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所有者不明土地等に係る固定資産税の課題への対応

 近年、所有者不明土地や空家等が全国的に増加しており、公共事業の推進や生活環境面において様々な課題が生じています。今後も、相続機会が増加する中で、所有者不明土地等の増加が見込まれ、所有者情報の円滑な把握、所有者不明土地等の発生の予防、円滑な利活用や適正管理の観点から、政府全体として各取組を推進しています。

 所有者不明土地等に係る固定資産税の課税上の課題に対応するため、所有者情報の円滑な把握や課税の公平性の確保の観点から、令和2年度税制改正において、以下の措置が講じられました。

固定資産税の納税義務者について

固定資産税は、固定資産の所有者に課税されます。(所有者課税の原則)

<所有者>

土地・家屋 →  登記簿上の所有者
(未登記の場合、土地・家屋補充課税台帳上の所有者)
上記所有者が死亡している場合、現に所有している者

償却資産 →  償却資産課税台帳上の所有者

※ 売買等により賦課期日現在すでに所有権が他に移転している場合においても、所有権の移転登記がなされていない限り、固定資産税は所有者として登記されている者(旧所有者)に課税される。(台帳課税主義)


土地・家屋については、登記があった場合は、登記所から市町村へ通知され、登記がない(未登記)場合は、市町村が自ら調査し土地・家屋補充課税台帳に登録します。償却資産については、所有者からの申告に基づき、償却資産課税台帳に登録します。これら、所有者として登記又は登録されている者が納税義務者となります。
登記または登録されている者が死亡している場合、「現に所有している者」(通常は相続人)が納税義務者となります。相続人が複数いる場合は、相続人の共有となります。相続人のあることが明らかでない場合、相続財産は法人となり、相続財産管理人(民法951条、952条)に対して納税通知書が送付されます。

現に所有している者(相続人等)の申告の制度化

 登記簿上の所有者が死亡している場合、これまで、課税庁は、「現に所有している者」(通常は相続人)の把握のため、法定相続人全員の戸籍の請求など、調査事務に多大な時間と労力を割いてきました。一方、納税義務者特定の迅速化・適正化のため、独自に、死亡届の提出者等に対し「現に所有している者」の申告を求めている団体も多く、その実効性を高めるため、申告の制度化を求める声があがっていました。

 このため、令和2年度税制改正において、登記簿上の所有者が死亡し、相続登記がされるまでの間における現所有者(相続人等)に対し、市町村の条例で定めるところにより、氏名・住所等必要な事項を申告させることができることとされました。

※ 令和2年4月1日以後の条例の施行の日以後に現所有者であることを知った者について適用。

相続登記がされている場合は、地方税法第382条第1項に基づき、登記所が課税庁に通知を行い、課税庁は課税台帳の所有者情報を更新して課税します。
相続登記がされていない場合は、課税庁への現所有者の申告義務がないため、課税庁は登記名義人及び全ての法定相続人(子、孫など)の本籍地から戸籍を請求し、相続人を調査し、特定した全ての相続人について、家庭裁判所に相続放棄の有無を確認する等により、課税台帳の所有者情報を更新することとなりますが、課税庁にとって大きな事務負担となります。そこで、条例により、固定資産税における他の申告制度と同様の罰則を設けることで、現所有者の申告をさせることができることとされ、令和2年4月1日以後の条例の施行の日以後に現に保有している者であることを知った者について適用されます。

使用者を所有者とみなす制度の拡大

 固定資産を使用している者がいるにもかかわらず、所有者が正常に登記されていない等によって、調査を尽くしても所有者が一人も特定できないケースや、使用者からも調査に協力を得られない等、所有者特定に支障があるケースがあります。

 こうしたケースについては、誰にも課税できず、課税の公平性の観点から問題となっていました(※1)。

 これまでは、法律上、震災等の事由によって所有者が不明の場合に使用者を所有者とみなして課税できる規定がありましたが、その適用は、災害の場合に限定されていました。

 そのため、令和2年度税制改正において、調査(※2)を尽くしてもなお固定資産の所有者が一人も明らかとならない場合、事前に使用者に対して通知した上で、使用者を所有者とみなして、固定資産課税台帳に登録し、固定資産税を課すことができることとされました(※3)。

  1. ※1 下記【参考】所有者が不存在・特定できないため課税できないケース(例)を参照。
  2. ※2 住民票、戸籍等の公簿上の調査、使用者と思われる者やその他関係者への質問等。
  3. ※3 令和3年度分以後の固定資産税について適用。

まず、所有者(納税義務者)の調査として使用者への聞き取り調査(使用の経緯、実態、真の所有者に係る情報等)が行われ、調査を尽くしてもなお、固定資産の所有者が一人も明らかとならない場合、使用者に事前通知をした上で課税台帳に登録します。そして賦課決定(納税通知書の交付)が行われ、不服があれば、行政不服審査法に基づく審査請求が可能です。

参考として、これまで所有者が不存在又は特定できないため課税できなかったケースの例を示します。ケース1、死亡した登記名義人から賃借していた者が居住を継続しているケース。Aから土地及び建物をBが賃借し、住居登録をして居住していますが、Aの死後は賃料を支払っておらず、Aの相続人は全員相続放棄をしているというような場合です。この場合、登記簿上、当該土地及び建物はA名義のままですが、Aが死亡し、相続人も全員が相続放棄しているため、所有者が不存在となり、当該土地及び建物ともに課税することができませんでした。ケース2、相続放棄した者とその関係者が居住しているケース。土地及び建物の登記名義人であるCとその配偶者Dがともに死亡し、その子E及びFが相続放棄をしているが、相続放棄したE及び第三者が居住しているというような場合です。この場合、登記簿上、当該土地及び家屋はC名義のままですが、Cが死亡し、相続人も全員が相続放棄しているため、所有者が不存在となり、当該土地及び建物ともに課税することができませんでした。ケース3、登記が正常に記録されていない土地で店舗を営業しているケース。Hが店舗を経営しており、店舗の建物はH名義ですが、当該建物が建っている土地の登記簿上の名義が「●●又兵衛外63名」とのみ記載されており、住所の記載もないような場合です。この場合、家屋についてはHに対して課税することができますが、土地については、所有者を特定することができず課税することができませんでした。ケース4、外国籍の所有者が死亡し、相続人が特定できないケース。マンションの一区画及び敷地を所有していた外国籍のXが死亡し、Xの弟が管理費を払い使用しているようなケースです。この場合、国内に戸籍等が存在しないため、相続関係が確認できず、所有者を特定することができないことから土地及び家屋ともに課税することができませんでした。

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