(委員)栗原美津枝評価部会長、金岡克己部会長代理、河合晃一委員、島本幸治委員、高橋真木子委員、藤川裕紀子委員、大原美保専門委員、小田勇樹専門委員、清水剛専門委員、横田響子専門委員
(事務局)中井大臣官房政策立案総括審議官、見次管理官ほか
【栗原評価部会長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第71回独立行政法人評価制度委員会評価部会を開催いたします。
本日の会議は、傍聴者には会議の模様をオンラインで中継しております。
それでは、「中(長)期目標の変更について」、審議を行います。事務局から説明をお願いいたします。
【見次管理官】 本日の諮問案件は4件でございます。各案件の内容につきまして、各担当管理官から御説明をさせていただきます。
【松隈管理官】 厚生労働省担当の管理官の松隈でございます。厚生労働省所管の労働者健康安全機構(JOHAS)です。
今般の目標変更の背景として、法人が運営する労災病院全体の収支について、コロナ補助金の影響により収支がプラスになったものの、コロナ補助金が少額となって以降、昨今の物価高騰や患者減少等によりまして、労災病院の経営状況が悪化し、早急に経営改善を行う必要が認められたことから、原則、全ての労災病院の収支を改善させるため、法人に対して経営改善に取り組むこと等を指示するものでございます。
主な変更点として4点ご紹介します。(1)労災病院ごとに、令和7年度に収支改善計画の策定を原則としていることを踏まえまして、その達成に万全を期すこと、(2)収支改善計画の計画段階で黒字化が困難な労災病院については、地域での検討状況等を踏まえて、移譲や統廃合等の方策について早期に結論を得ること、(3)黒字計画を策定した労災病院のうち、令和7年度中に収支改善が図られなかった労災病院については、令和8年度以降の収支改善計画においても同様の取組を行うこと、(4)指標に関して、各年度の損益計算において労災病院事業の経常収支率が前年度を上回ることとすること、などの記載を追加する予定でございます。
【松本管理官】 農林水産省担当管理官の松本です。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の中長期目標の変更について御説明いたします。
まず、目標変更の背景について、昨今の食料の輸入リスクの顕在化や気候変動による環境問題等への関心の高まりなどがあります。このような状況下において、食料の持続可能な供給ができる食料システムの確立を図るため、持続的な供給に要する合理的な費用を考慮した価格形成と、農業と食品産業の連携強化など、食品産業の持続的な発展に向けた施策を一体として推進することが必要であることから、「食品等の持続的な供給を実現するための食品等事業者による事業活動の促進及び食品等の取引の適正化に関する法律」、通称、食料システム法が令和7年6月に成立いたしました。
追加業務の概要について、同法においては、食品等事業者は、安定取引関係確立事業活動などに関する計画を作成し、農林水産大臣が認定するとしています。農研機構が行う支援措置として、機構が保有する研究開発設備等を認定食品等事業者に対して供用することや、専門家を派遣することが新たに業務に追加されたため、今回、中長期目標に関連する記載を追加するものでございます。
【渡邉管理官】 経済産業省担当の管理官の渡邉でございます。経産省所管の法人のうち、1件目、情報処理推進機構(IPA)でございます。
目標変更の背景・必要性について、本年の通常国会にて成立いたしました「サイバー対処能力強化法」等により、IPAに業務が追加されること等に伴いまして、中期目標に所要の改正を加えるものでございます。
次に、追加業務等の概要について、一つ目が半導体に関する金融支援等、二つ目がデジタル人材の育成、三つ目がサイバーセキュリティの確保でございます。
各追加業務に対応する主な中期目標の変更内容ですが、まず、半導体に関する金融支援等に関して、経産省と連携し、次世代半導体の量産等に向けた出資や債務保証等といった金融支援業務を適切に実施するといった記載や関連する指標を追加しております。
また、デジタル人材の育成に関しましては、IPAが発行する個人IDにひもづくデジタルスキル等の基盤整備、人材育成コンテンツの充実といった記載を追加しております。
また、サイバーセキュリティの確保に関しましては、サイバー対処能力強化法に基づく基幹インフラ事業者等による届出、または報告に係る情報等の整理分析、サイバー攻撃による被害の防止に必要な情報の公表・周知等、重要インフラ事業者等におけるサイバーセキュリティ確保の状況の調査等の記載を追加しております。
以上がIPAについての目標変更でございます。
2件目、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)でございます。
目標変更の背景・必要性について、本年2月に「第7次エネルギー基本計画」が閣議決定されまして、2040年に向けたエネルギー政策の方向性が示されたことを踏まえまして、当該計画の達成に向けて、地熱資源開発支援及び石炭資源開発支援の2点の業務に関しまして、定量的指標等を変更・新設するなどのほか、既存の定量的指標に関連し、目標の達成水準を一層客観的かつ具体的に示すため、目標を上回る水準として特に考慮する事項を設定するものでございます。
主な中期目標の変更内容について、1点目、地熱資源開発支援に関する変更において、第7次エネルギー基本計画の中で、2040年度におけるエネルギー需給の見通しについて、地熱発電の電源構成比が「1%」から「1〜2%程度」に変更されたことを踏まえまして、法人の目標内に対応する指標について、2040年に向けて従来以上の水準に変更するということとともに、同計画の中で経産省が選定した有望地域におきまして、JOGMEC自らが地熱資源の調査を行い、調査データ等を事業者に提供すること。また、掘削した井戸を事業者の求めに応じて引き継ぐこと等により、政府と協力しつつ、事業者を支援するとされたことを踏まえまして、目標内の対応する指標について具体的な支援件数を追加するなどの変更をしております。
また、次の石炭資源開発支援に関する変更でございますが、第7次エネルギー基本計画の中で、石炭の自主開発比率は2040年に60%を維持するとともに、一般炭の自主開発比率低下に伴う補完指標として、一般炭の複数年ターム契約の比率を計測し、必要な施策を検討するとされたことを踏まえまして、目標内の対応する指標について、海外地質構造調査、リスクマネー供給等の成果により獲得された引取権等として、第5期中期目標期間末において400万トンの積み増しを目指すと変更するとともに、新たな指標として、主要産炭国等及び資源ポテンシャルのある新たな地域、あるいは新規調達先として可能性のある地域において関係維持構築を図る取組のほか、必要に応じた資源外交活動を令和7年度以降において、毎年度5か国・地域以上で行うことを盛り込んでございます。
このほか、定量的指標につきまして、目標を上回る水準として特に考慮する事項を設定してございます。
経産省所管の2法人については、以上でございます。
【見次管理官】 諮問案件についての御説明は以上でございます。
【栗原評価部会長】 ありがとうございます。4法人につきましての説明をいただきました。ただいまの事務局の説明につきまして、御質問、御意見などございましたら、どなたからでも結構でございますので、御発言をお願いできますでしょうか。
なお、改めてお伝えさせていただきますが、本議論においては、政策内容の是非というよりは、政策内容に照らして目標や指標が適切に変更されているか、という観点を中心に御議論いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
清水専門委員お願いします。
【清水専門委員】 労働者健康安全機構について、私も前回の中期目標期間中に一度訪問させていただいて状況も伺って、非常に厳しい状況であるとお話を聞いている中で、このような目標変更に至っていることは、残念ながら仕方ないと受け止めております。こういう形になった上で、この先、さらに地域との連携や改善計画も含め出せていけるのかということや、さらに次の中期目標期間中に関係者が努力してどのように見直していくのかというところまでセットで考えるのが筋だと思っておりますので、一旦それぞれの病院が頑張って数字を出していきましょうという話とともに、その先、またどういう改善ができるのかというところまでつながっていけばいいなと思っておりますので、中期目標期間という中でも、連続性を持って次につなげていけるような取組になるといいなと思っております。
以上です。
【栗原評価部会長】 ありがとうございます。今の御意見につきまして、何かコメントございますか。
松隈管理官、お願いします。
【松隈管理官】 担当管理官の松隈でございます。前回の目標見直しのときの議論を踏まえた目標変更というふうに認識してございまして、それぞれの各地域によって状況は違うと思いますが、それぞれの地域での検討状況を踏まえて、今年度の計画づくり、それから来年度に向けた計画づくりということで着実に積み上げていく中で、我々事務局としてもそれをフォローし、次の目標見直しにつなげていけるようにしたいと思います。
【栗原評価部会長】 ありがとうございます。
河合委員、お願いいたします。
【河合委員】 目標の変更内容につきましては、いずれにつきましても異存ありません。1点ほど、IPAの金融支援業務に関してお尋ねします。主務省と連携して金融支援業務を適切に実施するとありますが、金融部門の専門家を含む体制の整備としては、IPAのほうに専門家を新たに配置して人員を強化するというイメージでよろしいのでしょうか。
【渡邉管理官】 経産省担当の渡邉でございます。御指摘のとおり、もともとやっていた部分もありますが、新たな部分が追加となります。そのための専門的な体制というのも当然必要になりますので、それは当然、法人の側でもしっかり体制を整備していただきたいと思っております。しっかりフォローしてまいります。
【河合委員】 よく分かりました。ありがとうございました。
【栗原評価部会長】 藤川委員、お願いいたします。
【藤川委員】 労働者健康安全機構について、今まで十数年にわたって取り組んできた改善事項に関し、明確に非常に厳しいポリシーを打ち出したと思います。
全国各地において地域との協議を行いながら、移譲や統廃合等を検討することに必要なエネルギーは相当なものと考えられますので、主務省の強力なサポートが必要であると思います。また、法人も数多くある中で、これからアクセルを踏み込んでいく法人と、今までの事業を大きく見直すべき法人と、かなり両極端になってきていると感じています。
そういう中で、こうした今までのままでは立ち行かない、特に自己収入が大きい法人は、今非常に苦労しているところが多いと思うので、そのような法人に対して、この評価部会も何かそれを後押しできるような仕組みが必要だと思います。法人単独で対応していくと、様々な利害関係者が多く、前になかなか進めないと思いますので、後押しできればいいのかなと思います。
以上です。
【栗原評価部会長】 ありがとうございます。今回は踏み込んだ変更だと思いますし、法人だけではなく、主務省や、法人以外の関係者が関与したり支援しながら進めなくてはならない課題だと思いますので、先ほど清水専門委員からありましたが、その先にどのような機能の維持であったり、メリハリがあるのか、将来があるのかというところも描きながら考えるべき課題だと思います。
今の藤川委員からのコメントにつきまして、松隈管理官、お願いします。
【松隈管理官】 それぞれ労災病院の取組に加え、法人の本部も取り組むこととされておりますし、主務省からもサポートできるように我々からも伝えていきたいと思います。また、我々事務局としてもどういったことができるかということを考えてフォローしてまいります。
【栗原評価部会長】 ありがとうございます。
島本委員、お願いします。
【島本委員】 JOGMECについて、目標を上回る成果をしっかり評価しようというすごく新しい試みというか、レアメタルや、トランプ政策の中で国策として重要な課題にも対応しようという趣旨があると思いますが、目標を上回る成果をどう評価するかについては、定量的ではなく定性的な部分など、様々な要素が入ってくるのかなと思います。ここで例が2つ挙げられていますが、もう少しイメージできるように、具体的にお考えになっているようなことがあれば補足して説明していただければと思います。
【栗原評価部会長】 渡邉管理官、お願いします。
【渡邉管理官】 経産省担当の渡邉でございます。まず、総務省が定める指針に基づきまして、経産省のほうで独自に評価の基本方針というものを定めております。その中で定量的指標に関連して、法人の業績向上努力による質的に特筆すべきインパクトの創出や水準の達成について評価すべき事項としてあらかじめ客観的かつ具体的に示すことができる場合は、このような水準を設定することができると定めております。
幾つかそれぞれの定量目標のところで具体的に記載されております。例えば、定量的な目標とは別に、各それぞれの項目ごとですと、地質の関係は、数字だけではなく、探査案件が無事に民間企業に引継ぎを完了することや、民間企業の投資の実現に貢献した場合や、なかなか難しいものについて実用化が果たされ、大きく貢献した場合のような、案件のそれぞれの特殊性に応じて、定量的な目標の部分でさらに質的な部分が確認できるような、それぞれの目標ごとにそのような水準が記載されております。
以上でございます。
【島本委員】 評価の中でかなり専門的な見地で判断が必要な分野が増えてくるということでしょうか。
【渡邉管理官】 項目によっては達成が簡単ではないという部分もありますが、定量的な指標の部分に加えて、難しいものが達成されたような質的な部分を補足的にセットで見て評価するという趣旨だと承知をしています。
【島本委員】 しっかりサポートしていただきながら、キャッチアップしていきたいと思います。
【栗原評価部会長】 目標を上回る水準を明示するというのは、ある意味で評価上も透明性が上がるのではないかと思う一方で、上回る評価か否かが不透明になることや、あるいは、事前の設定が有効であったかどうかについて、確認をしながらやっていったほうがよいと思います。他の法人も同様に設定する可能性もありますので、このような目標を設定することの効果検証をしていただけるとよいと思います。
ほかに御質問、御意見ありますでしょうか。
大原専門委員、お願いいたします。
【大原専門委員】 大原です。農研機構について、施設や専門家派遣などの新たな業務を追加するというお話がありました。この認定食品等事業者への設備の供与とか、専門家派遣が無償なのか有償なのか読み取れませんでしたが、もし有償だとすると、これは法人の自己収益の拡大にもつながるので、法人にとってもメリットが出てくるのかなと思い、この導入によりどういう実績が生まれてくるのか期待できると思いました。
以上です。
【栗原評価部会長】 ありがとうございます。これにつきまして、御説明を松本管理官お願いします。
【松本管理官】 有償か無償かということについて、有償と聞いておりますので、委員の問題意識である自己収益の拡大に寄与するだろうと思います。
【大原専門委員】 ありがとうございます。
【栗原評価部会長】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
皆様から御質問あるいはコメントがございました上で、本件につきまして、ただいまの皆様からの御質問あるいはコメントを総括いたしますと、この変更案に対しての意見はなしとさせていただくということで御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【栗原評価部会長】 それでは、本件につきましては、意見なしと整理させていただきたいと思います。事後の処理につきましては、事務局のほうに一任させていただきます。
それでは、以上が審議事項でございました。
最後に事務局のほうから、その他報告等がありましたらお願いいたします。
【見次管理官】 次回の評価部会につきましては、10月22日水曜日の午後2時から、この部会単独で開催する予定でございます。会場は本日と異なりまして、ウェブ会議での開催を予定しております。
【栗原評価部会長】 それでは、以上をもちまして、第71回独立行政法人評価制度委員会評価部会を閉会いたします。
本日は皆様、御多忙のところ御出席をいただき、ありがとうございました。
(以上)