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報道資料

平成29年3月10日

「IoT国際競争力指標」の策定・公表

総務省では、我が国のICT産業の国際競争力の強化に向けた測定指標として、平成20年から27年にかけて「ICT国際競争力指標」を毎年公表してきました。
今般、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT社会が到来しつつある中、従前からの同指標の抜本的な見直しを行い、新たに「IoT国際競争力指標」を策定しましたので、これを公表します。

1 概要

 これまでの「ICT国際競争力指標」では、ICT関連のサービス・製品についての我が国の市場シェア及び輸出額シェアに着目し、その推移から国際競争力の変化を測定してきた。一方、今般新たに策定した「IoT国際競争力指標」では、従前のものに次の3点の変更を加えている。
 
(1)   ICT産業を、「スマートシティ関連部材・機器」や「コネクテッドカー関連部材・機器」等から成る「IoT市場」と、それ以外の「従来のICT市場」とに分けて分析
(2)   「サービス・製品の競争力」に加え、研究開発やファイナンス等から成る「潜在的な競争力」に関する指標を導入
(3)   主要な10か国・地域(※)の企業競争力について、スコア化を行い、総合ランクを算定
 
※ 日本、米国、ドイツ、韓国、中国、フランス、オランダ、スウェーデン、フィンランド、台湾の10か国・地域。IoT分野に注力している企業が存在する国・地域について、世界経済フォーラム(WEF)による「ICT分野の国際競争力ランキング」及び国際電気通信連合(ITU)による「ICT開発指数」の結果を参考に選定。
WEF ICT分野の国際競争力ランキング
http://reports.weforum.org/global-information-technology-report-2016/networked-readiness-index/
ITU ICT開発指数 http://www.itu.int/net4/ITU-D/idi/2016/
 

2 結果概要

(1)総合ランク
10か国・地域の企業競争力について、日本の総合ランクは米国・中国に続いて3位であった。IoT市場と従来のICT市場の別に見た場合、日本は前者のIoTスコアが3位であったのに対し、後者のICTスコアは6位にとどまった。
日本のIoTスコアは、個別の7項目中5項目で平均スコア50を上回った。他方、ICTスコアでは8項目中の5項目で平均スコアを下回った。
 
(2)サービス・製品の競争力
サービス・製品の競争力は、市場シェアと市場成長率の双方に着目して算定している。IoT市場において、日本が「スマート工場」や「スマートシティ」、「ヘルスケア」の各分野で25%を上回る高い市場シェアを占めている。また、「コネクテッドカー」については、市場シェアは低いものの、過去2年間の日本の売上高平均成長率が50%を上回った。
 
(3)潜在的な競争力
潜在的な競争力は、研究開発(エンジニア数)、ファイナンス(M&A金額)、標準化(IoT標準化団体への参加企業数)の3つの側面から評価している。IoT市場において、日本のエンジニア数及びM&A金額が増加傾向にある一方、IoT標準化団体への参加企業数シェアは横ばいであった。
 

3 今後のIoT国際競争力指標について

IoT国際競争力指標については、IoT分野の進展状況を見据えつつ、今後改善の検討を重ねながら毎年公表していくこととする。
また、今般の本指標の策定の過程で、ICT関連の業界団体・企業等に対するヒアリングを実施した。その中での主な改善提案は次のとおり。
・ 総合ランクの方法について、現行のGNIベース(企業本社の所在地を重視。国内に限らず、企業の海外拠点の売上等を含む。)に加え、GDPベース(国内での企業活動を重視し、企業の海外拠点の売上等を含まない。)でも算定できないか。
・ 分析手法について、「従来のICT市場」の最終製品寄り(B2C)の項目ではなく、「IoT市場」では関連サービスで用いるB2Bの部材・機器に着目して分析ができないか。
・ サービス・製品の競争力の評価項目中「半導体」について、現行では従来のICT市場の項目とされているが、その中でIoT市場に関連するものを分計して国際競争力指標を算定できないか。
・ 潜在的な競争力の評価項目中「研究開発」について、エンジニア数だけではなく、研究開発投資の金額を含めて指標化できないか。
 

4 別添資料

IoT国際競争力指標について(別添1)PDF
主要10ヵ国・地域 企業競争力ランキング(別添2)PDF

なお、IoT国際競争力指標策定の背景や構成等、詳細については、別紙をご参照ください。
 
連絡先
連絡先:情報通信国際戦略局
     情報通信政策課情報通信経済室
担当:佐野課長補佐、伊藤官
電話:03-5253-5744
FAX:03-5253-6041
 

IoT国際競争力指標の策定について

【策定の背景】
近い将来に、これまでスタンドアローンで存在していた端末/キーデバイス群が通信やプラットフォーム/ネットワークで相互につながりはじめ、集積されたデータを分析・制御することによる新たなサービス・アプリケーションを享受できる「IoT社会」が到来することが予想されています。IoT社会では新たな価値を提供できるアプリケーションやサービス群が創出され、ユーザーの利便性や省エネ・業務効率の改善といった付加価値により生活が劇的に向上するとともに、産業構造の変革や、世界的な業界再編、価値源泉の遷移が予測されるところです。
このようなIoT社会の到来を踏まえ、ICT産業の現状をより適切にはかるため、平成20年度より策定しておりました「ICT国際競争力指標」を見直し、新たに「IoT国際競争力指標」を策定することとしました。
 
 
【指標の構成】
ICT産業全体を「従来のICT市場(ICT市場)※1」と「IoTの進展等による成長市場(IoT市場)※2」とに分類した上で、サービス・製品の市場シェアと成長性から市場競争力を測定、また、研究開発・ファイナンス・標準化の分野におけるシェアと成長性から潜在的な競争力を測定。項目ごとにスコア化(偏差値化)し、主要な10の国・地域※3の企業でランキング付けを行いました。
 
 
※1 従来のICT市場(ICT市場) 調査項目
  レイヤー/分類 調査項目
サービス・製品市場の競争力(市場競争力) 端末(サービス・アプリケーションの動向を端末機器から計測) スマートシティ関連部材・機器
ヘルスケア関連部材・機器
スマート工場関連部材・機器
コネクテッドカー関連部材・機器
潜在的な競争力 研究開発 IoT関連R&Dエンジニア数
ファイナンス IoT関連M&A金額
標準化 IoT標準化団体参加企業数
 
 
※3 主要な10の国・地域
 日本、米国、ドイツ、韓国、中国、フランス、オランダ、スウェーデン、フィンランド、台湾。IoT分野に一定程度力を入れていると考えられる国・地域であって、世界経済フォーラム(World Economic Forum)が毎年公表している「ICT分野の国際競争力ランキング(Network Readiness Index)」やITUが毎年公表している「ICT開発指数(ICT Development Index)」の結果を参考に選定しています。
 
【データの出典】
本指標は、IHSグローバル社のデータを元に作成していますが、「ネットワーク」レイヤーの一部の品目については、CIAJ(一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会)のデータにより国内の売上高を補正しています。
 

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