(委員)澤田道驤マ員長、栗原美津枝委員長代理兼評価部会長、長村彌角会計基準等部会長、金岡克己委員、河合晃一委員、佐藤綾子委員、島本幸治委員、高橋真木子委員、藤川裕紀子委員、大原美保専門委員、小田勇樹専門委員、清水剛専門委員、横田響子専門委員
(事務局)中野総務大臣政務官、平池行政管理局長、中井官房政策立案総括審議官、見次管理官、松管理官ほか
(1)中野大臣政務官から挨拶が行われ、次のとおり、今後の委員会の活動に対する期待を述べられた。
・政府の成長戦略の推進にあたっても、独立行政法人がその能力を最大限に発揮することが重要であり、そのためにも政策実施のPDCAサイクルを効果的に機能させて業務運営を活性化するよう、今後とも、委員会において活発に御審議いただきたい。
(2)令和7年度に中(長)期目標期間が終了する法人について、主務大臣において次期中(長)期目標に盛り込むことを検討いただきたい点(留意事項)等が、「独立行政法人の中(長)期目標の策定について」として取りまとめられた。
審議における主な発言は以下のとおり。
【1】留意事項について
・法人におけるDXの推進は不可欠であり、それに伴う人材育成も一層重要になっている。こうした状況を踏まえると、各法人においては、内部人材の育成にとどまらず、外部人材の活用や、他法人、あるいは主務省と人材を共有化するといった視点も今後求められる。
特に、国立研究開発法人においては、生成AI等を活用したデータ利活用型の研究が今後ますます進展すると見込まれるところ、大学や民間企業等の研究人材との連携といった観点も重要である。各法人の特性に合った人材活用策を実施することで上手く法人の業務が実施できるのではないかと考える。
・政府においては官民ファンドの強化が推進されていることから、各法人においても、民間企業における資金調達のノウハウ等を共有して工夫してもらいたい。
・国立青少年教育振興機構について、法人を取り巻く環境が大きく変化する中で、今後の法人の在り方や業務運営等に関する指摘が調査審議の中でなされた。
また、現行の中期目標を策定する際の令和2年度の調査審議でも、法人の施設保有の在り方に関する議論が行われていた。今回も厳しい意見が出ており、適切な時間軸の下で着実に対応を進めるべき。留意事項の内容が次期目標に十分に反映されることを期待する。
・国立女性教育会館は、令和8年4月より男女共同参画機構という新法人になる。主務省と法人がよく連携しながら、業務の重み付けの整理を行った上で必要な体制整備を行うなど、円滑な新法人の業務開始に向けて十分な準備を行うとともに、新法人として期待される大きな役割の実現に向けて着実に取り組んでいただきたい。
【2】法人ヒアリングにおける法人の長等の発言に対する認識について
・法人の長等との意見交換で、制度に関する様々なコメントをいただいたが、委員会としては、特に目標及び指標の設定に当たっては、例えば効率化目標についても、各法人の特性や事業等の内容に応じて適切に設定することが可能であると認識しており、こうした考え方を踏まえて、令和7年度には記載例の改正も行ったところである。また、経営努力認定制度についても、単年度主義を原則とする国の予算管理の中で、資金の相当程度の柔軟な繰越しが認められている制度であると理解している。これらの点について、各主務省及び法人において、十分に理解の上、各法人の実情に即した適切な制度運用をしていただきたい。
・自己収入と運営費交付金の関係については、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(平成25年12月24日閣議決定)において、法人の主体的な経営努力を促進するインセンティブが機能するよう運用を改善することとされている。具体的には、法人の増収意欲を増加させるために、自己収入の増加が見込まれる場合には、運営費交付金の要求時に自己収入の増加見込額を充てて実施する新規事業の経費を見込んだ上で要求することが可能とされており、これにより当該経費に充てる額を運営費交付金の要求額算定に当たり、減額しない取扱いとされている。このため、自己収入の増加による増収を理由として、必要経費が削減されることは想定されておらず、その点については既に制度上明確に整理されているところである。各主務省においては、これらをはじめとする関連制度を十分に理解の上、各法人の特性及び事業内容に応じ、適切に活用いただきたい。
・目標及び指標の設定や、自己収入との関係、積立金の繰越し等を検討するに当たっては、各法人における目標設定の方法や目標管理の枠組みについて、次期中(長)期目標の策定の機会を捉えて、長期的なビジョンを含めて主務省と法人との間で十分なコミュニケーションを図ることが重要である。また、その際に業務の重み付けと必要となるリソースに関する課題についても、共通の認識を持つことも重要である。
委員会としては、各法人に期待される役割は今後ますます増大し、かつ変化していくものと認識している。そのような状況の下で、効率化を進めていくともに、経費の確保や、施設も含めた投資も適切に行っていただきたい。
(3)「日本司法支援センターの評価及び業務運営について」が、委員会決定として取りまとめられた。
(4)独立行政法人の令和5年度業務の実績に係る再評価及び令和6年度業務の実績に係る評価等の点検結果等について、栗原評価部会長より報告が行われ、「独立行政法人評価制度の運用に関する基本的考え方」(令和4年4月8日独立行政法人評価制度委員会決定)に掲げる視点等を踏まえた点検結果を中心に審議が行われた。
審議における主な発言は以下のとおり。
・国際協力機構については、令和5年度業務実績評価の見直しを踏まえ、外務省及び法人において改善方策を実施いただきたい。委員会としても、本法人は来年度の見直し対象法人であることから、ガバナンスの改善につながるよう、次期中期目標策定に向けた外務省における検討状況を注視していきたい。
・今回の点検結果を踏まえると、主務大臣評価により明らかになった法人の業務運営上の課題について着実に改善を図ることが重要である。また、要因分析等の精査が完了次第可能な限り早期に公表することも望まれる。
(5)令和6年度に主務省令期間が終了した行政執行法人に係る効率化評価の結果について、栗原評価部会長より報告が行われ、審議の結果「意見なし」とされた。
(6)「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」の改訂について、長村会計基準等部会長から今般の独立行政法人会計基準の改訂内容の報告が行われた。
委員の主な発言は以下のとおり。
・今回の独立行政法人会計基準等の改訂に当たっては、会計処理の議論だけに留まらず、独立行政法人の会計の在り方について深く議論がなされた。独立行政法人会計基準は企業会計とは性質が異なるが、今回の改訂前文にその点が改めて強調されていることに加え、その性質の違いを踏まえつつ、今後の議論を深めていく旨が書き込まれている。特に、独立行政法人通則法第44条に基づく損益計算は、あくまでも法人のインセンティブを計算するために行われるものであることもしっかりと書き込まれている。
・一方で、議論の途上で、法人がインセンティブの特性や仕組みを十分に理解できていないということが判明した。また、今後の課題として、法人が十分に理解できていないものについて、国民に対して、どのように分かりやすく伝えるか、という点がある。
(7)「令和5事業年度の事業報告書」について、長村会計基準等部会長から報告が行われた。
(8)独立行政法人シンポジウムの開催概要について、資料7に沿って事務局より報告が行われた。
シンポジウムに登壇予定の法人理事長の紹介は以下のとおり。
【1】物質・材料研究機構(NIMS)の宝野理事長
NIMSは職員数約1,600名の特定研究開発法人。宝野理事長は、組織の最優先リスクを人口減少下における優秀な人材の確保であるとし、理事長からメッセージを発信。独法だからこそ組織の運営方針に沿った変革をなし得ることから、若手・外国人研究者の確保・育成、エンジニア職の確保、人事評価制度の見直しなどの取組を戦略的に進めている。
【2】高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の輪島理事長
JEEDは全国に施設を有する職員数約7,000名の法人。輪島理事長は、就任時に人材確保育成方針を策定し、理事長メッセージとともに職員に発信して取組を推進している。また、進捗状況についても理事長メッセージとともに職員に共有している。方針に基づく取組は大きく12項目ほどあるとのことで、事務局としては、法人類型や規模の大小を問わず、他の法人のヒントになろうと期待している。
【3】農林漁業信用基金の牧元理事長
農林漁業信用基金は比較的規模が小さく、職員数は約100名。また、数次にわたる統廃合の歴史がある法人。牧元理事長は、就任時に人材確保育成方針を新たに策定している。マンパワーが限られているところ、方針具現化のため、外部知見も活用し、組織の現状分析、職員の率直な思いの把握、取組のロードマップ作成、人事評価制度の見直しや、慣習的な業務の見直しなどに取り組んでいる。
※上記の職員数は、常勤職員、非常勤職員の合計数
委員の主な発言は以下のとおり。
・登壇される理事長の取組を深堀りし、特徴を引き出せるようなパネルディスカッションとして、さらに取組を後押しできると良いと思う。
・独法理事長には、独立行政法人制度の知識、経営センス、さらに独法ごとの個別の専門分野の知見が求められるが、いかなる理事長でも、就任直後からすべて兼ね備えておられる方は多くはなく、任期中に獲得することも難しい。まして、独法は理事長独任制であり、環境が激変する中、うまく運営していけるのか悩ましく思う。民間企業では当然のように経営人材のサクセッションプランが真剣に考えられているが、独法理事長ではそういったことが進んでいないのではないか。このような状況を踏まえ、本シンポジウムだけではなく、特にシンポジウムに参加していない理事長にもアプローチできるような企画があれば良いと思う。
以上
(文責:総務省行政管理局独立行政法人評価総括担当)
(速報のため、事後修正の可能性があります。)