災害時の情報伝達手段が近年多様化しているが、本アンケート調査結果を見ると、そうした手段のうち防災行政無線や緊急速報メールなどは高い普及率を示している。
一方、臨時災害放送局、衛星携帯電話、避難所のネット環境等に関する数値は高くはなく、全体的に各種手段の整備・普及はまだ拡大途上であることがわかる。災害に備えた情報伝達手段の整備の多重化・多様化が、今後の市町村の課題の一つであると言える。
アンケートの主要項目の結果は以下のとおりである。
地域防災計画において強調するなど特に重要視している対策としては、「地域における相互扶助体制、防災体制の強化」が最も多く挙げられている。 「住民への防災意識の啓発、防災知識の学習」という項目も件数が多く、市町村において住民を中心とした地域の防災体制を強化しようとする姿勢がうかがえ る。
一方、取組が遅れている対策としては、「避難所へのネット環境整備等通信手段の確保」が最も多く挙げられており、避難住民が孤立化しないための対策の実施が今後の課題と言える。
防災行政無線の整備状況を見ると、整備済みが同報系防災行政無線で67%、移動系防災行政無線で76%となっており、一定程度までは整備が進んで いる。しかし、同報系防災行政無線は、災害時における住民への情報伝達手段の基盤となるものであることを考えると、今後のより一層の整備の進展が期待され るところである。
一方、デジタル化の進捗状況を見ると、アナログ方式が同報系防災行政無線で72%、移動系防災行政無線で84%を占め、まだアナログ方式が主流となっており、デジタル化が進展しているとは言えない。
デジタル化に踏み切れない理由としては、同報系、移動系とも「更改費用が多額で予算確保が困難だから」という回答が最も多く、デジタル化は財政上の負担と市町村が感じていることがわかる。
同報系防災行政無線により音声情報を聴取する手段として、屋外拡声器と戸別受信機があるが、各戸への戸別受信機の配備状況を見ると、配備済みとの 回答が49%であった。一部配備済みを含めると74%に達しており、戸別受信機が屋外拡声器と相互補完しながら役割を果たしていると考えられる。
臨時災害FM放送局の開局意向があるという回答は19%と必ずしも高い割合ではない。また、避難所等へのインターネットアクセス環境は、整備済みが30%、自治体クラウドは、導入済みが22%といずれも高い数字を示してはいない。
また、衛星携帯電話については、導入済みが66%とかなりの割合を示しているが、十分な台数を導入しているとの回答は12%にとどまっており、大半は台数が不十分と答えている。
一方、緊急速報メールについては、99%の市町村が携帯電話事業者とサービスを提供するための契約を締結していると答えており、導入が進んでいる。
本アンケート調査の結果も参考に、四国総合通信局としては引き続き四国四県の市町村における情報伝達手段の整備を推進していきます。
四国総合通信局 防災対策推進室
担当:安永室長
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