世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland 英国のBeyond 5G/6G取り組み動向(最終更新:令和4年度)

政策

英国では、政府が2022年4月に発表した「オープンRAN原則」に基づく5G及び6Gの導入が推進されている。同原則は、①オープンな分解、②標準規格に基づくコンプライアンス、③相互運用性の実証、④実装の中立性の四つから成る。2022年12月には、米国、カナダ、オーストラリアが同原則に賛同することを発表するとともに、韓国との間でオープンRANと電力効率改善の協力プロジェクトが開始された。英国政府は、同原則の推進によりサプライチェーンの多様化と強化及びセキュリティとレジリエンスの確保を図るとともに、国際協力枠組を通じて英国が5G及び6G分野で世界をリードすることを目指している。

研究開発

英国では、政府予算による6Gの研究開発が進展中である。2022年12月には、約1億1,000万ポンドの5Gと6Gの研究開発促進計画が発表された。うち約2,800万ポンドは3大学(ヨーク大学、ブリストル大学、サリー大学)に付与され、各大学はノキア、エリクソン、サムスン等と連携し、6Gを含む将来のネットワークの設計および構築を行う。約8,000万ポンドはウェストミッドランドの英国テレコムラボの設立のために投入され、5Gと6Gネットワーク機器のセキュリティやレジリエンスの試験が行われる。
さらに2023年4月に発表された無線インフラ戦略では、6Gの初期段階の研究に1億ポンドが投入されることとなった。世界的な標準策定に関与するとともに、同盟国との緊密な連携による経済安全保障を確立し、科学大国への布石とする目的を持つ。
一方、エリクソンとサムスンは、2022年後半に英国における最先端の6G研究センターの設立をそれぞれ発表した。

市場形成

国内外において、オープンRAN原則に基づく、情報の透明性、参入障壁の最小化、部品間の標準化されたインタフェース、サプライヤによるイノベーション等の要素を備えた5G及び6G市場の形成が目指されている。