日EU・ICT戦略ワークショップ(第10回)の主な成果
(1)概要
デジタル経済における重要課題について官民で自由な意見交換を行う場として、今般、第10回となる日EU・ICT戦略ワークショップを開催した。日EU双方における政策動向や、実際のビジネスの場での課題等を踏まえ、主として以下の事項について対話を行った。
(2)主な成果
ア 5G・Beyond5G(6G)
日EUそれぞれの5Gのサービス開始状況やBeyond 5G検討状況が紹介され、我が国のBeyond 5G推進戦略にEU側からも高い関心が示された。Beyond 5Gの国際標準化や研究開発の重要性について日EU双方から指摘があり、Beyond 5Gの早期実現に向けて日EUで協力していくこととされた。
イ サイバーセキュリティ
日EU双方から、5GやIoTのセキュリティ確保やセキュリティ政策について紹介された。特に、IoTデバイスのセキュリティ確保におけるベースライン要件やスキーム設定の重要性が指摘された。また、日EU間の情報共有組織の連携促進に向けた協議の継続が確認された。
ウ 気候変動対応のためのデジタル/スマートシティ
EU側から経済と社会のグリーン化のためのデジタル、ICTサービス・技術のグリーン化、Destination Earthプロジェクトについて紹介された。日本側から、スマートシティにおけるセキュリティ、スマートシティソリューションを紹介し、スマートシティセキュリティガイドラインの重要性についてEUと認識を共有した。
エ AI
EU側から、本年2月に公表されたAI白書を含むAIの政策について説明があった。日本側からは、本年7月に公表されたAIネットワーク社会推進会議報告書2020について説明があった。AI白書で示されているAIの定義やハイリスクAIの厳密な定義が必要であることが日EU双方から指摘され、引き続き様々なステークホルダーで議論を深めていくことが求められた。
オ 新型コロナへのデジタルアクション
日EUそれぞれの新型コロナ対応としての追跡アプリなどのデジタル施策や民間企業での対応状況が紹介された。ICTにより感染を防ぎつつ社会活動を維持することができているとしつつ、非接触での活動を円滑化するICTの更なる整備が重要であることを確認した。
カ プラットフォーム
EU側から新しいデジタルサービス法や欧州プラットフォーム規則の概要について説明があり、日本側から本年5月に成立した改正電気通信事業法(外国法人等に対する法執行の実効性の強化)の概要やデジタル市場のルール整備の検討状況について説明した。独占的地位を占めるプラットフォーマへの懸念が日EUで共有されつつ、日本からEUの規制案に対してプラットフォームの定義の必要性が指摘されるなど高い関心が示され、引き続き意見交換を継続することとされた。
キ データ
EU側から本年7月に公表されたデータ戦略のパブリックコメントの結果について説明があり、日本側から個人データの越境流通や情報銀行について説明があった。日EU双方から、データ利活用のための適切な保護や信頼性の確保の重要性が指摘され、さらに議論を継続することとされた。
ク トラストサービス
日本側から、トラストサービスの制度化に向けた取組みについて説明があり、この分野において、日EU間で引き続き協力を継続していくこととされた。
(参考)日EU・ICT戦略ワークショップ(第10回) 出席者
日本側 : 総務省巻口国際戦略局長、内閣官房、経済産業省、個人情報保護委員会事務局、
(一社)経済団体連合会(経団連)、関連企業 ほか
EU側 : 欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局デグラーフF局長、関連企業 ほか
【関係報道資料】