世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

European Union EUのBeyond 5G/6G取り組み動向(最終更新:令和3年度)

政策

5G IA(5G Infrastructure Association)は2020 年6 月、欧州の通信ネットワーク及びサービス部門が、欧州産業のデジタル化を加速させながら、次世代ネットワーク技術とサービスの開発と展開において欧州のリーダーシップを確保するために、「スマート・ネットワーク及びサービス(Smart Networks and Services:SNS) パートナーシップ」を提案した。このパートナーシップは、世界をリードする市場として欧州を位置づけ、欧州市民の生活の質の向上に資すると同時に、欧州のデータ経済を後押しし、重要なサプライチェーンにおける欧州の主権の確保に貢献することを目的としている。これに対して欧州委員会は2021年3月、2027年までの6年間で9億ユーロ(総額18億ユーロ)の公的R&I(Research and Innovation)投資の拠出を決定した。5G IAは2021年6月にホワイトペーパー「6G ネットワークエコシステムの欧州ビジョン」を発表し、また、新たに6G IA(Smart Networks and Services Industry Association)が設立され、同年12月に、最初のSNS R&I作業プログラム2021-2022が採択された。

研究開発

欧州の研究開発資金援助(Horizon 2020)において、「ビヨンド5Gのスマートなコネクティビティ(H2020-ICT-52-2020)」 に関する開発実証プロジェクトが進められている。サードパーティのサービス及びビヨンド5Gを踏まえた、垂直産業向けの革新的な5Gソリューションに関するもので、2021 年1 月から3年間で10件のプロジェクトに対して約6,000万ユーロが投じられる。これらのプロジェクトは SNS パートナーシップへの橋渡しと位置付けられている。

SNSパートナーシップは、技術標準化と垂直産業を対象とするアプリケーション開発を両輪で進めるための、研究開発ロードマップを策定している。標準化に係る6Gの技術開発は、5Gの延長にある「進化的6G」と、5Gとは非連続の「革新的6G」の二つに区分されている。また、実証・実用試験については、技術開発に係る「実験インフラ」と、実用化に向けたアプリケーション開発に係る「大規模パイロット」の二つが用意されている。

市場形成

5G IAは、研究開発資金援助プロジェクトとしてSNSパートナーシップ提案を準備するため、NetWorld2020、AIOTI(Alliance for Internet of Things Innovation)とともに、SNSタスクフォースを立ち上げた。また、CISPE.cloud(Cloud Infrastructure Services Providers in Europe)、NESSI(Networked Software and Services Initiative)が、タスクフォースに貢献した。

2021年6月に設立された6G IAは、2022年4月現在、182のメンバーで構成されている。内訳は産業界が38社、研究機関が81組織、業界団体が7組織、中小企業が56社となっている。