昭和63年版 通信白書(資料編)

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3-2 自営電気通信

(1)無線通信の現況

ア.無線通信の種類

<3>-3-52表 各種通信の概要

 

<3>-3-53表 船舶に開設された海上移動業務用無線局等の数

 

<3>-3-54表 我が国における遭難周波数及び聴守義務を有する船舶局

 

<3>-3-55表 無線局数の推移(1)

<3>-3-55表 無線局数の推移(2)

 

(イ)利用分野別無線局数

 

<3>-3-56表 利用分野別無線局数(62年末現在)(1)

<3>-3-56表 利用分野別無線局数(62年末現在)(2)

 

(2)有線電気通信の現況
ア.設備の状況

 

<3>-3-57表 有線電気通信設備数の推移

 

イ.使用の状況

 

<3>-3-58表 使用状況別設備数の推移

 

(3)自営電気通信の分野別利用状況
ア.警察用

 

<3>-3-59表 警察用自営電気通信の利用状況(1)

<3>-3-59表 警察用自営電気通信の利用状況(2)

 

イ.航空保安用
(ア)航空交通管制業務用通信
 航空交通管制業務用通信は,航行中の航空機の衝突を防止し,航空交通の秩序正しい流れを保つために行われる通信であり,直接管制を行う移動業務用と管制機関相互間に設定された固定業務用の無線電話に大別される。

 

<3>-3-60表 航空交通管制業務用自営電気通信の利用状況

 

(イ)飛行情報業務用通信
 飛行情報業務用通信は,航行の過程において必要な気象情報,航空保安施設の運用状況等を得るためのものであり,飛行場情報提供用通信及び航空路情報提供用通信がある。また,これらの飛行情報は,他の必要な通報とともに固定電信網により各空港及び管制部に送られている。

 

<3>-3-61表 飛行場情報提供用通信及び航空路情報提供用通信の利用状況

 

<3>-3-62表 航空固定電信網の利用状況

 

(ウ)航空無線航行用通信
 航空機は,パイロットの目視によるほか,地上の航空保安無線施設及び機上の無線航行装置を利用することにより自機の針路,位置,速度,高度等を確認し,安全航行を行っている。また,地上では,航空管制を行うためレーダーにより航空機の種類,位置,高度等を確認している。
ウ.海上保安用
(ア)海難救助及び航行の安全等に関する通信
 海上保安庁では,全国の海岸局及び行動中の巡視船艇の船舶局において,中波帯,中短波帯等の遭難周波数を常時聴守しており,遭難信号等が受信されたときは,直ちに海難救助に当たる体制をとっている。
 また,SAR条約の発効に伴い船舶の動静を把握し,遭難時における捜索救助活動を容易にするための船位通報制度を,60年10月から発足させ,遠距離海域の船舶との通信を行うため短波海岸局を設置している。
 さらに,海上交通安全法に基づく巨大船等の航行管制のための通信,港則法等に基づく入出港,検疫等に関する通信等を行うとともに,NAVAREAXI航行警報,日本航行警報等の各種航行警報の送信を行うほか,海上の気象,海象等の予報及び警報を全国の主要海岸局等から船舶へ送信するとともに,無線方位信号所(無線標識局,特別業務の局等)等から局地的な気象・海象の通報を行い,航行船舶の安全に役立てている。
 同庁では以上のような海上保安通信体制の充実強化及び施設の近代化を図るため,海岸局等の統合再編成及び固定回線網の拡充を順次進めることとし,61年度には,北海道東部地区の整備を完了し,62年度からは南九州地区の整備を開始した。
 このほか,海象観測を実施するために洋上に設置した各種の海象観測装置からの情報の伝達手段として,中波・超短波帯の電波を利用している。
(イ)航行援助等に関する通信
 海上保安庁では,電波を利用した各種の航行援助施設を設置し,船舶交通の安全に寄与している。
 また,東京湾及び瀬戸内海の備讃海域においてはレーダーとITVを用いて船舶の動静を把握し,これら海域を航行する船舶に対して国際海上VHF無線電話,中短波無線電話により海上交通に関する情報の提供を行うとともに,国際海上VHF無線電話により航行管制を行っている。さらに,関門海域においても同様な業務を行うため,無線施設の整備を進めている。

エ.気象用

 

<3>-3-63表 気象用通信の利用状況(1)

<3>-3-63表 気象用通信の利用状況(2)

 

オ.防災用
(ア)水防・道路用通信
 建設省では,河川,ダム及び道路整備事務の円滑な遂行を図るため,水防・道路用無線局を開設し,災害の予防,応急対策,復旧,その他維持管理等に関するデータの収集,状況連絡,指示等の情報伝達用として活用している。また,62年度には,災害対策の向上を図るため,新たにヘリコプタ搭載用画像伝送装置を導入した。

 

<3>-3-64表 水防・道路用通信の利用状況(1)

<3>-3-64表 水防・道路用通信の利用状況(2)

 

(イ)中央防災用通信
 国土庁では,防災対策の一環として,平素における災害関係事務の調整,非常災害時における災害情報の収集,伝達のため,防災関係の指定行政機関等(国土庁,内閣官房(総理官邸)等30省庁)及び指定公共機関(東日本旅客鉄道株式会社,NTT等19機関)相互を多重無線回線で結ぶ中央防災無線網固定通信系の整備を53年度から進めてきたところであるが,59年度末をもっておおむね完成した。
 中央防災無線網固定通信系のシステム構成は,国土庁に設置した自動交換機を介して,各関係機関に設置したファクシミリ及び電話機相互でダイヤル自動即時通話が可能となっており,自動交換機と端末装置を結ぶ回線は,同一庁舎内等の近距離回線を有線とするほかは,無線化されている。
 また,同庁では,近距離被災地からテレビジョン画像を伝送する画像伝送系の整備を行ったほか,機動的な通信手段の確保等を目的とする移動通信系及びCS-3を利用して全国の被災地等との通信を行う衛星通信系の整備を図っている。
(ウ)防災行政用通信
 防災行政用無線には都道府県が開設するもの,政令指定都市が開設するもの及び市町村が開設するものがある。いずれも防災関係業務に利用するのみならず,平常時には一般行政事務に利用することが認められている。

 

<3>-3-65表 防災行政用通信の利用状況

 

(エ)消防防災用通信
 消防防災用無線は,国と地方公共団体との間で地震予知情報等の一斉伝達,災害報告,火災速報等の消防情報の収集及び伝達を行うためのものである。
 消防庁は,水防・道路用無線として建設省が開設した全国マイクロウェーブ回線の一部を共用し,全国47都道府県との間に,それぞれ直通の消防防災用の通信回線(電話及び高速ファクシミリ)を設置している。
 また,消防庁では,上記通信回線の多ルート化対策の一環として59年秋からCS-2を利用した衛星通信回線を導入している。
(オ)消防・救急用通信
 地方公共団体は,消防の常備化を進め,広域化する消防・救急・救助活動を円滑に遂行するため,消防本部と消防署等の間に専用回線(電気通信事業者線)による消防事務用電話を設置するとともに,消防本部,消防署等に基地局,固定局を,消防車,救急車,ヘリコプタ等には陸上移動局又は携帯局を開設し,電話,ファクシミリ,画像等の通信を行っている。
(カ)防災相互通信用通信
 防災相互通信用無線局は,石油コンビナート,市街地等で災害が発生した場合に災害現場で行政機関,公共機関,地方公共団体及び地域防災関係団体の防災関係機関が協力して防災対策に必要な情報を迅速に交換し円滑な防災活動を実施するためのもので,62年12月末現在全国で1万4,117局の無線局が運用されており,すべて移動系である。
カ.航空運送事業用

 

<3>-3-66表 航空運送事業用通信の利用状況(1)

 

<3>-3-66表 航空運送事業用通信の利用状況(2)

 

キ 海上運送事業用

 

<3>-3-67表 海上運送事業用通信の利用状況(1)

<3>-3-67表 海上運送事業用通信の利用状況(2)

 

ク 港湾通信業務用
 港湾通信業務はVHF帯無線電話を用い,港湾内はその付近における船舶の交通整理,びょう地の指定,並びに検疫に関する通信のほか,船舶の移動に不可欠な水先業務,ひき船事業等を含む船舶の移動を安全かつ能率的に遂行するために行われるものであり,61年度末現在,海上保安庁の海岸局67局のほか,港湾管理者たる地方公共団体の開設する海岸局(ポートラジオ)19局がこの業務を行っている。
 また,港湾内における水先業務及びひき船事業に使用する船上通信局に対しては,近年の需要増に対処すべく狭帯域化された設備の導入を図ることとされている。
ケ 漁業用
 漁業用通信は,僚船相互間の情報交換については,漁船に開設されている無線局(船舶局)を介して行われ,また船主等に対する報告及び船主等からの指示等については,陸上に開設されている無線局(漁業用海岸局)を介して行われる。
(ア)船舶局

 

<3>-3-68表 漁業用通信(船舶局)の利用状況

 

(イ)海岸局
 漁業用海岸局は,漁船の船舶局を通信の相手方として無線電信又は無線電話により漁業通信を行う無線局であって,漁業共同組合等が免許人となって国内の漁業根拠地に開設されており,61年度末現在747局である。
 近年は,総トン数10トン未満の小型漁船の船舶局の増加に対応して,空中線電力5ワットのDSBの漁業用海岸局が増加しており,61年度末現在513局と,海岸局総数の69%を占めている。
 漁業用海岸局の中には,国(水産庁)又は地方公共団体が開設する漁業指導用の海岸局を併せ開設し,我が国の沖合,遠洋の漁場で操業する漁船との間で中短波帯,短波帯の周波数を使用して無線電信又は無線電話による漁業通信等のほか,漁船向けのファクシミリによる漁・海況通報の放送を実施しているものがある。
(ウ)その他
A 漁業における無線利用の特殊な設備
 漁業における無線利用の特殊な設備として,遠隔制御魚群探知用無線設備(テレサウンダ),ラジオ・ブイ,レーダー・ブイが活用されている。テレサウンダは,40MHz帯の周波数を使用して網の中に入った魚群の情報を得る装置であり,定置網漁業及びまき網漁業に使用されている。ラジオ・ブイは2MHz帯又は40MHz帯の周波数を使用して漁具等の位置確認の情報を得る装置であり,はえなわ漁業,流し網漁業等に使用されている。
B 中短波・短波帯漁業用海岸局の統合
 近年,米ソをはじめとする沿岸国の200海里水域の設定に伴う操業水域の縮小や漁業割当量の減少等により,沖合及び遠洋漁業に従事する中・大型の漁船が減少し,漁業用海岸局の運営はますます困難になりつつある。
 これらのことから,漁業関係者においては,運営の合理化と通信需要への対応を図るための施策の一環として,既設漁業用海岸局の統合,整備を推進している。
C 沿岸漁業における無線通信の需要増とその対策
 沿岸漁業に従事する総トン数10トン未満の小型漁船の船舶局は年々増加する傾向にあるが,これらの船舶局が利用している26MHz帯及び27MHz帯の周波数はひっ迫しており,増波は困難な状況にある。
 このような状況に対処するため,58年6月,新たに40MHz帯の周波数を使用する無線通信システムを制度化し,今後も積極的にその普及促進を図ることとしている。
コ.海上スポーツ・レジャー用
 近年,国民の海洋性レクリェーションの進展等に伴い遊漁船やヨット等に船舶局を開設するものが増えており,これに対処すべく,59年度には40MHz帯を導入し,引き続き61年度には400MHz帯の周波数を使用した可搬型の無線設備を認めている。
 これらの船舶局は専用の海岸局との間又は船舶局相互間で安全等に関する通信を行っている。
サ.報道機関(新聞社,通信社)用
 新聞社及び通信社では,事件現場から本社,支社,支局等に対する記事,写真伝送等の取材活動に主にVHF帯又はUHF帯の陸上移動業務又は携帯移動業務の無線局を使用している。
 また,通信社が経済ニュース等を,金融機関,商社等に通報する場合には,同報無線を利用している。
シ.道路管理用
 日本道路公団,首都高速道路公団,阪神高速道路公団の高速道路を含む道路一般における維持管理,交通管理等のための通信系としては,現在,非常通信系,指令通信系,業務通信系,移動通信系,道路情報伝送系,映像伝送系,防災連絡用通信系等がある。
 これらの道路のうち高速道路では,移動通信系を除き,有線回線を主体としているが,名神高速道路及び中央自動車道の一部については,マイクロウェーブ多重無線回線を使用している。
 日本道路公団では,災害対策基本法による指定公共機関として,大災害等における迅速かつ正確な情報収集とこれに基づく的確な情勢判断及び指揮命令伝達体制を確立するため,本社と地域防災対策強化地区を管理する各管理局及び各管理事務所間を無線回線で結ぶ防災対策用無線局を開設している。
 また,建設省,日本道路公団,首都高速道路公団及び阪神高速道路公団では,道路交通情報をカーラジオを通じて車両のドライバーに提供する路側通信システムを,それぞれ5年12月,58年12月,60年1月及び59年6月から運用開始しており,62年12月末現在までに開設された無線局数はそれぞれ22局(国道25号線等),25局(東名・名神高速道路等),2局(首都高速道路6号線),21局(阪神高速道路大阪東大阪線等)となっている。
ス.鉄道事業用
(ア)旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社
 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社(以下「旅客会社等」という。)の通信回線は,対列車通信に代表される移動通信システムと衛星通信システムとによって構成されている。

 

<3>-3-69表 旅客会社等の鉄道事業用通信の利用状況(1)

<3>-3-69表 旅客会社等の鉄道事業用通信の利用状況(2)

 

(イ)旅客会社等以外の鉄道事業者
 旅客会社等以外の鉄道事業者各社では,無線通信を列車の運転指令用,事故発生時における運輸指令所と駅及び列車乗務員間,近接列車相互間の緊急連絡用,踏切事故発生時における二重衝突等の事故防止のための警報用,操車場内での車両の入換編成作業用等に使用している。
 このほか,線路上あるいは踏切道上の障害物を発見した場合,近接列車に警報信号を送信するための防護警報用の無線局を踏切付近に設置しているもの及び踏切道上の障害物を電波を利用して検知する障害物検知用の無線局を交通量の多い踏切道上に設置しているものもある。
セ.電気・ガス・水道事業用

 

<3>-3-70表 電気・ガス・水道事業用通信の利用状況(1)

<3>-3-70表 電気・ガス・水道事業用通信の利用状況(2)

ソ 自動車運送事業用
 自動車運送事業用の通信は,営業所等に設置した基地局と車両に設置した陸上移動局との間で通信系を構成し,配車指令,荷物の集配指令等を行っている。
 また,車両の一層の効率的運行を図るため,走行中の車両の現在位置や活動状況(動態)を基地局(運行管理センター)において常時把握できる「車両位置等自動表示システム(AVMシステム)」が全国の主要都市に普及している。
 貨物運送事業では,主として,貨物の集配指示,配車指令等を行っている。近年,小口貨物の宅配部門の需要増加に伴い,トラック業者のこの部門への進出は目覚ましく,無線設備を装備したトラックは増加の一途をたどっている。特に貨物運送事業者が集中する大都市においては,通信需要の増大に対処するため,MCAシステムを57年から導入している。
タ.アマチュア業務用
 アマチュア業務用の無線局は,「金銭上の利益のためでなく,専ら個人的な無線技術の興味によって,自己訓練,通信及び技術的研究の業務」を行うものであり,世界的に共通の周波数帯を使用して,通信技術の研究あるいは国際親善に役割を果たしている。最近のアマチュア局は自動車に設置して運用するモービル・ハムが急増していることから,VHF帯,UHF帯の周波数を利用するものが急速に増加している。また,高度の技術を要する人工衛星を利用する通信も行われており,61年8月には我が国で初めて人工衛星にアマチュア局が開設された。その他,大電力(500W)による月面反射利用の通信(EME),ラジオ・テレタイプ(RTTY),アマチュアテレビ通信(ATV)等も行われている。
 さらに,アマチュア業務用レピータ局(自動中継局)として,日本アマチュア無線連盟(JARL)が28MHz帯,430MHz帯及び1,200MHz帯を使用するレピータ局を各地に設置しており,ハンディ型の小出力の無線設備を使用するアマチュア局の交信範囲の拡大を図っている。
チ 簡易無線業務用

<3>-3-71表 簡易無線業務用通信の利用状況

(ツ)その他
 上記各項のほか,自営の無線通信は次のとおり広く各分野にわたっている。
 これらの無線通信は一部が固定通信であるほか,ほとんどが陸上移動業務,携帯移動業務又は無線標定業務等の移動通信である。
(ア)国の業務用
[1] 検察,矯正管理,出入国管理用 [2] 税関用
[3] 南極観測用 [4] 検疫,麻薬取締用 [5] 港湾工事用
[6] 干拓事業用 [7] 林野事業用 [8] 漁業指導用
[9] 地質調査用 [10] 電波監理,電波監視用
(イ)国の業務以外の事業用
[1] 水防用 [2] 港湾建設事業用 [3] コンテナ荷役用
[4] 造船事業用 [5] 石油採掘事業用 [6] 測量用
[7] 金融事業用 [8] 警備業務用 [9] 医療用
[10] 無線呼出業務用 [11] 農業用 [12] 学校教育用
[13] その他

 

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