関東総合通信局の黒瀬局長は、「わが国の人口は2008年をピークに減少し、大都市部を中心に高齢化が急速に進行している中で、ICTを活用した業務改革が求められており、総務省でも様々な支援策を用意している。石田総務大臣も、地方自治体の首長あてにメールマガジン「Society5.0時代の地方」を発刊し、持続可能な地域社会の構築に向けた自治体からの提案受付を開始した。今後、国と地方の双方向からICT/IoTの利活用を推進していきたい。」との挨拶を行いました。
開会挨拶 関東総合通信局長 黒瀬 泰平
会場の様子
KUコンサルティング代表社員であり、総務省地域情報化アドバイザーも務めている高橋 邦夫(たかはし くにお)氏から「電子自治体実現で業務の効率化と住民サービス向上を」と題して講演が行われました。
高橋氏からは、地方公務員が選ばれる職業になるためには、ワークライフバランスが重要であるとの視点から、テレワークのあり方について提案が行われました。地方自治体では、在宅勤務はハードルが高いので、まずはペーパーレス化と、どこでも仕事が出来るモバイルワークから始めることが有効であるとし、豊島区役所での経験をもとに、PCに接続したIP電話でどこでも通話が可能、職員同士はチャットでも会話が可能とした事例を紹介しました。また、空き状況を見える化することによる会議室の有効活用や、ペーパーレス会議の実現等、業務効率化を目指した事例が紹介されました。RPAの導入については、電子化・標準化することが重要で、仕事をフローに書き出すことで不要な仕事を見直す機会となるという提言が行われました。
講演1
総務省 地方情報化推進室長 松田 昇剛
講演2
KUコンサルティング代表社員 高橋 邦夫 氏
初めに、京都府政策企画部 理事 大中 義勝(おおなか よしかつ)氏から、「RPAを活用した業務プロセスの自動化について」と題して、事例紹介が行われました。
京都府では、RPAの効果について業務のスピードを速めるという事に重点を置き、業務の自動化を進めた事例が紹介されました。自動化の検証は、担当課との打合せを何度も行い、業務時間の削減やミスの減少などの効果が確認できました。一方、現場からは、データを整理して検討する時間が必要であるため、短期的には効果を疑問視する声も上がりましたが、業務の自動化には効果が出ていることから、短いサイクルで業務を見直すことを定常化し、その中でRPA等も活用することが重要であるとの提言が行われました。また、RPAを扱う自治体同士のメーリングリストを作成し、情報交換を行っているという内容のご講演がありました。
続いて、船橋市市民生活部戸籍住民課 主査であり、総務省地域情報化アドバイザーも務めている千葉 大右(ちば だいすけ)氏から「窓口業務改革と住民サービス向上への取組み」と題して、事例紹介が行われました。
船橋市では、平成30年2月から、住所変更に関する書類について、市民からの口頭の申し出をもとに職員が作成する申請書作成支援窓口「書かない窓口」を導入しました。これは、マイナンバー制度の開始などにより複雑化する窓口業務について、研修時間の確保が難しい非常勤職員でも対応できるよう、マニュアルを使わないスキルレスを目指して実施した旨紹介されました。「住民にも職員にも優しく便利な窓口」を目指した効果は、書類の再確認(手戻り)の47%削減、住民満足度の向上などの効果を発揮していると紹介されました。
最後に、日本電気株式会社公共ソリューション事業部 主査 橋本 利紀(はしもと としのり)氏から「電子サインとRPAによる窓口改革への取組について」と題して、事例紹介が行われました。
窓口業務の課題として(1)煩雑、(2)混雑、(3)管理の3つを挙げ、弘前市での住民情報総合窓口システムの導入事例を紹介し、手続きにかかる時間が従来3分の2程度まで短縮し、さらに記入漏れや案内漏れといった課題も解決した旨説明いただきました。また、碧南市及び浜松市での実証事例を説明し、「書かせない、待たせない、悩ませない」窓口改善の提案を通じて、自治体と共に市民サービスの向上に向けた今後の展望が紹介されました。
事例紹介
京都府政策企画部 理事 大中 義勝 氏
事例紹介
船橋市市民生活部戸籍住民課
主査 千葉 大右 氏
事例紹介
日本電気株式会社公共ソリューション事業部
主任 橋本 利紀 氏
施策説明
総務省 関東総合通信局 情報通信部
情報通信振興課長 小杉 裕二
施策説明
経済産業省 関東経済産業局 地域経済部
次世代・情報産業課長 室住 敬寛 氏