政策
政府は、Beyond 5G/6Gに特化した戦略文書をまだ発表していない。UK SPFは、政府から委託を受け、2021年11月に報告書「SPF 6GワイヤレスR&Dイニシアティブ」を発表した。少なくとも以下の五つの目標に取り組み、政府の6G国家戦略に組み込むべきであると勧告している。
- ①デジタル・デバイドの顕在化を防ぎ、医療・社会保障の成果の向上と将来の輸送に貢献するための広範なカバレッジ
- ②周波数管理のイノベーション(自動化やAIの活用等)により、特にモバイル接続に適した低周波、中高周波帯において、周波数効率の向上と周波数共有の高密度化を図る
- ③次世代モバイルインフラの展開の経済的実現性(新しいサービスの可能性の実現や大幅なコスト削減を実施)
- ④政府のネットゼロ目標との整合性
- ⑤シームレスな接続性。高いセキュリティとレジリエンスを備えた「ネットワークのネットワーク」(例えば、地上波と非地上波のネットワークの統合)
研究開発
政府とUK SPF(UK Spectrum Policy Forum)による支援の下、2021年に三つの大学(ブリストル大学、サリー大学、ストラスクライド大学)で6Gに関するワークショップが開催された。3大学では、既存5Gテスト網をベースに、6Gの研究開発を進めている。特色は以下のとおりである。
- ブリストル大学:5Gから6Gへの移行に伴う「ガバナンス」の課題について問題提起。新しい技術やユースケースへの国家的・世界的な調整の必要性を検討
- サリー大学:主な研究テーマは、①アンビエント情報と②ユビキタスカバレッジ。2021年10月、英国及びインド政府によるプロジェクトに参加、オープンRAN開発に重点
- ストラスクライド大学:政府出資のスコットランド5Gセンターの本部。スコットランドにおける5G及び6Gの「経済的および社会的な可能性」の実現を推進
市場形成
ストラスクライド大学で開催されたワークショップでは、①「6Gホーム」(家庭内でのリッチな仮想空間)、②「6Gシティ」(都市部での大容量ブロードバンド)、③「6G国家」(英国全土での安心安全なカバレッジ)という、6Gの三つの市場機会が想定された。しかしながら、三つの機会の格差は大きく、技術、規制、ビジネス戦略の最適化の必要性が指摘された。同認識は、今後の市場形成の指針として、産官学で共有されている。