総務省は、欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局とともに、4月15日(木)及び16日(金)に、日EU・ICT戦略ワークショップ(第11回)をWeb会議にて開催しました。
本ワークショップは、デジタル分野における政策について日EUの官民で相互理解を深め連携・協力を推進することを目的としており、ICTをはじめとしたデジタル分野に関する幅広い議題が取り上げられ官民で自由な意見交換が行われました。
今回のワークショップの結果を受けて、今後の日EU協力に資する具体的な内容なども含め議論して参ります。
日EU・ICT戦略ワークショップ(第11回)の主な成果
今回(第11回)の戦略ワークショップでは、日EU双方における政策動向や実際のビジネスの場での課題等を踏まえ、主として以下の事項について対話を行った。
ア 5G/Beyond 5G(6G)
EU側から、B5Gのビジョン策定と研究開発の取組や産業界のB5Gに向けた取組などの紹介があり、日本側から、B5G推進に向けた取組状況及び日本企業による5Gの海外展開事業やOpen RANの取組について説明した。日EU双方から研究開発や標準化における日EUの産学による連携の重要性について指摘があり、B5Gの早期実現に向けて協力していくこととされた。
イ サイバーセキュリティ
EU側から昨年公表されたサイバーセキュリティ戦略の概要、IoTセキュリティにおける相互運用性の確保の重要性について説明があった。日本側から日EU双方の情報共有組織間の連携促進の取組、5Gセキュリティガイドラインの概要等について紹介され、これらに関して、日EU間で引き続き意見交換と議論を継続していくこととされた。併せて、日本企業の量子暗号通信技術に関する最新の取組についても紹介された。
ウ スマートシティ
日EU双方からスマートシティのセキュリティ確保等について説明があった。多様な領域の主体が相互に連携するスマートシティでは、相互運用性の確保の観点から国際的な連携が望ましいことが指摘され、日EU間で引き続き意見交換と議論を継続していくこととされた。
エ プラットフォーム
EU側から、昨年12月に公表されたデジタルサービス法案及びデジタルマーケティング法案の意義について説明があり、これに対し日本の産業界からは、プラットフォーマによるコンテンツの過剰削除を懸念する声も出された。マルチステークホルダーによる議論や継続的なモニタリング、透明性の確保の重要性が日EU双方から指摘された。
オ データ
EU側から、昨年11月に公表されたデータガバナンス法案の概要、現在検討が進められているデータ法案の概要について説明があり、日本側から、昨年12月に公表されたデータ戦略タスクフォース第一次取りまとめや国内における情報銀行の取組について紹介した。日EU双方から、データ空間の構築、COVID-19対応でのデータ活用などで、日EU協力の可能性を模索していくべきとされた。
カ AI
EU側から、本年4月21日に採択予定のAI規制フレームワーク案について紹介があった。日本側からは、日EU・AI共同委員会の取組やAI活用に向けた日本企業の自主的取組に関する紹介とともに、AIの横断的規制はソフトローであるべきとの考えが説明された。日EU双方から、AIガバナンスの究極的な目標がトラストと人間中心のAIの実現であることは日EUの共通認識であるとされ、意見交換と議論を継続していくこととされた。
本ワークショップは年2回開催することとしており、次回は本年秋に日本側ホストで開催予定。
(参考)日EU・ICT戦略ワークショップ(第11回)出席者
日本側:総務省巻口国際戦略局長 ほか
EU側:欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局デグラーフF局長 ほか
【関係報道資料】