おはようございます。
私から3点、ご報告をさせていただきたいと思います。
【
家計調査結果
】
まず1点目は、家計調査結果についてであります。
本日の閣議において、家計調査結果について報告いたしました。
そのポイントをご説明申し上げますと、全国二人以上世帯の7月の消費支出は、一年前に比べて、変動調整値で名目1.4%の増加、実質0.8%の増加となりました。
エアコンディショナなどの「家庭用耐久財」などが実質減少となった一方で、移動電話通信料などの「通信」や、医科診療代などの「保健医療サービス」などが実質増加となりました。
一年前と比べた世帯の消費支出は、8か月連続で、名目、実質ともに増加となっており、持ち直しています。
詳細は、統計局にお問い合わせいただきたいと思います。
【
2019年全国家計構造調査の実施
】
2点目は、全国家計構造調査の実施についてであります。
全国家計構造調査を、本年10月から11月にかけて実施をいたします。
9月11日以降、調査員が世帯の皆さんのご自宅に調査票への記入のお願いに伺います。それに先立ち、本日の閣僚懇談会におきまして、調査の円滑な実施に向け、私から各大臣に協力をお願いをいたしました。
今後、政府を挙げて、正確かつ円滑な調査の実施に向け、鋭意取り組んでいきたいと考えております。
全国家計構造調査の結果は、年金、介護、生活保護などの社会保障に関わる諸施策の立案等に利用される重要なものでございます。
調査対象となった世帯の皆様におかれましては、調査の趣旨をご理解いただき、調査への回答をお願いをいたしたいと思います。
詳細は、統計局にお問い合わせいただきたいと思います。
【ふるさと納税に係る勧告に対する総務大臣コメント】
次に、先日、国地方係争処理委員会から勧告文を受領いたしましたので、それについての「総務大臣コメント」を私のほうから読ませていただきたいと思います。少し長くなりますので、ご了解いただきたいと思います。
令和元年9月4日、国地方係争処理委員会から、泉佐野市からのふるさと納税に係る指定の申出に対し、再度の検討を行うことを求める旨の勧告文を受領いたしました。
まず、意義についてでありますが、ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった地方団体に感謝や応援の気持ちを伝える制度であるとともに、税の使い道を自分の意思で決めることができる制度です。
また、人口減少が深刻化する中で、地域資源を最大限活用し、地域経済を再生させていく上で、重要な役割を果たしています。
さらに、都市部の住民には、地方にふるさとや強いつながりを持つ方々が多数おられることから、ふるさと納税については、都市部の地方団体にも理解いただけるという仕組みであり、都市と地方それぞれの地方団体が制度の趣旨を踏まえた対応をすることで成り立つ制度であります。
次に、経緯について。
平成20年度のふるさと納税制度の創設当初より、地方団体がふるさと納税制度を濫用するおそれへの懸念はありましたが、法令上の規制を行わないこととしたのは、各地方団体の良識ある行動に期待をしたからであります。
しかし、一部の地方団体が、多額の寄附金を集めることを目的として、返礼割合の高い返礼品を提供し始めたこと等により、他の地方団体にもそうした取組が波及して次第にエスカレートしていきました。
その後、平成29年度及び平成30年度における総務大臣通知による見直しの要請や、全国市長会・全国町村会における申し合わせ等によって返礼品の見直しが進みましたが、その一方で、一部の地方団体が制度の趣旨に沿わない方法による募集を継続し、多額の寄附金を獲得する状況が生じました。
これに対して、制度趣旨に沿った運用をしていた各地方団体の長からはもとより、国会審議におきましても、公平性を害する旨の指摘がなされました。
このようなことから、平成30年9月に、総務大臣から、制度の趣旨を歪めているような地方団体については、ふるさと納税の対象外にすることもできるよう、制度の見直しを検討する旨、表明しました。こうした制度の見直しには法改正が必要となるものです。
また、総務大臣による表明と同日、制度の趣旨に反する運用をしている地方団体に対して個別に通知を発出し、「制度の趣旨を歪めているような地方団体については、ふるさと納税の対象外にすることもできるよう、制度の見直しを検討する」旨を記載するとともに、「貴団体の返礼品について、1日も早く見直しを行っていただくようにお願いします。」と要請したところ、大多数の地方団体においては、法改正を伴う制度の見直しを検討せざるを得なくなった事情をご理解いただき、返礼品の見直しが進められました。
しかしながら、そうした中にあっても、一部の地方団体、特に泉佐野市によるふるさと納税の募集の態様は、他の地方団体に対する影響を顧みず返礼品をことさら強調して寄附を誘引するものでした。実際に同市は、他の地方団体に比して著しく多額の寄附金を受領しました。
こうした泉佐野市の取組は、都市と地方をはじめとする地方団体間相互の信頼関係を失わせるものでした。また、地方分権推進法以来、地方分権の推進に関する基本理念は、国と地方団体とが共通の目的である国民福祉の増進に向かって相互に協力する関係にあるとされてきましたが、泉佐野市のふるさと納税に対する取組は、まさに国と地方団体の協力関係を阻害するものでありました。
以上のように、2年にわたり2度の大臣通知、平成30年9月の泉佐野市長への要請など、地方団体の動向等を見極めて、丁寧に対応してきましたが、各地方団体による募集の適正確保なくしては、ふるさと納税制度の維持が極めて困難な状況となったため、制度本来の趣旨に沿った運用がなされるよう、与党税制調査会において「制度の趣旨を歪めているような地方公共団体については、ふるさと納税の対象外にすることができるよう、制度の見直しを行う」との大綱が決定されたことを踏まえ、制度見直し案を国会に提出をしました。この制度見直し案について、どのような団体をふるさと納税の対象にするかについて、「過去の実績を勘案して対象となる団体を指定する仕組みが採用されているものもあり、こうした他の仕組みも参考としつつ検討」することや、「できる限り客観的な情報をもとに判断」するといったやり取りを含む幅広い国会審議を経て、立法府の意思として、地方税法の改正が行われ、ふるさと納税指定制度が創設されることとなりました。
このような指定制度の下、ふるさと納税制度を所管し、制度趣旨に沿った健全な運用を実現する責務を担う総務大臣の立場として、改正法令に基づいて、同市を不指定としたものであります。
国地方係争処理委員会の勧告についてであります。
国地方係争処理委員会勧告においても、泉佐野市の「募集態様は、他の大多数の地方公共団体が返礼品等の見直しを進める中で、他の団体に対する影響を顧みずに金銭的対価の割合の高さをことさら強調して誘引するという態様によって平成30年度に約497億円(全地方公共団体が受領した寄附金総額の約1割)もの寄附金を受領し、制度を維持する観点から是認できるものではない状況を招き、その結果として、地方創生に寄与する寄附金の募集に優遇を与えるというふるさと納税制度の存続が危ぶまれる状況を招いたといえることから、何らかの形でその是正を求めるべき事情があった」と指摘されており、私と認識を一にしているものであります。
泉佐野市を不指定とした理由は大きく2点です。
1点目は、告示第2条第3号に該当しないこと、2点目は、提供返礼品の返礼割合を3割以下かつ地場産品とするという法定返礼品基準に適合しないことです。
このうち、まず1点目の告示第2条第3号については、委員会勧告において、「告示第2条第3号は、その文言によれば、・・・過去の募集態様等が告示3号行為に該当しないとして直ちに、かつ、一律に「不指定団体」の要件とするものとも考えられ、法律の委任する募集適正実施基準の範囲を超えるおそれがある」等とされたところであります。
一方で、「「法の趣旨に反する方法により他団体へ多大な影響を及ぼすような募集を行い、著しく多額の寄附金を受領しないこと」・・・を実現しようとする点において、告示3号基準は合理的」である等ともされています。
また、過去の募集態様等の事実を勘案して指定の判断をすることについても、委員会勧告において、「処分時に考慮される諸事情には、過去の事実(指定の申出を行った地方公共団体の過去の募集の態様等)が含まれることもある」とされるとともに、「法改正による当初の指定の際に、改正前の募集の態様等が考慮されることをもって、直ちに違法ということはできない」とされたところであります。
2点目の法定返礼品基準等については、「審査申出人が申出当時行っていた募集態様、返礼品提供意思の表明などから、法定返礼品基準に適合しない募集を行う可能性ありとする判断に合理性があるといえるのか」等について、「さらに検討を要する状況にある」とされたところです。
これらの点を総合的に検討し、対応方針が決まり次第、泉佐野市長に通知することとしたいと考えております。
最後に所感でございます。
最後に、地方制度を所管する大臣として、一言付言をしておきたいと思います。
国と地方公共団体の関係について、様々な制度を設計していく中で、最初からいろいろな限界事例を想定し、地方団体の行動をあらかじめ縛るようなことは、地方分権の観点から適当ではなく、それぞれの地方団体が自らの判断で制度の趣旨を踏まえた行動をとっていただくことに期待すべきであるという思いに変わりはありません。
しかしながら、今回のように、ほとんどの地方団体が制度の趣旨を踏まえた行動をとられる中で、極めて例外的な行動をとる地方団体が出てくるような場合に備えて、事前にどのような制度設計をすることが望ましいのか、あるいは可能であるのか、大変難しい問題であるとの認識にいたりました。
いずれにいたしましても、今後とも地方自治法の趣旨に則り、地方団体の自主性、自立性が十分発揮されるよう取り組んでまいります。
以上であります。