政策
欧州のスマート・ネットワーク・サービス共同事業(Smart Networks and Services Joint Undertaking:SNS JU)は、5G及び6Gにおける欧州の産業的リーダーシップを確保することを目的に、欧州理事会規則2021/2085によって2021年11月に設立された。SNS JUは、グリーン及びデジタル移行を強化するための10の欧州パートナーシップ1の一部として、法的に認められた資金調達機関として機能し、2021年から2027年まで9億ユーロのEU予算が拠出される。SNS JUの主要な使命は、以下の二つである。
- 1.6Gにおける欧州の技術主権の促進:2025年頃の6G構想及び標準化に向けた研究及び革新(R&I)プログラムを実施し、10年後までに6G技術の早期導入の準備を奨励する。
- 2.欧州における5G展開の強化:経済社会のデジタル化及びグリーン化への移行を可能にする観点から5G展開を促進する。特に「コネクティング欧州ファシリティ(CEF)」に関連した自動運転プログラム「5G回廊」を戦略的に調整するとともに、「回復レジリエンスファシリティ(RRF)」等の国家プログラムと「デジタル欧州プログラム(DEP)」等の他の欧州プログラムとの調整も行う。
研究開発
SNSロードマップは四つの作業分野に分かれており、標準化についてはストリームA(5G進化)とストリームB(6G開発)に、実用化試験についてはストリームC(実験インフラ)とストリームD(垂直産業パイロット)に分かれている。
SNS JUは2022年12月、6G研究を推進するための第2次R&Iワークプログラム(2023-2024年)を採択した。当該プログラムには1億3,200万ユーロの公的資金が投入され、以下の3つの領域における提案募集が2023年1月に開始され、2025年1月に公表が予定されている。
- ストリームB:革新的な技術進歩のための6G研究や、IoT、デバイス、ソフトウェアの革新的な研究が対象。
- ストリームC:欧州全体の実験インフラを開発、結合、統合することを目標としたSNSシステムイネーブラーと概念実証が対象。
- ストリームD:垂直産業における大規模なSNSの試験とパイロットが対象。優先領域は、自動車及び健康、スマートシティ、農業又は教育。
市場形成
SNS JUは欧州連合(欧州委員会が代表)と6G IA(6G Smart Networks and Services Industry Association)との官民連携によって実施されている。6G IAは2021年6月に設立され、2023年4月現在、215のメンバーで構成されている。内訳は産業界が40社、研究機関が97組織、業界団体が7組織、中小企業が71社となっている。
①グローバル衛生EDCTP3、②革新的健康イニシアティブ、③重要デジタル技術、④循環型バイオベース欧州、⑤クリーン水素、⑥クリーン航空、⑦欧州鉄道、⑧単一欧州スカイATM研究3、⑨スマート・ネットワーク・サービス、⑩計測学。