1. 停波事故に至った原因について
落雷による火災の発生メカニズムについて、北陸放送、石川テレビ、大学、鉄塔アンテナメーカー及び雷害対策業者で検証。
落雷の規模及び鉄塔内FPU
※1避雷器盤の損傷が激しかったことを考慮し、送信鉄塔を3次元モデル化して雷サージの分流経路推定を目的とした電磁解析を実施。
解析の結果、FPUレドーム
※2またはFPU近傍に落雷した場合FPUのケーブルに絶縁を破壊するレベルの電圧が発生する結果となる。この時に流れる電流は障害前に設置されていたFPUの避雷器の電流耐量以上となることから避雷器を破壊し発火に至ったものであると結論。
※1 Field Pickup Unitの略で、テレビジョン放送用の無線中継伝送装置のこと
※2 FPUを風、雨や雪などの自然環境からアンテナを保護する構造物のこと
2. 再発防止対策について
上記1の検証結果を受け、次の対策を実施。
(1) 耐雷対策
ア FPUへの落雷及び鉄塔全体を保護するため、鉄塔側面からの落雷に対応する避雷針を新たに設置。
イ FPUの避雷器を耐電流、耐電圧を強化した仕様に変更。
ウ 鉄塔内の塔内照明、塔内コンセント電源、航空障害灯、温風装置、監視カメラ及び火災予兆システム等すべての回路に避雷器を組み込む。
(2) 防火対策
ア 鉄塔内に設置してあったFPUの避雷器盤を鉄塔外のFPUレドーム内に移設。
イ 鉄塔内部2か所に監視カメラを設置するとともに、煙吸引式超高感度火災予兆システムを設置。
ウ 鉄塔内のケーブルを高難燃性又は難燃性のものに交換。
エ 送信アンテナの設置部(ゲイン塔)と鉄塔下部の間に鉄製の仕切板を設置。