総務省は、船舶自動識別装置(AIS)の技術を利用した捜索救助用位置指示送信装置(AIS-SART)の導入に伴う無線局免許手続規則(昭和25年電波監理委員会規則第15号)及び登録点検事業者等規則(平成9年郵政省令第76号)の各一部を改正する省令案等並びに電波法関係告示の各一部を改正する告示案等について、平成21年11月5日(木)から同年12月7日(月)までの間、意見募集を行ったところ、御意見はありませんでした。
総務省は、意見募集の結果を踏まえ、関係省令及び告示の改正等を行う予定です。
1 改正の背景等
2008年5月の国際海事機関(IMO)の第84回海上安全委員会(MSC84)において、SOLAS条約附属書の改正が採択され、一定の船舶※1に設置が義務付けられる捜索救助用レーダートランスポンダ※2については、改正条約が発効する2010年1月1日以降、当該装置に代えて、船舶自動識別装置の技術を利用した捜索救助用位置指示送信装置でもよいこととされました。
捜索救助用位置指示送信装置は、船舶遭難の際に、船舶自動識別装置を備える船舶局や海岸局の指示器上に遭難船舶の位置に関する情報を表示させるための装置であり、捜索救助活動の一層の迅速化、効率化に寄与することが期待されています。
本件は、当該装置の円滑な国内導入を図るため、無線局免許手続規則、登録点検事業者等規則及び電波法関係告示の各一部改正等を行うものです。
※1 国際航海に従事する旅客船及び総トン数300トン以上の旅客船以外の船舶
※2 船舶遭難の際に捜索救助船舶・航空機が発射する9GHz帯のレーダー電波を受信した
とき、自動的に応答電波を発射し、当該救助船舶等のレーダーの指示器上に遭難船等の
おおよその位置を表示させるもの
2 改正省令等の概要
(1) 無線局免許手続規則
・事項書等の様式に捜索救助用位置指示送信装置を追加します。
(2) 登録点検事業者等規則
・登録点検事業者等が行う点検の実施項目に捜索救助用位置指示送信装置を追加します。
(3) 昭和36年郵政省告示第199号(無線局免許手続規則の規定により、簡易な免許手続を行なうことのできる無線局を定める件)
・簡易な免許手続を行うことができる無線局に捜索救助用位置指示送信装置を追加します。
(4) 昭和51年郵政省告示第87号(電波法施行規則の規定により許可を要しない工事設計の軽微な事項を定める等の件)
・工事設計のうち軽微なものとするものに捜索救助用位置指示送信装置を追加します。
(5) 昭和61年郵政省告示第221号(型式検定に合格したものであることを要しない無線設備の機器を定める件)
・型式検定に合格したものであることを要しない無線設備の機器に捜索救助用位置指示送信装置を追加します。
(6) 平成4年郵政省告示第61号(船舶の入港中に定期に行う義務船舶局等の無線設備の点検の方法を定める件)
・船舶の入港中に定期に行う義務船舶局等の無線設備の点検の項目に捜索救助用位置指示送信装置を追加します。
(7) 平成4年郵政省告示第69号(義務船舶局等の遭難通信の通信方法に関する事項を定める件)
・義務船舶局等の遭難通信の通信に関する事項に捜索救助用位置指示送信装置を追加します。
(8) 平成9年郵政省告示第666号(認定点検事業者が行う点検の実施方法等を定める件)
・電気的特性の点検に捜索救助用位置指示送信装置を追加します。
(9) 平成21年総務省告示第304号(船舶自動識別装置又は簡易型船舶自動識別装置を備える船舶局が具備すべき電波を定める件)
・捜索救助用位置指示送信装置の導入に伴い具備電波を廃止します。
(10) 平成21年総務省告示第471号(小規模な船舶局に使用する無線設備として総務大臣が別に告示する無線設備を定める件)
・小規模な船舶局に使用する無線設備に捜索救助用位置指示送信装置を追加します。
(11) 捜索救助用位置指示送信装置の技術的条件を定める件
・捜索救助用位置指示送信装置の技術的条件を定めます。
(12) その他規定の整備
○電波法施行規則(昭和25年電波監理委員会規則第14号)
無線局に備付けを要する業務書類の一部に総務大臣が別に告示するところにより公表するものを追加します。
○平成18年総務省告示第600号(小型船舶等の義務船舶局が備えなければならない無線設備の機器に代えることができる機器を定める件)
小型船舶等の義務船舶局が備えなければならない無線設備の機器に代えることができる機器のうち、陸上通信設備について、すべてのインマルサット機器が利用できるようにします。
3 今後の予定
意見募集の結果を踏まえ、関係省令及び告示の改正等を速やかに行う予定です。