政策
米国では、政府が基礎研究や先端技術に投資し、そこで実現される技術を民間企業が市場で展開していくという民間主導のアプローチが6G技術開発でも継続。
その他、政府は、民間企業の活動を促進するため、さらなる周波数の開放、周波数割当ての国際的な協調、標準化手続きへの関与、研究開発の国際連携強化といった取組みに従事。
現在は、6G概念化の作業が中心で、バイデン政権は、2023年4月、国家安全保障会議(NSC)と全米科学財団(NSF)が共催する政権6Gワークショップを開催、ここでの成果は、2024年2月に公表された、米日英豪加等10か国による6G原則支持する共同声明「Principles for 6G: SECURE, OPEN & RESILIENT BY DESIGN」として結実している。
また、米国とEUの貿易・技術評議会(US-EU Trade and Technology Council:TTC)では、2023年5月に6G展望、2024年4月には6G共通ビジョンが公表された。
国家電気通信情報庁(NTIA)は、2024年5月から6G技術開発を支援する政策に関する意見募集手続きを行った。
研究開発
NSFや国防総省が支援、運営する官民テストベッド構築や、NSFが米国標準技術研究所(NIST)と国防総省、民間9社と共同で研究プログラムを支援する「レジリエントかつインテリジェントな次世代システム(Resilient and Intelligent Next-Generation Systems;RINGS)」プログラムが運営されている。
また、NSFのTIP局(Directorate for Technology, Innovation and Partnerships)には、重要・先端技術に対して5年間で最大200億USDの資金が割り当てられている。
国防総省は、2022年9月にノースイースタン大学ワイヤレスIoT研究所が立ち上げた、6Gシステム研究を加速させる新たな産官学連携ハブ「Open6G」も支援している。
その他、日本や韓国、EU等の各国・地域と研究開発を進める取組みも進められている。
市場形成
米国標準化団体の電気通信産業ソリューションズ連合(ATIS)主導で2020年10月に立ち上げられた「Next G Alliance(NGA)」には、オペレーター、機器ベンダー、テクノロジー企業、学術機関、政府、研究機関等の80者以上から600名以上の専門家が参加。6Gロードマップ作成や、政策及び政府研究投資の国家的優先事項策定、次世代技術の迅速な商用化を促進する戦略策定等を行っている。2024年には計8本のホワイトペーパーを発表。
NGAは、米EUのTTCにおける6G研究開発に係る両極の協力に関するコミットメントを受け、2024年1月、欧州の6G Smart Networks and Services Industry Association(6G IA)と共同で産業界ロードマップ「EU-US Beyond 5G/6G Roadmap」を公開している。