政策
米国では、政府が基礎研究や先端技術に投資し、そこで実現される技術を民間企業が市場で展開していくという民間主導のアプローチが6G技術開発でも継続。
その他、政府は、民間企業の活動を促進するため、さらなる周波数の開放、周波数割当の国際的な協調、標準化手続きへの関与、研究開発の国際連携強化といった取組みに従事。
なお、連邦議会では、連邦通信委員会(FCC)内に6Gタスクフォースを設置する法案や、6G技術の諸課題解決策を議会に助言する6G評議会を設立する法案等も検討されている。
研究開発
米国標準研究所(NIST)は従来から、テラヘルツ帯等での伝搬モデル開発やアンテナシステムの計測研究、ミリ波帯での周波数共用テストベッド構築等の活動を行っている。
全米科学財団(NSF)は、2016年から、1億ドル以上を投資して4つの都市規模テストベッドを産学連携で構築する「先端ワイヤレス研究プラットフォーム(Platforms for Advanced Wireless Research(PAWR)」プログラムを運営。動的周波数共用、プログラム可能なネットワークアーキテクチャの開発、ミリ波帯の活用、画期的な広帯域ワイヤレス・バックホールの活用、ネットワーク測定機能の強化といった研究をサポートしている。
また、NSFは、2021年4月から、NIST、国防総省、民間9社(Apple、Ericsson、Google、IBM、Intel、Microsoft、Nokia、Qualcomm、VMware)と共同で研究プログラムをサポートする「レジリエントかつインテリジェントな次世代システム(RINGS)」プログラムを開始。次世代NextGネットワーキング技術とコンピューティング技術における米国の競争力を高め、NextG技術とインフラのセキュリティとレジリエンスを確保する研究加速に焦点を当て、2022年4月には研究テーマ37件を選定、総額4,350万ドルを投資すると発表。
国防総省は、12か所の米軍基地でのサンドボックス環境下で世界最大規模となるデュアルユース・アプリケーション向け5G実験とテスト及び高度プロトタイピングを行っている。2020年10月には5か所の基地で主要委託業者15社に6億ドルの契約を交付。軍産官学で、動的周波数共用、AR/VR訓練、スマート倉庫といった機能向上に取り組んでいる。
その他、AT&T等がテキサス大学と協力する「6G@UT」といった産学連携の取組みも活発。
市場形成
標準化団体の電気通信産業ソリューションズ連合(ATIS)主導で2020年10月に立ち上げられたNext G Allianceには、オペレーター、機器ベンダー、テクノロジー企業、学術機関、政府、研究機関等の80者以上から600名以上の専門家が参加。今後10年間の北米リーダーシップを確保するため、6Gロードマップ作成や、政策及び政府研究投資の国家的優先事項策定、次世代技術の迅速な商用化を促進する戦略策定等を行っている。