総務省は、日独両国間の情報通信分野における政策面での相互理解を深め、両国間の連携・協力を推進するため、11月28日(木)にドイツ連邦共和国・連邦デジタル交通省等との間で、日独ICT政策対話(第8回)を東京にて開催しました。
本政策対話では、ICT分野に関する幅広い議題に関して、両国政府における取組の共有や更なる協力関係の確認がなされました。また、引き続いて官民セッションを開催し、民間企業を含めた活発な議論が交わされました。
今次会合結果を受け、日独間の協力の一層の深化、具体化に向けて議論してまいります。
今回の政策対話では、日独双方における政策動向や研究開発動向、官民の取組等を踏まえ、主として以下の事項について議論を行いました。
ア 安全でオープンな通信ネットワーク
デジタルインフラの安全性の重要度が高まる中、日本側からは5Gを含むデジタルインフラの整備状況やOpen RAN普及のための各種施策、基幹インフラの安全性確保の取組について説明しました。ドイツ側からは、連邦内務省より国内基幹インフラとしての5Gモバイルネットワークの安全性強化に向けた取組について説明があり、連邦デジタル交通省からは、ドイツのOTIC (Open Testing & Integration Centers)である「i14yラボ」の取組、O-RANアライアンスとの協力等につき説明がありました。
双方は、ドイツのモバイル事業者のOpen RAN商用展開に係る発表を歓迎し、Open RAN等の技術を用いた通信ネットワークの安全性確保の重要性につき確認しました。
イ Beyond 5G/6G
日本側から、本年8月に公表された「AI社会を支える次世代情報通信基盤の実現に向けた戦略 - Beyond 5G推進戦略2.0 -」及びBeyond 5G(6G)研究開発強化に向けた基金についての説明を行い、ドイツ側からは連邦教育・研究省より、2030年を見据えた6Gのドイツでの研究開発の取組、例年ベルリンで開催される「ベルリン6Gカンファレンス」などについての紹介がありました。
日独間で進められている日独国際共同研究プロジェクトの進捗状況、NICTと開催しているワークショップ等についても情報共有を行い、協力関係をさらに深めることで一致しました。
ウ 偽・誤情報対策
日本側から、インターネット上の偽・誤情報対策に係る取組として、「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」における議論の内容、偽・誤情報対策技術の開発・実証事業等について紹介し、ドイツ側からはデジタルサービス法(DSA)の域内適用、プラットフォーマーのリテラシー強化、ファクトチェック、今年の欧州議会選挙の対策等の取組について説明がありました。
双方は、偽・誤情報対策が国際的な問題であることを認識し、表現の自由に配慮しつつ、実践的な取組につき意見交換を行うことで一致しました。
エ AI
日本側から、「広島AIプロセス」及び本年4月に取りまとめられた「AI事業者ガイドライン」の進捗状況について説明を行い、ドイツ側からは今年8月に発効されたEUのAI法の域内適用の状況、AIオフィスの設置などの欧州委員会の取組等についての説明がありました。
双方は、広島AIプロセスの行動規範を実行に移す事への重要性を共有し、「広島AIプロセス・フレンズグループ」の拡大を通じて安全、安心で信頼できるAIの普及に向けた協力を深めることを確認しました。
オ メタバース
日本側から、G7、IGF等における議論、本年10月に策定された「メタバースの原則(第1.0版)」を紹介し、ドイツ側からは欧州委員会及びOECDとの協力について説明がありました。
双方は、メタバースのグローバルな発展を図るため、国際的な協調の重要性につき確認しました。
カ 官民セッション
日独双方から民間企業、研究機関、業界団体の関係者が出席し、(1)5G/Open RAN、(2)B5G/6G、オールフォトニクス・ネットワーク(APN)等の通信ネットワークにおける新技術、(3)日独間の官民連携をテーマとした官民セッションを行いました。
各社及び団体からはそれぞれの事業、日独間協力の現在の取組み等の説明やビジネスや研究開発の現場における課題を踏まえた議論が行われ、官民を挙げてさらなる日独連携の深化に取り組むことを確認しました。
(参考)日独ICT政策対話(第8回)出席者
日本側:総務省今川総務審議官 ほか
ドイツ側:連邦デジタル交通省シュノール事務次官、連邦内務省、連邦教育研究省 ほか