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【関東総通】e−コムフォKANTO

平成31年2月6日
関東総合通信局

「戦略的情報通信研究開発セミナー2019」を開催

 関東総合通信局は、平成30年12月25日(火曜日)、東京都港区の機械振興会館において、電子情報通信学会東京支部との共催により、「戦略的情報通信研究開発セミナー2019《SCOPE(※)成果発表&ICT研究の最新動向》」を開催しました。

 セミナーでは、特別講演、SCOPEの「地域ICT振興型」研究開発並びに「若手ICT研究者等育成型(若手研究者枠)」研究開発を終了した研究者による成果発表のほか、総務省からSCOPEの公募概要説明、国立研究開発法人情報通信研究機構からNICT総合テストベッドとSCOPEでの活用について、それぞれ説明を行いました。
 参加した大学や民間企業の研究者等、67名が参加し、熱心に聴講しました。

《主催者挨拶》

関東総合通信局長 黒瀬 泰平

電子情報通信学会東京支部長 山田 昭雄氏

《特別講演》

 はじめに、慶應義塾大学理工学部 情報工学科 教授 山中 直明(やまなか なおあき)氏から「超成熟社会を支えるICT技術−5Gが作り出す自動運転、予防医学の未来−」と題した特別講演がありました。
 山中教授からは、通信ネットワークの発展に伴い、あらゆるものがインターネットにつながるIoTやM2M、Edge Computingなどがクラウドを介してつながるConnected Communityにおいては、多くのセンサーが24時間ネットワークにつながり、膨大なデータがやりとりされること。今でも車は全て電子制御されているが、車の自動運転においては、規格化が進む次世代無線通信である第5世代(5G)移動通信システムのネットワークと関わり、将来的には複数箇所に設置したエッジコンピューティングのネットワーク側から制御され、実際の車のコントロールは社会科学などの知見も利用して全てサイバー上で実施されるようになるなど、慶応義塾大学で実施している自動運転の研究成果などを踏まえて具体的な説明がありました。
 また、ウェアラブル機器から収集される膨大なデータを体重、年齢、地域や性別などでクラスタリングし、時系列による解析、未病レベル(健康度)の解析を行うことで将来の罹患リスクが予測推定できるようになると説明があり、最後に、どういう視点で5Gを活用していくのか、アプリケーションに対してデータの利用を考えることが最重要であることを述べ、講演を終了しました。

山中 直明氏

《研究成果発表1》

 平成29年度終了SCOPE「地域ICT振興型」研究開発(関東総合通信局管内)
 続いて、国立大学法人宇都宮大学大学院 工学研究科 准教授 石川 智治(いしかわ ともはる)氏から、「結城紬の感性評価に基づいた質感伝送技術に関する基礎研究」の研究成果発表がありました。
 石川准教授からは、古くからの生産手法が継承されている高品質和装として知られる結城紬は、「手つむぎ、手くびり、地機(じばた)で製織」という3つの要件がユネスコ無形文化遺産として指定されている。さらに、製造工程が24にもおよび、すべて職人の手仕事で行われているため大量生産も難しく、魅力の伝達不足や昨今の「和装」離れから生産量が減少している現状にある。そこで、結城紬の魅力的特徴を質感データベースとして科学的に解明しデータとして蓄積・分析するとともに、消費者及び産地向けの機能を備えた「結城紬質感伝達システム」を開発した経緯について説明がありました。
 このシステムは、結城紬を着用した際に感じるふっくら感などの「心理(感性)評価」やサーモグラフィ等での「生理計測(保温性)」、「力学特性計測」の観点からデータを収集・評価し、他産地の絹織物での計測結果と比較することで結城紬の魅力を科学的に解明する「結城紬質感データベース」や反物アーカイブの他、3Dコンピュータグラフィックを用いて実際の着用イメージなどを確認できる「消費者向け機能」や着物のデザインから反物デザインの作成、反物デザインから染めや織りの図案化を行うなど、製造工程の簡略化などを可能にする「生産者向け機能」などが統合されたもので、結城紬の展示会や各種イベント等でも活用されており、結城紬産業の課題解決にも貢献していると説明がありました。
 最後に、今後の展開として、栃木県の観光資源PRのために、同システムの試着シミュレーションを観光客向けなどで利用するなど、地元自治体や関係機関等と連携した地域社会活性化への貢献を目指していくとして発表を終了しました。

石川 智治氏

《研究成果発表2》

 平成29年度終了SCOPE「若手ICT研究者等育成型」研究開発(若手研究者枠)
 続いて、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系 准教授 鯉渕 道紘(こいぶち みちひろ)氏から、「光無線によるビッグデータ処理向け相互結合網の研究開発」の研究成果発表がありました。
 鯉渕准教授からは、21世紀は高速並列処理の時代であり、スーパーコンピュータ(以下「スパコン」)では超並列処理により大量の通信が行われていること。大量処理を支えるスパコンを有線で接続するとフロア内の総配線長が1,000km以上必要であり、簡単にスパコンの配置や配線を変えることは困難であるが、無線は配線が不要であり、新しい通信方式などへの対応が必要になった場合でも、柔軟にネットワーク構成を変えることができるとして、光無線データセンターネットワークの有用性について述べるとともに、光無線データセンターの構築技術として、40Gbps光無線リンクの特徴や光無線の干渉を防ぐための効果的な端末レイアウトのほか、光無線リンクを使用する利点(消費電力・ケーブル長・通信遅延の削減など)と活用技術について具体的な説明があり、最後に、ビッグデータ処理向け光無線通信技術の有用性・実用化の例について述べ、発表を終了しました。

鯉渕 道紘氏

《総務省施策説明》

 総務省施策説明として、「SCOPEの公募概要(平成31年度公募の概要)」について、総務省国際戦略局技術政策課 技術企画調整官 伊東 宏之(いとう ひろゆき)から説明を行いました。

《国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)施策説明》

 NICT施策説明として、「NICT総合テストベッドとSCOPEでの活用」について、国立研究開発法人情報通信研究機構 ソーシャルイノベーションユニット 総合テストベッド研究開発推進センター テストベッド連携企画室 専門調査員 横山 達也(よこやま たつや)氏から説明を行いました。
 テストベッドは無料で利用でき、SCOPEの公募でも利用が推奨されているとして、研究での利用を呼びかけました。

セミナーの様子

 関東総合通信局では、電子情報通信学会東京支部等の関係機関と連携し、引き続き、研究開発に役立つセミナー等を開催してまいります。

 ※戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)
Strategic Information Communications R&D Promotion Programme


連絡先
総務省 関東総合通信局
情報通信部 情報通信連携推進課
担当:高田、箭内
 電話:03-6238-1680

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