無線局への混信・妨害の申告総数は、340件(昨年度は345件)です。
このうち重要無線通信に関するものは76件(昨年度57件)で、この内訳は、消防用19件、航空関係18件、海上関係13件、放送事業用7件、鉄道事業用5件、電気通信関係3件、その他11件です。いずれも速やかに電波監視を実施し、現在引き続き調査中のもの(6件)を除き、混信源の究明及び排除を行い、年度中に解決しました。
無線局の免許を受けずに運用している不法無線局については、管内の捜査機関と共同で13回の取締りを行い、15局を摘発しました。
摘発した不法無線局の傾向として、大型車両に設置された不法市民ラジオ及び不法パーソナル無線が減少する一方、不法アマチュア無線が増加し、全体の7割を占めます。今後も不法無線局の撲滅に向け、警察及び海上保安庁との共同取締りのほか、不法無線局探査の強化、無線設備販売業者等への適正な指導、不法無線局未然防止のための周知啓発活動等の対策をより一層強化していきます。
電波環境に関する申告等は、130件寄せられています。内訳では、電波の生体影響に関する相談が51件と最も多く、申告全体の39%を占めています。
近年、生活の中で手軽に無線機器を利用する機会が増えていることから、電気機器販売店、玩具店、ホームセンター等を訪問して電波利用ルールの周知啓発を図るとともに、基準に適合しない機器を取り扱わないように要請してまいります。
平成22年度の申告件数は、340件で昨年度(345件)とほぼ同数です。
主な内訳は、重要無線通信への混信・妨害が76件、アマチュア無線の運用等に関するものが192件、タクシー無線や簡易無線局等の業務用無線に関するものが11件、その他で不法無線局情報等が61件となっています。アマチュア無線の申告の概要は、呼出符号の不送出や使用区分違反です。
また、最近、家庭電子機器や無線機器の故障、我が国の無線設備技術基準に適合しない外国製無線機器の使用等よって、無線通信への妨害が増加しています。主な障害事例は以下のとおりです。
無線局への混信・妨害申告内容ごとの状況は、図1のとおりです。
1 大型車両に設置されている無線局の状況
大型車両に設置されている不法市民ラジオ等の設置状況を把握するため、管内の主要道路14カ所において、通過車両1884台を対象に無線アンテナの設置率調査を実施しました。
図2:大型車両の無線アンテナ設置率の推移
ア 不法市民ラジオ
平成5年度に4.7%あった不法市民ラジオは、図2(▲(三角)印)に示すようにその後減少傾向が続き、平成22年度の管内におけるトラック大型車両の設置率0.2%となっています。
イ パーソナル無線
パーソナル無線(■(四角)印)の設置率は、不法市民ラジオ以上に減少傾向が著しく、ピークであった平成12年度の5.4%から0.4%まで下がりました。
ウ アマチュア無線
アマチュア無線(◆(ひし形)印)の設置率は4.19%でした。昨年の調査(5.1%)より1ポイントほど減少しています。
2 捜査機関との共同取締りの実施
平成22年度の捜査機関との共同取締りは13回実施し、15局(不法市民ラジオ1局、不法パーソナル無線3局、不法アマチュア無線11局)を摘発しました。
摘発状況は図3、県別摘発局数は図4のとおりです。
図3:不法無線局摘発状況
図4:県別摘発局数(平成22年度)
3 不法無線局設置者に対する指導
不法無線局を設置していると推定される車両所有者に対する文書指導を140件(不法パーソナル無線40件、不法市民ラジオ63件、その他(船舶関係)37件)行いました。平成22年度は、静岡県内の港湾において調査し、不法無線局を設置していると推定される船舶所有者に対する文書指導も行いました。
県別では、三重県8件、愛知県26件、岐阜県9件、静岡県66件及び他都府県31件です。(図5参照)
図5:局種別・県別の文書指導件数(平成22年度)
平成22年度の電波環境に関する申告(相談、苦情等)は、130件(昨年度は123件)でした。
最も多い相談は、電波の生体影響に関する相談51件(全体の39%)となっており、次いで、その他38件(全体の29%)、その他電磁障害への照会15件(全体の11%)の順となっています。
図6:相談事例の推移
その他電磁障害への照会については、車のキーレスエントリーが作動しない、ラジコンがコントロールできなくなる、火災報知器が誤動作することについて電磁波の影響ではないかなどの相談がありました。
このうち、キーレスエントリーについては11件相談が寄せられ、現地調査を実施したところ、主な原因としてエンジンスタータの故障による不要電波
、家庭用ワイヤレス防犯侵入センサーの故障による不要電波
等がありました。
図7:障害発生のイメージ
ディスカウントショップなどで手軽に購入できる無線通信機器の中には、ベビーモニターやワイヤレスカメラ、FMトランスミッターなどの製品やFRS(注1)、GMRS(注2)など外国規格の製品や日本の技術基準を満たしていない製品が販売されており、これらの製品を知らないまま購入し使用すると、重要な無線通信やテレビ・ラジオに妨害を与える可能性があります。
注記
米国の規格に基づき製造されたトランシーバー。日本国内では、電波法令で定める技術基準に合致しないため使用することができない。
東海総合通信局では、電波利用の適正化を図ることを目的に、平成18年度から管内の電気機器販売店、玩具店、ホームセンター、ディスカウントショップ等を訪問して、電波利用ルールを周知し理解を求めるとともに、基準に適合しない機器を取り扱わないように要請する周知啓発活動を行っています。
平成22年度は、豊橋市、豊川市及び田原市等を重点エリアとして、83店舗を訪問し、違法な無線機器を取り扱っていた26店舗に対し、販売の自粛や仕入れの際に技適マークがついていることを確認するよう要請しました。
また、平成23年度においても、22年度同様に販売店に対し周知啓発を行うとともに、無線機器を製造している製造事業者に対しても周知啓発を行う予定です。
写真1:店舗訪問の模様
図8:技適マーク