国家ブロードバンド政策
国家ブロードバンド政策
(2025年1月調査)
名称 | 政府監督機関 | 発表時期 | 主要政策概要 | |
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米国 | Internet for all | 商務省国家電気通信情報庁 | 2022年5月 | バイデン政権(当時)は、すべての米国民を安価で信頼できる高速インターネットにつなげる目標の達成に向けた「Internet for all」という取組みを推進。2021年11月に成立した「インフラ投資・雇用法」は、同目標を達成するために650億USDの資金を提供した。このうち、商務省国家電気通信情報庁(NTIA)には482億USDが割り当てられ、六つのブロードバンド・プログラムが新設された。2023年6月には、その中でも最大規模のプログラムである「ブロードバンド衡平性・アクセス・配備(Broadband Equity Access and Deployment:BEAD)プログラム」が発表された。同プログラムでは、サービス未提供地域でブロードバンド・インフラの展開と導入を計画、支援する各州のプロジェクトに合計424億5,000万USDが配分される。 |
中国 | 「ブロードバンド辺境」加速建設に関する通達 | 工業・情報化部 | 2023年12月 | 国境地域の都市と農村部分において、移動体通信網と固定ブロードバンド網の普及率を向上し、5Gとギガビット光ファイバ網へのアップグレードを加速する。2025年末までに5Gとギガビット光ファイバ網が国境地域で利用可能になり、2027年末までに国境地域の行政村、国境管理、貿易機関の95%が5G網に接続される予定である。5G網は陸地だけでなく、内海、領海、その他の海域でも達成される見込みである。 |
韓国 | 10ギガビット級ブロードバンド商用サービス化促進※KR1 | 科学技術情報通信部 | 2018年12月 | 韓国では他国に先駆けてxDSLとケーブルモデムによるブロードバンド基盤が政府主導で拡充された。現在はギガビット級高速ブロードバンドのサービス競争が進展している。KTとSKブロードバンドは、2018年末から10Gbps級ブロードバンドの商用サービスを提供している。2024年8月末時点、固定網ブロードバンド加入総数は約2,455万であり、加入者による市場シェアはKT、SKブロードバンド(SKテレコムの再販を含む)、LGU+の順番である。 |
K-network 2030 | 科学技術情報通信部 | 2023年2月 | 科学技術情報通信部は、2023年2月、次世代ネットワーク開発戦略である「K-network 2030」を発表した。次世代ネットワークへの積極的な投資と官民協力による産業基盤の構築のため、①世界最高の6G 技術力の確保、②ソフトウェアベースのネットワーク革新、③ネットワークサプライチェーンの確保という三つの目標を見据えた政策課題を実行する。基幹ネットワークについては、将来のトラヒック増加に積極的に対応するために、伝送速度を2026年までに2倍、2030年までに4倍にするとしている。 | |
EU | Connectivity for a Competitive Digital Single Market-Towards a European Gigabit Society | 欧州委員会 | 2016年9月 | 2025年までのブロードバンド普及戦略として以下の目標を掲げ、Connecting Europe Broadband Fund(CEBF)等の支援基金から、主にルーラル地域の接続環境向上に対する各種プロジェクトへの助成を実施している。
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デジタルの10年 | 欧州委員会 | 2021年3月 | 欧州委員会は2021年3月、2030年までを「デジタルの10年(Digital Decade)」とし、具体的施策事項を示した「デジタル・コンパス 2030」を発表した。EUの全世帯にギガビット網を接続し、すべての人口密集地を5G 網でカバーするという目標を示している。EU全体及びEU加盟各国の接続状況は年度ごとにデジタル経済社会指数レポートとしてインターネット上で報告されている。また、欧州市民のブロードバンド接続環境向上のためのR&D支援計画であるConnecting Europe Facility(CEF)は2021年から2027年までの関連プロジェクト助成予算として30億EURの出資を予定しており、2024年11月、CEFプログラム第4弾の募集が開始された。 | |
英国 | プロジェクト・ギガビット | デジタル・文化・メディア・スポーツ省(現科学・イノベーション・技術省) | 2021年3月 | 50億£の公的資金を投入、提供最困難地域にある100万以上の世帯や企業を接続。2025 年までに最低85%のギガビット対応カバレッジが目標。2億1,000万£相当のブロードバンド・バウチャー制度の拡張、1億1,000万£を投じて最大 7,000 の地方の開業医院、図書館、学校の接続、衛星や5G技術を使って電波の届きにくい地域を接続。2023年には、5億3,000万£以上の資金提供により、33万以上の到達困難な家庭や企業に対し、高速なブロードバンドの普及を約束。2024年4月時点で英国施設の81%以上がギガビット対応ブロードバンドへの接続を達成。 |
ドイツ | ギガビット戦略2030 | 連邦デジタル・交通省 | 2022年7月 | 2025年末までに光ファイバ接続を3倍にして、家庭や企業の半数は光ファイバ接続されていることを目標とする。また2026年までに、全国で音声やデータ通信ができる状態にする。次いで、2030年までに、光ファイバを全世帯に、人々が生活し、働き、移動するあらゆる場所で、最新のモバイル通信規格を導入する。政府は投資の円滑化のために許認可の迅速化や協力体制の構築等の支援を行う。また、連邦デジタル・交通省は、2023年4月から、通信事業者の民間進出において、キャッチアップと新調達の必要性が高い分野に資金を投入する「ギガビット・ファンディング2.0」プログラムを開始しており、同プログラムを通じて光ファイバーインフラの全国的な普及を支援している。 |
フランス | 超高速ブロードバンド計画 | 電子通信・郵便・出版流通規制機関 等 | 2013年2月 | 2013年2月、「2022年までに全国の世帯を光ファイバに接続可能にする」という目標の下に、超高速ブロードバンド助成の予算計画が組み直された。助成対象は地方自治体の主導するプロジェクトであり、2022年には実施機関が2025年までに延長されて、公募によるプロジェクト審査と助成金の交付が進められている。2023年の予算案では、約1,200万世帯への接続を目的として、ルーラル自治体向けに約4億7,300万EURの助成予算が設定された。電子通信・郵便・出版流通規制機関(ARCEP)は事業者等の投資促進を図る目的で、3か月ごとに国内の FTTH 網整備状況を報告している。 |
日本 | デジタル田園都市国家インフラ整備計画 | 総務省 | 2022年3月 | 光ファイバ、5G、データセンター/海底ケーブル等の整備に向けて一体的かつ効果的な対策を推進する目的で策定され、目標では、2027年度末までに光ファイバの世帯カバレッジ99.9%、2023年度末に5Gの人口カバレッジ95%、全市区町村への5G基地局整備については、2025年度末に全国97%、各都道府県90%程度以上、2030年度末に全国・各都道府県99%を目指す。また、十数か所のデータセンターの地方拠点を5年程度で整備するとともに、海底ケーブルで日本を周回する「デジタル田園都市スーパーハイウェイ」を2025年度末までに完成させる。2023年4月には同計画の改定が行われ、固定ブロードバンド、ワイヤレス・IoTインフラ、データセンター/海底ケーブル、非地上系ネットワーク、Beyond 5G(6G)に対し、インフラ整備等に関する取組みの強化が盛り込まれた。 |
- ※KR1固有名称の計画名はない。