわなければいけないと感じました。
それと、先ほども出ていたDX化の問題ですが、いずれの法人もDX化に関して、手作業を電子で置き換えることで手いっぱいのところがほとんどで、DX化に関する困難が様々なところで見受けられ、いずれの法人も同じようなことをその法人の中だけで、またそれぞれの法人の予算の中だけで、手探りで解決しようとしていると感じました。同じような目的を持っていながら、別のシステムを組み上げることが非常に多く、そうであれば、一つのプラットフォームを使って一緒にやったほうが予算も大きくなり、データベースも非常に大きくなるため、国のためにもなるなというようなことを感じました。
以上です。
【澤田委員長】 ありがとうございました。
では、横田専門委員、よろしくお願いします。
【横田専門委員】 2点申し上げます。まず、今年も法人間、あるいは他機関との連携というのが多く話に上がってきています。その点は我々も深くヒアリングしますが、DXに関して、第2ユニットでは河合主査が毎回、各法人、DX人材をどのように運営しているかという質問を投げかけていただいております。その中で、法人間や法人と主務省間で連携し、DXを補強している例も挙がっておりましたので、法人内の完結だけではなく、新たな体制でのDXというのも生まれてきていると考えております。
2点目は、空港周辺整備機構について、3年前に、ユニットで担当いたしました。その当時、法人が閉じるというまれな例であるということで様々議論になりましたが、スムーズな移管に当たって閉じて無くなる業務について、例えば周辺住民と折衝業務を多く行ったことで、多くのノウハウがたまっているが、民間のほうに引き継ぐものではないという情報も多く持っているかと思います。そういう閉じる法人の情報を適切に保全していきたいという議論をしていたので、その点踏まえて、ぜひ主務省とコミュニケーションをとっていただきたいと思います。
以上です。
【澤田委員長】 ありがとうございました。
第2ユニット主査の河合委員、お願いします。
【河合委員】 ありがとうございます。先ほど栗原部会長から言及していただいたNWECについて、主務省へヒアリングした際にも、内閣府、文科省、法人の現状の連携状況や、各地の男女共同参画センター等とのネットワーク構築の取組状況等について質問をいたしました。主務省の御認識としては、現状、非常に密に連携をしているということでしたが、この点について、法人ヒアリングにおいても議論を深掘りする形で理事長の御認識をお伺いしたいと思います。
また、大原専門委員から御指摘のあった、法人を広く社会に認知してもらうための広報が重要ではないかとの点について、まさに今回、国立女性教育会館(NWEC)が男女共同参画機構という新法人になりますので、改めて社会への周知が重要になると考えております。新法人につきましても、ぜひNWECのような通称を考えていただき、社会にアピールしていただきたいと思います。ジェンダー学界隈ではNWECという法人名が広く認識されていますので、法人名が変わった後の周知を積極的に行うことが必要と考えております。
【澤田委員長】 ありがとうございました。
第3ユニット主査の島本委員、お願いします。
【島本委員】 ありがとうございます。第3ユニットは国交省所管が中心ですが、やはりDX対応、それから人材確保が共通する課題になっていて、ただ、フォーカスが変わってきたかなという印象です。まず、DXにつきましては、御案内のとおり、テクノロジーは日進月歩でございますので、生成AIの対応も含めたデータベースの収集、あるいはその活用が重要になってきているなと感じました。ほかの委員からも御指摘がありましたが、法人間、あるいは省庁横断的な協力が必要かと思いますので、しっかり聞いていきたいと思います。
それから、人材確保について、民間でも抱える課題だと思いますが、これは人口動態であるとか、あるいは若い方の働き方の感覚が大きく変わってきており、法人の場合、民間にできない非常に大きな役割を担われているので、その役割の重要性や魅力をもう少しうまく伝えられるのではと感じましたので、ヒアリングでしっかり意見交換したいと思います。
あと、横田専門委員から御指摘された移管につきましても、空港周辺整備機構について、情報管理、保全についてもしっかり確認していきたいと思います。
私からは以上です。
【澤田委員長】 ありがとうございました。
最後に、栗原評価部会長、お願いします。
【栗原評価部会長】 ありがとうございます。本日の議論を踏まえまして、評価部会としては、今後、各法人へのヒアリングを実施し、法人の状況を把握するとともに、今後の目標策定に向けて、ただいま説明のあった論点を深掘りし、法人と議論をする中で課題の真因が何かというようなところ、あるいは現場を見させていただいて理解を深めることで、より具体的に調査審議を進めてまいりたいと思います。
【澤田委員長】 ありがとうございました。評価部会におきましては、引き続き精力的に調査審議をお願いしたいと思います。
それでは、議題2「独立行政法人の令和6年度業務の実績に係る評価等の点検等について」、事務局から説明をお願いします。
【見次管理官】 事務局でございます。例年、8月を目途に各主務大臣による評価結果が公表されることになっており、今年度は一つ目に、見直し対象法人についての見込評価と、その評価結果等を踏まえた業務・組織の見直し、二つ目に、準用法人を含めた88の法人についての年度評価、三つ目に、前年度の見直し対象法人についての期間実績評価、四つ目に、昨年度末で主務省令期間が終了した行政執行法人についての効率化評価が行われます。
このうち、見込評価と業務・組織の見直しについては、中(長)期目標期間におけるPDCAサイクルの「C」に対応する部分として、次期の目標に直接つながるものであることから、今年度も例年と同様に、見直し対象法人に係る調査審議の中で、次期目標案の策定に向けました留意事項と一体的に御審議いただきたいと思います。
他方、年度評価、期間実績評価及び効率化評価については、主務大臣による目標期間中の進捗管理等を目的としているものの、委員会といたしましては、著しく適正を欠く評価と認められるもの等がないかの確認のため、例年、点検を実施しているところでございます。本議題においては、後者の年度評価等に関する今年度の点検方針について御議論をいただければと思います。
【澤田委員長】 ありがとうございました。
それでは、本件につきましては、栗原評価部会長から発言があるということなので、よろしくお願いいたします。
【栗原評価部会長】 年度評価等の点検に関してですが、今年度も、評価部会において「独立行政法人評価制度の運用に関する基本的考え方」に示した視点から点検を行い、点検結果を委員会に報告し、委員会において必要な意見等の取りまとめを行うという形を想定しております。
「基本的考え方」の主な内容を改めて申し上げると、中期目標管理法人及び国立研究開発法人の年度評価については、PDCAサイクルを回す上で特に重要な局面において適切な記載となっているか、特に、C以下の評定を付した評価項目において、要因分析や改善方針等が記載されているか、複数年連続して所期の成果を下回っている取組について、従前の改善策等の検証がなされているかどうか。また、法人の内部統制に影響する事案等について適切な記載となっているか、特に不祥事案や会計検査院からの指摘等、法人において改善を要する事案への対応が検討されているかといった視点から点検を実施することとしております。
中期目標管理法人及び国立研究開発法人の期間実績評価については、活動の成果が一般社会へ与える影響や今後求められる取組の方向性が説明される等、国民一般にとって分かりやすい評価書となっているか、また、今年度は該当する事案はありませんが、見込評価時に出された意見に適切に対応しているかといった視点から、点検を実施することとしております。
行政執行法人の年度評価については、これら中期目標管理法人・国立研究開発法人の年度評価及び期間実績評価と同様の視点から点検することとしております。
行政執行法人の効率化評価については、合理的な根拠・説明に基づき評価が付されているか、また、実績と目標との関係が明確で、必要な比較分析が行われているかといった視点から点検を実施することとしております。
以上が「基本的考え方」に示した点検の視点です。
委員会としては、評価が実際に法人の業務運営やマネジメントに十分に活用され、法人の業務の改善につながっていくというPDCAサイクルの促進によって政策実施機能が最大化されるということが重要であると考えています。この評価が、法人自体が行っている評価と一体的に回るような評価にしていきたいと思います。したがいまして、委員会としても、効率的な点検の実施に努めつつ、必要な点検をしっかりと行っていきたいと考えております。
なお、これらはあくまで委員会が行う第三者機関としての点検の姿勢を示したものであり、各主務大臣におかれては、「基本的考え方」に示した点検の視点も含め、評価指針に即して、責任を持って、適正な評価の実施及び目標期間中の進捗管理をしていただくこと、さらには、評価の機能の最大限活用できるような創意工夫に努めていただくことを期待しております。
以上でございます。
【澤田委員長】 ありがとうございます。ただいまの栗原評価部会長からの説明につきまして御意見等ございましたら、皆さんのほうからよろしくお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
藤川委員、よろしくお願いします。
【藤川委員】 (1)の法人の内部統制について、不祥事案についてしっかり記載されているかどうかということがポイントに挙がっていますが、実際に各法人での評価等に携わっていますと、発生時点と現状によっては、必ずしも記載しないような傾向があります。期間中に発生したが調査中なので記載しない、あるいは、3月末までに発生していなかったから翌年度書くということでしたが、翌年になると、もう解決しているので書かなくてもいいのではないかと言われるようなことがございます。不祥事案が起きているということは、健全な運営をしていく上で、何かしらアラームが生じているものと思われますので、評価する側としては、そのような事象を幅広に把握したいと考えます。これらを法人に促すことに加えて、主務省の姿勢によって書き方が違う部分があると感じられることもありますので、一定の、ルール化がいいのかどうかは分からないですが、御検討いただいたほうがいいのかなという印象を持っております。
以上です。
【澤田委員長】 ありがとうございました。重要な御指摘かと思います。事務局から御回答お願いします。
【見次管理官】 こちらの不祥事案等について、年度評価の中で対応していくということは、まさに法人の中でその生じた事案について認識をいただいて、改善につなげていくことを評価のプロセスの中に盛り込み、改善につなげていくことがその趣旨ですので、個別の事情に応じて、いつの時点で対外的にオープンにできるかといった観点もございますが、このような評価の趣旨に照らして適切な対応になっているかについて今年度の評価の中でもよく見てまいります。
【澤田委員長】 ありがとうございます。
野ア委員、お願いします。
【野ア委員】 会計基準等部会で、法人の自己収入の計算の仕方といいますか、自己収入が出た場合には、その法人は自分の裁量でもってそれをまた使うことができるというような立てつけにはなっていると思います。経営努力認定を行っている法人というのは、たしか3法人ぐらいしかなかったと思いますが、それらについて自己収入を創出するということも、その法人のモチベーションにもなるかもしれないし、例えばDXを使うことによって、さらに法人の活動を発展していけるということもあるが、それらは評価の対象になるのかどうか。
【澤田委員長】 では、事務局から御回答ください。
【見次管理官】 自己収入の確保が法人の目標との関係でどう扱われるかというのは、やや距離がありますが、自己収入等の確保の趣旨は、法人に経営上のインセンティブを与えて経営努力していただき、それが業績につながっている場合には評価の対象になる場合もあるとは存じます。趣旨としては、インセンティブを与えて、裁量をもって取り組んでいただくということです。
【澤田委員長】 ありがとうございます。野ア委員、よろしいですか。
【野ア委員】 はい、大丈夫です。
【澤田委員長】 そのほかございますか。
では、金岡委員、よろしくお願いします。
【金岡委員】 ありがとうございます。先ほど藤川委員の御質問にあった不祥事案についての意見ですけれども、一般の事業会社ですと、決算日の後、株主総会まで日があります。その間に起きた重要事象について、監査上どう取り扱うかというのは、ルールがある程度定まっていると思います。そのような意味では、先ほどの御指摘というのは、締めた段階と実際に報告書を作る間に起きた事柄について、どこにどのように記載するかのルールが法人の場合ははっきりしていないということなのかなとも思いますので、監査上のポイントとして、お考えいただく必要があるのかなと思った次第です。
以上です。
【澤田委員長】 ありがとうございます。公開しないといけないものは公開するということを含めて考えていかなければならないと思いますが、事務局のほうから御回答ください。
【見次管理官】 御指摘ありがとうございます。評価が活用されて法人の改善につなげていくという趣旨と御指摘を踏まえて、どういったところが適切かということはよく考えてまいりたいと存じます。
【澤田委員長】 ありがとうございます。
この評価をしっかりやることで、どうやって法人の次の活動に生かすのかということがポイントになると思いますので、今日の議論を生かしながら次に進めていければと思います。
それでは、ただいま御説明いただきましたとおり、年度評価等の点検を進めていくこととします。点検の結果は、点検が終了次第、委員会の場で報告するようお願いします。事務局においても、これを踏まえ、点検に向けた作業をお願いします。
【見次管理官】 かしこまりました。委員の皆様におかれましては、後日御案内する評価書を御覧になって、お気づきの点があれば事務局まで御連絡をいただくようお願いします。
【澤田委員長】 ありがとうございました。
最後に、議題3「『目標及び指標の記載例』の改正について(報告)」、事務局から御説明をお願いいたします。
【伊藤企画官】 事務局より御説明申し上げます。上段から順を追って御説明いたします。
「独立行政法人の目標の策定に関する指針」において、主務大臣は、目標等の策定に当たり、総務省行政管理局長が示す「目標及び指標の記載例」を参照することとされております。今般、この記載例を、一般管理費及び事業経費に係る効率化目標の記載例を追加する形で改正しましたので、御報告いたします。
改正の背景・趣旨ですが、従前より効率化目標は、政府方針や目標策定指針において、画一的で硬直的な目標ではなく、各法人の特性、事業等の内容に応じて適切に設定することとされております。
また、昨年11月に委員会において御議論いただきまして、法人の業務管理及び内部管理について、昨今、人的資源の確保が困難となっている状況等を踏まえ、法人が引き続き質の高いサービスを継続的に提供できるよう、法人業務の重み付けの適切な実施とともに、DXの推進等による業務の効率化を促した上で、必要なリソースを確保することを通じて、法人が質の高いサービスを継続的に提供できるようにすることを求めたところです。
昨今の物価や人件費の高騰など、法人を取り巻く厳しい外部環境の中で、必要なリソースを確保するため、法人の事務・事業の実態を踏まえた多様で柔軟な目標設定が可能である旨、改正例を追加し、各主務省に示しております。事務局は、本記載例の改正に合わせ、各主務省に対し、改正の趣旨を対面で個別にお伝えしてまいります。
説明は以上でございます。
【澤田委員長】 ありがとうございました。
最後に、事務局からその他、報告事項等あればお願いします。
【見次管理官】 次回の委員会は12月4日木曜日の午前10時からの開催を予定しております。本日の委員会と同様に、この中央合同庁舎2号館の8階第1特別会議室、それからウェブの会議も併用したハイブリッドの開催を予定しております。
以上でございます。
【澤田委員長】 ありがとうございます。
それでは、以上をもちまして、第53回独立行政法人評価制度委員会を閉会いたします。
続いて評価部会を開催すると聞いておりますので、以降は、栗原評価部会長に引き継ぎたいと思います。
本日は皆様、お忙しい中、御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
(以上)