(委員)栗原美津枝評価部会長、金岡克己部会長代理、河合晃一委員、島本幸治委員、高橋真木子委員、藤川裕紀子委員、大原美保専門委員、小田勇樹専門委員、清水剛専門委員、横田響子専門委員
(事務局)中井官房政策立案総括審議官、見次管理官ほか
【栗原評価部会長】 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第72回独立行政法人評価制度委員会評価部会を開会いたします。
本日の会議は、傍聴者には会議の模様をオンラインで中継しております。
それでは、まず議題1、「令和7年度に中(長)期目標期間が終了する法人に係る次期目標の策定等に向けた論点」についてです。
これまで、今年度の見直し対象24法人について、3つのユニットに分かれて、主務省並びに各法人の長や監事との意見交換を行いました。その結果を踏まえて、見込評価及び業務・組織見直しの内容を確認するとともに、次期目標の策定等に向けた論点の整理を行いました。
各ユニットにおいて整理した論点について、お手元の資料のとおり取りまとめましたので、各ユニットの主査から御報告をお願いいたしたいと思います。
それでは、第1ユニット主査の金岡委員、お願いいたします。
【金岡委員】 金岡でございます。私からは、第1ユニットが担当する文部科学省所管の計8法人の論点について御報告いたします。
今回の論点の取りまとめに当たって行った、担当する8法人の長等との意見交換では、法人の事業等の特性もあって、保有する施設の維持管理に関する悩みを多く伺ったところでございます。
一方で、このような悩みは、前回の中(長)期目標の見直しの議論の頃から引き続いていることも多く、委員からは、次期中(長)期目標に具体的な取組の内容やその時間軸を盛り込んで、着実に取組を進めていくことが重要であることを、意見交換の場でお伝えしております。
それでは、法人ヒアリングの結果を踏まえた各法人の論点について御説明いたします。
はじめに、国立特別支援教育総合研究所、いわゆる特総研、及び教職員支援機構、いわゆるNITSについてです。教職員等に対する研修等を行う法人として論点が共通していることから、特総研を代表例に御説明いたします。資料1の1ページを御覧ください。
1点目は、法人に求められる役割の一つである、地域の中核的な役割を果たす教職員等の研修参加を通じた、各学校現場の教職員等の意識、行動変容に向けた法人の取組を適切に評価できる指標等を主務省と法人において設定すべきではないか。
2点目は、施設の必要性や、その維持管理及び更新に伴うメリット・デメリットを踏まえた将来的な方向性の検討及びその実施について、適切な時間軸を設定して実施の目途について目標に盛り込み、着実に進めるべきではないか、などといった点を次期目標の策定に向けた論点として整理しております。
三つ目の法人は大学入試センターです。資料1の2ページを御覧ください。受験者数の減少という、大きく外部環境が変化する中で、大学入学共通テストを始めとした法人の今後の活動を高度化するための検討体制を整備し、継続的に検討を重ねていくことを目標に盛り込んではどうかという論点を整理しております。
四つ目の法人は国立青少年教育振興機構です。1点目は、「国立青少年教育施設の振興方策について(報告書)」(令和7年8月 国立青少年教育施設の振興方策に関する検討会)において言及されている事項のうち、施設の数・規模や宿泊定員の見直し、機能の適正化や再編等の機能別分化に向けて、主務省と法人において速やかに検討を進め、結論が出た施設から順次、機能強化や縮小・再編の取組を進め、遅くとも次期中期目標期間中には全ての施設の在り方について、今後の対応方針の具体的な結論を得ること。
2点目は、次期中期目標期間中に全ての施設の在り方について具体的な結論を得ることを含め、次期中期目標期間中に実施する内容、体制、期限等を明確化し、これらの内容を目標に盛り込んではどうか、という論点を整理しております。
五つ目の法人は国立科学博物館、いわゆる科博です。六つ目の国立美術館、七つ目の国立文化財機構と併せて、展示施設運営等を行う3法人として論点が共通しておりますので、科博を代表例に御説明します。
1点目は、ナショナルセンターとしての役割及び法人の強みを踏まえ、地域の施設や関係機関が抱える共通の課題への対応を推進するために、主務省とともにこれらの機関との連携の強化を積極的に行うべきではないか。また、連携の強化に向けて本法人における具体的な取組の内容、体制、実施時期等を目標に盛り込んで着実に進めるべきではないか。
2点目は、収蔵品等について、現時点の収蔵状況や今後の見通し、その活用状況等を踏まえ、引き続き収集・保管に関して中長期的な計画を立てて着実に実施すべきではないか。さらに、今後も収蔵品等を継続して収集する必要性・重要性に関して広く国民の理解をより一層得るための情報発信等を行うとともに、関係機関と連携した収集・保管に向けた対応策を具体化することを目標に盛り込んではどうかなどといった論点を整理しております。
八つ目の法人は海洋研究開発機構、いわゆるJAMSTECです。資料1の4ページを御覧ください。海洋の重要性は国際的な共通認識となっている中、法人には海洋科学技術の中核的機関としての役割を担うことが求められていることを踏まえ、民間企業、他の独立行政法人、大学等の関係機関との役割分担を主務省との共通認識のもと明確にすべきではないか。その上で、法人の取組や重要性の理解を促すため、関係機関との共創・連携、経済・社会的課題の解決に資するような成果の社会実装、戦略的な広報・アウトリーチをさらに推進することが重要ではないかという論点を整理しております。
以上、第1ユニットが担当する8法人について御説明いたしました。
【栗原評価部会長】 金岡委員、ありがとうございました。
続きまして、第2ユニット主査の河合委員お願いいたします。
【河合委員】 河合でございます。第2ユニットが担当する総務省、財務省、文部科学省、農林水産省所管の計8法人について、論点を御報告いたします。
まず、総論といたしまして、法人の長等との意見交換では、法人の保有するデータの活用等による将来的な自己収入の確保を含めた多様な財源の確保、法人の組織体制及び人材確保の在り方について議論となりました。
一つ目の法人は、総務省が所管する情報通信研究機構、いわゆるNICTです。資料1の1ページを御覧ください。情報通信社会の進展に伴って業務が拡大していく中で、法人全体として適切かつ計画的に業務遂行していくため、環境変化を踏まえた業務の重み付けを行ったうえで、時々の重点業務の状況等を踏まえつつ、常勤・有期雇用の人員体制など職務執行の在り方を見直しながら目標策定をすべきではないか、などといった論点を整理しております。
二つ目の法人は、財務省が所管する酒類総合研究所、いわゆる酒類総研です。業務範囲が拡大している一方で、体制自体に変化がないことを踏まえて、業務体制に配慮しつつ、法人内の人的資源を有効活用するため、DXやAIを用いたデータ利活用等の専門人材については、内部での人材育成に加えて、外部人材の活用・外部機関との連携をさらに強化する形で対応することを目標に盛り込んではどうか、などといった論点を整理しております。
三つ目の法人は、文部科学省が所管する国立女性教育会館、いわゆるNWECです。来年度からは、男女共同参画機構という新法人となり、内閣府が主務省となります。資料1の4ページを御覧ください。
新法人に期待される役割を踏まえますと、国立女性教育会館から継承したリソースだけでは不足する部分が見込まれることから、業務の具体的な範囲、重点事項や重みづけの整理を行った上で、今後の取組に係るロードマップの策定や、それに必要な人員体制等を整備することをこれらの取組の実施に係る適切な時間軸と併せて目標に盛り込んではどうか。また、国立女性教育会館から職員が新法人へ移行することを踏まえ、役職員が新法人のミッションを理解し、一体となって業務に取り組んでいくため、意識の醸成・共有を図るとともに、新法人の機能強化に向けて、個々の職員のさらなるスキルアップ・専門性の向上性を促すことを目標に盛り込んではどうか、などといった論点を整理しております。
これ以降の5法人は、全て農林水産省所管の法人となります。5法人は、職員数等の規模は異なりますが、同じ主務省の下で人材・DX・体制・社会実装・広報といった点について類似した悩みを抱えていることから、個々の法人による取組に加えて、主務省が中心となって主務省・法人が連携して取組を進めていくべきではないか、というメッセージを基調に論点を取りまとめております。
四つ目の法人は、家畜改良センター、いわゆるNLBCです。資料1の5ページを御覧ください。
主務省と連携して技術開発の成果の社会実装に向けた取組及び畜産団体や畜産農家等のエンドユーザーへの情報発信をさらに強化すべきではないか。その際、他の法人の事例等も参考にしつつ、具体的な取組及びその安定的な実施体制の検討を含めて目標に盛り込むことを検討してはどうかなどといった論点を整理しております。
五つ目の法人は農業・食品産業技術総合研究機構、いわゆる農研機構です。研究成果の社会実装について先進的な取組が行われているが、今後は、法人が産学官連携のハブ機関となり、他の法人とも連携しながら、異なる業種・異なる分野の民間企業も含めた多様な主体との連携を強化していくべきではないか、などといった論点を整理しております。
六つ目の法人は国際農林水産業研究センター、いわゆる国際農研です。法人内における組織横断的な連携やDXを進めるための人材・体制の整備等が重要である中、特にDXに係る専門人材等については、法人単独だけではなく、主務省や他法人と連携の上、必要な人材の確保・育成に共同で取り組むことも検討してはどうか。また、法人の規模も踏まえ、主務省と法人が十分なコミュニケーションを取りながら、他法人との連携による業務の効率化等について、検討してはどうか、などといった論点を整理しております。
七つ目の法人は森林研究・整備機構、いわゆる森林機構です。複数の法人が統合して発足しているが、組織再編後の相乗効果をさらに発揮できるよう、法人全体のマネジメントに時間が割けない現状がある中、例えば理事長の理事長職と所長職の兼務解消や、理事長直轄の法人全体を俯瞰する組織体制なども検討してはどうか。また、林業分野におけるDXにつきましては、引き続き民間企業との連携を進めるとともに、主務省の協力を得ながら、防災分野をはじめとする異なる分野との連携を推し進めてはどうか、などといった論点を整理しております。
八つ目の法人は水産研究・教育機構、いわゆる水産機構です。主務省と連携して研究成果の社会実装に向けた取組及び水産業界、周辺産業関連者等への情報発信をさらに強化すべきではないか。その際、他の法人の事例等も参考にしつつ、具体的な取組及びその安定的な実施体制の検討を含めて、目標に盛り込むことを検討してはどうか、などといった論点を整理しております。
以上、第2ユニットが担当する8法人について御説明いたしました。
【栗原評価部会長】 河合委員、ありがとうございました。
最後に、第3ユニット主査の島本委員、お願いいたします。
【島本委員】 島本です。
第3ユニットが担当する国土交通省、環境省、法務省所管の計8法人について、論点を御報告いたします。第3ユニット担当法人においては、意見交換において、法人の業務を遂行する上で人材をいかに確保するか、育成するか、特にこのデジタル人材の確保に関する悩みが多かったところであります。資料1の7ページを御覧ください。
はじめに、海技教育機構及び航空大学校です。いずれの法人についても、主務省において、今後の法人の業務の在り方に関する有識者検討会を開催しているところ、この結果を踏まえ、主務省と法人が十分にコミュニケーションを取りながら施設の老朽化をはじめとする法人運営上の課題に関する具体的な取組を目標に盛り込んではどうか、などといった議論を整理しております。
三つ目の法人は自動車技術総合機構、いわゆるNALTECです。自動運転機能等を有する車に対する検査について日本が他国よりも先行していることを踏まえ、今後の国際的な基準作りに結びつくよう国産車・輸入車の検査におけるノウハウや課題の洗い出しを実施すること等を目標に盛り込んではどうか。また、今後様々なデータの蓄積がなされるものと考えられるところ、検査から得られたデータの利活用に関することを目標に盛り込んではどうか、などといった論点を整理しております。
四つ目の法人は水資源機構です。法人が蓄積してきた利水・治水に係る専門技術的な能力や経験は非常に重要なものであることから、公共インフラの管理機関としての法人の役割や、業務を通じて得られる能力・経験等の魅力を効果的に発信し、人材確保につなげることを目標に盛り込んではどうか、という論点を整理しております。
五つ目の法人は空港周辺整備機構です。引き続き文書の電子化やデータベース化に取り組みながら、事業継承に影響を及ぼさないように承継に向けた準備を着実に進めるとともに、福岡国際空港株式会社との協議に向けた計画を念頭に具体的な取組を行うことを目標に盛り込んではどうか、などといった論点を整理しております。
六つ目の法人は日本高速道路保有・債務返済機構、いわゆる高速道路機構です。法人が国又は高速道路会社からの短期出向者で構成されていることを踏まえ、業務の継続性の観点から、組織力の向上と職員間のノウハウの承継につながる取組等を具体的に検討することが必要ではないか、などといった論点を整理しております。
七つ目の法人は環境省所管の国立環境研究所、いわゆる国環研です。国際的な環境研究への積極的な参画等を通じて、環境研究での我が国のプレゼンス向上を図りつつ、地球規模の環境に関する社会課題の解決に貢献していくため、国内外の大学や研究機関、民間企業等との連携をさらに強化していくことが必要ではないか。また、法人の活動を通じ、国や地方の環境政策の推進に一層貢献していく観点から、適切な業務の優先順位付けの下で、必要十分な評価軸及び評価指標を設定することが重要ではないか、などといった論点を整理しております。
八つ目の法人は法務省所管の日本司法支援センター、いわゆる法テラスです。法テラスは準用法人となっており、委員会は評価結果への意見及び業務・組織見直しの内容への勧告ができますが、目標そのものへの意見を述べることはできません。社会経済情勢が変化し、法人単独では対応困難な社会的課題や地域のニーズが増加する中で、令和8年1月に開始される犯罪被害者等支援弁護士制度への対応など、法人の業務範囲・内容が拡充していることを踏まえると、法人の業務負担軽減を図る観点からも、関係機関との連携を一層推進してはどうか、などといった論点を整理しております。
以上、第3ユニットが担当する8法人について説明いたしました。
【栗原評価部会長】 島本委員、ありがとうございました。
それでは、ただいま説明のあった論点について、御質問・御意見などございましたら、どなたからでも結構ですので、御発言いただけますでしょうか。
清水専門委員、お願いいたします。
【清水専門委員】 御説明ありがとうございました。私は第3ユニットを担当しており、次期目標の策定等に向けた論点は資料1に記載のとおりだと思っており、異論ございません。
他のユニットについても改めて論点を伺ったので、感想に近いですけれども申し上げますと、法人のDXは本当に大切なことだと思っております。これまでもそのような議論はあった中で、DXが進まない背景もありましたが、今回、第1、第2ユニットの論点を聞いて、一過性の効果かもしれませんが外部人材の活用を含んだ論点となっている法人が多いと思っております。DXの推進が待ったなしの状況では、今年4月の委員会において事務局から紹介されていたと思いますけれども、DXを加速するような取組の一つとして、外部人材をうまく活用することも良いのではないかと思います。
以上です。
【栗原評価部会長】 御意見ありがとうございました。
河合委員、お願いいたします。
【河合委員】 ありがとうございます。今、清水専門委員からも御発言のあったDX関連の人材をどのように確保・育成していくのかということについては、第2ユニットでも法人の長等と様々に意見交換をさせていただきました。
結論としては、資料1に記載されている論点のとおり、外部人材の活用も見据えた中で、人材確保の今後の見通しを立てていただきたいということですが、一部の法人におきましては、主務省からの人事異動という形で、法人のセキュリティ人材を確保している事例もございました。
このような主務省と法人間で専門人材を共有する事例は現時点で非常に少ないところではありますが、主務省と法人間あるいは同一の主務省が所管する法人間でのDX人材を共有する仕組みの検討について私から各法人へ御提案申し上げたところ、今後検討したいという法人が見られたところです。この点を踏まえまして、外部からの人材確保の在り方だけでなく、組織間での人材共有の在り方についても、法人共通の論点として今後検討していくべきではないかと思います。
以上です。
【栗原評価部会長】 ありがとうございました。清水専門委員からはDXにおける外部人材の活用について、また河合委員からは人材確保における専門人材の共有という御示唆をいただきました。このような人材の確保・育成について多くの法人で論点となっていますが、その観点で何かコメント等ございましたら先に御発言いただければと思います。特になければ、その他の論点につきまして御意見等いただければと思います。いかがでしょうか。
高橋委員、お願いいたします。
【高橋委員】 ありがとうございます。DX等への対応について、法人内で対応する際に、法人の規模によっては、そもそもの運営人材の数が足りておらず、新たな課題に対して人員を割くことが難しい事情を切実に感じました。
また、法人の規模だけではなく、法人の業務分野・セクターによっては、例えば研究系など業務の性格上若干データの扱い等に慣れており、DX等に馴染みがある法人もある一方で、教育系の法人など、そもそも業務の性格上DX等に馴染みがなくノウハウが十分でない法人もあり、そのような法人はDX等への課題に対し大きな障壁があると思います。法人の規模が小さく、そもそも新たな課題に馴染みのない法人が単独で対応しようとすることは、限界があるのではないかと意見交換を通じて感じました。
また、そのような法人が抱える課題は共通しているため、主務省のリーダーシップの発揮が重要と感じました。
【栗原評価部会長】 高橋委員、ありがとうございました。
それでは金岡委員、お願いいたします。
【金岡委員】 第1ユニットが担当する法人は、施設の維持管理、または収蔵品の保管という、人材の確保・育成よりもさらに緊急性の高い課題を多く抱えているため、それらを中心に論点整理を行いました。
一方、人材の確保・育成について、第1ユニットが担当する法人は規模の小さい法人が多く、高橋委員もおっしゃったとおり、規模の小さい法人が単独で新たな課題に対応することは困難だと感じる法人が多く見受けられました。
主務省の担当者も意見交換に参加されていたため、例えば、所管する類似の業務分野を担う職員数の少ない複数法人においてDX推進が共通的な課題であるならば、これらの法人を3〜4法人程度で主務省側においてグルーピングを行い、順番にDX推進を支援していくようなことも考えられるのではないかということを指摘いたしました。
【栗原評価部会長】 ありがとうございます。今後、主務省と法人における議論の中で、ぜひ委員の皆様からお話いただいた規模の小さい法人におけるDXの推進という点を、法人あるいは横断的に主務省で議論をしていただきたいと思います。また、この評価部会においても、そのような問題に対してどのように取り組むことが有効なのかということを法人とも議論していきたいと思います。
島本委員、お願いいたします。
【島本委員】 ありがとうございます。人材の確保・育成について、改めて第3ユニット以外のユニットが担当する法人も含めて人材確保の課題があるということを実感しました。
法人には外部人材が必要だと思いますし、特に第3ユニットが担当する法人の長等と意見交換を行って、社会的に非常に価値のある研究や業務を行っている法人は、更に民間との連携を増やすことで人材を確保しやすくなるのではないかと感じました。若い人はキャリアアップを大事にしており、民間人材が法人で業務経験を積むことはキャリアアップにつながるため、民間人材へその点を訴求するとともに、人事交流等を民間企業と行うことで法人が人材を確保しやすくなるのではないかと感じました。
また、特に若い人は職場環境を大事に考えるため、職場環境は人材確保のために重要であり、予算の問題があるとは思いますが、個々の施設の老朽化が人材確保の制約要因になっているのではないかと感じました。
【栗原評価部会長】 ありがとうございます。人材をキーワードにして皆様から御意見をいただきましたが、その他に御意見ございましたらお願いいたします。その中で先ほど金岡委員と島本委員からもありましたが施設の保有・老朽化の課題について共通した御指摘がありましたが、もしそれに関連する御意見、御質問をいただければと思います。いかがでしょうか。
【金岡委員】 金岡でございます。最初に申し上げましたとおり、第1ユニットが担当している法人は前回の中(長)期目標策定時も、施設の保有・老朽化の課題について、委員の皆様から指摘されていた法人が多かったと思います。しかし、耐震化などの対策はあった一方で、抜本的な対策がないまま時間が過ぎてしまっています。
例えば国立青少年教育機構は全国に多くの施設を保有していますが、少子化が進み、現在の若者の数は施設が建設された時期とは大きく変動しているため、法人が保有する施設について抜本的に考え直していただく必要があるということを第1ユニットに所属する委員の共通の認識として、法人にお伝えしております。
国立青少年機構に限らず、次期中(長)期目標期間に改善したいとの複数の法人の考えも伺っており、また、今回論点としても整理しているので、次期中(長)期目標の中で具体的なタイムライン等が示されることを期待しております。
【栗原評価部会長】 ありがとうございます。私もそのように思いました。施設の老朽化の話につきましては、金岡委員からの御発言が我々の問題意識を象徴していると思いますが、ほかに御意見がなければ、その他の論点につきまして御発言いただければと思います。
横田専門委員、お願いいたします。
【横田専門委員】 ありがとうございます。資料1の論点については特段、意見ございません。内容について問題ないかと考えております。
第2ユニットにおいては、社会実装の話や、社会実装に向けた体制が法人だけでは賄えないため、外部連携をよりうまく行うことが論点となっていましたが、今回外部連携に関する議論の中で、自己収入の確保に関する言及が多く、第2ユニット所属の委員は法人によって体制が整っているのか否か、民間出身の理事長なのか否かということが多少影響し、法人間において自己収入の確保に対する温度差を感じました。
うまく外部連携しながら自己収入を確保していくことは非常に重要だと思っているため、人件費や物価の高騰、交付金の削減の中で努力をすることは必要になると思いますので、法人の規模や業務の性質ごとに、外部連携の好事例を共有することが必要ではないかと感じました。
ただ、NWECから新法人(男女共同参画機構)になるに際し、新法人に対する期待が非常に高い状況ですが、法人の長等と意見交換を行った際には、法人の体制が大きくは変わらない中で新しいミッションに対応しなければならない環境下にあると感じました。
限られた法人の体制の中でできることを第2ユニットでは議論してきましたが、法人のみの努力では限界を感じたため、今回資料1のとおり論点を整理しています。主務省が社会からの期待との整合性を踏まえ、新たなミッションと法人の体制との関係性について検討しなければならないのではないかと感じました。
【栗原評価部会長】 横田専門委員、ありがとうございます。大変貴重な御指摘をいただきました。
河合委員、お願いいたします。
【河合委員】 ありがとうございます。今、横田専門委員から言及いただいたNWECについて私からも補足させていただきます。
横田専門委員のおっしゃったとおり、現状の法人の組織規模に対し、男女共同参画機構として期待されている業務が非常に大きなものになっている印象を私も持ちました。そこで、法人ヒアリングでは、来年度以降、現状の組織体制で十分に対応できるのかという点についても法人の長等と意見交換をさせていただきました。その際、業務の重みづけの検討に関する法人の理事長のお考えを伺ったところです。
また、「第6次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)」では、新法人に期待される役割として、全国各地の男女共同参画センターが地域における男女共同参画に関する状況と課題等を把握するために必要なノウハウや手法等についての検討・提供や、データに基づいてPDCAサイクルを回し、男女共同参画の取組を効果的に推進するための調査研究の実施等が記載されています。このような業務を現状の組織体制で十分に実施できるのか、懸念が残ります。ついては、業務の重みづけの検討に加え、新たに追加される業務については法人単独で実施するのではなく外部機関と一層の連携を図りながら実施することについても検討していただきたいと思います。
外部機関との連携の在り方については、これまでも委員会において様々に議論をしてまいりました。そのため、既に多くの法人において外部機関との連携が進んでいると思いますが、NWECが新法人となるに当たっては、研究機関や民間企業等、様々な外部機関との連携を更に深めることを検討いただきたいと思います。
【栗原評価部会長】 ありがとうございました。小田専門委員、お願いいたします。
【小田専門委員】 私も、第3ユニットが担当する法人の長等との意見交換を通じて、河合委員や横田専門委員からお話があった男女共同参画機構と同じように、行政需要が非常に主務省で高まっているが法人のリソースが十分ではない法人もあると感じまして、特に航空大学校は、主務省の期待と法人の組織体制が整合していないと感じました。
また、行政需要の変化に対して法人のリソースが十分でない法人もあれば、国立青少年教育振興機構のように、行政需要が減っている法人もあり、法人によって状況が様々だと感じました。第3ユニットが担当する法人の中では、例えば、水資源機構は、人口が減少してもある程度職員が必要となり、また都市部から離れた事業所が非常に多く、職員の確保に非常に苦労しているという話も伺いました。社会状況の変化による影響が法人によって様々なため、主務省の政策方針の変化に応じて、予算や人材確保、施設の老朽化対策等については、法人と主務省間で柔軟に取り組むことが重要になってきているのではないかと感じます。
【栗原評価部会長】 ありがとうございました。
大原専門委員、お願いいたします。
【大原専門委員】 大原です。第2ユニットにおける審議や本日の御説明を通じて、施設の老朽化や電気代の高騰等について、様々な法人における共通の課題であることを理解しました。第2ユニットが担当する法人との意見交換等を通じて、複数の支所を大胆に統廃合した事例等をお伺いし、法人の建物等をどのように縮小していくのか、効率的運用をするのかということは共通の課題だと思いますので、そのような先進事例やノウハウを他の法人へ共有することが非常に有用ではないかと思います。
【栗原評価部会長】 ありがとうございました。
藤川委員、お願いいたします。
【藤川委員】 いずれの法人の論点を拝見していても、課題は共通していると感じます。施設等の老朽化が進み、法人の組織体制も十分ではない中で、社会から期待され、従来の業務を減らすことなく、新たな業務が追加されているという課題は、国立研究開発法人を除くほぼ全ての法人が共通して抱えていると思います。
そのような法人の組織体制が十分ではない中で、社会から期待されている新たな業務を進めることは難しい現状があるため、DX等に関しては主務省による取組だけではなく、個々の法人で同じようなことを小さな規模でやるのではなくて独立行政法人全体でまとめて推進するような組織が必要ではないかと感じます。
したがって、水産機構のような法人において、DX人材の確保・育成に関する論点がありましたが、DXの取組を全体的に進めるために、本委員会における様々な視点からの意見を、法人の共通する論点として主務省及び法人に伝えていかなければならないと思います。
【栗原評価部会長】 ありがとうございます。
次期中(長)期目標の策定等に向けた議論を踏まえて、法人によって強弱のある論点に整理しており、具体的な取組等に関する論点が記載されている法人もあれば、法人の在り方について時間軸を示して検討いただきたいという論点が記載されている法人もあります。
したがって、資料1に記載のある論点における背景については本日の意見の中でも汲み取っていただいているとともに、論点の背景にある詳細な法人の現状を考慮しておりますので、この論点の本質を主務省・法人に理解いただき、次期中(長)期目標設定に反映させていただければと思います。
それでは、本日御説明いただきました論点や本日御議論いただきました内容を踏まえまして、引き続き次期中(長)期目標の策定等に向けて調査審議を進めていけたらと思います。
次に、議題2の「中期目標の変更について」、審議を行います。事務局から説明をお願いいたします。
【見次管理官】 本日の諮問案件は、1件ございます。案件の内容につきまして、担当管理官から御説明させていただきます。
【渡邉(顕)管理官】 経済産業省担当の管理官の渡邉でございます。
本日の諮問案件は、工業所有権情報・研修館、いわゆるINPITでございます。主な目標変更の内容としては2点でございます。1点目が指標の新規追加、2点目が既存の指標の変更でございます。
まず、指標の新規追加について、昨年9月に産業競争力強化法等一部改正法が施行され、INPITの業務として中小企業者や試験研究機関、特定中堅企業者等への助成業務等が追加をされたことから、昨年12月に助成業務等の追加及び定性指標を追記する目標変更を行っております。
一方で、助成業務の定量指標につきましては、目標変更時点におきましては令和7年度予算が未定であったことから、改めて設定することとされておりました。今般、予算措置が行われたことから、助成業務の定量指標を新たに追加するものでございます。
指標の具体的な記載について、助成業務は、中小企業等が外国における産業財産権の権利化の際の海外出願手続等に要する費用の一部を助成する仕組みであることから、助成を受けてなされた海外出願が中期目標終了時までに累計720件以上達成するという定量指標を設定しております。
2点目の既存の指標の変更について、中小企業等へのワンストップ知財経営支援の実現に当たっては、多様な関係機関との連携強化が重要であり、特許庁・INPIT・日本弁理士会・日本商工会議所の4者によって知財経営支援ネットワークを構築する取組を実施しているところ、本取組を踏まえた中期目標の成果指標として関係機関との連携件数を設定しておりましたが、知財経営支援ネットワークによる支援が今後も拡大していくことが見込まれることから、指標見直し、変更を加えるものでございます。
指標の具体的な記載について、関係機関との連携件数につきまして中期目標期間中、毎年度1万2,000件以上としていたところを令和7年度からは中期目標期間中、毎年度1万3,300件以上に上方修正をしております。
【栗原評価部会長】 ありがとうございました。
ただいまの事務局の説明につきまして、御質問・御意見などございましたら、どなたからでも結構でございますので御発言いただけますでしょうか。なお、改めてお伝えさせていただきますが、この議論は政策内容の是非というよりは、政策内容に照らして目標や指標が適切に変更されているか、という観点を中心に御議論いただければと思います。よろしいでしょうか
本件につきましては、意見なしとさせていただくことで御異論ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【栗原評価部会長】 ありがとうございます。それでは、本件については、意見なしと整理させていただきます。事後の処理につきましては、事務局に一任をさせていただきます。
それでは続きまして、議題3の「独立行政法人の令和5年度業務の実績に係る評価の結果の点検状況について」及び議題4「独立行政法人の令和6年度業務の実績に係る評価等の結果の点検状況について」の審議を行います。
本議題につきましては、委員間での自由闊達な意見交換のため、会議及び資料は非公開といたします。傍聴者への中継はここまでとさせていただきたいと思います。
※ 議題3及び4については、独立行政法人評価制度委員会運営規則第6条第1項の規定による読替え後の第4条第2項の規定に基づき、議事録は非公開といたします。
(以上)