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報道資料

令和3年4月20日

2020年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査結果の公表

 総務省では、青少年のインターネット・リテラシーに関する実態調査を実施し、結果概要を2020年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査結果として取りまとめましたので、公表します。

1 経緯・内容

 総務省では、青少年のインターネット・リテラシー向上のための前提として、特にインターネット上の危険・脅威に対応するための能力とその現状等を可視化するため、2011年度にこれらの能力を可視化するテスト(注)を指標として開発し、2012年度より毎年、高等学校1年生を対象に、青少年のインターネット・リテラシーを測るテストをインターネット等の利用状況に関するアンケートと併せて実施してきました。
 2020年度は74校・12,499名を対象に、テスト及びアンケートを実施した上、この結果を集計・分析し、「2020年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査結果」として別添PDFのとおり取りまとめました。

注:「青少年がインターネットを安全に安心して活用するためのリテラシー指標」=ILAS(Internet Literacy Assessment indicator for Students)。インターネット・リテラシーの中でも、特に、インターネット上の危険・脅威への対応能力やモラルに配慮しつつ、的確な情報を判断するために必要な能力を、以下の3つの大分類、7つの中分類に整理し、それぞれに対応する多肢選択式問題を作成。数値化することにより、各能力を可視化した。

〔青少年に必要なリスク対処能力〕
1.インターネット上の違法コンテンツ、有害コンテンツに適切に対処できる能力
 【違法有害情報リスクへの対処能力】
  a. 違法コンテンツの問題を理解し、適切に対処できる。【違法情報リスク】
  b. 有害コンテンツの問題を理解し、適切に対処できる。【有害情報リスク】
2. インターネット上で適切にコミュニケーションができる能力
 【不適正利用リスクへの対処能力】
  a. 情報を読み取り、適切にコミュニケーションができる。【不適切接触リスク】
  b. 電子商取引の問題を理解し、適切に対処できる。【不適正取引リスク】
  c. 利用料金や時間の浪費に配慮して利用できる。【不適切利用リスク】
3. プライパシー保護や適切なセキュリティ対策ができる能力
 【プライバシー・セキュリティリスクへの対処能力】
  a. プライバシ一保護を図り利用できる。【プライバシーリスク】
  b. 適切なセキュリティ対策を講じて利用できる。【セキュリティリスク】
 

2 調査結果のポイント

2―1 2020年度のILAS結果

〇 上述のテストにおける全体の正答率(72.0%)は、過去5年間の平均(68.8%)を上回っている。項目別の正答率については、いずれの項目においても、過去2015年度から2019年度までの過去5年間の平均を上回っている。
   なお、「2c.不適切利用リスク」以外の全ての項目においては、2015年度以降最も高い結果となり、特に「2b.不適正取引リスク」と「3b.セキュリティリスク」の上昇幅が大きい。
  不適正取引リスク(フィッシング、ネット上の売買等):57.1%(2015年)→61.9%(2020年)となっており、4.8ポイント上昇。
  セキュリティリスク(ID・パスワード、ウイルス等):65.3%(2015年) →69.9%(2020年)となっており、4.6ポイント上昇。

2―2 高校生のインターネット利用実態

〇 高校生の98.8%がインターネット接続機器としてスマートフォンを保有している。過去調査と比較すると、特にタブレットPCは今回急増した。
   保有するインターネット接続機器のうちで最もよく利用する機器として、高校生の94.3%がスマートフォンをあげている。

〇 インターネットを自由に使い始めた時期について、中学入学前(小学6年生以下)は38.0%、中学1年生は25.9%となっている。
    インターネットを自由に使い始めた時期に、その使い方について主に教えたのは、保護者が最も多い(47.2%)が、「誰にも教わらなかった/特に調べなかった場合」も20.9%(特に男性24.9%)占めている。

2―3 フィルタリング利用状況

〇 スマートフォンを利用している高校生のうち79.5% (「よく知っている」が29.6%、「多少知っている」が49.9%)が一定程度フィルタリングを認知し、昨年度(74.7%)よりも増加している。

〇 高校生の80.5%がフィルタリングを「有害なサイトやアプリの閲覧を制限し、安心にインターネットを使うことを可能にしてくれるもの」と肯定的に捉えている一方、高校生の8.1%がフィルタリングを「使いたいサイトやアプリを利用できなくする邪魔なもの」と否定的に捉えている。

〇 現在フィルタリングを利用していない理由については、「特に必要を感じない」が最も多く(36.6%)、次いで「閲覧したいサイトまたはアプリが使用できなかったから」(29.8%)、「使用したところ使い勝手が悪かった」(23.2%)の順で高い。なお、「特に理由はない」が26.7%を占めた。

〇 一定程度フィルタリングを認知している高校生のうち、フィルタリングのカスタマイズ機能により一部のSNSを利用できることを認知しているのは45.5%であった。
   カスタマイズ機能を認知している場合のフィルタリング利用率は53.1%であり、認知していない場合のフィルタリング利用率(44.9%)と比較して高い。

2−4 高校生のインターネット利用実態とILAS結果(クロス集計)

〇 スマートフォンの平日1日当たりの平均利用時間は、2時間〜3時間未満の割合が最も多く(27.1%)、他の機器に比べて利用時間が長い。また、75.8%がスマートフォンを2時間以上利用している。
  スマートフォンの利用時間別の正答率では平均利用時間1時間未満が最も高く(75.2%)、利用時間が長いほど概ね正答率が低下する傾向にある。

〇 フィルタリングを利用している高校生 (正答率:74.4%)の方が、フィルタリングを利用していない高校生(正答率:72.9%)に比べ正答率が高い。
   家庭でのルールがある高校生(正答率:73.2%)の方が、ルールがない高校生(正答率:70.8%)に比べ正答率が高い。
      家庭でのルール有無及びフィルタリング利用の有無との関係については、「家庭でのルールあり」かつ「フィルタリング利用あり」の場合は正答率が75.1%と最も高く、いずれも「なし」のケースで正答率が72.2%と最も低い。

〇 学校でインターネット利用上の危険について、「通常授業の中で教えてもらった」 (正答率:72.8%)、 「外部の講師等による特別授業の中で教えてもらった」(正答率:73.7%)の正答率は高く、「教えてもらっていない」(正答率:61.7%)と比較すると大きな差がある。

3 参考

 上記2.調査結果のポイントのとおり、青少年のスマートフォン(インターネット)の安全・安心な利用に関しては、利用時間の管理、フィルタリングやペアレンタルコントロール機能に係る適切な情報の周知・普及、家庭でのインターネット利用に係るルールづくり等が重要な課題であると考えられます。
 このため、これらに関して理解を深める上で参考となる啓発コンテンツを、次のとおり御紹介します。

【インターネットの安心・安全な利用に係る啓発資料関連】
 インターネットトラブル事例集(総務省)
  https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/trouble/
   上手にネットと付き合おう!〜安心・安全なインターネット利用ガイド〜(総務省)
    https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/
   ・特集ページ(フィルタリングサービス) 
       https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/special/filtering/

【青少年フィルタリングや利用時間管理等のペアレンタルコントロール機能等関連】
 青少年フィルタリング及び海賊版対策に係る普及啓発動画 
 「フィルタリングサービス『NEWヒーロー?』編」
  https://youtu.be/NBbbHdoRK1I
     (ショート版:https://youtu.be/AU8WaeRLXac
 子どもとネットのトリセツ(一般社団法人 安心ネットづくり促進協議会)
  https://www.kodomo-safety.org/
 青少年の携帯電話利用について(一般社団法人 電気通信事業者協会)
 https://www.tca.or.jp/mobile/approach.html
 MVNOスマートフォン安心安全ガイド(一般社団法人 テレコムサービス協会)
 https://www.telesa.or.jp/mvno-spaa-guide
 
【インターネット利用に係る家庭内ルール作成関連】
 SNS利用ガイドライン・家庭内ルール作成のすすめ(一般社団法人 安心ネットづくり  促進協議会)
 https://www.good-net.jp/safe-internet/guideline/

連絡先
総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政第一課
(担当:萩原課長補佐、掛林係長、田中官)
電話  :03-5253-5111(代表) 5867(直通)
FAX   :03-5253-5948

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