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自治紛争処理委員平成22年第1号−第3回会議 議事録

【宇賀代表】  それでは、定刻少し前でございますけれども、皆さん、お集まりですので、会議を始めたいと思います。
 本日の審査の進行等についてですが、審査省令の第14条の規定に基づきまして、代表自治紛争処理委員である私が行うこととします。
 なお、冒頭、カメラ撮りが可能となっておりますので、ご了承願います。
 それでは、まず資料の確認をさせていただきます。議事次第の次にあります資料一覧をご覧ください。
 議事次第、それから出席予定者名簿のほかに、千葉県知事からの準備書面(2)の写し、それから我孫子市長からの反論書の写しと参考人提出資料となっております。
 次に、本日の審査の進め方ですが、参考人として、農林水産省の担当者から口頭で陳述をしていただくこととしております。その後、私ども委員のほうから参考人に対して質問をさせていただきます。その後に両当事者から参考人に対して質問等があれば伺うことといたします。
 カメラ撮りは、ここまでとさせていただきます。
 それでは、早速、参考人である農林水産省の方、陳述をお願いします。


【農林水産省】  農林水産省の農村振興局農村計画課で農業振興地域制度を担当しております室賀と申します。私からご説明を、まずさせていただくことにいたします。
 本日、お配りしております資料でございますけれども、申しわけございませんが、公表されている資料の範囲でお配りをさせていただいております。農業振興地域の整備に関する法律の三段表ですね。法律、政令、省令、これが3段になったものでございます。あと、もう一つは、制度に関するガイドラインといったものをお配りさせていただいております。
 そうしましたら、まず今回の、特に陳述等を求めようとする事項ということで、それに沿ってお話をさせていただきたいと思います。
 まず、農用地区域という区域に含めるための基準、これを法定化いたしましたのが平成11年の法改正でございますけれども、このときの、要は制定経緯とか趣旨の話でございます。
 その前に、農業振興地域の整備に関する法律という法律の内容でございますけれども、昭和44年、国民の必要とする食料、農産物を安定的に供給する、また生産性の高い農業経営を確立していくということが非常に求められている状況でございまして、そういった中で、効率的な農業生産の基礎となる農用地を確保していこうと。そういった農業地域の保全、形成といったことに対して必要な投資、農業生産基盤整備をはじめした投資ですね。こういったものを整備いたしまして、相当長期にわたって、その効果の確保をしていこうといったところの趣旨がございます。
 法律の関係でいきますと、三段表を見ていただきますと、三段表の最初のところに法律の目次というものがございまして、法律の構成が書いてございます。全体といたしましては、まず国の農用地を確保するという考え方、方針を示します指針、こういったものを策定するものがございます。それを統制をとりまして、届けがされます方針、これも農地の確保の方針ということになりますけれども、それを受けまして、地域の指定、それから市町村が定めます整備計画というような形になっております。
 その後の章につきましては、そういったそれまでの整備、形になっているものにつきまして、必要な対策、措置をとるための仕組みが含まれていると。先ほど申しましたとおり、そういった整備をして、計画的な整備をして、良好な営農条件を備えた農業地域を確立していくというところでございまして、もう一点は、先ほどありました国の指針、方針、整備計画を通しまして、国民への安定的な食料供給に必要な優良農地の確保をしていくという仕組みになってございます。
 第10条第3項のところの話でございますけれども、少し、こちらのちょっと厚目の資料のガイドラインというものがございます。このガイドラインは現行では技術的助言という位置づけにはなってございますけれども、もともと44年の法律の制定、それ以降、50年、59年、11年、それから今回、昨年、大きな改正をしておりますけれども、そういった法律の改正のときの解釈、趣旨、そういったものも含めて整理をさせていただいておりまして、これに基づいて制度が適切に運用していけるようにということで出させていただいているものでございます。
 この制定のところの、めくっていただきますと、最初の「ガイドラインの制定について」という紙がございます。これが実は平成11年改正のときの考え方が出されて、示されております。
 このときに、どのような話があったかということでございますけれども、ずっと下のほうになって恐縮ですが、「また」というところがございます。「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」というのがございますけれども、このときに、地方分権の関係で、一括法という形で出されております。これとあわせて、それまで農振法の中の各種基準といいますのは、法律に基本的な事項を定めておりましたけれども、例えば農用地地域に編入する基準、例えば外す基準、こういったものについては通達等で運用していたということでございます。ですが、この地方分権関係の一括法の中で、自治事務化ということで、そういった中で、これまで通達で出されていた基準につきましては法定化するという方針が出されたところでございます。これを受けまして、これまでの通達で基準がなされていた設定基準、変更基準、こういったものにつきまして、法律、政令、省令といったところに位置づけをしたということでございます。
 そういった意味では、「また」の上にございますけれども、「第三」というところで、今、私が申し上げたような形で、これまで通達により運用されてきた農用地区域に定める土地の基準等について、法律上明確に定められているというような流れがございます。
 これが、まずこの基準を定めたときの考え方、趣旨でございまして、もう少し詳しく申し上げますと、こういった基準につきましては、農用地区域という形で確保していく農地ということで整備しているわけでおりますけれども、そのまま基準を定めないということになりますと、先ほどありましたように、国として、今後とも農業上の土地を確保する、利用していく農地につきまして、そういった条件を満たす基準というのが位置づけられなくなってしまう、影響してしまうというようなところとか、農用地区域につきましては、一定の私権の制限、農地転用の許可とか開発行為、こういったことがございますので、明確な基準によって、統一的な運用をしていただくというところです。それから、農用地区域としての利用の中で、今後の土地の利用について、農業的な利用するということを明確に位置づけるというようなところです。こういった状況を踏まえて、制度運営の公平性、透明性の確保とか、国民への信頼、制度の信頼というところも含めて位置づけをしているというところでございます。
 それから、もう一点でございますけれども、先ほどの農用地区域の設定に係る市町村の裁量という点でございます。
 これにつきましては、まず三段表のほうでいきますと、申しわけございません、ページを打ってございませんで、4枚めくっていただきますと、第10条といったところが出てまいります。
 先ほども申しましたけれども、この基準の中には、国として統一的に確保しなければならないと考えている農地ですね。一般的に優良な農地、農用地区域全体を優良な農地と言っておりますけれども、そういったところの位置づけ、それから市町村の地域の農業振興に必要な農地として、例えば、野菜の生産を高めていく、果樹の生産を高めていくというような、市町村独自の農業振興を図るところということで基準が書かれております。
 基本的な考え方の中では、まず国として、全国統一的に農地を確保していく必要があるというものについては、第3項の第1号、2号のところでございます。これはどういう考え方かといいますと、もう一つのほうのガイドラインの25ページをお開きいただきたいと思います。
 25ページの真ん中辺に第13というのがございます。法第10条関係とございますが、そこの(1)集団的に存在する農用地というところでございます。
 これにつきましては、高性能な機械による効率的な営農、そういったものが可能な農地として農用地の連担する、集団化している農用地ということで、そういった効率的な農業生産が可能な農地については確保していく必要があるということでございます。これにつきましては三段表で見ていただいておわかりのとおり、政令のところで、集団的に存在するという要件でございますけれども、規模を20ヘクタールとしてございます。
 今回、昨年12月15日に施行されました法改正の中で、政令も一緒に変えているわけでございますけれども、その中で、一応、10ヘクタールまで引き下げるということで、その施行は本年6月1日からということにしてございます。ここが1点目、集団的な農地というところでございます。
 それから、もう一つ、第2号のところでございますけれども、土地改良法ですね。土地改良事業等の対象となっている土地でございます。
 これにつきましては、次のガイドラインの26ページをごらんいただきたいと思います。土地改良事業等の事業が行われた土地は、農業の生産性が高い土地ということですね。一般的に事業が行われていない土地に比べまして生産力が高いということでございます。
 その中で、省令でも書かせていただいておりますけれども、国の直轄または補助による事業というのと、もう一点は、土地改良法制定以降、施行後に実施されたものというふうにしております。これはなぜかといいますと、その前に書いてございますが、国の直轄または補助で事業をやられるものについては、一定の整備水準が確保されているということでございます。それと、施行区域ですね。土地改良法の手続を経て施行する区域が特定できることが可能だということでございます。そういった観点で、特に一定の整備水準以上で生産性を高めた農地につきましては、優良な農地として確保していきましょうと。これは国全体として統一的な基準として定めさせていただいているものでございます。
 三段表にお戻りいただきまして、それ以外にありますのが、全体として農業地域の形成を図っていきますので、そこに関係します農地だけではなくて、水利施設であるとか、要は、農地を保全したり、利用したりするために必要な施設ですね。土地改良施設のようなものです。こういったものが第3号。
 それから、農業用の施設ですね。集出荷場であるとか、そういった農業用の施設、これも農業生産上、一体的に確保する必要があるということで位置づけてございます。
 第5号が、実は先ほど申しましたけれども、整備計画を定めます市町村において、地域の特性に応じた農業の振興を図っていこうという中で、農用地区域として確保して、さまざまな政策を講じていこうというようなところで位置づけられているものでございます。そういう意味でいきますと、先ほど言いました農地に関しては、第1号、第2号が統一的な基準で、第5号につきましては市町村の考え方の中で整備をしていくといったものでございます。
 それから、次に13条の関係。今度は外そうというか、変更するときの基準でございます。これにつきましては、三段表のほうでいきますと、今の10条のところから4枚ほどおめくりいただきますと、左側に第13条というところがございます。
 これにつきましては、整備計画の変更ということでございまして、農用地区域自体が一定の長期を見通して、計画的にそういった農用地の利用の計画とか各種施策についての方針、計画をつくるという計画でございます。そういった中で、そのベースになっております県の方針とか、外側の総合的な農業振興を図る地域である農振地域と、こういったものを変更する。または定期的に、基礎調査として、おおむね5年ごとに地域の農業の状況とか経済事情等々もありますでしょうけれども、そういったものを下調査を実施いたしまして、今後の地域をどうしていくかといったところを調査した結果として見直す場合、それと経済事情の変動、その他情勢の推移といったところがございますけれども、この点につきましては、ガイドラインのほうの47ページ、第16というところから、先ほど申しました変更の事由の考え方が示されております。
 端的には、計画的な管理ということで、基礎調査を実施する等によって、整備計画の変更・見直しをしていくという考え方、もう一つは、48ページにございますけれども、見直し等をいたしまして、方針を立てますけれども、その後、情勢が変わったことによって計画を変えていくというような場合、経済事情の変動その他情勢の推移、こういった状況を踏まえて変更が必要と判断した場合に上げていくということでございます。
 この際、計画の協議があったとき、特に整備計画につきましての変更は、手続といたしまして、説明いたしませんけど、第11条にありますが、関係権利者への異議の申出等、それから地域住民の意見の聴取、そういった非常に慎重な手続を経て、その整備計画全体の変更について手続を経て変更していくということになりますので、例えば、その後、協議があったときに、その一部についてのみ同意できないという事由があったときに、どのような対応になるかということでございますけれども、計画の変更自体は、その変更する前と変更計画という形、全体の変更計画という形で手続を進めてまいりますので、ですから、一部の事由に関して、例えば、変更計画の変更、見直しをしなきゃいけないという事態が生じた場合は、改めて、その最初の公告、縦覧という手続、異議申出の手続等を行って、新しいといいますか、見直した後の変更計画によって手続をする中で、同意も含めた取扱いをいたしまして、それが成立すれば変更計画が成立するような形に手続的になります。ですので、個々の事案という形ではなくて、変更前の計画を変更後の計画に見直すというような形の手続をしているということでございます。
 それから、法施行規則第4条の3の関係でございます。三段表でいきますと、先ほどのところから、また少し……。そうです。先ほどの第10条のところでございますね。
 先ほど農用地区域に編入する土地の中で、土地改良事業等の話がございました。第10条第3項の第2号ですね。この関係で施行規則という形で定めさせていただいているところが第4条の3ということになります。
 これにつきましては、申しましたとおり、土地改良事業等の中でも、そこの農地の生産性を向上するというものについては、国として確保していくべき優良な農地であるという判断のもとに、ここの各ところが書かれております。
 まず、ガイドラインのほうで、ちょっとごらんいただきたいと思いますけれども、26ページをお開きいただきたいと思います。先ほどちょっとご説明したところの続きになります。
 第1号のところでございます。「主として農用地の災害を防止することを目的とするものその他の農業の生産性を向上することを直接の目的としないもの」ということでございますけれども、これにつきましては、この事業の性格ですね。先ほど言った現況の農地の農業生産性に対して、どのような対応をされる事業であるかということでございます。ですので、ここにあるものにつきましては、一定の生産、要は災害の未然防止とか、現行の生産性を維持するとか、現行の状況から生産を高めるという性格の事業ではないものですから、括弧で除いている状況でございます。それに類似する形でいきますと、例えば、施設を維持、補修するとかいうような事業についても、同様の扱いをさせていただいているというところでございます。
 それから、もう一点、次の(2)のところに関係いたしますけれども、第1号のイのところです。これにつきましては、一般的に不可避受益地というような言い方をしているところでございまして、全体として安定的な、作物の生育に合った安定的な農業用水の供給とかをする場合、農業施設は全体としてつながっておりますので、一部に現況の農業生産の維持のみ、要は水だけを補給するような形の農地があるという場合がありますので、そういったところについては現況の用水を変えるわけではございませんから、その生育に合った農業生産、生産の向上というところに結びつかないということもありまして、例えば、排水もそうでございますけれども、不可避的に生まれる受益地につきましては、生産性を高める範囲に入らないということで、見込まれない土地という形にしております。
 それから、もう一つ、同号のところ、1号のハでございますね。旧制度の開拓事業といったところでございます。これにつきましては、(3)のところでございますけれども、先ほどございましたけれども、国の直轄または補助による土地改良事業ということで、一定の整備水準をもって生産を高めるための事業が行われるといったところを対象にしておりますということでございましたが、旧制度の開拓につきましては、戦後の食料難といったところで、緊急的な対策として行われてきたといったところもございまして、必ずしも生産性が高いという農地に位置づけるということは困難なところがございました。ということで、現状の水準を考えますと、そういった生産性を高めていくという事業に含めることは難しいという判断がございまして、外しておるといったところでございます。
 全体といたしましては、特に冒頭、陳述等を求めようとする内容については以上でございます。


【宇賀代表】  ありがとうございました。
 それでは、委員の方から質問等ございますでしょうか。


【高橋委員】  今回の紛争の経緯は、我孫子市のほうから農用地地区除外、つまり農振整備計画の変更の申出があって、それを県のほうで同意を拒否し、同意の拒否の理由が、ここは土地改良事業を行った土地であるからということですね。おそらく問題は、第13条の第1項の変更手続の話になるのではないかと思います。第13条第2項が転用目的での変更の規定ですので、今回は転用目的ではないので、第13条第1項の問題であると理解してよろしいのかどうかということが1つ目です。
 それから、もう一つは、もし第13条第1項の問題だとした場合に、一たん、土地改良事業の施行区域に含められた土地については、第13条第1項の見直しの対象につまり規則の第4条の3の例外に含まれるかどうかという話は別として、もし仮に土地改良事業の施行区域内の土地だとしたならば、第13条第1項の見直しの変更の手続の中で、その見直しの中に含めることはできるのかどうかという、その2点、とりあえずお願いいたします。


【農林水産省】  変更の中でいきますと、第13条第1項に基づく整備計画変更という範囲に入ると考えていいと思います。
 土地改良事業を施行したところが、この変更の中で農用地区域としての利用、設定が変更されるかどうかという判断につきましては、先ほどございました設定の基準との関係がございます。ですので、農用地等として含めておく、設定しておくべき農地の状態のまま変更するということになりますと、そこの設定要件を満たしたままの状態でございますので、ですから、含めておかなきゃならない状態を外すという行為になってしまって、要件として、ここには変更の中の要件としては当たってこないと考えております。
 ですので、第10条の第4項を見ていただきますと、第10条第3項に該当していても含めなくていいという土地の要件を第4項のほうでつけております。ここにつきましては、どういったものが並んでいるかといいますと、各種法律に基づきまして、農業上の利用の調整が図られる仕組みが既にあって、その仕組みの中で調整が済んでいるもの。または、その下に施行規則がございます。第4条の4から並んでおりますけれども、公共施設ですね。道路とかですね。こういったものについては、ほかに行くと。位置選定でほかに行くとか、または、ここに並んでいるのは点的なものとか線的なものでございまして、直接、農業の生産への影響が軽微なものと判断できる。ですから、公益性が高くて農業の生産への影響が軽微なものについて並んでいるということでございます。こういった第10条第3項に対して、第10条第4項に該当するものについては農用地区域に含めないとするという扱いになるものですから、変更、要は外すことが可能になる土地というふうに判断していただいてよろしいかと思います。


【高橋委員】  ちょっと確認させて下さい。後者の質問、私の2番目の質問ですけど、そうすると、農用地区域設定のときに、土地改良事業を行った土地であるということで設定しているとすると、それを外す場合には、土地改良事業の施行区域であるという前提を、例えば変えたりしない限りは外せないということですね。


【農林水産省】  はい。その辺が、ガイドラインのほうの49ページを、ちょっとご覧いただきたいんですが。
 まず、49ページの2、農用地利用計画の変更。農用地利用計画といいますのは、先ほどありました農用地区域と、それから農業上の用途、この2つを合わせて農用地利用計画と言っておりますけれども、この中で要件を満たす農用地の扱いについて書かれております。
 まず、アのところは、要件を満たすところについては速やかに編入するということを言っております。
 イのところでございますけれども、例えば、要件を満たさなくなるという場合でございますが、集団的に存在する農用地が、その集団性を下回ったとか、先ほど委員がご指摘になりました事業等を実施していて、それを変更して受益から外れるというような場合、こういった場合等が該当するということでございます。


【高橋委員】  もう一つよろしいですか。


【宇賀代表】  どうぞ。


【高橋委員】  今のご説明は、よく理解いたしました。それに関連して、ちょっと教えていただきたい。第13条第2項の変更の場合には、都市的な用途に供するものですから、要件が幾つか並べられておりまして、第1項の場合よりも加重されていて、その中の1つに土地改良事業が実施されている地域である場合には、工事完了の公告の日から8年を経過していることという要件がありますよね。この場合は、つまり転用目的の場合には、8年たつと、ほかの要件があるけれども、ほかの要件を満たしてさえいれば、8年たてば区域除外が可能になると。
 他方で、第1項の場合は、これは転用目的ではないわけですけれども、その場合には、土地改良事業の施行区域であったとしても、事業完了後何年たっても土地が変わらない場合には地区除外ができないと、そういうふうな理解でよろしいでしょうか。もしそうだとすると、なぜそういうふうな違いをつけたのかということを教えていただけますか。


【農林水産省】  まず、全体としての法の趣旨からいきますと、土地の農業上の利用を図るという、そのための投資に関しては、その効果を保全する。そのために一定の規制がかかっているということで仕組まれていると思うんですけれども、ただ、国土資源という観点からして、他の利用との競合とかが出てきたときに、やはり農地の保全とその他の利用との比較考量をしたときに、その影響が最低限といいますか、なるべく少ない範囲であって、その利用が明確であるのであれば、周りの農地への影響とかですね。当然、別のところに利用できる土地があれば、そちらでやっていただく。まずは、その農地としての確保が最優先でございますけれども、そういった調整をした上で、どうしてもこの基準に合った中に限られて、そういった、他の利用について認めるという仕組みになっておりまして、まずは農地としての利用、農業上の利用を確保するということがベースとなっていると。


【高橋委員】  第1項と第2項の先ほどの8年経過云々の関係で確認させていただきますと、都市的な土地利用の場合には、他の国土利用との調整という観点が必要になってくるから、8年経過していればやむを得ないけれども、そういう他の国土利用の要求との調整という問題がない第13条第1項の場合には、そういう8年という緩和的な要件は設けないと、そういう理解でよろしいですね。


【農林水産省】  はい。基本は、その基準に合ったところについては、農地としての利用を図るという認識に立っていると。


【高橋委員】  だから原則は第1項で、第2項の8年以上たっていればオーケーというのは、むしろ例外的だと、こういう理解ですね。


【農林水産省】  そうですね。どちらかというと。はい。


【高橋委員】  とりあえず、私は以上です。


【大橋委員】  それでしたら、また第10条のほうに戻るんですけれども、第10条の第3項のところで、それを詳細化した規定が省令で第4条の3という形でつくられている。ここの部分ですけれども、法律のほうで第10条の第3項の第2号というところは、土地改良事業で用排水施設の新設、変更、区画整理、農用地の造成というようなものが行われた場合には、これは含めなさいという趣旨で、農水省令にゆだねられたのは、これ以外のものをゆだねたという、そういう読み方はおかしいのでしょうか。


【農林水産省】  これは、まず例示として、上に農業施設とか区画整理とか造成とかがございまして、それを省令で定めるもののということで、そういった中の省令の中の第4条の3に該当するものという読み方をしていただければよろしいかと思います。ですから、例えば、農業用用排水施設であっても、国が行った事業とか補助を受けた事業でなければ該当いたしますし。


【大橋委員】  そうすると、国のお金が出て、一定水準が整備されたものについて、第4条の3ですけれども、括弧の中で、先ほどの話だと、生産性を高めるという目的のもの、今よりもよりリッチなところに持っていくものと、災害など消極目的というか現状維持のものとを分けるという、そういう発想だったと思うんです。そうすると、ある事業が、それを行ったことによって、防災面でも役立つんだけれども、収穫も上がるとかという、そういう重複は想定できるんでしょうか。


【農林水産省】  そこの農用地に対して、どういった整備がされたかということになりますので、そこの生産を高めるための事業というものについては、この該当になってきます。ですから、例えば、直接的に主な目的が生産を高めるもので、付随的に災害防止する効果を発生するものとかございますけれども、その場合は、その主な目的として、生産を高めるという事業に該当すれば、これに該当するような形になってございます。


【大橋委員】  この場合、主と副というのは大事なんですか。政策目的の中に、その収穫を高めるというのが入っていれば、やっぱりその限りでは生産性を高めるという理解でよろしいんですか。


【農林水産省】  はい。そうですね。要は、農地の状態が現状よりも生産を高めているものの事業であるかどうか。高めたものは、やはりそういった水準に達する農地になったわけでございますので。


【大橋委員】  そうすると、災害とかで現状よりも農業生産性が低下するものについて、現状維持を図るというような消極的なことは、国としては当然のこととしてやって、それよりも少しでも高めるというようなことになれば、公金を出して一定水準にしたのであれば、それは事業後も保全してくださいという、そういうスキームだということですか。


【農林水産省】  そうですね。そういったものが国の全国統一的な基準の中で確保していきましょうという位置づけになっておるところです。


【大橋委員】  第10条と第13条の関係というのは、よくまだわからない部分があるんですけれども。第10条でこの区域指定してやっていて、その後に調査をしてみたら、調査の結果として、どうも事実状況が変わってきたということで、変更しましょうということになった。ただし、その場合、変更の目的が、他の目的にするという第13条第2項ではなくて、農用地として利用するが、しかし、区域から除外したいという。そういう変更を考えたとき、第13条の変更基準というのは、第10条の設定基準と比較して、どういう関係にあるんでしょうか。


【農林水産省】  先ほどもありましたけど、まず設定基準の中で位置づけがなされる。要は、その設定の要件を満たしたままの状態の土地ですよね。で、そこを満たした……。


【大橋委員】  例えば、土地改良事業なら土地改良事業で始めたということです。


【農林水産省】  そうですね。はい。
 満たしたままの土地を基本として、第10条のほうでは含めておくように、含めなければならないという状態になっているものですから、これを変更の要件として持ってきても、仮に変更されたとしても、速やかに編入しなければならない土地のまま残っているわけですよね。ですから、そういう状態の土地を外してしまうという行為自体に、やっぱり設定の基準との関係からそごが生じてくると考えていて、そういう意味では、ずっと設定の基準どおりの土地であれば、その利用、農用地の利用を確保していく状態が続く形になっているというふうに考えていただいていいと思います。


【大橋委員】  第10条の設定は、利害関係者の権利など、そういうことについての影響ある行為ですよね。


【農林水産省】  はい。


【大橋委員】  ですから、そうした活動に対して、例えば、知事が同意を与えるということについては、その同意基準を設定、公表するとか、透明にするとかという要請が市民との関係でもありますよね。第13条についても、そういう要請というのはあるというように考えてよろしいですか。


【農林水産省】  そこの部分は、自治法とか、いろんな他の法律の中で、その各自治体の判断の部分だと思いますけれどもね。


【大橋委員】  少なくとも、第13条第1項のところで、今おっしゃったような話というのは、先ほどのガイドラインとかには出ていることなんですか。


【農林水産省】  先ほど見た中で、実質的には、49ページの先ほどちょっとお話ししたところに該当すると思います。つまり、設定要件を満たしている土地については、速やかに編入するという必要がある土地であります。しなければならない土地であるというふうな形で考えているということでございます。


【大橋委員】  このガイドラインの性格なんですけど、地方分権との関係で、必要であるものは法令の中に入れるという形で法令の整備を図られた。しかし、それでもガイドラインという形での基準は残って、そういったものが二層構造になっている。このガイドラインは行政が行われる、都道府県とか市町村に向けられた文書だという意味合いを持つと思うんですけど、対市民との関係では、このガイドラインというのは、どういう性格のものなんですか。


【農林水産省】  対市民ですか。そういう意味でいきますと、この中に含まれているものについては、位置づけとして、この仕組みそのものが、国、県、市町村という三者で、要は運用されていくという内容でございまして、その対市民に対しても、こういった制度の運用をしていけば、この制度の趣旨に沿った対応ができるという部分が幾つか含まれている性格のものだと考えていただいてもいいと思います。
 例えば、ガイドラインの目次が、長い目次があるんですけれども、1ページの1枚前ですね。ガイドラインの中には、ここにある5つの性格があるというふうに考えております。平成11年改正の前の通達という形のフォローについていえば、法律を制定、改正したときの法制的な議論、整理、そういったものを施行通知という形で出していたんですけれども、そこの要素も入っております。例えば、運用上、こういうことをしたほうがいいと、こういった対応をしたほうが円滑な事務が進められますよというようなところについては、「望ましい」とか、そういったほんとうの技術的助言的な表現になっておりまして、全体として、制度をより理解していただき、さらにその制度を円滑に運用していただくと、それをもって対市民に対しても、そういったしっかりした対応ができるようにという性格のものだと思います。


【大橋委員】  自治事務化されて、地方公共団体の自治事務という形になった後のことなんですけれども、法令で書かれた要件以外に、設定とか変更のところの基準について、各地方公共団体で、かなり個性ある取り扱いというのがされているんでしょうか。何かご存じでしたら、教えて下さい。それとも、このガイドラインに従い、横並びでやっているのか。


【農林水産省】  そこは、私どもが承知している範囲でいけば、ある程度、市民に対して行政サービスのような形で対応する手順を間にかませているというか、入れて、やっておられるような自治体もあるとは聞いておりますけれども。


【宇賀代表】  施行規則の第4条の3の第1号の柱書きの部分ですけれども、ここで、「主として農用地の災害を防止することを目的とするものその他の農業の生産性を向上することを直接の目的としないものを除く」と、このようになっているわけですけれども、ここに該当する事業として、具体的にどういったものが考えられますでしょうか。


【農林水産省】  先ほどのガイドラインの26ページでも、若干ご紹介をさせていただきましたけれども、(2)の(1)のところにございます。防災事業のほか、例えば、集落で土地利用を造成して、非農用地等を生み出して、一定の土地の利用と、その農地の利用を整備する事業とか、集落土地基盤整備事業というのがありますけれども、あとはその施設の緊急的な補修とか、そういった面で整備をするといったものが例示としては該当するとしております。


【宇賀代表】  この括弧書きの解釈について確認なんですけれども、これまで我孫子市のほうからも、千葉県のほうからも、この括弧書きの解釈については、事業全体の目的ではなくて、個々の対象の土地との関係で解釈すべきだという意見が述べられ、これは両方とも一致しているようなんですけれども、その点は農水省も同じように考えていらっしゃいますか。


【農林水産省】  そうですね。土地改良事業の中には、いろんな事業の性格を持つものをあわせてやっておる事業、総合的な事業もございますし、ですから対象として考えますと、その実際の農地がどういう整備がされて、そこが生産を高めたところなのか、そうでないのかといったところの判断で……。


【宇賀代表】  本件の場合、問題になっている土地は、排水のみの受益地ということになっているわけですけれども、排水のみの受益地の場合、この括弧書きに該当するというふうに農水省としては解されておられますでしょうか。


【農林水産省】  排水の事業という中で考えますと、一般的に排水条件が悪いことによって、汎用化とか、他の畑作物を生産できないとか、または水稲であっても生産が低い状態が続いているというところを改善するような事業であれば、現状の生産を高める性格のものに入ると考えております。


【宇賀代表】  そうすると、災害防止を目的とした結果、農業生産性が向上するといった場合も括弧書きに該当するというふうにお考えでしょうか。


【農林水産省】  実際に、現状の生産に対して、その被害がどのような形で起きているかということだと思うんですけれども、少なくとも現状、一般的な生産量に対して、その事業の施行によって、どのような効果をもたらしているかというふうに考えていただければいいと思います。


【高橋委員】  今の点、ちょっといいですか。


【宇賀代表】  どうぞ。


【高橋委員】  単なる防災事業は除くということが、そのガイドラインに書いてあると思います。今言われた(1)の4行目ぐらいに。防災をすれば、結果として農業生産性の向上は図られる場合が多いと思うのですけど、お聞きしたいのは、農業生産性の向上と直結しない単なる防災事業というのは、どういうものをイメージすればいいのかというところを教えていただきたい。


【農林水産省】  例えば、何年に1回の大雨が来たとか、そういった、要は通常の生産の状態ではなくて、そういった一般的な確率の中で大雨が降ったときの災害とか、例えば、ため池等とか防災ダム等が決壊すると、その下流に被害を及ぼすとかいうような形で、要は、通常、一般的な現状の生産ではなくて、そこが要因ではなくて、他の要因によって被害がもたらされているような状態を未然に防止するとか、そういったものが基本的には災害防止の対象になると考えておりますので、そういったことです。ですので、そういった場合が防災事業としての対象になろうかと思います。


【宇賀代表】  それから、第4条の3の第1号のイの解釈ですけれども、イの括弧書きのところで、「相当程度図られると見込まれない土地」というふうな表現になっているんですけれども、これは実際に生産性が向上したかどうかにかかわらず、施行の時点で見込まれなければ、その括弧書きに該当しないということになるという解釈をされていますでしょうか。


【農林水産省】  そこもちょっと例で申しましたけれども、これも26ページに書かせていただいてございますけれども、用排水というのは、上の、例えば、用水路であれば、河川から水をとると、そこからずっと用水路が末端の圃場まで来ていますので、ですから、主に生産性を上げるための対象となる受益に対して事業を実施する。例えば、施設を整備するときに、その末端のほうで、その対象以外のところまで水が及んでいる場合がございますので、そういったところは、例えば、その生育に合わせた水量の増加とか、それから、例えば、作付時期、そういった作物生育に合わせた水の量を増やしたり調節したりする対象ではないんですけれども、現状、今、水を取っている量は維持する、保水するといいますか、そういったところの受益、そういったところを不可避受益と言っておるんですけれども、中心となる受益地にそういった向上のための整備をすることによって、それの周辺のところの農地に対しても、一定の現状維持の水量を補給してあげなきゃいけないというような場合に、そこの不可避的な受益については、今言いました生育に合った水量を高めたり、時期を調節したりというところがないものですから、そこは生産を高める投資ではなくて、現状を維持するための水であるというふうに考えておりますので、そこについては生産が上がるという対象にはなっていないと考えております。


【大橋委員】  何回も同じことを聞いて、恐縮ですけれど。
 第10条の第3項で、第2号ですね。いろんな事業が挙がっている中で、例えば、土地改良法という法律に基づく事業だという形で整備されたという、そういう土地について、第4条の3の第1号で言われているところの、災害目的とみなすというのは、ちょっと例外的のような気もするんですけれども、いかがですか。


【農林水産省】  そうですね。土地改良事業自体が持つ目的なり仕組みといいますか、それと、ここで全国的に農用地として確保していく対象、ここは必ずしもイコールではございません。


【大橋委員】  イコールではない。


【農林水産省】  はい。


【大橋委員】  それと、受益ということが、第10条のところとか、第4条の3とかで出てくるんですけど、賦課金というのは、具体的にどういう土地に対して課されるのですか。住居地からお金を取るような仕組みになっているんでしょうか。


【農林水産省】  一般的には、事業の実施によりまして、受益を受ける、利益を受ける地域に対して、建設費用、それからあとの維持管理に要する費用を徴収すると。


【大橋委員】  それは一時的ですか。それとも定期的に何回か、固定資産税みたいな形で課すお金なんですか。


【農林水産省】  建設費用に対する賦課につきましては、事業完了後、一定期間内に徴収するという形になります。


【大橋委員】  1回限りですか、それは。


【農林水産省】  一般的には1回限りで、一定期間内に、13年とか17年とかの一定の期間内で徴収をするということになっています。それに対して、維持管理ですね。でき上がった施設に対する維持管理費用の賦課については継続して、事業管理を継続して、賦課を掛けるという。


【大橋委員】  賦課金を掛けるときの手続というのは、何かあるんですか。あなたは受益したでしょうという形で、税金を課すみたいに1枚送るのか、その前に話し合いとか何か、そういう手続というのは、具体的に実務上あるんでしょうか。つまり、相手に不意打ちで払わせているようなお金なのか、それとも、了解を基礎に、事業としては国営事業でも共同事業みたいな形でやっているのか。


【農林水産省】  土地改良事業につきましては、実施の際に、関係受益者の方の、農家の方の同意を得るという手続を踏むことになっております。その中で、事業実施に係る賦課についても明示をしておりますので、そのことも含めて同意をとっているということになるのではないかなというふうに思っています。
 また、実際に賦課を掛けるときには、賦課の通知を、毎年、各農家の方に通知をして賦課をしておりますので。


【大橋委員】  そうすると、賦課金が、先ほどのご説明だと、受益を受けるということを前提に課すお金だということだとしますと、制度論としては、第4条の3のところで言う、この受益ということとは、一緒に考えることができるんでしょうか。つまり賦課金を払っているような場所であっても、いや、これは防災目的ですということはあり得るんでしょうか。


【農林水産省】  防災目的なのか、あるいは土地、農業の生産性向上目的なのかということについては、それぞれ実施する事業によって目的が定められておりますから。


【大橋委員】  しかし、その事業で賦課金を課すことについては、事業者も土地所有者も納得されて、一定期間、賦課金が払われているという状況のもとで受益があると理解してよろしいんですか。そういう意味では。


【農林水産省】  受益があるとおっしゃいますと。


【大橋委員】  現状維持ではなくて、生産性の向上が図られた土地だというように捉えていると見ることは可能なんでしょうか。


【農林水産省】  ええ。了解といいましょうか、各農家の方から同意をとる際には、事業計画の概要についても明らかにして、その上で同意をいただいておりますから、例えば、事業の目的がこうで、それに伴って生産性が向上するんだというふうな理解のもとに同意をいただいておるものというふうに考えております。


【宇賀代表】  いいですか。


【高橋委員】  いいですか。あと一つだけ。


【宇賀代表】  はい。


【高橋委員】  私のほうからもう一つ。
 規則の第4条の3について、第4条の3の第1号のハの農用地の造成の括弧書きのところです。先ほどのご説明である程度わかったのですが、昭和35年以前の年度にその工事を着手した開墾建設工事を除くというこの括弧書きは、農用地の造成にだけ掛かっているわけですね。


【農林水産省】  はい。


【高橋委員】  イ、ロ、ハ、ニのほかの号には掛けないで、このハにだけ掛けているというのは、どういう理由なのか、ご説明いただけますか。


【農林水産省】  これは、この開墾建設そのものの事業ですよね。この事業そのものが、農用地の、要は食料増産時代の農用地の造成を目的としたものでございますので、そこに該当する部分として、ハに括弧をつけていると。


【高橋委員】  そうすると、例えば、ニの埋立て、干拓は、開墾建設工事の中では行われなかったと。昭和35年以前、農用地の造成が開墾建設工事の主たる事業だったから、したがって、農用地の助成だけに、この括弧書きが掛かっていると、そういう理解でよろしいですか。


【農林水産省】  はい。


【高橋委員】  そうすると、農用地の造成にかかわらない土地改良事業には、この括弧書きは掛からないということですね。


【農林水産省】  そうですね。


【宇賀代表】  よろしいですか。もしありましたら。


【高橋委員】  結構です。


【宇賀代表】  それでは、両当事者から質問等があれば伺いたいと思います。発言される場合には、私に許可得た上で発言してください。
 まず、我孫子市側から、何かご質問ありますでしょうか。


【我孫子市】  よろしいでしょうか。我孫子市の代理人の島田です。
 施行規則第4条の3第1項1号の括弧書きの例外規定ですけれども、農業の生産性を向上することを直接の目的としないものを除くという中の、直接というのはどういう意味なんでしょうか。


【農林水産省】  先ほども申し上げたとおり、その農地に対して生産を高める、先ほどあった区画に対して整形化するとか、そういった事業とか、排水の対策をするとか、そういったことを目的として実施されている事業と考えていただいて。


【我孫子市】  その直接との対義語は間接だと思うんですけれども、何が違うんですか。


【農林水産省】  先ほどもありましたけど、事業として、まず目的としては生産を高める投資をする。それによって得る別の効果というのがございますので、ですから、そういった意味で、生産を高めることを、まず直接的な目的としていると考えていただいていいと思うんですが。


【我孫子市】  そこの目的が直接なのか間接なのかというところを、どうやって峻別するんですか。


【農林水産省】  それは各種事業の目的、性格によって判断しています。


【我孫子市】  そうすると当該事業の性質、それから当該土地が受ける受益であるとか、その内容を個別に見るということでよろしいわけでしょうか。


【農林水産省】  はい。


【我孫子市】  それから、排水受益の場合にも、いろんな排水受益があり得ると思います。例えば、田んぼに排水管を布設して排水を行うとか、そういう場合には一般的に生産性の向上があると言えるわけでしょうか。


【農林水産省】  例えば、排水性の悪い水田に暗渠排水という、地下に排水のための施設を設置する工事がありますけれども、例えば、そういう工種を施工する、実施することによりまして、水田の排水性が非常によくなって生産性が高まるということは考えられます。


【我孫子市】  その場合には、じゃあ、生産性の向上が直接の目的であろうと考えられるわけでしょうか。


【農林水産省】  直接という部分については、私は。


【我孫子市】  何とも言えないということですかね。それは個別……。


【農林水産省】  それはまた別途判断があるのかもわかりませんが。


【我孫子市】  当該事業と……。


【農林水産省】  例えば、今私が申し上げましたような事業の場合は、明らかに生産性が高まるということは言えるんじゃないかなと思います。


【我孫子市】  あと一方、今の例とは別の例で、今回の事業がそうなんですが、手賀沼の排水機場を設けることによって、手賀沼の水位をコントロールする。そういう面での排水受益が今回の対象地にあるわけなんですが、そうすると、このケースの排水受益が生産性の向上につながるかどうかというのは、先ほどの例に比べると一歩後退するのかなと思うんですが、その点はそういう理解でよろしいんでしょうか。


【農林水産省】  おっしゃるように、後退するかどうかという判断はできかねますけれども、当該事業計画によりますと、当該地域は排水改良の受益になっていると。排水条件が改善をされるということによって、反収増加、それから作付の増減効果だとか、営農経費が節減するという効果が見込まれることによって、農業生産性向上が効果が見込まれるということは言えると思います。


【我孫子市】  それは、だから、そういうふうに紙に書いてあるというだけの話で、私が質問しているのは、同じ一口に排水受益と言ったとしても、いろんなタイプの排水の受益があるだろうということ。そうすると、その排水受益の内容に従って、その事業の直接の目的が何なのかということを個別に検討しなければならないのではないか。そういう理解でよろしいんでしょうか。


【農林水産省】  一般的には、当該エリアで事業を実施する場合に、何を目的に実施をするかという目的がまずあろうかと思います。その目的に従いまして、どういう具体的な、物理的な工事を実施すればいいのかというのが、その次の工事計画として策定されるということになろうかと思います。


【我孫子市】  では、結局、直接の目的が何なのかというのは、当該事業ごとに、あるいは排水の内容ごとに個別に検討してみなければならないということでよろしいわけですか。


【農林水産省】  はい。当該地区の場合は、事業の目的というのも事業計画書の中に記載されているとおりでございます。その目的に応じた計画が組まれているということかと。


【我孫子市】  当該事業がどうなのかじゃなくて、一般的に、それはこの直接の目的が何なのかということを検討する上では、その当該、排水の中身が、排水受益の内容がどういうことなのかということを個別に見なければならないということでよろしいわけですねという質問をしているんです。はいかいいえかで答えられることだと思うんですけれども。


【農林水産省】  その排水の目的と整備の水準というのは、先ほどありましたとおり、その地区の農地の状態、それから、そこの地区をどういう農業地帯にしようかという営農計画、こういったものに応じて、その整備の内容は変わってきます。ただ、生産を高めるウエートは、その整備の水準によって変わりますけれども、目的自体の排水改良による生産向上という部分については、大小はあるにしても、効果としての考え方に違いはないと考えておりますけれども。
 ですから、例えば、直接的に排水の対策が行われるところと、先ほどありましたように圃場から排水の改良をしていくところと、確かに整備の水準には違いがありますけれども、計画として圃場の条件と、先ほど言った計画の中身に応じて整備をされて、例えば、生産を1上げるものと、場合によっては5ぐらい上がるところというような違いはあるかもしれません。ただ、そこのベースの目的としては、直接的には排水の改良ということであれば、目的になるというふうに考えております。


【我孫子市】  仮に直接の目的が防災にあるという場合には、副次的に、その結果、生産性が向上したとしても、それはこの例外規定に該当するという理解でよろしいですか。


【農林水産省】  主な目的が、先ほど言った他動的要因とかで被害を受けている状態を回避することによって、副次的に一部の生産が上がるということであれば、そうですね。


【我孫子市】  それから、違う話で、先ほど賦課金の話で、賦課金を課す場合には、地権者と協議して同意を得ている。それに基づいて賦課金課しているんだというようなお話があったと思うんですが、それでよろしいですか。


【農林水産省】  そうですね。事前に事業実施前には同意をいただいております。


【我孫子市】  そうすると、同意をしなければ賦課金を支払う必要はないんですか。


【農林水産省】  同意といいますのは、事業実施に係る同意でありまして、その段階で了解をいただかない受益者の方については、その後も状況についてご説明をして、賦課については引き続き同意を得るような努力をしていると。


【我孫子市】  いやいや、努力するかどうかではなくて、法的な意味での支払い義務が、同意をしない限りはないんですかということをお尋ねしているんです。


【農林水産省】  ちょっと、きょう、土地改良法……。土地改良法の解釈になりますけど、担当来ておりませんが、基本的に土地改良法の中では、3分の2同意という、3分の2強制。要は、例えば、一部に同意をされない方がいても、排水路とか水路というのは、それ以外の方のところにもかかわってきますので、基本的には3分の2の同意をもって、全体の方に賦課を発生することが可能な仕組みになっていると。


【我孫子市】  そうすると、一部の方が同意をしなかったとしても、同意をしない人に対しても、賦課金の支払いを求めることは可能ということでよいわけでしょうか。


【農林水産省】  きょう、直接の担当いませんけど、私が承知している限りでは、そういう仕組みであったと思います。


【我孫子市】  ちょっと1点だけ。申立人代理人の中村のほうから、ちょっと1点だけ。
 今の土地改良事業の同意に関するところで、土地改良事業を行う際の同意の時点で、賦課金の総額だとか、そういったものって明示されているんですか。


【農林水産省】  先ほど申しましたが、土地改良法の担当来ていませんので、申しわけないんですが。
 ただ、土地改良事業は、土地改良事業計画、要は工事をする計画と、もう一つは、その施設の維持管理に関する計画、この双方を同意を得ながら決定していくプロセスを踏みますので、その中で、一定の負担金に関して、提示はしていると思います。ちょっと、そこは担当に確認して、また、場合によっては、別途、ご回答させていただきたいと思います。


【宇賀代表】  我孫子市の方、ほかに質問ございますでしょうか。よろしいですか。


【我孫子市】  はい。


【宇賀代表】  それでは、千葉県側から質問ございますでしょうか。


【千葉県】  千葉県はございません。


【宇賀代表】  それでは、時間も押してまいりましたので、そろそろ公開の審査を終了したいと思いますけれども、よろしいでしょうか、委員の方。よろしいですか。
 それでは、本日の公開の審査を、これで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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自治紛争処理委員
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