世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

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AI

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(2026年1月調査)

名称 政府監督機関 発表時期 主要政策概要
米国 人工知能の未来に備えて 大統領府 2016年10月 2023年10月にバイデン大統領(当時)は、AIの安心、安全、信頼できる開発及び利用に関する大統領命令(第14110号)に署名した。同命令は、AIの安心、安全、信頼できる開発を推進し、AIの安全性とセキュリティに関する新たな基準確立や新たな監視手段を導入すること等を目的とし、複数の連邦政府機関に対して幅広い措置の実施を指示していた。しかし、この命令は、2025年1月に就任したトランプ大統領によって撤回され、トランプ大統領は新たに「米国のAIイノベーションに対する障壁除去」に関する大統領命令(第14179号)に署名した。同命令は、180日以内に米国のAIの優位性を維持・強化する「AI行動計画」を開発するよう指示する一方、各省庁に対して、2023年大統領命令に基づく既存のAIポリシーを検証し、今回の命令の趣旨と矛盾するあらゆる政策、指令、規制、命令、その他の行動を修正または撤回するよう指示している。ホワイトハウスは2025年7月に「米国AI行動計画」を公表した。その他、トランプ大統領は、米国のAIリーダーシップ維持・強化に向けて様々な取組みを行っており、2025年12月には、州によるAI規制のパッチワーク化を防ぎ、国家AI立法枠組の構築を目指す大統領命令にも署名した。
中国 新世代AIの発展規画 国務院 2017年7月 2030年までの戦略目標、重点的な取組み、支援措置等が明記された。3段階に分かれる戦略目標では、まず、2020年までに、AIの技術と利用は世界先端水準に達し、AI産業が経済成長の新しい原動力になり、AIの利用が民生改善の新しい手段になること、次に、2025年までに、AIの基礎理論が大きなブレークスルーを遂げ、AIは中国の産業アップグレードと経済構造転換のけん引力になること、更に、2030年までに、AIの理論、技術、利用のいずれも世界先端水準に達し、中国が世界の主要なAIイノベーションセンターになること、としている。2023年8月、生成AI技術を活用して、中国の公衆にテキスト、画像、音声、動画、その他のコンテンツを生成するサービス(生成AIサービス)を提供することに関しての順守事項等を定めた生成型人工知能サービス管理暫定弁法が施行された。また、同年10月、国家インターネット情報弁公室(CAC)は、すべての国がAIガバナンスにおける情報交換及び技術協力を強化し、共同でリスクを防止し、広く合意されたAIガバナンスの枠組み及び基準を形成し、AI技術の安全性、信頼性、制御可能性及び公平性を継続的に改善すべきであるとして、「グローバルAIガバナンス・イニシアティブ」を公表した。
韓国 人工知能発展と信頼基盤造成等に関する基本法(AI基本法) 科学技術情報通信部 2025年1月制定 AI関連産業育成支援とAIの安全性確保の根拠を盛り込んだ法律であり、EUに次いで世界で二番目の包括的なAI法の制定となった。AI基本法は2026年1月22日から施行された。
大韓民国AI行動計画(案) 科学技術情報通信部 2025年12月草案公開 国のAI政策最高決定機関の国家AI戦略委員会がAI 3強国入りを目指すAI行動計画(案)を2025年末に発表。行動計画では三つの政策軸と12の戦略分野に98の個別施策を盛り込んでいる。
EU AIイノベーション・パッケージ 欧州委員会 2024年1月 欧州委員会は2024年1月に「AIイノベーション・パッケージ」を公表。特に中心的施策となる「AIファクトリー」は、AI開発に必要となる大規模なコンピューティングインフラを整備するもので、欧州のAI戦略のバックボーンとしてイノベーションを推進する。生成AI・スタートアップ企業の支援として、生成AIに特化した資金援助(2027年までに官民の総投資額40億EURを目指す)や、人材の育成等が含まれている。さらに、2025年2月には、2,000億EURの投資をAIに動員する「InvestAIイニシアチブ」を公表し、AIファクトリーの約4倍となる約10万個の最新AIチップを搭載する「AIギガファクトリー」を含むAIプロジェクトに資金を提供するとしている。
欧州AI規則 欧州委員会 2024年8月施行 欧州委員会は2021年4月、欧州AI規則案を発表し、AIに関する世界初の法的枠組と、EU加盟各国との協調計画で構成されており、AIに関する国際基準の設定において欧州の主導的立場を強化するねらいがあるとした。同規則は、2024年5月にEU理事会の採択をもって成立のうえ、同年8月に施行された。本規則は2020年2月に公表した「AI白書」における、リスクに応じたAIシステムの分類を受け継ぐ内容となっている。2024年6月、AI法によって設立が規定されているAIオフィスが設置され、AI法の汎用AIモデルに対する執行をはじめ、信頼できるAIの開発と利用、また国際協力の促進の役割を担う。
英国 国家AI戦略 デジタル・文化・メディア・スポーツ省(現科学・イノベーション・技術省) 2021年9月 明確なルール、倫理原則、イノベーションを促進する規制環境により、AIを使って生活し、仕事をするのに英国を最適な場所とすることを目的に、10年間のビジョンを掲げる。「国がAIの長期的な成長に投資すること」「AIが経済のすべての部門や地域に恩恵をもたらすこと」「イノベーションや投資を促進し、国民や国の基本的な価値を保護する適切なルールによって効果的に管理されること」を三つの柱とする。
AI機会行動計画 科学・イノベーション・技術省 2025年1月 今後10年間でAIにより国家を再生させるため、三つの目標(①AIを可能にするインフラの構築、②AI導入による生活変革、③自国で開発したAIによる未来の確保)と50の推奨事項が提示された。
ドイツ AI戦略 連邦経済エネルギー省(現連邦デジタル・国家近代化省)、連邦教育研究省、連邦労働社会省 2018年7月 AI戦略の基本方針として、以下の目標を掲げている。
  • AIの開発・発展において、ドイツが世界を主導する拠点となり、ドイツ産業の競争力を確保する。
  • AIの開発及び使用については、責任あるコミュニティ指向を通じて実施する。
  • AIの実際の導入は、幅広い社会的議論や積極的な政策設計を踏まえ、倫理的、法的、文化的、制度的に社会に組み込まれるべきである。
  • 2025年までにAI分野の振興に向けて50億EURを財政から支出する。
なお、2018年には連邦交通デジタル・インフラ省(当時)は「モビリティにおけるデジタル化とAI」を策定し「モビリティ4.0」を効果的かつ持続可能なものとすることを目標とした。2020年12月、AI戦略を改訂し、2025年までにAI投資を20億EUR積み増し50億EURとすることになった。2023年11月、連邦教育研究省が発表した新しい「AIアクションプラン」では、AI開発促進のため、現政権の任期中にAI分野に16億EURを投資することが宣言されている。
フランス 国家AI戦略 首相府等 2018年 2018~2022年には、第1フェーズとして、AI関連人材育成と官民協力基盤策定等に15億EURの予算が投資された。2021年11月からの第2フェーズでは、官民が2対1の割で20億EURの投資を予定していることが発表された。2025年までの支援対象は、ソフトウェア開発、中小企業のソリューション導入支援等である。また、2024年3月に有識者による調査委員会が、AI関連企業のエコシステム形成のための基金に100億EURを投資、国家計画としてのスーパーコンピュータ開発、個人情報・知的財産権にかかわるデータへのアクセス権に関する手続の簡略化、公的機関での研究テーマに「AI枠」を設置、国際的なAI振興基金の設立等の提言を行った。2025年2月には、同戦略の第3フェーズが開始、①広範囲で環境への負荷が少ないインフラ整備、②国外を含めた人材の誘致、③公的サービスヘのAI導入、④AIの信頼性の確立を重点目標として、医療、司法、教育分野へのAIツール導入、化石燃料を使わない電力で稼動するAI向けデータセンター35拠点の設立、国外のAI専門家への特別ビザ発行等の計画が発表された。
日本 人工知能基本計画 内閣府 2025年12月 2025年5月に成立した「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI法)」に基づき、2025年12月に閣議決定。「信頼できるAI」を追求し、日本を世界で最もAIを開発・活用しやすい国へと導くことを基本構想とする。AIを「使う・創る・信頼性を高める・協働する」の4方針に基づき、社会課題解決と産業競争力強化を同時に推進。政府・自治体でのAI利活用促進、AI開発力強化、国際的なガバナンス主導、人材育成などを包括的に進める。