物価上昇を上回る賃金上昇を全国的に幅広く普及・定着させるためには、企業数の99%以上、従業者数の70%近くを占める中小企業・小規模事業者を中心として、適切に価格転嫁が行われることが重要です。このため、企業間取引だけでなく、官公需※1においても適切に価格転嫁が行われる必要があります。
ついては、このたび各地方公共団体に官公需に関する相談窓口を設置するとともに、本日より、全国48か所の「下請かけこみ寺」※2において、地方公共団体における官公需に関する相談があった場合には、当該相談窓口を紹介する取組を始めましたので、お知らせします。
※1「官公需」…国や地方公共団体などの官公庁が物品の購入や工事の発注などを行うこと
※2「下請かけこみ寺」…取引の適正化を推進することを目的として、中小企業・小規模事業者における取引上の悩みについて、問題解決に向けたアドバイスを実施。中小企業庁の委託事業により、全国中小企業振興機関協会本部と各都道府県の中小企業振興機関の全国48カ所に設置。
1 背景
物価上昇を上回る賃金上昇を全国的に幅広く普及・定着させるためには、企業間取引だけでなく、官公需においても適切に価格転嫁が行われることが重要です。
令和5年度における官公需実績は、国等が約11.0兆円、地方公共団体※3が約17.4兆円となっています。また、地方部ほど、公的需要が都道府県GDPに占める割合が高い傾向にあります。
総務省においては、これまでも、各地方公共団体において適切な価格転嫁が行われるよう、最新の実勢価格を踏まえた適切な予定価格の設定や、最低賃金の引上げをはじめ契約後の状況に応じた契約変更の実施などの取組を地方公共団体に依頼してきましたが、地方公共団体における発注の適正化につなげるため、新たに以下の取組を行うこととしました。
※3 都道府県、人口10万人以上の市及び特別区の合算額
2 「下請かけこみ寺」を活用した官公需の相談対応について
「下請かけこみ寺」においては、企業間取引に関する相談のみを受け付けることとされていましたが、本日より、地方公共団体における官公需に関する相談受付が開始されます。具体的には、相談者の求めに応じ、全地方公共団体に設置された官公需に関する相談窓口を紹介することになります。当該相談窓口を通じて相談を受けた地方公共団体においては、相談の内容を踏まえ、発注の適正化に向けた取組を講じていただくことが期待されるものです。
総務省においても、中小企業・小規模事業者から「下請かけこみ寺」に寄せられた相談状況を共有し、個々の地方公共団体における相談への対応状況を把握することで、地方公共団体における発注が適正化されるよう取り組んでまいります。
(参考)「下請かけこみ寺」を活用した官公需の相談対応のイメージ