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【関東総通】e−コムフォKANTO

平成28年12月8日
関東総合通信局

官民協働が拓く地方創生フォーラムを山梨県韮崎市で開催

 関東総合通信局は、関東ICT推進NPO連絡協議会、NPO法人地域資料デジタル化研究会と共催で11月16日(水曜日)に山梨県韮崎市の韮崎市民交流センターにおいて、官民協働が拓く地方創生フォーラムを開催しました。
 当日の模様について、NPO法人地域資料デジタル化研究会より報告がありましたので、ご紹介します。
 平成28年11月16日(水曜日)午後1時30分より韮崎市民交流センターNICORI(ニコリ)において、「官民協働が拓く地方創生フォーラム」を、主催 NPO法人地域資料デジタル化研究会、共催 総務省関東総合通信局、関東ICT推進NPO連絡協議会により開催いたしました。
 このイベントは、県内における各自治体の行政改革(公共施設再編)を促進するための、官民協働事業の実践事例を紹介することで理解を深め、総務省が主唱する「トップランナー方式」の導入が検討されている公共施設の再編による地方創生の一助となるイベントとして開催し、行政と民間団体との協働によるICTを利活用した公共施設の活用と地域づくりの促進を図ることを目的として実施いたしました。
 総務省関東総合通信局並びに関東ICT推進NPO連絡協議会のお力添えを得てることで、当日は約70名の方にご参加いただきました。

【開会挨拶】 

 最初にNPO法人地域資料デジタル化研究会理事長、小林 是綱の開会挨拶の後、共催者である総務省関東総合通信局長の高崎 一郎氏よりご挨拶を頂きました。続いて、韮崎市副市長の水川 秋人氏より来賓挨拶を頂きました。

写真:左から小林理事長、高崎局長、水川副市長
小林理事長 高崎局長 水川副市長

【基調講演】

 第1部として、山梨県副知事の新井 ゆたか氏より「女性の力が山梨の未来を拓く」と題して、基調講演を頂きました。
 新井副知事は山梨で女性初の副知事になられ、その立場から「なぜ今、女性活躍か?」「女性活躍と出生率アップの二兎を追うことはできるのか?」「富士山頂も一歩から(期待する具体的な取り組み)」というテーマでお話をいただきました。
 日本の人口減少は切実な問題であり、2050年(平成62年)には日本の人口が1億人を割り込み10人の内4人が支えられる世代(高齢化率38.8%)となることを示された上で、それが意味するのは働く世代の減少であり、この問題を解決するためにはできるだけ多くの人に労働市場を与えること、働いていない女性にどう活躍してもらうか、女性が活躍しないと次世代を支えられないという現状を示されました。
 女性が働く上で重要なポイントとして、「意識改革」制度自体の改革、職場や家庭、子供の声も良い事なんだ!と思える社会づくり。「働き方改革・働き場の提供」雇用形態や賃金の問題。(山梨県内ではトップや管理職、従業員を巻き込んでの政策『こぴっと改革』を始動。)「子育て環境の充実」ライフステージに応じた切れ目ない支援等、の3つが上げられました。
 女性の仕事、育児に関わる問題もあるが、現代では未婚率の問題もあり、現在は婚活や出会いのサポート、不妊相談、子育て支援など各ライフステージでの公共支援が全国で約40の都道府県で行われている実態が報告されました。

写真:(左)講演する新井副知事、(右)基調講演時の会場の様子
新井副知事 基調講演時の会場の様子

 山梨では出生率低下の対策として、全国初の全県第二子以降の保育料無料化を実施し、二人目を諦めない、仕事を諦めない、また経済的負担を減らすことで女性の活躍を期待しています。
 日本は主要国に比べて労働時間が長いことも問題として挙げられ、特に男性の労働時間が長いことが女性の家事の負担に繋がっている。夫が家事や育児に参加する時間が1日平均1時間という数字が出ていて、女性が穏やかな気持ちでいられるためにも3時間は関わってほしいという話もありました。
 女性の社会での活躍の壁は、女性を「採用していない」「育てていない」、女性が「続けられない、続けたくない」「昇進したいと思えない」という現状があり、その根底には長時間労働と性別役割分担意識(男は仕事/女は家庭)がある。女性が活躍しないと企業も成り立たない時代がくる、経営者(上に立つ人)が少し背中を押して、女性に発言する機会を与えるなど、意識改革の重要性を強調されました。
 

【事例発表】

 第2部は、山梨県内の指定管理者制度を取り入れた官民協働の事例について6団体が発表。
<事例発表1 清里丘の公園>
  (指定管理者:株式会社丘の公園 支配人 伏見 勝氏)
 平成16年より現在まで13年間指定管理者として丘の公園を運営する。県有林を使用したゴルフコース、温泉、レストラン等の複合施設で年間約30万人の来場者がある。運営の柱として、地域との協働を上げている。施設運営をしながら地域貢献は思ったより大変な事であるが、地域全体のブランド力を上げる努力をし、地域全体の活性化の一助となればと思い、行政と協力して頑張っている。また女性の職員も率先して企画・運営に携わっている。

<事例発表2 山梨県フラワーセンターハイジの村>
(指定管理者:株式会社桔梗屋 取締役総務部 村松 行雄氏)
 平成18年より指定管理者としてフラワーセンターハイジの村を運営し、今年10周年を迎える。明治24年創業のお菓子屋がなぜ異業種の経営に取り組むか、お客様があっと驚くような企業でありたいということを理念に、民間ならではの常識にとらわれない経営を心がけている。お客様の目線に立った運営と本社機能の利用・連携で様々な効率化をはかっている。

<事例発表3 韮崎市立大村記念図書館>
(指定管理者:株式会社図書館流通センター 館長 加藤 博純氏)
 平成23年9月より指定管理者として大村記念図書館を運営している。市民の交流の場としてリノベーションした市民交流センターの2階にあり、自主事業・企画イベント等で年間15万人程度の利用がある。全国496館の指定管理を行う本社のノウハウを共有し、居心地が良く、感性を学び心を養う場を提供している。自治体と協働し、地域の連携と情報を発信する。

写真:左から伏見支配人、村松部長、加藤館長
伏見支配人 村松部長 加藤館長
<事例発表4 韮崎市民交流センター NICORIニコリ>
(指定管理者:株式会社まあめいく 代表取締役 星野 次夫氏)
 平成23年9月より指定管理者として韮崎市民交流センターニコリの施設全体を管理している。このセンターは10のテナントに18団体が入居している。そのため、全団体が集まっての連絡会議を定期的に行なっている。
 建物があっても人が来ない施設であってはダメと、市民に来てもらうためのイベント等を積極的に行うとともに、全ての市民に平等・安心の姿勢で子供達にも感謝される施設になっている。

<事例発表5 韮崎市子育て支援センター にら★ちび>
(指定管理者:NPO法人ちびっこはうす 理事長 内藤 香織氏)
 平成23年9月より指定管理者として子育て支援センターにら★ちびを運営している。韮崎市民交流センターニコリの3階にある。
 子どもの笑顔のため、養育者の笑顔のために、を理念に情熱・行動・使命を持って活動している。町中で子育てを応援する仕組みづくりに取り組み、「官」のフォーマルな支援と「民」のインフォーマルな支援で「たて」「よこ」「ななめ」の子育て支援の実現を目指している。

<事例発表6 山中湖情報創造館>
(指定管理者:NPO法人地域資料デジタル化研究会 副理事長 丸山 高弘)
 平成16年4月より指定管理者として山中湖村にある公共図書館、山中湖情報創造館を運営している。
 全国で初の指定管理者による公共図書館の運営を行い、現在ではPepperというロボットの職員もいる。民間が仕事も楽しみながら、市民にも楽しんでもらえる施設づくりを目指している。

写真:左から星野代表取締役、内藤理事長、丸山副理事長
星野代表取締役 内藤理事長 丸山副理事長

 公共施設の再編というのが今日の大きなテーマであり、この韮崎市民交流センターニコリは空いた施設で公共サービスを提供する場として、官が利用した、とても参考になる例だと思う。今後、官と民が協働して公共サービスの提供を行い地域を盛り上げていければ、地方創生の時代が来るだろうと思うと述べ、事例発表の全体を締めくくった。

【ディスカッション】

 第3部は、「官民協働を女性の力で切り拓くために」をテーマに、女子トークと称したディスカッションが行われました。
 司会は、エフエム八ヶ岳のパーソナリティや婚活イベントのファシリテータである五味 愛美氏が務められました。
 ゲストは、株式会社図書館流通センターの谷一 文子会長、笛吹市市民環境部の鶴田 一二美部長、NPO法人ちびっこはうす前理事長(現参議院議員)の宮沢 由佳氏が公務による欠席のため、事例発表していただいたNPO法人ちびっこはうすの内藤 香織理事長に登壇していただき、ラジオでの女性によるトーク番組スタイルでディスカッションが行われました。
 冒頭、参加者に配布した青/黄/赤の色画用紙を使った会場アンケートでスタート。
 それまで聞くだけだった会場との一体感づくりから始まりました。

写真:(左)MCの五味氏と鶴田部長 、(右)左から内藤理事長と谷一会長
MCの五味氏と鶴田部長 MCの五味氏と鶴田部長


 今回のフォーラムのテーマである「指定管理」「仕事」「女性」をキーワードに女性の切り口、発想で意見交換が行われました。
 まずは、公共施設を民間が運営する利点についての質問に、公共図書館については利用時間が長いこと、休館日を減らすなどサービスの向上を第一とし、その次に経費節減を考えている。多様なお客様に対応できるようなサービスを提供している。利用者が増えていることも確かで、利用者の数だけでなく、地域に還元できる取り組みが出来ると考えている。
 地方差、過疎地などにおける工夫として、地方に行けば行くほど密着度が強いので、公共図書館と学校図書館の連携が重要と考え、強化している。また雇用は地元の人を積極的採用している。

 NPO法人ちびっこはうすの立ち上げ経緯について、県外から山梨に来た身寄りもない友達もいない人たちが「一緒に子育てしよう」と集まった。1人が来ると、実はその後ろに100人くらいいるもの。支援センターも敷居が高いと感じる人たちのために、スーパーの一角でマットと囲いで広場を開設したりした。必要なところに飛び込んで行くことで、母親の視点になると内藤理事長は話す。
 今年10月、にら★ちびのある韮崎市民交流センターの地下に「ミアキス」という中高生を支援する施設がオープンした。市から委託されていているのはNPO法人河原部社。昨年韮崎の「まち・ひと・しごと創生会議」の子育て・教育部門で問題提起され市の支援を受けて始動した事など、会場にいた代表の松本理事長から発表があった。松本理事長は、ちびっこはうすから独立した。
 本日公務のため参加できなかった宮沢 由佳氏から、ビデオメッセージが寄せられた。  ちびっこはうすの立ち上げは、主婦として必要に迫られてやった事、今国会議員をしているのも自然な流れだと思える。女性は結婚で仕事を辞める、子供を産んで仕事を辞めるなど山あり谷ありだが、それに対応できる能力がある。事を起こすにも一人ではできないが、仲間がいたから生活の中で自然にネットワークが出来たと振り返る。女性は粘着力がある、人と人とを結びつける接着剤的な役割ができる。官と民では与えられる目的が違うので、女性としてそれをくっつける役割ができるし、課題解決のためにはいろんな人と関わること、「わかってくれない」ではなく「何でわからないんだろう」と考え方を変え、男性にも色々と関わってもらうことが重要だとメッセージを頂いた。
ビデオ出演の宮沢氏(左)
 笛吹市で女性初の部長として活躍する鶴田氏は、年齢によって男女協働の考え方が違うこと、消極的な女性が多いが若い人たちは違う。部下を信じ人間関係を作ることが大事だと考える。笛吹市の市民活動支援課は、職員の呼びかけで出来た課で、課長職5名のうち3名が女性。すぐに結果が出せるものではないので、辛抱強く取り組むには女性向きの仕事かもしれないと話す。
 全国展開している図書館流通センターもちびっこはうすも、市役所も業務を円滑に行うための独自のグループウエアを導入し、経験やノウハウを共有することでより質の高い公共サービスを提供していることに加え、facebookやLINEなどのSNSの活用、eラーニング等による研修やテレワーク/在宅勤務にICTを活用するなど、女性活躍のためにはインターネットを組めたICTが不可欠だと考える。
 上に立つ立場として、また成功するまでには壁があったと思うが、その乗り越え方について谷一氏は、司書を経て民間に入ったが、女性を上手く伸ばす会社だと思っている。大きな挫折も味わったが、1つの成功で吹っ切れた。考えすぎず今やるべき事をやることで、周りが支えてくれる、男であっても、女であっても人と仲良くしておくことで助けてもらえたと振り返る。
 内藤氏は、周りに流されず、自分にとっての1番は何かを考える。1番を選べば自ずと2、3は付いて来るものと述べた。
 行政改革/公共施設再編に対してトップランナー方式が導入されると、さらに官民協働の機会が増えることについての問いに、女性の特性は耐えられるところ、「女性が切り拓く」というよりは協働していく中で女性の役割、何が出来るかだと思う、と鶴田氏。民の思いと市の施策、折り合いをつけバランスを取れるのが女性。男もいて女もいて社会は成り立つので、それぞれの役割分担がある。新井副知事の言うように意識改革、そして女性は何より粘着力、という結論で締めくくられた。

【閉会挨拶】

 閉会挨拶の前に、関東ICT推進NPO連絡協議会の長友幹事より協議会(資料配付)の説明と挨拶を頂きました。続いてNPO法人地域資料デジタル化研究会の中澤 京子理事より本日のフォーラムの振り返りと参加者への謝辞を申し上げ、盛況のうちに閉会いたしました。

写真:(左)挨拶する長友幹事、(右)閉会挨拶する中澤理事
挨拶する長友幹事 閉会挨拶する中澤理事

連絡先
関東ICT推進NPO連絡協議会事務局
(総務省関東総合通信局 情報通信部 情報通信連携推進課)
担当者:道祖土、本郷
電話 :03-6238-1680
FAX :03-6238-1698

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