関東総合通信局長 古市 裕久
電子情報通信学会東京支部長 羽渕 裕真氏
《特別講演》 戸川 望 氏
はじめに、早稲田大学 理工学術院 基幹理工学研究科 教授 戸川 望(とがわ のぞむ)氏から「スパイチップは存在するのか −ハードウェアトロイ検知の可能性−」と題した特別講演がありました。
戸川教授からは、通信ネットワークの発展に伴い、あらゆるものがインターネットにつながるIoT社会の中で、新たな脅威としてIoT機器に組込まれるハードウェアトロイ(ハードウェアに組み込まれた悪意のある機能・スパイ回路)が存在するとして、ハードウェアトロイ検知のアプローチ方法に関する研究成果などの説明がありました。
ハードウェアトロイ検知のアプローチ方法として、特に、機械学習を活用する方法が挙げられ、膨大な既知のハードウェアトロイの特徴を学習させることで、識別ポイントを抽出し、未知のハードウェアトロイが含まれていたとしても、高い精度で検出できることが説明されました。
《研究成果発表1》 中山 優子 氏
桐生大学 医療保健学部 栄養学科 教授 中山 優子(なかやま ゆうこ)氏から、「人工知能の活用によるスマートフォン食事写真の栄養摂取量推定と食事指導システムの研究開発」の成果発表がありました。 中山教授からは、「既存の栄養学には、地域という視点が欠落しており、地域特性にあった総合的な地域栄養学の確立が必要である」として、「スマートフォンで食事の写真を撮るだけで、精度の高い栄養摂取量を推定して適切な栄養指導を地域住民が受けることができる「食事指導システム」の構築」に関する研究開発の過程について発表がありました。同食事指導システム構築に向け、「まず、栄養摂取量の推定が可能となるように、料理名や料理写真、食材、調理法などの文字データ・画像データを大量に収集してディープラーニングを実施したこと、そして、スマートフォンで撮影した画像を人工知能解析して、栄養摂取量や栄養評価を分析するシステムを構築したこと」が説明されました。 最後に、今後の展開として、地域栄養・健康サービスにAIによる分析をさらにプラスしていくことで、健康・栄養・情報といった3つのリテラシーを食事指導システムによって提供し、専門職である管理栄養士の業務効率の向上と地域住民の健康づくりへの貢献を進めるとし、発表を終了しました。
《研究成果発表2》 稲葉 敬之 氏
電気通信大学 大学院 情報理工学研究科 教授 稲葉 敬之(いなば たかゆき)氏から、「超広帯域コヒーレントレーダ技術の研究開発」の成果発表がありました。 稲葉教授からは、道路の安全・安心の確保及び自動車の自動運転の実現に向けて、交通インフラや自動車に搭載されるレーダ等が求められており、それらに活用される周波数の有効な利用技術の研究開発について説明がされました。 稲葉教授は、これまでに人物や車両の横切りや対向を判別するレーダ技術の研究を進めており、今回の研究では、1mから数十mの遠距離の物体に対して距離分解能7.5cm(高検知距離性能と高距離分解能化の両立)を達成する79GHz帯レーダ技術を実現した、周波数利用改善の基盤技術となる超広帯域コヒーレントレーダ技術の研究が紹介されました。 最後に、今後の更なる周波数の有効利用に向けた技術の研究開発目標について述べ、発表を終了しました。
総務省施策説明として、「SCOPEの公募概要(令和2年度公募の概要)」について、総務省 国際戦略局 技術政策課 技術企画調整官 藤枝 美穂(ふじえだ みほ)から説明を行いました。
※提案書の受付期間は【令和2年1月6日(月曜日)から2月6日(木曜日)17時必着】としています。皆様からのご応募をお待ちしています。
【参考】
関東総合通信局 報道発表(令和元年12月25日付け)
「戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)の令和2年度研究開発課題の公募」
《セミナーの様子》