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【関東総通】e-コムフォKANTO

令和6年2月1日
関東総合通信局

「第4回関東放送シンポジウム」を開催
コミュニティ放送局経営の秘訣
−地域社会との連携の秘訣−

 総務省関東総合通信局〔局長:高地 圭輔(たかち けいすけ)〕は、一般社団法人日本コミュニティ放送協会(JCBA)関東地区協議会との共催により、コミュニティ放送局の経営をテーマにしたシンポジウムを開催しました。
 今回は、コミュニティ放送事業者や、民間企業、地方公共団体を中心にオンライン含め、約130名程度の参加を得たシンポジウムとなり、過去に開催したシンポジウムと同様、ラジオの存在意義への関心の高さがうかがえました。

1 概要

 ラジオは、1925年の放送開始から長らく国民に身近なメディアとして存在しています。中でもコミュニティ放送局は、きめ細やかな地域情報を共有するプラットフォームとして、地域社会に大きな存在意義を示してきました。
 本シンポジウムは、ラジオによる地域社会への貢献とラジオ業界全体の発展を目的として開催しました。
 
関東総合通信局長 高地 圭輔

関東総合通信局長 高地 圭輔の主催者挨拶の様子

2 基調講演 『地域経済とコミュニティ放送の活性化』PDF

 一般社団法人日本コミュニティ放送協会関東地区協議会会長 鈴木 伸幸(すずき のぶゆき)から基調講演を行いました。
 

JCBA関東地区協議会 鈴木会長の基調講演の様子

−講演のポイント−

  • 災害時の情報伝達手段としてラジオは健在である。
    今回、能登半島地震により被災したコミュニティ放送局もあるが、自治体が独自に立ち上げる臨時災害放送局を含めて、JCBA全体として引き続き積極的に支援を行っていく。
  • コミュニティ放送局はラジオ局を経営するのではなく、1つの会社を経営するという認識が必要である。
  • 地域に密接した関係を構築し、自らの得意分野を考え、様々な事業を模索することで放送収益以外の販路を確保することができ、経営の安定化につながる。

3 講演

(1)『地域活性化と黒字経営の実現 ちちぶエフエムの場合』PDF
 ちちぶエフエム株式会社 代表取締役 新井 恵美(あらい めぐみ)氏からご講演いただきました。
開会挨拶を行う古市局長

ちちぶエフエム 新井代表取締役の講演の様子

−講演のポイント−

  • 生放送の強みを活かした番組製作に取り組む。
  • フットワークを軽く、様々な現場に赴き、情報の鮮度を大事にしていく。
  • スポンサーとの関係づくりを大切にし、長い付き合いができるようにする。
  • 地元の企業同士で、よりよい関係性を作っていく。
(2)『コミュニティと共に』PDF
 株式会社エフエム戸塚 営業部長 藤芳 祥子(ふじよし しょうこ)氏からご講演いただきました。
 
開会挨拶を行う古市局長

エフエム戸塚 藤芳営業部長の講演の様子

−講演のポイント−

  • 事業継続、事業発展は、コミュニティ放送局共通の願いであり、そのために各放送局もそれぞれにおける環境、状況に応じた収益力強化に向けて取り組んでいる。
  • エフエム戸塚は「魅力あるイベント」、「イベント広場のさらなる活用」、「魅力ある番組表」、「スポンサーのつく番組制作」の4本を柱にして取り組んでいる。
  • それぞれの柱はコミュニティという土台が必要であり、日頃に地道な人間関係、組織間関係の構築は当たり前と考える。
  • 必要なのは収益確保のための技、それは「応援したくなる企画」、「応援せざるを得ない企画」であり、これらを考えることが重要。
(3)『つながりを加速する地域メディアの役割』PDF
 株式会社FM桐生 事業本部長/営業局長・制作局長 小保方 貴之(おぼかた たかゆき)氏からご講演いただきました。
開会挨拶を行う古市局長

桐生FM 小保方事業本部長の講演の様子

−講演のポイント−

  • 地域団体への参加とその活動を通じて「ゆるいつながり」を増やし、そこから「つながりを活かす」ことで、自社だけではできないことも「つながり」の中で実現していく。
  • コミュニティ放送局は、「ブローカー」になるのではなく、「コネクター」になることで、地域に必要とされる存在となる。
  • 日々の業務に追われつつも、改めて自社の価値や意義、目的をインサイトすることにより、案外いろいろな「強み」が見つかるのではないか。

4 パネルディスカッション

 関東総合通信局放送部長 石原 誠一(いしはら せいいち)をモデレーターとして、地域メディア関連の論文、書籍を多数執筆され、コミュニティ・メディア関係の第一人者である法政大学大学院政策創造研究科教授の北郷 裕美(きたごう ひろみ)氏を討論者として迎え、「災害時におけるコミュニティ放送局の役割」、「コミュニティ放送を通じた地域社会とのつながりと経営の秘訣」をテーマにして、パネルディスカッションが行われました。
【モデレーター】
関東総合通信局放送部長 石原 誠一
【討論者】
法政大学大学院政策創造研究科教授 北郷 裕美 氏
【パネリスト】
ちちぶエフエム株式会社代表取締役 新井 恵美 氏
株式会社エフエム戸塚営業部長 藤芳 祥子 氏
株式会社FM桐生事業本部長/営業局長・制作局長 小保方 貴之 氏
一般日本コミュニティ放送協会 関東地区協議会会長 鈴木 伸幸

モデレーター 石原 誠一 放送部長

討論者 北郷 裕美 教授

 

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

■法政大学大学院北郷教授からのコメント抜粋(全体版はこちらPDF
※シンポジウム当日は時間の都合上、全てをご紹介できず、終了後のアンケートでは北郷教授のお話をもっと伺いたかったという要望もありましたので、今回の掲載に際して、北郷教授からコメントをお寄せいただきました。
 
「災害時におけるコミュニティ放送局の役割」
  • 被災地では、放送局の方々も含め、被災者である。実際コミュニティ放送従事者の多くは、市民(地域住民)という立場から仕事度外視で災害時に放送を行うことが多い。
  • コミュニティ放送局は、災害復旧のメディアとしての重要な役割を担っている。
  • 公式の災害情報発信として、日本放送協会、民放、県域ラジオ、コミュニティ放送局、臨時災害放送局の役割分担とそれぞれの連携の在り方について、ソフト、ハードさらには理念的な共有まで緊急に討議すべき課題であり、コミュニティ放送への災害時対応の期待が高まるほどにこれを痛感している。今後の臨時災害放送局の設置推進も含めて、議論を進めて欲しい。
 
「コミュニティ放送を通じた地域社会とのつながりと経営の秘訣」
  • コミュニティ放送局の経営形態は多様であり絶対的なものはない。しかも、地域性の違い、放送局が持つ資源は多様である。むしろそれがコミュニティ放送局の多様性の魅力でもあり、どのようなステークホルダーに支えられるかは、すべての地域が違っているように地勢の多様さがあるのは自明である。したがって、コミュニティ放送局の立ち上げ時に戻って、地域の自然や文化、そこに住む人の特徴、産業はどのようなものがあるかを再確認し、その地域に即した(その土地の資源)活用は何かということの見極めが重要である。
  • コミュニティ放送局は放送を手段として存在する「地域活性、まちづくりのプラットフォーム」、言い換えればまちづくり放送局である。マス広告的な費用対効果を考えるのではなく、「地元のまちづくり組織」を市民も企業も行政も支えていくという意識を共有すべきである。
  • もしすべての局に経営的な面に資する共通資源を一つ上げるとしたら、それは「自治体との協働」である。行政のお墨付き、すなわち行政も認めている存在として市民に広報されることで信頼性の担保につながる。そうすることで、間接的に、時には直接的に経営面にメリットも出てくると考える。
 
 関東総合通信局は、引き続き、ラジオを通じた地域の社会課題の解決や放送業の発展に資する内容をテーマとしたイベントを企画してまいります。

連絡先
総務省関東総合通信局 放送部放送課
担当:橋、奥野
電話:03-6238-1700

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